5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

スーパー戦隊 バトルロワイヤル Part3

1 :名無しより愛をこめて:2008/10/11(土) 14:23:32 ID:A98Qc5GA0
当スレッドは、スーパー戦隊シリーズの登場人物でバトルロワイヤルを行うという企画です。

※注意・このスレはあくまで2次創作であり、本編作品等との関連性はありません。
    また、スレの性質上ネタバレを多く含んでいます。
   ・投下されるSSの中には、ヒーローの敗北、死亡等の残酷な描写が含まれたものもあります。
   
以上の点を注意して、閲覧して下さい。
なお、進行はsageでお願いします。

2 :名無しより愛をこめて:2008/10/11(土) 14:26:30 ID:2DBlXAzt0
板違いです
バトルロワイヤル・二次創作は以下の板でどうぞ
下記の板にはバトルロワイヤルスレッドが多数ありますので早急に移転してください
http://namidame.2ch.net/mitemite/

3 :名無しより愛をこめて:2008/10/11(土) 14:27:21 ID:A98Qc5GA0
青き水の星、地球に刻まれた31の戦いの記憶。
今宵、その中から42人の戦士が選ばれた。
ロンの企みにより、宴に集められた彼らを待っているのは、
希望の明日か、絶望の明日か―――
その行方を知る者は、まだいない


まとめサイト
http://homepage3.nifty.com/w-end/index.htm

スーパー戦隊バトルロワイアルinしたらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/10886/

前スレ:スーパー戦隊 バトルロワイヤル Part2
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1210842554/

前々スレ:スーパー戦隊 バトルロワイヤル:ログ
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1195463272/l50

2chパロロワ事典@Wiki
http://www11.atwiki.jp/row/

4 :名無しより愛をこめて:2008/10/11(土) 14:29:13 ID:A98Qc5GA0
【ジェットマン】1/1
グレイ○
【カーレンジャー】3/3
シグナルマン○/志乃原菜摘○/陣内恭介○
【メガレンジャー】3/3
並木瞬○/ネジブルー○/早川裕作○ 
【ギンガマン】2/2
剣将ブドー○/ブクラテス○
【ゴーゴーファイブ】3/3
巽マトイ●/ドロップ○/冥王ジルフィーザ○
【タイムレンジャー】3/3
浅見竜也○/シオン○/ドモン○
【ハリケンジャー】4/4
サーガイン○/シュリケンジャー○/日向おぼろ○/フラビージョ○
【アバレンジャー】1/1
仲代壬琴○
【デカレンジャー】4/4
江成仙一○/白鳥スワン(消滅)◎/胡堂小梅●/ドギー・クルーガー○
【マジレンジャー】7/7
小津勇●/小津麗●/小津深雪●/スフィンクス●/ティターン○/バンキュリア●/ヒカル○
【ボウケンジャー】7/7
明石暁○/伊能真墨●/ガイ○/高丘映士○/西堀さくら○/間宮菜月○/最上蒼太○
【ゲキレンジャー】4/4
サンヨ○/真咲美希○/メレ○/理央○
 残り 34名

主催:ロン○
ジョーカー:ウルザード●


5 :名無しより愛をこめて:2008/10/11(土) 14:31:15 ID:A98Qc5GA0
【ルール】

【スタート時の持ち物】
初期装備は怪人枠は武器装備有り戦隊側はスーツ有りで、変身アイテムを奪われたり、壊されたりしたら、変身不能になる(修理は可能)
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側からデイパックに入った以下の物を支給される。
「食料」 → 複数個のパン(丸2日分程度)
「飲料水」 → 1リットルのペットボトル×2(真水)
「開催場所の地図」 → 禁止エリアを判別するための境界線と座標も記されている。
「名簿」→全ての参加キャラの名前がのっている。
「ランダムアイテム」 → 変身アイテム以外のアイテムが1〜3つ入っている。内容はランダム。
「時計」 → 時間確認用
「筆記用具」 → ペンとメモ帳

【スタート】
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
MAPは縦軸A〜J、横軸1〜10で1辺の長さが5qとする。

【能力の制限について】
変身制限時間は10分。解除後2時間変身不可。意志あり支給品についても同様とする(会話は可能)

【放送】
放送は6時間ごとに行われる。放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」「残りの人数」
禁止エリアは一度の放送で3区画ずつ(2時間ごとに1区画ずつ)増えていく。

6 :名無しより愛をこめて:2008/10/11(土) 14:32:09 ID:A98Qc5GA0
【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

【書き手のルール】
・書く前に必ず予約すること。投下期限は1週間。
・申請すれば延長も可。ただし、最長3日。
・自己リレーは作品投下後、1週間は禁止。ただし、書き手が豊富な時はなるべく自重しましょう。
・作品投下後の予約は24時間禁止。
・明らかな矛盾点を指摘された場合は修正しましょう

7 :名無しより愛をこめて:2008/10/11(土) 14:33:26 ID:A98Qc5GA0
【首輪と禁止エリア】
参加者は全員、ロンによって首輪を取り付けられている。
首輪は、三つの条件で命を奪う。
一つ目の条件は、首輪に過度の衝撃を与える事。衝撃を感知すれば、即座に作動する。
二つ目の条件は、禁止エリアに入る事。足を踏み入れれば、二十秒で作動する。
三つ目の条件は、主催に歯向かった場合、ロンの意思で作動する。

また、参加者には説明されないが、首輪には盗聴機能があり音声・会話は全て記録されている。

【書き手のルール】
・予約禁止事項
 ひとりリレーを防ぐため、投下した書き手は、投下終了から二十四時間一切予約禁止、投下作品に出たキャラは更に百二十時間禁止
・トリップ
 投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
 書き手は必ずトリップをつけてください。
・トリップの付け方
 名前欄に#(半角)に続けて適当な文字列を入れて下さい。
 「◆NdQ0UM」(例)のように、文字列に対応したIDが表示されます。
・投下宣言
 投稿段階で被るのを防ぐため、投稿する前には 「投下します」 と宣言をして下さい。
 いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。
・キャラクターの参加時間軸
 このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
 最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。
・ステータス
 投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表すステータスを書いてください。

8 :名無しより愛をこめて:2008/10/11(土) 14:34:12 ID:A98Qc5GA0
【キャラクター名】
【○○日目 現時刻】
【現在地】
【時間軸】:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
【状態】:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
【道具】:(変身アイテム、ランタンやパソコン、治療道具・食料といった保有している道具はここ)
【思考・状況】(ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。複数可、書くときは優先順位の高い順に)

【基本ルール十ヶ条】
第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)

9 :名無しより愛をこめて:2008/10/11(土) 15:09:47 ID:H4HEsSvS0
スレたて乙

10 :名無しより愛をこめて:2008/10/12(日) 18:47:14 ID:RKMcSuzT0
乙!
今回も凄惨かつ壮絶な物語が紡がれていくことを大いに期待します!

11 :名無しより愛をこめて:2008/10/13(月) 15:40:45 ID:fTo1HLoOO
スレ立乙です!

12 :名無しより愛をこめて:2008/10/13(月) 19:19:35 ID:grLT3LIxO
>>2
したらばに議論スレがございますので、ご意見のある方はあちらでお願いいたします。

13 :補足:2008/10/14(火) 10:45:06 ID:KaHWIS180
>>2
したらば避難所に議論スレがありますので、ご意見のある方は下記でお願いいたします。

したらば避難所 議論スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/10886/1209981208/59n-



14 :名無しより愛をこめて:2008/10/16(木) 05:40:26 ID:iDWupKt0O
保守ッと参上!

15 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 10:45:35 ID:5z0AniO/0
遅くなりました。いつも申し訳ありません。
投下します。


16 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 10:46:34 ID:5z0AniO/0
『馬鹿ヤロー!』
そんな檄を飛ばされた事がある。まだ小さな子供の頃だった。
俺は古井戸の上に板を渡しただけの粗末な蓋の上を飛び跳ねて遊んでいた。
1,2,3,4……。心の中で数を数えながら、繰り返し繰り返し飛ぶだけの単調な遊び。
俺は厭きもせず一人蓋の上を飛んで遊ぶ。
後一回、もう一回。
後もう一回でやめるつもりだったのに、朽ちた木の蓋はそれを待ってはくれなかった。

乾いた音。
それが足場だった蓋が割れた音だと気付いた時。
転落はすでに始まっていた。
割れた木片と共に、俺の体は吸い込まれるように井戸の底へ落ちて行く。
落ちた底は、深く狭く真っ暗だった。
俺は遥か遠くに見える青い空を見つめながら、井戸の片隅で、怖くて心細くて、ただ誰かが助けてくれるのを待っていた。
助けに来てくれたのは『おまわりさん』
ロープを伸ばし必死に俺を励まし、助けの手を差し延べた。
だけど、怖くてどうしようもなくて。一人では登れない。井戸の底から這い上がれない。
「助けて!ここまで来て助けてよ!!」
泣きじゃくり井戸の中で混乱する俺に、おまわりさんが件の激をとばしたのだ。

あれ以来、おれは暗くて狭い場所が苦手になった。
だが、それと同時にこの体験は、俺が警察官を目指すきっかけとなった出来事でもあった。

地球署に配属となった俺の持論は『この世に解けない謎は無い』
仲間や上司に恵まれ、順調で充実した日々を送っていた。
そう、昨日までは……。
あの日、井戸へ落ちた時のように『転落』は突然やってきた。
それは俺だけにではなく俺の大切な人達にも。

昨日まで、白鳥スワンさんはとても優秀な警察官だった。

17 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 10:47:16 ID:5z0AniO/0
そのスワンさんが誤って罪を犯し、その罪を償うために、また罪を重ねようとする。
矛盾した思考。歪んでいく論理。
それは、人一倍強い責任感を持ち、誇り高き警察官として生きてきたスワンさんが、罪の意識から逃れるために作りだした出口の無い迷路。
スワンさんはその出口の無い迷路に足を踏み入れ、理央さんに刃を向けた。
しかしその刃は、理央さんを貫く事無く……。
いや、貫かなくて済んだのは、スワンさんが再び罪を重ねる事を、運命が拒んだのではないだろうか。
そしてそれは、何も出来ずにただ呆然と見ていた俺にとっても唯一の救いだった。
「一体何が起こったというのだ!」
すぐ側にいる理央さんの声がやけに遠く聞こえた。

何が起こったのか解らなかった。
網膜に焼き付いているのは、赤い閃光と、溶けるように消えたスワンさんが見せた虚ろな瞳。
いつもなら、目の前で人が消えた、そのトリックにすぐ思考を巡らせていただろう。
『この世に解けない謎は無い』それが俺の持論だからだ。
状況を整理しようと思い出す。するとスワンさんの虚ろな瞳だけが鮮明に浮かび上がる。
動悸が荒くなり、心拍数が上がる。
その虚ろな瞳を思い浮かべることを体が拒否しているように息苦しくなる。
何故だかとても怖かった。
生気を無くした亡者のような虚ろな瞳は、理性も冷静さもすべて失わせていくように思えた。
思い起こす度に、閉塞感と爪先から滲み上がるような恐怖が、俺を包んだ……。





気が付けば、デカグリーンの変身は解除され、俺は理央さんの横で小さな子供のように膝を抱えて座っていた。
呆然とする俺に比べ、理央さんは冷静だった。

18 :名無しより愛をこめて:2008/10/18(土) 10:48:08 ID:AdTIwgkIO



19 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 10:48:13 ID:5z0AniO/0
冷静というだけで彼が冷たい人ではないだろうという事は、憐れみを含んだ表情から伺えた。
ただ一点を見つめる理央さん。スワンさんの消えた場所を見つめているその眼には、悼む思いが込められているように思えた。
「スワンは、誰かに消されたのだろうな」
「……ええ、おそらく」
理央さんはただ頷いただけで、それ以上何も話そうとしなかった。
殺された。その言葉を使わないのは俺に対する気配りだろう。

俺は署長やウメコに目の前で起こった事を告げるときのことを思った。
どう伝えればいいのだろう。
どこから?何から?日頃業務としてこなしているはずの手順がまるで浮かばない。
それ以前に伝えようにも通信さえ出来ない。
ここで成すすべのない自分。
加えて、目の前で何も出来ずにいた事実。なんという大失態だったと、自責の念が胸を締め付けた。
他愛もなく、いとも簡単に、痕跡さえ残さず、スワンさんは消去された。
ある意味、本当に始めて実感した『デリート』だったように思う。

「スワンは、俺を狙っていた。スワンを消した者は、俺を守ろうとしたのか?」
安堵と失望。
二つの感情が入り混じった声を理央さんは発した。
答えようのない質問に、俺は同じ質問を重ねて返そうとした。が――

『皆さん―――――』

ロンの声がそれを遮った。
時計は6時ジャストを指していた。





ブドーは勅命を受けているかのように、背筋を伸ばし正座したまま粛々と定時放送に聞き入っていた。

20 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 10:49:28 ID:5z0AniO/0
放送にて呼ばれた名は9名。
「思わぬところで手間が省けた……」
思うままの言葉がつい口から漏れる。
しかし、予想以上の人数。
ブドーは焦燥を覚えすぐさま立ち上がり、センと理央へ向かい歩を進める。
あの二人だけは何としてでも自らの手で屠ってやるのだ。他の誰にもそれだけは邪魔はさせぬ。
歩きながらブドーが思うは、怨敵と認めた二人。

先程の場所から動いていない二人を見付けるのは容易かった。
だが二人の様子は怨敵と称するには無様な様子だった。

ブドーは落胆とも侮蔑ともつかない溜め息を漏らした。
焦燥に駆られ戻ってきてみれば放送の内容に落胆したのか理央は肩を振るわせセンは幼子のように膝を抱えて座り込んでいる。
「腑抜けたか!」
悔やまれるならば、何故這い上がろうとしないのか。
散って行った者の痛みを己の痛みとし、立ち上がろうとしないのか。
その怒りにも似た激情がブドーにライフルを握らせた。
「今のセンは翼を無くした鳥も同然」
一度、怨敵と認めたセン。
他の者に殺されるのであれば……。





「そんな……。ウメコまで……」
さっきの夢。ウメコが言った『さよなら』あれが本当のことだったんだ。
俺は言い表しようのない脱力感に襲われその場に膝を抱えて座り込んだ。
そしてやはり消え去ったスワンさんも、死者として名を連ねていた。

21 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 10:51:27 ID:5z0AniO/0
「許せない」
抱え込んだ拳を強く握りしめながら漏れた声は……。その声は自分でも驚くほど枯れていた。
「許せない。そう言って仇をとれば、死んだ者を慰められるとでもいうのか?」
理央さんの言葉にハッと正気に戻る。
仇討ち?自分では気付かなかったが、そんな顔をしていたのだろうか。
俺を見据える理央さんの眼が険しくなる。

「そんなわけ、ないじゃないですか」
仇討ちという名目で殺し合いに乗るつもりはない。
俺は無理して昼行灯の顔を作った。
そして理央さんに向け、と言うよりも自分の中のスワンさんとウメコに向けて言葉を紡いだ。
「スワンさんは、 新装備の開発が自分なりの戦いだ、そう言っていました。
いつも俺たちのために睡眠時間を削って、オイルまみれになりながら、ピットの中で懸命に戦っていた。そんな人だった。
ウメコはね、いつもゲンキに笑ってて、情に脆くて……。でも結構繊細で傷つきやすい。そんな女の子だった」
ウメコの笑顔が浮かんだ。
センさんと呼ぶウメコの声が蘇った。

なぁ、ウメコ。ウメコは知らなかっただろうけど……。俺、ウメコが好きだったよ。
俺にとってもみんなにとっても、無くしてはならない大切な笑顔だった。

「俺は思う。なぜ 死ななければならなかったのか。
誰が殺したのか。どうして殺したのか、それを突き止めなきゃならない。
そいつを捜しだして、明るい太陽の下で、ジャッジメントを下してやらなきゃならないんですよ」

だから、俺は立ち上がらなければならないのだ。
そして突き止めなければならないのだ。
だが、どこを捜せばいいのだろう。

22 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 10:56:27 ID:5z0AniO/0
俺はよろよろと起き上がり、ふらつく足を踏みだした。

「……悪いが、俺は一緒には行けぬ。俺はメレを捜さなければならない」
その時、理央さんはただ愛する者を守りたい男の顔をしていた。
「その人が……。あなたの」
大切な人なんですね。
最後の言葉を口にしようとした俺を、理央さんが突き飛ばした。
何が起こったのか解らなかった。
銃声が聞こえたような気がする。
混乱する俺を庇うように、理央さんが俺の肩を掴む。
俺は仰向けに押し倒された。
そして、銃声が響き。
理央さんの胸から赤い血が飛び散った。
ゆっくりと倒れていく理央さんの身体。
野を駆ける獅子のたてがみのような褐色の髪が扇状に目の前を流れ、理央さんは俺の視界から消えた。
その間、俺は仰向けに倒れたまま身動き一つできなかった。


俺の目に、突き抜けるような青空が映っている。
でも、何故だろう?
木々の隙間から見える空が、あの日、井戸の底から見た青空と重なって見える。
息苦しさに顔を横に向けると、血の気を失った理央さんの青白い顔が見えた。


あぁ……。判った。

俺は今、あの暗闇の中に……。井戸の底に居るのだ、と。




23 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 10:57:15 ID:5z0AniO/0
【名前】江成仙一@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:Episode.12後
[現在地]:C-8森 1日目 早朝
[状態]:左肘複雑骨折、全身打撲(応急処置済)。1時間強変身不能。
[装備]:SPライセンス
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:仲間たちと合流して脱出。
第一行動方針:トラウマに捕らわれ混乱しています。
備考
・制限が2時間であることを知っています。
・スワンの装備は消滅の緋色により消滅しました。基本支給品はB−9のどこかに散らばって置き去りにされています。
 炎の騎馬はセンと理央が確認できる距離に置かれています。

【名前】理央@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:修行その47 幻気を解き放った瞬間
[現在地]:C-8森 1日目 朝
[状態]:左胸に銃創。肩から脇の下にかけて浅い切り傷。ロンへの怒り。
[装備]:自在剣・機刃
[道具]:支給品一式。
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。乗った相手には容赦しない。
第一行動方針:気絶中
第二行動方針:ナイとメアを探す(どちらかは死んだと思っています)。
第三行動方針:メレと合流する。
※大体の制限時間に気付きました。


24 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 11:00:10 ID:5z0AniO/0
【名前】剣将ブドー@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第24章(ギンガマンに敗れた)後
[現在地]:C-8森 1日目 朝
[状態]:胸と腹に中程度のダメージ。肩に銃弾による傷。1時間強戦闘不能。
[装備]:ゲキセイバー@獣拳戦隊ゲキレンジャー、一つ目のライフル銃@魔法戦隊マジレンジャー、手裏剣少々@星獣戦隊ギンガマン
[道具]:筆と短冊。サイコマッシュ@特捜戦隊デカレンジャー。予備弾装(銃弾5発、催涙弾5発)。支給品一式(ブドー&バンキュリア)。真墨の首輪。
[思考]
基本方針:戦い、勝利する。
第一行動方針:他者に殺されるぐらいならば、この場でセンを殺す。
第二行動方針:リオを倒せるほどに強くなる。
第三行動方針:優勝を目指す。
※首輪の制限に気が付きました。






25 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 11:02:34 ID:5z0AniO/0
以上、指摘、矛盾、問題点、感想などよろしくお願いします。
そして投下が遅れた事をお許しください。



26 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 11:34:29 ID:5z0AniO/0
orz
訂正します。

>>20
放送にて呼ばれた名は9名。

放送にて呼ばれた名は8名。

重ね重ね申し訳ありませんでした。

27 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 11:46:48 ID:5z0AniO/0
そしてブドーの状態表の制限のところ1時間強戦闘不能。を削除し忘れておりました。


28 :仄暗い井戸の底から ◆MGy4jd.pxY :2008/10/18(土) 12:15:03 ID:5z0AniO/0
上記の訂正箇所、その他誤字を訂正し、したらば借投下スレ>>282>>285へ再投下しました。
よろしくお願い致します。

29 :名無しより愛をこめて:2008/10/18(土) 16:06:37 ID:TT3EH6z4O
せ、切ない……
スワンさん、そしてウメコを思うセンさんに涙しました。
果たしてこの暗い底からセンさんを引き上げてくれるお巡りさんは現れるのか?
はたまたこのまま落ちてしまうのか?
撃たれてしまったリオはどうなるのか?
次の展開が楽しみになりました。GJ!です。

30 :名無しより愛をこめて:2008/10/20(月) 01:10:35 ID:B6Yy2FEl0
遅ればせながらGJ!
様々な悲しみと絶望を一気に背負ったセンちゃん。
そして、リオと合流して動くかと思いきや、襲い掛かるブドーの銃弾と、まさに仄暗い井戸の底状態。
そこから這い上げれるのか、それとも沈められてしまうのか。
センちゃんの心理描写が加わって、より次回が気になる作品でした。

31 :名無しより愛をこめて:2008/10/20(月) 03:09:15 ID:0SeGBA0HO
感想ありがとうございました。

まとめ更新お疲れ様でした。
いつもお世話になります。

32 :名無しより愛をこめて:2008/10/23(木) 19:44:46 ID:IFWghG2xO



33 : ◆i1BeVxv./w :2008/10/23(木) 22:42:30 ID:FJuo6tIq0
ただいまより投下いたします。

34 :ワシの占いは当たる ◆i1BeVxv./w :2008/10/23(木) 22:43:40 ID:FJuo6tIq0
「っーーーーーーーーーーー、戻って来ないニャーーーー!」
 イライラが頂点に達し、スモーキーは怒声を上げた。
 菜月がスモーキーたちの元を離れ、数十分。
 すぐに戻ってくると言うブクラテスの言葉に従い、今まで待っていたが、もう限界だった。
 ただでさえ、スモーキーは知り合いの多くをこの6時間で亡くしている。
「もう我慢できニャイ。早く菜月を探しに行くニャー!」
 スモーキーの呼びかけに竜也とシグナルマンは頷き、踵を返した。
「待たんか!」
 ところがひとり、彼らの行動に納得していない男がいた。ブクラテスだ。
「お主たち、当面の目的は病院を探すことじゃ、菜月を探すことではないぞ!」
「そうは言っても――」
「どの道、こんなに時間が経てば、そう簡単には見つからんわい。それにワシらから離れていったのはあの嬢ちゃんの判断じゃ。
 ワシらがとやかく言う問題でもないわ。ほっとくがよい」
 ブクラテスの言葉は理屈の上では正論。竜也もシグナルマンも、反論の言葉を失ってしまう。
「ふざけるニャーーー!」
 だが、理屈で説き伏せられるほど、今のスモーキーの心中は穏やかではなかった。
「ここで何人死んでると思ってるニャー!今すぐ探しに行かないと、手遅れになるかも知れニャいのに、そんな理由で探しに行かないニャンて馬鹿げてるニャ!」
「ふん!馬鹿げてるじゃと?馬鹿げてるのはお主の方じゃ。あの嬢ちゃんの思惑によってはワシら全員が危険に晒されることにだって、ありうるのじゃぞ?」
「っ!菜月が何か企んでいるとでも言うのかニャ!!」
 今にもブクラテスに襲い掛からんとするスモーキー。スモーキーをシグナルマンが止め、竜也がブクラテスを宥める。
 だが、一向に二人の口喧嘩は終わろうとしない。
 論理的に攻めるブクラテスに対し、スモーキーは感情の赴くまま言葉を紡いでいる。
 これでは結論など出るはずがない。
 こんなとき、仲間であるユウリがいればと、竜也はふと思った。
 統率力と決断力に優れた彼女なら、この場もあっという間に治めてしまうのだろうと。
 しかし、未来へと帰った彼女のことを思い描いても仕方ない。現在(いま)のことは現在(いま)いる誰かが何とかするしかないのだ。

35 :ワシの占いは当たる ◆i1BeVxv./w :2008/10/23(木) 22:44:52 ID:FJuo6tIq0
「二人とも落ち着いて………二人とも落ち着いて!!!」
 竜也の制止の声に、ようやく二人の口が閉じられる。そして、シグナルマンを加えた三人の瞳が竜也に集まった。
「ふぅ」
 竜也は軽く息を吐き、自分の考えを述べる。
「菜月ちゃんを探しましょう」
「竜也、そう言ってくれると信じてたニャ」
「ふん、なんたる愚考じゃ」
 スモーキーは喜び、ブクラテスは苦渋の表情をつくる。竜也の予想通りの反応だ。
「ちょっと待って。話は最後まで聞いて欲しい。菜月ちゃんは探す。だけど、病院も引き続き探す」
「どういうことだ?」
「……危険を伴いますが、二手に分かれましょう。スモーキーの言う通り、今、菜月ちゃんを探しに行かなかったら手遅れになるかも知れない。
 でも、ここで歩みを止めたら、ブクラテスさんの腕だって手遅れになるかも知れない」
「そんな奴の腕ニャンて、どうでも――」
「それだけじゃない。俺は病院を見つけたら、人質を助けに向かおうと思ってる。
 菜月ちゃんも助けたいけど、今、この瞬間にも、菜月ちゃんや人質になった人のような状況に置かれている人がいるかも知れない。
 そんな人たちを助けるためには、ここで止まっているわけにもいかないんだ。
 ブクラテスさんもそう言いたかったんですよね?」
 同意を求める竜也に、ブクラテスは気まずそうに「ふん」とだけ返す。
 竜也はその態度に苦笑した。
「探しにいけるんニャら、文句はないニャ。で、どっちが俺様と行くニャ」
「本官が行こう」
 名乗りを上げるシグナルマン。竜也も頷き、同意の意思を示す。 
「それじゃあ早速――」
「待つんじゃ!」
 だが、またも上げられるブクラテスの制止の声。
「何ニャー、この期に及んで、まだ反対する気かニャー」
「ふん、別にもう止めはせんわ。が、無駄に時間を浪費するのも何じゃからのう」
 竜也とシグナルマンの支給品については、待っている間に確認済みだ。
 ブクラテスは竜也のディパックから支給品であるタロットカードを取り出した。

36 :ワシの占いは当たる ◆i1BeVxv./w :2008/10/23(木) 22:45:48 ID:FJuo6tIq0
「ワシには特技があってな。占いじゃ」
 ブクラテスはタロットカードを左手で軽くカットすると、地面に7枚のカードを並べた。
「ふむ……お嬢ちゃんは北東に向かって進んでいると出た。おぬしたちは北東に向かうとよいぞ」
 その言葉に3人とも困惑の表情を浮かべる。
「占いなんて、当てになるのかニャー?」
「なんの当てもなく探すよりかはマシじゃろう。それにワシの占いは当たると評判じゃ」
 ニヤリと不適な笑みを浮かべるブクラテス。
 ブクラテスに占いのスキルはない。姪のイリエスの見よう見まねで、それっぽく見せただけだ。
 しかし、その結果に間違いはない。菜月の動きは首輪探知機で観察していた。
 菜月が北東を目指したのは紛れもない事実。
(折角の衛兵がいなくなっては困るからのぉ)
 ブクラテスはどこまでもしたたかだった。



 合流場所を決めた後、竜也たちと別れて、森へと向かうシグナルマンとスモーキー。
 しかし、彼らはブクラテスが指し示した方向とは逆の方向へと進んでいた。
「いいのか、ブクラテスは北東と言っていたが」
「あんな奴の言うことなんて、信用できないニャー。俺様の勘と鼻は、菜月は北西に行ったと示してるニャ」
 スモーキーの言葉に根拠はない。ただ、気に入らない奴の言うことを聞くのが癪に障っただけだ。
(菜月、待ってろニャ。きっと俺様が探し出して見せるニャ)
 スモーキーは菜月に、死んでしまった麗を重ねていたのかも知れない。
 だからこそ、麗が得意とする占いをブクラテスが使ったことが気に入らず、逆の行動を取ってしまった。
 だが、結果的にスモーキーと菜月との距離は広がることになる。

――あの馬鹿者共め――

 同時刻、ブクラテスが叫んだ言葉だった。


37 :ワシの占いは当たる ◆i1BeVxv./w :2008/10/23(木) 22:46:35 ID:FJuo6tIq0
【浅見竜也@未来戦隊タイムレンジャー】
[時間軸]:Case File 49(滝沢直人死亡後)
[現在地]:D-5 都市 1日目 朝
[状態]:健康。
[装備]:Vコマンダー
[道具]:メレの支給品一式(中身は確認済み)
[思考]
基本行動方針:仲間を探す
第一行動方針:ブクラテスを病院へ連れて行く
第二行動方針:菜月が心配。後悔。
第三行動方針:仲間を探し、ユウリとアヤセの安否を確認する
第四行動方針:菜月の仲間と理央を探す
備考:クロノチェンジャーは、ロンが取り上げました。

【名前】スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:ボウケンジャーVSスーパー戦隊後
[現在地]:C-5 森 1日目 朝
[状態]:健康。マジランプの中。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ヒカルを探す
第一行動方針:強い怒りと悲しみ。菜月を探し出す。


38 :ワシの占いは当たる ◆i1BeVxv./w :2008/10/23(木) 22:47:25 ID:FJuo6tIq0
【シグナルマン・ポリス・コバーン@激走戦隊カーレンジャー】
[時間軸]:第36話以降
[現在地]:C-5 森 1日目 朝
[状態]:健康。少し凹み気味。
[装備]:シグナイザー
[道具]:けむり玉(残数2個)、ウィングガントレット@鳥人戦隊ジェットマン、メレの釵
 マジランプ+スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー、基本支給品とディパック
[思考]
基本行動方針:ペガサスの一般市民を保護。戦っている者がいれば、出来る限り止める。
第一行動方針:強い怒りと悲しみ。菜月を探し出す。その後、竜也たちと合流。
第二行動方針:乙女(メレ)に謝りたい。
第三行動方針:黒い襲撃者(ガイ)を逮捕する。

【名前】ブクラテス@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第12章(サンバッシュ敗北)後
[現在地]:D-5 都市 1日目 朝
[状態]:右腕切断。簡単な応急処置済み。
[装備]:めがね
[道具]:首輪探知機、毒薬(効能?)、タロットカード@鳥人戦隊ジェットマン、切断された右腕、基本支給品とディパック
[思考]
基本行動方針:とにかく生き残る。
第一行動方針:竜也とシグナルマンは利用できそうだ。
第二行動方針:首輪探知機とセンのことは伏せて置く。
備考
・センと同じ着衣の者は利用できると考えています。


39 : ◆i1BeVxv./w :2008/10/23(木) 22:48:46 ID:FJuo6tIq0
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想などあれば、お願いします。

40 :名無しより愛をこめて:2008/10/24(金) 10:25:30 ID:a5MRdXya0
GJ!
熱いぜ!スモーキーと思いきや……。
だめだそっちは違うだろ!!思わず画面に突っ込んでしまいましたよ。
探知機の結果を占いで示すとは流石、どこまでもしたたかなブクラテス。

しかし、スモーキーとシグナルマンのコンビか。
面白いような、心配の種と言うか。勘違いブラザーズとでも名づけたくなるな。



41 :名無しより愛をこめて:2008/10/24(金) 10:35:23 ID:bOpOzPeD0
投下GJです。
ああ、せっかくの首輪探知機が裏目に…なんてこったい。
スモーキーのいら立ちもわかりますが、なんという不幸なすれ違い。
二手に分かれる事になった彼らがこれからどうなるのか。
今後の展開が気になります。

42 : ◆8ttRQi9eks :2008/10/24(金) 22:40:46 ID:ECE2+Lvd0
ユウリを思い出す竜也がよかったです。
こちらは延長をお願いします…申し訳ないです。

43 :sage:2008/10/24(金) 23:41:04 ID:3isMTb5OO
了解しました。

44 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 11:45:50 ID:IdSIG4u40
光を背後にしても尚、辺りを白く消し飛ばすほどの閃光と割れんばかりの爆音に真咲美希は立ち止まる。
「派手にやったようね…これで何人か減ってくれるとあり難いんだけど…」
彼女は偵察に出たまま、あの場所に戻らなかった。
その判断は結果的に正しかったことになる。
あのまま、あそこにとどまれば自分達を救出に来た者たちとネジブルーの間で
まず間違いなく行われたであろう戦いに巻き込まれていた可能性が高いからだ。
加えて爆発の余波は強化スーツを持たない自分では回避できない恐れがある。
あの爆発を見る限り、ネジブルーは立派に陽動の役目を果たしてくれたのだろう。
出来れば彼とドロップには死んでいて欲しかった。
自分の諸行を知る者が生きていては後々の禍根になりかねない。
(また…誰か探さなくちゃ……)
美希は新たな生贄を求めて足早に歩を進めた。後ろは振り返らなかった。



早朝の朝は、痛いほど蒼く澄んでいた。

灰色の煙がどこまでも高く、高く上ってゆく―
たなびく煙を追いながら瞬は墓に見立てた、いささか不恰好な岩の前で手を合わせた。
「ごめんな、纏さん…手頃な石がなくて……」

あの戦いの後、蒼太はすぐにでもこの場所を移動すべきだと主張した。
ネジブルーの呼びかけに呼応した者たちが集ってくることは予想の範疇であり、
もし仮に戦場荒らしを目論む輩が出現すれば10分の制限時間を使い切った今の自分達は格好の標的になる、
と言うのが蒼太の意見だった。
数々の戦場を駆けたスパイの彼らしい迅速な判断だった。
しかし、瞬は頑なに反対した。
纏の遺体をそのままにして置くのは忍びなかったからだ。

45 :名無しより愛をこめて:2008/10/26(日) 11:47:00 ID:9WhByfx2O



46 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 11:48:49 ID:IdSIG4u40
「…できれば火葬にしたかったけど…煙を立てるわけには行かないから……」
「わかってます。おぼろさんやドロップ君がいるのに、こんな俺の我侭に付き合ってくれただけでも感謝してます、蒼太さん」
瞬は笑顔で隣の蒼太に向き直った。
―無理して表情を作っている。
蒼太は一見して瞬の張り詰めた思いを汲み取ったが、彼に出来るのは共に墓前に手を合わせることだけだった。
「…俺、必ずここへ戻ってきます。このゲームが終わったら必ず…」
「そうだね。ちゃんとしたお墓、作ってあげなきゃね…」
「その約束、俺たちも加えさせてもらって良いかな? 二人とも」

声の方に顔を向ければ、長身の怪人―ティターンが神妙な面持ちでそこにたたずんでいる。
その背後には腕の中にドロップを抱えた日向おぼろの姿もある。
「もちろんですよ…あの人が繋いでくれたから俺はこうして皆さんと一緒にいられるんですから」
巽纏。
人を救うことに文字通り命を掛けた男。
だが、瞬は纏について何も知らない自分に今更ながら気づいていた。
共にすごした時間はほんの僅かで。交わした言葉はすれ違ってばかりで。
「カレーパン…美味かったよ…なんでも選り好みせずに食べてみるもんだな…これがあんたの言う気合で乗り切るって奴なのかな?……少し違うか…」
瞬は残された纏のディパックを背に立ち上がる。
状況は何も変わっていない。今にも首が胴から離れるかもしれない極限の空間に彼はいる。
しかし、彼は数時間前の彼とはまるで違っていた。
(行ってくるよ、纏さん。行って、全部終わらせてくる。それまで少し…待っててくれ)

「なんやあの子…始めておうた頃とは別人みたいやなぁ…」
おぼろは朝日を真っ直ぐに浴びる瞬の姿に、自分の知る若者達の姿を重ねていた。
「ドロップゥゥ……」
張り詰めていたのは瞬だけではない。ドロップは少し前からおぼろの腕の中で泥の眠りの最中だ。
無理もない。彼はまだほんの幼子なのだから。
「行こう…F-7エリアでジルフィーザが待っている」
ティターンの呼びかけに全員が力強く頷いた。


47 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 11:50:52 ID:IdSIG4u40



「あっれれぇぇ〜〜〜??? だぁ〜〜れもいないじゃん!! なんだっつーーんだよ!! 祭りは終わっちまったのかよ!」

拡声器の一件で人が集まるだろうと踏んでこのエリアに足を踏み入れたはいいが、既に爆心地と思しき場所はもぬけの殻。
あわよくば混乱に乗じて他人の至急品を分捕ってやろうと軽い気持ちでやってきたガイにとってこの結果はひどく不満なものだった。
こんなことなら寄り道などせずに当初の予定通りJ−10エリアを目指した方が良かった。
「あ〜〜あぁ〜〜…興ざめだぜぇ…聞くところによればボウケンジャーも一人減ったみてぇだしよ。ちゃんと俺の分は残るんだろうなぁ…高丘の名前はなかったようだけどよぉ―…」
無駄足を踏んだことへの不平不満をつらつらと人目もはばからず吐き出すガイの口調が途切れる。
―ガイは運命の悪戯に深く感謝した。
「――なぁ〜んだ……ちゃあ〜〜んと残ってたじゃん! 俺の分!!」
眼前にはピンクのアクセルスーツを身に纏った一人の女性戦士―ボウケンピンクが立ち尽くしていた。
「あなたは、ガイ! そんな…本当に生きて……!?」
確かにクエスターは自分達の手で倒したはずなのに。
ガイの口角が見る見るうちに上がっていく。方角的に見て、彼女は放送を聞いて禁止エリアから逃れてきたのだろう。しかし、そんなことはガイにとってどうでもいいことだった。
「ハロォ〜〜、ボウケンピンクぅ!! 最初の生贄はお前だよぉぉ〜〜ん♪」




物の弾みとはいえ、厄介な人物と行動を共にせねばならなくなった事にフラビージョは憂鬱な気分に沈んでいた。
「メガブルゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!」
先ほどからずっとあの調子だ。


48 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 11:53:41 ID:IdSIG4u40
あれではここに自分がいると吹聴して回っているようなもの。
いや、既に彼はそうして今度の事件を引き起こしたのだ。
「ねぇ? それ、どーーしても叫ばなきゃなんないのぉ?
よくよく見れば、彼もハリケンブルーやボウケンブルーと同じ青を纏う戦士だ。
それだけでも憂鬱なのに、意思の疎通も出来ない相手と行動を共にするのはあまり気乗りがしない。
「ねぇ、あんた自分の今の状況わかってんの?」
既に自分達はリミッターを越えた制限の中。
本来なら、爆心地にとって返して恨みあるボウケンブルーたちを一掃したいところだが、今の彼女は空も飛べなければ忍術も使えない。
それは当然、ネジブルーも同じはずなのだが―…
「メメェェェェェェェェガアアアアァァァァァァァァァブゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウルゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!」
フラビージョの問いかけも聞こえていないのか、ネジブルーは陶酔の境地にあった。
彼は歓喜に打ち震えていた。刃を交えたのはほんの僅かな時間。
だが、それだけで彼には今のメガブルー並樹瞬が手に取れた。
メガブルーはこの戦いで成長している。
かつて“自分を滅ぼしたメガブルー”とは差異があるのだが、彼にとって重要なのはそこではない。
ネジレンジャーは皆、個性の差異はあれど全員がある種の渇きを常に抱えている。
同じ色の裏返しの自分を征し、自らが唯一無二の存在となる。
ネジブルーの場合、障害が大きければ大きいほど、その渇きを満たす瞬間の高揚は一層際立つものとなる。
瞬の成長と比例してネジブルーもまた自らの闘争心を高めていった。
−まるで双子の兄弟が競い合うように。
だが、傍らのフラビージョにしてみればそんなネジブルーの高揚ははた迷惑以外のなにものでもない。
そうだ。彼は先ほどの戦いで考えなしに力を振るい、今や制限の真っ只中。


49 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 11:56:34 ID:IdSIG4u40
しかもあつらえた様に二人きりのこの状況。とすればフラビージョがとるべき行動は唯一つ。
支給品の黄金の剣の塚を握る手に力が篭る。この剣の力は先の戦いで実証済みだ。
フラビージョは両手で剣を大きく掲げると、上段の構えから剣を勢いよく振り下ろした―
次の瞬間。閃光が、爆ぜた。
朝日が照らす昼の世界をも白い闇に包む破滅の一撃が地面を、大気を、大きく振るわせた。
古代レムリアの幻獣すら一刀のもとに切り捨てるほどの巨大な衝撃波がネジブルーめがけて放たれる。全くの無防備なネジブルーはそれを避ける暇などない。

「あんたみたいなのと一緒にいるとこっちまで迷惑なんだよねぇ…もう、仲良しはお終い☆
あんたはここであたしに殺されるの! 悪く思わないでよねぇ――……」





さくらはすぐに自分とガイの間に時系列の隔たりがあることに気づいた。
ガイはあの時、確かに死んだ。高丘映士ことボウケンシルバーにその身を切り裂かれて―
自分の目の前にいるこのクエスターガイは、過去の時間から連れてこられた存在だ。
恭介やグレイとの邂逅で得た情報からもその仮説は恐らく間違いないだろう。
だが―予期せぬ戦闘で疲弊した自分が、何やら手負いだとは言えガイに単独で勝てるとは思えない。
(ここは逃げるべきでしょうか…)
無駄な戦闘は避ける。
残り時間もあとわずかだ。さくらは早々に戦闘を切り上げる算段を固める。
専用のボウケンアームズ<ハイドロシューター>の引き金を強く引く。
「シューターハリケーン!!」
水を圧縮し、散弾銃のように目標を粉砕する―最も、破壊は期待していない。
その場から逃げ去るだけの目晦ましになれば十分だ。
だが、ガイがとった行動は予想外なものだった。
「うざったいんだよぉ!!」


50 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 11:58:15 ID:IdSIG4u40
ガイはやにわにクエイクハンマーを取り出し空気の壁で攻撃を押しつぶす。
―水の攻撃はもう、懲り懲りだった。既にその手の攻撃に有効な防御手段は確保してある。
「そんな…!」
記憶の中のガイはそんな攻撃方法を持ってはいなかったはずだった。
「お前の攻撃なんざ屁でもないぜ、ボウケンピンク。妙な術を使うねーちゃんの方がよっぽど骨があったぜぇ〜〜!!」
こいつは、既に人を殺している。
さくらはガイの立ち振る舞いからその事実を読み取った。この空間で経験をつんだことが過去のガイに力を与えているのだ。
戦慄するさくらを更なる悲劇が襲った。
「!?」
ガイの戦闘意欲の高揚を反映して体内のゴードムエンジンがフル稼働を始める。
途端に呼応するようにアクセルスーツのあちこちから火花が上がり、システムがダウンを始めた。
「そんな…!? 制限時間はまだ…!」
しかし、それは制限時間ではなくゴードムエンジンの干渉によるパラレルエンジンのパワー供給が遮断されているために起こった異常だ。
「おんやぁ〜〜?」
ガイは飛びかかろうとした矢先の出来事に首を捻っている。
「パラレルエンジンは既にネオパラレルエンジンへの換装が行われたはず! それなのに…まさか!?」
―さくらの脳裏にアクセルテクターからサラマンダーの鱗が抜き取られていたことがよぎる。
「いい格好だなぁ〜ボウケンピンク! なんだかしらねぇが…無様だぜぇ、お・ま・え」
スーツが鉛の様に重たい。強化スーツは本来の意義を失い、今はただ自由を縛る拘束具に等しい。
既に立っていることすら出来ず、両膝を地面へついたボウケンピンクにガイは容赦ない足蹴りを加えた。
ボウケンピンクは抵抗することも出来ずに地面へ手足を投げ出し、仰向けに倒れた。
鼻歌交じりにガイはクエイクハンマーを両腕で高々と掲げた。
「これでボウケンピンクもジ・エンドだな! さぁ〜いこうだぜぇ〜〜!!」
何度も、何度もクエイクハンマーを仰向けのボウケンピンク目掛けて振り下ろす。
「うああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
巨大な衝撃が走る度、さくらの絶叫が辺りに轟いた―


51 :名無しより愛をこめて:2008/10/26(日) 12:00:07 ID:9WhByfx2O
支援

52 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:01:08 ID:IdSIG4u40
装着者の肉体をあらゆる事象から防護する―強化服がこの場合仇となった。
衝撃を緩和することでさくらの身体には骨折も裂傷もない。
代償に、彼女は気絶することも絶命することも出来ないまま嬲りものになった。
限界値を越えた衝撃を吸収しきれず各部がショートし、白煙が上がる。
「そぉ〜ら! もう一発!!」
ガイは一際大きく両腕を天高く振り上げると力任せに槌を振り下ろした。
「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
光の粒子と共にスーツが弾け飛び、ボウケンピンクは西堀さくらへとその姿を還元する。
苦悶の表情で悶えるさくらはスーツの飛散が衝撃との対消滅となり、致命傷を免れたものの
生身の身体ではどうすることもできない。
(チーフ…すみません……菜月…約束…守れそうもありません……)
―約束。
こんなところで死ぬわけには行かない。自分は大切な約束を守らなければならないのに。

菜月との約束。

チーフとの約束。


しかし――…それ以上に大切な約束があったはず――-―


大事な、大事な、とても大事な約束が―――――…


53 :名無しより愛をこめて:2008/10/26(日) 12:01:37 ID:9WhByfx2O



54 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:01:59 ID:IdSIG4u40




「なにそれ……あんた一体…―何者なのよ……」
戦慄。
仮にも暗黒七本槍の一柱を担う自分には似つかわしくないその感情にフラビージョの精神は支配されていた。
先ほどまでネジブルーだったはずの存在は禍々しい姿へ変貌を遂げていた。
鋭い爪。両肩から突き出した結晶体。
耳まで避けた真っ赤な顎【あぎと】からは鋸の様な牙が覗いている。
「これじゃまるで…まるで……」
恐怖に唇が震えた。一つの言葉が脳裏に浮かぶ。
「怪物じゃない…!」
「おやおや…寒いのかい? 震えているよ?? 無理ないよねぇ…僕は氷をイメージして作られたようだから…でも、安心して…すぐになんにもわかんなくなるよ…なぁぁ〜〜〜んにもね……―」
容姿と異なり、ネジブルーの声は変わっていない。それが余計に不気味だった。
「嘘よ…あたしが見てんのはあんたの無様に飛び散った死体のはずなのに…なのになんで…!?」
既に決着はついているはずなのだ。
ネジブルーは既に10分の制限の中にあるはず。
黄金の剣の一撃は確かにネジブルーの頭を切り裂き、粉砕したはずだ。
そのはず、だったのだ。
「ふぅ〜〜ん…バラバラに飛び散りたいのかぁ…派手好きなんだねぇ……いいよぉ〜…君のお願い聞いてあげる……君は僕を解き放ってくれた人だから」
フラビージョは決して開けてはならないパンドラの箱を開けてしまったのだ。

ネジレジアを統べる高次のエネルギー生命体ジャビウスT世。
その細胞から天才Dr.ヒネラーによって創造されたのがメガレンジャーの影ネジレンジャー

55 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:04:10 ID:IdSIG4u40
彼らは一様にヒネラーこと鮫島博士の歪んだ心のままに、その醜い容姿を鎧に包んでいる。
特筆すべきは彼らが装着されるスーツではなく、装着者そのものを強化すると言う理論体系で生み出されている点だ。
このゲームでは確かに参加者の力の発揮に10分と言う制限が設けられてはいる。
しかし、それは固有の武装や変身能力に限ったことだ。
クエスターガイの生来備わったアシュとしての悪魔の身体能力は失われることがなかったのと同様に、ネジブルーもまたその真の姿を晒すことは能力の発揮外の事象として扱われる。

かつての彼らの行動には制限が存在していた。
力の源であるジャビウスとヒネラーの間で密かに行われていた駆け引きの按配により、彼らの戦闘は半ば強制的に引き上げられていてしまっていたのだ。
だが、今はもう違う。
ヒネラーという枷をなくなった彼は檻から放たれた獣そのものだ。
ネジブルー、いやネジビザールは自らを解き放った馬鹿な小娘に向けて満面の笑みを返した。




「そろそろおネンネしなちゃいっ☆ ボウケンピンクぅ♪」
小銃グレイブラスターの照準をさくらの頭部に合わせ、ガイは引き金に指を掛ける。
万事休すだった。
傍らに転がったアクセルラーは黒煙を上げている。
恐らく、負荷に耐え切れず損壊してしまったのだろう。―もうボウケンピンクにはなれない。
ガイに生殺与奪を握られ、完膚なきまでに敗北したさくらに残された手段はただ一つしかなかった。
まずは一匹。湧き上がる歓喜の衝動を必死で抑えながらガイは引き金を引く指に力を込める。
「…さないで……く…だ…さい…――…」


56 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:05:40 ID:IdSIG4u40
消え入るような声に引き金を引く指が止まる。
「あぁん?」
首を傾げるガイの目に信じられない光景が飛び込んできた。

「…殺さ…ないで……ください…お願い…します…――…」

さくらは命乞いをしていた。
「――――!!」
憎むべきネガティブであり、仲間の仇敵であるクエスターに。
「私の完全な負けです…あなたにはもう、逆らいません…どんなことでも言うことを聞きます…ですから…命だけは助けて下さい!」
しばし呆気に取られていたガイは我に返ると、声を荒げた。
「なっ…何、言ってんだてめぇ!!!」
あまりの自体にむしろガイの方が動揺していた。思わず銃を持つ手が激昂に震える。
「お願いします。死にたくはないんです。命以外なら、支給品も食料も全てお渡しします…ですから…どうか! どうか!!…どうか命だけは取らないでください!!…お願いします!!!!」
ボウケンジャーのサブチーフという肩書きをかなぐり捨て、さくらは地面へ這いつくばった。
地面に平伏し、額を土に擦り付けて支給品が納まったディパックを、まるで神への供物が如く恭しく両手で捧げた。
「ふざけんなっ!! プライドないのか、てめぇはッッ!!!!!!」
ガイは嬲られた思いだった。こんな奴にヒョウガは殺されたと言うのか。
少なくとも、彼の宿敵であるアシュの監視者高丘の一族は例え絶命の瞬間でもこんな醜態は晒さない。あの高丘映士ならば間違いなく死を選ぶだろう。
「お願いします! どうか、命だけは――!!」
さくらは必死で叫び続けた。ここで死ぬわけには行かない。
…―こんなありきたりで、地味な死に様を晒すわけにはいかない―…
さくらは組織の命令に絶対服従だ。
それは特殊部隊時代からの刷り込みによるもので、ボウケンジャーとなった今も変わらない。
今の異常な状況下もさくらにとっては“ミッションを忠実に遂行しているだけ”なのだ。


57 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:07:01 ID:IdSIG4u40
いつの間にか、命令する頭がすげ変わっていることに今のさくらは気づかない。

「舐めろ」

動揺から一転、ガイは抑えた声色で一言だけ呟いた。
その意味するところに考えが至るや、さくらの行動は素早かった。
掲げていたディパックを地面へ下ろすと即座にガイの足元にうずくまり、その足を両手で包むとその端正な顔を近づけていった。
「――――――…」
ガイの足についた泥を舌で懸命に丁寧に舐め取り、上目遣いに瞳を潤ませ必死に訴えかける。
そんなさくらの姿をガイはその黄金の瞳で冷ややかに見つめていた。
ややあって。ガイは徐にグレイブラスターを取り出し、躊躇わずに引き金を―――引いた。
パン。パン。パン。
乾いた音が朝の静寂を劈いて響いた。
弾は全てさくらの傍らに置かれたディパックを貫いていた。硝煙がゆっくりと立ち上っていく。
「失せろ」
ガイは先程と同じ、感情を読ませない低い声で言った。
もう、沢山だった。こんな無様な醜態が見たかったわけじゃない。
「助けて…下さるんですか……?」
さくらはガイの意思を汲み取れず、聞き返した。
「失せろっていってんだよ!! 何度も言わせんじゃねぇっっっ!!!!」
耐え切れず、ガイは地面へ向けて引き金を引く。
制限の中にないことが幸いだった。さくらに言い放った言葉とは裏腹にガイは
アシュの術で空間転移し、その場から逃げるように立ち去った。
最悪の気分だった。ほんの数分の戦いが、ガイの中から戦いへの高揚感を奪い去ってしまっていた。

「…ありがとうございます…ありがとう…ございます……」

見逃して頂いた。命が助かった。
安堵の気持ちとは裏腹にさくらの瞳からは涙が止まらなかった。
―自分が自分でなくなってしまった。
とめどなく流れる涙を流したまま、さくらはその場に仰向けに倒れた。


58 :名無しより愛をこめて:2008/10/26(日) 12:08:23 ID:9WhByfx2O
支援

59 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:10:32 ID:IdSIG4u40



変貌したネジブルー、いやネジビザールがゆっくりとこちらへ近づいてくる。
「どうしたんだい…すぐに終わるさ…君が抵抗しなければねぇ〜〜〜…」
落ち着くんだ。
剣が持つ手が震えるのをフラビージョは必死で堪えた。
相手が幾ら化け物でも今は制限の中。
特異な能力の全ては封殺されている。ゆえに彼が取れる攻撃手段は直接近づいてその鋭利な牙や爪で引き裂くと言う原始的な手段に限定される。
ならば、同じ制限下にあっても武器を持つ自分の方が有利なはず。
無論、身体能力は向こうの方が上だろうが、捕まらなければどうと言うことはない。
柄を握る手に力が篭る。
やれる−。自分はこんなところでは死なない。
「おりゃぁあ!!」
気合を込めたわりにいまいち緊張感のない声はいつもどおりだが、その声は僅かに上ずっていた。
剣の一撃が直にネジビザール型を袈裟懸けに切り裂いた−はずだった。
「え…なんで……??」
刃はネジビザールの身体を滑るように太刀筋が狂う。
「なんで! なんで!?」
二の太刀は首を掠め、三の太刀は胸を掠めた。
「あれれぇぇ? どうしたんだい?? さっきの痛いやつはもうしてこないのかい!?」
フラビージョは知らなかったが、古代レムリアの聖剣ズバーンは人間の想いの力をトリガーに
力を発動する。ゆえに、本来ならば邪な気持ちを抱いた者が扱える代物ではないのだ。
「どうして!! どうして斬れないのよぉぉっっ!!!」
狂乱するフラビージョが必死で剣を振り回せば振り回すほど、剣に埋め込まれたエメラルドグリーンの宝石は輝きを失い、黒ずんでいく。
今まではフラビージョが持つ暗黒七本槍の力で無理やりズバーンの力を歪めて引き出していたに過ぎないのだ。
その残り香ともいうべき力を、先程の一撃で消費したズバーンは既に深く沈黙していた。
「なんでなのよぉ!!!! なんで! なんで! なんで!!なんでぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」


60 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:12:25 ID:IdSIG4u40
最後には癇癪を起こした子供のように剣をネジビザールへ投げつけた。
「くれるのかい? でも…いらないよぉ…こんな鈍ら刀…」
ネジビザールは怪訝な目つきで受け止めたズバーンをみやると、ぽいっと背後へ捨ててしまった。
地面に突き刺さったまま、ズバーンは動かない。
「いや…いや…!…来ないでよぉっっ!!!」

必ず、生き延びてボウケンブルーも、おぼろも、ハリケンジャーもみんな殺す。
楽しそうだから戦いに乗った。
宇宙忍郡ジャカンジャに参加したのも楽しそうだったから。
現に、地球を腐らせるという背徳的な行為にフラビージョは無邪気な喜びを見出していた。

早く、こいつを殺して――また楽しむんだ……人々が、敵が苦しむ姿を――――…


「終わりだよ…君はここで死ぬんだ…さよなら、僕を解き放ってくれた人…」



混濁の意識が急速に光を取り戻していく。
その先にあったのは柔らかな女性の笑顔だった。
「あなたは…?」
まだ、かすかにけだるさの残る口調でさくらは目の前の女性に問いかけた。
「私は真咲美希。スクラッチ日本支社の責任者よ。でもって獣拳使い…今は引退してお母さんしてるけどね」
そういって微笑んだ顔は、今のさくらが失ってしまった最高の笑顔だった。
「真咲美希…人質にされていたんじゃ…?」
「えぇ…わたしはネジブルーってやつに人質にされて、そこから逃げてきたの。さっきの爆発聞いたでしょ? 間一髪だったわ。そうしたら、こんなところに人が倒れていたから。驚いたわ」
さくらは消え入りたいような恥ずかしさを感じた。
本来なら、自分が彼女を救うはずであったのに。これでは逆ではないか。
「お水、飲む? 喉渇いたでしょ」
そういって、自らのディパックを漁る美希をさくらはあわてて押し留めた。



61 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:14:18 ID:IdSIG4u40
「待ってください! 助けていただいたのに、貴重な水まで譲っていただくわけには!」
「でも…あなたのは…」
そういって美希が指し示した先を視線の先には、銃創が走る無残なさくらのディパックが転がっていた。
「何があったか知らないけど、あなたの支給品はもう駄目ね。悪いとは思ったけど、調べさせてもらったわ」
そう言って、美希はさくらのアクセルラーを取り出した。
「これもあなたのでしょ? もう、壊れてしまっているようだけど…」

さくらは美希を知らなかったが、美希はさくらを知っていた。
世界に名だたる西堀財閥の令嬢にして、元自衛隊特殊部隊の射撃オリンピック候補。
そして、ボウケンジャーのサブチーフ。
同じキャリアウーマンとして美希には、さくらに通ずるものがあったのは確かだ。
しかし、先程の無様な醜態は彼女を深く失望させた。
ボウケンジャーやゲキレンジャーの面々から伝え聞いていたさくらの印象とは180度異なる醜聞。
今の自分は決して正しい白の中にいるとは言えないが、彼女の様に自分の命惜しさにやっていることではない。
娘を、なつめを守る。その為にこそ生き残る。
美希の行動は全てそこに集約されている。
――あなたはいつだって、明石暁のお荷物よ…西堀さくら――
あの時も、彼女は宇宙拳法使いパチャカマック12世に憑依され、結果的にではあるが地球を危機に追い込んだ。
そして、今もまたガイに敗れ、あろうことか命乞いをして生き延びた−
「あなた…SGSの人でしょ? だったら明石暁の関係者よね?」
「…はい。私達はプレシャス保護を目的として創設されたチームなんです……」
美希から渡されたアクセルラーを受け取り、さくらは応えた。
「そう…心配よね、彼……」
「はい……」
美希がさくらを助けたのは幾つか理由があった。
一つは、彼女がロンにとって最大の障壁であろう明石暁の関係者であったこと。
そして、さくらこそ美希が捜し求めていた愚者であろう確信を持ったからだ。
−惨めで最高に無様な死に様をあなたに−
「大丈夫。私がついてるわ…一緒に行動しましょう? 丁度、人からはぐれて心細かったの。


62 :名無しより愛をこめて:2008/10/26(日) 12:14:42 ID:9WhByfx2O



63 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:15:33 ID:IdSIG4u40
あなたが一緒なら心強いわ」
美希は心底の思いをおくびにも出さず、笑顔でさくらに同行を申し出た。



<SIGN>

青かったはずの身体は鮮血に染まっていた。
かつてフラビージョであった肉片がそこら中に散らばっている。
最早、原形をとどめないその死肉を貪りながらネジビザールは自らを照らす日差しに手をかざした。

「美味しい、美味しい朝ごはんご馳走様。とてもお腹一杯だよ…爽やかな朝だねぇ…―」

一つの死が一つの命を成長させ、新たな悲劇を巻き起こしていく−…
惨劇の果てに何が待つかは、誰も知らない。


64 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:16:29 ID:IdSIG4u40
【フラビージョ 死亡】
残り32人



【最上蒼太@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.3、後
[現在地]:F-5都市 1日目 朝
[状態]:良好。2時間ボウケンブルーに変身できません。
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー、バリサンダー@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:ヒュプノピアス@未来戦隊タイムレンジャー、スタッグブレイカー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:おぼろと共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:おぼろを守る。ジルフィーザと合流する。
※首輪の制限に気が付きました。

【日向おぼろ@忍風戦隊ハリケンジャー】
[時間軸]:巻之三十、後
[現在地]:F-5都市 1日目 朝
[状態]:全身に軽い火傷、打撲。応急処置済み
[装備]:イカヅチ丸@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:蒼太と共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:首輪を何とかする。ジルフィーザと合流する。
※首輪の制限に気が付きました。



65 :名無しより愛をこめて:2008/10/26(日) 12:17:44 ID:QDTdMSuC0



66 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:21:08 ID:IdSIG4u40
名前】並樹瞬@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第2話後
[現在地]:F-5都市 1日目 朝
[状態]:全身打撲火傷、応急処置済。2時間メガブルーに変身できません。
[装備]:デジタイザー。
[道具]:支給品一式(個別支給品は確認済)纏のデイバック
[思考]
基本行動方針:元の世界に戻って夢を叶える前にこのゲームを終わらせる。
第一行動方針:纏の死に深い悲しみと強い決意。確実に成長。ジルフィーザと合流。
備考:瞬はマトイから、×ドロップ、△冥王ジルフィーザ、○浅見竜也、○シオン、○ドモンの情報を得ました。
 変身制限があることを知りました。

【名前】冥府神ティターン@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage46(ン・マの依り代にされた)後
[現在地]:F-5都市 1日目 朝
[状態]:全身打撲。火傷。2時間能力発揮できません。
[装備]:ウラノスとガイアの怒り、黒装束(虹の反物@轟轟戦隊ボウケンジャー)
[道具]:マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:命を守る
第一行動方針:ジルフィーザと合流する。
第二行動方針:スフィンクスを捜す。
備考:ティターンは虹の反物の特別な能力に気付いていません。首輪の制限があることに気が付きました。
   :纏からタイムレンジャー、サイマの情報を得ました。



67 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 12:22:42 ID:IdSIG4u40
【名前】マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:不明
[現在地]:F-5都市 1日目 朝
[状態]:銃弾によりかなり破損しています。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:???
第一行動方針:ティターンと行動する。
第二行動方針:知り合いを探す。

【名前】ドロップ@救急戦隊ゴーゴーファイブ
[時間軸]:26話、サラマンデス覚醒前
[現在地]:F-5都市 1日目 朝
[状態]:健康。熟睡中。
[装備]:不明
[道具]:メメの鏡の破片、
[思考]
第一行動方針:不明

【名前】ネジブルー@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:41話(ネジビザールとして敗れた後)
[現在地]:F-5都市 1日目 朝
[状態]:全身に打撲、傷有り。2時間能力発揮出来ません。ネジビザールの本性を現しました。
[装備]:ネジトマホーク
[道具]:ソニックメガホン@忍風戦隊ハリケンジャー、闇のヤイバの忍者刀@轟轟戦隊ボウケンジャー(マシンハスキーの鍵は美希が持っています)
[道具]:支給品一式×2、詳細付名簿、スフィンクスの首輪、拡声器。
[思考]
第一行動方針:メガブルーを殺す。 邪魔なヤツも殺す。一人殺しました。
※ズバーンとフラビージョの支給品はF-5都市に放置しています。


68 :名無しより愛をこめて:2008/10/26(日) 12:23:42 ID:9WhByfx2O
支援

69 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 13:02:46 ID:IdSIG4u40
【クエスター・ガイ@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.23以降
[現在地]:G−6都市 1日目 早朝
[状態]:全身に裂傷。かなりの重症のため時間制限に関わらず戦闘不能。要回復アイテム。
気分は最悪。興を削がれています。二時間の制限中。
[装備]:グレイブラスター@轟轟戦隊ボウケンジャー
[道具]:クエイクハンマー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式(ペットボトル1/2本消費)、 天空の花@魔法戦隊マジレンジャー
 マージフォン@魔法戦隊マジレンジャー、操獣刀@獣拳戦隊ゲキレンジャー、何かの鍵、麗の支給品一式
 魔人マグダスの杖@星獣戦隊ギンガマン、3枚のメモ(杖の説明書、アイテムの隠し場所×2)、竜也の支給品一式(ペットボトル2本消費)
[思考]
基本行動方針:ロンやボウケンジャーを倒すついでにゲームに乗る
第一行動方針:使えそうな道具を作る。
第二行動方針:アイテムの確保。天空の花を持って、J−10エリア『叫びの塔』へ
第三行動方針:気に入らない奴を殺す。一人殺しました。

【名前】西堀さくら@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:G−6都市 1日目 朝
[状態]:健康 (ただし、ロンによる洗脳を受けており、いつでも傀儡になる危険性あり) 。
[装備]:アクセルラー(損壊、要修理)、スコープショット
[道具]:なし。一切を失いました。
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ここから脱出する。
第一行動方針:チーフ(明石暁)と合流する。
第二行動方針:美希と行動を共にする。
※)裏行動方針:ロンの言われるままにいいように操られ、見苦しく惨めな死に様を晒す。
 ただし、本人にその自覚はなく洗脳行動も全て自分の意思であると思い込む。



70 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/10/26(日) 13:04:56 ID:IdSIG4u40
名前】真咲美希@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:物語中盤
[現在地]:G−6都市 1日目 朝
[状態]:健康
[装備]:マシンハスキー@特捜戦隊デカレンジャー(鍵のみ、タワーの損壊で壊れている可能性があります。ネジブルーの物とすり替えました)
[道具]:支給品一式
[思考]
基本方針:なつめを救うために勝ち残る 。
第一行動方針:利用できる者は利用する、そうでない者は殺す。
第二行動方針:上記の遂行のために西堀さくらを利用する。




以上代理投下終了。

71 :名無しより愛をこめて:2008/10/26(日) 13:14:34 ID:IdSIG4u40
哀れ、フラビ!
だがフラビ以上に哀れにみえるのはさくらだ。
そして相変わらず怖いな〜ネジブルー。
だけど『ネジビザール=死亡フラグ!?』と思ったのは俺だけじゃないはずw


指摘として。美希は前話でドロップと共に救出され瞬たちと合流しているようです。
もう一点は質問ですが。
ネジブルーの捕食にはかなり驚きました。
原作等で何かそういった設定があったのでしょうか?

72 :名無しより愛をこめて:2008/10/26(日) 13:36:04 ID:EOS2S9Hc0
美希については救出される前に逃亡、の方が正しいですね。
後で修正します。
また、ネジブルーの捕食行動はノリですw やつが普通に朝ごはん取るとは思えないので。
不快でしたら美希の部分と合わせて差し替えます。

73 :名無しより愛をこめて:2008/10/26(日) 14:43:46 ID:9WhByfx2O
投下&代理投下GJです。
さくら姐さん、堕ちるとこまで堕ちたな…
誇りも強さも使命感も逆にロンに利用されているのが哀しいです。

美希に関しては、前作でドロップと共にいる事が利用価値があると思っているようなので、
一緒にいる方が自然かな?とは思いました。

74 : ◆8ttRQi9eks :2008/10/26(日) 23:19:37 ID:EOS2S9Hc0
したらばに修正版を掲載しました。
皆さん、ご指摘ありがとうございました。
他にご感想&ご指摘ありましたらよろしくお願いします。

75 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 10:32:41 ID:J7GtiPHU0
重箱の隅で恐縮ですが、ガイが重症にも関わらず戦闘に積極的なのが気になりました。


76 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 11:08:36 ID:3qe+MO8p0
出会ったら戦うんじゃね?
基本、ボウケンジャー殺したい人だし。

77 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 12:53:52 ID:J7GtiPHU0
vs蒼太やvsメレを見る限り、戦いたいけど戦えないようだったから。

78 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 13:04:47 ID:YZrwegnrO
状況が不利なら、戦略的撤退もできる奴だからねぇ。
しゃべり方のせいでそうは見えないかもだけど。

79 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 17:01:18 ID:eRYGj2nx0
前作を読む限り、騒動に乗じて何か事を起こそうとはしてるんですよね。
ただガイの性格的に有利に戦えない状況で戦うタイプとは思えないので、そこが不自然と言えば不自然かな?
火事場泥棒とか不意打ちならやりそうですが。

後は、戦闘不能状態でもゴードムエンジンが稼動できるかどうかが若干疑問ではあります。

早いうちに指摘できなくて申し訳ありません。

80 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 19:39:20 ID:3qe+MO8p0
SS廃棄してもらったほうがいいかな?
個人的には制限下にないなら戦うようにも見えるけど。


81 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 19:49:48 ID:YZrwegnrO
っと、ちょっとたんま。

このままバラバラに意見を出しても◆8ttRQi9eks氏も行動を取りづらいでしょうし、議論スレに場所移しませんか?

82 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 20:15:57 ID:TnPCKqZYO
議論も無く破棄は行き過ぎでは?
続きは議論スレでよろしくお願いします。

83 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 20:18:36 ID:3qe+MO8p0
でも流れ的に指摘受けたら修正するか廃棄の二択だしな。今回は話の根幹部分だし。
指摘受けて訂正して、また突っ込みうけて訂正して…って地獄の行脚だよ?
これ以降は議論スレで。


84 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 20:27:17 ID:+rpjSIH70
ネジブルー(ネジビザール)の一人称って「俺」じゃなかったっけ?

85 :名無しより愛をこめて:2008/10/27(月) 21:02:35 ID:TnPCKqZYO
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/10886/

続きは議論スレにてお願いできませんでしょうか?


86 :名無しより愛をこめて:2008/10/28(火) 01:47:27 ID:5lOlat5B0
遅ればせながら、感想を。
さくらとガイ、ネジブルーとフラビの対比が見事でした。
特にさくらが足を舐める悲惨さとフラビの無邪気さゆえの自滅っぷりがよかったです。


87 :名無しより愛をこめて:2008/10/28(火) 23:18:49 ID:byGX3p1rO
議論スレにて作者氏より指摘箇所を修正の上再投下との返答がありました。

以上報告まで。

88 :名無しより愛をこめて:2008/10/29(水) 14:41:05 ID:j+uVXtqZ0
板違いです
バトルロワイヤル・二次創作は以下の板でどうぞ
見苦しい叩きあいも以下の板でお願いします
下記の板にはバトルロワイヤルスレッドが多数ありますので早急に移転してください
http://namidame.2ch.net/mitemite/

89 :名無しより愛をこめて:2008/10/29(水) 15:36:57 ID:Ng0Ppp99O
ご意見のある方は議論スレまでどうぞ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/otaku/10886/1209981208/

90 : ◆8ttRQi9eks :2008/10/30(木) 00:08:51 ID:4XR9ZLoJ0
修正版をアップしました。
たびたびの修正申し訳ないです。

91 :名無しより愛をこめて:2008/10/30(木) 16:37:47 ID:b9+ftLUp0
志村ー!タイトル、タイトル。

92 :名無しより愛をこめて:2008/10/30(木) 17:42:01 ID:bUevqWLs0
遅くなりましたが、読了です。
修正版投下お疲れ様でした。
自分は問題ないと思います。
亡国の炎との対比の効いた良作でした。GJです!

それにしてもさくら姐さん、言い過ぎだw



93 : ◆8ttRQi9eks :2008/10/31(金) 21:35:02 ID:GMv5l3d30
ありがとうございます。
タイトルは「堕落」で。
それと申し訳ないのですが、さくらの支給品からスコープショットも外して下さい。
消し忘れました。

94 :名無しより愛をこめて:2008/10/31(金) 23:18:52 ID:6+ceuHVk0
さくら姐さんが可哀想過ぎて興奮する

95 : ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 02:54:34 ID:Ikf0SyM30
ただいまより投下いたします。

96 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 02:55:59 ID:Ikf0SyM30
「某、拙者の邪魔をするつもりか」
「そういう命令だから仕方ないネ」
 深い森の中、対峙する二人の怪人。
「拙者は剣将ブドー。一応、名を聞いておこう」
 一人は宇宙海賊バルバンの魔人。まるで日本の時代劇に出てきそうな武士の風貌をした男――剣将ブドー。
「幻獣バジリスク拳のサンヨ」
 一人は幻獣バジリスク拳使い。こちらは中国戦国時代の武将のような甲冑を身に纏った大男――四幻将サンヨ。
 互いに将の名を頂く二人は敵意をむき出しにし、相手の出方を窺っていた。
「いくヨ!」
 先に動いたのはサンヨだった。左掌に幻気の塊を作り出し、それを投げつける。
 ブドー目掛け、一直線に飛ぶ、幻気の塊。
「甘い」
 身体を反らし、あっさりと避けるブドー。しかし、サンヨも一発で終わるとは思っていない。
 質より量。下手な鉄砲数撃ちゃ当たると言わんばかりに、二発目、三発目を次々と撃ち出していく。
 だが、一発たりともブドーに命中することはなかった。
 ディパックからゲキセイバーを取り出したブドーは、ゲキセイバーを構えると、空中へと飛び上がる。
 逞しき匠の技を托す薬によって、手に入れたゲキワザ――ゲキセイバー翔翔斬。
 ブドーは滑空し、サンヨの懐へと飛び込むと、ゲキセイバーを振るった。
「てぇい!てぇい!てぇーい!」
「ぐぅ、げっ、痛い、痛いヨ」
 苦痛のあまり悲鳴を上げるサンヨ。しかし、それで攻撃の手を緩めるほど、ブドーはお人好しではない。
 むしろ、その攻撃は激しさを増し、サンヨの身体をバラバラにする勢いで切り刻んでいく。
「ゲンギ・大重鈍化!」
 苦し紛れにサンヨはゲンギを放つ。
 ゲンギ・大重鈍化――重力を操り、敵を何十倍もの重さにする技だ。
 ブドーに襲い掛かる不可視の攻撃。
「っ!」
 だが、それすらもブドーには通じなかった。
 第六感の赴くままに、攻撃の手を止め、身をかわす。
 刹那、地面に大きな凹みが生まれる。そして、その凹みはブドーの草履の先で止まっていた。

97 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 02:57:00 ID:Ikf0SyM30
「これをかわすかヨー!?」
 サンヨの技は実質、これで打ち止めのようなものだった。本来なら、サンヨにはまだまだ強力なゲンギはある。しかし――
(殺しちゃ駄目どころか、できるだけ傷つけるなとか、訳わからないヨ)
 一応、ブドーに使っていない技で殺傷力のばい小軽鋭化という技が残されているが、大重鈍化を避けたブドーに到底通用するとは思えない。
「うん?小軽鋭――ぐげっ!」
 呆けたサンヨに突き刺さる追撃の手裏剣。
「お、お前、相当やるヨ」
「ふん、当然だ。――双剣合身」
 一対のゲキセイバーを合わせ、一振りの剣とするブドー。
(と、とどめを刺すつもりだヨー。考えている暇はない。こ、こうなったら一か八かだヨ)
「シュリケンジャー!!まだかヨー!!!」
 サンヨは大声を張り上げ、その名前を呼ぶ。
 自分にブドーと戦うように命じた男の名前を。理央を助けるための時間稼ぎを命じた男の名前を。
「シュリケンジャー?」
 
――ブルルルル!!

 その言葉を合図にしたかのように、森に突如としてエンジン音が響き渡る。
(そういえば、センと理央の近くにはバイクが……)
「い、今の内だヨ」
 サンヨはエンジン音を聞くや否や、ブドーの気を引けたと思ったのだろう。一目散に逃げ出そうと踵を返す。
「逃がさん!」
 しかし、それを見逃すブドーではない。背中目掛け、ゲキセイバーを一閃する。
「なに!?」
 だが、それは止めの一撃とはならなかった。サンヨはその一撃を浴びると、高く、遠くへと飛んでいく。
「ひっ…か……か………っ…………た……………ヨ………………〜!」
 次第に遠ざかっていくサンヨの声。
 ブドーは自分がまたも策略にはまったことに気付いた。
「ぬぅ、してやられたか」
 ゲンギ・小軽鋭化――大重鈍化とは逆に対象を何十倍もの軽さにする技。

98 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 02:58:29 ID:Ikf0SyM30
 サンヨはそれを自らに使うことで、ブドーからの逃走に成功したのだった。



 サンヨを逃がしたブドーは、エンジン音が聞こえた方向へと歩を進めた。
 案の定、そこからはセンの姿も、理央の姿も消えている。
 しかし、妙なことにバイクだけは残されていた。
「ふむ、バイクを使わなかったのか。ならば、サンヨのことなど放っておき、早急に追うべきであったか」
 何気ない風を装いながら、ブドーは辺りを注意深く確認する。
 一度、センには一杯食わされている。
 今回も逃げたと見せかけて、自分が去るのを待っているのではないかと。
 ブドーは五感を研ぎ澄ます。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の全てを使って、ここにいる何者かの気配を探る。
「………そこだ!」
 ブドーは一本の木目掛け、手裏剣を投げつける。
 予想通り、手裏剣が命中する瞬間、木から飛び出してくる一陣の風。
 それは残されたバイクへと降り立った。
「やれやれ、ミーの気配を察知するとは、中々やるね」
「お主がサンヨの言っていたシュリケンジャーか」
「そう、人呼んで、緑の光弾。天空忍者シュリケンジャーさ。変身はしてないけどね」
 ブドーはシュリケンジャーを観察する。
 見た目は髪をオールバックにまとめ、黒服で固めた軽そうな男だが、佇まいでかなりの腕であることがわかる。
 大体、察知した気配もわずかなもので、センとのことがなければ、見逃していたことだろう。
「ふん。理央とセンはどうした?」
「あの二人かい?あの二人なら逃げてもらったよ。北か、南か、東か、西か、どこかにね」
「そうか」
 予想通りの言葉だったが、ブドーはシュリケンジャーから明確に聞いた逃げたという言葉に何故か安堵を覚えた。
 幸か不幸か、センを狙った弾丸は理央へと命中した。命中した場所は左胸、心臓の位置、致命傷の可能性も充分ある。
 しかし、それでは真の意味で理央を倒したとはいえない。
 彼らが逃げ、そして、それを治療して、再び、自分の前に立ちはだかるのなら、それがもっとも望ましい。
(信念など不要。手段は選ばぬ。されど、我が未練、今だ消えずか)

99 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 02:59:32 ID:Ikf0SyM30
「それじゃあ、ミーはこれで失礼させてもらうよ」
 シュリケンジャーはバイクに跨ると、改めてエンジン音を轟かせる。
「待て、拙者がこのままお主を逃がすと思うのか?」
 制限時間が間近に迫っていることは承知していたが、ブドーは半ば反射的にゲキセイバーを突きつける。
 だが、シュリケンジャーは驚いた表情すら見せず、言葉を返した。
「Wait、今は戦うつもりはない。このまま、逃がしてくれないかな?」
「笑止」
「……いいのかい?そろそろ10分経つ。今、戦ったら、負けるのはユーだよ」
 その言葉にブドーの手が止まる。
「お主、制限を知っていたのか」
「当然だろ。今、ユーの相手をして、殺すのは簡単だよ。でも、ミーにはこの後、やることがあるからね。できれば、戦いたくないんだ。
 どうしてもと言うなら相手にならなくはないけど?」
 シュリケンジャーとブドーの視線が交錯する。
 ブドーはそのまま、一刻ほど考えると、静々とゲキセイバーを下ろした。
 今、シュリケンジャーと戦うことがどれほど自分にとって危険なのかは元より承知の上。
(それとも……見透かされていたか?)
「Don't worry、心配しなくても、その内、戦う機会はあるさ。ミーもMurderだからね。Murder同士は生き残っている限り、いつか戦うことになる。そうだろ?」
 シュリケンジャーは軽く手を振ると、エンジン音を響かせ、去っていった。
 バイクの上でシュリケンジャーはボソリと呟いた。
「サンヨとの戦いを見てれば、ユーが殺し合いに乗っていることはわかる。Murder減らしは自重しないとね」



「……………ここは」
 理央が眼を開けると、木々に囲まれた青い空がそこにはあった。
 太陽から発せられる光が、理央の眼を焼く。
「気が付きましたか」
 聞き覚えのある声に、急激に意識が覚醒していく。

100 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 03:17:12 ID:Ikf0SyM30
(そうか、俺はあいつを庇って……)
 理央は反射的に自らの左胸を見る。
 どこからか調達したのか、包帯が巻かれ、しっかりとした応急処置が行われていた。
 そのおかげか、左胸に痛みはない。
「世話になったようだな」
「いいんですよ。元々、俺を庇って受けた傷です」
 理央は改めてお礼を言おうと、身を起こし、そこで始めてセンの姿を確認した。
「お前」
 そこには木に身を持たれかけたセンがいた。
「良かったです。理央さんだけでも助けることができて。もう俺は駄目みたいですけど」
 だが、センの制服は血にまみれ、大きな染みを作っている。顔もどことなく青白かった。
「銃の奴にやられたのか!?」
 理央の問いにセンは首を振る。
「いえ、何故か銃撃はあれっきりでした。俺がやられたのはロンと一緒にいた怪物です」
「ロンと一緒にいた怪物……サンヨのことか」
「そういえば、そんな名前を名乗っていた気が……ゴホッ、グハッ」
 咳き込むセン。彼の口からは紫色をした血が吐き出されていた。
「理央……さん、お願いがあります。俺の代わりにサンヨを倒してください。まだ、俺たちが襲われた場所にいるはずです。
 あいつを放っておいたら、きっとまた犠牲者が出る。死ぬのは俺一人で終わらせたいんです」
 迷うべくもなかった。ロンとサンヨはこの殺し合いを開いた張本人。倒さないという選択肢はありえない。
 理央は無言で頷くと、踵を返す。
「セン、最後に、誰かに伝えたいことはあるか?」
「……それじゃあ、ドギー・クルーガーに宜しくとだけ」
「わかった。必ず伝えよう」
 理央はそのまま振り返らず、駆け出していった。



「大丈夫、菜月は強き冒険者だもん。大丈夫大丈夫」
 森に弱々しい女性の声が響く。

101 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 03:18:47 ID:Ikf0SyM30
 まるで呪文のように、大丈夫という言葉を繰り返しながら森を進むその女性の名は間宮菜月。強き冒険者、ボウケンイエローだ。
 真墨に会うため、精一杯の勇気を振り絞り、進んできたが、真墨を思い出せば、彼女の脳裏によぎるのは頭を潰される真墨の姿。
 竜也たちのおかげで癒されていた恐怖が鎌首をもたげ、自然とその声は大きくなった。
「大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈――な、なに?」
 歩く菜月の視界に入る人影。
 それはまるで死ぬ前の真墨のように倒れ伏していた。背格好から男性のようだが、顔はうつ伏せでわからない。
「ま…すみ?」
 おずおずとその倒れ伏した誰かに近づき、顔を確認しようと、菜月はしゃがみこむ。
 その時、突然男が動き出し、菜月の足が掴んだ。
「きゃっ!やっ、離して」
 振りほどこうと、足を激しく動かす菜月。その勢いで手はあっさりと剥がされる。
 よく見ると、その男性のシャツとパンツ一枚という格好だった。よく聞けば、呼吸も荒い。
「変態さん?」
 菜月は急ぎ立ち上がると、その場から逃げ出そうと大地を蹴った。
「ま…って」
 男が言葉を紡ぐ。
「いか……ないで………俺の話を…聞いて……」
 次の言葉で菜月の足は止まった。
「だい……じょうぶ?」
 自分への危機感より、相手への心配が買った。
 先程まで、自分に使っていた言葉で相手へと問いかける。
 男は菜月が耳を傾けていることがわかると、少しだけ表情をやわらかくすると、懸命に言葉を繋げた。
「頼む……理央さんに……つたえて……あいつは利用しようと」
 だが、そこまでだった。男の意識は闇へと沈み、最初に菜月が見た時と同じように大地へと倒れ伏す。
「ちょっと、しっかりして!」
 残された菜月は涙を浮かべながら、男の身体を揺らす。


102 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 04:47:25 ID:Ikf0SyM30
 だが、菜月の必死の介抱にも関わらず、男の意識は戻らなかった。



「はぁ、もういないよネ」
 一時、ブドーから逃げ出したサンヨだったが、また同じ場所へと舞い戻っていた。
 頭を砕かれた迅き冒険者が目印の場所。
 理由は、それがシュリケンジャーの命令だったからだ。
 シュリケンジャーが理央とセンを逃げるまでの時間を稼ぎ、その後、この場にて合流する。
 簡単だろとシュリケンジャーは言ったが、結果は散々なものだ。
 体中を切り刻まれ、危うく、殺られるところだった。死なないけど。
「あれ、なんか死体の位置が変わっているような気がするヨ〜。まあ、そんなことはいいかヨ」
 真墨の死体はうつ伏せから、仰向けに変わり、その服は乱れていた。
 だが、サンヨは特に関心を持つことはなく、ただ、シュリケンジャーへの愚痴を吐き出した。
「あいつ、ロンより人使い荒いヨ」
「あいつとは誰のことだ」
 サンヨの身が固まる。
 それは今サンヨがもっとも会いたくない相手の声だ。
 自分の予想が外れていることを祈りながら、恐る恐るサンヨは振り返る。
「げっ、理央」
「見つけたぞ、サンヨ。センの仇、とらせてもらうぞ」
(な、な、な、なんのことだヨ。そ、そ、そ、それより、サンヨ、今は制限中だヨ。や、や、や、ヤバイヨ)
 怒りに身を焦がす理央。
 恐れに身を振るわせるサンヨ。
 そんなふたりを遠くから見詰めている男がいた。
(さーて、見せてもらおうか。黒獅子の力と、サンヨの末路を)
 男は江成仙一の顔で、笑みを浮かべた。

 数分前――

「冷凍剣、プリーズ!」

103 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 04:48:15 ID:Ikf0SyM30
 シュリケンズバットから発せられた凍気が理央の身体をたちまち凍らせた。
「さてと」
 シュリケンジャーは凍らせた理央の身体からたちまち銃弾を取り出す。
 ハリケンジャーたちの身体から宇宙サソリを取り出した時に比べれば、簡単な作業だ。
「宇宙サソリ……あの時、ロンはディパックをランダムに渡していたようだけど、意図的に渡していたのかも知れないね」
 シュリケンジャーは取り出した銃弾をその辺に捨てると、ディパックから支給品を取り出し、今度はそれを理央の傷口に埋め込んでいく。
「説明書もないのに、これを判別して、使える参加者なんて、ミーぐらいだからな」
 全てを終えたシュリケンジャーは理央を解凍し、傷を隠すように包帯を巻くと、理央の目覚めを、木に身体をもたれかけ待つ。
 変身を解いたその姿は既に柿生太郎のものではなく、血まみれのジャケットを着た江成仙一に変わっていた。 
 勿論、顔も血もシュリケンジャーのものではない。純然たるフェイクだ。
 制服と顔をいただいた本物の江成仙一は催眠術で眠らせ、匂いや色で判別されないように血は転がっていた死体から新鮮(?)なものを調達した。
 ついでに死体が着ていた防弾チョッキも下に着込んでいる。
 準備は万端だ。
(サンヨが殺せるようなら、その力、利用させてもらうよ。理央、サンヨの話では、ユーは今回の参加者の中でトップクラスの実力者らしいからね)
 理央の力を利用して、他の参加者を殲滅させる準備はこれで整った。罪悪感はない。理央は報いを受けるべきことをして来ている。
(精々、働いてくれよ。君の中の宇宙サソリが君を殺すまでね)

104 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 04:49:17 ID:Ikf0SyM30
【名前】シュリケンジャー@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三後
[現在地]:C-8森 1日目 午前
[状態]:健康。顔は江成仙一です。1時間30分変身不可
[装備]:シュリケンボール、スワン製防弾チョッキ@特捜戦隊デカレンジャー、SPD隊員服(セン)
[道具]:包帯、基本支給品一式
[思考]
基本方針:殺し合いに乗る(一時的に保留)
第一行動方針:七海とおぼろを五体満足で帰還させる。
第二行動方針:それがだめならアレの消滅を願う。
第三行動方針:サンヨが殺せるか試す。その後、方針を再決定。
備考
・サンヨと江成仙一から一通りの情報を得ました。具体的な制限時間も知っています。
・シュリケンジャーはロンが何らかの方法で監視していることに気づきました。
・炎の騎馬はC-7エリアに隠しています。
・シュリケンジャーの支給品は宇宙サソリ@忍風戦隊ハリケンジャーと包帯でした。

【名前】サンヨ@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:ロンと一緒
[現在地]:C-8森 1日目 午前
[状態]:全身打撲、無数の刺し傷と切り傷、右腕切断。1時間ゲンギ使用不能
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンの指示に従う。
第一行動方針:理央から逃げる。
第二行動方針:ロンの指示に従い、シュリケンジャーに協力する。
備考
・制限が2時間であることを知っています。


105 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 04:51:13 ID:Ikf0SyM30
【名前】理央@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:修行その47 幻気を解き放った瞬間
[現在地]:C-8森 1日目 午前
[状態]:左胸に銃創。肩から脇の下にかけて浅い切り傷。ロンとサンヨへの怒り。宇宙サソリを植えつけられました。
[装備]:自在剣・機刃
[道具]:支給品一式。
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。乗った相手には容赦しない。
第一行動方針:サンヨを倒す。
第二行動方針:ナイとメアを探す(どちらかは死んだと思っています)。
第三行動方針:メレと合流する。
※大体の制限時間に気付きました。

【名前】江成仙一@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:Episode.12後
[現在地]:C-7森 1日目 午前
[状態]:催眠術により気絶中。制服を奪われアンダーシャツとパンツのみ。左肘複雑骨折、全身打撲(応急処置済)。
[装備]:SPライセンス
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:仲間たちと合流して脱出。
第一行動方針:理央に注意を喚起する。
備考
・制限が2時間であることを知っています。
・SPDの制服はシュリケンジャーに奪われました。


106 :みどり色の罠 ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 04:53:01 ID:Ikf0SyM30
【名前】間宮菜月@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task14後
[現在地]:C-7森 1日目 午前
[状態]:健康。
[装備]:アクセルラー、スコープショット、
[道具]:未確認、竜也のペットボトル1本
[思考]
基本行動方針:仲間たちを探す
第一行動方針:変態さん(仙一)を介抱する。
第二行動方針:真墨の遺体を捜す。

【名前】剣将ブドー@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第24章(ギンガマンに敗れた)後
[現在地]:B-9森 1日目 午前
[状態]:胸と腹に中程度のダメージ。肩に銃弾による傷。1時間戦闘不能
[装備]:ゲキセイバー@獣拳戦隊ゲキレンジャー、一つ目のライフル銃@魔法戦隊マジレンジャー、手裏剣少々@星獣戦隊ギンガマン
[道具]:筆と短冊。サイコマッシュ@特捜戦隊デカレンジャー。予備弾装(銃弾5発、催涙弾5発)。支給品一式(ブドー&バンキュリア)。真墨の首輪。
[思考]
基本方針:戦い、勝利する。
第一行動方針:リオを倒せるほどに強くなる。
第二行動方針:優勝を目指す。
※首輪の制限に気が付きました。

107 : ◆i1BeVxv./w :2008/11/02(日) 05:25:10 ID:Ikf0SyM30
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想などあれば、お願いします。

108 :名無しより愛をこめて:2008/11/02(日) 12:14:31 ID:jLhBiTjx0
GJ!
シュリケンが思った以上に黒い…
リオ様はロンへの有効打なのに…時限爆弾抱えちゃった……
次回の話でサンヨは生き残れるのか非常に気になります。
面白かったです。

109 :名無しより愛をこめて:2008/11/02(日) 16:16:25 ID:HdPBCs4fO
投下GJ!です。
リ、リオ様ピーンチっ!
センさんがー!!と思いきや…シュリケンジャーが変装していたとは。
シュリケンジャー、ステルスとして、かなり優秀ですね。流石、忍者だ。
リオVSサンヨの戦いの行方もかなり気になります。

それにしても、シュリケンジャーがやったとバレたら、彼女が大暴れしそうなw
今後の展開が楽しみです!GJでした!

110 :名無しより愛をこめて:2008/11/02(日) 16:22:20 ID:V1sabhqOO
シュリケンジャー手強いマーダーになったな。
策略が凄いですね。面白かったです。

菜月の「変態さん?」に吹いたw


111 :名無しより愛をこめて:2008/11/03(月) 14:10:14 ID:IWFDbtazO
まとめ更新乙です。
いつもありがとうごさいます。

112 :名無しより愛をこめて:2008/11/04(火) 16:05:47 ID:Gv7tjpL10
まとめ更新お疲れ様です。いつもありがとうございます。

遅くなってしまいましたが、次の煽り文ができましたので投下します。

113 :名無しより愛をこめて:2008/11/04(火) 16:06:48 ID:Gv7tjpL10
011.献身と勘違い
世の中色んな人がいるものです。
  例えば、芋ようかんで巨大化する人とか、命を二つ持ってくる人とか、脈が無くても生きてる人とか。

012.黒獅子の誇り
  男の想いはすれ違う。ただその誇り高さゆえに。

013.地獄から来た恐竜野郎
  運命を決めるコイン。そのコインさえ些細なきっかけで変わるもの。
  弾かれたコインを手に男は夜風の中を不敵にときめく。

014.オールド・ジェネレーションズ
  油断大敵、怪我一生。
  仲間だからって安心してはいけません。悲しいけどこれ殺し合いなのよね。

015.夢×命×未来
  少年はまだ知らない。戦う意味を。生命の未来を。
  それゆえに引いた引き鉄は少年に出会いをもたらした。

114 :名無しより愛をこめて:2008/11/04(火) 16:07:32 ID:Gv7tjpL10
016.冒険者達、西へ
  腕に着けるは戦友(とも)の形見、胸に秘めるは小さな強がり。
  青年と少女は西へと旅立つ。ただ仲間の姿を追い求めて。

017.太陽と不滅の牙
  禍々しき遺跡の只中に男が二人。
  彼らを待つのは邂逅か、血塗れた未来か……

018.阿修羅の如く
  抗う事が勇気でも。貫く事が正義でも。
  今はただ血塗れた道を進み続ける。その思い、阿修羅の如く。

019.龍の陰謀(はかりごと)
  さあ、箱庭は閉じられた。
  光も救いも希望さえ、今は届かぬ彼方へと。
  悪意の道をいざ進め。

020.サーガイン Is murder?
  目と目があったその日から恋に花咲く事がある。
  目と目があったその日から誤解に花咲く事もある。

115 :名無しより愛をこめて:2008/11/04(火) 16:08:54 ID:Gv7tjpL10
では、失礼しました。

116 :名無しより愛をこめて:2008/11/04(火) 19:11:45 ID:tH/vDpJJ0
乙!
相変わらずセンスいいな。
いずれこの煽りもまとめサイトで見れるようになったらいいな。
続きもよろしく!

117 :名無しより愛をこめて:2008/11/04(火) 19:49:46 ID:nvY7WKmuO
GJ!
良い煽り文をつけてもらえると燃えてくる。
これからも楽しみにしてます。
もう一度GJ!

118 : ◆i1BeVxv./w :2008/11/05(水) 04:24:40 ID:9A3ycarF0
煽りGJです。
次回更新の折はまとめサイトにも組み入れさせていただければと思います。

それではただいまより投下いたします。

119 :ネジレてキレてツイてる男 ◆i1BeVxv./w :2008/11/05(水) 04:25:42 ID:9A3ycarF0
 無数に飛び散った肉片の中心で血まみれの怪物は恍惚の笑みを浮かべていた。
 自分の肉体を押し込めていたスーツが破壊されたことで、怪物――ネジビザールは一種の開放感を味わっていたのだ。
 ネジトマホークという武器ではなく、自らの爪と牙を使って相手を引き裂くのはやはり快感が段違いだ。
「彼女を引き裂いただけでこれだけ気持ちいいんだ〜。メガブルー、君だったらもっと気持ちいいんだろうね〜、ヒャハハ」
 30分ほどそうしていただろうか。身体に付いた血が液体から固体へと変わり、多少の不快感を与える。
「そろそろ邪魔になってきたね、コレ」
 ネジビザールは身体に力を込める。
 彼は氷の怪物。物体を凍らせるのはお手のものだ。
 ネジビザールは凍らせることで、血を身体から剥がそうと考えた。
 しかし、いくら力を込めようとも、血が凍ることはない。聡いネジビザールはすぐにその原因を思いつく。
「なるほどねぇ〜、これが制限ってやつか。中々面白いことを考え付くよ」
 ミンチになった女がピーチクパーチク騒いでいたのはこのことだったのだろう。
 だが、ネジビザールにとっては狩りを面白くするための単なるカンフル剤だ。
 女ももうちょっと楽しむ心があれば、もう少し長生きできたのにと、ネジビザールはまた笑う。
「さて、凍らせることができないんなら、ふき取らないとね」
 女の服は彼女と一緒にバラバラになり、血にまみれてしまった。
 ならばと、ネジビザールは女のディパックを手にする。引き裂いて、タオル代わりに使おうと考えたのだ。
 しかし、その必要はなかったようだ。女のディパックにはどこからか調達したのか、好都合なことにタオルが入っていた。
「あの女は最初から最後まで役に立ってくれるね。それともオレがツイてるのかな〜。どっちが正しいかはアレを確認すればわかるか」
 ネジビザールはタオルで血を拭いつつ、自分のディパックに眼を向ける。
 彼はキレてはいるが、頭の切れも決して悪い男ではない。メガブルーへの執着を除けば、割と冷静な方だ。

120 :ネジレてキレてツイてる男 ◆i1BeVxv./w :2008/11/05(水) 04:26:31 ID:9A3ycarF0
 ネジビザールは自分のディパックの中身が美希の手によって、すり替えられていることに気付いていた。
 美希がテルミット弾を使って、爆発を引き起こしたのも知っている。美希が自分とメガブルーたちとの同士討ちを狙って、協力したこともだ。
 にも関わらず彼が美希を自由にさせておいたのは、面白そうだったからの一言につきる。
 策士を気取っている奴の鼻っ柱を叩き折るのは中々の快感だ。今回もここぞというタイミングで種明かしをし、美希を切り刻んでやるつもりだった。
 ただ残念なことに美希はどこかに言ってしまったが。
「まあそれはいいや〜。さて、バイクの代わりに何を入れてくれたのかな?」
 一頻り、身体を拭き終えたネジビザールは自らのディパックの確認を始めた。
 中には血の付いた忍者刀と首輪。そして――
「名簿?……………へぇ〜、これはこれは。ヒャハハハハッ!いいね〜、バイクと交換にしては充分過ぎるものだよ」
 その名簿には参加者たちの写真や性格、思考が詳細に書かれていた。勿論、自分のものもある。
 なるほど、これを見ていたから、自分と交渉しようと思ったわけだ。
 だが、そんなことがどうでもよくなるほど、あることが記載された名簿の1ページはネジビザールを激しく興奮させた。
「こいつが、こいつが、こいつが、メガブルー、メガブルー、メガブルゥゥゥゥーーーーーなんだねぇぇぇぇ!」
 参加者の一人、並木瞬のページ。
 そこには彼の写真と共に、はっきりと彼がメガブルーであることが書かれていた。
「フフフフフフフフフフフフッ!!!ヒャハハハハハハハッ!!!意外と二枚目じゃないか。この綺麗な顔が苦痛に歪むと思うと………フヒャハハハハッ!フヒャハハハハッ!ゲヒャッ!」
 ネジビザールは笑った。それこそ、呼吸ができなくなるほどに。笑い死にしそうなほど。
「ウヒャハハッハハッハハッ!ウヒャハハッハハッハハッ!」
 笑って
「フヒフヒウヒヒヒヒヒヒッ!グヒフヒウヒヒヒヒヒヒッ!」
 笑って
「GYAHAHAHAHAHAHAHHAHARAHAHHAAAAAAAAAAAAA!!!」
 笑った。



「10時ピッタリだね」
 ネジビザールは今しがた禁止エリアになったG-5エリアを抜け、H-5エリアへと入った。
「笑いすぎて危うく間に合わないところだったよ」


121 :ネジレてキレてツイてる男 ◆i1BeVxv./w :2008/11/05(水) 04:28:26 ID:9A3ycarF0
 一歩間違えば、首輪が爆発し、死が待っているというのに、ネジビザールに慌てた様子は見られない。
                                                  ・・・・・・
「さて、オレの勘だと、ヤツはこの辺りにいるはずなんだけど。どうかな〜?ねぇ、ネジシルバー?」
 詳細付き名簿を見たネジビザールはメガブルー以外に知り合いがいることにようやく気が付いた。
 それが他の誰かだったら、寄り道はしなかったかも知れない。
 しかし、そいつはメガブルーとは比べるべくもないが、ほんのちょっぴり、ネジビザールがメガブルー以外に殺したいと思える人間だった。
「北西は大体見て回ったし、拡声器の届く範囲だったら、あいつも来るはずだからね〜。
 東ならメガブルーと合流するといい〜。もっと楽しくなるから。でも、できれば先に会いたいな〜、ネジシルバー。
 君の首を持っていた時のメガブルーの顔から楽しみたいからね」
 ネジビザールはまた笑いそうになるのを、グッと堪える。いつ誰と会うかも知れない。しばらくは善良そうな顔をしているのがいいだろう。
 なぜなら、今、彼は人間の姿になっているのだから。
 肌の色はうっすらと赤みを帯びた黄色。髪と瞳の色は黒く、唇に閉ざされた歯を外面から覗き見ることはできない。
 ネジレンジャーの共通の能力に人間への擬態がある。自らを弱体化する能力は制限の対象にならないのか、彼は制限中にも関わらず人間への擬態に成功した。
 その姿は誰かを真似るものではない。ただ、その個人にあった人間の姿へと擬態するだけだ。
 だが、彼の姿は何故か並木瞬に似たものになっていた。
「待ってろよ、ネジシルバー。君にされたことと同じことを君にしてあげるよ」
 彼の顔はどことなく並木瞬に似ていた。彼をよく知らない者ならば、彼を並木瞬と誤解するかも知れない。
 しかし、本物の彼を知るものなら、気付くことだろう。
 彼はこれほどまでに邪悪には笑わないと。


122 :ネジレてキレてツイてる男 ◆i1BeVxv./w :2008/11/05(水) 04:29:30 ID:9A3ycarF0
【名前】ネジブルー@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:41話(ネジビザールとして敗れた後)
[現在地]:H-5海岸 1日目 昼
[状態]:全身に打撲、傷有り。人間に擬態中。その間のスペックは能力を発揮しない限り、人間と変わりありません。
[装備]:ネジトマホーク、クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:ソニックメガホン@忍風戦隊ハリケンジャー、闇のヤイバの忍者刀@轟轟戦隊ボウケンジャー
[道具]:支給品一式×3、詳細付名簿、スフィンクスの首輪、拡声器。
[思考]
基本行動方針:メガブルーを殺す。
第一行動方針:メガブルーを苦しめるためにネジシルバー(早川裕作)を殺す。
※ズバーンとマシンハスキーはF-5都市に放置しています。


123 : ◆i1BeVxv./w :2008/11/05(水) 04:42:38 ID:9A3ycarF0
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想などあれば、お願いします。

セルフ議論スレ行きな点が一点。
制限期間中の人間への変身は制限に引っかからないのか?
自己解釈だと、バンキュリアやヒカルは本来の姿ではないのに、人間態時は能力制限に引っかかっていないので、その状態下で能力を発揮しない限りはありなのかなと。
あと擬態中の姿は他のネジレンジャーは各々適当な姿だったので、似てなくても良かったのですが、双子ネタがあったので似せてみました。
問題があるようでしたら、修正いたしますので、議論スレにて。

124 :名無しより愛をこめて:2008/11/05(水) 17:18:58 ID:l2sb+M0OO
素早い投下!そして心からGJ!!
キレてるくせに冷静なネジビザールはまさに脅威。
シルバー。逃げて、逃げてぇー!


個人的には変身は問題無いかと思います。
首輪も幻気で出来ているので機械仕掛けとは違い、その辺りの制限はランダムで良いのでは無いでしょうか?


125 :名無しより愛をこめて:2008/11/05(水) 19:46:57 ID:1nI2jC7F0
時間軸のずれの問題で瞬は裕作さんを知らないよな。
それはそれとしても美希にとってアキレス腱かも>ネジブルー

126 :名無しより愛をこめて:2008/11/05(水) 20:31:30 ID:m37EeZNxO
相変わらず早い投下GJ!です。
ネジブルーもといネジビザール怖い、怖いよw
裕作さんもただ騙されるたまではないでしょうがどうなることやら…
ステルスする気満々なのがかなり怖いです。
ネジビザールの狂気が伝わってくる作品でした。GJ!

制限期間中の人間への変身ですが、自分はありだと思います。
おっしゃる通り、ヒカル先生やナイメアの事がありますし。

127 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/07(金) 20:55:21 ID:S6diC9PBO
したらばにも書きこみましたが間に合わないかもしれませんので延長をお願いします。

128 :名無しより愛をこめて:2008/11/08(土) 11:05:59 ID:9UqzPLOV0
了解です。楽しみにお待ちしております。

129 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 10:36:18 ID:4EPfqI6D0
歩くたび、身体が揺れるたび、左肩の刺し傷が疼く。
屍と化した身体から失われたのは熱と血液で、痛覚は生前のまま。
メレは当て所もない歩みに疲労の色を濃くしていた。
…−理央もまた、かつてはこのような深い絶望に沈んでいたのであろうか−…
「少し…疲れたわね……」
道の脇に腰を落とし、ディバッグからペットボトルを取り出したが、既に水は尽きている。
これでは顔も洗えないではないか。
「理央様…」
益々重くなる気持ちを抱えながら、縋る様に愛しいその名を呼ぶ。
そっと、右手で傷口を隠すように肩を抱く。
そうしているとあの時の温もりが蘇ってくるような気がしたのだ。

始まりの空間でロンが自らを指名したその時。
普段の寡黙な彼からは想像も出来ない熱い眼差しで見つめられ、面食らったのを覚えている。

『大丈夫だ、メレ…どれだけの距離を隔てようと、ロンが何を策していようと、
必ず、お前を守る! だから…生き残れ、どんな手段を使っても!!』

他の参加者の目を全く意に介さず、メレの身体を掻き抱き、彼は耳元でそう告げたのだ。
冷たい身体に彼の熱が伝わるのが心地よかった。
この瞬間がいつまでも続けばいいと、埒でもない事を本気で願った。
すぐに別離が訪れるのを知らないではないのに――…


「あんな理央様…初めてだった……」
メレは知る術もないが、彼と理央の微妙な時間軸のずれが新鮮な驚きを与えていた。
放送の中に幸いにして理央の名はなかった。
実力者たる彼がそうやすやすと首をとられはしないことは承知している。
しかし、これはロンの仕掛けたゲーム。


130 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 10:37:39 ID:4EPfqI6D0
幻技の件と言い、不透明なルールの中でどんな不測の事態が起こるか知れない。
自分達は他の参加者よりも主催との縁が悪い意味で深い。
ロンが何かしら仕掛けてくるのは確実なのだから。
「…理央様…会いたい……」
口を突いて出るのは彼の名ばかり。このゲームでメレが心から信用できるのは彼だけだ。
しかし、同時にメレは一人でいることの限界を感じ始めていた。
既にゲームが始まって6時間あまりが経過し、参加者達は各々の思惑の下にいくつかのグループを
結成している。
メレ自身もそうした連中をいくつか見てきた。
だが、下手な相手と組めば寝首をかかれる恐れがある。人選は慎重に行わなければならないだろう。
自然、知り合いを回想する形になる。
「え〜と…私の知り合いは――…」
まずは、理央。
彼は完全にメレの味方だ。
しかも、嬉しい誤算でこのゲームに参加させられている彼はメレに対し親愛の情が深い。
あの熱い眼差しは恋人を見るそれだ。
自然と口角が緩んでいく。メレにとっては、理央こそ生きる糧。
彼のためなら命も惜しみはしない。大袈裟でもなんでもなくメレは本気でそう思っている。
死への恐怖は既に死人であるメレにはない。
怖いのは彼を失うことだ。

二人目はサンヨ。
こいつは話にならない。自分と同じ四幻将の一角だが、彼は元々ロンに近い。
今回も彼に追随して動いていると観るのが自然だ。
どうみても敵。出会い次第、消しておいた方が無難だろう。


131 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 10:38:50 ID:4EPfqI6D0
そして−…真咲美希。
彼女は名前と来歴を知るくらいで直接相対した経験は殆どない。
メレが知っているのは彼女が激獣拳時代の理央の修行仲間であるということ。
そして、今はゲキレンジャーを支援するスクラッチの重役に収まっているという事くらいだ。
過去の理央を知ると言う点で羨ましさを感じることはあるが、彼女がどんな女性なのか
あまり過去を語りたがらない理央に聞くのは憚られてメレは殆ど知らない。
死んではいないようだが、理央と違い実戦から離れて久しい彼女を戦力とするのは少々不安が残る。
メレとしてはもっと頼りになる戦力がほしかった。

「…理央様以外ろくな奴がいないわね…後は…こいつらか−…」

轟轟戦隊ボウケンジャー。
宇宙拳法使いパチャカマック12世との戦いで成り行きとはいえ、共に戦った経験がある。
ただし、メレは全員の人とな理央知っているわけではない。
メレが知っているのは大胆にも直接臨獣殿に乗り込んできた
ボウケンレッド=明石暁
ボウケンピンク=西堀さくら
この両名だけだ。
しかもさくらはあの時、パチャカマックに憑依されていたことを加味すれば実質的に
メレが面識を持つのは明石暁だけだ。
結論からいえば、明石暁の印象はメレの中でそう悪いものではない。
獣拳使い以外で理央と生身で戦える人間が存在していようとは思ってもみなかったからだ。
マクによる撹乱の後が癒えていなかったとはいえ、臨獣殿に乗り込む度胸もある。
加えて、仲間のために敢えて黒をとるその人間性にも惹かれるものを感じた。
常に傍らに自身を慕う女性が控えているという理央との共通項が、
明石暁へのシンパシーにも似た感情になっているのかもしれなかった。
自身よりも仲間を第一に考える男。それが、メレの中で確立した明石暁の人物像だ。
味方に出来れば彼ほど頼もしい人物はいない。
始まりの空間での一件を見る限りでは彼が殺し合いに乗っていない可能性は高い。



132 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 10:39:54 ID:4EPfqI6D0
西堀さくらに関して言えば、パチャカマックの憑依と言う点を除外しても腕はメレと互角に立つ。
直接拳を交えたメレの感触は悪くない。
しかし、彼らが自分に対しどういうスタンスで臨んで来るかは想像がつかない。
あまり信用するのは考え物だ。
考え物ではあるが、同時にロンに対し戦いを挑むのに彼らの助けは、癪ではあるが是非とも必要だ。
無論、最後を締めるのは自分と理央であろうという根拠のない自信がメレにはあったのだが…

「決めた! こいつらを従えて理央様の下へはせ参じる!! そしてロンを倒すっ!!」

勢いよくその場に立ち上がり、拳を天に突き上げ、叫ぶ。
メレの中では既に崩壊した臨獣殿に代わり、ボウケンジャーを下僕とした理央(と自分)の組織プランが出来上がっている。
素敵な将来の青写真の完成にすっかり気を良くしたメレは意気揚々と歩き出した。
「ふん、ふふ〜〜ん♪ 待っててくださいね、理央様ぁ?」
ただ、そのプランをどう実現するかは全くの白紙であるのだが−
今のメレに必要なのは自らを突き動かす動機の方だった。

§

…――自分はよくよく、死神に嫌われているらしい――…
殺し合いの只中にあって、グレイは相反するその事実にため息をついた。
廃墟と化したタワーが陽光を背に影に溶け入る様は余計にうらぶれて見える。
まるで今の自分を見ているようで、内心酷く不快な思いがした。
F5エリア−兵どもが夢の跡。



133 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 10:40:44 ID:4EPfqI6D0
辺りを白く消し飛ばすほどの閃光と割れんばかりの爆音が轟いたのは、さくらとあんな形で分かれてからすぐ後のことだった。
既に戦いが始まっていることを察知し、駆けつけたのだがすでにそこはもぬけの殻。
ほんの僅かな時間のずれで彼はガイともすれ違っている。
本来なら幸運なのだが、本人はそれがちっとも愉快ではない。
「あんな小競り合いがなければ…今頃は戦いの只中に在れたものを」
グレイは紫煙を燻らせながら、瞑想する。
確かにさくらの行動は異様だった。
仲間の死を見せ付けられて心に闇が生まれたか。元々あぁするつもりだったのか。
「それにしては行動が極端すぎる…」
あるいは――思い至った一つの答にグレイは思考を更に深める。
さくらは何らかの意思により傀儡にされていて自分でも分からないままに動かされている。
「だが、何のためだ?」
自分のようにロンに魅入られたマーダーか。それにしては先ほどの行動は無謀すぎた。
あまりに計画性に欠ける上、戦力差を埋める智恵が全く見当たらない。
彼女の全てを知るわけではないが、そんな無計画なタイプではないはず。
ならば、このゲームでさくらが司る役割はなんだというのか――そして、
…――自分が果たすべき役割はなんなのか――…
思考という名の無限の宇宙から帰還した彼は、確かな一つの答えを胸に歩き出した。


§


職業柄、同僚の死はそう珍しいものではない。
今の地位に至るまで多くの仲間の死を見てきた。
肩書きに重みを感じるのは、それだけ多くの死を経た先に今の自分がいるからだ。
だから、彼女たちの死も決して特別ではない。
けれど胸に沸き起こる慟哭をドギークルーガーは抑え切れずにいた。


134 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 10:48:54 ID:4EPfqI6D0
「スワン…! ウメコ…!!」
その二人の名を喉の奥から搾り出す。
守れなかった。大切な女性(ひと)を。掛け替えのない部下を。
もう二度と戻らない笑顔を想った。
もう二度と聞けない声を必死に思い止めようともがいた。
傍らのシオンと恭介は掛ける言葉も見つからずに立ち尽くすドギーを見つめている。
たった数時間で最愛の女性と部下を失ってしまった彼に言えることなど、何もなかった。
「元気を出してくださ―――…」
それでもシオンが声を上げたその瞬間。

「見るに耐えんな、ドギークルーガー…戦士の女々しい有様など無様以外の何者でもない…」

「お前…!」
我を失っていたドギーは不意に叩きつけられた侮蔑の言葉に現実への帰還を果たした。
低くくぐもった声の先に、グレイがいた。
ここを発つ前と比べ、やや傷ついた姿で。
「お前! 少しは気遣いってもんがねーのかよ!! この人は今なぁ!…あれ、さくらさんはどうしたんだ、姿が見えないけど??」
当然その傍らに存在するべき人物の不在に恭介は疑問を投げかけた。
「まさか…お前―! さくらさんを!!」
考え付く結論は唯一つ。恭介は激情に突き動かされるまま、アクセルチェンジャーを構える。
「慌てるな、阿呆が…シオン、無事で何よりだ」
今にも飛び掛らんとする恭介を尻目にグレイはシオンへと向き直る。
「グレイさん…何があったんです?」
シオンの目にも恭介ほどではないが、困惑の表情が浮かんでいる。
「…今からする話を信じる、信じないはお前達の勝手だ…もしも信じられないなら俺を倒すなり、なんなり好きにしろ……――」


135 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 10:49:30 ID:4EPfqI6D0


グレイは事の顛末を語った。
放送を境にさくらが豹変したこと。
彼女が殺し合いに乗ったこと。そして自分が彼女を殺していないこと、全てを。
「そんな…! さくらさんが…そんなことするなんて…!!」
「…………………………………………」
シオンは告げられた事実に困惑の色合いを深めた。
ドギーは貝の様に押し黙ったまま、何事か思案している。
「俺は信じねぇぞ! そんな下手な作り話で俺たちを動揺させようなんて随分セコイ真似してくれるじゃねぇか!!」
いきり立つ恭介は先ほどから臨戦態勢の構えを解いてはいない。
人よりも大きな瞳はきつくグレイを睨んだまま。
彼の脳裏には暴虐な殺戮マシーンに無残な仕打ちを受けるさくらの姿がありありと浮かんでいた。
「…止めるんだ、恭介君。こいつは恐らく嘘を言っていない」
すっと水平に伸ばした右腕で恭介とグレイの間にドギーが割ってはいる。
「ドギーさん! あんた、こんな奴のいうことを信じるってのか!?」
非難の声を上げる恭介に向き直り、ドギーは告げた。
「こいつがさくら君を殺したなら、わざわざ偽ってまで言い訳する必要はない。
俺たちを殺したいなら問答無用で強襲すればいいだけの話だ。作り話なんて必要ない」
「だ・だけど…!!」
「恭介さん…僕もドギーさんの意見に賛成です」
更にシオンが間に入る。
「シオン! お前までこんなやつのいうことを信じるってのか!?」
「…恭介さん、僕だってさくらさんが殺し合いに乗ったなんてこと信じたくはないけど…グレイさんは、嘘は言ってはいないと思う。だって…グレイさん制限中でしょ?」
「なに…!?」
今度は恭介がグレイの方へ向き直った。
「あぁ…今の私は武装一切を使えない…今、お前達と交戦すればまず勝ち目はないだろうな…」
「丸腰でわざわざ戻ってきたわけか…目的はなんだ?」


136 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 10:50:21 ID:4EPfqI6D0
「…その前にお前達に確認しておきたい…6時の放送…あれを聞いてまだ、人を信じられるか?」
ドギーの問いかけにグレイは問いかけで答えた。
「これから先も人は死ぬ。恐らく…シオン、恭介、お前達の仲間も名を連ねて行くだろう…それでも他人を信用できるか?」
全員が言葉を失った。
「これから先に待つのはそういう世界だ。あるいはあの女のように殺し合いに乗るか、場合によってはこの場で命を絶つ方が楽かもしれん…それでも他人を信用できるか? 
ここにいる連中と生死を共に出来るか!?」
グレイは本心を明かす前に答えを聞きたかった。
彼らがどの様な選択をしようと、彼の成すべきことは決まっていたのだが。

「…随分とキャラに合わない言動をしてくるじゃないか…俺はSPD…それも地球署の署長だぞ? 警察官として成すべきことをなす! ただ、それだけだ」
立場を違えども、意見を違えども二人は戦士であるお互いの人格は認めている。
同じ愛する者を喪失したことが皮肉にも彼らの絆を深めたのかもしれない。
だから、どちらかが堕ちるときはもう一方がそれを死と言う形で押し留めるだろう。
「僕も…例え竜也さんやドモンさんに会えなくなっても…僕は皆さんと戦うなんて事は絶対にしない!!! …ロンの思い通りになんて絶対にならない!!!!!」
彼が橋渡しをしなければ、自分達はここに集ってはいないであろう。
グレイは闇に沈んでいたままだったかもしれない。彼はグレイの恩人だった。
「恭介…お前はどうだ?」
最後に。恭介の視線とグレイの赤い視線が交わる。
恭介は言葉を選びながらゆっくりと心底の思いを紡いでいく。
「…俺は…ドギーさんほど強い信念があるわけじゃない…シオンほど、会って間もないやつを信じきれるほど純粋でもない…俺は一般市民だからな…」
恭介の言葉にグレイは何も言わずじっと耳を傾けていた。
「…………………………………………」
「……俺は…一般市民なんだよ……」




137 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 11:38:30 ID:4EPfqI6D0
彼はそう繰り返した。偽らざる、恭介の気持ちだった。
「だけどよ…俺は…一般市民であることを貫くぜ。どこまでも普通であってみせる−! 
俺は瞬が心配だ。裕作さんが心配だ。菜摘が心配だ。シグナルマンが心配だ。あいつらが殺されたら…きっとわけわかんなくなっちまう…だけど、それで他人を襲うことなんてことだけはしない!! そんなこと絶対にしない!!!」
肩を震わせ、恭介は言い切った。胸の動悸が激しい。
そっと、恭介の肩に手が置かれた。ドギークルーガーの大きな手だった。
「これだけのことを言わせたんだ…お前の心底も聞かせてもらおうか…」
ドギーの視線とグレイの視線が深く交わる。

「私は…戦う」


掛け替えのない仲間の命を奪われ、我を失った女の悲しみを見た。
愛する人と信頼する部下を失った男の慟哭を聞いた。
もう、奪い奪われる光景は沢山だった。
―――――竜…―――――――
腕の中で崩れた人の言葉が脳裏に木霊する。
あの絶望を、慟哭を、もう味わいたくはなかった。
目の当たりに、したくなかった。
「本来なら…私はバイラムと共に滅び去るべきだった…だから、私は生ける屍も同じだった…
ドギークルーガー…私はお前との戦いで全て終わりに出来ると思った…宿敵との決着を奪われ、死に場所を失った憐れなガラクタ…だが、そんなガラクタにもしなければならないことがある――…」
彼は戦う。そう、今まで彼は戦ってきた。
戦うために生まれた。幾多の戦場を駆けた。
バイラムの幹部達は仲間と呼べるほどの絆を結んではいなかった。
個々が強くなりすぎた彼らは仲間と言うものを必要としなくなっていた。
だから、裏次元人に体力も知力も圧倒的に劣るはずの男が、たかだか肉体を十数倍に高める程度の強化服を纏っただけで自分と対等に渡り合うことに驚愕を覚えた。


138 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 11:39:18 ID:4EPfqI6D0
彼の強さの源を知りたくなった。
それが愛ゆえに、だと言うことをグレイは身をもって知ることとなる。
自分が永遠にそれを喪失した瞬間に。
「私達は同士だ。個々の力ならば私達に力及ばないはずの人間がバイラムを打倒したように…人の絆は何よりも脆く、何よりも強い――…私はそれに賭けてみたいのだ…お前達と一緒に」
何度叩き落されても、立ち上がり、羽ばたいて見せた漆黒の翼が脳裏に鮮明に蘇る。
あの不敵な笑みがありありと浮かんでいく。
彼はこんな自分を笑うだろうか。
グレイは知らない。彼もまた、愛ゆえに死んだ事を。
かつての彼のように自分は何かを守るために戦えるだろうか――
誰ともなく腕が伸びる。
時代も立場も異なる者達の手が垣根を越えて交差する。
そして、重なった。
「しかし、お前の口からそんな提案を聞くとは思わなかったな…」
「全くだぜ…俺たちは即席戦隊だな!」
「恭介さん、なんかカップ麺みたいですよ、それ…どうせなら“ドリーム戦隊”とか言えませんか?」
「おっ! そりゃあいい!! えーと、赤は俺。緑はシオン。ブルーはドギーさん。ブラックはグレイだな!」
「…私がブラックか……」
「なんだ? 嫌なの?」
「…いや、別に……」
「でも、やっぱ女の子がほしいよなー…さくらさんの穴は痛いって言うか…」


「だったらあたしがその穴を埋めてあげようじゃない…た・だ・し…あんたら全員あたしと理央様のために働いてもらうわ!! ロンを倒すためにね! ありがたく思いなさい!!」


139 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 11:40:09 ID:4EPfqI6D0
「お前は…!!」
驚愕する一堂の眼前に緑色のチャイナ服に身を包んだ女性拳士が佇んでいた。
「この女…」
制限中とはいえグレイにも、そしてドギーにすらその接近を感じさせず、彼女は近接に姿を現したのだ。
そのまま、メレは余裕の表情で腕を組んだまま一同を見回す。
どうやら知り合いは混じっていないようだが、彼らは殺し合いには乗っていないらしい。
彼女が欲しいのは、理央の戦力になりうる兵隊だった。
「ふざけんなっ! 緑はもう、シオンがいるんだよ! せめて黄色だろ、そこは!!」
「…恭介さん、論点ずれてます…そうじゃなくて――…」
シオンと恭介の掛け合いを前に、メレは自らの中に宿る力を揺り動かす。
「生憎ねぇ…猿顔の一般市民さん…あたしは緑色じゃなくて…金色よっ!!」
閃光が弾け、逆巻く風が周囲の大気を震わせた。
「これは…!!」
輝く羽根が舞い散るその中心に光り輝く金人の姿があった。

「幻獣フェニックス拳のメレ…!」

他者と交わらなかったことでメレはこのゲームにおけるルールを殆ど把握していない。
しかし、重要なのは今自分が力を発揮できると言う事実だ。
「その趣味の悪い成金武装はあの男と同じ匂いを感じるな…女…貴様何者だ?」
グレイが動じる様子もなく、メレに詰問する。

「あんなのと一緒にしてほしくないわね…わたしはわたし! あんたらは格の違いわかれば十分よ!!!」

新たなる戦いが始まった。




140 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 11:40:46 ID:4EPfqI6D0
【名前】グレイ@鳥人戦隊ジェットマン
[時間軸]:49話(マリア死亡後)
[現在地]:G-4都市 1日目 午前
[状態]:健康だが多少の傷(ダメージ軽微、戦闘に支障なし)。2時間戦闘不能
[装備]:自らのパーツ全て
[道具]:遠距離射撃用ライフル(残弾数4発) 支給品一式
[思考]
基本行動方針:戦いを終わらせるためドギー、シオン、恭介と共闘
第一行動方針:自分の納得のいく形でシオンに借理央返す。
第二行動方針:西堀さくらに違和感。

【名前】シオン@未来戦隊タイムレンジャー
[時間軸]:50話、タツヤと別れる瞬間(20、21世紀の記憶、知識は全て残っている?)
[現在地]:G-4都市 1日目 午前
[状態]:健康
[装備]:クロノチェンジャー
[道具]:ホーンブレイカー@忍風戦隊ハリケンジャー、鬼の石@星獣戦隊ギンガマン、支給品一式
[思考]
基本行動方針:仲間を集めて、ロンを倒す。
第一行動方針:首輪を解除するために、機械知識のある人間と接触したい。

【名前】陣内恭介@激走戦隊カーレンジャー
[時間軸]:メガレンジャーVSカーレンジャー終了後
[現在地]:G-4都市 1日目 午前
[状態]:健康。
[装備]:アクセルチェンジャー
[道具]:芋ようかん×3
[思考]
基本行動方針:殺し合いから生き延びる。 一般市民であることを貫く。
第一行動方針:新たに出会った仲間と共闘。



141 :◇8ttRQi9eksの代理投下:2008/11/10(月) 11:45:41 ID:4EPfqI6D0
【名前】ドギー・クルーガー@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:最終回時点
[現在地]:G-4都市 1日目 午前
[状態]:負傷、暫く戦闘不能(無理をした場合命に関わる)グレイと和解
[装備]:マスターライセンス
[道具]:ライフバード@救急戦隊ゴーゴーファイブ、支給品一式
[思考]
基本行動方針:首輪を解除して、ロンを倒す
第一行動方針:仲間と共闘する。

【メレ@獣拳戦隊ゲキレンジャー】
[時間軸]:修行その46 ロンにさらわれた直後
[現在地]:G-4都市 1日目 午前
[状態]:鳩尾に打撲。左肩に深い刺し傷。両足に軽めの裂傷。獣人形態となり能力を発揮中。
[装備]:釵一本@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[道具]:なし
基本行動方針:理央様との合流。理央様に害を成す者は始末する。
第一行動方針:目の前の連中を力で従わせる。ガイの仲間(蒼太とおぼろ)を撃退する。
第二行動方針:ゲンギが使えない原因を調べる。
第三行動方針:青と白の鎧を身に纏った戦士(シグナルマン)とガイに復讐する。
備考:リンリンシーの為、出血はありません。

タイトルは「即席戦隊」で

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

遅くなりましたが、代理投下終了。
いろんな意味で羽ばたいたな。メレ。
GJでした。



142 :名無しより愛をこめて:2008/11/10(月) 19:30:26 ID:+xoIldUWO
投下&代理投下GJです!
即席戦隊結成!
メレがイエローなら、ゴーオンジャーなのにと、ちょっと惜しかったりw

それにしても相変わらずメレは不敵というか向こう見ずというかw
果たして手負いと制限状態がいるとはいえ、4人がかりに勝てるのか!?
グレイも相変わらずハードボイルドでかっこよく、ボスの嘆きは胸をうちました。
面白かったですGJ!

143 :名無しより愛をこめて:2008/11/12(水) 19:37:07 ID:VFBnv8MrO



144 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/12(水) 23:22:03 ID:DeVgSUoyO
ただ今推敲中なのですが、自宅PCがアクセス規制に巻き込まれています。
代理投下していただくのも申し訳ないですし、明日の朝、自宅以外の場所で投下しようかと思うのですがいかがなものでしょう。
朝一もしくは昼休憩中になるのですが……。

145 :名無しより愛をこめて:2008/11/13(木) 00:49:56 ID:Leicw479O
>>144
了解しました。
自分が代理投下できれば良いのですが、何分携帯なもので……
申し訳ないです

146 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 10:43:05 ID:xkwAjiuY0
>>145
ありがとうございます。
お言葉に甘えて只今より投下します。

猿さん回避のため少々時間を掛けて投下しようか思います。


147 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 10:44:28 ID:xkwAjiuY0
ナツメをこんな風に抱いて寝かしつけたのは、いつが最後だっただろう。

美季の腕の中でドロップは健やかに眠りながら、時折『ママ……』と寝言を繰り返す。
手に伝わる暖かい温もり。柔らかな頬の感触。耳に掛かる穏やかな寝息。
母の手に委ねられる幼子の命の息吹。
久しぶりの感触はしばし眠っていた母性本能を目覚めさせたようで、とても満ち足りて幸せな気分に浸らせてくれた。
ほんの数分だけ、殺し合いを忘れさせるほどに……。

「行こう。F-7エリアでジルフィーザが待っている」

ティターンの声が美希を温もりの中から美希を現実へ引き戻した。
ジルフィーザが待っている……?
いいえ。待っているのは、ナツメだわ。
行かなければならないのは、急がなければならないのは、誰のためでもなくナツメのため。
取り戻さなければならないのは、ナツメと紡ぐ満ち足りた時間。

――― 殺し合いはまだ序盤、気を緩めるには早すぎる。

仄かに生まれた温もり。胸に蘇った幼いナツメと過ごした陽だまりのような時間。
少しだけ、それを名残惜しみながら胸の奥へ押しやった。
そして美希は、ティターンの呼びかけに力強く頷いた。

§

「ひどい爆発だったし。お兄さん、心配してるだろうな」

148 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 10:45:33 ID:xkwAjiuY0


そう言ってドロップの顔を覗きこんだのは最上蒼太だった。
遺跡で出会った明石暁と同じボウケンジャーの一員。
誰が見ても好感を持つ笑顔を振り撒きながら、それでいてさりげなく周囲を気遣う。
人材として蒼太を推し量るとしたなら美季は高い評価を与えると思う。
戦闘においても申し分ない。
とっさに機転を利かせられる柔軟な頭脳と高い身体能力。その両方を兼ねそなえている。 
もっとも、ネジブルーに渡した名簿にあった蒼太の経歴を考えれば当然の話ではあるが。
元を辿れば彼はスパイ。
人を懐柔する術など心得たもの。
磨き上げられた戦闘力と、冷酷な心。
今、笑顔の奥にある彼の素顔がスパイのそれならば。
フェミニストのように振る舞いおぼろを守っているのは、裏を返せば美希と同じ発想なのかもしれない。

「せやな、さぁ。はよいってお兄さんにドロップ君の元気な姿を見せたらな。なっ!」

纏の墓石の前で、そっと手を合わせていた日向おぼろが答える。
茶番だった救出劇で、戦闘の間に美希とドロップをタワーから連れ出したのが彼女だった。
震える手で美季とドロップの手を握り、もう大丈夫だと仕切にドロップを励ましていた。
その際に交わした僅かな会話からでも、おぼろの強い正義感と聡明さを感じ取れた。
だが同時に感じたのが戦闘能力の低さ。戦場において、自力で勝ち残る確率など皆無に等しい彼女の非力さを感じた。

「バウ!バウ!バウ!」
「マーフィー。あまり騒ぐな、お前も傷ついているのだ」

おぼろに答えるようにマーフィーが吼えた。

149 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 10:53:38 ID:xkwAjiuY0
その横でマーフィーの頭をティターンが優しく撫でている。
黒装束に身を包んだティターンのその姿は、美希が名簿で見た『冥府神ティターン』のそれとは違う。
支給品が姿を変えられる品だったのか、あるいはティターン生来の能力なのかはわからない。
けれど、人の姿に衣を借るあたり、争い事は好まないのだろう。
『命を守りたい』というティターンの根底に流れる思いは、この手で斬首したスフィンクスと同じ。
人間の絆と勇気を信じ、そして知ろうと願った愚かなる賢者『冥府神スフィンクス』と同じだった。

「ドロップの兄さんなら、俺と同じくらいかな?」

まだまだあどけなさをその顔に残しながらも、少し大人びた口調で並樹瞬が言った。
纏を弔った事で幾分落ち尽きを取り戻した瞬。ジルフィーザの元へ向かうにあたり、ふと湧いた疑問だったのだろう。

「うむ……。そうだな。美季とドロップ以外はジルフィーザを知らないんだったな……」

返答にティターンは詰まったようだ。
外見上ジルフィーザの年齢は判別しがたい。
しかし言葉に詰まった原因は年齢というよりも、童鬼ドロップの兄、冥王ジルフィーザの姿だろう。
角を生やした半獣の顔と、蝙蝠のような羽根、冥王の冠に相応しい異形の姿をしている。
ティターンが人外の姿を隠していることも含めてどう答えるつもりだろう?
美季はティターンの顔を見遣る。
押し黙っていたティターンが黒装束の肩に手を掛けた。

「ドロップの兄、そして、俺についても話しておきたい……。話すと言うより見てもらった方が解りやすいだろう。驚かないでくれ」

ティターンは脱ぎ捨てるように勢い良く黒装束を剥ぎ取った。

150 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 11:05:01 ID:xkwAjiuY0
体から離れた黒装束が七色の光彩を放つ。
光彩は綾をなし虹色の反物が、まるで本物の虹を描くように空に拡る。

「隠していたわけではなかったんだが。争いを出来るだけ避けるためには、人の姿の方が都合が良かったのだ。
俺もジルフィーザも人間から見れば、怪物だからな」

虹色の反物がふわりとティターンの手の中に落ちる。
黒装束を脱いだティターンの姿、畏怖されし異形の神の姿。
原子雲を彷彿させる巨大な頭部、深緑色の体躯に大蛇ような四肢。
誰もが一瞬、息を飲んだようだ。大きく目を開き言葉を発せずにいた。
美希はそれに習い、守るようにドロップを抱く手に力を込める。
その中で蒼太だけがティターンに厳しい眼を向け、アクセルラーを構えた。

「ちょっと、蒼太くん。びっくりしたんはわかるけど!」

おぼろはティターンの前へ割って入り蒼太を諌める。
瞬も蒼太を咎めるような視線を向けた。

「ええ。彼は敵じゃない。それは充分わかってます」

蒼太はすぐに穏やかな表情を作り、アクセルラーの表示をこちらに向けた。
液晶画面に赤く表示された文字をおぼろが読み上げる。

「ハザード……レベル120?」

151 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 11:07:00 ID:xkwAjiuY0
「ええ、ハザードレベル120。プレシャスです。世界各地に点在する人類の秘宝。僕たちボウケンジャーが探し求めるのがプレシャス。
ティターンの支給品もその一つのようですね。ハザードレベルは価値を数値で表したと思ってもらえれば……。
だけど、ボウケンジャーである僕が知らないプレシャスを支給されるとはね」

敵意のないことを示したつもりなのか、蒼太は軽く両手を挙げる。
ティターンは安堵した様子で再び反物を纏い、黒装束姿に戻った。

「このプレシャスの存在を知る者がお前の仲間にいるのだろう。その者と同じ時間から調達したんではないか?
これは纏が言っていたんだが……。参加者は同じ時間軸から集められたんじゃない、と―――」

巽纏が話したというそれぞれの時間軸の違い。
瞬とネジブルー、ドロップとジルフィーザを例えたティターンの話で、名簿の記載は事実だったと証明された。
証明されたのはいいが……。明石とヒカルに次いで、この場の面々にも知れたのだから他にも気付いたものも少なく無い筈。
ならば、それを逆手に疑心暗鬼の種として蒔くだけ。
参加者たちの団結を防ぎ、殺し合いを行わせるのが美希の役目なのだから。

「じゃあ、一概に知り合いだからと言って100パーセント信頼するのは危険かもしれないわね」
「……俺は知り合いいないけど。皆には、気をつけて欲しい。組む相手も助ける相手もしっかり見極めなきゃ、命を落とす可能性もある。
ここに来た事で、考え方が変わる場合だってあるから」

瞬が伏目がちに呟いた。

152 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 11:09:12 ID:xkwAjiuY0
励ますように瞬の肩を優しく叩いたのはティターン。
おぼろも蒼太も見守るような目で瞬を見ている。
その自嘲気味な呟きで、纏たちが回りくどくメガブルーを人質とした経緯が読めた。
当初、瞬は殺し合いに乗ろうとしてたのだ。

「だが、人との触れ合いの中で考えなどいくらでも変わる。この俺のようにな」

話題を変えようとしたのだろう。
ティターンは纏のデイバックを拾い上げた。
先程、瞬が泣きながらカレーパンを取り出しただけで残りはまだ確認していなかった。
中には『F−9 繭』と書いた紙切れと、手の平ほどの大きさの、鍬形の玩具のような品。
そして、残りの食料はナツメの大好きだったエッグタルト。
それ……。言いかけた美希を遮ったのはおぼろだった。

「それ、一楸ちゃんの……」

おぼろの知り合いの縁の品。クワガライジャーに変身するためのアイテム。
その人物は参加者にはおらず、支給品だけがこの場にある。
聞けばネジブルーが使ったソニックメガホンや、蒼太とおぼろが追っていたクエスターガイが持つクエイクハンマーもそうだという。
おぼろは落胆を隠さず声に出した。

「武器だけやなく、ゴウライチェンジャーまでここにあるやなんて。さっきの時間軸の話を考えたらろくな想像が浮かばん!!」
「とにかく、ロンを倒して帰るまでは何もわからない。これはお前が使うといい。一楸という者もそれを望むだろう」
「ありがとう。でもたぶんゴウライチェンジャーは誰にでも使えるんや。『迅雷・シノビチェンジ』の掛け声で起動すると思う。
一応預らせてもらうけど……。いざとなれば使い回しが利くってのは皆覚えといて」

おぼろがゴウライチェンジャーを受け取るのを美希は横目で見ていた。

「って、うちのことばっかり言ってごめんなさい。そういえば美希さん何か言おうとしてたやろ?」

153 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 11:10:18 ID:xkwAjiuY0
「いえ、私こそごめんなさいだわ。偶然見えたバックの中のエッグタルトが娘の大好物だなの。こんな時にそれを気にするなんて……」

どうかしている。
今はエッグタルトより、汎用性のあるゴウライチェンジャー。これがあれば殺し合いも楽になる。

「こっちの『繭』に誰か心辺りは無いか?」

腕の中でピクリとドロップが反応し目を開いた。
ゆっくりと視線を動かしティターンを見た。

「行かなきゃ……」

ドロップが行きたいのは繭なのだと思った。
この子が人間の姿をしているのと何か関係があるのかもしれない。

§

「バ……ウ!バ!……ガッ!!」

蒼太がバリサンダーを押しながら進む横で、じゃれるように歩いていたマーフィーに異変が起こった。
突然、壊れたデジタル音を発しマーフィーは崩折れる。
駆け寄ったおぼろはネジブルーに撃たれた箇所を見て顔をしかめた。

「ちょっと酷いな。 回線が切断されてぐちゃぐちゃや」
「修理は可能なんですか?」
「完全にというわけにはいかんやろな。まぁ歩けるぐらいには修理できると思うけど。すぐって訳には……」
「時間が必要ってことですね」

時計を確かめながら蒼太が2組に別れようと提案した。
ティターン、美希、ドロップはジルフィーザの元へ。

154 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 11:16:15 ID:xkwAjiuY0
おぼろ、蒼太、瞬は向かうエリアとは反対方向に見える工場でマーフィーを修復。
終わり次第、合流場所である瞬が纏と休憩を取ったというビルへ向かう。

別れ際、瞬が美希に話しかけてきた。

「纏さんが書いてくれた手紙も気になるし、本当は一緒に行きたいんですけど……」
「しょうがないわね。ティターンの話じゃジルフィーザはちょっと気むずかしそうな感じだから。
先に行ってきちん話しておくわ。ドロップを命がけで守ったあなたたちのこと」
「ドロップ、会ったのが美希さんで良かったですよね。でも美季さん、ずっと抱いてたら重くないですか?」
「ありがとう。大丈夫よ」

礼を言うと瞬は笑顔を浮かべて軽く頷いた。

「瞬くん、高校生よね。お母さん心配してるでしょうね」
「確かにさっきまでの俺なら、きっと心配してたと思います」

美希ははっと名簿に書かれていたことを思い出す。
瞬は幼少の頃、フルート奏者だった母親を亡くしている。
美希に抱かれるドロップを、瞬がどこか懐かしむように見つめた。

「でも、もう心配させないつもりです。空で、纏さんと一緒に見てくれてるだろうから」

纏の死は彼に成長をもたらしたようだ。
仲間の死を乗り越えて強大な敵に立向かっていく。
皆の悲しみも怒りも正義の為の力となるのに、なぜ自分だけ母としての愛情を殺意に変えなければならないのだろう。

「次に会う時まで、良かったら使って。これは盾の型やけどジョイントを組み変えたら手槍にもなるし」

おぼろがイカヅチ丸を美希に差し出した。

「うちはゴウライチェンジャーも預ってるし、マーフィーを修理したらすぐそっちへ向かうから。ドロップ君をたのんます。そのために纏さんも命を懸けはったんやし」

155 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 11:18:22 ID:xkwAjiuY0
「それに、僕がついてますから。っと、蒼太さんも」
「お、瞬くんなかなか言うてくれるやないの。ちょっと蒼太く〜ん。今の聞いた?」
「じゃあ、僕も瞬くんに守ってもらうよ。よろしくメガブルー」

おぼろと瞬が笑いあう。
その輪に蒼太が加わった。
蒼太の素顔はもうスパイじゃない。これが彼の素顔なのだと美希は思った。
屈託なく笑う三人。
年も顔も背格好もなにひとつにていないのに、なぜかジャン、レツ、ランの笑顔と重なった。

越えてはいけない一線を踏みこえてしまった美希には、彼らがとても遠く感じる。
巽纏を救えなかったのだから、犠牲を出してしまったのだから、彼らも同じだと、そう思えば楽になれるだろうか?

美季はもう一度、ひとりひとりを見つめていった。
目が眩むほど輝いた笑顔がそこにあった。
ふと、今ならまだ戻れるような気がした。
今止めてしまえば、まだ間に合うのではないかと。
スフィンクスを殺したことも、纏を殺したことも、全部仕方の無いことだった。
でもその罪も、スフィンクスと纏ならば許してのではないかと……。

纏の墓石に目が止まる。
墓石と言うにはあまりにも不格好な岩の下で、巽纏が眠っているのだ。
言い知れない寂寥感が美希を包んだ。

あなたは私を恨んでいるでしょうね。

仕方が無いこととは言えなかった。

156 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 11:19:44 ID:xkwAjiuY0
許してもらおうなどと都合の良すぎる話だった。

「次……」

腕の中でドロップが、美希以外には聞こえないくらいの小さな声で呟いた。
美季はドロップの冷めた視線を追った。
ドロップの視線がティターンの背を射抜く。

結局、この中に美希が利用出来る者などいない。

わかっている。
早いほうがいい。
私が迷いを振り払うためにも……。

答える代わりに美季はドロップの頭を撫でた。

§

歩いていく美希、ドロップ、ティターン。
その姿を思い出すと瞬は少し複雑な感情に駆られた。
本当ならば自分もついて行きたかった。
行って全部終わらせてくるつもりだったのだから、何となく不完全燃焼を起こしている。
蒼太たちと共に来た鉄工所で瞬は特にすることなど無なかった。

マーフィーが心配じゃないかと言えば、あまり心配でもなかった。
なぜならここに着いた途端、おぼろはメカニックとしての本領を発揮。
テキパキと蒼太と瞬に指示を出す。
結局、プロと学生の差がでたというか、助手の仕事にあぶれた瞬は邪魔にならぬよう隅で大人しく待っているしかなかった。

157 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 11:21:51 ID:xkwAjiuY0
しばらくして一段落したのか、おぼろと蒼太がペットボトルを片手にこっちへやってきた。
マーフィーはまだ作業台で寝そべっていたが鳴き声は以前よりうるさいぐらいの声に戻っていた。

「気になるかい」
「そりゃ、纏さんの残してくれた手紙のこともあるし」
「じゃ、これを持って様子を見にいくってのはどうかな?」

蒼太が渡してくれたのはゴウライチェンジャーだった。
マーフィーの修理はもう一息で終わるらしい。
ただ残念なことに材料も乏しく、予想していたよりも修復は出来ないようだ。
施せるのがあくまでも応急処置なので、あまり長い時間は歩かせられない。
そこでバリサンダーに乗せて運ぼうとなったが、押して行くには負担と時間的なロスが大きすぎる。
乗って行くには、おぼろがマーフィーを抱えることになるが。
となると瞬は一人あぶれてしまう。
続けて蒼太からクエスターガイに奪われた天空の花の話を聞いた。
仕掛けられた時間のリミットもある。
瞬にゴウライチェンジャーを託してみようと二人は思ったらしい。

「もちろん、一人になるのは危険やし。瞬くんがいややったら無理強いはせえへんで」
「行きます。もちろん」

その時、瞬はすでに立ち上がりデイバックを担いでいた。

§

幼いドロップの歩みに合わせ、ゆっくりと歩みを進める。
ドロップの歩みのせいだけではなかった。
ここはちょうど美希がテルミット弾を仕掛けたタワーの裏手。
壊れた街の残骸が、美希の最後の良心に縋り付くように歩みを遅くさせていた。

158 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 11:24:07 ID:xkwAjiuY0
ティターンは誰かに話したかったのだろうか。
歩きながらする会話がいつの間にか放送で呼ばれた死者の話へ、そしてその中のティターンの知り合いへと話は自然に流れた。
小津勇、深雪、麗。そしてスフィンクス。
スフィンクスとティターンは人間界で命の大切さを学んだ。
人の絆、兄弟や家族の思い、それは今まで美希も何より大切に、どんなことより強く願う思いだった。
無意識に美希は立ち止まった。

「少し時間を貰えない?ずっとドロップを抱いていて纏さんの墓前で手を合わせてられなかったのよ」

つい口から出た言葉が、ティターンに対する演技なのか、自分の本心なのか一瞬わからなかった。

「構わないが、戻るか?」
「いいえ、ここで良いわ。ここが爆心地みたいだし、この爆発のせいで纏さんが亡くなったのだから」

美希は手を合わせてみた。
不思議に後悔も、懺悔も、何も湧き上がってこない。
感情のすべてを凍らせてしまったかのようだった。

本当に心が凍ってしまえばいいのに……。何の迷いもなく目的の為に殺戮を厭わない殺人マシーンだったら……。

ナツメを救わなければならないという思いが、溢れそうな感情を必死に凍結させていた。
長く長く、美希は手を合わせたまま動けないでいた。

「どうしたのだ」

ティターンとドロップが不思議そうに自分を見ている。
言われて始めて頬を伝う涙に気がついた。

159 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 11:30:47 ID:xkwAjiuY0
出来ないの?
声にださずに呟いたドロップ。
不意に美希の両耳を引っ張っぱった。

「勇気……。出ろ、出ろ」

大丈夫よ、出来るわ……。
美希はドロップにだけ聞こえるようにそっと優しく囁いた。
始末するならなるべく早いほうが良い。
ジルフィーザど組まれ、瞬たちと合流した後でより、今。
ぐらついた気持ちと決別するにもティターンの存在は障害のように思えた。

「何でもないわ。目にゴミでも入ったみたいね」

美紀はそっと涙を拭い取り、ティターンに微笑みを帰した。
その時。
タタッ。軽い靴音を響かせてドロップがティターンに駆けていく。
それはスキップするように、まるで父親甘える子供のように。
飛び跳ねたドロップはティターンの肩へ攀じ登った。
ティターンはどこか嬉しそうに、しっかりとドロップを大きな背で受け止め、両腕で支えた。
スッと首に回されるドロップの細い両腕。
その手に持つのは幼子の玩具ではなく鏡の破片。
ナイフのように鋭い欠片が朝日を受けて煌めいた。

「マトイお兄ちゃんと皆のおかげで、大事なこと全部思い出したよ」

無垢な幼子の表情は無く冷たい殺意に満ちた目。

160 :名無しより愛をこめて:2008/11/13(木) 12:39:23 ID:jmjBVgIQ0



161 :名無しより愛をこめて:2008/11/13(木) 14:57:43 ID:V6Ltb5720
支援

162 :本当にすみません。続きいきます ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 16:42:53 ID:h0HNdxI80
ドロップが黒装束の肩口を強く引く、黒装束が反物に戻りふわりと落ちた。
手伝うよ。
ドロップの目が語っているようだった。

「やめないか、遊んでいる場合ではないのだ」

悪戯を咎めるティターン。
嗤いながらドロップがティターンの首を締め上げる。

「うぐぅ!」

うめき声を上げながら、ドロップを振りほどこうとする手は、どこか躊躇しているようだった。
ティターンには信じられないのだろう。
首をへし折られそうになりながらも、振りほどこうとする手を破片で切り裂かれようとも……。

グチッグギリッッ!

骨が、血管が、器官が破壊される音が響く。
深緑色のティターンの額に、ミミズがのたうつように血管が浮き立つ。
ティターンの首が見る見る捻り曲がった。
笑い声こそ上げないがドロップが狂喜しているのがわかる。

「〜〜〜♪」

ドロップは手柄を立てた子供のように誇らしげな笑顔を美希に向ける。
タンッ。
ティターンの体を蹴って軽快にジャンプし美希の方へ駆け寄る。

「美……希……逃…げろ……」

まだティターンにはわからないのだろうか。
この手に握っているのは、手槍の型を成したスタッグブレイカー。

163 :本当にすみません。続きいきます ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 16:44:28 ID:h0HNdxI80
美希はありったけの力を込め、槍先をティターンの胸へ突き立てた。

「逃げろ?どこへ逃げればいいのよ……。このまま逃げてどうしろと言うの?!」

手に伝わる肉を突き破る感触。
スタッグブレイカーはティターンの胸に深々と突き刺さる。
そこで初めてティターンは何が起きたのか悟ったようだ。
抵抗するかのように美季の肩を掴む。
否、ティターンの暖かい手からは抵抗の意思でなく、改心を願う温情が伝わってきた。

不意に……。

―――ドロップ君をたのんます。そのために纏さんも命を懸けはったんやし
おぼろの声を思い出す。

―――お兄さん、心配してるだろうな。
蒼太の優しい笑顔が蘇る。

―――空で、纏さんと一緒に見てくれてるだろうから。
悲しみを力に変えた瞬の姿が脳裏に浮かぶ。

―――人の未来は地球の未来なんだ!
纏の叫びが胸を突く。

―――人間の絆、そこに溢れる勇気。私は信じています。そして、もっと知りたいのです。
スフィンクスの願いが心を砕こうとする。

―――ママ!
ナツメの声が頭の中で弾けた。

―――あなたは戦わなければならないのです。なつめさんを失いたくなければね……。

164 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 16:45:12 ID:h0HNdxI80
ロンに引き裂かれるナツメの幻が眼の前に広がる。

「あなたたちと……。こんなふうに出会いたくなかった……」

もう一度スタッグブレイカーを引き抜き再びティターンめがけ突き出した。
僅かに体を捻ったティターン。その右脇腹をスタッグブレイカーが抉り取る。

「ナツメを……守るためなの……」

美希は右手に力を込めた。
うっすらと美希の背後に浮かび上がる激獣レオパルドの巨躯。
激気が濁流如く身体を駆け巡り、右手に流れ込む。

「激技、貫貫掌……」

美季は激気を込めた掌底をティターンの脇腹へ打ち込こんだ。
その瞬間、時が止まったようにティターンの身体が静止した。

「……その……悲しい拳で……守ろ……うというのか……?」

ティターンはそっと優しく包むように美希の手に触れようとした。
だが、フッと力が抜けたようにだらりと手が下がった。
前へ崩れていくティターンの身体を美希はそっと支えた。
手に伝わるのは冷えて行く温もり。硬直した身体の感触。耳を澄ませても聞こえない息吹。
美希の腕の中で消えていく命。
これでまた一人。

165 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 16:45:55 ID:h0HNdxI80
美希はティターンの身体を地へ横たえ、ゆっくりとその場を離れた。

ゴオオオオッ……。

燃え盛る火柱がティターンを包んでいた。
火柱はすぐに掻き消えた。後に残ったのは炭化した黒い塊だった。
ドロップがぎゅっと美希の手を握った。

「行きましょう。あの子たちが来る前に、ジルフィーザのところへ。
お兄さんにはあの子たちの始末を手伝ってもらった後、死んで貰うわ……。それでいいわね」

ドロップは力強く頷いた。

§

「っと、美季……さん?まだ、こんな所にいたんだ」

瞬は、追い付いた美季に一瞬声をかけて良いのか戸惑った。
タワー付近で追い付いたが、そこにティターンの姿はなく。
少し怖い顔をした美季がドロップの手を引きF−7エリアの方角へ向かっていた。

「ティターンは、どうしたんだ?」

美季が出てきたのはタワー裏手、爆発の中心あたり。
爆発の原因でも調べていたのだろうか? 
もしかしたら、人質だった美季は自分たちより纏の死に責任を感じているのかもしれない。

166 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 16:47:42 ID:h0HNdxI80
ティターンの姿がないのは瞬の位置からティターンが見えなかっただけかもしれないのだし。
だが、何となく美季の表情が気になる 。

「何もないんだろうけど」

行く先はわかっているのだから確かめてから合流しても遅くない。
瞬は爆心地へ近づいた。

溶けて曲がった鉄骨も、黒ずんだコンクリートも、爆発の酷さを物語っていた。
瞬はいたたまれない気持ちになった。
こんなところで何をしようっていうのだ。
確かめたところで何もない。
それよりも早く追い付いて美季たちの護衛にでも回ったほうがいい。

ティターンがいないということ。
最悪の想像をすればネジブルーの声に集まった誰かから、自ら囮となって美季たちを逃がしたとも考えられる。
やはり早く美季に確かめてみなければならない。

「行こう」

瞬は、デイバックを担ぎ直し瞬はタワーに背を向け走り出した。
ガサガサとバックの中身が揺れる。

「あぁ、支給品の変なカプセル。別れる前に、蒼太さんに見て貰えば良かった。案外これもプレシャスってヤツかもしれないな」



167 :名無しより愛をこめて:2008/11/13(木) 16:50:28 ID:E12C3MJvO
支援

168 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 16:51:57 ID:h0HNdxI80



§

ガサッ。ガサッ。ガサガサッ。ガサッ。ガサッ。ガサガサッ。ガサッ。ガサッ。

デイバックから聞こえるのは不規則に、僅かに歩調と異なる音。

ガサッ。ガサッ。ガサガサッ。ガサッ。ガサッ。ガサガサッ。ガサッ。ガサッ。……ガサッ!

§




169 :名無しより愛をこめて:2008/11/13(木) 16:57:40 ID:E12C3MJvO



170 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 16:57:44 ID:h0HNdxI80


……ィ…ターン。ティターン。

深い闇の底に沈んだティターンを呼ぶ声がする。
その声にティターンの頬が緩む。

……相変わらず、人とは興味深いものです。
勇気と絆の力で闇に打ち勝つのも人間なら、子の為に修羅に堕ちるのもまた人間。
もう私たちに出来ることは見守ることだけのようですね。

闇の底に一筋の光が差し込んだ。

……さぁ、行きましょう。
そして、あなたに何から話しましょうか。
あなたが眠った後のインフェルシアと人間界のしましょうか?
それともここで出会った者の話にしましょうか?

光の中から声の主がティターンに手を差し伸べる。
 
あぁ、行ったらゆっくり聞かせてくれ。
俺たちに時間は充分にあるのだから……。


【冥府神ティターン 死亡】
 残り32人


171 :名無しより愛をこめて:2008/11/13(木) 16:57:52 ID:V6Ltb5720



172 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 17:02:18 ID:E12C3MJvO
【最上蒼太@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.3、後
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:良好。1時間ボウケンブルーに変身できません。
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー、バリサンダー@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:ヒュプノピアス@未来戦隊タイムレンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:マーフィー修理後、おぼろと共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:おぼろを守る。ジルフィーザと合流する。
※首輪の制限に気が付きました。
※時間軸のずれを知っています。

【日向おぼろ@忍風戦隊ハリケンジャー】
[時間軸]:巻之三十、後
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:全身に軽い火傷、打撲。応急処置済み
[装備]:イカヅチ丸@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:マーフィー修理後、蒼太と共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:首輪を何とかする。ジルフィーザと合流する。
※首輪の制限に気が付きました。
※時間軸のずれを知っています。


173 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 17:03:09 ID:h0HNdxI80
【名前】並樹瞬@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第2話後
[現在地]:F-5都市 1日目 朝
[状態]:全身打撲火傷、応急処置済。1時間メガブルーに変身できません。
[装備]:デジタイザー。ゴウライチェンジャー。
[道具]:支給品一式、カプセル(次元虫)その他確認済み
[思考]
基本行動方針:元の世界に戻って夢を叶える前にこのゲームを終わらせる。
第一行動方針:纏の死に深い悲しみと強い決意。確実に成長。美希とドロップを追う。
備考:瞬はマトイから、×ドロップ、△冥王ジルフィーザ、○浅見竜也、○シオン、○ドモンの情報を得ました。
 変身制限があることを知りました。
※時間軸のずれを知っています。


【名前】マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:不明
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:銃弾によりかなり破損、修復中。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:???
第一行動方針:修理を受ける

174 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 17:03:51 ID:h0HNdxI80
【名前】真咲美希@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:物語中盤
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:健康
[装備]:マシンハスキー@特捜戦隊デカレンジャー(鍵のみ、タワーの損壊で壊れている可能性があります。ネジブルーの物とすり替えました)スタッグブレイカー@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本方針:なつめを救うために勝ち残る 。
第一行動方針:ジルフィーザを利用して瞬、おぼろ、蒼太の殺害。
※時間軸のずれを知っています。

【名前】ドロップ@救急戦隊ゴーゴーファイブ
[時間軸]:26話、サラマンデス覚醒前
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:健康。二時間能力発揮できません。
[装備]:不明
[道具]:メメの鏡の破片、虹の反物
[思考]
第一行動方針:不明
※時間軸のずれを知っています。



175 :腕の中で眠るあなたが大好きだった ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 17:08:00 ID:h0HNdxI80
以上遅くなり申し訳ありませんでした。

指摘、問題点、感想等、お願いいたします。

一点、修正させてください。
>>154
おぼろがイカヅチ丸を美希に差し出した。

おぼろがスタッグブレイカーを美希に差し出した。

でした。

路しくお願いします。


176 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/13(木) 17:17:12 ID:E12C3MJvO
大事なことを書き忘れていました。

ラストのスフィンクスのせりふは死者すれから引用させてもらっています。
作者氏にことわりなく引用しているので不快であれば書き換えます。


177 : ◆8ttRQi9eks :2008/11/13(木) 19:40:56 ID:NqDwPy7v0
◆MGy4jd.pxY さん、投下お疲れです。
いつも代理投下していただいている私は恥ずかしい限りです。
サブタイトルが良いですね。最悪の目覚め方をしたドロップ、ぶれはじめた美希の対比が面白かったです。
そして…ティターン散ってしまいましたね。マジレン勢で残るはヒカル先生だけ。
この先、ジルフィーザとドロップの邂逅が何をもたらすか? 引きの鮮やかさが印象深いですね。参考にしたいです。


また、大変遅くなりましたが、代理投下していただき真にありがとうございました。
感想は本当に励みになります。次回作も頑張ります。
つきましては纏めの際、以下の部分を修正していただけませんでしょうか?
申し訳ありません。
>>131
>ただし、メレは全員の人とな理央知っているわけではない。
は誤りで人となり、でした。
>>134
>「…今からする話を信じる、信じないはお前達の勝手だ…もしも信じられないなら俺を倒すなり、なんなり好きにしろ……――」
一人称は私です。

178 :名無しより愛をこめて:2008/11/13(木) 20:01:18 ID:Leicw479O
投下GJです!

ティターン死す……
彼はロワで生き残るには優し過ぎたのかもしれませんね。

前半のどこか穏やかな光景から、一転の悲劇。
美希の迷いとティターンの優しさが哀しかったです。
タイトルが胸に刺さる……

そして、いよいよ目覚め始めた次元虫にドキドキw

死者スレを投下したのは自分ですが、不快などという事はまったくないです。
むしろ光栄でした!
面白かったです!GJ!

179 :名無しより愛をこめて:2008/11/15(土) 23:29:23 ID:E+JcO7VRO
保守

180 :名無しより愛をこめて:2008/11/17(月) 01:16:30 ID:rQAm2tmcO
遅くなりましたがGJです!面白かった!

マジレンジャーは全滅までいよいよリーチか……負けるな!ヒカル先生!w

181 :名無しより愛をこめて:2008/11/18(火) 11:52:08 ID:yGVLl6sR0
それでもスモーキーなら、スモーキーなら、きっとなんとかしてくれる。

182 :名無しより愛をこめて:2008/11/21(金) 00:43:31 ID:WX/tXRSCO
正義の保守を突っ走る。
パロロワ戦隊保守レンジャー

183 :名無しより愛をこめて:2008/11/22(土) 22:45:36 ID:QlF1XhgH0
「映士! 映士なのね!! 良かった、無事だったのね!!」
目の前に現れた意外な人物に高丘映士は呆気に取られた。
銀色の髪の毛はちじれ、白い装束は土に汚れ、酷く消耗した様子でふらふらと彼に近づいてくるのは、
母であり、西のアシュ−ケイだ。
「お・おふくろ!? なんでこんなとこに!!!」
動揺する映士はしかし、すぐに冷静さを取り戻す。
「お袋…」
彼女が映士の前に憔悴しきった姿で現れたのは映士がウメコの死を確認してすぐ後のこと。
放送後に仲代と菜摘と合流すべく歩みだしてすぐ後のことだった。
「映士! 無事だったのね! 怖かったわ!! 怖かった!!!」
ケイは崩れるように映士へその身を預ける。その唇は真っ青だ。
「お、おいおい…大丈夫かよ!?」
「えぇ…もう、大丈夫よ…あなたがいてくれるもの…――」

「そうか…だったらもう、離れろよ。気色悪くて仕方ねぇ…女装なんていい趣味とは思えねぇな」

映士の乾いた言葉にケイは素早く身をはがし、間合いを取る。
「そんなんで俺が騙されると思ってんのか!? そのネタはもうオウガが手をつけちまってんだよ、舐めんじゃねぇぞっっ!!」
ケイは大袈裟に両手を広げ、やれやれという様に肩を竦めてみせる。
次の瞬間、金色の煙に全身が包まれ人の形をした邪な竜が姿を現した。
「てめぇ…どういうつもりだ!!」
目の前に立つは金色の衣を纏った怪人。この馬鹿げた宴の主催者―ロン。
「流石にガイを下した後のあなたにこんな手は通用しませんでしたか…」
ロンは不敵な笑みを浮かべたまま、映士と対峙した。
「別にたいした用事ではありませんよ。ちょっとしたお願いと運動を兼ねてあなたの前にお邪魔したと言うわけですよ…
お手間は取らせません。そして、損もさせません。」
「何言ってんだ、てめぇ…!」
怒気を強める映士の拳に力が篭る。手に持ったサガスナイパーが震えた。



184 :名無しより愛をこめて:2008/11/22(土) 22:46:25 ID:QlF1XhgH0
「ですから、私とちょっとしたゲームをしていただきたいんです…余興ついでの余興? ね、いいでしょう? 絶対に損はさせませんから」

「あなたが、もしもただの一箇所だけでも私に傷をつけることが出来たなら、あなたの願い事を何でもかなえて差し上げましょう…
なんでも結構ですよ。両親を蘇らせたい、伊能真墨を蘇らせたい…何でも結構です」
映士はしばし沈黙し、一つの質問を投げかけた。
「…今すぐ殺し合いを止めさせたいといってもか?」
「無論、構いません」
「ふざけんじゃねぇ!! てめぇどこまで人をバカにしたら気が済むんだ!!!!」
激昂し、サガスナイパーの切っ先をロンの眼前に突きつけた。
この距離からなら、例え首輪の爆発と刺し違えてもロンの首を落とせる。
互いの制空圏が色濃く交わった近接の緊張が走る。
「私は本気ですよ…最近、皆さん何を言っても誰も信じてくれないんですよ…必ず嘘だの裏があるだの…
私は誠心誠意、他者を尊重しているつもりなんですがねぇ…皆さん、随分疑り深くていけません」
「自業自得だろ」
互いの視線が深く交わる。
しかし、きつく目を凝らしてみても龍の瞳の奥の真実は見通せなかった。
「…本当に信じて欲しいなら、まずはこの首輪を外して見せろよ…それができたらお前の戯言に付き合ってやる」
映士は低い声でそう言い放った。

「いいですよ」

事も無げにロンはそういうと指を軽くこすり合わせた。
パチン。
乾いた音を合図に映士の首から金色の戒めが地面に落下した。
「――――――…!」
あまりにも呆気ない解放に映士はいうべき言葉も見つからず、しばし首をさすった。
「さぁ、これでいいでしょう。しばらくは首輪を外していても大丈夫。これで気兼ねなく戦えるのではありませんか?」
余裕の表情でロンが言う。
「…何のつもりかしらねーが、てめぇ相手の殺し合いなら喜んで乗ってやるぜ! 真墨のことやらウメコのことやら気にくわねぇことだらけだからな!!!」
ロンの言葉の不自然さを気にも留めず、映士は右腕のブレスのカバーを勢いよく開いた。



185 :名無しより愛をこめて:2008/11/22(土) 22:48:32 ID:QlF1XhgH0
「ゴーゴーチェンジャー!!」

刹那、目もくらむほどの眩い輝きと共に一瞬で白銀の戦士が誕生した。
肩に担いだ専用のボウケンアームズ<サガスナイパー>を身体の前面へ旋回させると同時に折りたたみ変形させる。
無駄のない一連の動作で素早くトリガーを引く。
映士の怒りを反映する様な断罪の光が連なって丸腰のロンを襲った。

「フフ…どこを狙っているんです??」

ロンはまるで意に介す様子もなく、ただのらりくらりと弾道の軌跡を読んでいるように弾雨を避けていく。
「これでは運動不足の解消にはなりませんよ…もっと頑張ってほしいですねぇ……」
括る事、裂くことの通じぬ流水がごとき動きに標的が一定しない。
オリンピック候補であったさくらならともかく、元々白兵戦を主体とする映士には分が悪い。
「あぁ、そうそう…言うのを忘れていましたが、この戦いは殺し合いの外の出来事。私自らあなたの命を奪うことはありませんし、
今後のあなたの行動に差し支えるような肉体的外傷や制限を負わせる真似もしませんからご安心を。
勝っても負けてもリスクは一切なしです。外れなしのクジみたいなものですよ」
龍が微笑む。顔一杯に笑顔を浮かべて。
「うるせぇっっ!!」
あたらぬなら当たりに行くまで。
リーチの長さを生かした豪快な槍捌きこそ、高丘流の真骨頂だ。
今滅の錫杖に見立てたサガスナイパーをまるで身体の一部のように軽々と振り回し、悪辣な龍を追撃する。
しかし、数々の危難を払ってきた、父から受け継いだ高丘流が通じない。
「あぁ…お願いの方ですがね…高丘さん、あなたに殺し合いに乗ってほしいんですよ」


186 :名無しより愛をこめて:2008/11/22(土) 22:49:44 ID:QlF1XhgH0
思い出したようにロンが言う。
「俺が他人を殺す!? 夢見てんじゃねぇぞ!! 皆が皆お前の思い通りになると思ったら大間違いだぜ!!」
感情の大きなうねりに獲物を振り回す動きが鋭さを増す。
しかし、ロンはひらひらと紙のように舞うだけで、全くそれを意に介さない。
「そうなんです、問題はそこなんですよ。絆の力があなたを人に留めている。
父から受け継いだ誇りと、母であるケイの注いだ愛情。仲間達からの信頼。
わたしはね、高丘さん…今回、そうした規格外の力に挑戦しようとこのゲームを企画したんです」
「なに…!?」
「わたしはかつて、一度人に敗れました。その時にね、あなたに良く似た境遇の男を使って私の敵をかく乱しようと目論んだことがあるんです…
しかし、彼は予想に反して私の仕掛けた呪縛を打ち破った…このゲームに参加しているある男もそうです…彼らは私の手のひらで踊る操り人形に過ぎなかったのに……」
「ようするにてめぇは人の力を見くびったってことだろ! 無様な話じゃねぇか!!」
ボウケンシルバーは一旦、間合いを開くと大きく獲物を真横に薙いだ。

「サガスラッシュ!!!!!!!!」

白銀の閃光がロンを激しく打ち据える。
しかし、彼は微動だにしなかった。
そっと手をかざす。
次の瞬間、断罪の輝きは竜の手のひらで四散した。
「ですがね…人の心など脆いもの………あなたはこのゲームで既にそれを一度目撃しているはずです」
頭が砕け、無残な死を遂げた胡堂小梅の姿が脳裏によぎる。
「彼女は宇宙警察に所属する優秀なSPDでした…常人より体力的にも精神的にも勝る人物でありながら、
彼女は己の心の弱さに打ち勝てなかった…そしてあんな形で最期を迎える羽目になってしまった」


187 :名無しより愛をこめて:2008/11/22(土) 22:50:32 ID:QlF1XhgH0
「…………!!」
「そして、それはあなたの仲間とて例外はありません」
「なに!? どういうことだ、そりゃ!!」
「こういうことですよ」
ロンの体が解ける様に煙となってあたり一面を黄金色に染め上げる。
「くそっ! 逃げるつもりかよ!! 勝負は終わってねぇぞ!! ロン!!!」
煙の中にまぎれたロンの姿を探して映士は煙の只中へ飛び込んでいく。
しかし、もうもうと立ち込める煙の中では居場所は定かではない。
頼みのサガスナイパーも反応を掴めないでいる。

「出てこいっ!! 出てこい、ロン!!!!」

激昂し、闇雲に突き進む映士の眼前が急に開けてくる。
その先の光景に映士は言葉を失った。


『…殺さ…ないで……ください…お願い…します…――…』


これは、誰だ。
姿形は映士のよく知る女性に似ているが、彼女はこんなことはしない。
地に膝をつき、宿敵の足を懸命に舐める。
彼女なら、こんなことは絶対にしない。
「おいっ! ロン!! てめぇ、こんなまやかし見せてどういうつもりだ!!」
そうだ。
これはロンが見せた悪夢に違いない。こんな無様な女が彼女であるはずがない。
現に、彼女は瀕死になった自分を庇って戦ってくれたではないか。
…――人の心など脆いもの。そして、それはあなたの仲間とて例外はありません――…
「聞こえてるんだろ!!! 返事をしやがれッッ!!!」



188 :名無しより愛をこめて:2008/11/22(土) 22:51:20 ID:QlF1XhgH0
『私の完全な負けです…あなたにはもう、逆らいません…どんなことでも言うことを聞きます!
…ですから…命だけは助けて下さい!!』

どれだけ大声を張り上げても飛び込んでくる声に映士は胸を掻き毟られる思いだった。
これは現実ではない。断じて、現実などではない。
「出てこい!!! ロン!!!! 出てこいっっっ!!!!!」
ガイを倒したことで過去と決別したはずだった。仲間との新しい冒険を歩んでいけるはずだった。
だが、沸き起こる裏切りへの怒りは彼のもう半分の血を否応もなく駆り立てる。
アシュとしての、血を。

「ロン!!! ロンッッ!!! ロンッッ!!! ロンッッッッ!!!!! ロン!!!!!!!!!!!!!!」

映士は喉が破れるほどに叫び続けた。
ロンは何も応えなかった。


……――――――――――――――――――――――――――――――――――――……




189 :名無しより愛をこめて:2008/11/22(土) 22:52:59 ID:QlF1XhgH0

全ては白昼の悪夢だったのか―
高丘映士は意識の混乱にしばし、立ち尽くしていた。首輪は元のとおり、しっかりと彼の生殺与奪を統括している。腕のゴーゴーチェンジャーにも制限の後は見られない。
「なんだってんだ、全く…」
全てを映士は夢だと思うことにした。
さくらがあんな行動を取るはずがない。
あるいはロンが映士の引き込みを計ったのかもしれないが、それは失敗に終わったようだ。
「俺様が言いなりになってたまるかってんだ!!」
腕をぶんぶんと振り回し、映士は仲代たちと合流すべく再び歩み始めた。
(あんなの…嘘に決まってらぁ!)
そう、全ては偽りだったのだと彼は無理に思い込もうとしていた。
脳裏にはさくらの卑屈な表情が張り付いたまま。
クエスターを倒し、確固たる物となったはずの信頼に微妙な揺らぎが生まれたことを彼は自覚するのを避けていた。
信頼と疑心の間で揺らめく様はそのまま、アシュと人との間で揺れ動くことへと直結する。
「あんなの…嘘に決まってらぁ…」
自身の迷いを打ち消すように、映士は言葉を発した。


【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-4海岸 1日目 朝
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:スコープショット、ボウケンチップ、ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー、知恵の実、不明(確認済) 、基本支給品一式(映士、小梅)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:壬琴たちと合流し、ビビデビの処遇を決める。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。



190 : ◆8ttRQi9eks :2008/11/22(土) 22:56:03 ID:QlF1XhgH0
遅くなって申し訳ありません。タイトルは「白昼夢」で。
それとこっちが正しいステータス表です。

【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-4海岸 1日目 朝
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:スコープショット、ボウケンチップ、ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー、知恵の実、不明(確認済) 、基本支給品一式(映士、小梅)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:壬琴たちと合流し、ビビデビの処遇を決める。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。
西堀さくらに僅かな信頼の揺らぎ。場合によってアシュへ傾く恐れあり。

191 :名無しより愛をこめて:2008/11/23(日) 14:47:02 ID:A3dbwaoEO
>>190
投下乙です。
揺らがない映士に動揺を誘いに来たロン。
相変わらず行動が卑劣です。

さあ、今後どうなっていくのか…

GJでした。

192 :名無しより愛をこめて:2008/11/23(日) 21:05:01 ID:HwXkLclvO
投下乙です。
ロンが見せた白昼夢、映士の心に波紋を投げかけたようですね。
感想が遅くなり申し分なかったです。
GJでした。

193 :名無しより愛をこめて:2008/11/25(火) 13:19:54 ID:SlyidLYU0
保守

194 : ◆MGy4jd.pxY :2008/11/26(水) 02:53:15 ID:o1pFqH+9O
予約スレにも書き込みましたが……。
たびたび申し分ないのです。延長を申請いたします。

195 :名無しより愛をこめて:2008/11/26(水) 10:19:07 ID:56OMFh89O
>>194
了解しました。
楽しみにお待ちしてますね。

196 :名無しより愛をこめて:2008/11/26(水) 22:05:59 ID:IzL1B/uc0
陽気なアコちゃんがまだ出てこないのが意外。

個人的にはぬぎぬぎビームガンを早く出してほしい。

197 :名無しより愛をこめて:2008/11/26(水) 23:01:49 ID:4RjK7bWh0
全部の話を実写で見たいなw
のっけから頭潰される真墨とか、どんどん狂ってくスワンさんとかトラウマもんだろうけどw
グレイVSボスとか普通に見たい。

198 :名無しより愛をこめて:2008/11/27(木) 00:39:51 ID:tfJuMkG0O
精神壊されてくドモンとかさくら姉さんも自分にはトラウマになりそうだな。
でも確かに見てみたい。
調子狂わされてたアバレキラーには笑うと思う。

199 :名無しより愛をこめて:2008/11/27(木) 00:52:54 ID:SyISsirk0
>>197
スーツアクターが……w

200 :名無しより愛をこめて:2008/11/27(木) 08:17:27 ID:zLc8UsbqO
>>199
そこはほら、ウルトラマンみたいに人形で吹き替えを…無理?w

201 :名無しより愛をこめて:2008/11/27(木) 15:30:39 ID:H4XeHQYU0
想像するのが小説だ。

……でも見てみたい。

202 :名無しより愛をこめて:2008/11/27(木) 19:11:30 ID:Y9lQaZ9B0
見てみたいねー……MADって手もあるな……

203 :名無しより愛をこめて:2008/11/28(金) 20:42:40 ID:osqvnpHU0
っても、土下座する姐さんや黒焦げになった深雪ママの画像なんてないからなぁw
まぁ、前者は31話を編集すればそれっぽくは出来そうだが。

204 :名無しより愛をこめて:2008/11/30(日) 11:29:24 ID:ClGZ6vsF0
深雪ママの人形をレンジでチンする。

205 :名無しより愛をこめて:2008/11/30(日) 22:40:10 ID:ClGZ6vsF0
そういや、ロンがいるのになつめが全然でないけど、本当になつめは誘拐されてるの?

206 :名無しより愛をこめて:2008/11/30(日) 22:43:54 ID:aFcXWqPg0
それを知るのは神もといロンのみw
個人的にはどっちであってもロンらしいと思う。

207 :名無しより愛をこめて:2008/12/02(火) 00:21:22 ID:HkMr6zWU0
最近、更新ないなぁ…管理人さんの元気なんだろうか?
まぁ、年末だしお仕事がお忙しいのかも分からんが。

208 :名無しより愛をこめて:2008/12/02(火) 01:27:13 ID:kIfSmNdvO
お任せしてばかりだからねえ。
何かお手伝い出来ないものか…

209 :名無しより愛をこめて:2008/12/05(金) 08:58:38 ID:+7vvhv5p0
◆L3kdlaSWMo氏と◆8ttRQi9eks氏って同じ人だろうか?

210 :名無しより愛をこめて:2008/12/05(金) 12:37:51 ID:VXo8PoRv0
wikiでもう一つまとめ用意する?

211 :名無しより愛をこめて:2008/12/05(金) 14:07:59 ID:Kk2Fpt7nO
>>210
そういう話題は議論スレにてトリ付きでするべきではないでしょうか?


212 : ◆LwcaJhJVmo :2008/12/05(金) 20:28:59 ID:THDhXJGl0
シグナルマン
投下します。

213 :北東へ ◆LwcaJhJVmo :2008/12/05(金) 20:30:08 ID:THDhXJGl0
 既にブクラテスの叫びは届かなくなった森の中、シグナルマンはスモーキーの出鱈目な勘を頼りにただ歩き続けていた。
 スモーキーは根拠のない自信を胸に、シグナルマンにあっち行けこっち行けと無茶苦茶な指示をする。
 最初は従っていたものの、何もないところに何度も向かわされているシグナルマンはスモーキーに対する不信を抱き始めていた。

「スモーキー、やっぱり北東に向かわないか? 今からでも……」
「あんなヤツのいったこと、信用できるかニャー!!」

 シグナルマンはただ黙ってスモーキーを見ている。
 スモーキーには、それが呆れ果てた表情に見えてならない。

「何だその目はニャー!!」

 スモーキーは憤怒する。

「さっきから思っていたんだが……スモーキー、君は出鱈目を言ってるんじゃないか?」

 その言葉はスモーキーの胸に刺さる。まさにその通りだ。
 だがその様子を隠してスモーキーはシグナルマンを見つめた。

「君は本当に菜月ちゃんを捜す気があるのか? ブクラテスの指示に従わなかったのも気に食わないから……そう見えるんだが」
「そ……そんなワケないニャー!!」

 シグナルマンがゆっくりとスモーキーを地面に置いた。
 しゃがんだままシグナルマンはスモーキーに問う。

「君はさっきから『あんなヤツの言った事』、『あんな奴の言う事』と全てブクラテスの言う事に従おうとしていないだけに見える。スモーキーがまだそんなことを言うようならば本官は君の意見を無視して北東へ進む」
「……!?」

214 :北東へ ◆LwcaJhJVmo :2008/12/05(金) 20:31:00 ID:THDhXJGl0
 スモーキーはあせりを感じ始める。
 シグナルマンの顔がどんどん近づいてきているように錯覚してしまう。

「……北東ニャ。北東に行けばいいニャ。ブクラテスの占いを信じてみるニャ」

 スモーキーが本心とは裏腹な返事を口に出す。
 だがブクラテスのあの謎の自信もずっと頭の中で微かにでも信じていたのだ。
 いや、そうではないのかもしれない。
 それは自分の対する不信だったのかもしれない。

 シグナルマンはまたスモーキーを手に取った。

「わかった。……ところでここはどこだ?」

 シグナルマンはマップとコンパスを見ながら首を傾げだした。
 スモーキーが出鱈目にシグナルマンを動かしたせいで、現在地がうまく把握できなくなっていたのだ。

「聞かれても困るニャ」
「と……とにかく、北東に向かおう」

 シグナルマンが手持ちのコンパスで方角を合わせた。
 だが彼らはまだ気付いていない。既に菜月は彼らから見て南東の位置にいることに。
 そう、また菜月と彼らの距離は広がろうとしているのだ。

215 :北東へ ◆LwcaJhJVmo :2008/12/05(金) 20:33:19 ID:THDhXJGl0
【シグナルマン・ポリス・コバーン@激走戦隊カーレンジャー】
[時間軸]:第36話以降
[現在地]:B-5 森 1日目 午前
[状態]:健康。少し凹み気味。
[装備]:シグナイザー
[道具]:けむり玉(残数2個)、ウイングガントレッド@鳥人戦隊ジェットマン、メレの釵
 マジランプ+スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー、基本支給品とディパック
[思考]
基本行動方針:ペガサスの一般市民を保護。戦っている者がいれば、出来る限り止める。
第一行動方針:強い怒りと悲しみ。菜月を探し出す(北東に向かう)。その後、竜也たちと合流。
第二行動方針:乙女(メレ)に謝りたい。
第三行動方針:黒い襲撃者(ガイ)を逮捕する。

【名前】スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:ボウケンジャーVSスーパー戦隊後
[現在地]:B-5 森 1日目 午前
[状態]:健康。マジランプの中。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ヒカルを探す
第一行動方針:強い怒りと悲しみ。菜月を探し出す(北東に向かう)。


216 :北東へ ◆LwcaJhJVmo :2008/12/05(金) 20:35:33 ID:THDhXJGl0
超短文になってしまいましたが、投下終了です。

修正箇所や問題点などの指摘があればお願いします。

217 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/07(日) 13:00:26 ID:gisHXfwX0
遅くなりましたが投下乙でした。
はたして菜月と無事に合流できるのか?
無理だろうなw

中々中々筆が進まないので気分転換に作ってみました。

ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0093.png

元ネタはパロロワ戦記戦隊国より
ちなみに>>209は自分です。名前を入れようかとも思ったので……

218 :名無しより愛をこめて:2008/12/07(日) 17:00:11 ID:EBqGC1tAO
>>216
同じく遅くなりました。投下乙です。

やっとスモーキーが正直になれたと思ったらまたもや、裏目にw
負けるな!シグナルマンw

>>217
おお、かっこいい!自分も早く煽り文仕上げねばw

執筆頑張って下さい。楽しみにしてます!

219 : ◆8ttRQi9eks :2008/12/07(日) 17:31:38 ID:ImvGq61e0
>>216
あーあぁー…まぁーたはなれちゃったw
この辺ももっとぐちゃぐちゃしてくるんでしょうかね?
投下乙です。


>>217
違いますけど、どうしてそう思ったんですか?


220 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/07(日) 20:00:53 ID:unjNlU2uO
おう、申し訳ありません。
なんとなくさくらさんの描写の辺りが似ているかなと思ってorz

しかし発言自体が軽はずみでした。
大変失礼いたしました。


221 : ◆LwcaJhJVmo :2008/12/08(月) 15:14:39 ID:mogx4bRV0
>>217-219
感想ありがとうございます。

222 :名無しより愛をこめて:2008/12/10(水) 21:13:13 ID:aAkOUU3n0
書き手紹介が格好良すぎて痺れた!
投下してくれた人GJ!
気付くの遅くてごめんね。

223 :名無しより愛をこめて:2008/12/12(金) 22:41:46 ID:YuoyJq4vO
書き手紹介てどこでやってるんだろう。
知らなかった。

224 :名無しより愛をこめて:2008/12/13(土) 09:26:39 ID:n49TGfEpO
>>223
したらばの書き手交流スレに転記してある。

225 :名無しより愛をこめて:2008/12/13(土) 11:31:53 ID:pOlWfL6L0
>>224
おう、気付いてなかった。thx

226 :名無しより愛をこめて:2008/12/13(土) 18:13:36 ID:8vBa/cHhO
下がり過ぎで足切りに引っかかりそう。
ところで、現状一番活躍してる人と、逆に一番カワイソスな人って誰だろう?

227 :名無しより愛をこめて:2008/12/13(土) 21:04:42 ID:J832eTvsO
一番活躍は多分ガイ

228 :名無しより愛をこめて:2008/12/13(土) 23:59:47 ID:UGvbdv3b0
>>224
>>223じゃないけどサンキュ。

一番活躍は個人的にはネジブルーとブドー。
ネジブルーは狂気じみててある種活躍してる。ブドーは殺害数二位だけど一番活躍してる気がする。
あえて美希は触れない。
可哀想なのはさくらだな。

229 :名無しより愛をこめて:2008/12/14(日) 00:27:10 ID:MCkoWsSLO
さくらは可哀想か?

230 :名無しより愛をこめて:2008/12/14(日) 00:55:56 ID:j/Z0MLcOO
>>229
さくらさんはこれからどんどん悲劇に向かっていきそうなイメージあるな。
いや、まださきは分からんけどねw

231 :名無しより愛をこめて:2008/12/14(日) 02:20:59 ID:MCkoWsSLO
でも今年はもう新規の予約や更新はなさそうだなぁ・・・・・・

232 :名無しより愛をこめて:2008/12/14(日) 19:42:46 ID:j/Z0MLcOO
>>231
年末年始は忙しいからねー。
ゆっくりwktkして待とうよw

233 :名無しより愛をこめて:2008/12/15(月) 15:34:50 ID:3JCzOelq0
ガイ戦のときはある意味可哀想だった。

234 :名無しより愛をこめて:2008/12/15(月) 17:43:29 ID:94UfdtV1O
予約キター!!!!

235 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 02:35:57 ID:kgE3KI570
まとめサイト更新しました。
大変時間を空けてしまい申し訳ない。
言い訳を並べても仕方ありませんので、今後の行動で示したいと思います。

差しあたって、1点。
>>120でネジブルーがG-5エリアからH-5エリアに移ったのが10時となっておりましたが、G-5エリアが禁止エリアになるのは9時ですので、
まとめサイトに反映するにあたり、9時に修正を行い、状態表もそれに合わせて更新しました。
他、まとめサイトに反映するにあたって、勝手ながら、誤字脱字はいくつか修正をかけております。
お暇があれば、ご確認をお願いします。


236 :名無しより愛をこめて:2008/12/17(水) 10:42:01 ID:SnQkJBp+0
>>235
おかえりなさいです!
そしてまとめ更新乙でした!!

237 :名無しより愛をこめて:2008/12/17(水) 15:46:58 ID:/EqHi2Ji0
>>235
ありがとうございました。
更新乙!

238 :名無しより愛をこめて:2008/12/17(水) 18:48:26 ID:+cTdt2/SO
>>235
おかえりなさい!
更新お疲れ様です。

239 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 20:20:25 ID:kgE3KI570
あたたかいお言葉、ありがとうございます。
これからも頑張りたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

それでは投下いたします。

240 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 20:21:05 ID:kgE3KI570
 時計の短針が8の数字を指す。
 約束の合流時間をわずかに過ぎた頃、映士はJ-6エリアの公園へと辿り着いた。
 見れば、白いコートをたゆらせた壬琴の隣には、ビビデビに転送され、行方不明になっていた菜摘の姿があった。
 菜摘が無事に戻ってきていたことにホッと胸を撫で下ろすと、映士はふたりの元へと駆け寄る。
「菜摘!無事だったんだな」
 映士の呼びかけに、顔を向ける壬琴と菜摘。
 しかし、どことなく重苦しい雰囲気がふたりからは漂っていた。
「どうした、しけた面して」
「アンキロベイルスが死んだそうだ」
「なに!?」
 壬琴は菜摘に代わり、彼女が体験したことを淡々と語った。
 菜摘が転送された先にアンキロベイルスがいたこと。
 しかし、それはロンの罠で危うく溺れかけたところをアンキロベイルスに助けられたこと。
 そして、首輪が外れたがためにアンキロベイルスが死んでしまったこと。
「ちっ」
 憤慨し、思わず舌打ちをする映士。ここに来る前に見た夢といい、ロンへの怒りは上限を知らない。
「まさか、首輪を外しても死ぬような細工をしているとはな。罠もさることながら、こちらの行動に対して、二重三重の手を打っている。大したゲームマスターだ」
「っ!てめぇはどっちの味方なんだよ!!」
「どちらの味方にもなった覚えはない。俺は奴のゲームに乗らないと決めただけだ。こいつを使ってな」
 壬琴は自分の運命を決めた、コインをちらつかせる。
 その挑発的な行動が映士を更に猛らせた。
 思わず壬琴に掴みかかろうとする映士。
 だが、その動きを察した菜摘がふたりの間へと入る。
「菜摘、どけ!こういう奴は一発ぶん殴らねぇとわかんね」
「駄目。壬琴も、映士も、殺し合いに乗る気はない。それなら、ふたりが争う必要はないじゃない。違う?」
「そりゃあそうだが――」
「映士の方でも何かあったみたいね。イライラしてるのがわかる。でも、それは私も壬琴も同じ。
 だからといって、それを他の誰かにぶつけちゃ、それこそロンの思うツボ。
 その怒りをぶつける先はロン。そうでしょ」

241 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 20:22:42 ID:kgE3KI570
 懸命に説得する菜摘を見て、映士は最初に感じた重苦しい雰囲気の原因がわかった。
 眼の前にいる菜摘だ。
 3人で行動していた時はわずかだったが、菜摘からは明るさが見て取れた。それが今はないのだ。
 冷静になって観察すれば、彼女の握った拳にはかなりの力が込められているのがわかる。
 彼女も懸命に耐えているのだ。
(そうだ、苦しいのは俺様だけじゃねぇ)
 それに気付いた映士は拳を治めた。
「ありがとう」
 菜摘の言葉にさざ波が立っていた映士の心が緩やかになっていく。
「それで、そっちの方は何か収穫があったのか?」
 相変わらず、横柄な壬琴の態度に多少辟易しながらも、人のことは言えないと気を取り直し、映士は話を進めるため、ディパックに手を入れた。
「ああ、収穫はあったぜ。こいつだ」
 映士はスコープショットでぐるぐる巻きになったビビデビを取り出すと、地面へと放り投げる。
 ビビデビは受身を取れぬまま、地面にゴツンと当たり、悲鳴を上げた。
「痛いデビ!」
「人形がしゃべった。この人形って、生きてるの?」
「ああ、そうだ。そして、こいつが菜摘やウメコを飛ばした張本人だ」
「ほぉ」
 興味深げに眺める壬琴と、不思議そうに見詰める菜摘に、映士はビビデビの事と、彼に聞いた全ての事柄を説明する。
「正直、こいつの言ってることがどこまで真実か、はっきりとはわからねぇ。
 だが、もし、全ての事柄が真実なら、あと1時間もすれば、ロンの野郎の元へ行くことができるはずだ」
「確かにな。しかし、そのためにはどちらにしろ、首輪の解析が必要不可欠だ。
 何しろ、ただ首輪を外すだけじゃあ、死ぬことがわかった。
 こいつをどうにかしない限り、ロンを倒すことは俺でさえ不可能だ。
 ――映士、ウメコはどうした?」
「い、いきなりなんだってんだ」
 突然の話の転換。
 ウメコの死に様が、映士の脳裏を掠める。
 ビビデビのことを話す際、映士はウメコのことは一切、説明しなかった。 
 いや、説明したくなかったと言うべきか。

242 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 20:23:47 ID:kgE3KI570
 明るい彼女の死に様は、映士にとって、そう何度も口にしたくはないものだった。
「ウメコは……死んだ」
 意を決して、映士はその言葉を口にするが、壬琴は首を振る。
「死んでいるのは知っている。放送を聞いたからな。
 俺が聞きたいのは、お前がその死体を見つけているのかということと、その死体には首輪が残っているかどうかということだ」
「そんなこと聞いて、どうしようってんだ」
「決まっている。首輪を手に入れるのさ。ウメコの首を落としてな」
「なに!?」
 壬琴の言葉に、抑えられた彼の感情が、再び、揺らぎを見せる。
「さあ、早く教えろ」
 映士も馬鹿ではない。壬琴が何のために、そんなことを言っているかはわかる。
 ロンを倒すためには首輪を解析しなければいけない。
 そのためには誰かから首輪を入手しなければならない。だが、それはその誰かから命を奪うことに繋がる。
 それならば、既に死んでしまった誰かから手に入れるのは道理だ。
 だが――
「やなこった。これ以上、ウメコを傷つけることは俺様には出来ねぇ」
「その口振りだと、お前はウメコの場所を知ってて、首輪も残っているらしいな。とっとと教えろ。
 誰もお前にやれとは言っていない。俺がやる。これでも医者だからな。そういったことには慣れてる」
「誰がやるとかそういう問題じゃねぇ!」
「だったら、どうする?お前が自殺して、その首輪を差し出すとでも言うのか?」
「っ!」
 映士は言い返そうとするが、言葉に詰まる。
 理屈の上では壬琴に分がある。だが、映士は諦めたくはなかった。
(考えろ俺様。ウメコをこれ以上、傷つけたくなかったら、考えるんだ)
 映士は考えて、考えて、考える。
 怒りとは別の熱が頭を沸騰させた。
 そこで、ふと、心配そうにこちらを見る菜摘の姿が眼に入った。
「そうだ!アンキロベイルスだ。アンキロベイルスの着けていた首輪がある。
 アンキロベイルスの首輪なら、外れて、どっかに落ちてるはずだ。だろ?」


243 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 20:24:43 ID:kgE3KI570
「ふっ、確かにな。だが、どこに落ちているかまではわからない。お前はそんな無駄なことに時間を費やすつもりか?」
「無駄じゃねぇ。俺にはサガスナイパーがある。こいつがあれば、首輪を見つけ出すことだってできるはずだ」
 映士は左手に付けたゴーゴーチェンジャーを壬琴へとかざした。
 サガスナイパー――ビームガン型のスナイパーモードと金属探知機型のサガスモードのふたつの姿を持つボウケンシルバー専用のボウケンアームズ。
 通常は遠近両用の武器として使用するが、その真骨頂はサガスモードでの探査能力。
 金属探知はもちろん、標的のあらゆるエネルギーを探知することが出来る。
 映士の自信に、壬琴はどうしたものかと、わずかに迷いを見せた。
「壬琴、私もあなたの言っていることはわかるわ。でも、映士の言っていることもわかるの。
 非常事態だからといって、人間らしさを失ったら、殺し合いに乗っている人たちと何ら変わりないじゃない」
 菜摘だって、首輪を外しても待つのが死というのがわかった時、人を蹴落としても生き残りたいとわずかでも思わなかった問われれば、答えはNOだ。
 蹴落とさないまでも、死んだ人間を自分が生きるために傷つけるのは、非常事態である今なら許されるかも知れない。
 だが、だからこそ、死体とはいえ、傷つけたくないという映士の思いを、菜摘は大切にしたかった。
「人間らしさか――ふっ、まあ、そういうゲームも悪くないか」
 壬琴は右手の人差し指と中指と薬指を上げる。
「3時間やる。それまでにここまで戻って来い。もしそれまでに戻って来なかったら、ウメコの首輪を取りにいく。それでいいな?」
「壬琴……」
 菜摘は、壬琴の判断に、感嘆の声を漏らす。
「ああ、きっと見つけ出してやるぜ」
 そして、映士はわずかに笑顔を浮かべ、力強く頷いた。
「そうと決まれば、さっさと探しに行け。もうカウントダウンは始まっている。
 菜摘、お前もだ。ひとりよりふたりの方が見つかる可能性も高い」
「ええ、わかったわ」
「俺はそれまで――」
 壬琴は言い争っている隙に逃げ出そうとしていたのか、大地を這っていたビビデビを思いっきり踏みつける。
「ぐぇ」
「こいつを相手に遊んでるさ」


244 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 20:25:49 ID:kgE3KI570
 壬琴はサディスティックな笑みを浮かべ、映士たちを見送った。



「これでお前の知っていることは全部か?」
「ぜ、全部デビ。だ、だから、もう勘弁するビビ〜」
 映士たちが東に向かって、数分後の公園。映士たちがいなくなる前と異なる点がひとつだけある。
 ビビデビがボロボロになっていることだ。
「どうだかな。実際、映士には言ってなかった情報もあったようだが」
「そうビビけど、お前――いや、壬琴様には全部答えたデビ。それに今後も壬琴様に協力するって約束したデビ」
 壬琴は映士から聞いた情報を、ビビデビの口から再度、説明させた。
 甘ちゃんの映士では引き出せなかった情報があるのではないかと推測してのことだったが、結果は予想通り。
 適度な拷問と脅迫で、壬琴はビビデビが持っている情報のほぼ全てを正確に取得していた。
 首輪の制限時間は3時間ではなく2時間であることや、メガブルー、メガシルバー、ネジブルーの情報などなど。
 だが、ビビデビはひとつだけ、首輪に盗聴機能があることだけはなんとか口を噤むことに成功した。
 流石に自らの命が掛かった情報を公にするわけにはいかない。
 ビビデビにとって、それを誤魔化せたのは自画自賛するほどのファインプレーだったのだが、それは――
(まだ、何か知ってそうだが……あまり核心に迫ることを喋らせてもつまらんしな。今、ここで消されても困る)
 壬琴が譲歩したに過ぎない。
「それでこれからどうするビビ。ただ、待つデビか?」
「いや、時間を無駄にするつもりはない。ウメコの死体がある場所へ行く」
「流石、壬琴様ビビ〜、アイツラを出し抜くつもりデビね――ぐはっ」
 ヨイショするビビデビを、壬琴は自らのディパックへと押し込み、黙らせた。
 そして、そのディパックを担ぐと、西に向かって歩き出す。

245 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 20:26:39 ID:kgE3KI570
「ゲームのルールは守るさ。ただ、ウメコがなぜ自殺したのか。それを調べるのは面白そうだと思ってな」
 壬琴の考えでは、こんな場所で自殺する奴は大抵、自分が置かれている状況に絶望する奴だ。
 だが、伝え聞いた状況から推測する限り、少なくとも映士と一緒にいた時のウメコはそのような素振りはなかったように思える。
 ならば、映士と離れてから、死ぬまでの間に何かあったと考えるのが普通だ。そして、その何かは第三者が関係している可能性が高い。
「ふっ、ときめくぜ」
 菜摘と出会ってから調子の出なかった壬琴は、来たるべき戦いの予感に、ようやく本来の調子を取り戻そうとしていた。

246 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 20:28:12 ID:kgE3KI570
【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-6海岸 1日目 午前
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:ボウケンチップ、知恵の実、不明(確認済) 、基本支給品一式(映士、小梅)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:菜摘と一緒に首輪探し。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。
※首輪をただ外すだけでは駄目だということに気付きました。

【名前】志乃原菜摘@激走戦隊カーレンジャー
[時間軸]:最終回終了後
[現在地]:J-6海岸 1日目 午前
[状態]:軽い打撲
[装備]:アクセルブレス(アクセルキー紛失)
[道具]:ダイノコマンダー@爆竜戦隊アバレンジャー、クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー、キーボーン@特捜戦隊デカレンジャー、ゲキファン@獣拳戦隊ゲキレンジャー、基本支給品一式
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。仲間を集めて状況を打開したい。 ロンに負けない。
第一行動方針:映士と一緒に首輪探し。
第二行動方針:仲間(陣内恭介・シグナルマン)を探す。
備考:ダイノハープがないため、アバレブラックへの変身はできません。また、菜摘が変身できるほどのダイノガッツがあるかは不明です。
 アクセルキーは水中に沈んでいます。
※首輪をただ外すだけでは駄目だということに気付きました。


247 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 20:29:00 ID:kgE3KI570
【名前】仲代壬琴@爆竜戦隊アバレンジャー
[時間軸]:ファイナルアバレゲーム 死亡後
[現在地]:J-6海岸 1日目 午前
[状態]:健康。本来の調子を取り戻しつつある。
[装備]:ダイノマインダー、ゲキファン@獣拳戦隊ゲキレンジャー、ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本方針:コイン占いにより殺し合いには乗らないと決める。ロンを倒し、このゲームを破壊する。
第一行動方針:ウメコの死に方に興味。原因を探る。
※ビビデビが知る情報のほとんどを得ました。
※首輪をただ外すだけでは駄目だということに気付きました。首輪によって設けられた制限時間の情報も得ています。

【名前】ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:星獣戦隊ギンガマンVSメガレンジャー後
[現在地]:壬琴のディパックの中。
[状態]:ボロボロ。命には別状はない。スコープショットのアンカーロープによってぐるぐる巻き。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンに協力し、ネジレジアの復興。
第一行動方針:チャンスが来るまでおとなしくしておく。


248 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/17(水) 20:36:44 ID:kgE3KI570
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、感想など、指摘事項があればお願いします。
あと、タイトルを入れ忘れましたが、「クロスロード」にします。

249 :名無しより愛をこめて:2008/12/17(水) 22:44:20 ID:/g3wSHPe0
早速行動で示してきたぁーーーーーーー!!
まさか、こんなに早いとはw
上で今年は〜ってぼやいてた者だが、このロワの底力を見たよ!
素晴らしい!! ようやく仲代先生発進か。
本編中だと主催者側でおかしくない人だからなぁ。ダークヒーローっプリに大期待だ!

250 :名無しより愛をこめて:2008/12/17(水) 23:54:02 ID:z/ioPEgC0
GJーーー!!
あまりの早さに夢かと思ったw つねった頬が痛いですw

それぞれに苦い思いを抱く3人の描写が秀逸でした。
そしていよいよ仲代先生は始動ですね!
ビビデビを適度に痛めつけて洗いざらい喋らせるのが彼らしいw
ビビデビは哀れですが、これも報いかw
これからの仲代先生の動向が楽しみでwktkします。面白かった!
GJです!

251 : ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 16:09:33 ID:Bs/eMplR0
只今より
浅見竜也、ブクラテスを投下します。

252 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 16:11:28 ID:Bs/eMplR0
申し訳ありません。改行などの問題で一時、したらばに投下します。
間違った宣言をしてしまって本当に申し訳ない限りです。

253 :名無しより愛をこめて:2008/12/18(木) 16:20:46 ID:z4dJmrEq0
>>248
投下乙です。
まさか昨夜の内に投下していたなんて、なんという最速w

怖えええええええーーー!!!!
不適な笑みが目に浮かんだぜ。
ビビデビ哀れ。いい感じに映士と菜摘をおっぱらちゃっての完全始動。
まさしくサディスティ〜〜ック!どSだな。仲代先生w
そして頑張れ俺様!菜摘!
最後に遠慮なく言わせていただこうGJ!!


>>252
予約ラッシュの次は投下ラッシュとキター!!!
続けて代理投下といこうか。


254 :253:2008/12/18(木) 16:29:16 ID:z4dJmrEq0
っと一時したらばにってことは、代理投下していいのだろうか?

255 :友への不信 ◇LwcaJhJVmo士の代理投下:2008/12/18(木) 16:52:58 ID:z4dJmrEq0
「あの馬鹿者共め!」
「ん? ブクラテス、何か言った?」

 コソコソとデイパックを覗きながら何かを叫んだブクラテスに、竜也は問う。
 だが、ブクラテスはそれを「いや……」とそっけなく答える。竜也の目を見ないあたりから、それはとても怪しく見えた。

「それより竜也、この辺りにはもうすぐ禁止エリアになる場所がある。慎重に行動したほうがよいぞ」
「わかってる。……スモーキーたちはもう菜月ちゃんと合流できたかな?」
「少し気が早いと思うぞ」

 竜也の頭の中はそればかりだった。ブクラテスの不審な行動も、彼はそれほど気にならない。菜月、シグナルマン、スモーキー。三人とも気がかりだ。

「そんなに気になるなら占ってみるか?」
「いや、いいよ。占いで定められた運命も、きっと変えられるだろうから……」

 それは、竜也の不安が生み出した強がりだった。彼らが(というかスモーキーが)ブクラテスを信用していないことくらい、竜也にはわかっていた。ブクラテスが占う前後のスモーキーの態度W見れば一目瞭然だろう。

「ワシの占いは今後の運命ではない。今の奴らの動きじゃ」
「動き?」
「ワシには見えるんじゃ。どうじゃ? 占ってみるか?」

 ブクラテスはデイパックを漁り、タロットカードを取り出す。その際にチラッと首輪探知機の様子を見ることも忘れない。


256 :友への不信 ◇LwcaJhJVmo士の代理投下:2008/12/18(木) 16:53:47 ID:z4dJmrEq0
答えを聞かずに、ブクラテスはタロットカードをシャッフルし始めた。

「まだ占えなんて言って……!」
「あくまで参考としてみておくがよい」

 ブクラテスはまた前回と同じようにカードを並べる。

「う〜ん。奴ら、ワシの占いを信用していなかったようじゃ。逆方向に向かっておる」

(やっぱり……)
 竜也は心の中で呟いた。

────


257 :友への不信 ◇LwcaJhJVmo士の代理投下:2008/12/18(木) 16:54:28 ID:z4dJmrEq0
「なかなか見つからないな……耳鼻科ならあったんだけど」
「少し疲れたわい……」

 ブクラテスがそこで腰を下ろす。これで三度目だ。年齢の問題もある。仕方がないことだろう。
 竜也はその度に二人がどうにかして菜月と合流していないか考えた。だが、結局はその期待を破り捨てる結果に終わってしまう。
 ブクラテスは座り込むたびにタロットカードを使用していた。敵が近くにいないか確認するためらしい。──だが、それは徹底した演技だ。

「この辺りには敵はおらんようじゃ。しばらく休んでいて平気じゃろう」

 首輪探知機には二つのマークしか映っていない。それは竜也とブクラテスに違いなかった。首輪を解除しているものがいなければ、参加者は近くにいない。

「……竜也、諦めろ。菜月と奴らが会う事はない。おそらく、ワシらともな……」

 認めたくなかった。彼らとは共に生きて帰りたいのだ。シオンや、ドモンも一緒に。

「予想された未来なんて、変えてみせる。俺はそうしたいんだ」
「無理じゃ。ワシの占いも奴らの正確な居場所まではわからん。近づいていくつもりが、誰かに遭遇することもある」

 それは嘘に違いない。ただブクラテスは足手まといがいらないだけだ。自分を信用していないスモーキーとシグナルマンや、仲間を置いて一人でどこかへ行ってしまう菜月のような人間はこの状況での味方として相応しくない。
 そういう人間に一緒にいてもらっては困るのだ。


258 :友への不信 ◇LwcaJhJVmo士の代理投下:2008/12/18(木) 16:55:05 ID:z4dJmrEq0

「でも、そこで遭遇した人間が悪いヤツじゃないかもしれない!」
「お主はこの状況がどんなものなのかわかっとらんようじゃ。予想もしないやつが敵だったりするからのう。……ワシの腕を斬ったのは、ワシの仲間じゃった男じゃよ……」

 竜也はその事実に驚き、怒りと悲しみを感じた。仲間だった人間を殺そうとするなど、その男は最低だ。だが、そこまで追い詰められている人間がいると考えると、ロンがとても憎くなってきた。

「お前の仲間も、もしかすればこの戦いに乗ってるかもしれんぞ。今まではラッキーが続いただけじゃ、シグナルマンや菜月のようにいかんやつも多いんじゃ」

 思えば、ここまでの竜也は運がよすぎた。こんなにも長い間、敵といえる敵に出会わなかった。メレを除けば、完全に仲間しかいない。放送で次々と人の名前が呼ばれたときも、実感はわかなかった。

(ドモンやシオンが、殺し合いに乗る訳ない……)

 竜也は自分に言い聞かせた。

「そのうち足元をすくわれるかもしれんぞ」

 竜也は無言で地面を見つめた。ドモンやシオンが自分を殺そうとしている姿なんて想像できない。だが、彼を待つ結果は想像なんて枠に収まらないだろう。

「……さて、大分休んだ事じゃ。病院を探すとしよう」

 ブクラテスが腰を上げたが、竜也は微動だにしなかった。

────


259 :友への不信 ◇LwcaJhJVmo士の代理投下:2008/12/18(木) 16:56:26 ID:z4dJmrEq0
 二人は小さな病院の前に立っていた。本当に小さな病院だ。

「ようやく着いたか……ずいぶん手間がかかったのう」

 ブクラテスにはそれがオアシスに見える。一時間も歩き続けてようやく辿り着いた病院だ。それがたとえ、小さくても頭の中で美化されて大きく見える。

「ワシのカンではこの病院には誰もいないようじゃ」

 竜也は聞いていない。あの会話の後から、ずっとドモンとシオンが乗っていないかという心配が募っていた。シオンが人を殺す瞬間なんて、想像もできないが……。

「竜也、この辺りには誰もいないんじゃ。ワシの言った事はしばらく忘れていろ」

 そんなことができるわけない。コンピュータじゃないんだ。一度聞いた事を忘れる事はできない。そして、その事実が次々と信頼を壊していく。

「竜也! さっさと来んか!!」

 ブクラテスが怒鳴ると、竜也は一瞬、作った笑みを見せながらブクラテスの元へ駆け寄った。

(竜也も使えなくなってきたか……余計なことは言わないほうがよかったか……)

 ブクラテスは少しずつ、竜也も見放そうと思い始めていた。無論、もっと頼もしい仲間がいればの話だが。

────



260 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 18:29:04 ID:Bs/eMplR0
代理投下ありがとうございます&迷惑かけてすみませんでした。
今後このようなことがないように努めたいと思います。

これ以降の投下はなるべく自分が行いまする。

261 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 18:30:01 ID:Bs/eMplR0
 病院の内装は予想していたよりも綺麗だった。どちらかというと女性向きの病院なのだろうか。小さなテディベアが飾ってある。
 だが、彼らが探しているのはそんなものではない。治療できる場所だ。これだけ時間が経っていれば、消毒は確実に必要となるだろう。腕は治らなくても、今後の心配を消し去る事が出来るだろう。

「おい竜也!! これじゃ!!」
「あ……ああ」

 ブクラテスが呆れながらも竜也に救急箱を手渡した。

「悪いがワシ一人じゃ難しい。手伝ってくれ」

 竜也は救急箱を開けて消毒液と脱脂綿でブクラテスの傷口を拭いていく。よく見てみると、かなりグロテスクな傷口だ。仲間からの攻撃による傷だということで、余計に嫌な色に見えてしまう。

「これでだいたい大丈夫かな?」

 ブクラテスの肩に包帯を巻き終えると、竜也はポンと軽くそこを叩いた。

262 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 18:31:26 ID:Bs/eMplR0

「痛ッ!!」
「あ……ごめん」

 ブクラテスは肩を押さえながら竜也の背中を睨んだ。顔は笑顔をつくろうとしているが、かなり動揺している。

「竜也……少し休んだほうがよい……ワシのカンではしばらくここに誰かが来ることはない……人質のことも、お主の仲間のことも考えるな」

 ブクラテスはそう言いながら病院のソファを指差した。

(そういえば、疲れてきたな……)

 竜也は言われるままにそのソファに寝転がった。

(悪いな、竜也……ワシはもっと使える人間がほしいのじゃ)

 ブクラテスは、竜也の所持していた支給品を拾い上げるとこそこそと逃げていった。

(さて、この付近には反応はないようじゃのう……もっと遠くに行ってみるか)

────

263 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 18:31:56 ID:Bs/eMplR0
 竜也は夢を見ていた。
 
──……さんは死んだ!それは、もう、どうにもならないんだ。俺が勝ち残らなきゃ……。もう、どうにもならないんだよ!──

 ドモンが女性を前に、恐ろしいことを言っている。
 勝ち残る──それは間違いなく、誰かを殺し、自分だけが頂点に立とうとしているということだ。

──ちくしょう!何が殺し合いはやめてだよ。何がタイムイエローじゃないだよ!──

 明らかに怒り狂っているドモン。

──パン!──

 場面はまた違う場所だ。ドモンは歩いている男性の肩を撃った。

──クロノチェンジャー!──

 ドモンはタイムイエローに変身し、人を傷付けていく。

(これは、悪夢に違いない……)

 そう思いたかった。

「夢ではありませんよ……」

 金色の光が一人の男性になった。──ロンだ。
 ロンは竜也に言う。

「ここは……さっきの病院? ブクラテスは……」
「あなたを裏切り、ここから逃げましたよ。見てください。メレの支給品もここにはない……ブクラテスが持って行ったのです」
「そんな……そんなわけない!! ロン!! まさかお前がッ……」

264 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 18:32:56 ID:Bs/eMplR0
 竜也はロンを前に取り乱していた。本当は、ブクラテスを完全に信用していたわけじゃない。だから、ロンの言う事が少しリアルに感じた。

「今の夢は私の力であなたに直接見せた夢です。……しかし、それは別の場所で起きた現実なのです。まあ、信じるか信じないかはアナタ次第ですが」

 嘘だと信じたかった。だが、できなかった。
 自分は、今まで仲間だった人間を、ここに来て信じることができなくなったのだ。

「ですが、真実から目を背けてはいけませんよ。五色の戦士のレッドとして……」

 ロンが悪戯っぽく微笑む。

「まあ、五色の戦士のイエローは残念ながら乗ってしまったようですがね」

 竜也はロンに殴りかかりたくなった。だが、竜也は絶望と精神的な疲れでそれができない。無気力な状態だ。

265 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 18:34:15 ID:Bs/eMplR0
「浅見竜也……あなたも殺し合いに乗るというのはどうです? 既に何人もの人間が犠牲になっている。それを全てなかった事に出来るのです。全員が蘇る事ができれば……。間宮菜月とスモーキーのあの様子を見たでしょう?」

──真……墨? 嘘、……こんなの、信じないよ。だって誰も犠牲にならないように……。菜月たち、これから……──

──ニャ……俺様だって、信じないぜ。麗や、あいつらが、こ……殺されただニャんて──

 菜月の悲しむ顔、スモーキーの怒る顔。頭の中ではっきりと思い出すことが出来た。

「ダメだ……俺は、乗らない! この拳は正義のためのものだ!!」
「正義ですか……ならば自分の拳を汚してでも全員に新しい命を授ける事も正義だと思いますがね」

 ロンの言い方に、竜也は腹が立った。

「お前がッ!! お前が全ての元凶じゃないか!! 真墨さんも麗さんも、お前が殺したも同然だ!! ドモンだって、お前が……!!」

 竜也はVコマンダーを使おうとまで思った。

「私を倒そうというなら今はやめたほうがいいですよ。私を倒せば、参加者の命は蘇えることはないのですから……ドモンも愛する者の命のために戦っているのです。それを無駄にしようというのですか?」

 竜也は手を止めた。

(どうすればいいんだッ……? 何が正義で何が悪なんだ!?)

 竜也にはそれがわからなくなり始めていた。正反対である二つの行動は、一見どちらも正義に見えてしまう。だが、どちらかが悪なのだ。それがどちらなのかわからない。

266 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 18:34:53 ID:Bs/eMplR0
(待て……? ドモンの大切な人って……)

 ──森山ホナミ。ドモンの恋人だ。

「ロン!! お前、ホナミさんに何をした!?」

 ロンは内心笑っていた。森山ホナミ……? 関係ない。彼はそんな女の事を知らないのだから。あれだけ愛していた女の事も知らずに、別の女性のために戦っているのだから。
 つい、それが顔に出てしまう。

「ロンッ!! 何を笑っているんだ!!」
「ククッ……ちょっと面白い事を思い出しましてね……」
「面白いこと……ッ!?」
「彼は別の女性のために戦っている。彼の愛など、所詮その程度のものだったということでしょう……」

 竜也は愕然とした。ホナミはドモンが人生の中で最も愛した女なのではないかと思う。もしかしたら二人が妊娠しているんじゃないかと思うこともあった。
 ドモンが、ホナミを裏切るはずがない。

「そんなはずはない!!」
「彼が愛したのは小津深雪……広間で死んだ小津勇の妻ですよ……」

 ロンは笑いながら金の光の中へ消えてしまった。いくらドモンとはいえ、ホナミを捨てて、しかも人妻に乗り換えるなんて有り得ない。
 ロンの代わりに、テディベアが竜也を見つめている。体中が汗にまみれていて気持ちが悪い。そこに、ブクラテスはいない。人の気配はなかった。


344 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo:2008/12/18(木) 16:20:16
──菜月はね、悲しいなって思ったの。殺し合いを始めた誰かがいるんだってことが……──

(ゴメン、それは俺の仲間かもしれない……)

 どこかで、ロンがくすっと笑ったのは言うまでもない。

267 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 18:36:08 ID:Bs/eMplR0
【浅見竜也@未来戦隊タイムレンジャー】
[時間軸]:Case File 49(滝沢直人死亡後)
[現在地]:E-5 都市(病院) 1日目 午前
[状態]:健康。
[装備]:Vコマンダー
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:どちらを選べばいいのかわからない(全員の蘇生ために乗るor誰も殺さない)
第一行動方針:菜月が心配。後悔。
第二行動方針:ドモン、ブクラテスに不信。
第三行動方針:仲間を探し、ユウリとアヤセの安否を確認する
第四行動方針:菜月の仲間と理央を探す
備考:クロノチェンジャーは、ロンが取り上げました。

【名前】ブクラテス@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第12章(サンバッシュ敗北)後
[現在地]:E-5 都市 1日目 午前
[状態]:右腕切断 簡単な応急処置、消毒済み
[装備]:めがね
[道具]:首輪探知機、毒薬(効能?)、タロットカード@鳥人戦隊ジェットマン、切断された右腕、基本支給品とディパック、メレの支給品
[思考]
基本行動方針:とにかく生き残る。
第一行動方針:新たな仲間を捜す。
第二行動方針:竜也とシグナルマンはもう利用できそうにない。

268 :友への不信 ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 18:39:41 ID:Bs/eMplR0
以上です。何か修正点、感想等があればお願いします。

以下、自分で気がついた修正点をいくつか。

本スレに書き込む際、「長すぎる行がある」と表示されたので、>>265の文はしたらばと違いますが、こちらで収録してください。
あと、>>266の──菜月はね の上の文は完全にミスです。

申し訳ありません。


269 :名無しより愛をこめて:2008/12/18(木) 19:21:02 ID:GWJv28yH0
投下乙です。
このインチキ占い師!ブクラテス、このやろう!!
このノリノリ主催者!ロン、このやろう!!
そして素早い投下GJだ!

270 :名無しより愛をこめて:2008/12/18(木) 20:30:32 ID:hG3EYDao0
早い投下GJです。
また来やがったか!ロン!
竜也を弄ぶロンが相変わらず良い感じにヤな奴ですw
ついに一人になってしまったブクラテスもこれからどうなるのか…

271 : ◆LwcaJhJVmo :2008/12/18(木) 21:19:22 ID:Bs/eMplR0
度重なる修正点、申し訳ありません。

>>267のブクラテスの状態表は間違いです。
↓修正版↓

【名前】ブクラテス@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第12章(サンバッシュ敗北)後
[現在地]:E-5 都市 1日目 午前
[状態]:右腕切断 簡単な応急処置、消毒済み
[装備]:めがね
[道具]:首輪探知機、毒薬(効能?)、タロットカード@鳥人戦隊ジェットマン、切断された右腕、基本支給品とディパック、メレの支給品
[思考]
基本行動方針:とにかく生き残る。
第一行動方針:新たな仲間を捜す。
第二行動方針:竜也とシグナルマンはもう利用できそうにない。
第三行動方針:新たな仲間にも首輪探知機とセンのことは伏せて置く。
備考
・センと同じ着衣の者は利用できると考えています。

まとめさん、本当に申し訳ないです。

272 :名無しより愛をこめて:2008/12/19(金) 00:03:05 ID:tTHNfg5j0
GJ!
ブクラテスとロンに翻弄される竜也。
誘惑を振り切ったのは流石でしたが、心に残った疑念が後々に影響を及ぼしそうなところが、ゾクゾクしました。

ひとつ、指摘を。
竜也は愕然とした。ホナミはドモンが人生の中で最も愛した女なのではないかと思う。もしかしたら二人が妊娠しているんじゃないかと思うこともあった。>

ドモンが妊娠しているように取れるかなと。
ええ、想像して、爆笑しましたともさ。

273 : ◆LwcaJhJVmo :2008/12/19(金) 14:06:01 ID:tHY+hi9I0
>>272
確かにそうとも取れてしまいますね。
>>もしかしたら二人が妊娠しているんじゃないかと思うこともあった。

>>もしかしたらホナミがドモンの子を妊娠しているんじゃないかと思うこともあった。
こちらに修正してください。

しかし、不覚にも自分で笑ってしまいました。

274 :名無しより愛をこめて:2008/12/19(金) 20:05:28 ID:d8bUjoLbO
修正乙です。




(しかし指摘で気づいて笑ってしまったのは内緒だw)

275 : ◆Z5wk4/jklI :2008/12/20(土) 15:11:00 ID:TnRnwi7X0
ドモンが妊娠……おおう、想像してしまったorz w

修正乙です。竜也とブクラテスの今後が気になりました。

投下ラッシュに続けとばかりに自分も投下をばw

276 :Beautiful fighter ◆Z5wk4/jklI :2008/12/20(土) 15:11:57 ID:TnRnwi7X0
「さあどこからでもかかってきなさいよ。なんだったら四人一緒にかかって来てもかまわないわよ」
フフンと鼻でせせら笑うとメレは余裕綽々といった様子で構える。
素人目には隙だらけに見えるその姿だったが、グレイやドギーにはまったく違って見えていた。
常ならまだしも今の自分達では分が悪い。じりじりと間合いを取る。
シオンも二人の様子からそれを察したのか、クロノチェンジャーに手をかけたまま後ろに下がる。
恭介は、とドギーが横目で見やると何故か姿が見えなかった。
「……思ったより馬鹿だったな」
グレイの呆れたような呟きに目線を戻したドギーの目に映ったのは、つかつかと前に進む恭介の姿だった。
止める間もなく彼女の前に立つとそのまま肩に手をかける。
メレの目が見る間に吊り上がった。
「おい、いきなり何言ってやがぁぁぁ?」
パシリと手を払い除けられ、足に衝撃を感じたと思うと恭介の視界はぐるりと空を仰いだ。
「気軽に触らないでくれるかしら」
足払いをかけて恭介を引き倒し腹を踏みつけると、その勢いのままメレは手前にいたドギーに打ちかかった。

「……グッ」

愛刀で受け止めたドギーは思いがけない重い衝撃に低く呻いた。
普段の彼であるならば弾き返せていたであろう、その斬撃が腹の傷に響く。
巻かれた包帯にじわりと血が滲んでいくのを感じた。
そのままじりじりとおされていく。
(──まずい)
ドギーが歯噛みしたその時、メレが素早く飛び退き大きく距離を取った。
その後を追う様に数発の光弾が掠める。

277 :名無しより愛をこめて:2008/12/20(土) 15:12:53 ID:BRSn61cbO



278 :Beautiful fighter ◆Z5wk4/jklI :2008/12/20(土) 15:13:29 ID:TnRnwi7X0

「やめて下さい!」
ドギーが視線を向けるとそこには生身のままホーンブレイカーを構えたシオンの姿があった。
「あら、今度は貴方が相手をしてくれるの?変身しないなんて随分自信満々ね」
「何をやってる!!早く変身するんだ、シオン!」
傷の痛みを無視して叫ぶがシオンは首を振った。
「僕は出来れば貴女と……いえ、出来ることなら誰とも戦いたくないんです。
 目的が同じなら戦わない事だって……え?」
妖艶に微笑んだと思うとふいにメレの姿が掻き消える。
戸惑うシオンの前でグレイが腕を翳したかと思うと乾いた鋭い音が鳴り響いた。
「無駄だ。この女にお前の話を聞くつもりはない」

「あら随分と察しが良いのね」
「当然だ。この程度、動きを読めばおのずと分かる」
「……ふぅーん。あんたはなかなか骨がありそうね」
シオン、いやグレイからわずかに離れた位置に消えた時と同じ唐突さでメレが姿を現した。
距離にして数歩。どちらかが一歩でも進めば相手の攻撃範囲内に踏み込む、そのギリギリの位置を互いに保つ。

279 :名無しより愛をこめて:2008/12/20(土) 15:14:01 ID:BRSn61cbO




280 :Beautiful fighter ◆Z5wk4/jklI :2008/12/20(土) 15:14:26 ID:TnRnwi7X0
数秒に満たない沈黙。踏み出したのはどちらが先か。
鋭い突きを辛くも躱すと相手の胴めがけて蹴りを放つ。
メレは手にした釵でグレイの蹴りをいなすと、そのまま横一文字に斬り付けた。
後ろに飛び退き避けるが、わずかに反応が遅れた為にグレイの体の表面を釵が掠める。
人間であったならば皮膚が裂けていたところだろうが、頑強な機械の体を持つグレイにその斬撃がもたらしたのはわずかな掠り傷。
だが、グレイは内心で舌打ちするような気分に駆られていた。
体が思うように動かない。
ロンの掛けた制限とやらはどうやらグレイ自身の体にも及ぶものだったらしい。
人間に比べれば遙かに強固な体。高い戦闘力を誇るその鋼鉄が今はまるで油をさし忘れたブリキの玩具の様に動かない。
せめて手元に何か得物でもあればとも思うが、今自分の手元にあるのは一丁のライフルのみ。
接近戦では使い勝手が悪すぎる。
そしてグレイが何より気に入らないのは、手を抜いている、その意志が相手の一手一手から伝わってくる事だった。
侮られている。それはグレイの高い誇りを傷付けるには充分だった。
苛立ちがグレイの体を包んでいく。
互いに決定的な一打は与えられなかったが、それでもじわじわとグレイはおされていった。

「──使えっ!!」

いったん距離をとったその時、グレイの手元に一振りの剣が飛び込んできた。
見覚えのある白銀の剣。犬の頭を象った柄を持つその剣は陽光を返して光る。
ちらりと剣の持ち主に目をやると、ドギーはシオンと恭介に支えられた格好で何も言わずに頷いた。
グレイもまた何も言わぬままに剣を持ち直す。
初めて手にする得物だというのに、不思議に馴染むそれを手にグレイは構えた。
メレの目から侮りの色が薄れる。鋭さを増したその目付きにグレイは微かな満足感を覚えた。
どうせ戦うのならば、本気を出した相手で無ければつまらない。
先に動いたのはメレだった。

281 :Beautiful fighter ◆Z5wk4/jklI :2008/12/20(土) 15:14:58 ID:TnRnwi7X0
「舌禍繚乱!」

上空に飛び上がり無数の突きを繰り出した。
アスファルトを抉り、周りの物全てを破壊する威力を持つその突きをグレイは剣の背で受け流す。
体当たりをかけてきたメレを飛び退いて躱すと、そのまま懐に飛び込んだ。
剣で掬い上げるように斬りつけるが釵で受け止められた。
弾いては打ち返し、打ち返しては弾かれ──
幾度かの拮抗の繰り返しに少しずつグレイの手傷が増えていく。
だが、機械であるグレイに痛みはない。臆すことなく斬り込み、メレの手から釵を叩き落とした。
勢いのまま、彼女の首筋に剣先を叩き込む。
メレはそれを避ける事さえせずに、鋭い突きを繰り出した───




282 :名無しより愛をこめて:2008/12/20(土) 15:15:19 ID:BRSn61cbO





283 :名無しより愛をこめて:2008/12/20(土) 15:16:50 ID:BRSn61cbO




284 :Beautiful fighter ◆Z5wk4/jklI :2008/12/20(土) 15:17:03 ID:TnRnwi7X0
 
 ◇

「痛ってぇー!!シオン、頼むからもうちょっと、優しくだな」
「ああ、すみません!大丈夫ですか?」
手当てされた箇所をシオンに軽く叩かれ、恭介は悲鳴を上げた。
貼られた湿布の下にはくっきりとヒールの赤い跡が付いている。

あの瞬間、獣変化の解けたメレの突きがグレイの右腕を抉り、叩き込まれる寸前だった剣先を逸らした。
結果的に剣はメレの左肩を僅かに傷付けただけに終わった。
それが制限の掛けられた状態であった為なのか、最後の最後でグレイが手加減をしたのか。
機械故に表情の読めないグレイの心情までは読みとる事は出来なかったが、シオンはなんとなく後者のような気がしている。
あれからシオンは怪我人の手当てに飛び回っていた。
幸いな事にドギーの手当てに使った消毒薬や包帯にはまだ残りがあった。
傍らで、既に手当ての終わったドギーがふて腐れた表情のメレと向き合っている。
グレイは、といえば少し離れた壁にもたれ掛かり、紫煙を燻らせていた。
後で傷の具合を見せて貰わなくてはと思いながら、ドギーとメレの方へ向かう。



285 :名無しより愛をこめて:2008/12/20(土) 15:17:43 ID:BRSn61cbO



286 :Beautiful fighter ◆Z5wk4/jklI :2008/12/20(土) 15:18:33 ID:TnRnwi7X0
「では、君はロンの仲間では無いんだな?」
「あんな奴の仲間なんかじゃないわよ。忌々しい」
「だが……」
心底、忌々しいという表情でメレが吐き捨てる。
シオンの目から見ても、その表情には嘘が無いように見えた。
「じゃあ、なんで俺らを襲ったんだよ!それにあの金ピカの格好、あいつにそっくりじゃねえか」
メレは恭介を馬鹿にしたような目で見る。
「さっきも言ったじゃない。あんたちゃんと耳ついてんの?」
「付いてるに決まってんだろ!俺が言いたいのはなんで仲間になるのに襲ってくる必要があるかって意味だつーの」
問われてメレは剣呑と微笑んだ。
「あんた達になめられる訳にはいかなかったのよ。それには力を示すしかないでしょう?」
「怪我人と制限されてる奴を襲ってか?」
図星を指されたように黙り込むと、ふいっとメレは横を向いた。
「恭介も言ったが君の姿はロンにあまりに良く似ている。本当に関わりがないのか?」
今までふて腐れていたメレの表情が真剣な色を帯び、静かに目を伏せた。
「あんた達が信じるかどうかは勝手よ。私はロンの仲間なんかじゃない。
 でも、この力は確かに、かつてロンによって分け与えられたもの。
 忌々しい力だけど、今の私には必要な力」
軽蔑したいならしたら、と自嘲するように笑う。

287 :名無しより愛をこめて:2008/12/20(土) 15:19:30 ID:BRSn61cbO




288 :Beautiful fighter ◆Z5wk4/jklI :2008/12/20(土) 15:19:46 ID:TnRnwi7X0
それまで静かに成り行きを見守っていたシオンがすっとメレの前に立った。
「何よ?あんたも言いたい事あるなら言えば」
「いえ、僕は…聞きたい事はドギーさんや恭介さんが全部聞いてくれましたし」
「じゃあ、何よ」
「これを」
握った手を差し出され、メレは反射的に手の中の物を受け取った。
「く…すり?」
「消毒薬と痛み止めです。肩の傷は血が出てないみたいですけど手当ては必要ですし。
 それにさっき恭介さんが肩を触った時、痛そうにしてましたから」
使って下さい。そう告げるとシオンは微笑んだ。
メレは不思議そうに手の中を見つめるとぼそりと呟いた。
「……礼は言わないわよ」
「いや、言えよ!礼ぐらい!ごめんなさいとありがとうは常識だぞ!」
「あああ、聞こえな〜い」
「それじゃあ僕、グレイさんのとこへ行ってきますね」
恭介とメレ、二人のやりとりに既視感を覚え、傍らのドギーを見やると同じ感覚を覚えたのか苦笑している。
その場を彼に任せるとシオンはグレイの元へと向かった。



メレは去っていくシオンの後ろ姿を見やると、手の中の白い錠剤をコロコロと転がす。
生きている人間用の薬など飲んだところで効くとは思えない。
だが、自分でも不思議な事に捨て去ってしまう気にはなれなかった。
今、自分の感じている感情をメレは理解できなかった。
久しく感じる事のなかった感情。
ただ理央の為だけに生きる自分には必要のない感情。
遠い昔、まだ自分が本当に生きていた頃には感じていたかもしれない感情。
忘れ去っていた感情を感じながらメレは静かに手を閉じた。

289 :Beautiful fighter ◆Z5wk4/jklI :2008/12/20(土) 15:20:43 ID:TnRnwi7X0
【名前】グレイ@鳥人戦隊ジェットマン
[時間軸]:49話(マリア死亡後)
[現在地]:G-4都市 1日目 午前
[状態]:右腕損傷修理中。1時間戦闘不能
[装備]:自らのパーツ全て
[道具]:遠距離射撃用ライフル(残弾数4発) 支給品一式
[思考]
基本行動方針:戦いを終わらせるためドギー、シオン、恭介と共闘
第一行動方針:自分の納得のいく形でシオンに借りを返す。

【名前】シオン@未来戦隊タイムレンジャー
[時間軸]:50話、タツヤと別れる瞬間(20、21世紀の記憶、知識は全て残っている?)
[現在地]:G-4都市 1日目 午前
[状態]:健康
[装備]:クロノチェンジャー
[道具]:ホーンブレイカー@忍風戦隊ハリケンジャー、鬼の石@星獣戦隊ギンガマン、支給品一式
[思考]
基本行動方針:仲間を集めて、ロンを倒す。
第一行動方針:グレイの手当てをしなくては。
第二行動方針:首輪を解除するために、機械知識のある人間と接触したい。

290 :代理:2008/12/20(土) 16:06:29 ID:KAwnPvbD0
【名前】陣内恭介@激走戦隊カーレンジャー
[時間軸]:メガレンジャーVSカーレンジャー終了後
[現在地]:G-4都市 1日目 午前
[状態]:健康。腹に痣。
[装備]:アクセルチェンジャー
[道具]:芋ようかん×3
[思考]
基本行動方針:殺し合いから生き延びる。 一般市民であることを貫く。
第一行動方針:新たに出会った仲間と共闘。
第二行動方針:生意気な女だなー

【名前】ドギー・クルーガー@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:最終回時点
[現在地]:G-4都市 1日目 午前
[状態]:負傷、暫く戦闘不能(無理をした場合命に関わる)グレイと和解
[装備]:マスターライセンス
[道具]:ライフバード@救急戦隊ゴーゴーファイブ、支給品一式
[思考]
基本行動方針:首輪を解除して、ロンを倒す
第一行動方針:仲間と共闘する。
第二行動方針:メレを信じていいのか戸惑い気味


291 :代理 ◆8ttRQi9eks :2008/12/20(土) 16:08:50 ID:KAwnPvbD0
【メレ@獣拳戦隊ゲキレンジャー】
[時間軸]:修行その46 ロンにさらわれた直後
[現在地]:G-4都市 1日目 午前
[状態]:鳩尾に打撲。左肩に深い刺し傷と掠り傷。両足に軽めの裂傷。二時間戦闘不能。
[装備]:釵一本@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[道具]:なし
基本行動方針:理央様との合流。理央様に害を成す者は始末する。
第一行動方針:青と白の鎧を身に纏った戦士(シグナルマン)とガイに復讐する。ガイの仲間(蒼太とおぼろ)を撃退する。
第二行動方針:こいつら私を仲間に入れる気あるのかしら?
第三行動方針:シオンの言動に不思議な感情を感じる。
備考:リンリンシーの為、出血はありません。

以上です。指摘、つっこみ、誤字脱字、感想などありましたらお願いします。

---------------------------------------------------------------------

GJです!
本当、面白かった。こうして自分が振った展開が次に紡がれていく感覚は嬉しいものです。
個人的にメレは合流してほしいなー…と思いつつ終わらせたので尚更でした。
最高の形でバトンを繋いでくれた氏に感謝です。
もう一度、お疲れでした!!


292 :名無しより愛をこめて:2008/12/20(土) 22:59:17 ID:0yfbVMNIO
投下&代理投下乙です。
メレがいじらしいな。
そしてシオン、なんて優しいヤツなんだ!

バトルも台詞まわしも秀逸!面白かったです。

GJ!

293 :名無しより愛をこめて:2008/12/24(水) 01:31:10 ID:b5RZHKgMO
このスレ、定期的に足切りの危機にあうNE!

ってのは流石に冗談だけど、待ちがてら少しageとこうw
これだけだとなんなんで。

ロワの中でカッコよすぎる!だった人と逆にヘタレちゃってた人って誰だと思う?

294 :名無しより愛をこめて:2008/12/24(水) 20:42:09 ID:wSQn1lXZ0
カッコよすぎる 纏兄貴 グレイ 蒼太

295 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/24(水) 22:30:03 ID:XB+n/WOs0
かっこよすぎる   グレイ
ヘタレちゃったかな  ジルフィ……うわ!なにをするやめ(ry

いつもながら遅くなりすみません。
ただいま推敲中。日付が変わるまでには投下できると思います。
よろしくお願いします。

296 :名無しより愛をこめて:2008/12/24(水) 23:11:39 ID:b5RZHKgMO
>>295
楽しみにお待ちしております!


ついでなのでw

かっこよすぎる マトイ兄、蒼太さん、壬琴先生

297 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:10:39 ID:PQxHz/lF0
遅くなりました。ただいまより投下します。
少々長くなります。

298 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:12:17 ID:PQxHz/lF0
麗が朝食を作る音。
食器を運ぶ翼と槐のにぎやかな声。
ボクは何時も、その音で目が覚めた。
澄み渡った青空。
朝の眩しい太陽の光が降りそそぐ窓から外を見れば、蒔人が汗を流しながら、両手で抱え切れないほどの野菜を運んでくる。
身支度を整えたボクが食卓に付いた頃、寝ぼけ眼の芳香がようやくリビングに姿を現す。
テーブルの上には、とれたての野菜で作った兄貴サラダと麗の手作りドレッシング。
色鮮やかなスクランブルエッグと焼きたてのパンを添えたプレート。
それぞれの席に着いた6人の声が重なる。
「「「「「「いただきます!」」」」」」
野菜を育てた蒔人へ、食事を作る麗へ、食卓へ笑顔を添える三人へ、
感謝の言葉を捧げ、ボクの一日は始まる。
いつかインフェルシアとの戦いを終えたその時、ブレイジェルと深雪さんもそこで笑っているはずだった。

なのに……。
目の前でブレイジェルは惨殺され、彼に託された麗、深雪さん。
二人を守ることができなかった。
ボクは、何もできなかった。
キミたちに手を掛けた者も、こんな殺し合いを仕組んだロンも絶対に許さない。
ボクは必ずロンを倒す。裕作やサーガイン、明石と共に。
そう、拳を握り締めて立ち向かって行かなければ……。

……だけど、それでどうなるっていうんだ。
麗もいない。
ブレイジェルもいない。
深雪さんもいない。
もう二度と、幸せな朝を迎えることはない。
麗、ボクは一体どうすればいい。
これから先ずっと、この悲しみと絶望を抱いて生きて行くしかないのかい?

299 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:13:43 ID:PQxHz/lF0
ボクに残された道は……。もう、それしかないのか。

本当にそれだけだろうか?

――――残されたボクにできるのは、本当にそれだけなのだろうか?


 ▽


気を失ってから程無くドモンは意識を取り戻した。
おあつらえ向きだとばかりに、サーガインはI−4エリア外れの灰色の建物へ向かった。
そして取調室と書かれた部屋にドモンを無理やり連れて行き、怒声を上げ詰め寄った。
「言わぬか!ドモンッ!!深雪殿をどうした!深雪殿はなぜ死んだ!?お前の持っていたバックの中身は一体誰の物だ!!!」
ここは犯罪者を詰問する為の部屋。海岸近くの警察署の一室。
重苦しい室内にサーガインの怒声とドモンの姿がおかしなほどお似合いだった。
暗い灰色をしたコンクリートの壁に穿たれた窓。
窓枠に嵌められた鉄格子からは太陽の眩しい光が差し、項垂れ黙座するドモンの背に、鉄格子の影が烙印のように黒い逆十字を影映している。
部屋の中央に置かれたスチール製の粗末な椅子。その上で拘束されたままのドモン。彼の姿はさながら殺人犯だ。

「よしな、サーガイン。そんな言い方じゃ話す気になれねぇだろ」
左側に裕作、右側にサーガイン、そして机を挟む形でヒカルと、三人はドモンを取り囲む。
真正面に座るヒカルに、太陽を背に座るドモンの首から上は逆光で包まれ何も見えない。
ふてぶてしく微笑を浮かべているのか、後悔の念に囚われているのか。
彼が抱いている感情の源泉が何なのかわからなかった。
いや、わからなかったと言うよりヒカルの目は何も捕らえていなかったに近い。
意識は昨日までの、いつもの朝に飛んでいたからだ。

300 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 00:14:26 ID:2R5RRYKLO




301 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:17:06 ID:PQxHz/lF0
「ぬるいわ!ドモンは殺し合いに乗ったのだ」
「それにしたっておまえの言い方は一方的過ぎる」
サーガインは苛立ちを押えず机の上に拳を振り下ろす。
不意に現実に引き戻されたヒカルはサーガインに冷たい視線を送った。
深雪殿深雪殿と思ってくれるのはありがたいが怒鳴り声で連呼されるのはカンにさわる。
溢れ出しそうな感情を抑えるのが精一杯の状態で、蹴散らすような怒声を聞かされるのは、やはり気分のいいものではない。
「ふん、深雪殿のためだなどほざいていたな。ふざけた話よ。どうせ貴様が守りきれなかったせいで死んだのだ!」
ヒカルの胸の内もお構い無しにサーガインは続ける。
ドモンは何一つ聞こえていないかのように身動き一つせず。
裕作は鏡の張られた壁にもたれ掛かり、ため息をついただけで言葉を繋ごうとしない。

数秒間の沈黙。
何か聞きたいことはないかと言いたげに裕作がこちらを見る。
裕作とのやり取りで、ドモンが深雪を殺したのではないかという疑念は晴れつつあった。
おそらくサーガインの言う通り、ドモンは守りきれなかった。深雪を思い生き返らせるため殺し合いに乗ったのだろう。
しかし、それは憶測に過ぎず、何も語らないドモンを手放しで受け入れる気にはなれない。
所詮、そんなものは希望に基づいた憶測なのだから。
「ドモン……」
静かにドモンの名を呼ぶ。ヒカルの声に項垂れていたドモンの頭が持ち上がる。
「ボクはブレイジェルから深雪さんを託された。二人はボクにとって、とても大切な存在だったんだ」
ヒカルはポケットから一枚のマジチケットを取り出しそっと握った。
取り出したマジチケットには後光差す天空聖者が描かれている。
「 ルーマ・ゴルド。この魔法を使えば黙っていても記憶を探り出せる。もうすぐ制限も切れる。
話す気にならないなら見せてもらうことになるよ。そうなれば、キミに黙秘権はない」
驚いた裕作とサーガインに構わずドモンの横に立った。
ドモンを上から見下ろし、チケットを翳した。
「ヒカルさんに、話したいことがある」
押し黙っていたドモンが口を開いた。

302 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 00:19:17 ID:ik/kfBYbO



303 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:20:51 ID:PQxHz/lF0
「ヒカルさんと、二人にしてくれないか……」
ドモンは裕作とサーガインに視線を移さず、真っ直ぐにヒカルを見つめていた。
太陽に照らされたドモンの顔。
とても澄んだ瞳でヒカルを見つめていた。


 ▽


「結局ドモンは自分の口から全部話したってわけか。まぁ、さっきのドモンの様子からして嘘じゃねぇだろう。
しかし、放送で呼ばれた3人の死に様に、ドモンが関わっていたとはね」
深雪が死んだ経緯を聞いた時、裕作は全身が総毛立った。
嫌らしい笑いを浮かべドモンに近づくロンが脳裏に浮かび上がる。
今もロンはどこかで同じように誰かに囁いているのだろう。
ドモンのように、愛する人を守ることができなかった者や、放送で大切な人を失ったことを知った者。
精神的に極めて不安定な状態をつけ狙い、甘い言葉で誘う。
惑わされた者は、迷いながらもそれにすがり、失った者を取り戻そうと殺し合いに乗る。
そして、誰かが死ぬたび、それは繰り返されるのだ。
「ドモンが持っていたデイバックは深雪殿の物で、中の品はロンが直々に持ってきたブレイジェルとやらの支給品とは……。しかし深雪殿もドモン如きのために哀れな話よ」
「あぁ、ブレイジェルはウルザードとして記憶を無くし彼等の前に蘇った。おそらく呪縛転生の魔法を使ったんだろう。
だけど腑に落ちないところもあるんだ。ウルザードはン・マに忠誠を誓っている時でさえ、本能のどこかで家族を守ろうとしていた節がある。
だがドモンに聞いたウルザードからは殺意以外は感じられない」
「蘇る際にロンに唆されたのではないか?誰かのように……な。得意の魔法で探ってみたらどうだ」
「そんな魔法はないよ。ドモンの記憶を探ってみたところで、そこまではわからない」
ヒカルは魔法で記憶を確かめなかった。

304 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:21:58 ID:PQxHz/lF0
裕作はそれでいい、と思う。ヒカルが直接、今の話を目の当りにするのはショックが大きすぎるだろう。
ただ少し気持ちに区切りがついたのか、ヒカルは幾分表情を和らげていた。

「これから、ドモンと二人で深雪さんの所へ行こうと思う。直接確かめたいんだ。しっかり現実として受け入れるためにも……」
「二人で、何故だい?!」
裕作は視線をぶつける。
なるべく口調は柔らかくしたつもりだったが、そうでもなかったらしい。
「っと、殺し合いに乗った人間を野放しにはできないだろう」
ヒカルの表情から和らぎが消えた。
眉間にシワをよせ真剣な眼差しを返してくる。
「キミたちはさっきからボクが殺し合いに乗ったような目で見ている……。ボクがドモンを殺すとでも?」
「いや、そうは言ってない」
サーガインがヒカルから見えない位置でドライガンに手をかけた。
裕作はそっとそれを制す。
嫌な緊張感が全身を包んだ。
「ドモンを殺す、ドモンの思いを尊重するならドモンは一番最後だ。聞いていたんだろう?」
ヒカルは立ち上がり、壁に引かれたカーテンを開けた。
カーテンの下は硝子張りになっていて、硝子越しにはドモンの姿がある。
隣室とこの部屋の間にあるマジックミラーとデスクの上の通信機で二人の会話はすべて裕作たちにも聞こえていた。
「そうだ、ヒカル。ドモンの言葉をはっきりとこの耳で聞いた!」
サーガインはドモンを指差し、机に身を乗り出させた。
「二人で勝ち残った暁にはヒカルが優勝すればいいと。その時ドモンは死んでも構わぬと言っていたであろう!!」
「あぁ、そしてボクはドモンに『キミの気持ちはわかった。協力しよう。少し待っていてくれ』と部屋を出た」
ヒカルは悪びれる様子もなく、笑顔さえ浮かべていた。
「そう、貴様はドモンの願いを聞き入れた。貴様は乗ったのだ!殺し合いに!!深雪殿に幸せな家族をプレゼントするためにな!!」

305 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:23:44 ID:PQxHz/lF0
サーガインは裕作を押し退け、ヒカルの胸にドライガンを突き付ける。

「ま、まだ、わかってもらえないのかい?」
ヒカルは裕作とサーガインを交互に睨みつけてきた。
「あの場でドモンを説き伏せるのは難しいと思った。だから、どちらとも取れるような返事をしたのさ。しばらく二人で行動すればドモンを説得できるんじゃないかと思ってね」
「説得だと!?しらを切るつもり……うわ、裕作殿ッ。何を!モガッ、モガ〜」
サーガインの口を押さえ、ヒカルから引き離しながら裕作は言葉を継ぐ。
「説得するって、ならヒカル。おまえは殺し合いに乗った訳じゃないんだな?信じていいんだな?!」
「一緒に勝ち残るという話も含めて、ボクがドモンから聞いた話をすべて包み隠さず伝えれば、殺し合いに乗らなかった証明になると思ったんだ。
本当はマジックミラーには、気付かないふりをするつもりだった」
ヒカルは前髪をさらりと払い、非難がましい目をサーガインに向けた。

裕作はほっと胸をなでおろしサーガインから手を離す。
「ブハッ。ぬ、ぅおっ!」
前にでようとした反動でサーガインはつんのめり、デスクの角で額をぶつけた。
今日、頭をぶつけるのは二度目らしい。痛い!痛い!!と頭を押え、のた打ち回った。
「話したことはすべて本当だっただろう。キミたちがあまり怖い顔で見ているから、種明かしをする前に殺されてしまうかと思ったよ」
「すまなかった。悪く思わないでくれ。だが、よく決断できたな」
「……誘いに乗った方が、楽なのかもしれないと思ったよ。正直、今も心が押し潰されそうだ」
苦笑するヒカルの端正な顔に疲労の色が濃くでていた。
この数時間で急に年を取ったように。

ふと裕作は、瞬が死んだら俺はこんなに思ってやれるのだろうかと思った。
そんな後悔をする前に捜してやらなければならない。
焦りに似た気持ちが裕作の胸を包む。

「だろうな。顔を見ればわかるぜ。疲れきってボロボロ。せっかくの男前が台無しだ。ってのは冗談だが……、おまえと話していたドモンも苦痛に満ちた顔だったぜ」
「ボクはその何百倍も苦しい……。だからこそ、ドモンの気持ちは痛いほどわかったよ」
「ドモンと自分の思いを重ねることで、進むべき道が見えたってところか」

306 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 00:23:50 ID:ik/kfBYbO





307 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:27:03 ID:PQxHz/lF0
「あぁ、ドモンはまだ誰も殺していない。まだ引き返せる。ドモンに正しい道を示すのが、ボクにできることだと思うんだ。
ブレイジェルへの償いと、命がけでドモンを救った深雪さんの遺志を継ぐという意味でもね」

ヒカルがマジックミラー越しにドモンを見た。
裕作も視線を移す。ドモンは何も知らずに首を捻り太陽を仰いでいる。
ヒカルと最後の二人になり、ヒカルを優勝へ導き、深雪に幸せな家族をプレゼントする。
犠牲の上に成り立つ幸せな家族など……。悲しいけれど、ドモンの選択した道は間違っている。
同じ絶望、いや、それ以上に辛い絶望の中、ヒカルが選んだのはドモンの軌道修正。
ヒカルになら、いや、ヒカルにしかドモンを止める事はできないだろう。
そしてドモンに正しい道を示すことで、ヒカル自身も道を逸れずにすむ。
絶望から見いだした必死の答え。ヒカルの導き出した最善の選択だ。
「わかったぜ。ドモンの事はおまえに任そう。だが、ロンがしゃしゃり出てきてるとなったからには、俺たちもノンビリおまえらを待つ訳にはいかない。
その間、俺は瞬を捜す。サーガイン、おまえはどうする? 厄介な制限もあることだし一緒にこないか?」
痛みが治まったのかサーガインは椅子の上でふんぞり返っていた。
会話に入れず、さぞ機嫌が悪いだろうと思っていたが、返ってきたのは至ってまともな答えだった。
「ふむ、裕作殿。俺は明石を探してやろう。ヒカルとて、もう知り合いに死なれるのはかなわんだろうからな」
「おっ?どうしたんだ。サーガイン」
似合わない優しさにヒカルと顔を見合わせる。フッと鼻を鳴らしサーガインは自嘲気味に続けた。
「どうしたもこうしたも。残念だが、俺にはろくな知り合いがおらぬ。フラビージョしかり、シュリケンジャーしかり。
だが、明石は信頼に足る人物とみた。まだそう遠くには行っているまい。三時間ほどで戻ってくる」
そのまま出て行こうとするサーガインを裕作は慌てて止めた。
「おっと、待ちなよサーガイン。そのデイバックの中身はヒカルに渡してやれ」
「何故?」
「ウルザードって奴もヒカルの身内みたいな奴だ。ヒカルが持っておくのが筋だろう。ドモンが心を入れ替えるまでドモンの荷物もヒカルに預けよう」
「……」

けだるそうにサーガインはデイバックの中身をヒカルへ渡した。

308 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:28:02 ID:PQxHz/lF0
「すまない、裕作。サーガイン」
「礼を言う必要はないぜ。支給品っても、役に立ちそうなのは食料ぐらいだからな」
別れて行動する方針は決まったが、ドモンにどう伝えるのだろう。
ドモンは一人殺せば後は一緒だと思っており、『二人であいつらを……』とまで言っていたぐらいだ。
あいつらとは勿論、裕作とサーガイン。
「ヒカル、俺たちと別れるのをドモンにどう説明する?」
「最初の一人、そのハードルを越えるのにずいぶん焦っているようだからね」
裕作もヒカルも顎に手をあて思案する。
「ドモンは単細胞だ。まず、怪しまれずにクロノチェンジャーを取り返し、その後、一人一人確実に殺すためとでも言えばよかろう」
「キミたちを……」
「徒を思い、嘘の一つもつけぬようでは師としては失格よ」
サーガインの奴、なかなかいいこと言う。ヒカルの目が心なしか潤んで見えた。
「わかる、わかるよ。サーガインの言葉にグッときたんだろ」
ヒカルは案外涙もろいのかもしれない。
だが男は涙を見せぬ物。裕作は最大のエールを込めて、思い切りヒカルの背中を叩いた。

デイバックを背に裕作は歩き出す。サーガインもそれに続く。
「ありがとう。出会えたのが、キミたちで良かった」
背後でヒカルのくぐもった声が聞こえた。
気障な台詞もヒカルが言うと絵になるもんだな、と。裕作は一人笑った。


 ▽


誰も居なくなった取調室でドモンは太陽を見つめていた。

309 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 00:28:34 ID:ik/kfBYbO



310 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:30:49 ID:PQxHz/lF0
雲ひとつない青空が鉄格子の向こうに広がっているのに、湿っぽい部屋で拘束されたままヒカルを待っている自分が皮肉に思える。
足音が聞こえてきた。一人、二人分の足音が通り過ぎ、少し遅れて聞こえてきた足音はドアの前で止まった。
重い扉が開き、ヒカルが顔を覗かせた。
「ヒカルさん!」
ヒカルは静かに、とでも言うように人差し指を口へ当てる。
「あいつらは?」
「裕作は知り合いを、サーガインは明石を捜しに行ったよ」
二人とも出て行った。どういうことだろう?
ドモンはヒカルの意図がわからず眉をひそめた。
ヒカルはドアのほうを見つめながら柔らかな笑みを浮かべた。
「彼らにはキミが殺し合いを止めるよう説得すると言った。だから、しばらく二人で行動させてくれと……」
「そうか……」
「二人が戻ってくるまであまり時間がない。それまでに深雪さんの所へ案内してくれるかい?」
「深雪さんの所へ?」
都合よく一人づつ別れたってのに。まず、あいつらを殺すんじゃないのか。
意気込んでいたのは自分だけだったのか。
落胆が胸を駆け抜け、ドモンは視線を床に落とした。
「先にしっかりと目に焼き付けておきたいんだ。深雪さんの姿をね。ボクの意思が揺るがないように」
ヒカルはドモンの後に回り、拘束を解きながら答えた。
「わかったよ……」
ドモンは俯いて拘束の跡が残る手首を摩る。
この程度の拘束、本当は外そうと思えばすぐに外せた。

目が覚めた時、また殺せなかったことにドモンは愕然とした。
殺しそこねた相手から感じるのは、殺し合いに乗った理由を理解しようと言う意識。
ドモンは自己嫌悪に陥った。
同時に深雪の死が齎した悲しみと絶望と、守れなかった罪悪感が、改めて押し寄せてきた。
ドモンの目の前に打ちひしがれた男がいた。

311 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 00:34:17 ID:ik/kfBYbO
支援

312 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:34:53 ID:PQxHz/lF0
その男、ヒカルも、自分と同じ、否、それ以上の悲しみと絶望を抱いている。
ドモンが思いを吐露するのであればヒカル以外に考えられなかった。
二人で話せる機会は無いものかと様子を窺いながら、突き放された時を想像し、気落ちと、持ち直しを繰り返した。
そうしているうちにドモンは考え至った。
二人で勝ち残り、最後にヒカルを優勝させればいい、と。
その考えは強烈にドモンの心を掴んだ。
ヒカルはドモンの告白に、協力しようと言った。思いが通じたと思ったのだが……。

「行こう。キミのクロノチェンジャーはここにある」
デイバックを軽く上に持ち上げ、急かすようにヒカルが言った。
ドモンは何も言葉が思いつかず、黙って頷いた。

考えすぎだろうか。
ヒカルの態度は肯定にも否定にも受け取れる。
なんといえばいいのだろう。
ヒカルと自分の間に共通する何かが感じられない。
殺意と言えるような何かを、ヒカルは身に纏っていないように思えた。



 ▽



「深雪さん……」
嗚咽を堪えているのか、ヒカルの肩が震えていた。
深雪の手を握り、動かないままのヒカルにドモンは呟いた。
「早く、幸せな家族をプレゼントしてやらなきゃ。最初の第一歩さ、誰か一人、誰か一人殺せば……」

「……だ。ドモン」

313 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 00:36:31 ID:ik/kfBYbO



314 :支援感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:38:01 ID:PQxHz/lF0
ヒカルが首を振った。言葉は良く聞き取れなかった。否定の言葉と受け取らずにドモンはもう一度繰り返した。
「最初の一人。それができれば……」
「本当にそう思うか?ボクにはとてもそうは思えない」
強く頭を振り、ヒカルはドモンを見据えた。
「ロンの手で蘇ったウルザードには、ブレイジェルであった頃の面影など微塵も無かった。
もし生き返ったとしても、それはロンの操り人形なんだ。それが本当に幸せな家族と呼べるだろうか?」
「ウルザードは殺し合いを進めるために蘇らせたんだ。願いを叶えるのとは訳が違う。ちゃんと生き返らせてやる。そう言ってただろ。悔しいが今はそれに縋るしかない」
「ボクたちに残された道はそれだけだろうか。ドモン。深雪さんが命を懸けてウルザードを倒した意味を考えてみてくれ」
ドモンはヒカルの言いたいことを察した。
先程から感じたヒカルとの隔たりの正体も同時に悟った。
だが、まだ認めたくはなかった。焼け焦げた深雪の顔、赤黒く変色した白い肌を、もう一度元の姿に。幸せな家族に戻さなければならない。
「ヒカルさん。何が言いたいんだ?それじゃまるで俺を説得してるように聞こえるぜ」
「その通りだよドモン。深雪さんは死んだ。静かに眠らせて……」
「嫌だね!勝ち残れば深雪さんに幸せな家族をプレゼントしてあげられるんだ」
ドモンは大声を張り上げた。自分に人が殺せるか、張り上げた声ほどの自信はまだなかった。
だが、深雪をこんな姿にしたのは、自分が弱かったからだ。
自分が深雪を守れていれば……。
なのにウメコの言葉に、ヒカルの言葉に揺れる。引き返そうとしている自分に無性に腹が立った。
「死ぬ前にキミに託した思い、残されたボクたちがその思いを受け継ぐ。本当に誰かのために戦うこと、諦めずに道を切り開く勇気を。
その思いは裕作やサーガインには伝わっている」
「だから二人と別れたのか。あいつらを逃がしたのか」
「逃がしたんじゃない。キミが生かされたんだ」
「それでいいのか?深雪さんや旦那さん、麗さんだって戻ってこないんだぜ!」
ヒカルに怒鳴っているのは八つ当たりだった。弱い自分と、守りきれなかった現実を思うと消えてしまいたい気持ちに駆られる。

315 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:41:08 ID:PQxHz/lF0
「あんたは、あんただけは俺と同じ気持ちだと思った」
「キミにはボクの気持ちなど、ボクの苦しみなど百分の一もわからない。ブレイジェルも深雪さんも、麗もずっとずっと前から大切な存在だった。だからこそ……」
ヒカルは深雪の手をそっと地に置き、大きく息を吐いた。
「静かに、眠らせてあげるんだ」

全身から力が抜けて行くような感じがした。
深雪のスカートだった物が風に靡いている。美しかった深雪の顔は判別できないほど焼け爛れている。
深雪さんが眠るのはこんな場所じゃない。
やっとわかった。
第一歩など踏み出さなくても、もう戻れない所に来ている。

「だからこそ、取り戻してやる。あんたを優勝させるよ。そのためなら俺はどうなったっていい。命なんて惜しくない……」
「いい加減にしてくれないか!何を言ってるんだ!!
深雪さんに命を救って貰っておいて、裕作とサーガインだって命を狙ったキミを殺さなかった。
それどころかこうして引き返すチャンスをくれた!それなのに命が惜しくないだって?ならなぜ深雪さんの代わりにキミが死ななかったんだ!」
ヒカルはドモンの胸ぐらを掴み強く揺すった。
「三人の名が呼ばれた時、ボクが同じことを考えなかったと思うか?
キミの言う第一歩、どうしても殺し合いに乗せたいというなら!ボクがその一歩を踏み出すとしたら標的にキミを選ぶ!
キミのせいで深雪さんは死んだんだ!そしてブレイジェルは二度も命を絶たれた!ボクには簡単だ!彼らの命と引き替えにキミの命を奪うことなんて……」
歯を食いしばり、ドモンの胸を叩くと、ヒカルは手を放し膝を折った。
「すまない。キミを責めるつもりはなかった。本当はキミの話に心が揺れた。それを思いとどまらせてくれたのは祐作とサーガインだ」
「……あいつらが麗さんの代わりになるのか」
ヒカルと麗を話す深雪は二人を温かく祝福する思いに溢れていた。
「麗……」
その名を唱えるヒカル。固く閉じられた瞼が愛しい人を亡くした悲しみを物語っていた。
「ボクがどんな思いでキミに殺し合いを止めさせようと決断したかわかるかい?もう一度考え直してくれ」

316 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:42:38 ID:PQxHz/lF0
「もう一度考えるのはヒカルさん、あんただ。俺の思いは変わらない。教会で待ってる」
ドモンはクロノチェンジャーをデイバックから取り出し、教会へ重い足を運ぶ。
海外沿いの遊歩道でひっそりと白い花が揺れていた。
小さな清楚な花だった。まるで深雪が笑っているように見えた。



 ▽



説得は失敗、ドモンも殺せぬとは、腑抜けが!

サーガインは、二人を着けていた。
最初から明石の所へ向かう気など無い。深雪の首輪を奪うため後をつけ、様子を一部始終見ていた。
二人は言い争い、やがてドモンは教会の方へ、ヒカルは反対の方へ歩いて行った。
「さて……」
サーガインは一息つき、嫌な笑いを浮かべると深雪の死体に近づいた。
触れた感触は冷たい。もはや一切の温もりはなく、硬直が始まっていた。
「ふんっ!!」
サーガインは深雪の腹を足で踏み付け、髪の毛を鷲づかみにし、深雪の身体を起こす。
巌流剣で首を切断すれば早いが能力を発揮した後が厄介だ。
ドライガンで死体を粉々に砕き、首輪を奪おうかとも思ったが音を聞き付け二人のどちらかが戻ってくる可能性もある。
どちらもサーガインの役には立たない。殺してしまえばすむだけの話だが。

「骨が折れるな。だが、仕方あるまい」
深雪の胸元を掴み、力任せに左右へ引いた。
ビリッ。
服が破れ薄い鎖骨と胸元があらわになった。

317 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 00:43:57 ID:ik/kfBYbO




318 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:47:09 ID:PQxHz/lF0
「チッ」
思うようにいかない苛立ちに舌打ち、硬直の進んだ顎関節と肩に手を掛け、一気に引き裂いた。
ぶちっブチブチッ 。
さらに力を入れる。筋繊維がゴム状にのび、反動で深雪の手がびくんと動いた。
焼焦げて炭化した顔がガサガサと崩れだす。
「顔を踏み潰したほうが、早いかもしれんな」
その時、サーガインの瞼を白い物が覆った。手に取るとそれは白い花びらだった
風に乗った花びらが紙吹雪の如く顔の横を掠める。
振り返ると白い花を両手に抱えたヒカルが呆然と立ち尽くしていた。
「サーガイン……。キミは、一体何を……?」
ヒカルは酸欠状態の金魚のようにパクパクと口を動かした。
「何?見ればわかるであろう。首輪を貰うのだ。首輪を外して解析すれば深雪殿も喜ぶであろう?」
体制を変え、再び腹を踏みつけ深雪の首を捩切ろうとした。
「これは裕作どのも知ってのこと。首輪が外れれば貴様の命も助かる」
無論、祐作は知らない。そう言えば納得するとは思わなかったが、腑抜けっぷりに拍車が掛かるのは見物だと無情に言い放った。
パサリ。
風に大量の花びらが舞う。
ヒカルが花束を落とし、絶叫を迸らせながらこちらへ突進するのが見えた。
走りながらヒカルはチケットを切りマジシャインへと姿を変える。
サーガインは咄嗟に巌流剣を抜き、深雪の首を切断し首輪を抜き取った。
「もう深雪殿にようはない。おまえの好きにするがいい」
振り向きざまに向かってくるマジシャインへ深雪の頭部を放り投げた。
「なぜ、なぜ!こんなことができるんだ! 」
マジシャインは変わり果てた深雪の頭部を胸に抱き、怒りに震えている。
「深雪さんを思っているからこそ、ボクはドモンを説得しようと思った。キミたちにもボクの思いは伝わっていると思っていた!!」

319 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:51:52 ID:PQxHz/lF0
5分で終わらせてやる。
その後は人目に付かぬところで制限をやり過ごせばいい。
サーガインは辺りに目を配る。
ドモンは教会へ向かった。下手に戦って今ドモンに戻ってこられても困る。
砂浜に続く岩場なら、身を隠す場所にもなろう。
サザザッ。
サーガインは擦り足で後へさがり、適度な間合いをとる。
両手に巌流剣を構えるサーガインを意に介さずマジシャインは深雪の頭部を身体の元へ戻した。
マジシャインはゆっくりと立ち上がり、サーガインへ近付く。
背中に携えた殺意をサーガインは鼻先で薄く笑う。
サーガインはそのままじりじりと下がりながら、背後に聳える岩場を確かめ、そこまで一気に走り寄る。

「ロンを倒すためだというのに。ヒカル、貴様俺を殺す気か?ドモンを説得するつもりが唆されたとは」
武器も持たず、マジシャインは無様に拳を振り上げる。
「やはり腑抜けか……」
体当たりするように間合いを詰め、右の一刀を横へ薙ぎ払いざま左の一刀を斜め上に切り上げる。
「ウワァァァッ!!」
火花をあげマジシャインの身体が沈んだ。
「何が起こったのかもわかっていまい。先に変身したのはヒカル、貴様だ。もう死ね!貴様如き巌流剣の錆にもならぬがな!!」
躊躇うことなく袈裟懸けに斬りつける。
刹那、マジシャインの装甲が光に包まれた。

「プロミネンスアタック!」

風が走った。
右半身に衝撃が走り、次いでサーガインは苦痛の叫びをあげた。
「グァァッ!!!」
「ボクの名前を気安く呼ぶな……。おまえは深雪さんの、ドモンの、ボクの思いを殺した!天空聖者の名に架けてボクがおまえを終わらせる!!」

320 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 00:53:53 ID:PQxHz/lF0
地面を転がる屈辱。
すかさず立ち上がりサンジェル目掛け刀を伸ばす。
「その姿なら少しは相手になるかもしれんな」
サンジェルは右手を胸に、呪文の詠唱を始める。
顕在した光が太陽の如く煌めいた。

「プロミネンスシュート!」

咄嗟に左に身を交わすサーガイン。
光球は左頬を掠めた。瞬時、焼け付くような熱さがサーガインの身体を巡る。
頬を押さえ思わず片膝をついた。
「グッ!」
呻きを漏らした瞬間サンジェルの姿が消えた!?
否、後ろ――――――
悟った時すでにサンジェルはサーガインを羽交い締めにし、凄まじい勢いで地を蹴り太陽に向かい跳躍した。

「プロミネンスドロップ!!!」

構える隙さえ与えられずサーガインは地に叩き付けられる。衝撃に前後不覚に陥る。
揺れる視界。ふらふらと二、三歩たたらを踏み、やっと留まったところで両手に握る巌流剣が左一刀であることに気付いた。
フッとサンジェルの幻影が視界を過ぎった。
視点を合わせると何故かサンジェルの顔が自分の胸の辺りに見えた。
「なっ!?」

321 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 01:00:33 ID:PQxHz/lF0
身体を走る衝撃に背を弓なりに反らせば……。左肩に納まるはずの巌流剣が、サーガインの腹から背に納まりきらず突き抜けていた。



 ▽



激情、その言葉が一番近いものかもしれない。
使命でもなく、悪を倒すでもなく、敵を打つでもなく、まさしく激情に駆られ湧き上がった殺意が、身体の奥底からボクを操っていた。
サーガインを殺す。それ以外に考えることなどできなかった。
何の迷いも躊躇いもなく、巌流剣でサーガインの身体を貫いた。
深雪の側であることも、戻ってきたドモンの姿が見えたことも、すべてフィルター越しの景色のように、とても遠く不確かだった。

明確だったのはサーガインに対する殺意。
己の命を救うためなら他人に対してどれほど残酷にもなれる。
ボクはサーガインと同じだ。 深雪さんのためじゃない。 悔しくて悲しくて、それを我慢できなかったのはボクだ。

いつの間にか、ボクとドモンは砂浜の上に二人座って海を眺めていた。
どうしてきたんだ?そう聞こうとした。立ち上がったドモンの手に、ボクが摘んだのと同じ白い花が握られていた。
ドモンは深雪さんに花を供えに来たんだ。

「可笑しいかい?ドモン。キミが躊躇した第一歩をボクは簡単に越えてしまったよ」
ドモンは笑った。正確に言うと笑い飛ばした。
「あ〜ぁ、ひでぇよ、ヒカルさん。先に殺っちまうなんてさ。誘ったのは俺だぜ」
ドモンは波打際で倒れたサーガインに目をやり、優しい声でボクに語りかけた。
「戻ってきてサーガインのやったことを知った時、俺はあいつを殺そうと思った。だからサ−ガインは俺が殺したのも同じだ」

322 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 01:04:22 ID:PQxHz/lF0
「違う。キミは……。まだ戻れる」
ボクの言葉など聞こえないように、ドモンはデイバックから形の崩れたアップルパイを取り出し、二つに割ると片方をボクへ差し出した。
ボクは黙ってそれを受け取った。

「食べよう、ヒカルさん。まだ先は長いぜ。まぁ、美味いとは思えないだろうけど……」
そうだ。ボクらは生き延びなければならない。
ボクらの願いが叶うまで、後どのくらいかかるかわからない。
「「いただきます」」
二人の声が重なる。
「ククッ。ハハハ」
突然笑い出したボクを、ドモンが心配そうに見つめた。
「いただきますの意味を思いだしたんだ。
知らないのかい?食べ物に関わるすべての人への感謝の言葉だと前に薪人が教えてくれた。
そして、あなたの命をいただいて、私の命にさせていただきますという意味もあるんだ」
ボクはサーガインを見て、笑った。
「他の命を奪い亡くした者を取り戻そうとする。今のボクたちに とてもお似合いの言葉だと思わないか?」

崩れたアップルパイを一切れ口に入れた。
「なんでだろうな、こんな時なのに……」
ドモンは言葉を詰まらせた。
その先はわかる。こんな時なのに、崩れてお世辞にも美味そうには見えないアップルパイなのに……。
悔しいほど、舌が痺れるほど、美味かったから。


323 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 01:08:06 ID:ik/kfBYbO
支援…できるか!?

324 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 01:13:17 ID:PQxHz/lF0
 ▽


「馬鹿め……。このサーガインまだ死んではいない!!!」
コックピットの中でサーガインが叫ぶ。
運よくヒカルが貫いたのは傀儡のみ 。サーガイン本体のいるコックピットに影響は無かった。
とはいえ一度能力を発揮したため傀儡を動かせぬ状態。
サーガインは波打際で俯せに倒れたままかろうじて動かせる目を駆使して辺りを伺う。

「ヌハハハハ!とんだお人よしだな。俺のデイバックをそのまま置いていくとは!
サーガインはあの時ヒカルにドモンの荷物を渡すと見せ掛け、小津勇の支給品を残し自分の基本支給品を渡したのだ。
一つ悔しいのは深雪の首輪を奪われたこと。
「まぁ、首輪はいずれ手に入ろう。ウメコとやらの死体も近くにある。……しかし 」
動けず、蛙のような格好で波打際に倒れているのは屈辱の極みだった。
俯せに倒れているのでサーガインはやはりorzの状態なのだが、体制など気にならなかった。身体の底から笑いが沸きあがるのを止められない。
「俺はロンの犯した最大の失態を握ったのだ。殺し合いの餌、ロンの宣う甘言を根底から覆す最大の失態をな!」
深雪の死に様、後からロンが持ってきた小津勇のデイバック。そしてサーガインの第六感。
デイバックの中の小津勇の支給品、サーガインの物と若干異なる状態の物の『鍵』を掴んだと思った。
おそらくドモンは気が付かなかったであろう。
偉大なる科学者、サーガインでだからこそ些細な異変を見逃さなかった。
「ロンめ、早々に俺をここに連れてきたことを後悔することになったな……。ん?」

ザッパ〜ン。

「ぬお!」
サーガインが倒れていたのは岩場近くの波打ち際だった。

325 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 01:17:59 ID:ik/kfBYbO



326 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 01:22:12 ID:PQxHz/lF0
波の穏やかな砂浜と違い、岩を叩く波は飛沫をあげ、真っ白な泡が深い蒼海に散る。
男の海、日本海さながらの波がサーガインの身体を叩きつける。
波の音はうるさく不愉快だったが別にどうというものでもない。
重い傀儡が波にさらわれる心配はまずないので身の危険の心配もいらなかった。
再び思考を巡らせようと目を瞑る。
「ヒカル、ドモン。この敵は必ず取らせて貰うぞ」
などと一人呟きながら数分。一際大きな波音が轟いた。

ザッパ〜ン。チャポ。

「ぬぅ、チャポ。だと?」
爪先を冷たい物が触れた。目を開けるとコックピットに水溜りができている。
無論、設計上は浸水などするはずが無い。コックピット内の安全は自分の命に繋がるのだから。
だが見る見るうちに水溜りは大きくなる。
脱出しようと開閉ボタンを押す。
俯せで倒れているせいでフェイスマスク部分に作られたコックピットの扉が開かない。
甲虫のような細い腕では、頭部を押し上げて脱出も不可能だ。
浸水の箇所を防ごうとサーガインは夢中で手を伸ばした。
フェイスマスクの左頬の部分。サンジェルにつけられた傷が亀裂となり水の浸入を防げない。
バチバチと稲光にも似た眩しい光がコックピットに走った。途端、傀儡内部の光がシャットダウンした。
僅かにアイマスクの隙間から太陽の光が差し込む。
しかし、その光もすぐ波に消された。
暗いコックピットに水音だけがチャプチャプと不気味に響く。
「このまま、死んでたまるか!ゴブッ」
コックピットを満たす水は、もうサーガインの鼻先まで来ていた。
海水を飲み込んだ喉が、鼻が、焼けたように痛い。
「暗黒七本槍・五の槍 サーガイン。この俺が、こんな惨めな死に様などありえんっ……!ゴブオッ、ゴポッ、コポッ……コポ……」
海水がサーガインの身体を満たし、その重い体がぷかりと浮くまで、時間はそうかからなかった。


【サーガイン 死亡】
残り30人

327 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 01:27:52 ID:PQxHz/lF0
【名前】ドモン@未来戦隊タイムレンジャー
[時間軸]:Case File20後
[現在地]:I-4海岸 1日目 午前
[状態]:身体に無数の切り傷と打撲と火傷(中程度のダメージ)。
[装備]:クロノチェンジャー
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ヒカルを優勝させ、深雪に幸せな家庭をプレゼントする。
第一行動方針:ヒカルと共に行動。
備考:変身に制限があることに気が付きました。 ウルザードに受けた傷はほとんど治りました。

【名前】ヒカル@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage35後
[現在地]:I-4海岸 1日目 午前
[状態]:左肩に銃創。応急処置済み。胸に刺傷。2時間魔法(マジシャイン、サンジェル変身不可)使用不可
[装備]:グリップフォン、シルバーマージフォン
[道具]:基本支給品×3(サーガイン、小津深雪、ヒカル)月間宇宙ランド(付録なし)@激走戦隊カーレンジャー、ゼニボム×3@特捜戦隊デカレンジャー
[思考]
基本方針:ドモンと共に優勝を目指す。
第一行動方針:深雪の首輪を奪おうとした祐作に不信感。
第二行動方針:ティターンに対して警戒。
第三行動方針:冷静すぎる明石に微妙な気持ちを抱きました。
備考:サーガイン、裕作と情報交換を行いました。マジシャインの装甲(胸部)にひび割れ。勇、深雪、ウメコの死に様をドモンから聞いています。


328 : ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 01:28:14 ID:PQxHz/lF0
【名前】早川裕作@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:34話後
[現在地]:I-4海岸 1日目 午前
[状態]:健康。
[装備]:ケイタイザー
[道具]:フェンダーソード@激走戦隊カーレンジャー、火竜の鱗@轟轟戦隊ボウケンジャー、木製の台車(裕作のお手製)、他1品
[思考]
第一行動方針:瞬を捜す
第二行動方針:
備考:2時間の制限に気づきました。ヒカルと情報交換を行いました。メガシルバーの変身制限時間は2分30秒のままです。
    ヒカルがドモンを殺し合いを止めるよう説得していると思っています。勇、深雪、ウメコの死に様をドモンから聞いています。
  


共通事項
※サーガインの持ち物。基本支給品一式(小津勇)、拳銃(シグザウエル)はデイバックに入ったまま、I-4海岸、岩場近くの波打際、サーガインの死体の側に放置されています。
  小津勇の支給品に関して『何か』(サーガイン曰く「俺はロンの犯した最大の失態を握ったのだ。殺し合いの餌、ロンの宣う甘言を根底から覆す最大の失態をな!」)があるようです。



329 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 01:31:28 ID:ik/kfBYbO
シ・エ・ン

330 :これより至極の天罰はない ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 01:33:10 ID:PQxHz/lF0
以上、投下終了です。
途中代理投下感謝します。
前回の破棄を含めて長々とキャラの拘束を申し訳なく思っています。
指摘点、誤字脱字等よろしくお願いします。
感想が頂ければとてもうれしいです。


自分は本年度これで最後の投下となります。
書き手、読み手の皆様とも良いお年を。
来年もよろしくお願い申し上げます。

331 :これより至極の天罰はない ◆MGy4jd.pxY :2008/12/25(木) 01:34:18 ID:PQxHz/lF0
おっとタイトルは『これより至極の天罰はない』です。

332 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 01:47:28 ID:ik/kfBYbO
GJーーー!青い服のサンタさんが最高のクリスマスプレゼントを持って来たー!

さて、まずは一言、心の叫びをば。
サーガインーーー!!!!ってェェェェーーー!!??
こ、これはヒカル先生が悪い…と言えるのか!?
サーガインの自業自得はまず間違いないですがw
それにしてもまさかヒカル先生が一線を踏み越える事になるとは。
(実際には越えてないと言えるかもですが)
ヒカルとドモンの奉仕サラマンダー?コンビがこれからどうなるか楽しみです。
話の展開のさせ方、まとめ方、そしてオチwが秀逸でした。面白かったです!



333 :名無しより愛をこめて:2008/12/25(木) 01:50:53 ID:ik/kfBYbO
おっと、肝心な事を。

聖夜に良いお話を読ませて頂きました。
良いお年を。こちらこそ来年も宜しくお願いします!

334 :名無しより愛をこめて:2008/12/26(金) 00:11:34 ID:AEgtWTdt0
GJ!
揺れ動くヒカルの心の描写や、結果的にヒカルを奉仕マーダーにした挙句、自業自得の目に合うサーガインの描写が非常に秀逸な作品でした。
しかし、悲壮な空気が漂う中、サーガインが特に悲壮感が感じられないのが、彼の人徳かなと思いました。
さて、ヒカル、ドモン組みはもちろんですが、サーガインを失った裕作がどうでるかも気になりますね。

最後に、今年は鬱で面白い数多くの作品をありがとうございました。
よいお年をお迎えください。

335 :名無しより愛をこめて:2008/12/26(金) 21:54:02 ID:GV9XVgUa0
サーガイン年を越せなかったか…
遅れましたが、投下お疲れです!
ある程度安定期に入ってたグループの崩壊。
今年最後まで波乱含みのまま、真の決着は来年へ持越しですね。
さて…どうなるやら…

336 :名無しより愛をこめて:2008/12/27(土) 23:38:34 ID:ogQohrLC0
まとめ氏の作品が楽しみだ〜。

337 :名無しより愛をこめて:2008/12/27(土) 23:42:16 ID:taH0K4Bo0
俺も楽しみダー!!!!
今日くるかな?

338 :名無しより愛をこめて:2008/12/28(日) 03:04:59 ID:mbjTqlnSO
wktkが止まらんとはこの事だな。
とりあえず、あれだ。正座して待ってよう。

339 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/28(日) 23:33:59 ID:NVrI0UYs0
今回、本当に遅くなり、期待していただいた皆さんには申し訳ありません。
ただいまより投下いたします。

340 :優勝候補 ◆i1BeVxv./w :2008/12/28(日) 23:34:31 ID:NVrI0UYs0
「東よし、北よし、西よし、南よしと」
 スコープショットを覗き、四方を警戒する蒼太。
 ここは工場の屋上。マーフィーの修理が詰めの段階に入り、助手がいらなくなった頃、蒼太は偵察という建前の元、屋上への階段を上った。
(そう建前なんだよね)
 徐に蒼太は懐からメモ帳を取り出すと、ペンを握り、文章を綴り始める。
 スパイ時代からの癖で、蒼太は仕事相手のデータを調べずにはいられない。
 本来なら愛用のパソコンに入力したいところだが、ないものは仕方ない。
 勿論、ここを脱出した後に入力してもいいのだが、仲間のひとりの行動が蒼太に不信感を抱かせていた。
(真咲美希、激獣拳の使い手。要注意人物)
 美希は彼を観察していたが、彼も美希を観察していた。
 スパイである蒼太は自分に対する視線が持つ意味に聡い。
 彼女が蒼太に向ける眼は自分をスパイだと知っている眼だ。
(結構怪しいんだよね、彼女。他の人を見る眼もまるで値踏みしているような。それでいて、時折悲しそうな表情もしてたし。
 ……瞬くんを向かわせたのは早計だったかな)
 無論、考えすぎかも知れない。こんな状況だ。少し慎重な人間であれば、本当に相手が信用すべき相手かどうか、不信感を持っても仕方がない。
(と、いうより、この状況じゃあ、誰も信用するべきじゃないけど。
 ボウケンジャーの仲間たちだって、ティターンが言ってた通り、時間軸が違えば敵になる可能性があるしね。
 ただひとつだけ例外があるとすれば)
 蒼太は懐に隠した支給品を、服の上から擦った。
 ヒュプノピアス。刺した相手を自在に操れるこれを使えば、その一人は確実に"信用できる相手"になる。
(まっ、使わないけどね)

―なら、何故捨てるなり、壊すなりしないで持ち続けているのです?―
 
 ふと、ロンの言葉が頭を過ぎった。
 蒼太は思い出す。


341 :優勝候補 ◆i1BeVxv./w :2008/12/28(日) 23:35:20 ID:NVrI0UYs0
 それは蒼太がA-1エリアの地下迷宮でショットアンカーを使い、壁面を這いあがった時のこと。



「お疲れ様です」
 開口一番。這い上がった蒼太にまず掛けられた言葉がそれだった。
「ロン。ということは僕の思惑はバレバレだったわけか」
 蒼太は特に驚いた様子もなく、淡々と言葉を返す。対してロンも、同じく淡々と言葉を紡いだ。
「ええ、あなたが何の考えもなく命を捨てる人とは思えなかったもので。
 ああ、でもおぼろさんには何もしてませんよ?」
「そりゃ、どうも」
 蒼太はゆっくりと態勢を整える。その間、蒼太はわざと隙を見せたりしたが、ロンは意味ありげに笑うだけで何もしない。
(やっぱりね)
「で、目的は済んだんでしょ?わざわざ、僕を待っていた理由は?」
「ふふっ、他の方ならこのまま戻ってもよかったのですがね。折角だからあなたとお話しておこうかと思いまして」
「それは光栄だね。女性からの誘いだったら、なお良かったけど」
「変わりましょうか?」
 ロンが金色の靄に包まれると、たちまちその姿が女性の姿に変わった。
 黒髪の短髪に緑色の三つ編み。チャイナドレスがチャームポイントのメレの姿だ。
「へぇ、そんなこともできるんだ。たしか、その姿はメレさんでしたね。でも、ノーサンキュー。話すなら元の姿で」
「そうですか」
 一瞬にして、ロンは自らの姿に戻る。
「便利な能力だ。その能力でこの中の誰かを焚きつけたりしてるのかな」
「今はまだしてませんよ。今はまだ、個人の自由に任せている状態です」
「今はまだ……か」
「ええ、今はまだです。機を見計らっているのですよ。あなたがその懐にあるヒュプノピアスを使う時を見計らっているようにね」
「……お見通しってわけだ」
 蒼太は懐からヒュプノピアスを取り出す。
「おっと、私には使わないで下さいよ。折角用意した物が無駄になってしまいますから」
「元から使う気はないよ。確かに君になら、あんまり良心は痛みそうにないけどね」


342 :優勝候補 ◆i1BeVxv./w :2008/12/28(日) 23:36:49 ID:NVrI0UYs0
「良心?クククッ、いや、失礼。まさか、あなたからそんな言葉が出ようとは」
 失礼と言いながらも、堪え切れないといった様子で笑い続けるロン。
「何かおかしい?」
「いえ、なら、何故捨てるなり、壊すなりしないで持ち続けているのです?
 それはあなたのスパイとしての経験が、いつか使うときが来ると予感しているからではないのですか?」
「やっぱり、僕の経歴は知っているようだね。でも、僕はもう二度と自分がスリルに酔うために人を傷つけないと誓ったんだ」
 蒼太の決意を込めた言葉に、またも、ロンはクククッと嘲笑った。
「それは平和な世界だからこそ言える理屈だと思いますがね。
 いえいえ、責めているのではありません。むしろ、あなたには期待しているんですよ。
 なぜなら私は、あなたを優勝候補だと思っていますからね」
「優勝候補?」
「ええ、そうです。単純に強いだけでは、この殺し合いは勝ち抜けません。
 血の気の多い者は人減らしには役に立ちますが、やがて自滅するものですよ。
 それより、人心掌握に長け、攻め時、引き際を知り、相手を利用する狡賢さを持つそんな人物こそが勝ち残れる。
 その全ての条件を満たしている参加者、それがあなただと思っています」
「………」
 無言になる蒼太だったが、やがて、ロンに負けないほど顔をニヤつかせる。
「……ふふっ、ははははっ。随分と買い被ってくれたものだ。
 そうやって、皆をその気にさせているんですか?駄目ですよ。僕はひっかからない」
 ロンの顔の前で蒼太はわざわざ指を振った。
 その挑発的な態度に、ロンは不快を顕にする。と、思いきや、ロンの笑みは変わらなかった。
「やはり、あなたは期待できますね。ですが、脱出不可能とわかったとき、どういう行動をとるんでしょうね?」
 ロンは意味ありげな台詞を吐き、踵を返す。
 そして、蒼太のマネをするかのように、指を振り、言葉を紡いだ。
「ヒントをひとつだけ。もし、首輪を外す方法を見つけたとしても、決してあなた自身で試してはいけません。
 もっとも邪魔になる方で試すことをお勧めしますよ」


343 :優勝候補 ◆i1BeVxv./w :2008/12/28(日) 23:37:21 ID:NVrI0UYs0
 ロンはそれだけ言うと、金色の靄になり、そのまま消えていった。



「優勝候補……か」
 確かにこんな異常な状況においても、蒼太の胸は高鳴っている。
 それが冒険魂によるものなのか、それとも、スパイ時代にも味わったことのないスリルによるものなのか。
 蒼太にも、それははっきりわからなかった。
「いけないいけない、こんなこと考えてちゃ、ロンの思うつぼだ。
 さて、そろそろマーフィーの修理も終わった頃かな」
 蒼太はメモ帳を閉じると、それを懐に収め、立ち上がった。
「おっと、いけないいけない」
 建て前といっても、表向きは屋上に来たのは偵察のためだ。
 しっかりと役目は果たしておくべきだろう。
「何もないと思うけど」
 蒼太は再度、スコープショットを構える。
 東を見て、北を見て、西を見て、そして、蒼太は南を見た。
「!?、あれは」 
 スコープショットが南に人影を捉えた。
 蒼太は急ぎ、時計を確認する。
「8時58分。まずい!」
 蒼太が警戒を甘くしていた理由はここにある。
 西は既に禁止エリアになり、南も数十分で禁止エリアになる場所。
 そんな所に今更留まる参加者はいないと考えたのだ。
 だが、今まさに禁止エリアになろうとしている場所に誰かがいる。
「ボウケンジャー、スタートアップ!」


344 :優勝候補 ◆i1BeVxv./w :2008/12/28(日) 23:43:09 ID:NVrI0UYs0
 蒼太はボウケンブルーに変身すると、一目散に人影の方へと向かって行った。


 
「よっしゃ!マーフィーちゃんの修理、か!ん!りょ!う!やぁぁぁ!はぁぁぁ。肩凝ったぁ」
 工場内におぼろの威勢のいい声が木霊した。
 それに呼応するかのようにマーフィーがバウッと鳴く。
「いやぁ、しかし、大変やったで。見たことのないテクノロジーがふんだんに使われとったからな」
「バウッ?」
 マーフィーの内部機構には、今の地球の科学を越える技術が使われていた。
 カラクリ巨人などの技術を理解するおぼろにとっても、それは相当難解な代物だった。 
 こんなものを造れるとしたら、規格外の超天才か、ジャカンジャのような宇宙人かのどちらかだろう。
「それでも直してしまうんやけどね。まあ、うちにかかれば、ざっとこんなもんやで」
 自慢げに胸を張るおぼろ。だが、その言葉に応えるのはマーフィーしかいない。
 おぼろは胸を張ったまま、屋上へ行った蒼太を思い、天井を見上げた。
 ネジブルーを追い払ったとはいえ、ある者は人質救出のため、ある者は漁夫の利を得るため、彼の放送に惹かれてこのエリアに集まってくる可能性は未だ0ではない。
 そして、目的はどうあれ、ここから脱出するためにはいずれ接触も必要になってくるだろう。
「ほんま、蒼太くんは頼りになるわ」
 おぼろは蒼太にマーフィーの修理完了報告のため、屋上への階段を上り始める。
「それにしてもマーフィーちゃんって、戦闘用みたいやけど、一体何者なんやろうな」
「バウゥ」
 修理の過程で、おぼろはマーフィーの内部に隠された砲身やトリガーを眼にしていた。
 それはマーフィーの本来の用途は武器ということを示している。
 もっともロックを解除するためにはキーになる何かが必要で今のままでは使えそうにないが。
「まあ、それも蒼太くんと相談すればええか」
 扉が開き、新鮮な空気が部屋へと入りこんでいく。
 おぼろは軽く深呼吸を行い、灰を空気で満たすと、眼を開けた。
「……あれ?蒼太くん」
 しかし、そこに蒼太の姿はなかった。辺りを見回すが、どこにも見えない。
「おーい、蒼太くーん!どこやー!まさか、誰かに……」

345 :優勝候補 ◆i1BeVxv./w :2008/12/28(日) 23:43:53 ID:NVrI0UYs0
「バウッ!!」
 いつの間にか横にいたマーフィーが南に向って、勢いよく吠える。
 つられておぼろも南を見るが、おぼろの眼には何も見えない。
「バゥゥッッ」
 マーフィーは落ちていたスコープショットを口で掴むと、おぼろの手に握らせる。
「おっ、マーフィーちゃんも気がきくなぁ」
「バウッ♪」
 おぼろはマーフィーの頭を撫でると、スコープショットを覗いた。
 そこには――
「おっ、蒼太くん、おったわ。っと、あれ誰や?」
 おぼろの眼には蒼太に担がれる女性の姿が映っていた。



 工場の机の上に、マーフィーに代わり、女性が載せられる。
 気休めながらもベッド代わりに、蒼太のジャケットなどの服を下に敷いてだ。
 女性――西堀さくらは自分を心配する声を聞きながら、今後の行動について、考えていた。
(潜入成功ですね)
 蒼太は自分がさくらを発見したと思っているだろうが、実際は違う。
 さくらが蒼太に発見させたのだ。
 さくらは自らのスコープショットで蒼太の存在を確認していた。
 ただ会うだけなら、工場に向かえばいい。
 だが、さくらはある目的のため、賭けに出た。
 その賭けは成功した。ギリギリだったが、目論見通り、蒼太は自分の存在に気付き、変身して、自分を助けた。
 そう、変身してだ。
(今の私の戦闘手段はスコープショットに仕込まれたナイフしかありません。あとは徒手空拳。
 変身を封じなければ、私と蒼太くんとのパワーバランスはあまりに開きすぎてます)
 これでおおよそ2時間、蒼太は変身することはできない。
 それまでにチーフを探し、隙を見て、蒼太を殺そうとする。そうすれば――

346 :優勝候補 ◆i1BeVxv./w :2008/12/28(日) 23:46:30 ID:NVrI0UYs0
(チーフに見苦しく惨めな死に様を晒す。仲間を殺そうとして、逆に殺されれば、それは惨めでしょうね)
 さくらは蒼太に殺されようとしていた。


【最上蒼太@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.3、後
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:良好。2時間ボウケンブルーに変身できません。
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー、ヒュプノピアス@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:バリサンダー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:さくらの介抱。
第二行動方針:おぼろと共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第三行動方針:おぼろを守る。ジルフィーザと合流する。
※首輪の制限に気が付きました。
※時間軸のずれを知っています。

【日向おぼろ@忍風戦隊ハリケンジャー】
[時間軸]:巻之三十、後
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:全身に軽い火傷、打撲。応急処置済み
[装備]:イカヅチ丸@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:さくらの介抱後、蒼太と共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:首輪を何とかする。ジルフィーザと合流する。
※首輪の制限に気が付きました。
※時間軸のずれを知っています。

347 :代理:2008/12/28(日) 23:59:32 ID:wwAm/Dqp0
【名前】西堀さくら@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:健康 (ただし、ロンによる洗脳を受けており、いつでも傀儡になる危険性あり) 。
[装備]:アクセルラー(損壊、要修理)、スコープショット
[道具]:なし。
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ここから脱出する。
第一行動方針:チーフ(明石暁)と合流する。その後、蒼太に殺される。
第二行動方針:夢の啓示で今の自分を再確認。裏方針が表に。(ロンの存在については気づいていません)
※)裏行動方針:ロンの言われるままにいいように操られ、見苦しく惨めな死に様を晒す。
 ただし、本人にその自覚はなく洗脳行動も全て自分の意思であると思い込む。

【名前】マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:不明
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:修復完了。本調子ではないが、各種機能に支障なし。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:???
第一行動方針:蒼太たちと一緒に行動する。




投下乙です!
遂に顔見知りと合流を果たした姐さん。
これからどうなるかワクワクです。もう一度、お疲れでした。



348 :代理:2008/12/29(月) 00:13:14 ID:OCntz73i0
あれ? でもさくらって確かスコープショットも失ってませんでしたっけ??

349 : ◆i1BeVxv./w :2008/12/29(月) 00:34:13 ID:byL9T4bE0
失礼しました。どうやら参照先をミスしたようです。
該当箇所に関しては、修正いたします。
遅くなったうえにミスとは申し訳ないです。

350 :名無しより愛をこめて:2008/12/29(月) 00:50:29 ID:RBXYFCttO
投下&代理投下GJです!

美希さんの様子に気が付くとはさすが蒼太さん。
仲間さえ敵かも知れないと考える冷静さ、
冒険魂とスリルの区別を付けられないアンバランスさが非常な彼らしいと思いました。
相変わらずヒュプノピアスを捨てられない事がどこか危ういですね。
それにしてもロンは相変わらずw
ロンと蒼太さんの心理戦が面白かったです!


351 :名無しより愛をこめて:2008/12/29(月) 01:31:17 ID:9nz79J1MO
うぉぉぉぉっ!!!
蒼太とさくらの今後がめちゃくちゃ楽しみになってきた。
展開予想が止まらないぜ!
蒼太、本領発揮と言ったところですね。
まさしく優勝候補だw
しかしいつも本当に簡潔にすっきり纏めて読後感最高です!
面白かった、この一言では表しきれないほどGJ!でした。

352 : ◆8ttRQi9eks :2008/12/31(水) 01:07:51 ID:4X1zzKKx0
これより投下します。

353 : ◆8ttRQi9eks :2008/12/31(水) 01:08:41 ID:4X1zzKKx0
―――僕の大きな宿業が彼女の存在を小さくしてしまった…




「具合、どうですか?」
関西弁特有の尻の上がったイントネーションで日向おぼろは西堀さくらの手を握った。
ひどく、脈が荒い。
相当過酷な局面を迎えたであろうことがそれだけでも如実に伝わってくる。
「ありがとう…ございます…わたしは西堀さくら。蒼太君と同じボウケンジャーのメンバー・ボウケンピンクです」
さくらは自分を心配そうな面持ちで見つめるおぼろに微笑みかけた。
「あたしは日向おぼろ。メカニックや。蒼太君には世話になっとる」
お互いに自分が何者であるかを確認しあう。
―他人に容易に心を許さない蒼太が行動を共にする女性。
ならば、彼女は殺し合いには乗っていないのだろう。
さくらもおぼろもお互いに同じ認識を相手に対し共有した。
「それにしても、何があったんです? さくらさんがこんな目に遭うなんて…」
それに、どうしてあんな場所にいたのか。
自分の知るさくらならばあんな無謀な真似は絶対にしない。
さくらは二人に自分がグレイに戦いを挑んだこと、そしてガイに屈服したことだけを
上手く避けて今の自分の状況を説明した。



354 : ◆8ttRQi9eks :2008/12/31(水) 01:10:04 ID:4X1zzKKx0
「あいつ…僕らのパラレルエンジンを機能不全に出来たのか…」
知らなかったとはいえ、戦闘を避けることの出来た幸運に蒼太は胸をなでおろした。
過去に一度蒼太とおぼろはガイと遭遇している。
万が一、ガイから見て過去に位置する自分が戦っていればあっという間に殺されてしまっていただろう。
「それにしても僕らに6人目の仲間がいるなんて知りませんでしたよ。それに菜月ちゃんの正体も知ってるなんて…さくらさんは僕より相当後の時代から来たんですね」
「えぇ。でも高丘さんのことはともかく、菜月の正体については伏せておきましょう。
彼女も蒼太君のように自分の過去を知る以前から連れてこられた可能性があります。真墨のことで相当動揺しているでしょうし…無駄に混乱させるのは酷です」
蒼太との時間軸のずれを解消すべく会話を続けていく中で自然、さくらは蒼太の知らない未来の情報を幾つか伝えた。恭介の時と違い、蒼太とはできるだけ情報の伝聞を密にしておく必要がある。
自分がいなくなった後、明石を支えるのは彼なのだから。
「そうですね…彼、残念でしたね……」
「…………………………………………」
伏せ目がちに蒼太が呟いた。
場の空気が沈黙の重みに沈んでいく―

「ふ・二人とも元気だしいな! そやっ! さくらさん、喉渇いてるやろ? 今水を持ってくるからちょっと待っててや!!」

耐え切れず、おぼろが空元気に声を張り上げた。
「そんな! 待ってください!! 助けていただいたのに、貴重な水まで譲っていただくわけには!」
をさくらはあわてておぼろを押し留めた。
「何言ってんの! 困った時はお互い様やないの。すぐ取りに行って来るから待っててや!!」
静止するさくらを振り切り、おぼろは自らの支給品を取りに部屋を去った。



355 : ◆8ttRQi9eks :2008/12/31(水) 01:11:13 ID:4X1zzKKx0

「優しい方ですね…おぼろさん」
さくらはおぼろの背中を見送りながら呟いた。
「えぇ。彼女のおかげで僕も随分助けられてますよ…それより、さくらさん、チーフからの指令なんですが…どうします?」
「そう、ですね…ガイの目的が蒼太君の話どおりだとすれば
一刻の猶予もないですね…本当はチーフが来るまで動くべきではないのでしょうけど…−」
さくらはガイとの遭遇だけは避けたかった。
「僕も出来るならチーフを待ちたいですけど…」
蒼太はここで出来た、分かれた仲間達も心配だった。
特に美希の挙動に違和感を覚える。なにやら不吉な胸騒ぎを覚えるのだ。
これが取り越し苦労ならそれに越したことはないのだが。
「さくらさんの話通りなら僕らのアクセルラーじゃガイには敵わない事になるし…その高丘映士…でしたっけ? 彼がいてくれるなら話は別ですけど…」
自分のアクセルラーにはご他聞に漏れずネオパラレルエンジンは搭載されていなかった。
やがて来るであろう明石のアクセルラーの状態は知れない。
ならば、いつ来るか分からない明石よりも早く仲間達と合流してガイを打ち滅ぼす。
それが一番の得策だと蒼太は思っていた。
「…すみません…わたしが不甲斐ないばっかりに…」
ガイを逃がしてしまったのは重ね重ね、様々な意味で痛恨事だった。
まさか、彼にそんな目的があったとは知らなかったのだ。
「さくらさんの所為じゃありませんよ! 元気出してください!!」
「ありがとう蒼太君…」
さくらは少し疲れたような微笑を浮かべた。その表情を蒼太はじっと見つめていた。
「蒼太…くん?」

「さくらさん…折り入ってお話したいことがあります」



356 : ◆8ttRQi9eks :2008/12/31(水) 01:12:17 ID:4X1zzKKx0

§


「水♪ 水♪ 水は〜っと!」
鼻歌交じりにおぼろは自らの支給品を漁った。
サバイバルの生命線ともいうべき水を他者へ譲渡することに何の躊躇いも持たない。
彼女は嬉しかった。
ずっとどこか影を引きずっていた蒼太がさくらの存在に心から安堵した表情を見せたからだ。
それはきっと、彼の本当の顔なのだろうとおぼろは思う。
「バウッ!」
おぼろの浮かれた様子につられたのか、マーフィーもどこかはしゃいだ様子で足元にじゃれ付いてくる。
「なんや、あんたも嬉しいんか? 調子いい奴やな〜…待っとれ、今オイル出したるさかい」
笑顔に顔をほころばせ、上機嫌でおぼろはマーフィーを抱き上げた。
「バウッ! バウッ!!」
好物にありつけることに病み上がりもなんのその。
まるで本当に生きている犬のようにマーフィーは大きく左右に尾を振った。

§

「“ヒュプノピアス”…ですか」
蒼太から手渡されたそれを手のひらに見つめながらさくらは息を呑んだ。
「えぇ。どうやらロンが心理的な揺さぶりを参加者に…僕にかけるためによこした支給品です。
これを使えばどんな相手でも従順な操り人形にすることが可能です」
「そんなことが…」
「僕はこれを捨て去る勇気が持てなかった…恥ずかしいんですけどね、おぼろさんにも内緒にしてるんですよ…」
自嘲気味に蒼太が笑う。無意識に指輪をさするのはこういう時の彼の癖だ。
「どうして、それをわたしに?」


357 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 22:52:28 ID:LHzrK3/R0
「僕がこのゲームで心から信頼できるのはたった二人。チーフと…さくらさん、あなた方だけです。
なんか厄介ごと押し付けるみたいで申し訳ないんですけど、さくらさんに持ってて欲しいんです。
人を操る悪魔の道具を、信頼の証の象徴にして欲しいんです、それとロンへの反旗の印に。
それを安心してできるのはさくらさんだけです。受け取ってくれますよね?」
縋る様な蒼太の表情に、さくらは彼もまた平静を装いながらも張り詰めていたことを悟った。
「…わかりました。これはわたしがお預かりします」
さくらは蒼太の申し出を快諾した。
「良かったぁ〜…! 断られたらどうしようかと思いましたよ! さくらさん、お願いします」
「心得ました」
さくらは力強く頷いた。

§

「お水、美味しかったです」
いささか復調したのか、さくらは発見された時よりも顔色が良くなった。
「そうかぁ♪ いやぁ、さくらさんに早う元気になってもろうて皆と合流せなあかんからな。
“くえすたー”が愛を枯らすなんてけったいな企みなんて絶対阻止したる!」
無邪気に微笑むおぼろの姿にさくらは何故、蒼太が彼女と行動を共にしているか分かる気がした。
蒼太はまた偵察に出るといって場を外した。
恐らく、出会って間もないおぼろとさくらの親交を深めて欲しいという彼なりの心遣いなのだろう。
それは実に都合が良かった。
「あたしは戦闘こそからっきしやけど、メカに関しては自信があるんやで! あんたのアクセルラーとかいう道具もきっと修理してみせる!! そしたら一緒にロンを倒すんや!!!」
「ありがとうございます。おぼろさんには何から何までお世話をして頂いて…」
「なに言うてるんや! あたしらもう仲間やないの。水臭いこと言わんといてぇな」
さくらの肩をバンバンと叩きおぼろは笑った。

358 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 22:54:10 ID:LHzrK3/R0
「これがアクセルラーかぁ…こうやって見るのははじめてやけど、うちの知ってる子たちが使ってるのと構造自体はそう違わんなぁ…ただ、このパラレルエンジンとかいう装置は結構曲者やな…
修理できるといいんやけど……」

初めて見る他の変身装具を手にあちこちをみつめるおぼろの背後にゆらりと影が立つ。
「なぁ、さくらさん…―――」
振り返ろうと、頭を振ったおぼろが見たのは感情のかけらも感じさせない冷徹な表情をしたさくらだった。
仮にも忍風館の卒業生であるおぼろに気配を一切感じさせることもなく、一気に間合いをつめ
利き腕を強く捻る。
不意を突かれたおぼろは成す術もなくあっという間に押さえ込まれ、壁際に押し付けられた。
「な・なにするんやっ!?」
狼狽するおぼろの耳に震えた声が聞こえてくる。
「ごめんなさい……!」
さくらは右腕に掲げたヒュプノピアスをおぼろの背中に突き刺した―


359 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 22:55:13 ID:LHzrK3/R0
「…―――ッッ!!」
途端、全身に激痛が走る。
「痛ぃいいい!! 痛いいいい!! 痛いいいいいーーーーー!!!!!!!!」
本来、30世紀の囚人を押さえ込むための精神への拘束具として開発されたそれは対象の感情を一切無視し、完全に隷属させる。
その時生じる電磁波の奔流は直接神経を掻き毟るような凄まじい痛みを伴う。

「痛い痛いいいいぃぃい痛い痛い痛いいいいいぃぃいい痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!」

地面を転げまわり、激痛にのたうつおぼろをさくらは涙を流しながらみつめていた。
「ごめんなさい…これしか…これしか方法がなかったんです……」
最も惨めで無様な死に様を晒す。
明石暁は仲間を心から信頼している。
帝国の真珠の時も、ガラスの靴の時も彼はさくらを信頼してくれた。
――だから、蒼太が絆の証にしたいといったこれでそれを裏切る。
なんて浅はかで、なんて思慮のない、なんて無様な企み。
蒼太は仲間の裏切りに敏感だ。きっと、自分を許さないだろう。
それでいい。
彼の怒りが大きければ大きいだけ、惨めに敗れる自分の姿は一層無様さを増すのだから。
「ごめんなさい…ごめんなさい……」
だが、そのために結果として何の関係もないおぼろを巻き込んでしまった。
彼女は愚かなまでに出会って間もない自分を信頼してくれたのに――

「痛いいいいーーーーー!!! 痛い痛い痛いーーーーーー!!!痛い痛い痛い痛いーーーーー!!!!」

なぜ、彼女がこんなことをするのか。
なぜ、あんなに悲しい顔をしているのか。


360 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 22:58:00 ID:LHzrK3/R0
おぼろには何も、分からなかった。

「殺すことはしません…きっと解放しますから……少しの間だけ、わたしの言うことを聞いてください……」




そして、全てが暗闇に閉ざされた。

§

「蒼太君、やっぱり私いけません」


「何でです? やっぱりチーフを待つんですか?」
偵察から戻った蒼太に出会いがしら、さくらはそう告げた。
「はい。それもありますが、わたしにはあなた達と行動を共にする資格がないんです」
「はい? すみませんが、言ってる意味がよく分からないんですけど…」

「わたし、殺し合いに乗ったんです」

事も無げにさくらはそう言ってのけた。まるでなんでもない事の様に。
いつものように真面目な表情で。いつもの冷静な口調で。
「実際に参加者も一人、襲いました。殺しこそしていませんが、殺意があったことは事実です。
それと、わたしガイから逃れたといいましたけど…あれ、嘘です。
本当は土下座して命乞いをして、何とか生き延びたんです」
悪夢を見ているようだった

361 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 22:59:10 ID:LHzrK3/R0
さくらは今の自分を包み隠さず蒼太に告げた。
危険なプレシャスと分かっていながら、保身のためになんの処置も施さなかったこと。
グレイを罠にはめようと画策した時の暗い興奮。
ガイとの舌戦で感じた侮蔑の言葉を吐いたことでの爽快感。
ざらついた砂利を舐めった舌の感覚。命を見過ごしてもらった時の安堵。
聞くに堪えない赤裸々な告白の数々に蒼太は眩暈を覚えた。
悪夢だった。
嘘だと、叫ぶことすら出来なかった。
何も出来ないままただ、その言葉に聞き入るしかできなかった。

「ですから、わたしには一緒に行く資格がないんです。今の話で理解して頂けましたよね?」

さくらの表情は変わらない。
自分がどんな話をしているか、分かっているのか。
築き上げてきた信頼が音を立てて崩れる音を蒼太は聞いた。
そして―…その視線は目の前にいつもの姿勢でたたずむさくらに釘付けにされていて、背後に迫る危機に全く気がついていなかった。
瞳の輝きを失ったおぼろが蒼太の背後に迫っていた。
彼女はイカヅチ丸を握っていた。このまま、無防備な蒼太を気絶させ捕縛する。
そうすればこの場を制するのはさくらだ。
後は、明石が来るのを待てばいい。

ゆっくりと、おぼろがイカヅチ丸を天に翳していく。
あと、少しで、全て準備が整う。


362 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:00:01 ID:LHzrK3/R0
おぼろがイカヅチ丸を蒼太の後頭部めがけて、振り下ろそうとした。その時。
カチッ。
いつの間にか蒼太の手に握られていたスイッチが乾いた音を室内に響かせた。
「え…?」
それを合図にしたように、おぼろの動きが止まる。


「よくわかりましたよ…さくらさん。どうやら、僕ら…行く道が違っちゃったみたいですね」

ヒュプノピアスはただそれだけでは不完全な代物だ。
リモコン端末とその発信機が対になって初めてその効果を発揮する。
蒼太がさくらに預けたのは発信機の部分だけで人を操るだけの力はない。
さくらはおぼろを操っていたように思っていたがその実、蒼太がおぼろをさくらの命令に従っているように動かしていただけに過ぎなかったのだ。
「おぼろさん…変なことさせて、すいませんでした」
蒼太が振り向くこともなく、おぼろに告げる。

「なんも…あたしこそ、また助けてもらって……」

さくらがピアスを使えば、すぐに端末にその情報が伝わる。
いわば、蒼太はさくらを試したのだ。
それが、彼自身の前歴で培われた深い業であり、真の信頼を求める渇きでもあった。
「さくらさんが色々黙ってたように…僕も全部話してませんでした――…でも、これでお互い、腹を割って話すことが出来そうですね」
そう言って、蒼太は懐に手をやる。
そして、一旦は預けたはずのヒュプノピアスを取り出しさくらの眼前に掲げた。


363 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:03:59 ID:LHzrK3/R0
「さくらさん…ヒュプノピアスを、嵌めてください…―」
振り絞るように蒼太はさくらに求めた。
「蒼太君っ! わたしは…!!」

「黙れっっ!!」

普段の彼からは想像も出来ないほどの激しい一喝にさくらは一瞬押し黙る。
「僕からの命令はこうです…“今後、一切の行動は全て明石暁の命令に従うこと”
彼になら…さくらさんも自分を預けられるでょう?」
瞳に涙を滲ませ、血の吐くような思いで蒼太は言の葉を喉の奥から搾り出した。
心から信頼する相手にむけねばならない刃は、諸刃となって蒼他の心をずたずたに引き裂いていく。
「さくらさん…お願いですから自分で嵌めてください……僕に…僕にさせないで下さいっ!!」

…――ヒントをひとつだけ。もし、首輪を外す方法を見つけたとしても、決してあなた自身で試してはいけません。 もっとも邪魔になる方で試すことをお勧めしますよ―――…

脳裏に蘇る声と蒼太は必死に戦っていた。これまでにないほど、感情をあらわにして。
輻射熱と耳鳴りで今にも倒れてしまいそうだった。
蒼太の嘆願にさくらは押し黙ったまま。
今や、二人が培ってきた絆は霧散の如く消滅してしまっていた。

「蒼太くん…」
二人の今にも破られんとする均衡を見つめながら、おぼろはただ両者を交互に見やるだけだ。
永遠に続くかと思われた均衡を破ったのはさくらだった。
「………――――」
そっと前へと足を進める。


364 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:04:50 ID:LHzrK3/R0
「さくらさん…」
分かってくれた。蒼太の顔に安堵の表情が浮かぶ。
大丈夫。
まだ、彼女との絆は完全に途切れてはいない――

そうだ。

まだ、やり直せる…



このゲームが終わったら、きっと――…
「蒼太くんっっっ!!! 危ないッッ!!!!!」

希望の幻に心を奪われていた蒼太の意識が急速に現実へと引き戻される。
すぐ近くにいるはずのおぼろの声がなぜか遠く聞こえた。
「えっ…?」
すぐには分からなかった。
しかしすぐに下腹部に焼け付くような痛みが走り、喉の奥から血があふれ出していく。
ずぶり、と体内から鈍い輝きを放つナイフが引き抜かれると蒼太の体は工場の冷たい地面に沈んだ。
「…さくら……さん?」

目の前には荒い息で両手を真っ赤に濡らすさくらが佇んでいた。
「ハァ…ハァ…ハァ……―」
さくらが手にしていたのはスコープショットに含まれる幾つかのツールのうち、ナイフだけを抜き取ったものだった。
ガイとの戦闘の後、破壊されたディパックから使えそうなものがないか精査した。
望遠鏡など大方のアタッチメントは死んでいたが、唯一ナイフだけが生き残っていた。
アクセルラーを失ったさくらにとってそれが唯一の武器だった。
ガイやグレイといった強敵たちと渡り合うにはあまりに矮小な力。


365 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:07:04 ID:LHzrK3/R0
そして、育んできた絆を断ち切るには十分すぎる力。

「蒼太くんっ!」
おぼろがさくらを突き飛ばし、蒼太へ駆け寄る。
上半身を起こし、意識が朦朧とする彼を必死に引きとめようと叫び続ける。
「蒼太くんっ! 蒼太くんっ!!」
ナイフを持った相手を背にしたまま、あまりに無防備に。
成す術もなく泣き叫ぶその姿をさくらは呆然と見つめていた。
「どうしてや…」
嗚咽の中におぼろの鋭い声が混ざる。
「どうして蒼太君を刺したんやっ! 仲間やろ、あんた!? 蒼太君はなぁっ! 蒼太君はあんたを心から信頼しとったんやで! それなのに…なんでやっ!!!」
わたしだって信頼している。
蒼太くんを心から信頼している。だからこそ、彼に最期を看取って欲しかった。
あの人と二人で見送って欲しかった。ただ、それだけなのに―…

「さくらさん…逃げて…逃げて…下さい…―」

息も絶え絶えに、それでも蒼太はさくらを赦そうとしていた。
それが、仲間への最後の温情なのか、過去の罪への償いなのか、蒼太にも分からない。
「蒼太くん!? なんで、こないなやつ庇うんやっっ!!」
おぼろが悲しみとも怒りとも取れる声で叫ぶ。
蒼太は微笑っていた。
ひどく、哀しく。
さくらはそっと、袂を分かったかつての仲間に背を向ける。
最早、ここにはいられなかった。彼女はまた居場所をなくしたのだ。



366 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:07:58 ID:LHzrK3/R0
「…今は逃げたらえぇ…でもな、憶えときっ! あたしがあんたを必ず追い詰めたる!!
もう、あんたの居ていい場所なんてこの世界のどこにもないんやっ!!」

怒りにわななきながら、らんらんと怒りに輝く瞳に涙を一杯に溜めて。
日向おぼろはこれまで経験したことのない憎悪の感情に支配されていた。
絶対に、この女だけは、許しておけない。
このゲームで最も忌むべき行為に手を染めた彼女を。
糾弾し続ける。

追い詰めて、追い詰めて。

惨めな最期を遂げるまで。


§



どこをどのくらい走ったのか――
おぼろの最後の言葉を背に受けたまま、さくらは当て所もなく彷徨い続けていた。
―やがて、鼻を突く血の臭いに気づく。
目の前に広がる光景に、さくらは驚愕した。あたり一面に肉片と思しき破片が散乱する地獄絵図。
その中心に頭蓋が覗く首と目と目が合う。
「これは…!」


367 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:08:43 ID:LHzrK3/R0
彼女をさくらは知っていた。
時の魔神クロノスが呼び寄せた最後の巫女―フラビージョ。
生前の彼女とは一度刃を交えた経験がある。
まさか、こんな形で再会するとは思っても見なかったが。
くまなく辺りを見回すが、彼女をこんな姿にした張本人は既にこの場を去ったらしい。
「!」
フラビージョの生首の更に奥。血塗れた剣が地面へ深々と突き刺さっている。

「ズバーン!」

やはり、彼もこの世界へ誘われていたのだと、さくらは思わず駆け寄った。
「良かった! 無事だったんですね!!」
彼の本質を知るさくらは仲間を道行きにすべくその柄へ手を、かけた。
「なっ―!!? ああああああああああああああああああああああああああ――――…ッッ!!!!」
刹那、さくらの全身を電流が刺し貫いた。
立っていることすらかなわず、さくらは無様に地面へと転げた。
「ズ・ズバーン…?」
古代レムリアの宝剣は清き心の持ち主にしか従わない。
邪なる者がその手を触れれば剣はこれを、自ら、拒絶する。

「わたしは…とうとうズバーンにまで見捨てられてしまったんですね……」

どこまでも、どこまでも堕ちていく。




368 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:11:43 ID:msKTlmIjO



369 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:11:57 ID:LHzrK3/R0
【最上蒼太@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.3、後
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:瀕死の重症。2時間ボウケンブルーに変身できません。
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー、ヒュプノピアス@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:バリサンダー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:おぼろと共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針: おぼろを守る。ジルフィーザと合流する。※首輪の制限に気が付きました。
※時間軸のずれを知っています。

【日向おぼろ@忍風戦隊ハリケンジャー】
[時間軸]:巻之三十、後
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:全身に軽い火傷、打撲。応急処置済み
[装備]:イカヅチ丸@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:西堀さくらに激しい怒り。どんな手を使っても絶対に追い詰めて見せる。
第二行動方針:首輪を何とかする。ジルフィーザと合流する。蒼太と共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
※首輪の制限に気が付きました。
※時間軸のずれを知っています。


370 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:12:38 ID:LHzrK3/R0
【名前】西堀さくら@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:健康 (ただし、ロンによる洗脳を受けており、いつでも傀儡になる危険性あり) 。
[装備]:アクセルラー(損壊、要修理)
[道具]:なし。
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ここから脱出する。
第一行動方針:チーフ(明石暁)と合流する。その後、蒼太に殺されようとしていたが失敗。
第二行動方針:夢の啓示で今の自分を再確認。裏方針が表に。(ロンの存在については気づいていません)
※)裏行動方針:ロンの言われるままにいいように操られ、見苦しく惨めな死に様を晒す。
 ただし、本人にその自覚はなく洗脳行動も全て自分の意思であると思い込む。



【名前】マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:不明
[現在地]:F-5都市 1日目 午前
[状態]:修復完了。本調子ではないが、各種機能に支障なし。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:???
第一行動方針:蒼太たちと一緒に行動する。


370 : ◆8ttRQi9eks:2008/12/31(水) 01:23:21
いつもすみませんが、本スレへの投下をお願いします…
私もこれが本年最後の作品になりそうです。
それでは良い、お年を。


371 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:15:07 ID:LHzrK3/R0
以上、代理投下終了。
投下お疲れ様です。代理投下スレにて指摘させていただきました。
よろしくお願いいたします。

372 :名無しより愛をこめて:2008/12/31(水) 23:40:33 ID:B2pJkZNZO



373 : ◆8ttRQi9eks :2009/01/02(金) 01:06:40 ID:ssDMhM6d0
したらばに修正版をアップしました。
重ねてご意見、ご感想をいただければ幸いです。
新年早々にお騒がせして申し訳ない。

374 : ◆8ttRQi9eks :2009/01/02(金) 01:29:32 ID:ssDMhM6d0
また、代理投下をして頂きありがとうございました。
タイトルは「シンライノアカシ」で。

375 :名無しより愛をこめて:2009/01/02(金) 14:08:55 ID:zWp+zFmT0
投下&代理投下&修正投下乙です。
決定的にすれ違う蒼太とさくら。おぼろさんの叫びが哀しいですね。


さて、新しい煽り文が出来上がりましたので投下します。
前回から大変遅くなってしまいました。どうかご容赦を。




376 :名無しより愛をこめて:2009/01/02(金) 14:10:13 ID:zWp+zFmT0
021 ワイルドスワン・クールブレイン
漆黒の夜空を焦がすのは反撃の狼煙。
  炎は確かに彼女の運命を引き寄せた。たとえそれが望まぬ運命であったとしても。

022 冥王星を継ぎし者
  少年は夜をひた走る。夜より深い闇を抱えて。

023 走・想・蒼太
  その胸を高鳴らせるのは冒険への想い。
  男はバイクを走らせる。信頼と不穏をその身に抱えて。
  
024 青い炎とレスキュー魂
  己の夢だけを見つめる少年に、遙かな未来はまだ遠く。
  ただ生きようともがく少年に男の声は届かない

025 奇縁
  邂逅を果たした男が二人。すれ違う時の矛盾を抱え、並び立つ。
  影から見つめる女が一人。時の矛盾に踊る愚か者を求め、流離う。

377 :名無しより愛をこめて:2009/01/02(金) 14:11:34 ID:zWp+zFmT0
026 最期に見た夢
  愛しい者の面影はあまりに遠く。
  少女は逝く。最後の邂逅さえ許されずに。

027 喜劇役者
  さあ喜劇の幕が上がります。
  黒き獅子と白き舞姫(エトワール)の今宵の舞台。とくとご覧あれ。

028 独白
  眠れぬ夜に思うこと。
  道化は独り、呟き、嘯き、嘲笑う。恐れる事など何もないと。
  

029 相思相愛?
  男は誓う。愛しい人を守ってみせると。
  女は願う。愛しい人にもう一度会いたいと。
  龍は嗤う。まがい物の騎士を野に放ち。

030 勘違いは狂いに変わる
  生真面目な善意が信頼を生むとは限らない。
  時には、至極真っ当な怒りを生むことだってあるのだ。

378 :名無しより愛をこめて:2009/01/02(金) 14:15:08 ID:zWp+zFmT0
まったく我ながら速さが足りないぜ。
では、失礼しました。

379 :名無しより愛をこめて:2009/01/02(金) 22:07:04 ID:ktOHnYYIO
煽り文投下GJでした。
良い煽り文は書き手の琴線を震わせる。今年も楽しみにしています!
もう一度GJ!でした〜

380 : ◆i1BeVxv./w :2009/01/04(日) 04:38:55 ID:5YnKEuvf0
煽り文GJです。
いい煽り文を書いていただけるように、いい作品を書きたいと思います。
それでは、只今より投下いたします。

381 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◆i1BeVxv./w :2009/01/04(日) 04:40:29 ID:5YnKEuvf0
 ブクラテスは東へと向かって歩いていた。
 本当なら南に進みたかったのだが――
「やれやれ、禁止エリアとはなんとも厄介じゃのぉ」
 南に進んでも、自分の走力では周りの全てが禁止エリアに囲まれる方が早いだろう。
 それに放送の主がまだうろついていないとも限らない。
「今度こそ、いい輩が見つかるといいがのう」
 江成仙一、浅見竜也、素材こそ良かったものの、片や早々に重症を負い、片や下らない感傷に牙を失った。
 もしかすると、ブクラテスの眼鏡に適う参加者はこの場にはいないのかも知れない。
 だが、それならそれでいい。ようは生き残れさえすればいいのだ。
「わしはついとるわい。これさえあれば、逃げ続けることはたやすいからのう」
 ブクラテスの手に握られた首輪探知機。これがある限り、ブクラテスが不意討ちを受ける可能性は0に等しい。
「おっ、早速反応があったわ」
 首輪探知機の上部に丸い点がふたつ灯る。
 ふたつ、つまりは二人。組んでいるのなら、殺し合いに乗っている可能性は低そうだ。
「ふむ、それではどこか物陰に隠れて様子を窺うとするかの」
 ブクラテスは手頃な隠れ場所がないか、辺りを見回す。
「おおっ、あそこがいいわい」
 ブクラテスはいくつかある建物から、ブラインドが下がった建物に眼を付けた。
 あの隙間から覗けば、気付かれずに観察できることだろう。
「さて……ん!なんじゃと!!」
 再び、首輪探知機を眼にすれば、首輪探知機の上部に灯っていたふたつの点はいつの間にか、ブクラテスからわずかな距離にまで迫っていた。
「速すぎる!速すぎるぞ!」
 首輪探知機の範囲は半径2〜3kmといったところだ。
 それだけの距離があればと、余裕を持って行動していたのだが、どうやら対象の速度は並々ならぬもののようだ。
「いかん!こりゃいかんぞ!!」
 ブクラテスは慌てて建物へと向かう。

382 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◆i1BeVxv./w :2009/01/04(日) 04:41:11 ID:5YnKEuvf0
 幸いにして、目的の建物はすぐ近く。瞬く間に手がドアノブへと届いた。

―ガチャリ―

「な、なんじゃとぉーーー!」
 だが、その建物の鍵はガッチリと閉まっていた。
「………はっ!」
 呆けている場合ではない。直ぐに身を隠さないと。
「このままだと、見つか――」
 どうやらブクラテスが台詞を言い終わるより闖入者の行動の方が速かったようだ。
 建物のガラスに、今まで映ってなかった人影が映っていた。
「ぬっ、ぐっ」
 ブクラテスはゆっくりと振り向く。
 そこには黄色のスーツを着た小柄な闖入者の姿があった。
(ぬぅう、なんとかこいつを懐柔してみるか。いや……)
 闖入者の肩には身ぐるみを剥いだ男が担がれている。どうやら反応があった二つの内の一つはこの男のようだ。
 状況から察するに、明らかにこの人物は殺し合いに乗っている。
(考えろ、考えるのじゃ)
 ブクラテスは生き残るため、必死に頭を回転させた。 



 がらんどうとなった室内を竜也はぼんやり見つめていた。
 殺し合いに連れてこられた時はどうなるかと思ったが、菜月と会い、スモーキーと会い、シグナルマンと、メレと、ブクラテスと会った。
 みんな、それぞれ癖は強かったが、殺意をもった人物はいなかった。
 それは幸運なことだったのだろうが、そのことで逆に気が緩んでいたのかもしれない。
 誰の何の力にもなれず、みんな竜也の元を去って行った。
 ひとりになった自分はいったいこれからどうするべきなのだろうか?
 目的はある。まずは放送の主からの人質の救出。そして、最終的にはシオンたちと合流し、ここから脱出する。
 だが、具体的な方法が何かあるわけでもない。しかも、仲間のドモンは殺し合いに乗ったという。

383 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◆i1BeVxv./w :2009/01/04(日) 04:41:45 ID:5YnKEuvf0
(一体、どうすればいいんだ。ユウリ、アヤセ、ドモン、シオン、みんな教えてくれ)
 悩み苦しむ竜也。
 その時、竜也の耳に何者かの足音が届いた。
(ブクラテスさん?いや、彼が戻ってくるわけない)
 ならば一体誰なのか。 
 竜也がいる場所は病院。ここに向かっているということは目的は治療と考えるのが妥当だ。
 そして、足音はひとつ。 
(ということは怪我をしたのは当人か)
「っ」
 いつの間にか竜也は拳を握り締めていた。
 それは無意識の行動だった。竜也は殺し合いに乗ったわけではない。相手が敵だと決まったわけでもない。
 だが、竜也は何故かそうせずにはいられなかった。
 やがて、病医の扉が開く。

―ガチャ―

「……ブクラテスさん?」
「なんじゃ竜也、起きたのか」
 そこに立っていたのは、去ったはずのブクラテスだった。
「ブクラテスさん、一体どこに行ってたんですか!俺、てっきり……」
「てっきり、なんじゃ。ワシはちょーっと偵察に出とっただけじゃぞ。
 お前のディパックを持っていったのだって、ついでに中身を確認しようと思ってのことじゃ。
 ワシの占いに間違いはないとはいえ、もしもということもあるからのぉ」
 素知らぬ顔で、さも自分が竜也のことを思って、行動していたかのように言葉を紡ぐブクラテス。
「………」
 今までの竜也だったら、信じたかもしれないが、一度、不信感を持った竜也にはその言動が胡散臭く思えた。
「微妙な顔しとるのぉ。おっと、それよりじゃ。来てくれ竜也、お嬢ちゃんが帰ってきおったわい」
「菜月ちゃんが!?」
「そうじゃ、お土産を抱えての」

384 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◆i1BeVxv./w :2009/01/04(日) 04:42:24 ID:5YnKEuvf0
 そんな台詞を吐いたブクラテスは、どことなく疲れた風に見えた。



(こりゃ、まずい、まずいぞぉ)
 ブクラテスは竜也を案内する道すがら、必死に頭を回転させていた。
 現れた人物がボウケンイエローに変身した菜月だったのはいい。
 菜月が戦力として計算できるというのはうれしい誤算だ。
 しかし、菜月が連れて来た人物がまずい。
(まさか、センを連れてくるとは。今は意識を失っとるようじゃが、ワシがセンを見捨てたことが知られたら、面倒なことになりかねん。
 とりあえずこいつらと別れるまで、誤魔化すしかないの)
 センには人を呼んでくると言って、その場を離れた。
 それが建前である以上、ブクラテスには誤魔化すか、逃げるかしか道はなかった。



「菜月ちゃん!」
「竜也さん」
 病院から、1分程度走ったところに、菜月の姿はあった。
 竜也は急ぎ駆け寄り、菜月の容姿を確認する。見たところ、菜月に外傷は見られない。
 竜也はほっと胸を撫で下ろした。
「よかった、無事だったんだね」
「うん。心配かけてごめんなさい」
 菜月はぺこりと頭を下げる。
「いや、菜月ちゃんが無事ならそれでいいよ。でも、シグナルマンとスモーキーが」
「うん、おじいちゃんに聞いた。菜月を探しに北西に行っちゃったって」
「……菜月ちゃんは北東に行ってたの?」
「うん、そうだよ」
(ブクラテスさんの占いは当たっていたってことか)
 竜也は今までは気休めと、特に気にしていなかったが、占いはそんなに当たるものなのだろうか。

385 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◇i1BeVxv./w 氏の代理投下:2009/01/04(日) 09:05:19 ID:r20URCwW0
 勿論、宇宙人であるブクラテスには地球の常識をあてはめるのはナンセンスなのかも知れないが。 
「竜也さん?」
「あっ、ごめん。で、その人は」
 竜也は菜月の傍らで倒れ伏す、男に視線を移した。
 パッと見、下着姿のその男は変質者に見えるが――
「変態さんだよ」
 ――そのものだった。
「変態?」
「うん、息を荒くして、菜月の足を掴んだの」
「………………菜月ちゃん、それは」
 そんな奴を連れてくるのはどうなんだと、思わずツッコミを入れようとする竜也。
 だが、菜月の次の言葉に、そのツッコミは飲み込まれる。
「で、話を聞いてくれって。理央さんっていう人に伝えてくれって。そう言って、気を失っちゃったの」
「理…央……」
 竜也には聞き覚えがある名前だった。
 
―理央様を見つけて、私の元に連れてきなさい。―

 メレが竜也を踏みつけながら紡いだ言葉だ。
(この人もひょっとして、理央の関係者か?)
 よく見れば、倒れ伏す男の身体は傷だらけだ。
 息が荒かったのも、下着姿なのも、よくよく考えれば、戦いの結果なのではないか。
「とりあえず、病院まで運ぼう」
 竜也は徐に男に近づくと、担ぎあげる。
 その長身に相応しく、ずっしりと肩に重みが圧し掛かってくる。
「重い。菜月ちゃん、よくここまで運んでこれたね」
「うん、菜月じゃ運べなかったから、ボウケンイエローに変身して、運んで来たんだ。でも、突然変身が解けちゃったの」
「へぇ、菜月ちゃんも変身できるんだ」
 そういえば、お互いの戦力の確認はまるでしていなかったことに思い当たる。
 殺し合いが行われている以上、身を守る術の確認ぐらいはしておくべきなのに。


386 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◇i1BeVxv./w 氏の代理投下:2009/01/04(日) 09:06:15 ID:r20URCwW0
(病院に着いたら、確認しよう。それにしてもイエローか。本当にドモンは……)
 またも仲間の安否に思いを馳せ、呆ける竜也。
 そんな竜也を横目に、ブクラテスは気が気ではない。
(何とか、何とかせんと。………………………まずはこいつがどうするつもりか確認せんと始まらんか)
「のぉ、竜也、どうするつもりじゃ?センはまだ起きないみたいじゃが、起きるまで待つか?」 
「そうですね………!」
 竜也は眼を見開き、ブクラテスを見た。
「な、なんじゃ?」
「……ブクラテスさん、なんでこの人の名前知っているんですか?センって、この人のことですよね」
「うぐごが!」
(しもうた。うっかりセンの名前を。ど、どうする。なにかいい言い訳は……)
 立て続けの予想外の事態に、ブクラテスはかつてないほど動揺し、混乱する。
 竜也もセンが名前だと確証があったわけではなかったが、ブクラテスの反応に、自分のカマ掛けが間違ってなかったことを悟る。
「もしかして、この人がブクラテスさんの言っていた右腕を切り落とした元仲間ですか」
(おおっ、なんというグッドアイディアじゃ、竜也。その手があったか)
 続けてのカマ掛けはブクラテスに有利に働いた。この場を打開するアイディアと、ブクラテスは竜也の提案に肯こうとする。
「そ……」
「違いますよ」
 ブクラテスの言葉を遮り、竜也でも、菜月でもない声がした。
「あっ、気がついたんだ」
「はい、まだクラクラしますけど、たぶん、もう大丈夫です」
 それは苦しげながらも、どことなく柔和な笑みを浮かべるセンだった。
 一般人なら、丸一日は眠っているはずなのだが、流石はセンといったところだろう。
「竜也さん、でしたっけ」
「はい」
「自己紹介とかしたいところだけど、それは道すがら、今は一刻を争います。北東に向かいましょう」
「そ、それは大変じゃ、ワシは行くべきだと思うぞ」
 有耶無耶にするチャンスと、ブクラテスは詳細も聞かず、センに同意する。
「でも、人質を取っている奴がいるみたいなんです」 
 メガブルーを誘い出すために人質を取った男が南にいることを、竜也は話す。

387 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◇i1BeVxv./w 氏の代理投下:2009/01/04(日) 09:07:03 ID:r20URCwW0
「竜也、よくよく考えてみるのじゃ。あれから4時間近く経っている。奴は猶予は3時間と言っていたはずじゃ。
 もう手遅れ――いや、いかにも好戦的そうな男だったのいうのに何の連絡もないということは、誰かが救出に動いたのかも知れんな。
 とにかく、ここはセンと一緒に行くべきじゃ」
「……わかりました。俺も理央という人は気になりますし」
 竜也はブクラテスに文句はあったが、言っていることは正論だ。やむなく、ブクラテスの言葉に同意する。
 (よし)
 竜也を納得させたことにほっと胸を撫で下ろす。
 ただし――
「でも、ブクラテスさん、あとで聞かせてもらいますよ、センさんを知っていたわけ」
「ぬごぉ」
 有耶無耶にはできていなかった。



「つまり、センさんと理央さんを助けた何者かが、センさんを眠らせて、服を奪っていったと」
「迂闊だったよ。俺も聞かれるままに色々答えちゃったからね。助けられたからって、油断したのがまずかった。
 俺を殺さなかったってことは、そいつは殺し合いとは別の目的があるんだと思う。
 そして、そいつの目的には理央さんが絡んでいる」
 竜也はセンと共に理央を探すため、北東へと向かっていた。
 道すがら、センから今までの経緯と、理央を探す目的を聞く。
「たぶん、俺の服を奪ったことと、質問の内容を考えると、俺に変装して、理央さんを騙そうとしてるんだと思う」
「変装って、菜月の顔が、竜也さんになっちゃうってこと」
「そういうことになるかな」
 菜月の質問に柔和な笑みを浮かべるセン。
 これで下着姿だったらまた変質者だが、一刻を争うといってもそこは改善を行った。
 今のセンは銀色のスーツを身に纏っていた。
 メレのディパックの中にあった支給品。ネジシルバーのスーツだ。
 ネジシルバーが何者かというのを、竜也たちは知る由もないが、服を奪われたセンにとって、渡りに船だった。
「とにかく急ごう。俺は理央さんをメレさんに会わせたい」
 未だ竜也の胸の内には不信と迷いが渦巻いていた。


388 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◇i1BeVxv./w 氏の代理投下:2009/01/04(日) 09:07:37 ID:r20URCwW0
 だが、自分の迷いを断ち切るために、誰かの力になってやりたいと思っていた。
「しかし、年寄りには堪えるわい」
 速度的な理由から竜也の背におぶさるブクラテス。
「ブクラテスさんには占いで理央さんの行方を捜してもらいますんで、少し我慢しててください」
 ブクラテスがセンと共に行動していたことは聞いた。
 ブクラテスが竜也たちにその事を一言も言わなかったということは、センを見捨てたことと同義だ。
 竜也は流石にブクラテスに怒りを覚えたが、センは刑事である自分は覚悟ができており、自分のことを伏せたブクラテスの判断は必ずしも間違っていないと、ブクラテスを庇った。 
 そう言われたら、竜也も何も言えない。 
(しかし、刑事さんか。宇宙警察地球署って、言ってたけど)
 竜也には聞き覚えのない単語だったが、警察というだけでなぜだか安心感が生まれてしまうのは日本人だからだろうか。
 だが、揺れ動く竜也にはそんなささいなことでも行動するエネルギー源となった。
「今度こそ、俺は……」
「竜也くん、何か言ったかい?」
「いえ、急ぎましょう」
 竜也は走る。自分の思いを固めるために。
 傍らでは黄色と緑色の戦士が共に歩んでいた。




389 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◇i1BeVxv./w 氏の代理投下:2009/01/04(日) 09:08:28 ID:r20URCwW0
【浅見竜也@未来戦隊タイムレンジャー】
[時間軸]:Case File 49(滝沢直人死亡後)
[現在地]:D-6 都市 1日目 午前
[状態]:健康。
[装備]:Vコマンダー
[道具]:基本支給品(メレ)
[思考]
基本行動方針:どちらを選べばいいのかわからない(全員の蘇生ために乗るor誰も殺さない)
第一行動方針:センの力になる。
第二行動方針:ドモン、ブクラテスに不信。
第三行動方針:仲間を探し、ユウリとアヤセの安否を確認する
第四行動方針:菜月の仲間と理央を探す
備考
・クロノチェンジャーは、ロンが取り上げました。
・メレの支給品はネジシルバースーツとネジブレイザー(仮称)でした。

【名前】江成仙一@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:Episode.12後
[現在地]:D-6 都市 1日目 午前
[状態]:ネジシルバースーツを装着(メット未装着)。左肘複雑骨折、全身打撲(応急処置済)。
[装備]:ネジシルバースーツ。ネジブレイザー(仮称)。SPライセンス
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:仲間たちと合流して脱出。
第一行動方針:理央に注意を喚起する。
備考
・制限が2時間であることを知っています。
・SPDの制服はシュリケンジャーに奪われました。
・ネジシルバースーツは多少丈夫なだけで特殊な効果はありません。ただし、制限時間もありません。


390 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◇i1BeVxv./w 氏の代理投下:2009/01/04(日) 09:09:05 ID:r20URCwW0
【名前】間宮菜月@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task14後
[現在地]:D-6 都市 1日目 午前
[状態]:健康。1時間30分変身不能。
[装備]:アクセルラー、スコープショット、
[道具]:未確認、竜也のペットボトル1本
[思考]
基本行動方針:仲間たちを探す
第一行動方針:センと竜也のサポート。
第二行動方針:真墨の遺体を捜す。

【名前】ブクラテス@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第12章(サンバッシュ敗北)後
[現在地]:D-6 都市 1日目 午前
[状態]:右腕切断 簡単な応急処置、消毒済み
[装備]:めがね
[道具]:首輪探知機、毒薬(効能?)、タロットカード@鳥人戦隊ジェットマン、切断された右腕、基本支給品とディパック
[思考]
基本行動方針:とにかく生き残る。
第一行動方針:新たな仲間を捜す。
第二行動方針:首輪探知機のことは伏せて置く。
備考
・センと同じ着衣の者は利用できると考えています。


391 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◇i1BeVxv./w 氏の代理投下:2009/01/04(日) 09:10:03 ID:r20URCwW0


393 : ◆i1BeVxv./w:2009/01/04(日) 05:34:24
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、指摘事項、ご感想などがありましたら、よろしくお願いします。
なお、ネジブレイザー(仮称)の件ですが、ネジシルバーの剣では、文章にしづらく、
何より味気ないかなと思って付けたもので、劇中では特に名称は付けられていません。
不都合があれば、そこは修正したいと思っております。

2008年内に投下できればと考えてましたが、年の瀬はなんだかんだとありました。。。


___________________________________________


以上代理投下終了。

392 :不信なんてぶっ飛ばせ! ◇i1BeVxv./w 氏の代理投下:2009/01/04(日) 09:22:48 ID:r20URCwW0
あけまして投下乙です!
菜月との再会にはドキドキしました。
菜月、センと共に歩き出した竜也。いよいよ始動開始ですね!
なにげに立場が危うくなってきたブクラテスも面白かったです。
新年からGJでした!

ネジブレイザーに関して……
その呼び方、とても良いと思います。

しかし祐作さんは本当にお手製品の好きなお方だw


393 :名無しより愛をこめて:2009/01/04(日) 16:34:06 ID:ounR0vhS0
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

投下&代理投下GJです!!
ブクラテスピーンチ!!かと思ったら、センさんがお人好しだったおかげでなんとか
当面の危機は乗り越えた模様。ジト目で竜也に睨まれてるのが目に浮かぶようですがw
ガンバレ竜也!仲間への不信をぶっとばせ!
センさんと竜也という何気に実力者の二人が揃いましたが、精神面、肉体面が本調子じゃないなか
どんな活躍を見せてくれるのか楽しみです。
新年早々から読めるとは幸せでした。面白かったです!GJ!!




394 : ◆LwcaJhJVmo :2009/01/07(水) 15:45:34 ID:1PhXHE0T0
これより、
クエスター・ガイ、ネジブルーを投下します。

395 :ねじれた斧の惨劇 ◆LwcaJhJVmo :2009/01/07(水) 15:47:00 ID:1PhXHE0T0
「ったくあのアマ!!」
 ガイは壁に向かってグレイブラスターをぶん投げた。それだけでは足らないらしく、今度は拳で壁を殴った。
 そして、そのまま壁にもたれかかって崩れ落ちる。
「ふざけんじゃねぇぞ……ボウケンピンクゥゥゥゥゥゥッ!!」
 あの時のボウケンピンクの無様な醜態……思い出すだせばストレスが溜まる一方だった。
 ボウケンジャーの中でも特に冷静に状況を判断できるボウケンピンクがあの様だ。青や黄色はもっと醜い姿を披露しているかもしれない。そんな姿を見れば、ボウケンピンクの姿と重なり、余計にイライラするだけだろう。
「だが高丘ァ……テメェなら……」
 ガイは標的として最も適切な人物の名を呟くと、グレイブラスターを拾い上げ、強く握った。

────

 ネジブルーはメガブルー──並樹瞬を求めて歩き続ける。
 だが彼の勘とは裏腹に、その付近にメガブルーはいない。禁止エリアという厄介なシステムの向こう側に、彼はいるのだ。
「いい加減出てきてくれよ、メガブルゥゥゥゥゥゥゥ!! 何か面白い作戦でもあるのかい? ヒャッハハハハハ!!!」
 人間の姿になっても、彼の考える事は今までと同じだ。メガブルーを殺す。
「ネジシルバーでもいいよぉぉぉ!! 俺も面白い作戦を考えたんだ!!」
 そのまま、彼は気が狂ったように笑い続けた。

────

396 :ねじれた斧の惨劇 ◆LwcaJhJVmo :2009/01/07(水) 15:47:35 ID:1PhXHE0T0
 ガイが叫びの塔を目指しながら、ついでに高丘を捜そうとしていたときに、近くからおかしな笑い声が聞こえてきた。
「ヒャッハハハハハ!!!」
 ボウケンピンクもある意味、そうだと言えるのだが、このバトルロワイアルというものは人を狂わせる何かがあるのだろうか。
ガイは高校生ほどの人間が五月蝿く地面を叩いている姿を見て地面につばを吐いた。
「クソガキィ!! うるせェんだよ!!」
 ストレス解消の意味も踏まえて、腹の底から大きな声でネジブルーに向かって怒声を浴びせた。ネジブルーもすぐにガイに気付く。ネジブルーは自分の快楽の一時を邪魔されたことで、玩具を取り上げられた赤子のように不機嫌な表情をする。
「なんだいお前は? 俺の楽しい時間を邪魔しようというのかい!?」
「おうよぉ! テメェみてぇにうるせぇガキはとっとと眠ってもらわねえとな!」
 ガイはグレイブラスターでネジブルーを狙撃した。弾丸が何発もネジブルーから少し離れたところに向かって放たれた。
「どこを狙ってるんだい? どうやらその身体のキズが邪魔してるようだね」
 ネジブルーは人間の擬態を解いて青いねじれたマスクの姿に変身した。
「なんだよ……バケモン仲間かよ」
 グレイブラスターをやけくそで撃ってみるが、命中する気配はなかった。距離が遠すぎるのだ。本当にただの高校生ならばこんなことにはならないのに……。ガイは自分の運命を呪った。
「まずはその傷口をズタズタに引き裂いてやるよ……!!」
 ネジブルーはネジトマホークをがっしりと握り、ガイの下へ走り出した。
 そして、ネジトマホークをガイに振り下ろそうと、その刃先を天に向けた。
「おい!! 待て待て。お前なんとかブルーを捜してたまさか放送の野郎か!!?」
 ネジブルーの手が、ガイの肩の寸前で止まった。
「知っているのかい!?」
「知らねえけどよ……オテツダイでもしようと思ってよ」
「お手伝い?」
「迷子の子猫ちゃんを一緒に捜してやろうと思ってよぉ──」
 ネジブルーの手がその真下に動いた。ガイの左肩を強烈な斧の一撃が襲った。


397 :ねじれた斧の惨劇 ◆LwcaJhJVmo :2009/01/07(水) 15:48:06 ID:1PhXHE0T0
「いてェェェェェェェェェェ!!!」
 左肩を押さえて膝をつき、断末魔が響いた。
「てぇん……めぇ……」
「そんな体の仲間なんて足手まとい。人質にする価値もなさそうだしね」
「こんの……やろう……!!」
 上目遣いになったガイに、ネジトマホークの強烈な一撃が近づいていく。
 だが、ガイはそれを右手のグレイブラスターで撃ち落した。
「痛ッ!! ……よくも俺の手に傷を……!!」
 ネジブルーは、グレイブラスターが握られているガイの右手に踵落としした。痛みに耐え切れず、その手はグレイブラスターを離してしまう。
「これでお前に武器はなくなったねぇ……お返しだよ」
 ネジブルーは再びネジトマホークを手に取ると、ガイの頭を割るように打撃を食らわした。意識なんて簡単に吹っ飛んでしまうくらいの痛みだ。
 そして、その体中の装甲にネジトマホークの刃を落としていく。──そんな猟奇的な殺し方が、彼にとって快感なのだ。
「さて、お前は誰かなぁ?」
 ネジブルーは手持ちの詳細付名簿を開いた。
「クエスター・ガイ……ずいぶんと強そうな名前じゃないか。でもまさかこんなに弱いとはねぇ……思わず笑っちゃうよ!!」
 ネジブルーは、反論することができなくなったガイを一度、軽蔑したような目で見ると、そのページを切り離し、紙くずのようにその辺りに捨てた。
「さて……お前は何かいいものを持っているのかな……?」
 そして、ネジブルーは彼の持ち物を漁りだす。
「たくさん持っているじゃないか!! こんなやつによく手に入ったねぇ……ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
 ネジブルーは彼の支給品全てを自分の持ち物にして、メガブルーとネジブルー──二つの標的を捜しに歩き出した。
 その顔は、再び邪悪な偽りの人間の姿へと変化していた。

【クエスター・ガイ@轟轟戦隊ボウケンジャー 死亡】
残り29人



398 :ねじれた斧の惨劇 ◆LwcaJhJVmo :2009/01/07(水) 15:51:37 ID:1PhXHE0T0
【名前】ネジブルー@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:41話(ネジビザールとして敗れた後)
[現在地]:H-5海岸 1日目 午前
[状態]:全身に打撲、傷有り。人間に擬態中。その間のスペックは能力を発揮しない限り、人間と変わりありません。二時間戦闘不可。
[装備]:ネジトマホーク@電磁戦隊メガレンジャー、クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー、グレイブラスター@轟轟戦隊ボウケンジャー
[道具]:ソニックメガホン@忍風戦隊ハリケンジャー、闇のヤイバの忍者刀@轟轟戦隊ボウケンジャー、支給品一式×3、支給品一式(ペットボトル1/2本消費)、竜也の支給品一式(ペットボトル2本消費)
詳細付名簿、スフィンクスの首輪、拡声器、クエイクハンマー@忍風戦隊ハリケンジャー、天空の花@魔法戦隊マジレンジャー、マージフォン@魔法戦隊マジレンジャー、操獣刀@獣拳戦隊ゲキレンジャー、
何かの鍵、麗の支給品一式、魔人マグダスの杖@星獣戦隊ギンガマン、3枚のメモ(杖の説明書、アイテムの隠し場所×2)
[思考]
基本行動方針:メガブルーを殺す。
第一行動方針:メガブルーを苦しめるためにネジシルバー(早川裕作)を殺す。
※ズバーンとマシンハスキーはF-5都市に放置しています。

────

以上、投下終了します。
指摘、感想、修正点などお願いします。

399 : ◆LwcaJhJVmo :2009/01/07(水) 18:56:15 ID:1PhXHE0T0
状態表にミスがありました。申し訳ありません。

【名前】ネジブルー@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:41話(ネジビザールとして敗れた後)
[現在地]:H-7海岸 1日目 昼
[状態]:全身に打撲、傷有り。人間に擬態中。その間のスペックは能力を発揮しない限り、人間と変わりありません。二時間戦闘不可。
[装備]:ネジトマホーク@電磁戦隊メガレンジャー、クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー、グレイブラスター@轟轟戦隊ボウケンジャー
[道具]:ソニックメガホン@忍風戦隊ハリケンジャー、闇のヤイバの忍者刀@轟轟戦隊ボウケンジャー、支給品一式×3、支給品一式(ペットボトル1/2本消費)、竜也の支給品一式(ペットボトル2本消費)
詳細付名簿、スフィンクスの首輪、拡声器、クエイクハンマー@忍風戦隊ハリケンジャー、天空の花@魔法戦隊マジレンジャー、マージフォン@魔法戦隊マジレンジャー、操獣刀@獣拳戦隊ゲキレンジャー、
何かの鍵、麗の支給品一式、魔人マグダスの杖@星獣戦隊ギンガマン、3枚のメモ(杖の説明書、アイテムの隠し場所×2)
[思考]
基本行動方針:メガブルーを殺す。
第一行動方針:メガブルーを苦しめるためにネジシルバー(早川裕作)を殺す。
※ズバーンとマシンハスキーはF-5都市に放置しています。

400 :名無しより愛をこめて:2009/01/07(水) 20:24:30 ID:9QFjuPxc0
拝読いたしました。

正直に申しますと、ガイの行動に違和感を感じました。
ガイは自分が今まともに戦える状況では無い事を、今までの戦いの中で自覚しています。
そんな状態で、いくら苛立っているとはいえ、わざわざ戦いを挑むでしょうか?
ご回答をお願いします。

以降は避難所の議論スレでお願いします。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/10886/1209981208/l50

401 :『キラリ☆宝物』 ◆MGy4jd.pxY :2009/01/08(木) 19:27:40 ID:t8eDOkfD0
シグナルマン投下します。


402 :『キラリ☆宝物』 ◆MGy4jd.pxY :2009/01/08(木) 19:28:19 ID:t8eDOkfD0
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

シグナルマン・ポリス・コバーンは絶叫を放った。
全身に嵌め込まれた信号機を燃えたぎる血潮のように赤く光らせ、己の足を完全に制止させる為に。

「本官は、本官!!!!????……がっ!!!!」
――――――――ドガッ!!

シグナルマンの声は激突音に掻き消された。
全速力で駆けたスピードと、群立した木々に警戒を怠った報い。
頭から大木に激突したシグナルマンは脳天を押さえその場に蹲った。

「前、前、前、前!前、前、前、前!!しっかり前見て走れよテメー!!いきニャり木に頭突きってどうなってんだ!?」
激突の衝撃で地に転がった魔法猫ことスモーキーがガラの悪い野次を飛ばす。
「な〜〜、何でもない!」
平静を装おうとしたが意志とは裏腹に、変に気の抜けたような裏返った声が出た。
「ニャんでもない訳ないだろ!!おい、ニャんだこりゃ。木が倒れてるじゃねぇか?!」
スモーキーのツッコミは至極当然。
哀れな森の木は、破砕機の如きシグナルマンの石頭と激突の末、僅かな根本だけを残し無惨にも薙ぎ倒されていた。

「細かいことは気にするんじゃない!ちょっと地図を確かめるために立ち止まっただけなのだ!」
「ア゛〜〜〜〜!?立ち止まっただぁ?」
不躾な視線を投げつけてくるスモーキーはガン無視。
シグナルマンはおもむろにデイバックから地図を取り出し現在地を『探るフリ』に没頭する。
探るフリ、あまりにも不自然な言い訳。
スモーキーにも脳天の痛みにも、秩序無き森林伐採にも、すべてに構うことなくシグナルマンはなぜそんな真似を始めたのか。

403 :『キラリ☆宝物』 ◆MGy4jd.pxY :2009/01/08(木) 19:28:51 ID:t8eDOkfD0
菜月と合流を果たすべく、何とか北東を目指したシグナルマンがなぜこのような行動をとったか。
それは……。

(ほ、本官としたことが!!B―5エリアからさらに北東へ進んでしまったら、菜月ちゃんに合流出来るはずが無いではないかッ!)

そう、菜月はブクラテスたちと共に居た所から北東にいるはずなのだ。
そこからスモーキーの出鱈目な指示で辿りついたのがB―5エリア。
最初の地点からかなり森を北へ進んでしまったうえ、さらにその位置から北東に進んでは、菜月と合流どころかどんどん離れてしまうことになる。

(と……とにかく、もう一度引き返えさなければ!!!)

冷静に考えればそのまま南下すれば良いだけなのだが。
シグナルマンは混乱していた上に、元々彼は何と言うか、まあ、その……。

その点に関しましては、自称『優秀なる警察官』であるシグナルマンが、チーキュなどというへんぴな地へ左遷……。
もとい、御栄転した経緯を考えてもらえばご理解頂けるかと。

おや、賢明な魔法猫スモーキーが彼の優秀さを察知したのかスッと目を細め尊敬の眼差しを向け……。
否、向けるはずが無い。

「おまえ、迷ったニャ……」
「ははははははは!!!!心配するな!本官が必ず菜月ちゃんを捜し出してみせる!」

スモーキーの言葉を遮り、ランプごとデイバックに詰め込みながら、シグナルマンは高らかに笑い、猛烈な勢いで森を引き返した。



404 :『キラリ☆宝物』 ◆MGy4jd.pxY :2009/01/08(木) 19:29:15 ID:t8eDOkfD0

§

全身全霊全速力。怒濤の勢いで森を駆け抜け、やがて息も上がり始めた時。

「ぐうおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

シグナルマンは突出した木の根に足を取られ盛大にすっ転んだ。
転んだ拍子にデイバックから再び地に転がったスモーキーはピョンピョンとマジランプごと跳ね回り、底深な怒りを訴える。
「テンメェぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!今度はニャんだよぉぉぉぉぉぉ!!」
鼻は擦り剥け、マジランプは泥だらけ、スモーキーの背に黒い炎(注:CGによる演出です)が轟々と揺れる。
「す、す、す、すまん。木の根に足を取られて……」
シグナルマンは両手を前に突き出し、首を左右に振りながら必死に許しを請う。
「悪かったスモーキー!そんなに怒るんじゃない。牙を剥くなぁぁーーー!!」
「……………………んニャ〜?」
ふと、牙を剥き出しシグナルマンに躙り寄っていたスモーキーの足が止まり、そのままきょろきょろと辺りを見回す。
「どうしたスモーキー?」
「おい、どこニャんだ、ここは?」
「はっ!こ……ここは?」

戻らなければ、戻らなければ、戻らなければ、戻らなければ、戻・ら・な・け・れ・ば!!!
その思いにだけに捕らわれていたシグナルマンは辺りを見て呆然とする。
(ほんの少ーーーーーーし、戻りすぎただろうか)
ぶつぶつと文句を垂れ流すスモーキーに背を向け、こそこそと地図とコンパスを片手に、走る速度と時間を思い返しながら距離を測る。
距離の計算式は『は×じ=き』だからえーっと、えーっと、えーっと……。

(省略されました・・ 続きは(ry……)

おそらく、ここはC−4エリア。

(も!戻りすぎたぁぁぁぁ!!!!)

405 :『キラリ☆宝物』 ◆MGy4jd.pxY :2009/01/08(木) 19:30:22 ID:t8eDOkfD0
口には出さず、ただ神に祈るポーズのみで心からの叫びを表現する。無論、スモーキーに余計な心配をさせまいが為の優しさである。
心では叫んだが、全力で走れば取り返せない距離ではない。
即座に立ち直ったシグナルマンは先を急ぐべく、先程からおとなしくなっていたスモーキーに手を伸ばす。
「ん?何をしているーーーー!」
「あむ」
その時スモーキーは口に何かをくわえ、ランプの中へ潜り込もうとしていた。
「こら!拾い食いするんじゃない。お腹を壊したらどうするんだ!」

ベシベシベシベシベシベシベシベシ!
ベシベシベシベシベシベシベシベシ!!
ベシベシベシベシベシベシベシベシ!!!
ランプを逆さまにし、くわえた物を吐き出させようと叩く!叩く!!叩く!!!
ベシベシベシベシベシベシベシベシ!!!
ベシベシベシベシベシベシベシベシ!!
ベシベシベシベシベシベシベシベシ!


「ニ゛ギャァァァァァーーーー!!」

雄叫びとも断末魔ともつかない声を鳴らしたスモーキーの口からポロッと何かが落ちた。
気合いもろともシグナルマンは、

「ふん!!!」
――――――――パリン!



406 :『キラリ☆宝物』 ◆MGy4jd.pxY :2009/01/08(木) 19:30:56 ID:t8eDOkfD0

それを踏み付け、悪食を諌めた自分の行いに思わずガッツポーズをとる。

しかし、残念ながら足の下から聞こえた音は『パリン!』でした。
明らかに食べ物を踏んだのとは違う音です。

恐る恐る足をあげると3cmほどの△、小さな鏡の破片が木っ端みじんに砕け散っていた。

(動物は光る物を集める修正がある。まさか、この破片は森の中で見つけた『キラリ☆宝物』だったとか?
待て、この猫がそ〜んなに繊細だったりするだろうか。おっと、そうだ。あれは鳥だか犬の話だった。やっぱり、ただお腹が空いただけなんだろう!)

シグナルマンは自分勝手な結論を下し、ごそごそと支給品のカツサンドを取り出しスモーキーへそっと差し出した。

「これを食べればもう安心だ!正義は『カ・ツ・サンド』だ!!あははは!ははは……はは……」

……………………………しーん。

押し潰されるかと思うほどの静寂。
ある種の底知れぬ寒さが辺りを包みこんだ。

「ニャッ!」

人語で訳せば「ケッ!」といった感じだろうか。
スモーキーは呆れ果てたのか履き捨てるように鳴いた後、ランプの中へ姿を消した。

再度訪れる、静寂。

407 :『キラリ☆宝物』 ◆MGy4jd.pxY :2009/01/08(木) 19:31:25 ID:t8eDOkfD0
ランプを擦っても叩いても、スモーキーは一向に出てくる気配がない。
「おーい。スモーキー……くん」
答えは無い。
シグナルマンの声は森に吸い込まれていく。
息が詰まるほどの、静寂。
急激にものすごく悪いことをしてしまったように思えてきた。

(本官はなんということを!やはり。あれは大事な宝物だったのか?!本官にとっては不燃ゴミでもスモーキーにとっては宝石だったのだ!!!
あぁぁぁぁぁぁ!!!!!どうしたらいいんだ。
「宇宙お笑い君こそスター誕生」の4週間連続勝者である本官渾身のギャグに失笑すらできないほど、スモーキーは心を閉ざしてしまった!!!)

後悔が深く胸に突き刺さる。
初めて出会った時、メレの一件で落ち込むシグナルマンをスモーキーは元気付けてくれた。
森で迷ってしまったのも、ブクラテスに従うのが癪だっただけでスモーキーは彼なりに菜月を捜し出そうとしていただけなのに。

(本官はスモーキーの信頼を失ってしまったんではないだろうか?)

信頼。何よりも強く人を支えるであろう『盾』
このような殺し合いの場においてでは、なおのこと。

この不始末を挽回すべく、シグナルマンが取るべき道は一つ。
シグナルマンは決意を新たに、ランプの蓋を持ち上げ大声でスモーキーに呼びかけた。
「さっきのことはすまなかった。スモーキー。お詫びに本官が一刻も早く菜月ちゃんを探し出してみせる!」


誰も通らない深い森の中を、草むらを掻き分け、木々を摺り抜け、根を飛び越え……。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

限界突破で駆け抜ける。
行け!シグナルマン・ポリス・コバーン。走れ!!シグナルマン・ポリス・コバーン。

408 :『キラリ☆宝物』 ◆MGy4jd.pxY :2009/01/08(木) 19:31:52 ID:t8eDOkfD0


§

ランプの中、スモーキーはゴロンと身体を横たえた。
閉じる瞼に浮かぶのは麗、深雪、そして……ヒカル。

森に落ちていた小さな小さな鏡の破片。
スモーキーはその鏡が何であるかを知っていた。
小さな小さなその鏡が映したことが現実のものであることも。

「ダンナのヤツ。殺っちまいやがって。ニャハ、麗が死んじまってトチ狂っちまったか?それとも敵討ちかよ?
……まぁ旦那に直接聞いて見ニャきゃわかんねーけどよ」

森に落ちていた小さな小さな割れたメメの鏡の破片。
誰かが落とした物なのか。
それとも、ロンが気まぐれでばらまいた悪意だったのか。
鏡が映したのはヒカル。
ヒカルが参加者の誰かを刺し貫いた姿。

「ったくよぉ〜。本気でダンナは大バカヤローだぜ……」

自分からは、遥か離れた遠い位置。そこで苦悩する飼い主に向かい、スモーキーはそっと呟いた。



409 :『キラリ☆宝物』 ◆MGy4jd.pxY :2009/01/08(木) 19:32:16 ID:t8eDOkfD0

【シグナルマン・ポリス・コバーン@激走戦隊カーレンジャー】
[時間軸]:第36話以降
[現在地]:C−4森 1日目 午前
[状態]:健康。少し凹み気味。
[装備]:シグナイザー
[道具]:けむり玉(残数2個)、ウイングガントレッド@鳥人戦隊ジェットマン、メレの釵
 マジランプ+スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー、基本支給品とディパック
[思考]
基本行動方針:ペガサスの一般市民を保護。戦っている者がいれば、出来る限り止める。
第一行動方針:強い怒りと悲しみ。菜月を探し出す(再び北東に向かう)。その後、竜也たちと合流。
第二行動方針:乙女(メレ)に謝りたい。
第三行動方針:黒い襲撃者(ガイ)を逮捕する。

【名前】スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:ボウケンジャーVSスーパー戦隊後
[現在地]:C−4 森 1日目 午前
[状態]:健康。マジランプの中。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ヒカルを探す
第一行動方針:強い怒りと悲しみ。菜月を探し出す(北東に向かう)。
※落ちていたメメの鏡の破片(粉砕)によってヒカルがサーガインを刺したのを見ています。

410 :『キラリ☆宝物』 ◆MGy4jd.pxY :2009/01/08(木) 19:33:34 ID:t8eDOkfD0
以上です。
ですが議論が必要かと思う箇所があります。

場所の設定は面従腹背の時ドロップが転んだ場所と考えて、ドロップが転んだ時にメメの鏡の破片の一部を落としてしまったと仮定しております。
実際に割れた描写は書いておりませんし、行動、場所等の指摘を踏まえて意見が伺えたらと思っております。
なお、現在地の時間表記ですが、前話から2時間経過していないので午前にしております。

よろしくお願いします。



411 :名無しより愛をこめて:2009/01/08(木) 20:22:15 ID:WEeU0UFIO
投下GJ!です。
シグナルマン何やってんだwwwwww
遅ればせながら間違いに気が付いたのは良かったですが、
天然に暴走気味というか、正直おバ……いえ、なんでもありません。はいw
全て、いたって真面目にやってるのがかえって、おかしかったです。
和ませていただきました。

スモーキーは辛い現実を知ってしまいましたね。
手が届かない位置にいるだけに辛いだろうな……

ギャグと最後のシリアスのギャップが絶妙でした。
面白かったです。GJ!!

412 :名無しより愛をこめて:2009/01/08(木) 20:30:16 ID:WEeU0UFIO
っと、メメの鏡に関してですが、自分は問題ないと思います。
あの状況でしたら、割れていても不自然ではないと思いますので。

413 : ◆i1BeVxv./w :2009/01/10(土) 19:00:52 ID:zhMrERPV0
GJ!
行動指針は間違っていないのにやることなすこと裏目に出るシグナルマン。
ロワの途中だというのに、ここまで爆笑の渦を巻き起こしてしまうのは流石でした。
色々、吹かせていただき、楽しかったです。
メメの鏡については私も問題はないと思います。

それでは私も投下いたします。

414 :欺瞞と寂寥の果て ◆i1BeVxv./w :2009/01/10(土) 19:02:28 ID:zhMrERPV0
 林のように立ち並ぶビル街の一角。
 まるで隕石でも直撃したかのように瓦礫の山と化し、最早ビルとは言えないそこに、まるで悪魔の如き容姿をした男の姿があった。
 冥王ジルフィーザ。
 彼はひとり佇み、ティターンがドロップを連れて来るのを今か今かと待ち受けていた。
(ぬぅぅ、まだか)
 待ち続けること、早2時間。能力の制限も解け、天の力が身体中に漲っているのを感じる。
 本音を言えば、約束を反故にして、元来た道を戻り、自分の手で決着を着けたいと考えていた。
 だが、ジルフィーザがそれをしないのは、ただただティターンへ寄せる"信頼"、その一点につきる。
 自分と互角かそれ以上の実力を持つ男との約束だ。
 例え、愛する弟のことと言えども、彼との約束を破るということは、彼と自分の誇りに泥を塗る行為に他ならない。
 ジルフィーザは待った。
 やがて、彼の前に視線の先に、白いバイクに乗った複数人の人影が見えた。
「来たか」
 まず、見えたのは見知らぬ人間の女性の姿。
 ジルフィーザは彼女がドロップと共に人質になっていた美希ではないかと思い当たる。
 だが、誰であろうとジルフィーザにとってはどうでもいいことだ。すぐに女性の側らにいる少年へと視線を移した。
 純白の服を着たその少年は一度、タワーに昇った時に眼にしている。
 あの時はドロップではないと判断したが、ティターンの話しによれば、この少年がドロップらしい。
 ティターンを疑うわけではないが、果たして、本当なのだろうか。
 早速、当人に訪ねて見ようと口を開こうとする。しかし、ジルフィーザはそれより先に別のことが気にかかった。
「ティターンはどうした?」
 気配を探ってみたが、こちらを窺っている誰かはいるものの、ティターンと思わしき者の姿は見えない。
 わずかな時間ではあったが、ティターンの性格ならば、必ずドロップと同行して来るものとだとジルフィーザは考えていた。
 襲撃者とでも戦っているのだろうか。それともバイクのスピードに付いて来れず、遅れて来るのだろうか。
「ティターンは――」

415 :欺瞞と寂寥の果て ◆i1BeVxv./w :2009/01/10(土) 19:03:24 ID:zhMrERPV0
 女性が口を開く。だが、それを遮り、側らの少年が言葉を繋いだ。
「殺しました」
「何ぃ!?」
 驚愕の声を上げるジルフィーザ。そして、彼と同様に女性も驚愕の表情を浮かべる。
 まるで、話が違うと言わんばかりに。
 驚く二人を余所に、少年は話を続ける。いや、見た目こそ少年ではあるが、既にその声は彼の外見に似合わず、力強い青年の声に変わっていた。
「私は殺し合いに乗ったのです、兄上様。そして、殺し合いに乗った私にとって、ティターンは邪魔だった。だから、隙を見て、殺したのです。彼女と一緒にね」
「ぬぅぅっ」
 ティターンの死を聞き、愛用の杖を握るジルフィーザの手に自然と力がこもる。
 その様子を見て取ると、ドロップはジルフィーザへと駆け寄った。
「兄上様、なぜ怒っているのです?我ら災魔一族以外の者がどうなろうと構わないではありませんか」
 少年は邪悪な笑みを浮かべ、ジルフィーザの瞳を真っ直ぐに見詰める。
 対して、ジルフィーザも視線を交差させ、少年の瞳を真っ直ぐに見詰めた。
(こいつ、瞳の奥に燃え盛る炎が見える)
「貴様、本当にドロップなのか」
「兄上様が疑問に思うのも無理はありません。私は兄上様が生きていた時間より後、グランドクロスが完成した後の時間から来ています。
 既に私の身体は繭となり、後一歩で成体になれる段階まで、成長いたしました。
 ところが生命のバランスが崩れ、魂だけが繭より抜け出した。それが今の私です」
「にわかには信じ難い話だが」
 しかし、ジルフィーザは信じるしかなかった。
 タワーの屋上で見た時はわからなかったが、こうして真っ直ぐに相対してみれば、少年がドロップであることは疑いようがない。
 ジルフィーザが彼に見た炎は、紛れも無く、災魔の証。だが、それならそれで疑問がある。
「なぜ誇り高き災魔一族が、ロンなどという者の言うことを聞かねばならん」
「そのことですが、確かにグランドクロスは完成し、母上様の降臨はなされました。
 しかし、人間達の抵抗は著しく、完全な状態での降臨は叶わなかったのです」
「なんだと、母上様の身にそのようなことが」

416 :欺瞞と寂寥の果て ◆i1BeVxv./w :2009/01/10(土) 19:04:04 ID:zhMrERPV0
「はい。ですから、私は母上様の完全なる降臨のために我ら災魔一族が優勝し、彼に願いを叶えてもらおうと考えました。
 勿論、最終的には兄上様を優勝させるために、私は自らの命を断つ覚悟でしたが」
 神妙な面持ちで頭を垂れるドロップ。
 その姿にジルフィーザは怒りが急速に治まっていくのを感じた。
(ドロップはドロップなりに母上のために一生懸命だったのだろう。だが、ドロップはまだ子供。少し極端な手段に走りすぎてしまったといったところか)
 ジルフィーザはドロップの行動に納得すると、その手を彼の頭の上へと置いた。
「ドロップ、お前の覚悟はわかった。だが、やはり彼奴に従う必要性は感じん。彼奴が本当にそれほどの力を持っているのか確証はない。
 何より、母上様のことならば、我ら自身の手で成し遂げてこそ、意味がある。心配はいらん。今からはこのジルフィーザに全て任せておけばいい」
 愛おしげにドロップの頭を撫でるジルフィーザ。
 その様子を複雑な表情で見る女性。
「それで?貴様は何者だ」
 女性はジルフィーザの問いに答えようとする。だが、またしてもドロップが彼女の言葉を遮る。
「そいつは真咲美希。優勝するために私を利用しようとした人間です」
「あなた……」
「申し訳ありません。このような姿なばかりに人間などに屈することに」
「よい。それも仕方のないことだ。だが、お前が受けた屈辱、この私が晴らしてくれよう」
 ジルフィーザは美希を見ると、敵意を剥き出しにする。
 激昂する兄の後ろで、ドロップは声を出さずに口を動かした。
(バイバイ、お姉ちゃん)



 美希は自分の愚かさを嘆いていた。
 眼前には激昂し、今にも襲い掛からんとするジルフィーザの姿。
 分が悪いという言葉が陳腐に思える程、絶望的な状況だ。
 そして、この状況を引き起こしたドロップは美希に向けて微笑んでいた。
(いい気なものね)
 思えば、ドロップが子供というところに油断があったのかも知れない。
 確かに彼は、初めて会った時は脆弱で無防備な子供だった。
 だが、ティターン殺しを積極的に行った時点で気付くべきだったのだ。

417 :欺瞞と寂寥の果て ◆i1BeVxv./w :2009/01/10(土) 19:04:47 ID:zhMrERPV0
 もはや彼は最初に会った子供とは別人になっていると。
「覚悟はいいか、女?」
(来る)
 過ぎた事を悔やんでも仕方ない。
 美希は気持ちを瞬時に切り替え、ここから撤退する方法を模索する。
(ジルフィーザにはまだ油断があるはず。彼に渾身の一撃を撃ち込んで、その隙に逃げる!)
 マトモにぶつかって勝てる相手ではない。それならば、逃げるという選択肢がもっとも現実的だろう。
 ジルフィーザが美希に向かって駆けて行く。
 その様は隙だらけ。やはりジルフィーザは油断している。
「ゲキワザ・貫貫掌!」
 美希は激気を練ると、カウンター気味に拳を撃ち込んだ。
 それは見事にジルフィーザの胸へと命中する。
 だが――
(激気が出ない!?)
 美希の拳に激気は纏われていなかった。岩をも砕く必殺技も、これでは単なるパンチと違いがない。
 そして、単なるパンチでは冥王の冠を頂くジルフィーザにダメージを与えることなど、できようはずもない。
「痒いな、女」
 嘲るような声。
「何か策があるかと思ったが、買い被り過ぎだったか?」
「くっ」
 美希は激気が封じられた原因に、すぐに思い当たる。首輪による制限だ。
 制限があることは知っていた。だが、誤解があった。
 美希は制限は変身や化け物の特殊な能力に対して行われ、まさか生身である自分にも適用されるとは思っていなかったのだ。
(油断してたのは、私の方だったっていうこと)
 悔やむ美希の首をジルフィーザが掴む。そして、そのまま彼女の身体を駆軽々と持ち上げた。
 あっさりと、彼女の足は大地から離れる。
「このまま、捻り潰してくれる」
 ジルフィーザの腕に、徐々に力が込められていく。そして、それに比例して、美希の苦しみは増していく。
 美希は手足をバタつかせ、必死に抵抗するが、ジルフィーザは身動ぎひとつしない。
(こ、ここまでなの……なつめ!なつめなつめ!なつめ!!!)

418 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 19:05:42 ID:VEAvQamQ0


419 :欺瞞と寂寥の果て ◆i1BeVxv./w :2009/01/10(土) 19:06:03 ID:zhMrERPV0
 娘との日々が走馬灯のように頭をよぎった。
 なつめを救うまでは死ぬわけにはいかない。
 だが、そのような想いだけでひっくり返せるほど、ジルフィーザは甘くはない。
 次第に、意識が朦朧としてくる。
 落ちる。美希がそう思った瞬間、ジルフィーザの腕から火花が上がった。
「メガトマホーク!」
 青いスーツを装着した戦士が愛用のトマホークでジルフィーザの腕を攻撃したのだ。
 痛みに手を離すジルフィーザ。そして、崩れ落ちる美希の身体をその戦士はやさしく支える。
「何者だ貴様!」
 左腕に美希を抱え、ジルフィーザを威圧するかの如く、右腕を突き出す青の戦士。
 そして、戦士は高らかに名乗りを上げた。
「メガブルー!」
「ほぉ、貴様が噂のメガブルーか。折角だ。邪魔をすると言うのなら、貴様がどれほどのものか、その実力確かめて見るとしよう」
 メガブルーは無言のまま、地面に美希を下ろすと、ジルフィーザに向かって構えた。
 ジルフィーザもそれに合わせて、杖を構える。
「いくぞ!」
「はっ!」
 メガブルーはホルスターからメガスナイパーを抜くと、地面を撃ち、真っ向から斬りかかろうとするジルフィーザの足を止める。
 舞う土埃にジルフィーザが怯んだ隙に、メガブルーは飛び上がると、身体を高速で回転させ、トマホークを振るった。
 メガブルーの得意技、トマホークハリケーンだ。
 だが、ジルフィーザはそれをあっさり杖で防ぐと、回転を力ずくで止めさせる。
「甘い!」
 続いて、ジルフィーザは空いた方の手でメガブルーを掴むと、そのまま投げ捨てた。
 大地に背中から叩きつけられるメガブルー。すかさず、ジルフィーザは杖をメガブルーの首へと放った。
「ぐはっ!」
「どうした、貴様の力はその程度か」
 動けないメガブルーの胸を足蹴にする。何度も何度も何度も。
 だが、戦況はメガブルーの思惑通りに進んでいた。何故なら、ジルフィーザが自分に気を取られているからだ。
 ゴーグルの縁で、メガブルーは美希の様子を確認した。
 見れば、美希は悟られぬよう、ここから逃げ出そうとしている。

420 :欺瞞と寂寥の果て ◆i1BeVxv./w :2009/01/10(土) 19:06:38 ID:zhMrERPV0
 それでいい。メガブルーの目的は美希の救出にある。
「兄上様、女が逃げます!」
 しかし、メガブルーの思惑も、戦況を冷静な眼で観察できるドロップには通用しなかった。
 そして、彼の言葉を聞き、ジルフィーザは興味の対象をメガブルーから美希へと戻す。
「ぬぅ、逃がさん」
 メガブルーを抑え付けたまま、ジルフィーザが美希に杖を向けた。
「させるか。メガスナイパー!」
 杖から破壊光線が放たれるが、メガブルーのメガスナイパーから放たれた光弾が杖の方向を変え、破壊光線の軌道を逸らす。
「おのれ、余計な真似を」
 怒りに再び、杖をメガブルーに打ちつけようとするジルフィーザ。狙いは頭だ。
 だが、大振りなその攻撃をメガブルーは見切っていた。寸前で首を逸らし、避ける。
 その行動に、ほんのわずかだが、ジルフィーザが動揺したのが、脚を通して、メガブルーへと伝わる。
 その好機をメガブルーは逃さなかった。
「メガスナイパー!」
 3度目のメガスナイパーが、ジルフィーザの頭部へと命中した。
 至近距離からの攻撃に、流石のジルフィーザも痛みに顔を顰める。だが、これで攻撃を終わらせるメガブルーではない。
 メガブルーは身体を跳ね上げ、ジルフィーザを退けると、身体を回転させ、そのまま延髄切りを放った。
 技の名前通り、メガブルーの蹴りが延髄へと炸裂する。
「ごっ!」
「今だ」
 メガブルーの頭部にデジタルテレビの紋章が浮かび、そこから放たれた光線がジルフィーザを捉えた。
「ヌォォォォッ!」
 光に包まれるジルフィーザの身体。
「ええい、小賢しいわ」
 必死に光を振り払うジルフィーザ。
「ぬぅ、なんだこれは」
 数秒の後、光が治まる。だが、そこで眼にした光景は今まで見ていたものとまるで異なっていた。
 ビルはどこぞやの倉庫に変わり、いつの間にか無数の黒服の男に取り囲まれている。
「これは……幻覚だな」
 そうそれはメガブルーの能力、バーチャルビジョン。敵を仮想空間に閉じ込める技だ。

421 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 19:06:43 ID:CQEN2XVXO



422 :欺瞞と寂寥の果て ◆i1BeVxv./w :2009/01/10(土) 19:08:38 ID:zhMrERPV0
「くっ、このジルフィーザとしたことが」
 機関銃を手に襲い掛かる黒服の男たち。
 ジルフィーザは杖を振り回し、男たちを迎え撃った。



「おのれ、逃げられたか」
 仮想空間で襲い来る敵を一網打尽にし、ジルフィーザが脱出を果たした頃には、メガブルーと美希の姿はその場から消え去っていた。
 時間にして1分と満たなかったが、それだけあれば、身を隠すには充分。もう追っても無駄だろう。
「残念でした兄上様」
「うむ、すまないドロップ。この兄としたことが」
 ばつが悪そうに謝るジルフィーザ。しかし、ドロップはにこりと笑うと、言葉を返した。
「いいえ、兄上様は私のために戦ってくれました。それだけで充分です。
 それより、F-9エリアに私の身体があります。それさえ、あれば災魔の姿に戻り、成長が遂げられるはずです。
 そうすれば、兄上様の力になることも可能かと。しかし、今はこの有様。兄上様に同行していただけるとありがたいのですが」
 ドロップの申し出をジルフィーザは快諾する。
「よかろう、ドロップよ」
「ありがとうございます、兄上様」
 ドロップはジルフィーザに恭しく頭を下げると、彼に背を向け、東へと歩き出した。ジルフィーザも彼の後を追う。
(女を殺せなかったのは残念だったが、ジルフィーザに力を使わせるのには成功したな)
 道すがら、ドロップは今後について策を巡らせ始める。その胸中には恭しさの欠片もない。
 ドロップの時間軸ではジルフィーザは既に過去の存在。そして、彼が持っていた冥王の星は自分に受け継がれている。
(今更、でしゃばられても困るんだよ。天の時代は終わり、龍の時代となろうとしている)
 もはや、ドロップにとって、ジルフィーザは邪魔者でしかなかった。
 だが、ジルフィーザの強さはわかっている。もし真正面から戦えば、勝つにしても、相応のダメージを受けることは間違いない。
 そうなると、後々の行動に影響が出てしまう。ならば、制限を利用すればいい。
 そうすれば、いかに冥王といえども、物の数ではなかろう。
(冥王はふたりもいらない。俺が成長し、そして、俺の制限が解けた時、それが最期の時だ)

423 :欺瞞と寂寥の果て ◆i1BeVxv./w :2009/01/10(土) 19:09:32 ID:zhMrERPV0
 ドロップは来たるべき時に向けて、拳を力強く握り締めた。



「とりあえずここまで来れば、安心ですね」
 瞬が安堵の声を吐く。
 海岸H-7エリア。波に削られた荒々しい岩の陰、何故かぽっかりと空いたその場所に、瞬たちは腰を落ち着けた。
 メガブルーの変身が解除される直前に、この場所を見つけることが出来たのだから、中々、幸運といえる。
 美希もメガブルーに担がれて移動したおかげで、荒かった呼吸はすっかり正常な状態へと戻っていた。
「ありがとう、助かったわ」
 笑顔で礼を言う美希。対して、瞬も笑顔で返すが、すぐに神妙な面持ちへと変わる。
「どうしたの?」
 急に沈黙した瞬を、美希は訝しげに見詰める。
「……いえ。それより、なんでジルフィーザと戦うことに?」
「それが、ドロップを渡すと、途端に人間は信用できないって、襲い掛かって来たの。
 きっと、彼は最初から殺し合いに乗っていたのね。早くみんなに知らせないと」
 微塵もの動揺も見せず、美希は応えた。心配そうな表情のおまけ付きだ。
 真実を知らぬ者ならば、きっと彼女を信じてしまうだろう。
 しかし、瞬は表情を変えず、更に質問を行う。
「……ティターンはどうしたんです?」
「ティターンは、ここに来る途中に襲撃を受けて。私たちを逃がして、それっきり。無事だといいけど」
「………」
「瞬。さっきからおかしいわよ」
 俯き、何事か考えている様子の瞬。
 やがて、考えがまとまったのか、瞬は美希を真っ直ぐに見詰めると、重々しく口を開いた。 
「美希さん、嘘……ですよね」
「何が?」
「あなたが優勝を目指しているって。殺し合いに乗ったって」
 美希はその言葉を聞き、一瞬だけ俯くが、すぐに笑顔を浮かべる。
「瞬、あなた何を言って……」

424 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 19:09:36 ID:VEAvQamQ0



425 :欺瞞と寂寥の果て ◇i1BeVxv./w1氏代理:2009/01/10(土) 19:35:53 ID:VEAvQamQ0
「聞いてたんですよ!ドロップとジルフィーザの話を!最初はドロップが口から出任せを言ってると思った。
 でも、あなたは俺の問いに、どちらとも嘘で応えた。
 違うというなら、なんで嘘を吐くんですか。俺が納得いく答えを教えてください!」
(……なんだ、聞いてたんだ)
 美希の顔が笑顔が消える。そこに騙そうしたことの罪悪感はなかった。
 既に美希は瞬の口を封じるか。そのことを考えていた。好都合なことに彼は制限の真っ最中だ。
「今ならまだ引き返せます。俺だって、一度は夢のために殺し合いに乗ろうとした。
 でも、マトイさんのおかげで戻ることができた。あなただって――」
 どうやら瞬は自分を説得しようとしているようだ。
 滑稽に見えるほど、一生懸命に説得の言葉を紡いでいる。
 無駄だ。その段階はとっくに過ぎている。
「一緒にしないで」
 底冷えのしそうな程に冷たい声。それでいて、美希はまるで子供にわかりやすく教えるように言葉を続けた。
「あなたは誰一人、殺してないでしょ。私は違うのよ。スフィンクスを殺し、ティターンを殺した。
 そして、あなたを助けたマトイさんも」
「ま……さか、あの爆発は……」
 美希は瞬の問いに頷くことで応える。
 すると、瞬は驚愕に眼を見開き、明らかに動揺を見せていた。
 拳を握り締めたかと思うと、震えながら手を開き、手を開いたかと思うと、また握り締めた。
「っっっ……あなたを拘束します」
「できるかしら?メガブルーになら兎も角、生身のあなたには負ける気はしないわ」
 年齢の差はあるとはいえ、片や普通の高校生。片や獣拳の使い手。更に蓄積された戦いの傷や疲れは瞬の方が深い。実力の差は明らかだ。
「俺にはこれがあります」
「それはゴウライチェンジャー?」
 瞬はディパックから取り出したゴウライチェンジャーを美希に見せる。
 確かに変身機器が異なれば、2時間という制限も別々にカウントされる可能性は充分にある。
 そして、変身が出来れば、戦力の差はあっという間に埋まることだろう。
 しかし、美希は余裕の笑みを崩さなかった。
「瞬、教えてあげるわ。切り札は相手に使うことが悟られちゃ、意味がないのよ!」
 一閃。美希の回し蹴りが、ゴウライチェンジャーを持つ瞬の手を強襲する。

426 :欺瞞と寂寥の果て ◇i1BeVxv./w1氏代理:2009/01/10(土) 19:37:27 ID:VEAvQamQ0
呆気なく、地面へと転がるゴウライチェンジャー。そして、瞬はその様子を眼で追った。
(やっぱり、戦士になったとはいえ、まだまだ素人ね)
 美希はその隙を見逃さない。瞬を押し倒すと、そのまま彼の首に手を掛けた。
 瞬の首を締め上げる美希。
 だが、美希にもミスがあった。
 瞬の殺し方に絞殺を選んだことだ。鍛えてあるといっても女性の力。途端に意識が奪われることはない。
 瞬はディパックの中から、たまたま手に触れたカプセルを取り出すと、美希の頭に叩きつけた。
「ぁっ!」
 金属製の鈍器による一撃は彼女の力を弱らせる。瞬はもう一度、彼女の頭にカプセルを叩きつけた。
「うぐっ!」 
 美希の脳が揺らされ、彼女の額から血がタラリとしたたる。
 このままでは逆に殺されてしまうと判断した美希は、絞殺を諦め、一度、間合いを取った。
「はぁはぁ……もう…………やめて………もうやめてください………………美希さん!」
 息も絶え絶えながら、必死に美希を説得しようとする瞬。
 だが、美希はそれを命乞いとして受け取った。そして、彼女は命乞いを聞くつもりはない。
(ゴウライチェンジャーを奪えれば……いえ、そうだ、私のディパックにはスタッグブレイカーが)
「美希さん!!!」
 
―カポッ―

 思わず腕に力が入ったのだろう。その場にそぐわぬ間の抜けた音を立てて、瞬が手にするカプセルが開いた。
「えっ?」
 瞬は反射的にそのカプセルの中身を見た。そこにはこの世のモノとは思えない醜い虫たちが多数蠢いていた。
「うわっ、うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 その声が合図になった。カプセルから飛び出した虫たちは、まず最初の1匹目は彼の頭部に張り付き、続いて、腕、脚、胸、腰へと順々に張り付いていく。
「何、これは」
 そのおぞましい光景に、美希も激しい嫌悪と恐怖を覚えた。
 瞬は懸命にそれを剥がそうとするが、四肢を抑えられ、状態では無理な話だった。
「た、たすけ……ひぃぃ……」
 助けを求め、必死に悲鳴を上げる瞬。だが、その悲鳴も数秒もしない内に聞こえなくなった。

427 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 19:37:48 ID:CQEN2XVXO
支援

428 :欺瞞と寂寥の果て ◇i1BeVxv./w1氏代理:2009/01/10(土) 19:38:27 ID:VEAvQamQ0
そして、まるで手足を毟られたの昆虫のように身体がピクピクと痙攣を始める。
 その断末魔に美希の殺意は失せていた。もはや直接、手を下さなくとも、瞬は死ぬだろう。
 だが、美希の嫌悪と恐怖は未だ続いていた。
(ここにいてはいけない)
 美希は踵を返す。視界に一瞬、ゴウライチェンジャーが入ったが、美希はそれを無視し、その場から逃げ去った。


 
「はぁはぁはぁ」
 美希は走っていた。1メートルでも、1センチでも、瞬から離れるために。
 まだ嫌悪と恐怖は消えていない。それどころか膨れ上がっていくのを感じる。
(あれは一体……)
 疑問。そんな美希の心の声に、応えるよう、声が響き渡った。
「――次元虫ですよ」
 その声を美希が聞き間違えるはずがない。今、美希が最も怨めしく思っている男の声。
 美希はその声の主の名を叫んだ。
「ロン!」
 黄色い靄が人間の姿を形づくる。この殺し合いの主催者、ロンの姿を。
「並樹瞬に寄生したのは裏次元に生息する次元虫という生き物です。中々、面白い特性を持っていましてね。
 無機物に寄生し、その無機物を次元獣に生成するのですよ。そして、それを強化したバイオ次元虫は更に次元獣に動物の能力を付加することができます。
 でも、アレ単体ではか弱い生き物ですよ。"虫"ですからね」
「次元虫……」
 ロンは頷くと話を続ける。
「本来なら生物には寄生しないんですけど、アレはある時間、ある場所から持ってきた特別性の次元虫でして。
 いや、苦労した甲斐がありました、まさか無機物ではなく、人間に寄生するとは、私でさえ予想できませんでした」
「寄生?じゃあ、もしかして、瞬は――」
「ええ、生きていますよ。宜しければ、確認しに戻られたらいかがですか?」
「冗談じゃないわ。それより、なつめは無事なの!」
「そうそう。私の用件はそれなんですよ。まずはおめでとうと言わせていただきましょう。
 あなたには恐れ入ります。今現在、殺害数はあなたがトップですよ」

429 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 19:38:44 ID:CQEN2XVXO



430 :欺瞞と寂寥の果て ◇i1BeVxv./w1氏代理:2009/01/10(土) 19:41:33 ID:VEAvQamQ0
 小さく拍手するとロン。
「娘さんも喜んでいました。ママが私のためにいっぱい人を殺してくれて嬉しいって」
「なつめが……なつめがそんなこと言うわけないじゃない」
「おや、本当にそう言い切れますか?誰だって命は惜しい。自分の命が他者に委ねられているのです。
 思わず応援してしまうのではないですか?」
「それは……」
 美希はロンの言葉に沈黙する。
 声高らかにロンの言葉を否定したいのは山々だったが、娘のためという名目で3人もの犠牲者を出した自分にそんなことを言う資格はない。
 そんな美希の心情を察知したロンは込み上げて来る笑いを抑えることが出来なかった。
 これから自分が語る内容を考えると、美希の想いはあまりにも可笑しい。
「クククッ、ハハハッ、なんて、冗談……ですよ。娘さんはそんなこと言っていません。というより、こんな時にどんなことを言うのか、私にはさっぱりわかりません。
 なにせ、なにせぇーーー、私はなつめさんを人質になどとっていないのですから」
「……えっ?」
「クククッ、驚きました?というか私は一言もなつめさんを人質にしたとは言っていませんよ。
 殺し合いに乗れと、強要した覚えもありません。ただ、あなたが寂しい思いをしないようなつめさんの持ち物を支給しただけです。
 それをどう勘違いしたのか、あなたはなつめさんのためという名目で殺し合いに乗ってしまった。
 私が今回、あなたの前に姿を現したのはあなたの勘違いを正すため。純粋な善意からです」
 ロンの言葉に美希は呆然とする。
 なつめが人質になっていなかったのは嬉しい。だが、もし、なつめが人質になっていなかったのなら、自分がやってきたことはどうなるのか。

431 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 19:42:05 ID:CQEN2XVXO
支援

432 :欺瞞と寂寥の果て ◇i1BeVxv./w1氏代理:2009/01/10(土) 19:42:25 ID:VEAvQamQ0
「そ、そんな……。でも、あなたは言ったわ。なつめを失いたくなければ戦えって」
「ええ、それは確かに言いました。でも、それはあなたが死んだら、あなたとなつめさんはこの世とあの世に分かれることになる。
 あなたから見れば、それはなつめさんを失うということですよね?」
「嘘、嘘!」
 ロンの曲解を否定しようとする美希だが、今の美希には嘘という言葉だけしか呟けなかった。
 その様子を見たロンはより一層、笑みを深くする。
「おやおや、どうして信じないんですか?あなたにとってはこれ以上ない喜ばしいニュースだと思いますが。
 クククッ、まあ、そうですよね。なつめのためにやった。その免罪符が虚構だったのなら、あなたがやってきたことは一体、なんだったのか。
 ……なんだったんでしょうね?」
 息が吹きかかる距離まで、美希に近づくロン。その滑稽な顔を確認しながら、話をするためだ。
「!」


433 :欺瞞と寂寥の果て ◇i1BeVxv./w1氏代理:2009/01/10(土) 19:43:26 ID:VEAvQamQ0
 その時、美希の拳が彼へと飛んだ。
 しかし、直前でロンの身体は靄となり、彼女の拳は空しく空を切る。
 美希は諦めず、次々と拳を繰り出すが、気体となったロンを傷つけられるはずもない。
「まったく、八つ当たりですか。気は済みましたか?」
 やがて、美希の息が切れる頃、ロンは気体から固体へと戻る。
 それでも美希は一撃を打ち込もうと機会を窺っているようロンには見えた。
「やれやれ、あなたと話すのはこの辺にしておきましょう。何はともあれ、真実はお話しましたしね。
 あなたがこの場において、今後、どういう役割をこなすかは引き続き、あなたの自由です。
 このまま殺戮を続け、優勝を目指しても結構です。勿論、その逆もね」
「!、だぁぁぁっ!!!!」
 渾身の力を込め、正拳突きを打ち込む美希。だが、またもロンは靄になると、今度はそのまま消えていった。 
「っぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!ろぉん!出てきなさいぃ!ろぉぉん!!!!うわぁぁぁぁっ!!!!!!」
 絶叫を上げながら、やり場のない怒りを、近場の建物にぶつける美希。
 激気が込められていれば、その拳は建物の硬度にも負けなかっただろう。
 だが、制限により、激気を封じられた美希の拳からは、皮が破け、血が噴き出す。
 しかし、それでも美希は叫び、殴り続けた。
 怒りの矛先はロンでも、美希が本当に殴りたいのは愚かな自分自身なのだから。



「ふふっ、旨くいきましたねー」
 ロンは美希とのやり取りを思い出しながら、ひとりごちる。
 ロンが美希に語った内容はほとんどが真実だ。ロンはなつめを人質になどとっていない。
 人質などわざわざとらなくても、娘の存在を散らつかせるだけで、美希は殺し合いに乗るはずだと踏んだからだ。
 もっとも、これほど積極的に動いてくれるとは、流石に予想外だった。
 だが、だからこそ、人間を使ってのゲームは面白い。
「ふふっ、さて、真実を知ったあなたは今度はどんな行動を見せてくれるのでしょうかね?
 こんなサプライズを起こしたあなたのことです。きっと、もっと、面白い見世物を私に見せてくれることでしょう」
 ロンの眼の前には並樹瞬がいた。
 いや、並樹瞬だったものがいた。

434 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 19:43:58 ID:CQEN2XVXO



435 :欺瞞と寂寥の果て ◇i1BeVxv./w1氏代理:2009/01/10(土) 19:44:39 ID:VEAvQamQ0
「グルォォォォッ!!!」
 最早、彼に人間であったときの面影はなかった。
 眼は黒い瞳の部分が目を覆うように広がり、耳は肥大化し、口は大きく裂けていた。
 野獣の武器である牙や爪は獲物を引き裂けるほどに鋭く伸び、獲物を捕らえるためか、背中からは触手のようなものさえ生えている。
 バイラムの幹部の命令になら従う程度の知能は持っているが、残念ながら野獣と化した瞬の前にはもはや眼に映る全てのモノが獲物でしかない。
「カプセルから出たバイオ次元虫の寿命は数十秒。仮にバイオ次元獣になったとしても、数分しかこの空間には存在できない。
 これも生存本能が起こした奇跡ですかね」
 瞬の有様を満足気に見詰めると、ロンは今度こそ、その場から去っていった。

「私という糸から解き放たれたあなたたちがどう踊るか?一観客として、楽しみにしていますよ」


【名前】冥王ジルフィーザ@救急戦隊ゴーゴーファイブ
[時間軸]:第1話前
[現在地]:G-8砂漠 1日目 午前
[状態]:軽傷。戦闘に支障のなし。2時間能力発揮できません
[装備]:杖
[道具]:支給品一式(個別支給品は確認済)
[思考]
基本行動方針:ドロップと協力し、ロンを殺す。
第一行動方針:ドロップの身体を探すため、F-9エリアへ。
[備考]
・時間軸のずれ、首輪の制限を知っています。

436 :欺瞞と寂寥の果て ◇i1BeVxv./w1氏代理:2009/01/10(土) 19:45:49 ID:VEAvQamQ0
【名前】ドロップ@救急戦隊ゴーゴーファイブ
[時間軸]:26話、サラマンデス覚醒前
[現在地]:G-8砂漠 1日目 午前
[状態]:健康。30分程度能力が発揮できません。
[装備]:なし
[道具]:メメの鏡の破片、虹の反物
[思考]
基本行動方針:???
第一行動方針:F-9エリアへ行き、成体になる。
第二行動方針:制限を利用して、ジルフィーザを殺す。
[備考]
・時間軸のずれ、首輪の制限を知っています。

【名前】並樹瞬@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第2話後
[現在地]:H-7海岸 1日目 午前
[状態]:健康。次元獣化。
[装備]:デジタイザー
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:暴れる。
[備考]
・ゴウライチェンジャー、瞬の支給品一式はH-7エリアに放置されています。

437 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 19:46:03 ID:CQEN2XVXO
支援

438 :欺瞞と寂寥の果て ◇i1BeVxv./w1氏代理:2009/01/10(土) 19:46:47 ID:VEAvQamQ0
【名前】真咲美希@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:物語中盤
[現在地]:H-7海岸 1日目 午前
[状態]:激しい憤り。首にジルフィーザの手跡。頭部に軽傷。30分程度激気が使えません。
[装備]:スタッグブレイカー@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本方針:???
第一行動方針:???
[備考]
・時間軸のずれ、首輪の制限を知っています。
・マシンハスキーは鍵付きでG-7エリアに放置されています。

439 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 19:47:47 ID:CQEN2XVXO



440 :欺瞞と寂寥の果て ◇i1BeVxv./w1氏代理:2009/01/10(土) 20:02:47 ID:VEAvQamQ0
投下終了。
誤字、脱字、ご意見、指摘事項、ご感想がありましたら、よろしくお願いします。

瞬の処遇に関しては議論が必要かなと考えております。
三魔人ラモンにバイオ次元虫が取り付きましたので、生物も可能とは思いますが、
オリキャラになりますので、今後のリレーのことも考えて、
修正が必要ならば、次元獣化しない場合の話も考えたいと思います。

441 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 20:34:33 ID:VEAvQamQ0
投下GJ!!です。
ふー、ハードな展開にしばし言葉が出ませんでした。
ドロップに裏切られ、目的であり支えでもあったなつめの存在が偽りであった事を知らされた美希さん。
彼女の叫びが悲痛です。これから彼女はどんな道を選んでいく事になるのでしょう。
償いかそれともこのまま突き進むのか……

弟の悪意に気付かないジル兄、美希の裏切りでとんでもない目にあう羽目になった瞬。
共に今後が気になります。
バトル、心理描写どちらも秀逸の一言です。ハードな展開がたまらないw
ハラハラさせていただきました。面白かったです!GJ!!

瞬に関しては、自分は問題無いと思います。
おっしゃる通り、また劇中でロンの言っている通り、生物についた次元虫はおりますし。
確かにリレーの際には細心の注意が必要になる事と思いますが……


442 :名無しより愛をこめて:2009/01/10(土) 22:48:00 ID:lgEDMtu7O
おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!
なんてこった瞬!次元虫怖すぎだろ!!
……失礼、思わず取り乱してしまいました。
戦闘描写にドキドキさせられ、ドロップの黒さにニヤリとさせられ、美季の絶望には自分もorz
これは半端無く名作!!
面白かったです!超GJでした!!

瞬の次元虫化については自分も構わないかと思います。


443 :名無しより愛をこめて:2009/01/11(日) 00:44:19 ID:bhBjYNtX0
グレイの言うことなら聞くのかね?
元に戻る熱い展開があるのか、それともネジブルーに次ぐマーダーになるのか?
面白かったです!

444 :名無しより愛をこめて:2009/01/13(火) 19:55:32 ID:p3vQkhjMO
当方に支援の用意あり!!!

445 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/14(水) 00:15:56 ID:rqgBfiQSO
>>444
申し訳ありません。しばしお待ちをー。
延長期限までには仕上げられるよう頑張りますゆえ。

446 : ◆8ttRQi9eks :2009/01/14(水) 03:11:55 ID:ZpXQwNdr0
自分も延長をお願いします。
少し風邪気味なもので…

447 :名無しより愛をこめて:2009/01/14(水) 04:20:21 ID:mCzaoEJPO
お二人とも了解致しました。
しかし、あまりご無理をなさらぬよう。

448 : ◆8ttRQi9eks :2009/01/15(木) 01:41:36 ID:NYRtQrqI0
「さて、高みの見物といこうかな…」

木陰から二人の獣拳使いの激突を眺め、シュリケンジャーは呟いた。
気配を消すのはお手の物。忍者のたしなみというものだ。
勝敗がどちらに転ぶにせよ、人は減る。それで彼の目的は十分に果たせるはずだった。
「だけど、ミーとしては、できれば理央に勝って欲しいんだよなぁ…」
情があるわけではない。時限爆弾つきの彼ならば生き延びたとしても先は知れている。
危険はサンヨよりも少ないという判断だ。今の彼をして動かすのは本来の忍びとしての冷徹さ。
権謀術数にかけては、このゲームの主催であるロンにすら匹敵するだろう。

§

「聞かせてもらおうか! “あいつ”とは誰だ、サンヨ!!!」
理央の詰問にサンヨは慌てた様子で所在無くあたふたと狼狽した様子を見せた。
「な・なんでもないヨ!…誰でもないヨ!!」
誰でもないはずはない。
彼がロンとつながっているのは確かだ。だが、ならば何故ここまで隠すのか。
他の参加者ならともかく、今更自分に対してロンとの関わりを隠す必然性はない。
ならば、ロン以外の誰かとサンヨはつながっているのだろう。
そして恐らくその『あいつ』はこのゲームに乗っている人物と見て間違いはない。
「答える気はない、か…ならば、身体に聞くとしよう―――……!」
理央は自らに内在する力の根源に揺さぶりをかける。
足元の空気が逆巻き、大地が震え、木々がざわめく。
「ほぉ…大したもんだな……成る程、彼が大会有数の実力者という話は間違いないようだな…」
だが、その命運は既に尽きている。
これだけの力を持ちながら、彼は優勝することはない。
所詮、彼は獣だ。知恵ある者の都合で弄ばれる哀れなマリオネット。
それが、理央の運命なのだろう。


449 : ◆8ttRQi9eks :2009/01/15(木) 01:42:17 ID:NYRtQrqI0


「臨気凱装……!!」


黒獅子を模った鎧に身を包み、理央は獣拳使いとしての本質を顕現させる。
夜の闇より、なお冥く。臨獣ライオン拳の理央。
(や・や・や・やばいよ…! 理央本気だよ!!! サンヨ殺されちゃうよぉ!!)
既に幻獣王の力こそ打ち捨てたとはいえ、過去現在、そして恐らくは未来においても最強の称号で語られるであろう彼と、
制限の状態で戦うなど狂気の沙汰だ。
恥も外聞もなく、サンヨは背中を見せて脱兎が如く逃げ出した。
(10分逃げればサンヨの勝ちネ〜〜! あいつの相手なんてばかばかしくてやってらんないヨォ〜〜〜〜!!)

巨躯に似合わない俊足で見る間にリオとの距離を広げていく。
だが、リオはそれを追おうともせず、ただ黙って拳に臨気を込める。
そして、たぎる臨気を一気に解き放つ。

「剛勇…――――吼波-----―!!!!!」

道なき道を獣が行くように――
百十の王の形を与えられた臨気が、両者を隔てる空間を一気に押しつぶす。
「どええええええええええええぇぇぇぇえええええーーーーーーーーー!!!!」
爪が、牙が障害となる木々を岩を次々に粉砕し、サンヨに襲い掛かった。
なんとか獅子の顎を両手で必死に押さえるが、その圧倒的勢いの前には風前の灯だ。
「んぎぎぎぎぎぎ…!!!」
相手がゲンギを使ってこないことに僅かな違和感を覚えながら、理央は獅子の幻の圧を強める。
「……無駄だ」
次の瞬間、閃光が弾け辺りを紅蓮の炎が包む。


450 : ◆8ttRQi9eks :2009/01/15(木) 01:42:54 ID:NYRtQrqI0
爆発。
小規模なクレーターの中心で血まみれになって荒い息を吐くサンヨを悠然と見下ろしながら、
理央は最後通告を行った。
「貴様…制限中か……成る程、貴様の選択は正しかったぞ。そんな状態で俺と戦うことの愚かしさは分かっていたと見える…だが、敵に背を見せるなど仮にも四幻将の一角とは思えぬ無様な醜態…恥を知れ」
「ハァ…ハァ……ハァハァ……」
息も絶え絶えに、頭上から投げかけられる言葉に反論の一つもできずに。
立ち上がる力すら失せたのか、膝をついた格好は自然、相手に頭を垂れる構図となる。
「無様だな、サンヨ。今のお前など倒す価値もない…お前が持っている情報を全て俺に伝えろ。
ロンのこと、メレのこと…そして殺し合いに乗ったお前の新たな仲間の情報についてもな」
――理央の問いかけにシュリケンジャーは、ふっと笑みをこぼす。
獣にもそれ位の知恵はあったらしい。

「全てを話せば命だけは助けてやってもいい…そして、二度と俺とメレの前に姿を現すな」
理央は悠然と立ちつくしたままサンヨの答えを待った。
「ハァ…ハァ…全て話せば…ハァハァ…命だけは見逃してくれるのか…?」
絞り出した声に理央は僅かにうなずいてみせる。
「あぁ…」

「偉そうに…落魄した王の言うことかああああああああああーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

自らの状態よりも自身のプライドを傷つけられたことにサンヨは逆上した。
彼とてロンの操り人形に過ぎないくせに。
高みから自分を見下ろし、あろうことか助けてやる、だと。
ロンがいなければ幻獣王にすらなれなかったものを。
飛び掛るかつての側近の姿に憐憫の情を覚えながら、理央は自らを循環する臨気の流れに再び働きかける。
―――だが。


451 : ◆8ttRQi9eks :2009/01/15(木) 01:44:44 ID:NYRtQrqI0
力の反動であろうか。
臨気の鎧が理央の身体能力を活性化したことに呼応したか、
体内に打ち込まれた忌まわしい死神もまたその眼を開けることとなったのだ。
「ぐぅッ!?」
かつて経験したことのない激痛にリオはその場に膝をつく。
わずかに反応が遅れたことで本来ならば避けられたはずの、サンヨの横薙ぎの
力の反動であろうか。
臨気の鎧が理央の身体能力を活性化したことに呼応したか、
体内に打ち込まれた忌まわしい死神もまたその眼を開けることとなったのだ。


452 : ◆8ttRQi9eks :2009/01/15(木) 01:45:21 ID:NYRtQrqI0
「ぐぅッ!?」
かつて経験したことのない激痛にリオはその場に膝をつく。
わずかに反応が遅れたことで本来ならば避けられたはずの、サンヨの横薙ぎの
蹴りをまともに喰らった。
「――――――…ッッ!!」
体重を乗せた思い蹴りにわき腹が軋む。
倒れ付した理央の傍らにサンヨの姿が近づく。
「ふざけるんじゃないヨ! 誰のおかげでここまで来れたと思ってるんだヨ!! 貴様なんて所詮はただの操り人形じゃないかヨ!!!!」
怒りにわれを忘れ、目の前の異変にも気づくことなく、サンヨは理央の首筋を持ち上げ地面へしたたかに打ちつけた。
「お前なんて…お前なんて……ただのロンの玩具ネ!!!!」


453 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2009/01/15(木) 10:14:56 ID:O/i5sauc0
最早、これまでだろう――
サンヨは気づいていないのかもしれないが、既に彼はロンを信じることが出来なくなっている。
死の瀬戸際にあって、彼の中にロンに対する疑念が生まれた。
あるいは、それもロンの差し金なのかもしれないが。

「終わりだ…サンヨ。せめて、その苦しみから俺が解き放ってやろう……」
傍らの死体。
状況から見て、彼の死にサンヨは関っているのかもしれない。
よしんば関っていないとしても、彼は既に殺し合いに乗っている。
理央は最後の審判を下すべく、痛みを乗り越え力の集中を始めた―――
――終わったな、とシュリケンジャーが半ばその場からの離脱を考えていたその時だった。
「な…にっ!?」
思わず気配を消していることすら忘れて声が出た。
ちらっとリオが背後を見やる。
しかし、すぐにその視線はサンヨへ注がれた。


「ロンは…ロンはサンヨを信頼してるネ!! 間違いないヨ! 絶対、そうだヨ!!」


薄ら笑いを浮かべ、自らを縛る金色の首輪に手を掛ける。
「貴様…何を…――!」
問いかけは、爆発に途切れた。
力任せに首輪を引きちぎり、サンヨは自ら起こした爆発の炎に倒れたのだ。
とめる間もないあっという間の出来事に理央は呆然と立ち尽くした。
「オ〜マイゴォォッド!! まさか、自分で首輪を引きちぎるとはねぇ……」
意外な結末。
だが、彼の希望通り、人は減った。そして死神に魅入られたリオは遠からず死ぬ。
全ては計画通り。


454 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2009/01/15(木) 10:15:43 ID:O/i5sauc0
シュリケンジャーは愚かな蜥蜴の最期に失笑を漏らした。
だが、真の驚愕はその後に訪れた。

「…やっぱりネェェェ~~~~~……ロンがサンヨを裏切るはずがないんだヨォォォォォォォォ!!!!!!」

サンヨが立ち上がってきた。
制限の枷から解き放たれたことで、その全身から黄金の幻気が立ち昇っている。
「だから最初からサンヨは言ってたんだヨォォ…サンヨに制限なんて必要ないって……見ててよ、ロン……これから一番の邪魔者殺すとこ!」

「くっ…剛 勇 吼 弾ッッッッ!!!」
弾丸上に練りこんだ臨気を相手の頭蓋めがけて射出する。
しかし。
「ぬるいヨッッ!!」
先ほどとは比べ物にならないほどの力の奔流が獅子の一撃を受け止め、彼方へ弾き返した。
―反重力鎧。
本来ならば制限の中にあるはずのゲンギを事も無げに使い、サンヨは高らかに叫んだ。
獅子が地に伏せる瞬間を確信して。






「さっき終わりだとかなんだとか言ってたネ……終わるのはお前だヨッッッ!!!」
天高く、両腕を掲げ、自らに内在する幻気の全てを使って空間の圧に干渉する。
「まずいな…これは……!」
辺りの景色が歪んでいく。
リオもろとも、このエリアを吹き飛ばしてしまうつもりなのだろう。
「読み違えたかな…」


455 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2009/01/15(木) 10:17:00 ID:O/i5sauc0
自らの読みの甘さにシュリケンジャーは自嘲の笑みを浮かべた。

「喰らえぇぇぇぇぇええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
両の眼はリオを捉えて、サンヨは腕を勢いよく振り下ろす。
その時、世界が軋む音を聞いた。
全てが超重圧の重力異常に押しつぶされていく。
命を失った真墨の遺体も、倒れた木々も全て地に沈んで潰されていった―
そして、全てが去った後で。

「ハァ…ハァ…ハァハァ…やったヨ! 跡形もないよ!! 理央死んだヨ!!! 見てるかい? ロン!!! 理央が死んだヨ!!! サンヨが殺したヨ!!!!!」
パチパチパチパチパチ。
勝どきを上げるサンヨの耳に拍手の音が聞こえてくる。
「ブラボー! ブラボー!! さすがサンヨだね。ミーもまさかここまでやれるとは思わなかったよ!」
背後にいつの間に現れたのか、サンヨが本来落ち合うはずの相手であるシュリケンジャーがたたずんでいた。
「お前…今頃来たのかヨ……」
また、違う姿をしている。
自分にはそれと分かるよう、シュリケンボールをかざす目印を彼は指定していた。
舌打ちをしながら、シュリケンジャーに歩み寄ろうとしたその時だった。
「おっと! 待った…まだ、ゲームは終わってないよ」
何をこの男はいっているんだろう。既に理央は重力異常の中心でぺしゃんこになっているはず。
戦いは、既に終わっているはずなのだ。
だが。
深海の底を覗き込むような重苦しいこの感覚はなんだろう。
重力を操る自分が蛇に睨まれた蛙のようにすくんで動けなくなる。



456 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2009/01/15(木) 10:18:34 ID:O/i5sauc0
いや、これは蛇の眼差しなどという生易しいものではない。
これは―――



「猛きこと獅子の如く…強きこと、また獅子の如く―…邪竜を葬り去る者――臨獣ライオン拳、黒獅子…理央―――!!」



あの渦の中心にあってなお、彼は滅びることなく。王者の風格すら漂わせて。
「なっ……!!!」
巨大な影が頭上に迫っていた。
「リンギ・招来獣……」
理央を守護するが如く、漆黒の獣がその威容を現していた。
「嘘だヨ…こんなの夢だヨ…」
弱弱しく頭を振るサンヨを見下ろしながら理央は言った。
「どうやら…この空間には幻気が満ちているらしいな…四幻将の一人であるお前だからこそしばらくは行動できたようだが…それももう、終わりだ」
既に見えない毒の大気はサンヨの体を蝕んでいた。
足に力が入らない。
それは眼前の脅威を目の当たりにしているからという理由だけではないはずだ。
身体が、崩れていく。
前進にひび割れが走り、身体がガラスの様に脆くなっていく。


457 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2009/01/15(木) 10:22:06 ID:O/i5sauc0
膝が砕け、指が割れた。
仰向けのままどうすることも出来ない。ただ、身体が、心が朽ちていくのを待つしかない。
漆黒の獅子がゆっくりと、その巨大な顎を開いてゆく。
眩い光が辺りを照らし出す。


「―獅子吼」


閃光に呑まれ光となる、その最期の瞬間までサンヨは叫び続けた。
「ロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンンーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

…――――特別扱いなら、もうしたじゃないですか…後は自分で何とかして御覧なさい――――…

死に際の幻聴か、焦がれた人の声を光の中に聞いた気がした。
「ロオオオオオオオオォォォォォオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンンンンンンンン!!!!!!!!!!!!!!!」


その最期の雄たけびは、確かにロンに届いているはずだった。


§

「さて、と…ミーはそろそろ行こうかな」
今度こそ、その場を後にすべくシュリケンジャーは踵を返した。
「待てっ! セン!?」
理央の問いかけに歩を止める。
みれば、既に彼の凱装は解け人の姿に戻っている。
制限までは後ほんの少し時間があるはずだが、戦闘の痛手と胸の痛みに戦闘状態を保持できないらしい。
制限に入れば臨気で抗うことも出来なくなり、胸に巣食う死神の鎌に命を狩られることとなる。
止めを刺す必要もないだろう。


458 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2009/01/15(木) 10:22:52 ID:O/i5sauc0
「…違うな。ミーは緑の光弾シュリケンジャー! ユーの敵だよ」
チッチと指を振りながらシュリケンジャーは言った。忍が名乗ることなど、本来はありえない。
彼は自分をセンだと思い込んでいる。このまま、成りすまして嘘を突き通すことも出来る。
だが、戦士としての威風堂々たる戦いを見せた理央への…そんな彼を姑息な手段で利用したことへのせめてもの礼だった。
「貴様…センではないな…!…サンヨが言っていたあいつとはお前のことか!?」
その姿は江成仙一そのものだ。しかし、先ほど出会った彼とは雰囲気が全く違う。
間違いない。彼は自分とサンヨの戦いをずっと盗み見ていた。
どちらかが倒れるのを待っていたのだろう。
「正解。なかなか凄いもの見せてもらったよ。だけど、惜しいな…君はもう、長くない。
制限の二時間を待たずに蠍の毒でリタイアだ」
「貴様…何をしたっ!」
戦闘中に感じた激痛の正体は彼に起因するらしい。
だが、どこでそんな術を施されたのか―
「…ミーはね、1000の顔を持つ男さ。ユーは強い。強いけれど、ただそれだけさ。
出会って間もない男の言葉に身を預けるような無防備さはその強さへのおごりなのかな?
それとも、ユーはそれだけ無垢で、ミーがよっぽど汚れてるってことなのかな?」
「貴様…! センを、センをどうした!!」
胸の奥が焼け付くように痛む。
骨を蝕み、肉を貪り、やがてはその命の灯を消し去るだろう。無間の苦しみの果てに。
「出会って間もない男の心配か…思ったよりユーは優しいんだな。見直したよ」

「さようなら…黒獅子の拳士。君の犠牲は無駄ではないってことだけは、ミーが確実に約束できる唯一つの真実さ………」
彼を救うこともできる。今なら、まだ間に合う。
だが、今のシュリケンジャーにはそれが出来ない。
「待てっ!! 貴様!!!」
「…無駄だよ。君は死ぬ。万が一、生き延びたとしてもミーの本当の顔すら知らない君がどうやって戦うというんだ? 
この勝負、始まる前からユーの負けだったのさ」
獣に人の狡さを求めるのは酷と言う物だろう。


459 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2009/01/15(木) 10:24:02 ID:O/i5sauc0
獣はその強さゆえに自分を偽れず、変えられず滅んでいく。
だが――

「思い通りには…ならん―…!」

口元に血をにじませながら、理央は残る全てのリンキを身体のただ一点に集中させる。
そして、解き放った。
理央を源に噴出すどす黒い力の奔流が何者をも拒絶して吹き荒れる。
猛り狂う怒臨気の嵐を前に人の叫びはかき消されて消えた。
「理央! 何を!? 止めろ!! 苦しむだけだ!!」
蠍の毒は身体の奥深く心臓にまで達している。無理に力を加えれば、その死期を早めるだけだ。
「俺は…俺はもう、誰かの思い通りにはならん! お前にも、ロンにも俺を操ることは出来ない!! 決してっっっっ!!!」
翻弄されるままに、破滅の道を突き進んだ男はもういない。
人を超え、獣を超え、そして龍を喰らう。
生き抜いて、勝ち抜いて、彼が彼のままに在れる場所を、最愛の人をこの手に取り戻す。
「俺は…俺は死なないッッ!! メレェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

§

地に伏す獅子は、まるで無垢な赤子のような顔で深い眠りに落ちていた。
「……君を一度だけ、見逃すよ…理央。その代わり、君はここにおいていく。
誰かに寝首を掻かれればそれで終わりさ。ミーは君に、何も、しない。
助けることも…………殺すことも」
足元には潰れた蠍が一匹、煙を上げてこの世界から消滅しようとしていた。

「大した男だ…次に会うときはミーとユーのどちらかが死ぬ時だ。最も勝つのはミーだけどね☆」

その再会自体も、あるのかどうか怪しいけれど。




460 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2009/01/15(木) 10:31:07 ID:O/i5sauc0
【サンヨ 死亡】
残り39名

【名前】シュリケンジャー@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三後
[現在地]:C-8森 1日目 午前
[状態]:健康。1時間30分変身不可
[装備]:シュリケンボール、スワン製防弾チョッキ@特捜戦隊デカレンジャー、SPD隊員服(セン)
[道具]:包帯、基本支給品一式
[思考]
基本方針:殺し合いに乗る(一時的に保留)
第一行動方針:七海とおぼろを五体満足で帰還させる。
第二行動方針:それがだめならアレの消滅を願う。
第三行動方針:サンヨが殺せることを確認。放置する。

【名前】理央@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:修行その47 幻気を解き放った瞬間
[現在地]:C-8森 1日目 午前
[状態]:左胸に銃創。肩から脇の下にかけて浅い切り傷。ロンへの怒り。深く無防備に眠り込んでいます
[道具]:支給品一式。
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。乗った相手には容赦しない。
第一行動方針:メレと合流する。
第二行動方針:ナイとメアを探す。
第三行動方針:メレと合流する。
※大体の制限時間に気付きました。

備考
・サンヨと江成仙一から一通りの情報を得ました。具体的な制限時間も知っています。
・シュリケンジャーはロンが何らかの方法で監視していることに気づきました。
・炎の騎馬はC-7エリアに隠しています。
・シュリケンジャーの支給品は宇宙サソリ@忍風戦隊ハリケンジャーと包帯でした。

461 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下……:2009/01/15(木) 10:58:38 ID:O/i5sauc0
理央が宇宙蠍を浄化できたのはラゲクの回での毒を除去の応用です。
また、サンヨの首輪崩壊後の行動にはご意見ある方、いらっしゃるかと思うのご指摘お待ちしています。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

以上代理投下終r……うわっ何をするやめ(ry



クックックッ……。

まさか、昨夜の内に投下しているとは夢にも思いませんでしたよ。
これだから……。そう、これだからこのロワからは目が離せないのです。

◇8ttRQi9eks氏、投下乙でしたね。
クックックッ。代理投下中、残念な事に一箇所誤字を見つけてしまいました。
教えて差し上げましょう。

前進にひび割れが走り、身体がガラスの様に脆くなっていく。

『全身』ではないでしょうか?

さて、ではゆっくり読せていただきましょう。


462 :名無しより愛をこめて:2009/01/15(木) 17:08:41 ID:zNHDCQ4s0
投下乙でした。

サンヨの台詞がいいな。
狂喜と絶望の叫びが聞こえてくるようでした。
しかしサンヨが死んで、これはますますロンの真意が謎に包まれてきましたね。
むー。あっさりと宇宙サソリを解除してしまったのは理央ならではというところですかね。
理央とサンヨ。
明暗を分けた二人でしたが、どちらも生き残りを懸けた激しく凄まじい執念を感じました。
GJ!

いくつか指摘と質問を。
・残りの人数ですが29名が正しいかと思われます。
・ロンがサンヨにした特別扱いというのは無理やり引きちぎった際の首輪の威力を小さくしてあった。
 という解釈でいいのでしょうか?(深雪死亡時とくらべてそう思ったのですが……)



463 :名無しより愛をこめて:2009/01/15(木) 20:28:54 ID:WcASZF2j0
投下乙です。
サンヨの叫びが哀しいですね。
理央にトドメを刺さなかったのは、シュリケンジャーの残った良心ゆえか、誇りゆえか……

いくつか疑問点をば。
・理央は首輪が生命維持装置だと気付いたようですが、どの時点で気付いたのでしょうか?
・サンヨはロンの不死の部分、つまりある意味、幻気のかたまりともいえるという事だと思うのですが、
 なぜ、幻気の毒の影響を受ける事となったのでしょうか?
自分の疑問は以上です。

特に後者は今後の展開にも関わってくる事となると思いますので、議論スレへ移動できたらと思います。
よろしくお願いします。


464 : ◆8ttRQi9eks :2009/01/15(木) 20:49:43 ID:NYRtQrqI0
感想をありがとうございます。
議論スレのほうで回答をしたいと思いますのでそちらで。

465 :名無しより愛をこめて:2009/01/19(月) 22:25:26 ID:GmTjBo4W0
保守

466 :名無しより愛をこめて:2009/01/24(土) 21:07:47 ID:6tp/6B6RO
主催者が復活?するかどうかは分からないけど、
VS記念に保守

467 : ◆7m.xhZiEWA :2009/01/25(日) 14:35:58 ID:2yFhwPod0
ネジブルー、並樹瞬、早川祐作、クエスターガイ、投下します。

468 : ◆7m.xhZiEWA :2009/01/25(日) 14:37:02 ID:2yFhwPod0

「さーて、メガブルーはどこかな〜ネジシルバーでもいいから出てきてくれないかな〜」
都市エリアをうろつく高校生ぐらいの姿をした男が言う。
「メガブルーならなぶり殺しだけどネジシルバーはどう殺そうかなぁ……一気に殺すのもいいし、絶望と苦痛の混じった表情を見ながらじっくりと殺すのもいいなぁ……」
ネジビザールが頭の中でメガシルバー殺害方法を考えていると……

「ウォォオォォォォォォオオオオオ!!」

突然の大声によりネジビザールの意識がこっちの世界に戻ってくる。
当然ネジビザールは面白くない。
「いいところを邪魔しやがって……あの声の奴も殺そうかな……」
すっかり気分を損ねたネジビザールは人間の擬態を解きその声の主の元に向かった。

ガイがビルの屋上で一人たたずんでいた。
「クソが!!!ボウケンピンク…ふざけやがって!!何が許してくださいだ!!」
ガイの脳裏に先ほどのさくらの姿がフラッシュバックする。
敵である自分に対し涙を流し、地に這いつくばり、プライドを捨てた。挙句の果てには命乞いをしたのだ。
「ウォォオォォォォォォォオオオオオ!!」
ガイはやりきれない気持ちになり叫んだ。
しかし重苦しい気分は払われることなくより重い気分になる。
ガイはその場を立ち去るべく出口の方向を向いた瞬間

ゴォォォオオ!!

風を切り裂く音とともに何かガイへと振り下ろされる。
「うお!?」
間一髪でガイはかわしたがデイパックが切り裂かれいくつかの支給品が地面に落ちる。
「ふーん、そんな傷だらけの体でがんばるじゃないか。」
ガイを攻撃した者が言う、青い体に鋭い結晶体、そしてガイを襲ったと思われる長く伸びた爪。
「いきなりなんだよ!!つーかだれだよお前は!!?」

469 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/25(日) 15:07:18 ID:O47dIjSCO
すみません。
パソコンの調子が悪いので夜に携帯で投下します。
ご迷惑をおかけして申しわけございません。

470 :名無しより愛をこめて:2009/01/25(日) 15:27:14 ID:kYwcoDvKi
二重カキコ御免
ついでにスパイダーロードに訂正

471 :名無しより愛をこめて:2009/01/25(日) 16:10:51 ID:M9lfIvoZO
夜に改めて投下の件は了解致しました。
一点お願いですが、鳥を変えられると予約された本人か判別出来ませんので統一していただけますか。

472 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/25(日) 21:36:02 ID:O47dIjSCO
本当に申し訳ありません!
トラブルが発生して本日中に投下することができなくなりました。
明日には必ず投下いたしますのでもう1日だけお待ちください。
皆様方に迷惑をおかけして本当に申し訳ございません。

>>471
申しわけございません。統一します…

473 :名無しより愛をこめて:2009/01/25(日) 22:12:59 ID:QXsHd1jPO
>>472
了解致しました。

474 : ◆MGy4jd.pxY :2009/01/26(月) 20:49:18 ID:hpzYXLgk0
ブドー投下しますが、要議論であるかと思います。
よろしくお願いします。

475 : ◆MGy4jd.pxY :2009/01/26(月) 20:49:59 ID:hpzYXLgk0
ギリリッと歯が軋む音を立てる。
微かに肩は震え、強く握りしめた拳の中、掌へ己の五爪が深く深く突き刺さる。
ブドーは瞬きもせず、森の中に残された轍を只々睨み付けていた。

森の中は聖域にも似た凛とした静けさを保ったまま。
どれだけ耳をそばだてても、誰も近づく音は聞こえない。
慰めるように頬を撫でる風が、制限という追っ手から野良犬のように隠れるしかない口惜しさを掻き立てる。
包みこむような暖かな太陽の光は、傷を抉るような生温かさを齎すだけ。


ぐっと強張る身体から力を抜き、溜めていた息を吐き出した。
もう一度シュリケンジャーが去った方向を睨み、踵を返し反対の方向へ歩を進める。
一歩、また一歩。
歩く度、心に燻る怒りにも似た思いは、薄れるどころか強まるばかり。

「おのれ……」

歩きながらブドーは知らず呟いた。
忌々しい。
そう、サンヨもシュリケンジャーも。

―――――ひっ…か……か………っ…………た……………ヨ………………〜!

嵌められた。
サンヨの声が蘇ると共に屈辱感で腹の辺りが焼けるように熱くなる。

―――――Don't worry、心配しなくても、その内、戦う機会はあるさ。ミーもMurderだからね。Murder同士は生き残っている限り、いつか戦うことになる。そうだろ?

腹に据えた熱き物が呼び水となり、シュリケンジャーの嘲笑を帯びた言葉が思い出された。

476 : ◆MGy4jd.pxY :2009/01/26(月) 20:50:34 ID:hpzYXLgk0
制限など関係なくとも、『ブドー如き殺すのは訳が無い』そんな意味合いを含んでいた。
ブドーを躍らせ、人減らしとして利用した後始末する。
そんな薄汚れた姦計さえ垣間見えた。

「次は、許さぬ!」

ブドーは叫び、振り払うように走り出した。
鬱蒼とした森の、深い闇の奥へ。

すべてが如何しようもなく忌々しかった。
戦いに身を投じ命尽きるまで戦い抜くという思いの枷になる制限も。
その思いを嘲笑うような二人の策略も。
何もかもの、すべてが。
膨れ上がる怒り、憎悪、嫉妬、さまざま思いが延々と澱のように胃の腑に溜まって行く。
この澱を吐き出す為に、ただ今は戦いたかった。
眼前の敵を叩き潰し、我武者羅に殺し合いの頂点を目指したかった。
戦うどころか、まんまと逃げられた。その口惜しさを打ち払いたかったのだ。


信念など不要。
手段など選ばぬ。
姦計もいらぬ。
友もいらぬ。
ただ欲しいのは……。
ただ、ただ欲しいのは……!

「拙者がっ……。欲するのは――――――!!!」

森を疾駆する。
陽光届かぬ暗き黒い森の中を。

477 : ◆MGy4jd.pxY :2009/01/26(月) 20:50:58 ID:hpzYXLgk0
渇望を、憤りを、隠そうともせず思いの丈を咆哮に乗せた。

「――――――力っ!力のみっ!!デヤァァーーーーー!!!!!!」

高く跳躍し、目前の巨木目掛け渾身の蹴りを放つ。
だが倒れることなく、折ることもままならず。

「グッ!」

ブドーの右足に、鈍い痛みが尾を引いた。
制限のせいだ、などと己に言い訳をしたところで燻る気は一向に晴れない。

「違う。制限など無くても絶対的に拙者には力が足りぬ」

ブドーは愕然としつつ、地に降り立った。
暫時、膝を付き頷だれた時。

渦巻く。
蠢く。
闇に息づく。
何かが呼応した。
顔を上げ、その何かを捜す。

ザワザワと木々が揺らめく。
鬱蒼と茂る森の木々が意思を持つように道を曳いた。
ブドーは、導かれるように細い獣道を進んだ。

やがて、現れたのは、東西南北を神木で囲み、細く結われた綱で張られた結界だった。
結界の中心には獄門台。
その上に三つの首を持つ竜の像があった。

478 : ◆MGy4jd.pxY :2009/01/26(月) 20:51:57 ID:hpzYXLgk0
脚台となる尾と胴は精巧な銀細工を施しから絡み合わせ、黄金色を放つ三頭の竜の頭は三方向へ分かれていた。

「これは……」

つ、とブドーは手を伸ばす。
結界に触れるや否やハラリと綱は崩れ落ちた。
招かれるように結界の中へ進み、獄門台に刻まれた文字を指で辿り、像へ触れた。
刹那。
轟、と一陣の黒き風がブドーを包む。

「……なっ!!!!」

驚愕。
次に訪れたのは、何故か心地よさであった。
枯渇した心に澄んだ水が染み入るように、漆黒の闇が、ブドーの胸の内へ染みていく。
染み込んだ闇は、やがて濁流へ変わり、燻る怒りも、澱のような劣位感もすべて飲み込み。
全身へ流れ、溢れ、湧き上がる『力』の血肉となった。


―――手に、入れた。拙者は、拙者ハ手に入れタ……。この闇ノ?チカラヲ。チカラ、ヲォ……。



  ◇    ◇    ◇
  


木々の隙間から零れ落ちる陽光に頬を刺され、ふとブドーは我に変えった。

479 : ◆MGy4jd.pxY :2009/01/26(月) 20:52:37 ID:hpzYXLgk0
天を仰げば、陽は頭上近くまで高く上がっていた。

「先程の、あれは……」

願望が見せた幻か?否か?
ブドーは自分の右手に視線を落とす。
己の掌の中、三頭の首を持つ竜は、血肉を得た如くぬらぬらと輝いていた。

「選んだのであろう拙者を。そして、拙者は受け入れた……」

さて、受け入れたのか、喰われたのか。
身体に漲る『力』にブドーは薄く笑った。
おそらく、今少しの時がたてば、飲み込んだ闇が……。
己の魂を蝕み、いずれ志も記憶も、すべてを侵食していくだろう。

確信に近い予感。
だが、構わなかった。
力を得る代償ならば、そのようなもの、もはや惜しくない。
信念など、とうに捨てた。

屍を拾う者など、もういないのだから。




480 : ◆MGy4jd.pxY :2009/01/26(月) 20:53:02 ID:hpzYXLgk0
【名前】剣将ブドー@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第24章(ギンガマンに敗れた)後
[現在地]:A-10森 1日目 昼
[状態]:胸と腹に中程度のダメージ。闇の力により戦闘力増幅。
[装備]:ゲキセイバー@獣拳戦隊ゲキレンジャー、一つ目のライフル銃@魔法戦隊マジレンジャー、手裏剣少々@星獣戦隊ギンガマン
[道具]:筆と短冊。サイコマッシュ@特捜戦隊デカレンジャー。予備弾装(銃弾5発、催涙弾5発)。支給品一式(ブドー&バンキュリア)。真墨の首輪。闇の三ツ首竜。
[思考]
基本方針:戦い、勝利する。
第一行動方針:リオを倒せるほどに強くなる。
第二行動方針:優勝を目指す。
※首輪の制限に気が付きました。
※闇の三ツ首竜により力が増幅しています。


481 : ◆MGy4jd.pxY :2009/01/26(月) 20:55:44 ID:hpzYXLgk0
以上ですが、闇の三ツ首竜の扱いについて要議論かと思っています。
ブドーが闇に選ばれないのでは?
という疑問が出た場合について、個人的には理央や他の参加者との戦いを経て本編真墨の抱えていた思いとブドーが重なったためいけるかと思いました。

修正と仮定して、
1、三ツ首龍と絡ませない。
2、ブドーが三ツ首龍に選ばれずorz

は考えております。
そのほか、矛盾、指摘もよろしくお願いします。
忌憚ない御意見をお聞かせ頂ければ幸いです。

482 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 21:32:54 ID:4XhmEFxZO
投下が遅くなり申し訳ありません。
これより昨日の続きを投下致します。

483 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 21:38:30 ID:4XhmEFxZO
ガイは問う。
「俺の名前かい?俺はネジビザールだよ〜」
ふざけた調子でしゃべるネジビザールを見てガイは思い出した。
(こいつメガブルーって奴を捜してた放送のイカレ野郎だ!!…今の体でまともに戦うのは不利だぜ……)
ガイは冷静に思考を巡らせた。
相手はあの放送を聞く限りかなりイカレた野郎だ。
しかもあの呼びかけに集まった人数は多いはず。
それにもかかわらず奴が生き残っているという事は相当実力があるはず。
……やはりまともに相手をせず逃げるのが上策だろう。
だがどうやって逃げる?……奴は出口の前に立っている。
(ちきしょう……迂闊だったな……大声出したのはまずかったぜ……しゃあねえ、一か八か飛び降りるしかねえな。)
幸いこのビルの高さは他のビルに比べて低い。
「なんだい、逃げる方法でも考えてるのかい?」
ネジビザールがじりじりと近寄りながら言う。

(一見隙だらけに見えるが一歩でも奴の制空圏に入ればあの爪でズタズタに引き裂かれちまう…)
そう考えてる間にもネジビザールとガイの距離はますます近くなる。
(奴の気を引く方法……そうだ!)
ガイは閃いた。
(あいつの捜しているメガブルーを使えばいいんだ!)

484 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 21:41:50 ID:4XhmEFxZO
そしてガイは言った。
「お前、メガブルーって奴を探してるんだろ?」
その言葉を聞いた瞬間にネジビザールの目の色が変わる。
「メガブルーを知ってるのか!?」
(よし、食いついた!)
「ああ、知ってるぜ、さっき海岸の辺りで見た。」(嘘だけどな〜)
心の中でニヤニヤしてるとネジビザールが雄叫びをあげた。
「そうか……海岸…海岸か……ヒャハハハハハハ!!!!メガブルゥゥゥゥウウウ!!!」
(今だ!)
次の瞬間ガイはビルから飛び降りた。
気分の悪い浮遊感がガイを襲う。
「うおおおおおお!!!」

ガシャーン!

下にあったゴミ袋の山に突っ込んだ。
「いてぇぇぇぇぇええ!!!!」

485 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 21:48:48 ID:4XhmEFxZO
落下の衝撃で傷だらけの体が悲鳴をあげたがゴミがクッションになり大事には至らなかった。
「無事に逃げられたみたいだな、おっとそんなことよりすることがあった!」
すぐに支給品のチェックをする。
「クソ!なくなったのはマグダスの杖とメモが3枚、それと水か……背に腹は代えられねえが痛え出費だぜ……」
ガイは立ち上がり近くのゴミ袋を蹴り飛ばしてその場を後にした。


ネジビザールはようやくガイがいないことに気づいた。
「あれ?あいつどこいったんだ?」
周りを見渡すがだれもいない。あるのはガイのバックから落ちた支給品のみだ。
「逃げたみたいだね、まあこっちには詳細付名簿があるんだ、メガブルーを殺したら次のターゲットはあいつにしよう。ん?なんだこれ?」
ネジビザールはメモを拾い上げた。
「あ〜、そこにある杖の使い方か〜、ふーんなかなか使えそうな道具じゃないか。もらっておくとしようか……さーて、ようやく会えるんだねぇ。メガブルー……」
ネジビザールは道具を自分のデイバックにしまうと人間の姿になり海岸へと向かった。

486 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 21:51:58 ID:4XhmEFxZO
海岸で祐作は今後の行動を考えていた。
(まずは瞬を探すのが先決だな、その後はサーガインたちと合流してロンを倒す方法を考える、しかし俺たちにはこの首輪がある以上は下手な動きはできない。)
祐作が自身に装着されている首輪に触れる。
(無理やりはずすのは無理そうだしな……)
祐作が考えにふけっていると都市エリアのほうから一人の男が歩いてきた。
とっさに物陰に身を隠した。
(あれは……誰だ?)
祐作は物陰からよく顔を見る。
遠めで見にくいがそれは並樹瞬の顔に見えた。
「瞬!?瞬じゃないか!!!」
祐作が近づき……声をかけた。
そして男はこちらを見て……
笑った……氷のように冷たく闇夜のように黒い笑みで……
「会いたかったよ、ネジシルバー……メガブルーじゃないのは残念だけれど構わないさ…俺を殺してくれたお礼をさせてもらうよ……」
その邪悪な笑みを見て祐作は気づいた。
「お前……瞬じゃないな!誰だお前は!?」

487 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 21:55:21 ID:4XhmEFxZO
男は自分を知らないのか?という顔をしたが何かを理解したかのようで言った。
「ネジビザール、Dr.ヒネラーに造られたネジレンジャーの一人さ。お前は俺たちを知らないネジシルバーみたいだね。」
(ネジレンジャー?ネジビザール?聞いたことない名前だがDr.ヒネラーの名前が出たということはこいつはネジレジアだな。)
「お前の目的は何だ!?このゲームに乗っているのか!?」
ネジビザールは笑いながら答えた。
「俺はこんなゲームどうでもいい、俺の目的はメガブルーを殺すことさ。でもね、俺はメガブルーのほかにも1人殺したい奴が参加していることに気づいたんだ。俺を罠に嵌めて殺してくれた人間……そうだよ…ネジシルバー!!お前だあああ!!」
その言葉を言い終わるとともにネジビザールは人間の姿から異形のものに姿を変え祐作に襲い掛かる。
 
「インストール!!」
まばゆい光が輝き早川祐作はメガシルバーへと姿を変えた。
ネジビザールはその鋭利な爪でメガシルバーの体を貫こうとする。
メガシルバー上体を伏せてかわすと同時にネジビザールの腕をつかみ投げ飛ばした。
しかし投げられたネジビザールは体を回転させ手から青い光弾を放つ。

488 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 21:59:22 ID:4XhmEFxZO
突然の反撃をメガシルバーは避けられなかった。
光弾がメガシルバーを直撃する。
「クッ!!」
追撃の手を休めずメガシルバーを蹴り飛ばす。
蹴りはメガシルバーのみぞおちに直撃しマスクの下から苦痛の声が漏れる。
「なんだよそんなもんなの?ネジシルバー?」
ネジビザールが馬鹿にしたような顔で言った。
「それならリクエストにお答えして本気でいくぜ!!」
そしてシルバーブレイザーを取り出しネジビザールの方に光線を発射する。
ネジビザールの肩に直撃する。
負けじとネジビザールも光弾を撃つがそれはメガシルバーにあっさりと避けられソードモードになったシルバーブレイザーで切りかかる。
「そうだよ!!そうこなくっちゃねぇ〜!!」
と口では言うもののネジビザールはメガシルバーの実力を見くびっていたようだ。
強化スーツのなくなった彼の攻撃力やスピードはネジブルーであったときに比べ落ちている。
その上メガシルバーのスーツは2分30秒という時間制限がある代わりに他の色のメガスーツの倍の戦闘力を発揮する。
おそらく単純な戦闘力ならこの殺し合いでも上位に位置するだろう。

489 :名無しより愛をこめて:2009/01/26(月) 21:59:45 ID:Zj6FteGXO
支援

490 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:03:01 ID:4XhmEFxZO
ネジスーツを着ればその差はあっという間に埋まるだろうがスーツがないままのぶつかり合いでは分が悪い。
だがネジビザールは強化スーツを脱ぐことで使える氷や雪を自在に操る力がある。
「じゃあ俺も本気でいかせてもらうよ!!」
ネジビザールは深呼吸すると口から雪を吐き出した。
「何だこの雪は!?」
メガシルバーが驚き言う。
「ハァァァァァアアアア!!!!」
ネジビザールがメガシルバーに突進してくる。
避けようと思ったが避けられなかった。
雪で視界が悪くなっているのだ。
メガシルバーはまともに喰らい3mほど吹き飛ぶ。
(タイムリミットは残りわずかだ……)
メガシルバーでいられる時間が残り1分もなくなっていた。

491 :名無しより愛をこめて:2009/01/26(月) 22:06:54 ID:Zz3ISK5F0
支援

492 :名無しより愛をこめて:2009/01/26(月) 22:08:12 ID:Zj6FteGXO



493 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:10:41 ID:4XhmEFxZO
(落ち着くんだ……視覚に頼らずに……相手の気配を……)
タッタッタ……
ネジビザールの走り出す音が聞こえる。
(まだだ……)
ダッダッダ……
どんどん音が近づいてくる。
ダッダッダ!!!
すぐ間近で声がした。
「死ねぇネジシルバー!!!!!!!」
「そこだ!!」
シルバーブレイザーで音のした方向を撃った。
「グァアアア!!!!」
見事に命中しネジビザールが悶える。

494 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:13:06 ID:4XhmEFxZO
「これで終わりだ!!ブレイザーインパクト!!」
ネジビザールに止めを刺そうとした瞬間。
何かがメガシルバーを貫き体に激痛が走る、そしてそのままメガシルバーは気を失った。
彼を襲った襲撃者が姿を現した。
鋭い牙や爪、大きく裂けた口、真っ黒な目、祐作の血の付いた触手、野獣のような姿をした男だった。
次元獣と化した並樹瞬であった。
しかし主催者であるロンと変身の瞬間を見た美希以外の参加者はもちろん、祐作やデジタル研究会のメンバーでさえも彼を並樹瞬だと見抜けるものはいないだろう。

ただ一人、ネジビザールを除いては。

「メガブルゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!!!!ヒャハハハハハハハハハハハ!!!!やっとだ!!!ようやく逢えたね!!!!ヒャハハハハ!!あの男の言うとおりいたんだね、その格好はなんだい!?また俺をだますつもりなのかい!?」
大声とともにネジビザールが立ち上がる。

495 :名無しより愛をこめて:2009/01/26(月) 22:14:01 ID:Zz3ISK5F0



496 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:19:19 ID:4XhmEFxZO
ちなみにあの男、というのはガイのことだ当然ガイは海岸に瞬がいたことは知らない。
ただのあてずっぽうが偶然あたっていただけのことだ。
ネジビザールは何故彼が並樹瞬であると認識したのかは自分でもわからなかった。
しかしネジビザールにはその予感が正しいという確信を持っていた。
並樹瞬はネジビザールの姿を確認すると襲い掛かった。
「来たね来たね来たねぇえええ!!!メガブルーには変身しなくていいのかい!!!!?それともその姿のほうが強いのかなぁ!?でも俺を楽しませてくれるならそんなの関係ないさ!!!!!」
ネジビザールは興奮を隠せない。
ようやく逢えたのだ。彼の1番の目的、メガレンジャーの青き戦士メガブルーこと並樹瞬に。
彼は瞬を殺すためだけに生まれてきたのだ。
「メガブルー!!今度は邪魔も入らない!!覚悟しろよぉぉぉ!!!!」
ネジビザールは瞬のタックルをかわすと瞬に光弾を放つ。
一瞬怯むがすぐに体勢を立て直しネジビザールへと向かっていった。
右の爪でネジビザールの肩を切りつけようとしたが、ネジビザールは半歩前に出て避ける。
今度は左の爪で切りかかるがまた同じようにして避けられる。

497 :名無しより愛をこめて:2009/01/26(月) 22:20:47 ID:Zz3ISK5F0



498 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:22:30 ID:4XhmEFxZO
体制の崩れた瞬をネジビザールは巴投げの要領で投げ飛ばす。
瞬は受身を取ることもできずまともに地面に叩き付けられた。
さらにネジビザールは瞬を蹴り飛ばした。
「グゥゥゥウ……」
苦しげにうめいたかと思うと瞬は背中の触手をネジビザールに絡み付けた。
触手はネジビザールの足、腰、首に巻きつきネジビザールを締め上げる。
が、ネジビザールはまったく動揺せずに自身の爪で触手を切り落とした。
「…………。」
ネジビザールは無言で瞬の足と腕を凍らせた。
これで瞬は身動きをとることができなくなった。
「ガアアアアア!!!!」
瞬が吼えるがそれは無駄な行動だった。瞬の手足の氷は硬く力づくで割るのは不可能だ。
今の瞬は十字架に磔り付けられたキリストのような格好であった。
「ガァァアアア!!!」
瞬はあきらめずに氷を割ろうとする、その様子をネジビザールは冷たい目で見ていた。
「………。メガブルー、つまらないよ……今からでも遅くない、変身しなよ。」

パチン

ネジビザールが指を鳴らすと瞬を拘束していた氷が割れた。

499 :名無しより愛をこめて:2009/01/26(月) 22:23:06 ID:Zz3ISK5F0



500 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:29:41 ID:4XhmEFxZO
「さあ、早く変身しなよメガブルー……」
だが瞬はその言葉を理解するだけの知能もなくネジビザールに猛然と襲い掛かった。
「…………やっぱりお前は…………メガブルーじゃない……」
静かだが激しい怒りを覚えネジビザールは瞬の攻撃をかわし、殴り飛ばした。
瞬は何度かうめき声を上げると動かなくなった。
ネジビザールは信じられなかった。確かにそこにいる『獣』は並樹瞬、彼の探していたメガブルーだ。
それに今の瞬はパワーもスピードも自分と互角であり戦闘力という点では申し分ない。
でも何かが違う。
彼は自分の求めていたメガブルーではない。
ネジビザールは瞬の方を向いて言った。
「…………メガブルー……お前は俺の知ってるメガブルーじゃない……俺の殺したメガブルーは俺を楽しませてくれる奴だった。俺を倒そうと単純な作戦を練り、俺がそれを破ると今度はまた違う作戦で俺を罠に嵌めて倒した……」
一呼吸おきネジビザールは続けた。
「この殺し合いにいたメガブルーも俺を殺したメガブルーとは差異があったけれどやはり俺を楽しませる何かがあった……でもお前からは何も感じられない。」
ネジビザールは瞬の首に手をかけ持ち上げた。
瞬は無抵抗で宙吊りになる

501 :名無しより愛をこめて:2009/01/26(月) 22:30:20 ID:Zz3ISK5F0


502 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:32:32 ID:4XhmEFxZO
「……つまらない……こんな奴のために俺は生き返ったのか……?」
ネジビザールは首を握る手に力をこめた。
……瞬が凍っていく、首筋から放射線状に氷が広がっていき全身にいきわたると瞬は氷のオブジェのようになっていた。
しかし瞬は死んではいない、ネジビザールによって仮死状態になっているだけだ。
「………認めない!!!!俺はこんなのは認めない!!!!こんな偽者との決着を認めるわけにはいかない!!!!!」

俺は……本当のお前と決着を付ける!!!!

ネジビザールは氷漬けの「獣」を並樹瞬として復活させ、決着をつけることを誓った。

503 :名無しより愛をこめて:2009/01/26(月) 22:34:09 ID:Zz3ISK5F0



504 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:36:37 ID:4XhmEFxZO
【名前】ネジブルー@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第41話(ネジビザールとして敗れた後)
[現在地]:H-6海岸 一日目午前
[状態]:全身に打撲、傷あり。能力発揮中。ネジスーツは壊れているためネジレンジャーにはなれません。
[装備]:ネジトマホーク、壊れたネジスーツ@電磁戦隊メガレンジャー、クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:ソニックメガホン@忍風戦隊ハリケンジャー、闇のヤイバの忍者刀@轟轟戦隊ボウケンジャー、魔人マグダスの杖@星獣戦隊ギンガマン、3枚のメモ(杖の説明書、アイテムの隠し場所×2)支給品一式×3、詳細付名簿、スフィンクスの首輪、拡声器。
[思考]
基本行動方針:メガブルーを殺す
第一行動方針:次元獣化した並樹瞬を元に戻し決着をつける。
[備考]
ズバーンとマシンハスキーはF-5都市に放置してあります。

【名前】並樹瞬@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第2話後
[現在地]:H-6海岸 一日目午前
[状態]:全身に打撲、傷あり。能力発揮中。次元獣化。氷漬けにされ仮死状態。
[装備]:デジタイザー
[道具]:なし。
[思考]
基本行動方針:暴れる。
[備考]
瞬の支給品一式はH-7エリアに放置されています。

505 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:38:49 ID:4XhmEFxZO
【名前】早川祐作@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第34話後
[現在地]:H-6海岸 一日目午前
[状態]:気絶。右肩、腹部、左足を負傷。2時間の制限
[装備]:ケイタイザー
[道具]:フェンダーソード@激走戦隊カーレンジャー、火竜の鱗@轟轟戦隊ボウケンジャー、木製の台車(祐作のお手製)、他一品
[思考]
第一行動方針:瞬を探す
[備考]
2時間の制限に気づきました。ヒカルと情報交換を行いました。メガシルバーの変身制限時間は2分30秒のままです。
ヒカルがドモンを殺し合いを止めるように説得していると思っています。勇、深雪、ウメコの死に様をドモンから聞いています。

506 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:40:58 ID:4XhmEFxZO
【名前】クエスター・ガイ@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task23.以降
[現在地]:H-6海岸 一日目午前
[状態]:全身に裂傷、かなりの重症のため時間制限に関わらず戦闘不能。要回復アイテム。傷あり。能力発揮中。
[装備]:グレイブラスター@轟轟戦隊ボウケンジャー
[道具]:クエイクハンマー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式×3(水なし)天空の花@魔法戦隊マジレンジャー
マージフォン@魔法戦隊マジレンジャー、操獸刀@獸拳戦隊ゲキレンジャー、何かの鍵。
[思考]
基本行動方針:ロンやボウケンジャーを倒すついでにゲームに乗る。
第一行動方針:使えそうな道具を作る。
第二行動方針:アイテムの確保。天空の花を持って、J-10『叫びの塔』へ
第三行動方針:気に入らない奴を殺す。一人殺しました。

507 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/26(月) 22:45:52 ID:4XhmEFxZO
以上です。
投下をお待たせして大変申し訳ありません。
それと矛盾がございましたらご指摘ください。
なおタイトルは「青き宴」です。

508 :名無しより愛をこめて:2009/01/26(月) 23:32:14 ID:Zz3ISK5F0
お二方とも投下GJです!!

>>474
ブドーの焼け付くような憎悪や失望、苛立ちが伝わってきました。
ただ力を求める純然たる暗い闇、闇の三つ首龍に選ばれるのも納得でした。
相変わらず、心理描写が秀逸でブドーの感情がひしひしと伝わってきます。
ブドーがこれからどうなるかものすごく楽しみです!GJでした!
闇の三つ首に関してですが、自分は問題ないと思います。
ある意味で情を捨てきれなかった一面のある真墨やヤイバと比べても、
勝るとも劣らない闇をブドーは抱えていると思いました。

>>483
裕作さん思いがけずピーンチ!!と思いましたが、思いがけないところから救いの手が。
(いや、本人にその気はまったくないでしょうが)
とっさの機転でピンチを切り抜けるところがガイらしいです。
(その直前の行動は若干おバカさんですがw)
氷づけになった次元獣 瞬、気絶した裕作さん、思いがけない行動方針を持つ事になったネジブルー。
彼らの今後が楽しみです。GJでした。


509 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/27(火) 06:18:06 ID:QPn81pMNO
すみません、ガイの状態表にミスがありました。

能力発揮中のところを消してください。

510 :508:2009/01/27(火) 13:32:59 ID:mckBn8K30
>>509
訂正乙です。
読み返していて少し気になったところをば。

・早川祐作→早川裕作ではないでしょうか?
・クエスターガイの現在地が、H-6海岸になっていますが、
 特に海岸に移動するような描写はなかったように思うのですが。

読み違いであれば、申し訳ありません。ご確認お願いします。


511 :名無しより愛をこめて:2009/01/27(火) 15:23:28 ID:AxtEoE7b0
投下乙です。

ネジれた愛情ってところでしょうか。
ネジブルー改めネジビザールと瞬が面白くなってきましたね。
ガイと裕作は、まぁなんだ、その、がんばれ。
GJでした。


512 : ◆zaBiSVxjpk :2009/01/27(火) 22:43:27 ID:QPn81pMNO
すみません、>>510氏の言うとおり裕作の字とガイの状態表が間違っていました。

G-6 都市に変更願います。

513 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/27(火) 23:48:04 ID:eD5Yf1lI0
>>512
修正乙です。

お二方ともGJです!面白かった!

さて、大変遅くなってご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません。
現在、推敲中です。00時を回る頃には投下できるかと。


514 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/27(火) 23:56:10 ID:eD5Yf1lI0
ただいまより投下します。

515 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/27(火) 23:57:30 ID:eD5Yf1lI0
「蒼太くん!蒼太くん!しっかりしぃ!蒼太くんっ!!」
さくらに刺され、意識を失った蒼太を抱え、おぼろは懸命に叫んだ。
止血の為に傷口に押し当てた青い羽織が紫に染まっていく。
意識を呼び起こそうと、色を失った頬を張り、手をきつく握っても、力尽きるように伏せた目はぴくりとも動かない。
紙のように白くなった指から体温が零れ落ちていくのが、握りしめた手から伝わってくる。
それは否応なくおぼろに纏の姿を思い起こさせた。
無我夢中で、忍風館で叩き込まれた救命術を施していく。
「っっっ!!蒼太くん!!」
喉の奥で声が絡む。眼尻から涙が落ちた。
泣いている場合ではない事はおぼろにも分かっていた。ただ混乱した頭が視界を霞ませていく。

――なんでなん?!なんでこないな事に……!!

さくらに刺された瞬間の蒼太の呆然とした顔。
自分が憎しみの言葉を吐いた時に浮かべた、さくらの許しを乞うような縋るような眼差し。
怒りに震える口唇で叫んだ言葉。
思いが走馬燈のように駆けめぐり、おぼろの頭の中を埋め尽くしていく。

さくらを助けたから?
さくらの告白を聞いても、非情になりきる事できなかったから?

「…違う……あたしや」


516 :名無しより愛をこめて:2009/01/27(火) 23:58:04 ID:WhFi1zCQO



517 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/27(火) 23:58:57 ID:eD5Yf1lI0

あたしが、もっと彼女の様子に気ぃ付けてれば。
手当てをした時、ナイフの存在に気ぃ付いてれば。
蒼太くんの仲間や思て、彼女の前で隙なんて見せんどけば。
「あたしが……あたしが阿呆やったんや。ごめんな、蒼太くん。ごめんな」
涙でにごる声を詰まらせながら、謝罪の言葉を口にした。
後悔と罪悪感と絶望感が心を黒く塗り潰していく。

「――助けて差し上げましょうか」

ふいに耳にこびり付いて離れないあの忌々しい声が振ってくる。
驚きおぼろが伏せていた視線をあげると、そこには笑みを浮かべたロンが立っていた。
「っ!!ロン!」
とっさに蒼太を庇うように立ち塞がったおぼろにロンはくすりと笑う。
「そんなに警戒されなくても何もしませんよ。今言ったばかりじゃないですか」
「助け…る?蒼太くんを?」
「ええ。先程は貴女には手酷く振られてしまいましたが、どうです?今度は悪い話ではないと思いませんか」
すっと目を細めるとおぼろの耳元に囁きを落とした。
「――だってこれは貴女のせいなんですから」
そのまま、おぼろを覗き込むと満足げに微笑んだ。
おぼろは顔を伏せ、肩を小刻みに震わせていた。
伏せた眼前にロンは手を差し出す。
その手の中には白い小さな石が納められていた。
「私のお願いを聞いてくれるなら、これを差し上げましょう。さあ、どうします?」
勢いよくおぼろが顔を上げる。その表情に覚悟の色が浮かぶ。
わななく唇をグッと噛むとゆっくりと手を伸ばしロンの掌の中の小石を――――――――――

518 :名無しより愛をこめて:2009/01/27(火) 23:59:14 ID:WhFi1zCQO



519 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:00:06 ID:eD5Yf1lI0

――――――――――弾き飛ばした。
「……お断りや。どうせあんたの考えてる事なんてろくな事やない。そんなん聞けるか」
「そうですか。ではこれはお渡しできませんね」
傍らに転がった石を拾いあげると哀れむような視線を蒼太に向けた。
「それにしても彼も不憫ですね。仲間に裏切られ、今度は貴女に裏切られて、助かる唯一の方法をふいにするとは」
おぼろは何かを言い返すように唇をふるわせ、血が滲む程に噛み締めるとロンを睨み返した。
「では、ご健闘をお祈りしますよ。正義の味方のおぼろさん」
愉快そうに言い残すと、ロンの姿は金色の霞となり掻き消える。まるで最初から存在しなかったかのように。おぼろの心に拭い去れない澱だけを残して。

しばらくの間、拳を握りしめ立ち尽くしていたおぼろは力尽きるようにくずおれ、膝を付く。
爪が食い込み、その掌には血が滲んでいたが、おぼろは痛みを感じなかった。
血の滲む唇より掌より、心の方が余程痛む。音を立てそうな程に軋む。
「………蒼太くん……堪忍、堪忍な…………」
あんな奴と取引などできない。
そんな事をすれば、ハリケンジャーに、ゴウライジャーに、纏に、死んでいった者達に、なにより蒼太自身に顔向けできない。
「ごめんな…堪忍してな………ごめんな」
壊れたからくりのように、謝罪の言葉ばかりを繰り返す。許されないと分かっていながら、謝らずにはいられなかった。

―――彼女も同じ気持ちだったのだろうか



520 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 00:00:31 ID:WhFi1zCQO



521 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:01:17 ID:eD5Yf1lI0

仲間への裏切りという決して許されない、許されるべきではない罪を犯し逃げ去る時。
おぼろを襲い、意のままに操ろうとした時。
追いつめられた声で。救いを求める瞳で。
しきりに謝罪を繰り返していた彼女も。
彼女の何がそうさせたのかはおぼろには分からない。
僅かに残った良心か。あるいは狂気の中の微かな理性か。
決して理解はできない。
何故、今まで共に戦い、共に過ごした仲間を裏切る事ができるのだ。
生き残りたかったから?誰かを生き残らせたかったから?死んでしまった仲間を甦らせたかったから?
理解はできない。理解してしまうのが恐ろしい。
ただ、聞いてしまったから。見てしまったから。蒼太が敬愛していると語った彼女の名残を。
心の全てを憎悪で塗り潰してしまう事が出来なかった。
「いっそ、憎みきれた方が楽なんやけどなあ……」
蒼太も同じだったのかも知れない。いやむしろ、彼の方がおぼろより余程。
だからあの時、憎悪に飲まれた自分から彼女を逃がしたのだろうか。
そして今、おぼろも同じ罪を背負った。裏切りという名の罪を。
病院がどこにあるかも分からない、充分な手当ても出来ないこの状況下で蒼太が助かる術。可能性をみすみす捨てさせたのだから。
蒼太がそれを望んだかどうかはおぼろには分からない。
だが、このままにしておけばいずれ彼を待っているのは、死。おぼろは自らの手でその淵に叩き込んだのだから。
「ごめんな……ごめ……っ!!」
「……うっ」
「っ!蒼太くん?!」
力なく伏せられていた瞼が微かに動く。おぼろは急いで蒼太の手を取る。
弱々しく、だが確かな力で指が握り返された。


522 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 00:01:34 ID:WhFi1zCQO



523 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:02:29 ID:eD5Yf1lI0
 ◇

「…良かったぁ。ほんまに良かった……」
おぼろの目に尽きたはずの涙が溢れ出す。緩んだ涙腺はなかなか締まってくれそうにない。
「すみません。ご心配おかけしちゃって」
蒼太は二つ重ねたディバックにもたれ、手渡された水を大儀そうに少しずつ飲み下している。
涙を拭いながらおぼろはせわしなく首を振った。
「なんも、そんなこと。でもほんまに助かって良かった」
「おぼろさんの手当てが適切だったおかげですね。それに……」
「…急所は外してたんやな。彼女」
「…ええ」
首を掻き切る。急所である心臓か太腿を刺す。
自衛隊の特殊部隊に所属し訓練を受けていた彼女が、本当に蒼太の命を絶つつもりでいたならばそこを狙ったはずだ。
だが、実際に彼女が刺したのは下腹、しかも致命的な位置からは僅かに逸れた箇所だった。
もっともあのまま血が止まらずにいたならば、遠からず命を落としていただろうが。
手負いの獣に手を出せば、死にものぐるいで抗う。
蒼太にとって、そして彼女にとって不幸は、彼女の手に一振りのナイフという爪があった事だったのかも知れない。
おぼろと蒼太、二人の間をしばしの沈黙が満ちる。
「おぼろさん、一つお願いしたい事があるんですけどいいですか?」
「ん?どうしたん?なんや欲しいもんでもあるん?」
気持ちを切り替えるように、おぼろは努めて明るく問い返した。
「助けを呼んできて欲しいんです。たぶんしばらく僕、動けそうにないので……」
「よっしゃ、まかしとき!あ、でもその間、蒼太くん一人で大丈夫やろうか?」
「ああ、それなら……」
「バウッ!」
ボクがいるから心配するな、とばかりにマーフィーがおぼろにじゃれつく。
「おっと、そうやったな。マーフィーちゃんがおったなあ。蒼太くんを頼んだでぇ、マーフィーちゃん」
「バウッ!!」
心得た。と勢いよく一つ尻尾を振るとマーフィーは蒼太の傍に寄り添う。
蒼太に頭を撫でられて、どことなく心地よさ気だ。

524 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 00:02:50 ID:aMdgtI/gO



525 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:04:11 ID:jWTcekux0
「よっしゃ、じゃあ大急ぎでいってくるから待っててなぁ、二人とも」
そろそろ、瞬が美希達に合流した頃合いだろうか。
いざとなれば、集合場所も分かっているので追いつけないという事はないだろうが、急ぐにこした事はない。
こういう時に自分がバリサンダーを乗りこなせたならばと歯噛みするが、考えてもしょうがない事だ。
膝をバチリと打つと、ディバックを手に立ち上がる。
「ほな、いってくるな」
「すみません。お願いしますおぼろさん……気をつけて下さいね」
「気にせんどいてぇな。それに心配せんでも大丈夫やで。途中で襲ってくる奴ぐらい、いかづち丸で追っ払うさかい」
心配顔の蒼太にいかづち丸を軽く構えてみせる。勿論、怖くない訳ではなかったが、怪我人に心配はかけられない。
精一杯の強がりで微笑んでみせた。
「……合流してからもです」
ぎこちない微笑みは掻き消える。
「…それは……ティターンやドロップのお兄さんの事を言ってるん?」
「いえ、美希さんも含めて、です。むしろ彼女はもっとも注意すべきかもしれない」
「そんな…そないなこと……」
おぼろの脳裏を美希の横顔がよぎる。
あの悲しみは、ドロップへの慈愛は。決して偽りには見えなかったというのに。
だが、見つめた蒼太の顔からは穏やかさが消えていた。
「勿論、僕の考え過ぎかもしれないんですけどね。まあ念の為という事で」
おぼろを見つめ返し蒼太が微笑む。だが、その瞳の奥が笑っていない事におぼろは気が付いていた。
「……分かった。肝に銘じとくわ。蒼太くんも気ぃつけてな」
「ええ。おぼろさんも」
信頼は自分達がロンに立ち向かう上での最大の武器だ。だがそれは同時に翻って自分達を傷付ける凶器にもなりうる。
その事をこの僅かな時間で、蒼太もおぼろも痛感していた。


526 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 00:04:25 ID:aMdgtI/gO




527 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:04:58 ID:jWTcekux0
 ◇

走り去るおぼろの背中が少しずつ小さくなっていく。
「さてと。そろそろいいかな。マーフィー、君にも頼みがあるんだけどいいかな?」
「バウッ?」
「おぼろさんに付いていって欲しいんだ。いかづち丸だけじゃ、やっぱり心許ないしね」
じゃあ、君はどうするの?とでも言うように気遣わしげに尻尾を小さく振る。
「僕なら大丈夫。ここでじっとしてるだけだしね。でもおぼろさんが気が付いたらきっと心配するだろうから、気付かれないようこっそりね」
いたずらっぽく人差し指を立てると、軽く片目を瞑る。
マーフィーは蒼太の顔をじっと見つめると、片足を胸の前に掲げ、一目散に駆け出した。
SGSのデータバンクで過去の戦隊のデーターを浚った事がある蒼太にはその仕草の意味が分かった。
もっとも、天下の宇宙警察の事なら、今時、そこらの道を歩いている子供でも知っているだろうが。
「ロジャー……か」
これで、自分はおぼろとマーフィー、二人に嘘を付いた事になるのだろうか。
ここに来てから嘘を吐いてばかりだ。まるで、スパイだったあの頃に戻ってしまったように。
だが、自分が今からやろうとしている事に彼女達を巻き込む訳にはいかなかった。
下腹の傷を軽くさする。そこには既に塞がりつつある傷があった。


528 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:08:42 ID:jWTcekux0
 ◇

『良い事教えておいてやるよ。お前、そのうち女に刺されるぞ』
『僕は、鳥羽さんと違って女の子を泣かせたりしませんよ』
『さーて、それはどうかな?まあ俺達の稼業なんてどうせ薄暗い事ばっかりだ。いい死に方はしないだろうさ。
 裏路地で蜂の巣になるか、廃工場で野垂れ死ぬか……まあ美人だと思って油断してグッサリ、なんてならないように用心しろよ』
『美人に殺されるなら、それも悪くないなぁ』
『お前らしいよ。……でもまあ、確かに悪くはないな…』
『でしょ?』

「……結局、鳥羽さんの言った通りになっちゃったなあ………」
溜息を吐きながら、気怠い体を起こす。
確かにナイフが刺さったはずの下腹には傷跡もなく、口元を拭っても血の跡さえない。
目を開けても見えるのは現実感の欠けた果てしない無音の暗闇。死ぬ間際の夢にしては少しばかり虚しすぎる光景。
「……まあ、しょうがないか」
そう、仕方がない。あの日、自分が言ったように女性を泣かせてしまったのだから。
軽く目を閉じるだけで、瞼の裏に焼き付いて離れない光景が甦る。
自分を刺した時、あの場から逃げ去る時、見開いた目で、縋るような目で彼女は泣いていた。
今まで、自分達の前では涙など見せたことさえ無かったのに。
これは報いだ。自らは信頼を重んじながら、さくらを罠に嵌めるような真似をしたのだから。
ずっと他人を裏切って生きてきた。スリルを求めて、誰かを傷付けて。その陰で流される涙に気付く事さえなく。いや、気付かないふりをして。
自分が信じる側にまわって、初めて裏切られる事が恐ろしくなった。
確証を得たかったのだと思う。彼女は自分の信頼を裏切らない。尊敬する優秀なサブリーダーのままの彼女だと。
違和感は感じていた。どこか思い詰めている事も。分かっていながら、むざむざ追いつめるような事をしたのだ。
ただ、自分が裏切られたくないその一心で。

529 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 00:09:12 ID:aMdgtI/gO



530 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:10:01 ID:jWTcekux0
その結果がこれだ。
確かに、彼女は殺し合いにのったと言った。敵に命乞いをして生き残ったとも。
だが、少なくともあの瞬間までは、彼女はまだ誰も手に掛けてはいなかったのだ。
その最後の一線を自分が越えさせてしまった。引き返せない所まで追いつめてしまった
彼女は語った。ただ生き残りたかったのだと。
だが、蒼太にはどうしても彼女がそれだけの理由で殺し合いにのるとは思えなかった。
彼女の行動には何か理由があるはずだ。例えば―――
(チーフに何かあったとか?)
もし、チーフからのメッセージが偽りで、何者かにチーフの命を盾に取られていたのならば、彼女があれ程までに懸命になった理由の説明がつく。
彼女にとって明石チーフは憧憬の存在であり、唯一無二の存在なのだから。
真相は分からない。あるいは、自分の買いかぶりで、彼女は本当にただ生き残りたかっただけなのかも知れない。
どちらにしろ、今の蒼太にはどうすることもできない。死は今しも眼前にせまっているのだから。

『――助けて差し上げましょうか』

果てのない暗闇の中から滲み出るように、金色の霞が寄り集まり人の形を成していく。
蒼太はその姿を睨みつけると、指でボウケンチップを弾いた。
「あなたらしくない事をされますね。何も言わずに仕掛けてこられるとは」
霞の中を突き抜けるかに見えたチップは、澱むように動きを止め、人の姿をとったロンの手の中に転がる。
「死ぬ間際まで、君と腹の探り合いをするつもりはないよ」
当て付けのように投げたチップで牽制できるとは思っていなかった。
左手に構えたスコープショットをロンの方に向ける。
そのまま目を逸らさずに、アクセルラーに手を伸ばした。
対してロンは構える事もなく、ただゆったりと手を広げた。
「無駄ですよ。それに例え変身出来たところで、この場であなたは私に傷を付けられるとお思いですか?」
「さあね。でも君が目の前にいるんだ。このまま何もせずに死ぬよりましかもしれない」
「死なずに済む、としてもですか」
蒼太の目付きがより険しく鋭いものに変わる。
「……なんのつもりかな?」
「いえ、一応ご本人にも確認しておこうと思いまして」
大仰に広げていた手を蒼太の前に差し出す。
その手の中に納められた小さな石。見た目はちっぽけな、なんの変哲も無い石に見える。

531 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 00:10:16 ID:aMdgtI/gO




532 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:11:04 ID:jWTcekux0
だが――
「ハザードレベル22……」
とっさに翳したアクセルラーが、蒼太の手の中で見た目にそぐわない数値を弾き出す。
「ええ、あなた方の言う処のプレシャスという奴ですね。昔、これを持っていた者は、確か不死の薬、と呼んでいましたか。
 もっとも実際には、一時的に生命力を増大させる程度の代物ですが。それでも今のあなたには充分なものだと思いませんか?」
わざとらしく眉根を寄せると溜息を吐いてみせた。
「実を言いますと、まずおぼろさんにこれを差し上げようとしたのですが、断られてしまいましてね。
 彼女はあなたの命よりも自分の誇りを選ばれたようですよ……まったく、正義の味方とは素晴らしいものですね」
口の端に抑えきれない、いや、抑えるつもりがないのだろう、歪んだ笑みを浮かべると蒼太の顔を覗き込んだ。
だが、その笑みはたちまちのうちに掻き消える事となる。
そこには、怒りも失望も悲しみも、ロンが期待した表情は何一つ、浮かんではいなかった。
「……何がおかしいんですか?」
その顔に浮かぶのは、微かな笑み。
渋面を作ったロンに問いかけられた蒼太はクスリと笑うと、腕を広げる。
「さあね。さて、いい加減、何が目的か教えて貰おうかな。僕を君の手駒にしたい、とかそんなところかな」
「なぜ、そう思われるのでしょうね?私が親切で差し上げようと思っているのかもしれませんよ」
「なんの条件もなくそんな物、渡す奴はいないだろう?特に君はこの状況を楽しんでいる。
 そんな君がわざわざ僕に情けをかけに来るとは思えないな」
「察しの良い方は嫌いではありませんよ」
ロンの顔に再びニヤリとした歪んだ笑みが浮かぶ。
「ああ、でも少しばかり惜しいですね。私がお願いしたいのは――――」


533 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 00:11:22 ID:aMdgtI/gO



534 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:12:06 ID:jWTcekux0
 
 ◇

(疑心暗鬼を煽れ、か。まあ、確かに僕は適任だろうね)
蒼太の傍らを人影のない荒涼としたビル群の風景が流れていく。
バリサンダーから伝わる振動が、塞がりきっていない傷に障るがあまりゆっくりもしていられない。
さくらやおぼろがバリサンダーに乗らなかったのは、蒼太にとって幸いだった。
今の状態では、徒歩であまり距離は稼げない。

『逆らえば僕を殺す、ってとこかな?』
『さあ?どうでしょう。ご想像にお任せしますよ』
得たりとばかりに愉快そうに笑うロンの顔が脳裏にちらつく。
疑心暗鬼を煽る、蒼太がその条件を飲むとロンは満足げに頷いた。
『やはり、私が見込んだだけの事はありますね。では、良い殺し合いを』

確かに蒼太はおぼろに美希への不信を吹き込んだ。彼女の疑心を煽る為に。
例え、元々彼が美希への疑惑を持っていたとしてもだ。
だからこそ、これ以上彼女と共にはいられなかった。
だから、偽りの願いで彼女を遠ざけた。
もし、彼女が工場に戻ったとしても、残されている物はない。
手掛かりになるような物は何も残して来なかった。彼女が自分を追ってこれないように。
もうこれ以上、彼女を巻き込みたくなかったから。

ロンの打倒を胸に誓いながら、生き延びる為にロンの出した条件に従う。
矛盾した二つを抱え、蒼太はバリサンダーを奔らせる。
ただ一つの人影、西堀さくらの姿を追い求めて。
彼女が誰も手にかけないうちに。もう彼女が泣かずに済むように。
どんな手を使っても彼女を止める。例えもう一度傷付けあう事になったとしても。

その為に死の淵から這い上がって来たのだから――――



535 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 00:12:25 ID:aMdgtI/gO


536 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:12:57 ID:jWTcekux0
【最上蒼太@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.3、後
[現在地]:F-5都市 1日目 昼
[状態]:下腹に刺し傷(不死の薬の効果により回復中)、30分ボウケンブルーに変身できません。
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー、ヒュプノピアス@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:バリサンダー@忍風戦隊ハリケンジャー、不死の薬@轟轟戦隊ボウケンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:さくらを止める。
第二行動方針:目的を果たす為、ロンの出した条件を飲む(あまり積極的ではない)
※首輪の制限に気が付きました。
※時間軸のずれを知っています。

【日向おぼろ@忍風戦隊ハリケンジャー】
[時間軸]:巻之三十、後
[現在地]:F-5都市 1日目 昼
[状態]:全身に軽い火傷、打撲。応急処置済み
[装備]:イカヅチ丸@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:動けない蒼太の為に助けを呼んでくる。
第二行動方針:首輪を何とかする。ジルフィーザと合流する。
第三行動方針:蒼太と共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
※首輪の制限に気が付きました。
※時間軸のずれを知っています。


537 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 00:13:10 ID:aMdgtI/gO



538 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:15:38 ID:jWTcekux0

【名前】マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:不明
[現在地]:F-5都市 1日目 昼
[状態]:修復完了。本調子ではないが、各種機能に支障なし。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:???
第一行動方針:おぼろを追いかける(こっそりと)


以上です。
指摘、つっこみ、誤字脱字、感想などありましたらよろしくお願いします。

539 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:20:57 ID:aMdgtI/gO
っと、タイトルを忘れておりました。

『Separation』

540 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 00:46:34 ID:jWTcekux0
途中送信とかorz

『Separation of the heart』です。

よろしくお願いします。

541 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/28(水) 01:14:18 ID:aMdgtI/gO
修正箇所を見つけましたので、自己申告をば。

不死の薬→不死の薬の欠片

お手数ですがよろしくお願いします。

また、不死の薬の本来のハザードレベルは82ですが、
その欠片ですので、若干数値を落としてあります。
もし、問題があるようでしたら、修正いたしますので、その際はご意見をお願いいたします。

542 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 01:50:40 ID:7WCi9xV10
御三方ともGJ!

>ブドー
強さを渇望し、その結果、三ツ首龍を手に入れたブドー。
それに至る経緯が情感たっぷりに描写されていてブドーに感情移入してしまいました。
今後のブドーの動きがとても楽しみです。
三ツ首龍の扱いについては特に問題はないと思います。
指摘ですが、タイトルをいただければなと。

>蜥蜴の尻尾切り
メガブルーに対するネジビザールの態度の描写が秀逸。
変わり果てたメガブルーをそのまま倒すかと思いきや、氷漬けにするという行動をとったのがネジブルーの変質ぶりが顕わされているなと思いました。
しかし、裕作氏はどうなることやら。
指摘ですが、裕作のI4からH6の場所移動に掛った時間を考慮すると、流石に時刻が午前というのは厳しいかなと。

>Separation of the heart
蒼太の傷とロンの甘言に迷うおぼろさん。結果、撥ね退けましたが、今度は蒼太に魔の手が。
ロンのアグレシップさが暫定的ながら蒼太を協力者にすることに成功しましたが、はてさて、それが今後、どういう影響を与えていくのか。
ロンの甘言に揺れ動く蒼太とおぼろの心情の変化が素晴らしい作品でした。

543 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 13:59:08 ID:eMu0G1Kh0
投下乙です。
GJです。
おぼろさんと蒼太の心理描写が良かったです。
細かいところまで、とても丁寧に描写してあって感情がすごく伝わってきた。
読んでて胸が痛くなったのは内緒だ。
もう一度GJ!


544 :名無しより愛をこめて:2009/01/28(水) 22:38:19 ID:7FA294Ly0
あえて毒を呑む蒼太の決意が物悲しいですね…これから先どうなっていくのか……
纏の墓の前で誓った言葉から皆どんどん遠ざかっていくようです。

それと、指摘というほどのものでもないのですが、おぼろは前回抱いたさくらへの怒りを
一旦平静に戻ったことで解いたということでよろしいのでしょうか?
自身もヒュプノピアスの被害に遭っている上に蒼太まで傷つけられているのですが。
人を憎みきれないおぼろの気性そのものは丁寧に描写されているので納得は出来るのですが、
さくらへの感情はどうなのでしょう?

545 : ◆Z5wk4/jklI :2009/01/29(木) 18:24:36 ID:pEPYnnQQ0
>>542-544
ご感想ありがとうございます。

>>544
返答が遅くなりまして申し訳ありません。
そのようにご解釈いただければ幸いです。

まず、蒼太がなんとか命を取り留めたことで平静を取り戻したこと
刺し傷が急所を外していた事。
蒼太を傷つける前後のさくらの様子を思い出し、
彼女が追い詰められていたことを行動自体は理解できないまでも、感じたこと。
助けを求めにいくという目的が出来たこと。
などにより、さくらに対する憎悪に飲まれた状態から回復した。
というように描写したつもりでした。
もし、ご納得いただけない、本文から伝わってこないという事でしたら、修正させていただこうと思いますので、
お手数ですが、ご意見お願い致します。


546 :544:2009/01/30(金) 02:56:02 ID:BT/g46Bi0
いえいえ、ご指摘というか、個人的に少し気になっただけなので。
丁寧にご説明いただきありがとうございました。

547 :名無しより愛をこめて:2009/01/31(土) 11:52:34 ID:5C1vqNF20
熱血死、鬱死、無念死と死に様は色々あるけど、好きな死に様のキャラって誰かいる?

ちなみに自分は、纏兄の熱くも切ない死に様と、サーガインの死亡話が好きだ。
特にサーガインは読んでるとき、『次の状態表で海の中だったりしてw』なんて、暢気に読んでたから、
読み進めた時に本当にびっくりしたw

548 :名無しより愛をこめて:2009/01/31(土) 13:34:20 ID:X1CNVZ1ZO
深雪ママかな。
あの無念さと絶望にはマジでorz
魂えぐられた感じがした。


549 :名無しより愛をこめて:2009/02/01(日) 17:13:19 ID:ayTtNKIPO
>>548
確かにあの話は読んだ時のダメージがでかかったなー。
小津母娘の死に方は壮絶だった。

550 :名無しより愛をこめて:2009/02/03(火) 17:21:30 ID:8oO/XffXO
くっ!乗り遅れたか。
まさにどうしようもない状態のバンキュリアもorz

551 :名無しより愛をこめて:2009/02/07(土) 13:44:28 ID:09mj48PQ0


552 :名無しより愛をこめて:2009/02/08(日) 00:33:32 ID:lMC5QG90O



553 : ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:08:52 ID:kDBnFMa30
志乃原菜摘、高丘映士、投下します。

554 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:09:36 ID:kDBnFMa30
ゴロンと横たわる大きなオレンジ色の爆竜。
アンキロベイルスのキレイなオレンジ色の体表が、遠目からでもはっきりと良く見える。
背中のトゲトゲした銀色の突起が、太陽の光を受けて鈍く輝いていて、まるでアンキロベイルスが『菜摘、こっちだキロ〜』と私を呼んでいるみたい。
「っ!?あいつがアンキロベイルスか」
アンキロベイルスを目の当たりにした映士は、猫みたいにカッと目を見開いた。
ま、あの大きさじゃ驚くのは無理ないよね。
でも、アンキロベイルスは怪物じゃない。
私を助けてくれた、私にとって大切な友人。
映士にとってのウメコってコと一緒だと思う。
「そんなに驚くことないキロ!」
私はわざとアンキロベイルスの口調を真似て言ってみた。
映士は面食らった顔で私を見つめて、
「お、おぅ。すまねぇ」
なんて、ちょっと間の抜けた返事を返した。
解ればよろしい。
私はきゅっと口を結んで頷き、映士の肩をばしんと叩き先へ急がせた。
映士が走る速度を上げる。
私も映士に合わせてどんどん速さを上げる。
急がなきゃ、ね。
なにしろ、壬琴がウメコってコの首輪を奪いに行くまでのカウントダウンは、もう始まってるんだから。

壬琴が私たちに与えたのは3時間。

普通で考えれば、3時間あれば結構といろいろ出来る。
落とし物を探すには充分かな?とも思える。
でも、今、探さなきゃならないのは普通の探し物とちょっと違う。
3時間。それは、充分なようにも足りないようにも思える。

アンキロベイルスの首輪を探すには、まず何処に落ちてるかっていう場所の特定が肝心。
だけど、場所はそう心配じゃない。
映士が探してみせると言ったし、その手段を映士は持ってるから。

555 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:10:15 ID:kDBnFMa30
ただ一つ、私が心配なのは、首輪がどこに落ちてるか。
それによって結果が大きく変わってくる。

『沈みかけている島が見え……たから、きっとそこに菜摘がいると思って……』

アンキロベイルスは、確かにそう言っていた。
きっと、アンキロベイルスがいたのは、私が捜していた洞窟からそう遠くないところ。
何か特別な仕掛けがしてあったのか、水中だったのか地中にいたのかは解らないけど。
アンキロベイルスが元の大きさに戻った事で、落ちてしまった首輪が海に沈んでいたり、土砂に埋もれてしまったりしているかもしれない。
もし、海中だったら……。
流れが激しい上に、海底にはごろごろ岩が転がってて見つかりにくいだろうし。
もし、地中だったら……。
どれくらい下に埋まっているかで掛かる時間が全然変わってくる。
どっちにしろ、実際に行ってみなければ、答えなんかでない。

……なーんて。案外、こんな心配は無用だったりして。
海にプカプカ浮いてたり、アンキロベイルスのすぐ側に落ちているかもしれないし。
って、やっぱりそんなに都合良くいくわけはないか。

「おい、菜摘!待てよ。俺様に任せとけって!!」
映士の声が後ろから聞こえた。
考えてるうちに、いつの間にか映士を追い越してたらしい。
私は少し走る速度を落とした。
夢中で走ってたおかげでもうアンキロベイルスは目の前、ここからは映士の出番だ。
私は右手を腰に当て、左手で映士をビシッと指差した。
「じゃあ、早速だけどお願いね!」
「おう、任せとけってんだ!」
映士は手で鼻を擦りニヤリと笑った。
「ゴーゴーチェンジャー!スタートアップ!!」
まさに、俺の出番だ!と言わんばかりのオーバーリアクション。
振り上げた腕のブレスが銀色の閃光を放ち、映士はボウケンシルバーに変身した。

556 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:11:46 ID:kDBnFMa30
流石、眩き冒険者と名乗るだけのことはあるね。
眩しくて、つい私は目をそらした。
そしてアンキロベイルスの、背中の鎧みたいな銀色の装甲を見あげる。
文字通り『眩く』輝いたボウケンシルバーの銀色の光は、アンキロベイルスの鈍い銀色と比べて眩しすぎた。
生と死の対比みたいで、ほんの少しだけ心が痛かったのは内緒にしておこう。
私の視線を追って、ボウケンシルバーもアンキロベイルスを見あげた。
「許せねぇよな。これじゃ、まるで見せしめじゃねぇかっ!」
おっと、いきなりボウケンシルバーがキレた。
でも、『見せしめ』か。
そうか、見せしめにするためだから、身体の大きいアンキロベイルスだったんだ。
ロンのやった事と、助けて上げられなかった悔しさで鳥肌が立った。
「うん。絶対、許せない」
私は涙を飲み込んで言った。
「ロンは、ただ首輪を外しただけじゃ帰れない。結局は殺し合いに乗らなきゃ生きて帰れない。
きっと、その事を私たち参加者に思い知らせるために、最初から見せしめにするために、アンキロベイルスを使ったんだわ」
私はアンキロベイルスの、キレイなオレンジ色の肌をそっと撫でた。
もうすっかり冷たくなってしまった新しい友達。
「ごめんね。本当に絶対ロンになんか負けないから」
私はアンキロベイルスに誓った。
アンキロベイルスの死を無駄にしないためにも、絶対に負けないと――。


――――キュイーン、キュイーン。
サガスナイパーが探索音を鳴らし首輪を探知し始める。
「ヒット!」
わかりやすい!
もう場所が解ったのね。
私はボウケンシルバーの元へ駆け寄った。
「あったの?」
「ああ、こっちだ!」
ボウケンシルバーと私はサガスナイパーの示す方向へ急いだ。

557 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:12:20 ID:kDBnFMa30
ちらっと時計を確かめる。
壬琴と別れてから、まだ1時間も経っていない。
楽勝かな?つい、頬が緩んだ。

だけど、やっぱりそうは問屋が卸さなかった。
サガスナイパーの反応を追った私たちを待っていた先は断崖絶壁。
自殺の名所と表すのがピッタリの場所だった。
崖の下はご丁寧にも渦が巻き、高い水しぶきが上がっている。
私はごくりと一つ息を飲み込んだ。
「この崖の下って訳ね?わかったわ」
腕を捲くって飛び込もうとした私をボウケンシルバーが慌てて止めた。
「バカヤロー!変身出来ねぇくせに飛び込んでどうすんだ」
グサッと映士の言葉が胸に突き刺さる。
バカヤローはないんじゃない?
……確かに変身できないけど。
映士と壬琴に話したように、アンキロベイルスを助けようとした時、私はアクセルキーを海に落としてしまっていた。
そのおかげで私はイエローレーサーに変身できない。
鍵なんてなければよかったのに。
私はただのブレスレットと化したアクセルブレスを恨めしく見つめた。
きっとダイノハープの一件の時、壬琴で爆笑したバチが当たったんだ。
他に私が持っているのは、同じように鍵がなきゃ変身できないダイノコマンダーと、ゲキファンにダンベルみたいな物と、アンキロベイルスを捜すときに見付けた通信機だけ。
今、役立ちそうな物はない。
「お前はここで大人しく待ってろ!!」
「大人しくって何よ!」
「だから!俺様に任せろって言ってんだろ!!」
ボウケンシルバーはサガスナイパーを私の右手、アクセルブレスにかざし、探査に使うチューニングを切り替えた。
――――キュイー――ン。
「ヒット!」
再びサガスナイパーが海の中で反応を示した。
フン、と勝ち誇ったようにボウケンシルバーは鼻を鳴らした。

558 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:12:53 ID:kDBnFMa30
「やっぱりな。俺様の読み通り、菜摘の落とし物も首輪も流されて、ここに集まって来てるようだぜ。待ってろ、俺様が取ってきてやる!」
ボウケンシルバーは私の答えを待たず、断崖絶壁へ飛び込んで行った。


数分間、私は瞬きをするのも忘れて荒れ狂う海を見つめていた。
青い海の中、銀色のボウケンシルバーの姿は見えない。
大丈夫かな?
溺れたりしてないよね?
私は両手を胸の前で握りしめ、じっと祈りながらボウケンシルバーを待つ。

ザバン!

一際高く舞い上がる波と共に、ボウケンシルバーが海から飛び出した。
「菜摘!」
ボウケンシルバーが私に目掛けて小さな『何か』を投げた。
手を伸ばしてキャッチすると、それはアクセルキー。
「やった!」
私は手を振り上げて喜んだ!
ボウケンシルバーはそのまま放物線を描き再び海の中へ。
やった!やった!やったね!
ボウケンシルバー最高!
サガスナイパー最高!!
この調子なら任せておいて大丈夫よね。
私はすっかり安心しきって崖の上に腰を下ろし、おねだりする子供のみたいに両足をパタパタさせてボウケンシルバーを待った。

そして数分後、さっきと同じように派手な波しぶきを上げてボウケンシルバーが海中から跳躍した。
もちろん、アンキロベイルスの首輪を手にキラリと光らせて。
颯爽とボウケンシルバーは崖を飛び越えて、こちらに飛んでくる ……。

559 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:13:53 ID:kDBnFMa30
と思いきや。
突然、ボウケンシルバー身体が銀色の光を放った。

「うおぉーーーーーっ?!?!」

ボウケンシルバーが叫び、いや、何故か空中で元の姿に、ボウケンシルバーから映士に戻っていた。
崖の上まで後少しのところで、バランスを崩した映士は、そのまま真っ逆さまに海へ落ちて行った。

「映士?!映士ィーーーー!!」

一体どういうこと?
なんで変身解除するわけ!?
ううん。あの状況で解除って有り得ない。
いきなり強制終了されたって感じだった。
もしかして、これもロンの仕掛けだとか?
と、考えている間に映士の身体が波に飲まれていく。

ヤバイ!

思わず私は海にダイブ。
落ちていく途中、映士が変身していた時間を頭の中で素早く思い出す。
アンキロベイルスの元に辿り着いてから変身が解除されるまでの時間は10分ぐらいだった。
なら、私もそれぐらいは変身したままでいられるはず。
その間に映士と首輪を引き上げる。
「よし、激走!アクセルチェーーンジ!!」
着水寸前、私はアクセルキーをアクセルブレスに差し込みイエローレーサーへ変身した。


私は無事に変身出来たことに安堵しつつ、映士を探すために注意深く海の中を見回した。
だけど、海底を流れる激しい水流と、浮かび上がる大小様々な泡に、私の視界は奪われる。
(映士!どこ!?)
いない。

560 :名無しより愛をこめて:2009/02/08(日) 23:14:16 ID:CunQhbcH0
支援

561 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:15:49 ID:kDBnFMa30
……海底の岩の間に嵌まってしまったのか。
いや、もしかしたらすでに浮上しているとか。
波に逆らいながらもう一度、上下左右ぐるっと視線を動かしてみる。
早く見つけなきゃ。
生身の人間が溺死するのにどれくらいの時間がかかるのか私には解らなかった。
波に消えた映士が、息を止めていられる限界はどれくらいだろう。
この流れの中じゃ、そんなに長く息を止めてはいられないと思う。
2、3分もあれば充分死んでしまうように思える。

こうしてる間にも映士が……。
私のせいだ。
私がアクセルキーを落としてなきゃ。
映士、アクセルキーなんか探してなきゃ、こんなことにならなかったのに。
私のせいでアンキロベイルスだけじゃなく、映士まで。

そう思うと涙がこぼれ、マスク越しの視界が余計悪くなる。
泣くな、私。
前が見えなくなるから。
私はパチンと目を瞬かせ涙を払った。

よく目を凝らすと、水流が渦巻く中心。
流れが緩やかな場所にキラキラ輝く光が見える。

ちょっと、待って……。あれは!?

ゆったりと流れに戯れる金の光……。

あれ、やっぱり!
金の光はアンキロベイルスの首輪。
そしてその先に、手足を大きく投げだし、漂う映士の姿を見つけた。

562 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:16:31 ID:kDBnFMa30
私は猛然とその光に向かって泳ぎ進んだ。

すぐそこに映士が見えているのに、水流が邪魔をする。
泳いでも泳いでも距離が縮まらないように思う。
だけど、腕に渾身の力を込めて泳ぎ進んだ。
私の伸ばした手が映士に届きそうなところまで来た時。
身体がふっと軽くなった。
渦巻きの中心まで辿り着いたんだ。

私は映士の手を握って引き寄せる。
アンキロベイルスの首輪も、じゃれるようにこちらに流されて来た。
私は映士の両脇に腕を回し抱き、アンキロベイルスの首輪をしっかりと握り、海面に向かって浮上する。
暗い水の中で、アンキロベイルスの首輪の放つ光がキラキラ揺れていた。


海面を突き破って一気に空気の中に踊り出る。
映士を抱えたまま、僅か突き出た岩を足場に崖の上まで駆け上がった。
なるべく平らなところにそっと映士を寝かせ、呼吸を確かめる。
ダメだ。
息を、してない。
絶望的な思いが私を包んだ。

待って、待って、冷静になれ、私。
私は映士の心臓に手を当ててみたり、頬を叩いてみたりしながら考えた。

そうだ……。
こういう時ってアレだよね。

私は映士の顔を見つめた。
薄い唇が血の気を無くして紫に近い色に見える。

マウス・トゥ・マウス。だよね。

563 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:17:14 ID:kDBnFMa30
一分どころか一秒を争うんだよね。

……あぁ。

一瞬、憂いが私を襲う。
でも、私のせいだ。
それに、これはキスじゃない。キスするわけじゃない。
人命救助なんだ。
と、思ったところでお誂えむきに、私の変身は解除された。

映士が死んでもいいの!?

私は自分を奮い起たせた。
映士の鼻を摘み、大きく息を吸い込む。

「映士、ごめん!」

なんで謝ってるのかよく解らなかったけど。
私は無我夢中で映士の唇に自分の唇を押し当て、遠慮なく息を吹き込んだ。



結果から言うと、私たちが戻った時、公園にもう壬琴はいなかった。
ビビデビも、もちろんいなかった。
映士はというと、あの後無事に息を吹き返し、今は私の横で悔しさを大地にぶつけている。
私はフツフツと込み上げる怒りに拳を握りしめ、壬琴が別れ際に私たちに向けた、やたらサディスティックな笑みを思い出しているところだ。

なるほどね。
最初からそういうつもりだったってわけ?
約束の時間まで、まだ1時間あったのに。
あんな思いまでして、やっと見つけて来たのに。

564 :名無しより愛をこめて:2009/02/08(日) 23:17:21 ID:lufuHFnR0
sien

565 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:18:33 ID:kDBnFMa30
映士なんて、死にかけたのに。
壬琴、あなた、やってくれるじゃない……。

「映士!」
私は自分でもびっくりするくらいの大声で映士を呼んだ。
映士はビクッと肩を震わせて恐る恐る私を見た。
「座り込んでる場合じゃないでしょ!行くよ!!」
驚いてる映士の腕を掴んで、私は『ウメコ』の元へ走った。


【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-7海岸 1日目 昼
[状態]:溺れた事による極度の疲労。2時間変身不可。
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:ボウケンチップ、知恵の実、不明(確認済) 、基本支給品一式(映士、小梅)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:菜摘と共にウメコの元へ。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。
※首輪をただ外すだけでは駄目だということに気付きました。


566 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:19:16 ID:kDBnFMa30

【名前】志乃原菜摘@激走戦隊カーレンジャー
[時間軸]:最終回終了後
[現在地]:J-7海岸 1日目 昼
[状態]:軽い打撲、水中にいたため身体は疲労しています。
[装備]:アクセルブレス
[道具]:ダイノコマンダー@爆竜戦隊アバレンジャー、クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー、キーボーン@特捜戦隊デカレンジャー、ゲキファン@獣拳戦隊ゲキレンジャー、アンキロベイルスの首輪、基本支給品一式
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。仲間を集めて状況を打開したい。 ロンに負けない。
第一行動方針:映士とウメコの元へ。壬琴に怒り。
第二行動方針:仲間(陣内恭介・シグナルマン)を探す。
備考:ダイノハープがないため、アバレブラックへの変身はできません。また、菜摘が変身できるほどのダイノガッツがあるかは不明です。
 アクセルキーは見つかりました。変身制限に気が付きました。
※首輪をただ外すだけでは駄目だということに気付きました。

567 :名無しより愛をこめて:2009/02/08(日) 23:20:50 ID:lufuHFnR0



568 :NATURAL BORN 姉御肌 ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:21:45 ID:kDBnFMa30
以上投下終了です。
途中支援ありがとうございました。

指摘、矛盾、疑問点がありましたらお願い致します。
感想も頂ければ嬉しく思います。

遅くなり申し訳ありませんでした。

569 :名無しより愛をこめて:2009/02/08(日) 23:40:16 ID:lufuHFnR0
投下GJです!!
仲代先生逃げてー!超逃げてー!!怒りの姉御が追ってくるぞーw
実際は仲代先生にその気はないわけですが、この状況じゃ彼らの怒りも無理もないですねw
ある意味ピンチの仲代先生も含めて今後が楽しみですw
菜摘のアンキロへの想いの描写が切なかったです。GJ!!

それにしても、相変わらず菜摘は無謀というか、無茶というかw

570 : ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:45:59 ID:kDBnFMa30
さっそくの感想ありがとうございました。

自己申告にて修正をさせて頂きます。

>>554−555にかけての部分少し日本語がおかしいので

アンキロベイルスの首輪を探すには、まず場所の特定が肝心。
だけど、場所はそう心配じゃない。
映士が探してみせると言ったし、その手段を映士は持ってるから。
ただ一つ、私が心配なのは、首輪が拾えるところに落ちているか。
それによって結果が大きく変わってくる。

に修正します。
申し訳ありません。

571 : ◆MGy4jd.pxY :2009/02/08(日) 23:50:23 ID:kDBnFMa30
と、菜摘の状態表で『2時間変身不可。』が抜けておりました。
重ね重ね申し訳ありません。

572 :名無しより愛をこめて:2009/02/11(水) 18:44:53 ID:aOoCRuBg0
電線に鳩が二羽サンバ

573 :名無しより愛をこめて:2009/02/11(水) 20:16:39 ID:Gwv8u5FoO
鳩が二羽サンバ?
なにそれ?!ネガティブシンジケートの暗号?

574 :名無しより愛をこめて:2009/02/11(水) 22:45:03 ID:7ww5aIZzO

つ カーレンジャーED『天国サンバ』

575 :名無しより愛をこめて:2009/02/12(木) 12:24:38 ID:aD2nZTA+0
保守

576 :名無しより愛をこめて:2009/02/15(日) 18:46:22 ID:LMIWB6s00
したらばの参加者&アイテム紹介の人最近出ないな〜。

577 :名無しより愛をこめて:2009/02/16(月) 09:44:46 ID:51RnlkZc0
まとめ更新GJです!
いつもありがとうございます。

578 :名無しより愛をこめて:2009/02/20(金) 08:50:14 ID:Tt+V3Xf0O
第2回放送も近いな。
まだまだ波乱がありそうだが……。

579 :名無しより愛をこめて:2009/02/20(金) 16:39:58 ID:WVqjvmBp0
少なくとも、一騒動はありそうですねー。
導火線に火がついてジリジリ進んでる感じがしてwktk

580 :名無しより愛をこめて:2009/02/23(月) 19:48:35 ID:H/xblAR3O
予約も楽しみ。

581 :名無しより愛をこめて:2009/02/24(火) 21:36:14 ID:074/479zO
>>580
楽しみですねー、ネジブルー、メガブルー(with次元獣)、ロンがどんな風に絡むのかな?

582 :名無しより愛をこめて:2009/02/26(木) 08:47:11 ID:NAaEZZ2mO
もう一本予約入りましたね!wktk

583 :名無しより愛をこめて:2009/02/27(金) 22:53:58 ID:E7AlQ8daO
>>582
楽しみですね!
ついにあの3人が!!とwktkが止まらない

584 : ◆i1BeVxv./w :2009/03/01(日) 17:09:44 ID:sM6XDsJR0
投下いたします。

585 :サクラチル ◆i1BeVxv./w :2009/03/01(日) 17:10:27 ID:sM6XDsJR0
 血と肉片が散らばる床から、さくらは血塗れの槍を手に取った。
 おそらくそれはフラビージョの装備だったものだろう。
 支給品の全てを破壊され、ズバーンに見捨てられたさくらには貴重な武器だ。
 落ち込んでいる暇などない。自分には確固たる目的がある。
 さくらはズバーンを一瞥すると、頭の中で地図を広げた。そして、自分が今、どの辺りにいるかを瞬時に把握する。
(さて、これからどこへ向かうべきでしょうか?)
 西と南は既に禁止エリアとなった。ならば、北か東。
 東はあと数分もしない内に禁止エリアと成り果てる。普通に考えれば北だ。
 だが、だからといって北へ向かえば、まだこのエリアにいる者、例えば、おぼろと鉢合わせる可能性が高い。
 ならば、危険を承知で東を抜けるべきか。
(ここで様子を見るというのは……ありえませんね)
 留まるという第3の選択肢をさくらは否定する。
(チーフはきっと都市部のどこかに居ます。留まったところで、チーフが私を見つける可能性はそれこそ0でしょう。
 行動しなくては、何も始まりません。一刻も早くチーフと合流するためには動くべきです)
 ロンに掛けられた暗示は惨めで見苦しい無様な死に様を晒すこと。特に相手は指定されていなかった。
 だが、二度目のロンの邂逅と、その心の奥底にある明石暁への強い執着心から、さくらは明石以外に死に様を晒そうとは思わなくなっていた。
(東にしましょう。一か八かですが、誰かを相手にするより、時間を相手にした方が幾分か楽そうです)
 さくらはスッと立ち上がると、東へと身体を向けた。時間を相手にする以上、これからの行動には俊敏さが求められる。
(……今、何か音が)
 しかし、さくらは周りの警戒を怠ってはいなかった。
 空気の震えを感じ、素早く物陰に身を隠すと、耳に全神経を集中させる。
(聞こえます。これは……足音。こちらに近づいて来ている?)
 おぼろか、グレイか、はたまたフラビージョを殺した殺戮者か。
 何にせよ今のさくらにとっては誰であろうと大した問題ではない。
(チーフと合流するまで、もう迂闊な接触は避けるべきですね)

586 :サクラチル ◆i1BeVxv./w :2009/03/01(日) 17:10:59 ID:sM6XDsJR0
 幸いにして、闖入者との距離はまだある。逃げるには充分な距離だ。
 だが、踏み出したさくらの足は一歩目で止まった。
「おい、誰かいるか!」
(こ、この声は……)
 さくらはその声に聞き覚えがあった。
(いえ、ありえません。そんな幸運。動かずとも、会えるなんて、そんなこと)
 可能性は限りなく低い。だが、実際に耳を震わせたその声を、自分が間違えるはずもないその声の主を疑う余地はない。
「チーフ!!」
 さくらの声に足音が刻むリズムの速度を増す。
 やがて、さくらの視界が声の主を捉えた。
 その姿は紛れもなくさくらが待ち望んだ男。赤のボウケンジャケットを身に纏った明石暁だった。
「さくら、無事だったのか!」
 笑顔で暁はさくらに駆け寄る。対して、さくらもわずかな距離を埋めるため、暁に駆け寄った。
 二人の距離が程なくして0になる。
「はい、チーフも無事のようで何よりです」
「ああ。しかし、この惨状は……」
「ええ、私が来た時にはもうこの状態でした」
 暁は眼前の光景にわずかに顔をしかめた。
「犠牲者は魔神クロノスとの戦いでクロノス側にいた巫女、フラビージョ。
 そして、おそらく手を下したのはメガブルーを呼び出そうとしていた放送の主でしょう」
「放送?そんなことがあったのか」
「そういえば、チーフはロンからの放送があった時点ではG2エリアでしたね」
 さくらは簡単にメガブルーを呼び出す放送のことを暁に伝える。
 そして、同時にお互いがどの時間軸から来ているのかの確認も行った。
「流石です、チーフ。既に時間軸の違いに気付いていたとは。
 すると、チーフは私がいた日時より、1ヶ月程後ということになりますね。
 それでチーフ、その間に共有すべき情報は……」
「さくら、ミッションはまだ継続中だ。情報交換は移動しながらでも出来る。先に進むぞ」
「それもそうですね」
 踵を返した暁に、さくらも移動の準備をする。

587 :サクラチル ◆i1BeVxv./w :2009/03/01(日) 17:14:02 ID:sM6XDsJR0
 そうは言っても、さくらの持ち物と言えば、槍ぐらいだが。
「さくら、ズバーンを取ってくれ」
「えっ」
「ズバーンだ。そこに落ちているだろう」
 さくらは暁に会えた喜びにすっかり失念していた。床に放置されているズバーンの存在を。
「どうした?」
 ズバーンを取りたいのは山々だが、さくらはズバーンには拒絶されている。
 おそらく、もう一度、取ろうとしても結果は一緒だろう。
「チーフ、ズバーンはチーフが持つべきです。私は――」
「俺は既に命令した」
 なんとか誤魔化そうとするさくらだったが、暁は背中を向けたまま、取り合おうとしない。
(……仕方ありません)
 チーフの命令は絶対。
 おずおずとさくらはズバーンに手を伸ばした。
「ぐっ!ああああーーっ!」
 ズバーンから発せられた電流がさくらの身体を駆け巡る。
 覚悟していた分、悲鳴を抑えることは出来たが、持つには至らず、すぐにその手を離してしまう。
「……やはりな」
 暁は振り向き、鋭い眼でさくらを捉える。
 さくらはその態度から、暁が目的を持って、自分にズバーンを拾わせたことを悟る。
 そう、冒険者たる暁がズバーンの宝石が黒ずんでいることを見逃すわけもなく、冒険者たるさくらがズバーンを拾わないことは普通ならありえない。
「はぁ、はぁ、はぁ…………チ、チーフ……」
「さくら、どうしてズバーンはお前を拒む?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「答えろ、さくら!」
「………」
 さくらは槍を自分の咽喉元へと向ける。
「!」
「チーフ、私は殺し合いに乗りました。殺し合いに乗って、グレイというロボットを破壊しようとしました。
 クエスターを挑発し、殺そうとしましたが、返り討ちに合い、土下座して、靴を舐めて、命を乞いました」

588 :サクラチル ◆i1BeVxv./w :2009/03/01(日) 17:16:20 ID:sM6XDsJR0
「さくら――」
 暁が言葉を掛けようとしたのが見て取れた。おそらく慰めの言葉だろう。
 だが、さくらは口を噤まず、言葉を紡ぎ続ける。
「その後、蒼太くんに会いました。
 蒼太くんは半年以上前の蒼太くんだったみたいですけど、私が殺し合いに乗ったことを知っても許してくれました。
 でも、私はそんな蒼太くんを手にかけてしまいました。
 ズバーンに見捨てられるのも当然です。人を殺すことを躊躇わず、自分の保身のためには誇りさえ捨て、信じあえる仲間まで犠牲にしました。
 どうしようもなく惨めで、生きていることが無様です。だから、私は――」
「死んで、全てを精算するつもりか」
 さくらはわずかに頷き、肯定の意思を示すと、ゆっくりと眼を閉じた。
 瞳から一粒の涙が、零れ落ちる。
 最後にこの世で最も敬愛する男に看取られ死ねるのだ。悔いはない。むしろ、堕ちた自分には過ぎた最期だ。
「そうか、ならば死ねばいい。俺は止めない」
「――えっ」
 一度は閉じたさくらの眼が開かれた。
 命を失うことに躊躇いはない。もう覚悟はできた。例え、どんな慰めを受けようが、手を止めようとは思っていなかった。
 だが、暁の反応はさくらの常軌を逸していた。
「どうした、何を驚いている?お前が自分で決めたことだ。俺はそれを否定するつもりはない」
「チ……ーフ?」
 槍を握ったさくらの手が震えだす。
 仲間を信用しているといえば聞こえはいいが、何の反応も示さないのは違うのではないか。
 チーフにとって、自分は生きようが、死のうがどうでもいい存在だったのか。

(これじゃあ、私の死ぬ意味が)――これではサクラにした意味が――

 さくらの中で自分以外の誰かの声が聞こえた。
 腕が勝手に動き、咽喉元から槍が少しずつ離れていく。
「だが、それは自分で決めたことなのか?」
「えっ」
 気付けば、暁はさくらの眼前へと移動していた。

589 :サクラチル ◆i1BeVxv./w :2009/03/01(日) 17:18:22 ID:sM6XDsJR0
 そして、その直後、さくらは腹に重い拳の一撃が入ったのを感じた。
「………!」
 声にならない悲鳴を上げ、さくらの意識はゆっくりと闇へと沈んでいった。



 目蓋を閉じても、太陽は容赦なく、瞳に光を届ける。
「ぅぅっ、私は……一体……」
 さくらが意識を取り戻すと、そこは太陽の光に照らされた芝生の上だった。
 自殺するため、自らに槍を向けたところまでは覚えているが、そこから後がどうにもはっきりしない。
「気がつきました?」
「チーフ!」
 掛けられた声に、さくらは反射的に名前を読んだ。
 だが、見れば、またもそこには予想外の人物の姿があった。
「蒼太くん!あなた、生きて……いえ、それよりチーフは!」
「僕が生きてたことより、チーフですか。傷つくなぁ」
 軽口を叩く蒼太をキッと睨みつける。
 そんなさくらに、蒼太はやれやれと大げさなアクションを取ると、さくらの後方を指し示した。
「チーフなら、あそこにいますよ。……あそこで倒れているのがチーフです」
 さくらから数メートル先。身を伏している赤いボウケンジャケットを纏った男。
 さくらは息を飲むと同時に男へと駆け寄り、その身を抱き起こした。
「っ!」
 男は紛れもなく暁だった。さくらが間違えるはずもない。
 ただその状態は先程とはまったく違っていた。
 彼のジャケットは腹部を中心に、染料とは違うものでより真っ赤に染まっていた。
 顔は血色を失い、じわりとした汗で湿っている。
 息はあるものの注意しなければわからないほど微かだ。
「そんな、チーフ……」

590 :サクラチル ◆i1BeVxv./w :2009/03/01(日) 17:19:56 ID:sM6XDsJR0
「危ないところでした。さくらさんを抱きかかえてタワーから出てくるチーフを見つけましてね。
 何をするかと思えば、ナイフを振りかざし、さくらさんを切り裂こうと。
 それで僕は已む無く、チーフを――」
「嘘、嘘です!」
 必死に首を振るさくらを、嬉しそうに見下ろす蒼太。
「そう嘘です。チーフが殺し合いに乗るなんて考えられません。だから、それは表向きの理由ですよ。
 本当はさくらさんを介抱していたチーフの隙を突いただけです。
 あっけなかったですよ。これがあの不滅の牙かと思うほどね」
「なぜそんなことを」
「決まってるじゃないですか。殺し合いに乗ったからですよ。これを見てください」
 蒼太は服を捲り、自らの腹を見せる。
 そこには深くナイフで刺されたような傷痕があった。
 それはさくらがその手で付けた傷に間違いない。
「あの後、ロンが現れて、殺し合いを円滑に進めるという条件で不死の薬というプレシャスを僕にくれましたよ。
 そのおかげでなんとか一命を取り留めることができました。
 で、気づいたわけです。さくらさんもロンの甘言を受けて、殺し合いに乗った。だから、僕を刺した。違いますか?」
「私は違う!」
「違う?何が違うんですか。なら、目的を言えますか?殺し合いに乗った目的を」
「も…く…てき?………わたしのもくてき、目的は……」
「もう誤魔化すのはなしにしましょう」
 さくらは必死に考える。考えるが――
(わからない)
 ――何も思い浮かばなかった。
 それも当然と言える。所詮はロンに無理矢理植えつけられた思考。
 論理的に考えていけば、最終的には矛盾に行き当たる。
 何より、当の暁の命は風前の灯。更に蒼太はロンに下ったとなれば、ここで死ぬ理由もない。
(わからない)
 さくらは頭を垂れる。ふと、チーフの顔が目に入った。
 チーフは苦しげな表情を浮かべつつ、何事かを必死に囁いていた。
 さくらは耳を近づけ、その言葉を聞く。

591 :サクラチル ◆i1BeVxv./w :2009/03/01(日) 17:22:56 ID:sM6XDsJR0
「さくら……お前の…目的は…………自分で決めろ」
(チーフ……)
 さくらは自分の中で何かがぱっと弾けたような気がした。
 思い出されるのは暁と初めて出会った日のこと。
 サージェスへの加入を渋る自分に、暁は誰にでも自分だけの宝があり、それは自分で見つけるしかないと説いた。
 自分だけの宝を一緒に見つけようと言ってくれた。
 それは本当にしたいことを見つけれず、迷走していた自分にとって、方位磁石を与えてくれたようなものだった。
 そして、今も暁は自分が進むべき方向を示そうとしてくれている。 
「思い出しました」
「え?」
「思い出したんです。私の目的を。そう、チーフ。チーフに、私の見苦しく惨めな死に様を晒すこと。それが私の目的。
 ここに連れてこられた時、ロンにそう暗示をかけられたんですよ。
 だから私はあなたを挑発し、チーフの眼の前で殺されようと企んだ。もっともそれは失敗してしまいましたがね」
 さくらはチーフを地面にゆっくりと下ろすと、立ち上がり、蒼太を正面から見据えた。
「なるほど。チーフが死ぬ前に僕に殺されようというわけですか」
「いいえ、もうそのつもりはありません」
 そう、他人に命令された道を歩くつもりはない。
「それじゃあ、チーフの仇を討つために僕を殺す?」
「確かにチーフを刺したあなたは憎い。ですが、元を糺せば私が原因です。そのつもりもありません」
 手を血に染める必要などない
「だったら、どうするんですか」
「勿論、ロンを倒します。全ての元凶を倒し、元の世界に戻り、冒険を続けます」
「ふっ、流石さくらさんだ」
 さくらの決意に蒼太は笑みを浮かべると、暁へと近づく。
「何をする気ですか!」
「種明かしですよ」

592 :サクラチル ◆i1BeVxv./w :2009/03/01(日) 17:24:37 ID:sM6XDsJR0
 蒼太は懐から不死の薬を取り出すと、暁の傷口に近づけた。



「つまり、全てチーフの作戦だったわけですか」
「そうだ。最初から順番に話そう」
 町を歩く、暁、さくら、蒼太の三人。
 暁は多少、ペースは遅いもののその歩みはしっかりとしたものだった。
 さくらはいつでも支えられるように暁に寄り添っている。
 そして、蒼太は二人の傍らで自分が来た時間軸より後に造られることになるアクセルテクターを興味深げに見つめていた。
「アクセルテクターを戻したときから異変には気付いていた。アクセルテクターは熱され、銃弾のような傷が付いていたからな。
 おそらく戦闘が起こり、ディパックを燃やされる事態。つまり、命に関わる事態が起こったと俺は予想した。
 それが誰の身に起こったことかはわからなかったが、俺は戦闘が起こった場所を重点的に捜索することにした」
「だから、あんなところまで捜索に」
「そうだ。そして、さくらの言葉から窮地に陥ったのがさくらだということに気づいた。
 同時にズバーンが放置されている意味にも」
「そう、ずっと気になっていたんですよ。チーフはズバーンのおかげでさくらさんが操られていることに気付いたって、言っていたけど。
 僕はズバーンの存在を知らないし、その剣でどうやってわかったが疑問で」
 蒼太はさくらが持つズバーンを指し示す。
 宝玉こそ光を失ったままだったが、さくらに危害を与える気配はない。
「ズバーンは悪しき心の持ち主を拒み、正しき魂の者にだけ扱える。だが、それだけでさくらが放置する理由にはならない。
 扱えないというだけで、持つことは誰にでもできるんだ。それなのに、さくらは拾うことすら出来なかった。
 それは何故か。ズバーンは教えてくれたんだ。今のさくらに悪しきモノが宿っていることをな」
「なるほど。で、合流した僕を使って、さくらさんが自我を意識するように仕向けたわけだ」
「でも、チーフ、流石に無茶が過ぎます。もし、私が正気に戻らなかったら、チーフは死んでいたかも知れないんですよ」
 自分のためとはいえ、さくらとしては一発、腹を殴りたい気分だ。流石に命にかかわるので、本気でやる気はないが。

593 :サクラチル ◆i1BeVxv./w :2009/03/01(日) 17:26:30 ID:sM6XDsJR0
「血のりや苦しそうな演技だけでは直ぐに見抜かれると思ったんでな。それに蒼太から不死の薬があることは聞いていた。
 そして、何より、西堀さくらはロンには負けたりしない。そう信じていたから俺も命を賭けることができたんだ」
「チーフ」
「まあ、これも――」
「それも……ちょっとした冒険というやつですか?」
 暁の言葉に、他の誰かの言葉が重ねられる。
 三人の前に現れる金色の靄。
「「ロン!」」
「おやおや、主催者直々のお出ましとは、光栄の極みだ」
「ふん、その余裕、気に入りませんね」
 余裕の笑みを浮かべる暁を、ロンは憎々しげに見つめる。
「確かに西堀さくらの洗脳を解いたのは見事でした。が、それでこのゲームが終わったわけではありません。
 それに正直な話、もう解いてもいいかなと思っていたところです。
 元々、彼女を洗脳下に置いたのはあなたが驚愕し、絶望する表情を見たかったからですからね」
「洗脳を解いたのは俺の力ではない。さくら自身の力だ。俺も、俺の信じる仲間もお前には負けはしない!」
「クククッ、随分と威勢がいい言葉だ。伊能真墨が死んだと聞いたとき、あなたはどんな顔をしましたかね?」
 ロンの台詞に今度は暁の顔が激しい怒りの表情に変わった。
「フフッ、いい顔です。私は貴方のそんな顔が見たいのですよ。
 仲間を信じるのも結構ですが、果たしてそんなこと、いつまで言っていられますかね?
 あなたは知らないでしょ。あなたの仲間たちが今、どんな状況に置かれているかを。
 ある者は息絶え、ある者は手を血に染める。そんな様を見たとしてもあなたは――」
「生き返らせてもらうさ。お前をにはその力があるんだろ?
 お前を倒し、死んだ全ての参加者を生き返らせる。それが俺の望みだ!」
「ふぅ、どうやらこれ以上話しても無駄のようですね」
 薄く笑い、再び、金色の靄となり、消えるロン。
 強く拳を握り締める暁。
 定時放送が始まったのはそれから直ぐのことだった。


594 :サクラチル ◇i1BeVxv./wの代理投下:2009/03/01(日) 18:58:38 ID:+GPqElRA0
【名前】明石暁@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task46後
[現在地]:F-5都市 1日目 昼
[状態]:下腹に刺し傷(不死の薬の効果により回復中)
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー
[道具]:ラン様カード@爆竜戦隊アバレンジャー
[思考]
基本方針:ミッションの達成(仲間と合流し、脱出する)
第一行動方針:仲間をこれ以上死なせない。
第二行動方針:ロンを倒し、仲間を生き返らせる。
※首輪の制限と時間軸のずれを知っています。

【名前】西堀さくら@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:F-5都市 1日目 昼
[状態]:健康
[装備]:アクセルラー(損壊、要修理)。聖剣ズバーン@轟轟戦隊ボウケンジャー
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ここから脱出する。
第一行動方針:明石暁と共に行動する。
※首輪の制限と時間軸のずれを知っています。




595 :サクラチル ◇i1BeVxv./wの代理投下:2009/03/01(日) 18:59:56 ID:+GPqElRA0
【最上蒼太@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.3、後
[現在地]:F-5都市 1日目 昼
[状態]:下腹に刺し傷(不死の薬の効果により回復中)
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー、ヒュプノピアス@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:アクセルテクター@轟轟戦隊ボウケンジャー 、バリサンダー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:目的を果たす為、ロンの出した条件を飲む(あまり積極的ではない)
※首輪の制限と時間軸のずれを知っています。


430 :サクラチル ◆i1BeVxv./w:2009/03/01(日) 17:34:00
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点他指摘事項。ご感想があればよろしくお願いします。





596 :名無しより愛をこめて:2009/03/01(日) 19:06:48 ID:+GPqElRA0
投下乙です。
そしてGJでした。
チーフかっこえーっと思ったところで、蒼太マーダー化キター!!!!
と言うドキドキを見事にひっくり返してくれました。
時間軸の処理も違和感なくさすがでした。
面白かったです。

597 :名無しより愛をこめて:2009/03/01(日) 19:35:21 ID:N93O1z300
投下&代理投下GJ!!です
チーフ無茶過ぎるーーー!!流石、熱き冒険者だ!
題名でドキドキ、自殺しようとするさくらさんにハラハラ、まさかの蒼太さんマーダー化!?と、
次から次へと繰り広げられる展開に惹き込まれました。
このまま墜ちるばかりかと思われたさくらさんを救いあげた、チーフと蒼太さんの連携と、チーフの無茶が格好良すぎます。
面白かったー!もう一度GJ!です。

それにしても、ロンの悔しそうな顔が目に浮かぶw

598 :名無しより愛をこめて:2009/03/05(木) 04:33:16 ID:N7DpFaYtO
いつも更新乙です。

599 :名無しより愛をこめて:2009/03/05(木) 17:55:01 ID:jFmYigCO0
チーフ&蒼太は最強コンビって感じだな。
ボウケン本編でこの二人メインが無かったのもうなずける。
有能すぎて逆に話が作りにくい。


600 :名無しより愛をこめて:2009/03/05(木) 21:22:01 ID:0dwgZCz+0
でも、蒼太の心理描写は一切ないんだぜ。これがな。

601 :名無しより愛をこめて:2009/03/05(木) 22:01:28 ID:+1/TnbSDO
>>600
うぉ!今気付いた。すげーw

実は……って事もあり得る訳か!

602 :名無しより愛をこめて:2009/03/09(月) 20:12:56 ID:fF1gIfA6O



603 :名無しより愛をこめて:2009/03/09(月) 20:28:43 ID:fF1gIfA6O
>>600
言われるまで気が付かなかったなあ。
相変わらず、描写が巧みだ。
予約も楽しみ。

604 :名無しより愛をこめて:2009/03/10(火) 17:49:09 ID:enXlbDt/0
タイムレンジャーの「狙われた力」に登場したボイスコピー機を使用すればメガレンやデカレンにも……。

605 :名無しより愛をこめて:2009/03/11(水) 14:09:04 ID:z6qcuJ5Q0
>>604
ああ、その手があったか。
確かメガレンでも似たような話あったね。

606 :名無しより愛をこめて:2009/03/11(水) 15:25:19 ID:lVDs4V8D0
カナリアネジラー?
圧縮冷凍カプセルとかで登場できれば……。

607 :名無しより愛をこめて:2009/03/12(木) 17:17:54 ID:TZYXWgbE0
投下予定、今日だよな。今からwktkが止まらん。

608 :名無しより愛をこめて:2009/03/12(木) 18:05:40 ID:9KQUB3jLO
お〜今日ですね!
楽しみにしてます。

609 :名無しより愛をこめて:2009/03/12(木) 21:22:33 ID:GzajYh8AO
おー、今日かー。楽しみですね!
正座して待ってよう。wktk

610 : ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 21:40:32 ID:L27j77WE0
大変、お待たせしました。これより投下いたします。
ちょっと長めなので、さるさんの際には代理投下をお願いいたします。


611 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 21:41:31 ID:L27j77WE0
 時計の長針を模した剣が男の胸を刺し貫いた。
 男の胸から流れ出た赤々しい血は、剣を伝い、雫となってポタリと大地へと滴り落ちる。
 男は滴り落ちた血が溜まる様子をその眼で見ていた。そして、自分に向けられる声をその耳で聞いていた。
 驚き、怒り、悲しみ、その中で一層大きな嘲りの声。
 男は声に応えようと口を開くが、彼の口からは言葉ではなく、大量の血が吐き出された。



「で!これからどうするかそろそろ結論出た?」
 グレイを修理しつつ、作戦会議を行うシオンたち4人の傍らで、ライフバードを組み替え、暇を潰していたメレが突然声を発した。
 見れば、ライフバードは5つに分解された上で放り投げられている。
 ようするに飽きたから声を掛けたのだ。
 それを知ってか知らずか、メレの問いかけにシオンが応える。
「ええ、とりあえず海岸エリアを通って、G6エリアまで向かおうと思います。
 やっぱり、合流を考えるなら大抵の人は町を目指すと思うので」
「G6エリア?えっと、今、どこだっけ?」
 メレの支給品は全て失われている。加えてメレは、殺し合いが始まって、一度も支給品の確認などしていない。
「方向音痴なのか?……流石、ピンク代理」
「だ・れ・が・方向音痴よ!それに私は金色だって、さっき言ったでしょ。この猿顔!」
「猿顔!?お前までそれを言うかぁ〜?」
(メレさんもすっかり馴染んだな)
 言い争う二人を横目に、シオンは自分の地図を取り出すと、メレにこれからのルートを改めて説明する。
「えっと、つまりここはG4エリアなわけね。だったら、直進すればいいんじゃない。なんでわざわざ回り道するわけ?」
「お前、放送の内容聞いてなかったのか?」
「聞いてたわよ。6時間で誰々が死んだって話でしょ?」

612 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 21:42:11 ID:L27j77WE0
「それもだが、言ってただろ。うっ、ううん。あーあー。
 それからこれより二時間ごとに禁止エリアを設けさせていただきます。まず、七時に都市F4、九時に都市G5、十一時に都市F6が禁止エリアになります。
 足を踏み入れれば、二十秒で首輪が爆発するように仕掛けを施させていただいていますので、うっかり首輪と一緒に首を飛ばさないよう重々お気をつけ下さい」
 情感たっぷりにロンの真似をする恭介。それなりに似てたことはメレの嫌そうな顔が証明している。
「そういえば、お前、北から来たみたいだが、よくそれで禁止エリアに引っかからなかったな」
「なにそれ、駄洒落?」
「北から来た。おお、なるほど。って、ちがーーーーう」
「漫才はそこまでだ」
「誰が漫才だ!」「誰が漫才よ!」
 突っ込みが重なるが、グレイは意に介さず、話を進める。
「既に開始から8時間は経つ。端のエリアに飛ばされた奴らが仲間を求め、町に辿り着いてもいい時間だ。
 だが、その中には確実に殺し合いに乗った奴も含まれることだろう。……つまり、ここは間もなく激戦区と化す」
 その場にいる全員の顔に緊張感が走る。
「遊んでいる暇はない。動くぞ」
 グレイの掛け声に、皆、身支度を整え始めた。そして、グレイはドギーをその背に乗せる。
「すまない」
「気にするな」
 ドギーの傷は深い。だが、移動しないという選択肢は禁止エリアを囲む現状ではありえない。
 傷に響くような振動を与えずに進むには機械であるグレイが背負うのが最も効率的。
 それが会議で出した結論だった。
 歩き出す5人。舗装された平坦な道から、荒れた険路へと、地面が変わっていく頃、ふとドギーはシオンに疑問を呈した。
「シオン、さっきの会議で聞き忘れたことがあるんだが」
「はい、なんですか?」
「俺とメレの間に割って入ったとき、俺もメレも変身しろと言った。
 だがあの時、俺は、たぶんメレもだと思うが、お前が変身できることに確証があって、言ったわけではない。
 あれは売り言葉に買い言葉、ついつい出てしまった言葉だ。
 だから、改めて聞きたい。シオン、お前は変身できるのか?」
「………」
「………」
 互いに無言のまま、歩みが刻まれていく。

613 :名無しより愛をこめて:2009/03/12(木) 21:42:31 ID:9KQUB3jLO



614 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 21:43:35 ID:L27j77WE0
「………いや、妙な質問をした――」
「できますよ。……変身できます。タイムグリーンに」
 質問を撤回しようとしたドギーに答えが返される。
「隠してたつもりはないんです。でも、一応、秘密なんですよね。タイムレンジャーの正体って」
 シオンは苦笑いを浮かべ、意を決し、喋り始めた。変身できることだけではなく、今まで言わなかったことの全てを。
 自分が31世紀の未来から来たこと。ハバード星人と呼ばれる宇宙人であること。
 ロンダーズファミリーとの戦い。そして、仲間である竜也、ドモン、ここにはいないアヤセとユウリのことも。
「なるほど、ただのエンジニアではないとは思っていたが、どうりで私の身体の修理までできたわけだ」
「しかし、集められた時間がそれぞれ異なることはグレイから聞いたが、まさかそこまでの未来から連れて来るとは」
「いえ、僕の記憶にあるのは大消滅を止めて、竜也さんと話している時までです。だから、実際にいた時間はドギーさんより前だと思うんですけど」
「ロンに時空を超える能力があるのは確かだけど、未来にいけるのかどうかは知らないわねぇ。まあ、あのロンが私と同じ時間のロンだったらの話だけど」
 作戦会議には参加していなかったメレだが、話の内容から大体のことは理解した。
 隠すことでもないだろうと、メレは自分がいた時間を皆に教える。
「すると、メレさんが一番、後から来たってことになりますね」
「まあ、そうなるわね」
 何故か偉そうに胸を張るメレ。その脳内では理央とのことが思い出されていた。

――大丈夫だ、メレ…どれだけの距離を隔てようと、ロンが何を策していようと、必ず、お前を守る!だから…生き残れ、どんな手段を使っても!!――

(理央様のあの態度ってぇ、私がいた時間より後に来たからなのかしら。ということは、あの後、理央様と私はそういう関係に……ぐふふっ)
 突然、空を見たかと思うと、妙な挙動になるメレ。
 ドギーも、シオンも、グレイさえも、その珍妙な行動に、一歩、距離を置いた。
 そんな中、唯一、反応を示さない恭介にシオンは違和感を覚え、視線を移す。
 見れば、恭介も何事か考え事をしていた。
「うーーーーーむ」
「どうしたんですか、恭介さん?」
「いや、ずっと考えてたんだが」
「ええ、なんですか?」

615 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 21:45:16 ID:L27j77WE0
「シオンがタイムグリーンということは、シオンを緑にした俺の勘は当たってたってーわけだ!」
「「「「…………」」」」
 メレと同じぐらい珍妙な反応に、途端に沈黙する4人。
「そういえば恭介さん、僕を緑って言ってましたね」
「おう。髪の色で決めたんだがな。いやぁ、俺の勘も捨てたもんじゃないな」
「はぁ、あんた本当に単細胞ね」
「何ぃ!どういう意味だ」
 またも口喧嘩を始める恭介とメレ。そして、呆れ果てた視線を浴びせるグレイ。
「この二人には緊張感というのものがないのか」
「ふっ、まあいいじゃないか。不謹慎かも知れんが、こんな場だからこそ、気持ちは明るくもった方がいい」
「そうですね」
 グレイ、ドギー、恭介、メレ。時間を超え、新たに出会った仲間たちにシオンは希望を見出していた。

 それから1時間後、H6エリアで、シオンは氷柱の前で佇む怪人の姿を目撃する。



 氷漬けにした瞬を前に、ネジビザールは考えをまとめていた。
(これでメガブルーはオレに能力制限が掛かったとしても動くことはできない。氷漬けにした後は、オレの力は関係ないからね。
 でも、これからどうする。メガブルーを元に戻すにはどうしたらいい?)
 すぐに思いつくのは自分を創り出したDr.ヒネラーを頼ることだ。
 悪魔科学を極め、無から有を創り出す彼なら、メガブルーを元に戻すのも容易いことだろう。
 しかし、そのためにはここから脱出しなければならない。
 改めて考えると、一体ここはどこなのか。地球?ネジレ次元?それとも別のどこか?
 ただひとつ確かなのは、能力を行使しても、ここから脱出することはできないということだ。
(他の奴等の中にメガブルーを元に戻せる奴がいるなんていうのは希望的観測が過ぎるねぇ。
 そうなると、あのロンとかいう奴の言う通り、最後の一人……いや、二人になるまで、邪魔者を殺すしかないか)
 怒りに爪が皮膚に食い込みそうな程、強く拳を握る。
 そして、ネジビザールは間近で倒れ伏す男――早川裕作に眼を向けた。
 血に塗れてはいるが、耳を澄ませば、彼からはしっかりとした呼吸音が聞こえてくる。

616 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 21:46:06 ID:L27j77WE0
「ネジシルバー、お前との勝負、それなりに楽しめたよ。でも、メガブルーとの戦いとは比べ物にならない」
 裕作に向けられるネジビザールの腕。ネジビザールは全身に滾るエネルギーをその腕に集める。
「……死ね!」
「待てーい!」
 突然、掛けられた制止の声に、首を動かすネジビザール。瞬間、赤い砲弾がネジビザールへと飛来した。
「ドライビングアタック!」
 空中からの何者からの体当たりにたじろぎながらも、ネジビザールは迎撃の光弾を放つ。
 しかし、その何者かはそれを避けると、右ホルスターに携えた赤い銃の引き金を引いた。
「オートブラスター!」
「グゥッ」
 右肩を焼くレーザー光線に苦悶の声を上げるネジビザール。
 その様子に、その赤い何者かは威圧するかのように大きく手を広げると、名乗りを上げた。
「レッドレーサー!!」
「レッドレーサー?」
「おうよ。裕作さんに手は出させねぇぜ」
 そういえば、ネジシルバーの本名はそんな名前だったかと、再度、裕作の方を向いた。
 すると、いつの間にか裕作の周りには、黒いロボットとそれに背負われた犬。緑色の服の女に、同じく緑色の髪の男がいた。
「へぇ〜、集まったもんだね。でも、オレには都合がいいよ。それだけ優勝に近づくからね!」
 メガブルーを奪われ、不意討ちを受け身体に傷を負い、ネジビザールの怒りは頂点に達した。
 数の不利、連戦の疲れを忘却の彼方へと追いやり、まずは眼の前の男を切り刻んでやろうと、レッドレーサーに挑みかかって行く。
「恭介さん!」
「安心しろ、シオン。俺は負けない!」
 シオンにガッツポーズを見せると、レッドレーサーはバイブレードを構え、ネジビザールを迎え撃った。



 レッドレーサーとネジビザールとの激しい戦いを見守るシオンたち。
 そんな中、グレイだけは別のものに興味を持っていた。
 ネジビザールが見詰めていた氷柱だ。

617 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 21:47:33 ID:L27j77WE0
(あの氷柱に閉じ込められているのは紛れもなくバイオ次元獣。なぜ、こんなところに……
 いや、答えはひとつしかない。ロンが気紛れに誰かの支給品に紛れ込ませた。そんなところだろう)
 グレイはバイラムの幹部が持つ特殊能力とでも言うべき感覚で、それがバイオ次元獣であることを理解していた。
 そして、それが人間に寄生して創られた特別なバイオ次元獣ということも。
(ならば、あの次元獣は誰だ。首輪をしているところを見ると参加者のようだが)
 バイオ次元獣になった瞬の容姿はまさに『獣』といった風貌になっており、元の姿をグレイにさえ予測させない。
 だが、グレイは両手首に獣には似合わないブレスレットが付いていることに気付く。
 しかし、グレイが思考できたのもそこまでだった。
「恭介!」
 耳元で叫んだドギーの声に、グレイの視線は戦いへと移った。
 見れば、ネジビザールの猛攻に、レッドレーサーのスーツの節々は切り裂かれ、バイブレードは大地へと転がっていた。
 どう見ても、レッドレーサーの劣勢だ。
「グレイ」
「わかっている」
 ドギーは負傷、メレは制限の最中。ならば、加勢に入るのは自分しかいない。
 グレイはドギーを降ろし、戦いへと参戦しようとする。
「待ってください!」
 だが、それをシオンが止めた。
「僕が行きます!」
 シオンとグレイの視線が交差する。
 グレイはシオンの瞳の奥に、メレ相手に消極的な戦いを挑んだ時とは明らかに違う決意を見た。
 グレイ、そして、ドギーも、無言のまま、シオンに頷きを返す。
「そうね、あんたの実力も見て見たいわ」
 メレの言葉に、シオンは一瞬だけ微笑むと、前を向き、ネジビザールを真剣な眼で観た。
 そして、両腕をクロスさせる。
「クロノチェンジャー!」
 ボタンを押し、飛び上がると同時に形成される亜空間。
 その中でシオンはクロノ粒子化されたスーツをまとい、タイムグリーンへと変身する。
「タイムグリーン!」
 変身が完了すると同時に、タイムグリーンは走り出す。

618 :名無しより愛をこめて:2009/03/12(木) 21:47:36 ID:9KQUB3jLO




619 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 21:48:43 ID:L27j77WE0
「次はお前の番かい?」
 しっかりと後方にも気を配っていたネジビザールは、レッドレーサーを蹴り、間合いを取ると、振り向き様に長く伸びた爪を奮った。
 だが、タイムグリーンはそれを見事な側転でかわし、レッドレーサーを守るよう彼の前へと立った。
 そして、次の瞬間には彼の両腕には時計の針を模した一対の剣、ダブルベクターが握られる。
「たぁ!」
 掛け声と共に奮われるダブルベクターがネジビザールの身体を切り裂く。
「グゥゥゥ、お前ら、邪魔なんだよ」
 勝負を一気につけようと、ネジビザールは二人に向けて、口から吹雪を吐く。
「くっ、寒ぅ!」
「クロノサーチ!」
 凍えるレッドレーサーを余所に、タイムグリーンは冷静に敵の攻撃を分析する。
 そして、瞬時に攻撃への対策を編み出した。
「これでもどうぞ!」
「グッ!グェッ!!」
 タイムグリーンが投げた石がネジビザールの口を塞ぎ、吹雪を遮断する。
 ネジビザールは石ぐらいと噛み砕こうとするが、逆に牙に痛みが走る。
 その口にあるのはただの石ではない。ダイヤモンド以上の硬度を誇る鬼の石だ。
 流石のネジビザールの牙でもそうそう破壊できるものでもない。
「グゴッ、ゴッゴオグ」
 仕方なく、手で取り出そうとするネジビザール。
 だが、その隙をタイムグリーンは見逃さなかった。
「アクセルストップ!」
 一時的にタイムグリーンの速度が眼にも止まらぬ程に上昇する。
 スピードに任せ、タイムグリーンはネジビザールを幾度も斬る!斬る!斬る!
「グゲラッ!」
 苦悶の声と共に、ようやく飛び出る鬼の石。
 それと同時にアクセルストップの効果が終わり、ネジビザールの瞳にタイムグリーンが映る。
「きさまぁぁぁっ!!」
 苦し紛れに薙がれた爪を踏み台に、タイムグリーンは跳び、両の腕で逆Lの字を形作った。
「ベクターエンド!ビート9!!!」

620 :名無しより愛をこめて:2009/03/12(木) 21:49:38 ID:9KQUB3jLO



621 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 21:49:50 ID:L27j77WE0
「グワァァァァァッッッッッ!!!!!!」
 十字に斬られるネジビザール。悲鳴と共に身体からは盛大に火花が飛び散った。
 尋常ならざるダメージ。ネジビザールは膝を折り、大地へと両の腕をつく。
 だが、それでもネジビザールは立ち上がり、戦いを続けようとする。
「ま、まだだ」
 しかし、ネジビザールの強がりもそこまでだった。
「ガッ!ガァァァァァァッ!!!!」
 悲鳴を上げるネジビザール。その様子を見て、グレイはボソリと呟いた。
「タイムリミットか」
 ネジビザールの身体から急激に抜けていく力。
 シルバーとの戦いを開始してから10分が過ぎ、2時間の能力制限の時が始まったのだ。
 能力制限と相応の負傷。もはや、今のネジビザールを葬るのは赤子の手を捻るようなもの。
「シオン、止めだ!」
 グレイがタイムグリーンに攻撃を促す。だが、タイムグリーンはダブルベクターを収めた。
「シオン!」
「グレイさん、僕の使命は犯罪者を逮捕することです。どんな犯罪者と云えども、殺すことはできません」
 タイムレンジャーたるシオンの掟。どんな犯罪者と云えども、逮捕して罪を償わせる。
 移動の最中に聞いてはいたが、次元単位で戦を繰り返し、殺し合いを続けてきたグレイには理解し難い心根だ。
 傍らのメレも複雑な面持ちをしている。
 しかし、判決が下されれば、容赦なくデリートするものの、あくまで犯人の拘束が任務のドギーにはそれが理解できた。
「シオン、これを使え」
 ドギーは手錠――ディーワッパーを取り出すと、タイムグリーンへと投げた。
 タイムグリーンはそれを受け取ると、弱っているネジビザールの両腕へと填める。
「あなたを拘束します」
「………………くくくっ、礼を言うよ。おかげで少し冷静になることができた。メガブルーにもこの手でやられたっていうのに、進歩ないね〜、オレ」
 ネジビザールは薄く微笑むと立ち上がる。
 レッドレーサーもタイムグリーンも、そんなネジビザールの様子に、どこか薄ら寒いものを感じつつも両脇に並び、しっかりとその腕を掴む。
 そして、その様子を眺めていたグレイが不安な声を上げた。
「……ドギー、本当に拘束だけで済ませるつもりか?」
「何が言いたい」

622 :名無しより愛をこめて:2009/03/12(木) 22:08:16 ID:L27j77WE0
「あいつは危険だ。さっさと殺した方がいい」
「グルゥゥゥッ」
 ドギーも内心、ネジビザールのヤバさは感じていた。
 長年の勤務で培われた刑事の勘というやつが、制限中だというのに、ネジビザールに最高クラスの警戒信号を灯している。
 ジャッジメントが出来れば、デリート許可は確実な相手だろう。
 だが、ドギーに裁く権限は与えられていないのだ。
「お前は、私を危険だと判断したから破壊しようとしたのではないのか?奴も同じだ。
 奴を殺すことは、ロンの指示通り、殺し合いに乗ることとは同義ではない」
「お前の言いたいことはわかる。このような場での理屈としてはお前の方がたぶん正しい。しかし、今は――」
 ドギーはタイムグリーンを見る。
 理由があれば戦いはするが殺し合いはしない。シオンがドギーに言った言葉だ。
 ドギーは思う。シオンと出会ったあの時、自分は我知らず、殺し合いの空気に呑まれていたのではないかと。
 正当防衛。相手はロボット。警察官としての心根より先にそんな言い訳が先に出た。
 もし、シオンに会わなければ、自分は自分の命を守るという大義名分を掲げ、殺し合いに乗っていたのではないかとそう思えてならない。
 だから――
「今は、シオンの主義を尊重してやりたい」
 そうドギーははっきりとグレイに告げた。
「………」
「まっ、制限にさえ気をつければいいんじゃない。あんた達の話だと、2時間は無害なわけでしょ?
 あと、少ししたら私の制限は解けるし、制限さえ解ければ、あんな奴、屁でもないわよ」
「……フン」
 賛成4、反対1。そうなれば、自分は何も言うことはないと、グレイは、また氷柱へと関心を移した。
 ドギーはグレイのそんな様子に溜息を吐くと、負傷した裕作の治療を開始する。
 メレは裕作のディパックの中身が気になるらしく、確認を始めた。
「さーて、洗いざらい吐いてもらいましょうか?」
 そして、レッドレーサーとタイムグリーンの二人はネジビザールへの尋問を開始した。
 ネジビザールはぶつけられる質問に、素直に答える。
 あまりにも素直すぎて、嘘を吐いてるんじゃないかと、レッドレーサーは訝しげに思ったが、タイムグリーンは特に疑いもせず、メモを取った。
 やがて、時が流れ――
「おっ、本当に解除された」

623 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 22:09:22 ID:L27j77WE0
 レッドレーサーの変身が解け――
「あっ、僕もです」
 タイムグリーンの変身も解除される。

 それがネジビザールが待っていた好機だった。

「はっ!」
 ネジビザールの巨体が、一瞬にして縮む。人間への擬態を行ったのだ。
 当然、ネジビザールの極太の腕を拘束していたディーワッパーは効力を失い、あっさりと外される。
「瞬!?」
 ネジビザールの擬態した姿を見た恭介が動揺したのも一因となった。
 二人の反応は遅れ、逃げるネジビザールにたちまち距離を取られてしまう。
「動くな!」
 だが、グレイの反応は早かった。
 ライフルを構え、ネジビザールを牽制する。
「クククククッ!ヒャハハハハハハハッ!!!」
 殺されないと高を括っているのか、ネジビザールは高笑いを上げ、余裕を見せる。
「何がおかしい」
 グレイとしては、ネジビザールの暴走は歓迎だった。
 ここでネジビザールが暴走すれば、何の憂いもなく、引き金を引くことができる。
 あとは狙いが外れたとでも言い繕えばいい。そんなことを考える。
  しかし、その考えは完璧な機械であるはずの彼にとって、綻びとなった。
「そりゃあ、おかしいよ。凄く楽しいんだから。このままじゃ、オレの負けさ。でもね、オレはココに来て、凄くツイてるんだ。
 この賭けが成功すれば勝ち。失敗すれば負けかと思うと、最高にスリリングな賭けになると思わないかい?」
「何を言っている」
「だから、賭けをしようって、言ってるのさ。この賭けに負ければ、オレは打つ手なし。トドメを刺せばいい。
 でも、オレが勝ったら、貴様らが死ぃぃぃぬぅぅぅ」
 ネジビザールはその場で一回転すると、いつの間にかその両手首には、シオンの両手首にあるものと同じものが装着されていた。
「!、それは」
「ひゃは、これが使えれば、オレの勝ち。これが使えなかったら、オレの負けだ。クロノチェンジャァァァァー!!!」


624 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 22:09:59 ID:L27j77WE0
 グレイは自分の考えの甘さを呪い、急ぎ、引き金を引く。だが、それはあっさりと弾かれた。
 ネジビザールの姿は、変わっていた。怪物の姿でもなく、人間の姿でもなく、青の戦士の姿に。
「ヒャハハハッ、オレの勝ちだね。しかも、色はブルーときている。差し詰め――」
 左手首に右手を添え、新たなる戦士は高らかに名乗りを上げた。
「タイムブルー!!!っっっっって、ところかな?」
「そ、そんな」
 自分の前に立ち塞がる仲間の姿に放心状態のシオン。
「へぇ、これは便利だね。戦い方をスーツが教えてくれるよ。……クロノアクセス!」
 クロノチェンジャーから発せられた光が、時計の長針と短針を模した剣を形作る。
 そして、タイムブルーはそれの柄を重ね、一本の剣とした。
「ツインベクター!」
「シオン!」
 グレイは能力を発揮し、シオンの盾となるべく跳んだ。だが、間に合わない。
 タイムブルーとシオンの距離は無情にも詰められる。
 時計の長針を模した剣が男の胸を刺し貫いた。
 男の胸から流れ出た赤々しい血は、剣を伝い、雫となってポタリと大地へと滴り落ちる。
 男は滴り落ちた血が溜まる様子をその眼で見ていた。そして、自分に向けられる声をその耳で聞いていた。
 驚き、怒り、悲しみ、その中で一層大きな嘲りの声。
 男は声に応えようと口を開くが、彼の口からは言葉ではなく、大量の血が吐き出された。
「ヒャハハハハッッ!」 
「恭介ぇぇぇ!」
「恭介さん!」
 刃がシオンに達するより早く、グレイの代わりに恭介はその身を二人の間に割り込ませた。
 その結果、刃はシオンではなく、恭介を貫いた。
「ぬぅ!」
 ようやく辿り着いたグレイの拳がタイムブルーを捉える。
「アクセルストップ!」
 しかし、その拳は速度を上げたタイムブルーにあっさりとかわされる。
「そう慌てるなよ。折角の10分なんだ。時間いっぱいまで楽しもうじゃないか」
 タイムブルーは自分の力を誇示するかのように、恭介を貫いたままのツインベクターを掲げた。

625 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 22:10:45 ID:L27j77WE0
 グレイはグレイギャノンを構え、タイムブルーに狙いをつける。しかし、その手をシオンが止める。
「止めてください。そんな武器を使ったら恭介さんに当たります!」
 恭介の傷は明らかに致命傷。もはやどんな治療を施しても助からないだろう。
 だが、だからといって、これ以上、恭介の身体に傷を付けたくはない。
 しかし、そんなシオンの心情を察知したタイムブルーは仮面の下で微笑んだ。
「ビートアップ♪」
 ツインベクターは剣の中央に付けられたスイッチを上下させることで出力の調整を行うことができる。
 タイムブルーはスイッチを指で弾き、出力を一気に最大にした。
「っっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
 ツインベクターに迸る破壊エネルギーの波が、恭介の身体に流れ、電気ショックを受けたかのような身体の震えと声にならない叫びを上げさせる。
 タイムブルーは楽しそうにその光景を見ながら、剣先の角度を調整した。
「ベクタ〜ハ〜レ〜♪」
 その言葉と共に恭介の身体は泡が弾けるように、内側から爆ぜた。
 赤い肉片がタイムブルーを中心に飛び散り、赤い円を形づくる。
「ヒャハハハハッ。中々、綺麗な花火だねぇ。見てご覧、この地面に書かれた赤いアートを。レッドの死にはとても相応しいよ」
 グレイはグレイギャノンを放とうとするが、もう遅い。タイムブルーの標的は次なる獲物へと移っていた。
「アクセルストップ!」
 超スピードを得るタイムブルー。彼の次の狙いはチャイナ服の女、メレだ。
(あいつ、もう少しで制限が解けるって、言ってたからね。早めに潰しておかないと)
 表向きはイカれているだけにしか見えないが、その頭脳は極めて冷静だった。
 新たな力を得たとはいえ、戦いの疲れは確実に蓄積している。メガブルーも運ばなければならない。
 ある程度の数を減らしたら、手強そうなグレイは放って逃げるべきだろう。
(そういうわけで死になよ、女)
 アクセルストップの効果が切れると同時に、ツインベクターを振り下ろすタイムブルー。
 しかし、その攻撃は、またも本来の目標に届くことはなかった。
「これ以上好きにはさせん!」
 ツインベクターを受け止めるのはディーソードベガ。
「へぇ、制限が掛かってない奴がまだいたのか。これはもっと楽しめそうだねぇ」

626 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 22:11:42 ID:L27j77WE0
 そして、それを握るのは形状記憶合金デカメタルを身に纏ったドギー、デカマスター。
「でも、大丈夫かい?あのロボットに背負われてたということは、結構重症なんじゃない?」
「お前に心配される筋合いはない!」
 ツインベクターを打ち上げ、次々と斬撃を繰り出すデカマスター。一方のタイムブルーもそれを受け流していく。
「ドギー!」
「来るな、グレイ!お前は皆を安全な場所に!」
 加勢に入ろうとするグレイを押し留めるデカマスター。
 思わぬ言葉にグレイの動きが止まる。
「あんた、何ボケっと突っ立てるの!逃げるわよ!」
 一番先に反応したのはメレだった。メレは手近なディパックを掻き集め、裕作を担ぎ上げると、斬り合う二人の横を通りすぎ、グレイがいる方角へと走る。
 叱責されたグレイも呆けるシオンを担ぎ上げ、踵を返し、大地を蹴った。
 そして、その場には氷柱を前に対峙するタイムブルーとデカマスターの二人が残る。
「いいのかい?あの黒いロボットと力を合わせれば、オレに勝てたかも知れないのに」
「俺は職業柄、今まで数多くの犯罪者を見てきた。お前のように狡猾な奴は、自分が逃げ切るためにはありとあらゆる手を使う。
 それこそ周りに無力な人間がいれば率先して狙い、例え、敗れることがあっても尋常ならぬ被害を生む、そんなタイプだ」
 デカマスターの分析に、タイムブルーは感心したかのように頷きを返す。
「へぇー、当たりだよ。たぶん、そうすると思うよ。なるほど、オレを殺すことをより、仲間を助けることを優先したわけだ。
 オレも下手なちょっかいかけて、あのロボットを留めたくなかったからね。
 レッドの命と君の命で4人の命が助かったんだ。いい策だと思うよ」
「……少し違うな」
「何が?ああ、時間稼ぎして、あのロボットが戻ってくるのを待つつもり?でも、残念。時間稼ぎしようとしても無理――」
「時間稼ぎをするつもりはない!」
 デカマスターは怒りの声を上げ、タイムブルーを激しく睨みつける。
「俺の残りの命、貴様を燃やす業火にする!俺と一緒に地獄へ行ってもらうぞ!」
「出来るのかい?それに職業柄、俺を殺せないんじゃなかったんじゃ?」
「規律違反の責任は俺の命で許して貰うさ」

627 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 22:12:16 ID:L27j77WE0
「……………………ヒャハ。フヒャハハハハハハッッッ!いいねぇ、その気迫。凄くピリピリ来るよ。
 こんなに楽しいのはここに来て、初めてだ」
 タイムブルーはツインベクターを収めると、自分の本来の武器、ネジトマホークを取り出す。
 それはデカマスターには不幸なことこの上ないが、ネジブルーが相手を認めた証だった。
「いくよ」
「来い!」
 デカマスターは腰を落とし、刀身を相手へと向け、タイムブルーはネジトマホークを自分の身体と平行になるように構えた。
「……ところでお前、飛び道具はあるのかい?クロノアクセス!」
 タイムブルーの手に握られると同時に引き金を引かれる大型銃ボルランチャー。
 巨大な銃口から放たれた強力な光弾が、デカマスターを襲う。
「ちっ!」
 それを避けるため、デカマスターは力の限り、高く跳んだ。
「はっ!跳んだら逃げられないだろう!アクセルストップゥゥ!!」
 消えるタイムブルーの姿。だが、それはデカマスターの狙い通りの動きだった。
(これでいい)
 デカマスターはタイムブルーとの戦いを長期戦にするつもりはない。
 スーツの上からは窺い知ることはできないが、彼の傷口はパックリと開き、そこからは大量の血が溢れ出していた。
(奴を倒すためには必殺の一撃に賭けるしかない。だが、奴は狡賢く、そして、強い)
 まともに戦えば10分の制限を迎える前にその命は終わる。ならば、奇策に打って出るしかない。 
 デカマスターは海岸の砂に注目した。
(アクセルストップ。厄介な技だ。だが、だからこそ付け入る隙がある)
 次々と舞い上がる砂はタイムブルーがどこを移動しているかを示している。だが、あまりの速度に砂が舞い上がる速度はほぼ同時だ。
 しかし、デカマスターが空中にいる以上、タイムブルーも跳ぶしかない。
(ほぼ同時に舞い上がる砂の端。それが奴が跳び上がる位置。そして、奴は必ず――)
 デカマスターは地面に向けていた身体を素早く、空中へと反転させる。
(――俺の背後から攻撃する!)
「そこだぁぁぁっ!!!」
 渾身の力を込めて奮われるディーソードベガ。その刀の軌道は確実にタイムブルーの急所を捉えていた。
(なっ!剣が!!)


628 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 22:13:33 ID:L27j77WE0
 が、しかし、突如として、軌道を外れる剣。
 デカマスターの意図した方向とはまるっきり逆の方へと誘導されていく。
 アクセルストップの効果が切れ、徐々に顕になるタイムブルーの姿。
 いつの間にかタイムブルーの左手には杖が握られ、その先端にある磁石のようなものに、ディーソードベガは吸い付いていた。
「俺の方が一枚上手だったみたいだね!!」
「うぉぉぉぉぉ!!!」
 重力の勢いを味方に付け、ネジトマホークはデカマスターを真っ向から切り裂いた。



 タイムブルーは語る。
「オレが誤魔化したかったのは、この装備だよ」
 アクセルストップを使った後、タイムブルーは自分のディパックから杖を取り出した。
「これは魔人マグダスの杖って言ってね。このメモによれば、目盛りで選んだ物体を吸着の一声で引き付けることができるそうだよ。
 まあ、効果は実感してくれたと思うけど」
 窮鼠猫を噛む。追い詰めれば、追い詰めるほど、楽しめる戦士は逆転の一手を狙ってくる。
「この装備はついさっき手に入れたばかりの武器でねぇ。一度も試してなかったから、実際にどう動くか不安だったんだけど、いい働きしてくれたよ。
 これがなかったら負けてたかもねぇ」
 それを迎え撃つためには、こちらも常に新しい一手を考えなければならない。
「おっと、そろそろ戻ってきそうだねぇ。できれば、もっと話したかったけど仕方ない。
 でも、君のことは覚えておくよ。幕間にしてはオレを随分と楽しませてくれたからねぇ」
 その結果、彼はデカマスター、いや、ドギー・クルーガーに打ち勝った。
「さて、行こうかメガブルー。君との戦いは一番最後、一番最後の御褒美と考えれば、案外、今の状況も悪くないかも知れない」
 この世界にはメガブルーに匹敵する程、楽しませてくれる相手もいる。 
 そのまだ見ぬ強敵との戦いを思い描き、タイムブルーは笑った。
 タイムブルーは氷柱と転がってた台車を担ぎ、ディーソードベガを吸い付けたままのマグダスの杖をディパックに収めると、軽く手を振り、その場から去って行った。

【陣内恭介 死亡】
【ドギー・クルーガー 死亡】
残り27人

629 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 22:15:04 ID:L27j77WE0
【名前】グレイ@鳥人戦隊ジェットマン
[時間軸]:49話(マリア死亡後)
[現在地]:H-6海岸 1日目 昼
[状態]:健康。能力発揮中。
[装備]:自らのパーツ全て
[道具]:遠距離射撃用ライフル(残弾数3発)、支給品一式
[思考]
基本行動方針:戦いを終わらせるためシオンと共闘
第一行動方針:自分の納得のいく形でシオンに借りを返す。
第二行動方針:ドギーの元へ戻る。
[備考]
2時間の制限と時間軸のずれを知っています。

【名前】シオン@未来戦隊タイムレンジャー
[時間軸]:50話、タツヤと別れる瞬間(20、21世紀の記憶、知識は全て残っている?)
[現在地]:H-6海岸 1日目 昼
[状態]:健康。精神的ダメージ大。2時間変身不能。
[装備]:クロノチェンジャー
[道具]:ホーンブレイカー@忍風戦隊ハリケンジャー、鬼の石@星獣戦隊ギンガマン、支給品一式
[思考]
基本行動方針:仲間を集めて、ロンを倒す。
第一行動方針:ドギーさんは?
第二行動方針:首輪を解除するために、機械知識のある人間と接触したい。
[備考]
2時間の制限と時間軸のずれを知っています。


630 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 22:16:29 ID:L27j77WE0
【名前】早川裕作@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第34話後
[現在地]:H-6海岸 1日目 昼
[状態]:気絶。右肩、腹部、左足を負傷。2時間変身不能
[装備]:ケイタイザー
[道具]:なし
[思考]
第一行動方針:瞬を探す
[備考]
2時間の制限に気づきました。ヒカルと情報交換を行いました。メガシルバーの変身制限時間は2分30秒のままです。
ヒカルがドモンを殺し合いを止めるように説得していると思っています。勇、深雪、ウメコの死に様をドモンから聞いています。
裕作の支給品はメレが預かっています。

【メレ@獣拳戦隊ゲキレンジャー】
[時間軸]:修行その46 ロンにさらわれた直後
[現在地]:H-6海岸 1日目 昼
[状態]:鳩尾に打撲。左肩に深い刺し傷と掠り傷。両足に軽めの裂傷。30分リンギの使用不能。
[装備]:釵一本@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[道具]:ライフバード@救急戦隊ゴーゴーファイブ、芋羊羹、フェンダーソード@激走戦隊カーレンジャー
 火竜の鱗@轟轟戦隊ボウケンジャー、他一品、支給品一式×3(恭介、ドギー、裕作)
基本行動方針:理央様との合流。理央様に害を成す者は始末する。
第一行動方針:青と白の鎧を身に纏った戦士(シグナルマン)とガイに復讐する。ガイの仲間(蒼太とおぼろ)を撃退する。
第二行動方針:ドギーはどうなった?
第三行動方針:シオンの言動に不思議な感情を感じる。
[備考]
リンリンシーの為、出血はありません。
2時間の制限と時間軸のずれの情報を得ました。


631 :新たなる力 ◆i1BeVxv./w :2009/03/12(木) 22:17:56 ID:L27j77WE0
【名前】ネジブルー@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第41話(ネジビザールとして敗れた後)
[現在地]:H-6海岸 1日目 昼
[状態]:全身に打撲、切り傷あり。疲労困憊ながら、気分は高揚。タイムブルーに変身中。2時間ネジビザールの能力発揮不能。
[装備]:ネジトマホーク、壊れたネジスーツ@電磁戦隊メガレンジャー、クロノチェンジャー(青)@未来戦隊タイムレンジャー
[道具]:ソニックメガホン@忍風戦隊ハリケンジャー、闇のヤイバの忍者刀@轟轟戦隊ボウケンジャー、魔人マグダスの杖@星獣戦隊ギンガマン
 ディーソードベガ@特捜戦隊デカレンジャー、木製の台車(裕作のお手製)、詳細付名簿、スフィンクスの首輪、拡声器、3枚のメモ(杖の説明書、アイテムの隠し場所×2)、支給品一式×3
[思考]
基本行動方針:メガブルーを殺す
第一行動方針:次元獣化した並樹瞬を元に戻し決着をつける。そのため、最期の二人になるまで戦う。
第二行動方針:強敵との戦いを楽しむ。
[備考]
ネジスーツは壊れているためネジレンジャーにはなれません。
2時間の制限を知っています。

【名前】並樹瞬@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第2話後
[現在地]:H-6海岸 1日目 昼
[状態]:全身に打撲、傷あり。次元獣化。氷漬けにされ仮死状態。ネジブルーの手で運搬中。
[装備]:デジタイザー
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:暴れる。
[備考]
瞬の支給品一式はH-7エリアに放置されています。

632 :名無しより愛をこめて:2009/03/12(木) 22:19:33 ID:GzajYh8AO



633 :名無しより愛をこめて:2009/03/12(木) 22:35:34 ID:/8dG84y10
GJです!
さあ感想を!と思ったら容量がorz
取り急ぎ次スレを立てに挑戦してからじっくり書かせて頂こうと思いますw

634 :名無しより愛をこめて:2009/03/12(木) 22:42:55 ID:/8dG84y10
ミッション完了!!
次スレはこちらです。

スーパー戦隊 バトルロワイアル Part4
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1236865120/

499 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.02 2018/11/22 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)