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スーパー戦隊 バトルロワイアル Part2

1 :名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:09:14 ID:NmUWAVzF0
当スレッドは、スーパー戦隊シリーズの登場人物でバトルロワイヤルを行うという企画です。

注意・このスレはあくまで2次創作であり、本編作品等との関連性はありません。
   またスレの性質上ネタバレを多く含んでいます。

  ・投下されるSSの中には、ヒーローの敗北、死亡等の残酷な描写が含まれたものもあります。
   
  
以上の点を注意して、閲覧して下さい。
なお進行はsageでお願いします。


2 :名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:12:26 ID:dn8npiEU0
うっさいハゲ

3 :名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:14:25 ID:NmUWAVzF0
青き水の星、地球に刻まれた31の戦いの記憶。
今宵、その中から42人の戦士が選ばれた。
ロンの企みにより、宴に集められた彼らを待っているのは、
希望の明日か、絶望の明日か―――

その行方を知る者は、まだいない

まとめサイト
http://homepage3.nifty.com/w-end/index.htm
したらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/10886/

前スレ
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1195463272/

2chパロロワ事典@Wiki
http://www11.atwiki.jp/row/

4 :名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:16:36 ID:NmUWAVzF0
【参加者】
【ジェットマン】1/1
グレイ○
【カーレンジャー】3/3
シグナルマン○/志乃原菜摘○/陣内恭介○
【メガレンジャー】3/3
並木瞬○/ネジブルー○/早川裕作○ 
【ギンガマン】2/2
剣将ブドー○/ブクラテス○
【ゴーゴーファイブ】3/3
巽マトイ○/ドロップ○/冥王ジルフィーザ○
【タイムレンジャー】3/3
浅見竜也○/シオン○/ドモン○
【ハリケンジャー】4/4
サーガイン○/シュリケンジャー○/日向おぼろ○/フラビージョ○
【アバレンジャー】1/1
仲代壬琴○
【デカレンジャー】4/4
江成仙一○/白鳥スワン○/胡堂小梅○/ドギー・クルーガー○
【マジレンジャー】7/7
小津勇●/小津麗●/小津深雪○/スフィンクス●/ティターン○/バンキュリア○/ヒカル○
【ボウケンジャー】7/7
明石暁○/伊能真墨●/ガイ○/高丘映士○/西堀さくら○/間宮菜月○/最上蒼太○
【ゲキレンジャー】4/4
サンヨ○/真咲美希○/メレ○/理央○
 残り 40名

主催:ロン○
ジョーカー:ウルザード○

5 :名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:17:31 ID:NmUWAVzF0
訂正
【参加者】
【ジェットマン】1/1
グレイ○
【カーレンジャー】3/3
シグナルマン○/志乃原菜摘○/陣内恭介○
【メガレンジャー】3/3
並木瞬○/ネジブルー○/早川裕作○ 
【ギンガマン】2/2
剣将ブドー○/ブクラテス○
【ゴーゴーファイブ】3/3
巽マトイ○/ドロップ○/冥王ジルフィーザ○
【タイムレンジャー】3/3
浅見竜也○/シオン○/ドモン○
【ハリケンジャー】4/4
サーガイン○/シュリケンジャー○/日向おぼろ○/フラビージョ○
【アバレンジャー】1/1
仲代壬琴○
【デカレンジャー】4/4
江成仙一○/白鳥スワン○/胡堂小梅○/ドギー・クルーガー○
【マジレンジャー】7/7
小津勇●/小津麗●/小津深雪○/スフィンクス●/ティターン○/バンキュリア○/ヒカル○
【ボウケンジャー】7/7
明石暁○/伊能真墨●/ガイ○/高丘映士○/西堀さくら○/間宮菜月○/最上蒼太○
【ゲキレンジャー】4/4
サンヨ○/真咲美希○/メレ○/理央○
 残り 38名

主催:ロン○
ジョーカー:ウルザード○

6 :名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:22:41 ID:NmUWAVzF0
【ルール】

【スタート時の持ち物】
初期装備は怪人枠は武器装備有り戦隊側はスーツ有りで、変身アイテムを奪われたり、壊されたりしたら、変身不能になる(修理は可能)
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側からデイパックに入った以下の物を支給される。
「食料」 → 複数個のパン(丸2日分程度)
「飲料水」 → 1リットルのペットボトル×2(真水)
「開催場所の地図」 → 禁止エリアを判別するための境界線と座標も記されている。
「名簿」→全ての参加キャラの名前がのっている。
「ランダムアイテム」 → 変身アイテム以外のアイテムが1〜3つ入っている。内容はランダム。
「時計」 → 時間確認用
「筆記用具」 → ペンとメモ帳

【スタート】
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
MAPは縦軸A〜J、横軸1〜10で1辺の長さが5qとする。



7 :名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:23:52 ID:NmUWAVzF0
【能力の制限について】
変身制限時間は10分。解除後2時間変身不可。意志あり支給品についても同様とする(会話は可能)

【放送】
放送は6時間ごとに行われる。放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」「残りの人数」
禁止エリアは一度の放送で3区画ずつ(2時間ごとに1区画ずつ)増えていく。

【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

【書き手のルール】
・書く前に必ず予約すること。投下期限は1週間。
・申請すれば延長も可。ただし、最長3日。
・自己リレーは作品投下後、1週間は禁止。ただし、書き手が豊富な時はなるべく自重しましょう。
・作品投下後の予約は24時間禁止。
・明らかな矛盾点を指摘された場合は修正しましょう

8 :名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:25:33 ID:NmUWAVzF0
【首輪と禁止エリア】
参加者は全員、ロンによって首輪を取り付けられている。
首輪は、三つの条件で命を奪う。
一つ目の条件は、首輪に過度の衝撃を与える事。衝撃を感知すれば、即座に作動する。
二つ目の条件は、禁止エリアに入る事。足を踏み入れれば、二十秒で作動する。
三つ目の条件は、主催に歯向かった場合、ロンの意思で作動する。

また、参加者には説明されないが、首輪には盗聴機能があり音声・会話は全て記録されている。

【書き手のルール】
・予約禁止事項
 ひとりリレーを防ぐため、投下した書き手は、投下終了から二十四時間一切予約禁止、投下作品に出たキャラは更に百二十時間禁止
・トリップ
 投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
 書き手は必ずトリップをつけてください。
・トリップの付け方
 名前欄に#(半角)に続けて適当な文字列を入れて下さい。
 「◆NdQ0UM」(例)のように、文字列に対応したIDが表示されます。
・投下宣言
 投稿段階で被るのを防ぐため、投稿する前には 「投下します」 と宣言をして下さい。
 いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。
・キャラクターの参加時間軸
 このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
 最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。
・ステータス
 投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表すステータスを書いてください。



9 :名無しより愛をこめて:2008/05/15(木) 18:26:42 ID:NmUWAVzF0
【ステータス表例】
【キャラクター名】
【○○日目 現時刻】
【現在地】
【時間軸】:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
【状態】:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
【道具】:(変身アイテム、ランタンやパソコン、治療道具・食料といった保有している道具はここ)
【思考・状況】(ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。複数可、書くときは優先順位の高い順に)

【基本ルール十ヶ条】
第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)

10 :名無しより愛をこめて:2008/05/16(金) 12:15:54 ID:l09/ao1cO
まとめ更新乙です!

11 :名無しより愛をこめて:2008/05/16(金) 19:35:03 ID:YIhLFxSP0
同じく更新+新スレ立て乙です!

12 :名無しより愛をこめて:2008/05/16(金) 21:56:49 ID:l09/ao1cO
スレ立て乙!です。

13 :名無しより愛をこめて:2008/05/19(月) 08:06:13 ID:ylLMHuVjO
保守

14 :名無しより愛をこめて:2008/05/22(木) 19:13:04 ID:eEeXwMQ10
保守

15 :名無しより愛をこめて:2008/05/23(金) 16:18:51 ID:Lxq1M+wG0
まとめ氏更新お疲れ様です。

16 :名無しより愛をこめて:2008/05/23(金) 22:11:04 ID:8FwGoEAZ0
保守

17 :名無しより愛をこめて:2008/05/24(土) 19:20:50 ID:HfiK70k70
              _y〜ーヽ,
             f ̄/^^^ヽ }
             ヽ 〉 _,y 'ーV
             ヾ|., ゚,パ.イ
              ヽ, ,石、l
               ト.ー人_
             _,.ノ| r‐   ⌒ヽ
       ,.へ   ,r''´  ⌒        l
       {三ヽ { 、   i  ,_,  彡i   |
        V三ト、{  ト  ノミ;,"   }、 ,イ
        V三三ト、√       / ヾ  i
         V三三三\   ミ /  ', ミ;
         V三三三三\  /    }  l
          V三三三三三トY    l  l
          |;V三三三三三l    |  ,'
          l三V三三三三}    l ,'
          |三 }三三三三’   ,.ノ .,'
          ||レ三三三三'´     '〜'
          レ三三三'
          /三三ニ/
          V三三/
           ト三三ト、
   ┏┓┏┳┓ |ニト三;∧    ┏━┓┏┓
   ┃┗┻╋┛┏━━━━┓┗━┛┃┃
   ┃┏━┛  ┗━━━━┛┏━━┛┃
   ┗┛         \ト三三l;; ┗━━━┛
              \ト三l


18 : ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:15:38 ID:AdLXs98T0
遅くなりましたが、、投下致します。

19 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:16:20 ID:AdLXs98T0
 門を潜り抜け、紫の騎士は彼の地へと降り立った。
 紫の騎士の名は魔導騎士ウルザード。だが、その姿はあくまで模倣されたものに過ぎない。
 ヴリル。意思を持たない疑似生命体であるそれこそが今のウルザードの正体である。 
 本来ならヴリルがあるひとつの姿を取り続けることはない。
 ひとつの物の分析、模倣を終えたら、またより高度なモノの分析、模倣を行い、成長を続けていく。
 それがヴリルの存在意義だ。だが、ロンにより、首輪という枷を填められたヴリルはウルザードの姿に固定されていた。
 そして、植えつけられたものは、自分と同じ首輪をした者を抹殺するという本能。
 寄せては返す波も、切り立った岸壁も、ヴリルの興味の対象にはなり得ない。
 やがて、ヴリルは十字架を頂にする建物を眼にするとその歩みを止めた。
 中に首輪をした者がいることを本能的に理解したヴリルはすぐさま木造のドアを開け、中へと入って行く。
 建物の中には一組の男女。女性は祈るように俯き、男性は女性を守るように堂々と立っていた。
 ヴリルに気付いた男性が何事か声を上げる。だが、ヴリルにとっては空気の震えでしかない。
 ヴリルは本能の赴くままに、獣の牙を模した大剣――底皇剣ヘルファングと獣の眼を宿した盾――ジャガンシールドを構え、男性に向かって行った。
 


 深雪が意識を失って数分。ドモンは身動きひとつせず、正面のドアを凝視していた。
 守るべき女性を背にしている。そのシチュエーションがドモンの使命感をどうしようもなく昂らせる。
(ここでいいところを見せれば、深雪さんの好感度は上がる。俺はやるぜ。そして、ここから脱出したら、深雪さんに告白するんだ!)
 ドモンは深雪が子持ちの人妻であることは理解した。今の深雪が自分を息子程度にしか思っていないこともわかった。
 だが、それでも深雪への恋心は衰えたりはしない。いつか必ず恋人として、深雪の隣に並んでやる。
 そのための第一歩、ドモンは深雪を守るという使命を必ず成功させる気でいた。


20 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:16:46 ID:AdLXs98T0
(……来る)
 教会の外に誰か来たのがわかる。敵か味方かはわからない。ただ、どちらにしろ好ましくないのは確かだ。
 敵なら戦わなければならず、味方なら流石に排除する気はないが、深雪との間の邪魔者になる。
(それでも、女性ならいいか。……いかんいかん、俺は深雪さん一筋なんだ)
 そんなことを考えている内に、教会のドアが音を立てて開いた。そして、徐に何者かが教会の中へと入ってくる。
 その闖入者の姿に、ドモンの顔は自然と険しくなる。
 右手に剣を、左手に盾を持ち、紫の鎧を身に纏ったその姿は明らかに戦う者のそれだ。
「お前、殺し合いに乗っているのか?乗ってないなら、とりあえず剣と盾を下ろせ。話はそれからだ」
 ドモンは警告の言葉を発する。だが、ドモンは雰囲気から、交渉の通じる相手ではないと薄々感づいていた。
 いつでも反応できるよう足に力を入れる。瞬間、闖入者――ヴリルはヘルファングとジャガンシールドを構え、ドモンに襲い掛かった。
「やっぱり問答無用かよ!」
 正面から向かってくるヴリルに、ドモンも正面から応じた。
 剣が振り下ろされるより早く、ヴリルの懐に入り、ヘルファングが握られた右腕を取る。そして、身体全体を使って、逆関節に捻った。
「どうだ!」
 ドモンの体重がかかり、軋む関節。あまりの痛さに、ヴリルはヘルファングから手を放し、悲鳴を上げる。
 ――はずだった。
「うぉっ!」
 ヴリルの力は並外れていた。軽々とドモンの身体を引き剥がし、投げ捨てる。
 続いて、ヴリルはウーザフォンを取り出すと、8と書かれたボタンを押す。

―ザザード― 
 
 ウーザフォンに蓄積された魔力により、破壊エネルギーが生成され、呪文と共にドモンへと放たれる。
「うわぁぁっ」
 小規模な爆発が起こり、ドモンの身体を焼き、周りの装飾品を溶かしていく。
「くっ、クロノ……」

―ザザード― ―ザザード― ―ザザード― 


21 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:17:40 ID:AdLXs98T0

「うわっ!」
 次々と間隙なく放たれる破壊エネルギーはタイムイエローに変身する暇さえ与えない。ドモンは身を起こし、防御するのが手一杯だ。
 装着しているプロテクターによりダメージは多少の軽減されているものの、限界に達するのも時間の問題だ。
「くっ、ちくしょー、これまでかよ」
 深まっていく身体の痛みに、ドモンは弱音を漏らす。
 その時、後ろからドサッと音が聞こえた。顔をわずかに回し、後ろを見ると、倒れている深雪の姿があった。
「み、深雪さん」
 おそらく飛ばしていた意識が戻ってきたのだろう。あと数分もすれば、覚醒するに違いない。
(そうだ。俺の後ろには深雪さんがいる。この程度で負けてたまるか!深雪さんは俺が守る!!)
「うぉぉぉっ!!!」
 雄叫びを上げ、ヴリルに突進していくドモン。

―ザザード― ―ザザード― ―ザザード― 

 容赦なく破壊エネルギーが放たれるが、ドモンは一切怯まない。
 先に音を上げたのはヴリル。向かってくるドモンを迎撃するため、ウーザフォンを収め、再び、ヘルファングを手にする。
 だが、それがドモンの狙い。
「はっ」
 横薙ぎ振るわれたヘルファングを跳躍してかわし、ドモンはヴリルの後方へと回りこむ。
 当然、追撃を掛けようと、ヴリルは素早く方向転換を行った。だが、それはドモンが変身するには充分な時間。
「クロノチェンジャー」
 ヴリルが振り向きざまに再びヘルファングを横薙ぎに振るった時、既にドモンはタイムイエローへと姿を変えていた。
 強化された身体能力がヴリルの動きに反応し、タイムイエローはヘルファングが身体に届くより早く、それを肘で打ち払う。
 そして、すぐさま胸へ牽制の一撃を浴びせると、怯んだヴリルの足を掴み、持ち上げた。
「さっきのお返しだ!」
 自分を支点に1回ぐるりと回り、ヴリルの身体を空中高く投げ飛ばす。
 タイムイエローの力に遠心力が付加された投げ飛ばしは、重力を無視したかのように、ヴリルの身体を教会の天井へとめり込ませた。 
「よっしゃあ、今の内にここから脱出だ」

22 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:18:25 ID:AdLXs98T0
 タイムイエローの目的はヴリルを倒すことではなく、深雪を守ること。狭い建物の中での戦闘はいつ深雪に危害を与えるかわからない。
 タイムイエローは追撃よりも、深雪を戦いから遠ざけることを優先した。
 素早く深雪の元へと駆け寄り、彼女の身体を持ち上げる。そして、外へと出ると教会から距離をとるべく走りだす。
「んっ、んんっ」
「!、気がつきましたか深雪さん」
「ドモン……さん?」
 一瞬、深雪は怪訝な顔をするが、それが変身したドモンであることに気付くと、すぐに表情を柔和なものにした。
 だが、変身しているということが何を意味しているのかにも気付くと、表情を引き締める。
「ドモンさん、変身しているということはもしかして?」
「ええ、襲撃を受けました。でも、大丈夫。俺が撃退して……」

―ザザード―

 タイムイエローの言葉を遮るように聞こえてくる呪文。タイムイエローは反射的に飛んだ。
 刹那、今までいた場所に降り注ぐ光線。誰の仕業かなんて考えるまでもない。
「しつこい奴だ、クロノアクセス!」
 深雪を砂浜に下ろすと、クロノチェンジャーから大型バルカン砲――ボルバルカンが召喚する。
「今度はこっちにだって飛び道具はあるんだぜ」
 タイムイエローはそれを迫り来るヴリルに向けて構えた。
 しかし、ヴリルの姿を見ると、深雪は表情を変え、叫びを上げる。
「待って、ドモンさん!撃たないで!その人は勇さんなの!」
「勇さんって……深雪さんの夫の?そんな、どういうことなんですか深雪さん!!」
 深雪の言葉に動揺を隠せないドモン。その隙をヴリルは逃さない。

―ドーザ・ウル・ザザード―

 狼の雄叫びと共に放たれる狼の姿に似た2つの光弾。
「危ない!」
 タイムイエローは自らを盾にその光弾を受ける。
 先程前とは威力が明らかに違うその攻撃は、致命傷とはいかないまでも、クロノスーツを透過して、タイムイエローに激痛を与えた。
「ぐっ、うぁ」
 呻き声を上げ、タイムイエローは膝をつく。

23 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:19:07 ID:AdLXs98T0
「ドモンさん!……マジカ」
 已む得ずマージフォンをヴリルに向けて、凍結の呪文を唱える深雪。だが、マージフォンは何の反応も返さない。
「マジカ!」
 もう一度、呪文を唱えるが結果は一緒だった。
 心を遠くへ飛ばす魔法を使ったことによって、魔法力が限界まで消耗してしまったのだろうか。
(いいえ、そんなはずはないわ。こんなこと魔法が封じられてもいない限り、起こりえない)
 呆ける深雪に向けて、ウーザフォンを向けるヴリル。
「させるか!」
 タイムイエローは気合を入れて立ち上げると、ボルバルカンを発射した。
 放たれた光弾が砂浜を削り、視界を遮る程の砂埃を巻き上がらせる。
「深雪さん、逃げてください。ここは俺が食い止めます!」
 タイムイエローは、深雪がマジマザーと呼称される姿に変身できることは聞いていたが、深雪の様子から一時期の自分と同じように変身できないことを察知していた。
 そして、眼の前の相手が深雪を連れて容易に逃げられる相手ではないことも。
「ドモンさん」
「大丈夫、時間を稼ぐだけです。深雪さんの大切な人を殺したりなんてしません。だから、逃げてください」
 タイムイエローはクロノチェンジャーから両刃剣ツインベクターを召喚し、両手に握る。
(夫が生きてたってことは深雪さんの恋人になるのは流石に無理だな。深雪さんは不貞を働くような人じゃない。だけど……)
 砂埃から掻き分け、振り下ろされたヘルファングを、タイムイエローは受け止めた。
(ここから脱出するまでは、自分の想いを貫く。深雪さんは俺が守る!)
「うぉぉぉぉっ!」
 タイムイエローはヘルファングを受け止めたまま、少しでも深雪から離そうと、ヴリルを押し込んでいく。
「深雪さん、早く!」
 急かされた深雪は、不安そうな表情を浮かべつつも指示に従い、その場から離れていく。
「よし」
 深雪の背中が見えなくなったのを確認し、タイムイエローはヴリルと距離を取った。
 タイムイエローはここで死ぬつもりはない。時間を稼いだら折を見て、逃げるつもりだ。しかし、受けた傷は明らかに自分の方が深い。
 しかも相手を殺さずに戦うとなると、真正面からやり合えば、良くて相打ちといったところだろ。ならば、奇策を用いるしかない。

24 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:20:21 ID:AdLXs98T0
(あの携帯電話だ。あれを壊せば、飛び道具はなくなる。飛び道具さえなければ、逃げる隙も作りやすくなるはずだ)
 狙いは決まった。
 ウーザフォンを使わせるために、タイムイエローは少しずつ間合いを離していく。
(さあさあ、使って来い)
 タイムイエローの狙いを知ってか知らずか、ヴリルはヘルファングを大地へと刺し、ウーザフォンを取り出す。
(来たなぁ)
 タイムイエローはダブルベクターのバーを上げた。ビートアップ。ダブルベクターの攻撃力が高まり、刃が輝いていく。
 この高まったエネルギーを発射する技がベクターハーレー。これでタイムイエローはウーザフォンを狙い撃つつもりだ。
 勝負はヴリルが光弾を放つ時。その隙をタイムイエローは待つ。
 ヴリルがウーザフォンのボタンを押した。

―ウザーラ・ウガロ―

 耳に届いた呪文は初めて聞く呪文だった。そして、ウーザフォンはタイムイエローに向けられていない。
 その呪文が何の呪文か。タイムイエローが疑問に思ったとき、ヴリルはいつの間にか自分の眼の前にいた。
「なに!?」
 驚きの声を上げながらも反射的にツインベクターを振るうタイムイエロー。
 だが、ヴリルはツインベクターが握られた右腕を取ると、身体全体を使って、逆関節に捻った。
「ぐぁぁっ」
 ヴリルの体重がかかり、軋む関節。あまりの痛さに、タイムイエローはツインベクターから手を放し、悲鳴を上げる。
 その悲鳴に満足したのか、ヴリルはあっさりと手を放す。
 体勢を立て直そうとするタイムイエローだったが、すぐさまその胸へヴリルの牽制の一撃が入った。


25 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:20:45 ID:AdLXs98T0
 続けて、タイムイエローの足を掴み、その身体を持ち上げる。
(これはさっき俺が掛けた技と同じ技……)
 首輪という枷により、ウルザードの姿に固定されたといっても、分析と模倣の能力は封じられたわけではない。
 ヴリルは戦いの中で、タイムイエローの能力を分析し、模倣していた。
 そして、ウーザフォンにより発動した呪文、ウザーラ・ウガロ。それは潜在能力を引き出し、身体能力の全てを向上させる呪文。
 今のヴリルはタイムイエローより、力強く、早い。
 ヴリルは自分を支点に1回ぐるりと回ると、タイムイエローの身体を空中高く投げ飛ばす。
 天井という制限があった時と違い、タイムイエローの身体は限界まで高く、高く上がり、やがて、落ちた。
 タイムイエローの身体が生々しい音を立てる。いや、もうタイムイエローではない。変身は解け、彼の姿はドモンへと戻っていた。
「くっ……そ…」
 ドモンの意識がゆっくりと闇に沈んでいく。意識を保とうとしても、より強い力に引き込まれ、逃げることができない。ドモンの瞳にヴリルの姿が映った。
(じ、じか……んかせぎはできた。み……ゆきさんをま…まもれたんだ……くい……はな…い…)
「み……ゆ…き…さん……………すきです」
 意識を失う直前、ドモンが最後に見たのものは今にもヘルファングを振り下ろそうとしているヴリルの姿だった。


26 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:21:28 ID:AdLXs98T0


「待ちなさい!」
 止めを刺すべくヘルファングを振り上げたヴリルに制止の声が掛けられる。
 後ろを振り向くと、逃がしたはずの深雪の姿がそこにはあった。走ってきたのか息が乱れている。
 なぜ戻ってきたのか。そんなことはヴリルにはどうでもいいことだ。ただ本能のままに獲物を抹殺するだけ。
 ヴリルはヘルファングを振るう。一振り、二振り、三振り、ところが紙一重というところでかわされ、空を斬った。
 深雪の体術がそれなりに優れているとはいえ、タイムイエローと比べると雲泥の差だ。能力の強化されたヴリルに捉えられないはずはない。
 そこでヴリルは気づく。深雪が優れているのではなく、自分の能力が衰えていることを。
 ウザーラ・ウガロが発動していない状態と比べても、今の自分の動きは明らかに劣っていた。
 ならばなぜ衰えたのか、ヴリルは分析する。そして、瞬時に答えを出す。
 その答えは――首輪。
「やっぱり、変身だけじゃなくて、能力の全てが封じられるのね」
 分析という行為が生んだわずかな隙。その隙を突き、深雪はヴリルの懐へと入り、その首輪を掴んでいた。
「でも、それでも闇の呪縛転生は解けない……」
 ヴリルは首輪の効果など知らない。そして、深雪の言葉の意味も理解しない。
 ただ、懐に入りながら、言葉を紡ぐという無謀な行為をした深雪に、刃を差し向けた。
「ごめんなさい、勇さん」
 深雪がヴリルの首輪を引いたのと、ヘルファングが深雪の身体を貫いたのはほぼ同時の出来事だった。



 深雪は砂浜に身を横たえ、爆発で頭から肩口にかけてを吹き飛ばされた伴侶の姿を見ていた。
 見ていて胸が痛くなるほどの酷い死骸だ。だが、深雪は眼を背けない。
 何故ならこんな姿にしたのは自分なのだから。死ぬ最後の瞬間まで見続ける責任がある。
 深雪の身体は爆風の衝撃で所々が焼け爛れていた。特に顔は悲惨だ。
 長い髪は焼き切れ、白かった深雪の肌はその全てを黒に変え、例え家族といえども、一目で深雪と判断できない有様だ。
 そして、ヘルファングの一撃は彼女の臓器を傷つけ、致命傷を与えていた。あとわずかで深雪は死ぬ。
 そんな深雪に影が掛かる。顔を向けると、泣き顔をしたドモンがいた。

27 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:22:19 ID:AdLXs98T0
(よかった、生きてたのね)
「深雪さん、どうしてこんなことを。逃げれたはずなのに」
「……ぁぁぃ」
 なんとかしゃべろうとする深雪の唇に耳を寄せる。
 かすかに、本当にかすかにではあるが、深雪の声は、耳に言葉として聞こえてきた。
「私たちは親ですもの。例え、私たちが犠牲になっても子供が守れれば、それでいいんです」
 勇が生きていたことは本当に嬉しかった。どんな姿でも生きていてくれたら、それでいいとさえ思った。
 だが、それでは駄目なのだと、逃げる最中に深雪は気づいたのだ。
 限定された空間にウルザードとなった勇が放たれる。それがどんな結果を生むのか。
 ドモンのように優しい人ほど、攻撃の手を緩め、その命を散らす。勇のために、深雪のために。
 そんなことは勇も、深雪も望まない。だから、この場で勇は葬らなければならなかった。
「深雪さん、そんな……うぅっ、っぁ」
 手で顔を覆い、嗚咽の声を漏らすドモン。次第にその声は手で抑えきれないほどに大きくなってくる。
「っぅっふぅっ、ぁははっ、くくくっ、はははっ、あははは」
(ドモンさん?)
「ばぁ〜っ!」
 ドモンが手を開くと、そこにドモンの顔はなかった。
 その顔は忘れるべくもない。勇を殺した張本人、ロン。
「あなたの行動が不可解だったものですからね。死ぬ前に確かめようと思いまして。しかし、その理由が……くくくっ……木偶人形を命掛けで倒すことだったとは」
 ロンはヴリルの死骸に近寄っていき、懐から銀のケースを取り出すと、指を鳴らした。
 すると、途端にヴリルはゲル状の物体へとその姿を変え、銀色のケースに納まっていく。
 そして、ロンはしっかりと封をすると、愕然としている深雪の顔の前でそれを振った。
「これはヴリルと言います。こいつにはあらゆる物を模倣する能力がありましてね。今回は小津勇をコピーしてもらいました。
 わかりますか、あなたはこんなもののために命を賭けたのです」

28 :名無しより愛をこめて:2008/05/24(土) 23:22:48 ID:gVa7pC9z0
      

29 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:23:47 ID:AdLXs98T0
 表情は焼け爛れわからないが、眼を見ていると、心が絶望に染まっていくのがわかる。
 それがたまらなく愉快だ。もっともっと愉快になるためにロンは言葉を続ける。
「ああ、でも、安心してください。もうこれは使いませんから。首輪を破壊された時点でヴリルが敗北したのは確かですし、あなたが死ぬのならウルザードを使う必要がありませんからね」
 深雪の耳に顔を近づけ、ロンは止めの言葉を囁いた。
「知ってましたか?もう麗さんはお亡くなりになりました。あなたの勇気は誰一人守れなかったのです。
 ……ヨカッタデスネ」
 ロンは再び笑う。だが、その笑い声はもう深雪の耳には届いていなかった。
 まだ心臓は動いていたが、彼女の心はその身体より先に死んでいた。



 わずかに太陽が昇り、目蓋に覆われた瞳が光を感知する。ドモンはゆっくりと眼を開けた。
 まず彼は自分の左胸に手をやる。心臓は脈動していた。
(生きてる。俺、死んだんじゃなかったのか?) 
「おや、起きましたか」
「お前!」
 太陽を遮ったロンの顔を見て、反射的にドモンは身を起こす。
 位置的にそんなことをすれば、ロンのおでこにぶつかるところだが、ロンはそれを紙一重でかわした。
「おっと、危ないですね。もう少しで当たるところでしたよ」
 飄々と言葉を放つロンに、ドモンは敵意を露にし、殴りかかっていく。
「うりゃああぁ!」
 だが、その拳が当たる直前、ロンは金色の煙となり、すり抜けていった。
 諦めず追撃を行うとするドモンだが、突如、身体に激痛が走る。
「痛ってぇ」
「当たり前ですよ。まだ傷薬は効き始めといったところなんですから。……しかし、もうそこまで動けるようになるとは、ゴキブリ並みのしぶとさですね」
「うるせぇ!」
 そこでドモンは自分の身体を改めて確認した。プロテクターは外され、身体中痛いが、それでも無理して動けないほどではない。
 経験則からいって、死んでもおかしくないほどの重症だったはずだ。それに意識を失う直前に見た光景が正しければ、止めを刺される寸前だったはずだが。
「おい、あいつはどこへ行った」
「あいつ?」
「あいつだよ。紫色した、深雪さんの夫のあいつだ!」


30 :名無しより愛をこめて:2008/05/24(土) 23:24:43 ID:gVa7pC9z0
            

31 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:25:10 ID:AdLXs98T0
「あぁ〜、小津勇ですね。彼は死にました。彼女に殺されてね」
 ロンは身を翻すと、指を指した。その指の先をドモンが見ると、何か黒いモノが転がっているのが見える。
 あれは何だと、痛みを堪えながら徐々に黒いモノへと近づいていくドモン。
(ま、まさか)
 はっきりと見えてくるにつれ、ドモンの歩みが速くなっていく。身体が悲鳴を上げるが、気にしてはいられない。
 その黒いモノの元へ辿り着いたとき、ドモンは全身の力が抜け、その場へと崩れ落ちた。
「み、深雪さん?嘘だろ」
 黒いモノは人の形をしていた。顔は酷く焼け爛れ、誰かの判別が付かないほどだ。
 だが、わずかに残った白い肌や服の切れ端は深雪のもののように思えた。
「……いや、そんなはずはない。深雪さんは無事逃げ延びたはずだ」
「残念ながら、その死体は小津深雪に間違いありませんよ」
 自分の考えを必死に否定するドモンに、後ろから無慈悲なロンの言葉が掛けられる。
「そんな、そんなぁ。うわぁぁぁっ!」
 大地に顔を埋め、ドモンは泣き崩れる。
「なんで……なんで逃げなかったんだよ、深雪さん。なんで!なんで!なんで!」
「落ち着きなさい。小津深雪がなぜ逃げなかったか、なぜ戻ってきたか、そして、なぜ死んだのか、私が説明しましょう」
 ドモンの叫びが止む。聞く気があると判断したロンは口の端を少しだけ上げると、ゆっくりと語りだした。
「感動的な場面でした。この私でもあやうく涙を流しそうになったほどに。
 あなたを心配して、この場へと戻った小津深雪はある決意を持って、小津勇と対峙しました。
 それは……あなたを救うために小津勇を殺すことです」
 ドモンが息を飲むのが解る。ロンは益々口の端を吊り上げながら、言葉を続けた。
「とはいえ、相手は熟練の騎士。まともに戦っては勝ち目はありません。そこで彼女は首輪を狙ったのです。
 ご存知の通り、この首輪は強制的に外せば爆発します。小津深雪はそこを狙い、そして、その試みは見事に成功しました。
 しかし、彼女も相応のダメージを受け、残念ながら帰らぬ人に」
「深雪さん……」

32 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:25:37 ID:AdLXs98T0
「ドモン、小津深雪はなぜ小津勇を殺すという決断を下したかわかりますか?
 あなたを心配したといっても、小津勇は彼女の夫。普通に考えれば、見知らぬ男の死より、近しい夫の生を望むものです。
 それなのになぜ?」
 ロンは俯くドモンの耳元へ口を持っていくと囁いた。
「わかるでしょう。それは近しい夫より、見知らぬ男の方を愛してしまったからです」
 グラグラとドモンの心が揺れるのがわかる。ロンがわざわざドモンの傷を手当てしたのはこれが目的だ。
「そんな小津深雪の気持ちに応えたくありませんか?私の力をもってすれば、小津深雪の復活は可能です。
 小津深雪の家族が邪魔なら、あなたと一緒に30世紀に連れて行くことだってできますよ?どうですか、小津深雪を妻に娶り、30世紀で幸せに暮らすというのは」 
「うるせぇ……」
「えっ?」
「うるせぇって、言ってんだ!深雪さんはそんなこと望んでねぇ」
 ドモンの眼にもう涙はなかった。その眼に宿っているのは明確な決意。決意を持った眼でロンを厳しく睨みつける。
「やれやれ、まさかそこまで固い意思をお持ちだとは。まあいいでしょ。これを渡しておきます」
 ロンはどこからか、参加者全員に支給されたものと同じ型のディパックを取り出す。
「小津勇に支給される予定だったディパックです。元々、私はこれを届けに来たのですよ。
 ですが、届ける前に小津勇は小津深雪に殺され、小津深雪も死んだ。しかし、あなたは生き残った。
 だから、このディパックはあなたのものです」
 ドモンは無言でディパックを受け取ると、ディパックの中身の確認を行う。
「そのディパックの中にランダムの支給品は入っていません。元々その中に入っていた支給品はもうあなたに使ってしまいました」
 ロンの言う通り、ディパックには共通の支給品の他には説明書しかなかった。その説明書には『気づかず治る傷治し薬』とだけ書かれていた。
「深雪さんの鞄は?」
「さあ。そこら辺に転がっていると思いますが、形見にでもするつもりですか?」
 ドモンはロンの質問には答えず、身を翻し、歩きだした。ロンが制止の声を上げるが、それを無視して歩みを進めていく。
「まあ、私の言ったこと、考えておいてください」


33 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:26:08 ID:AdLXs98T0
 ロンはその言葉を最後にいずこかへ消えた。
「そんなこと、深雪さんが望むわけないだろ」
 吐き捨てるように呟くと、ドモンは深雪のディパックを探す。ロンの言ったとおり、せめてもの形見にと思ったのだ。自分の決意を鈍らせぬように。
(そう深雪さんは俺と夫婦になることなんて望まない。深雪さんの望むことは家族との幸せな生活だ。そこに俺の姿はなくていい)
 ドモンはロンの囁きを聞き、決意していた。優勝し、自分の望みを叶えてもらうことを。
 深雪がどんな気持ちで夫を殺したのかはわからない。だが、そこに相当な決意があったことは確かだ。そして、ドモンはそれに助けられた。
(俺は結局、自分のことしか考えてなかった。深雪さんの気持ちも考えず、ただ自分の想いを告げることしか考えてなかった。
 もし、あの野郎に願いを叶える力が本当にあるなら、俺の命なんてなくなってもいい。深雪さんに幸せになって欲しい。だから、俺は……)
 やがてドモンは放置されていた深雪のディパックを見つけた。
 ドモンはそれをギュッと抱きしめた。



「どうやら成功のようですね」
 ロンは戻った広間でそんなことを呟いた。
 ロンはドモンの本心はどうあれ、彼が優勝を目指すことを確信した。
 なぜなら彼はロンが囁いた後、一切ロンに危害を加えようとしなかったのだから。
 深雪は子のために夫を殺すという極限を見せてくれた。
 今度はドモンがどれほどの極限を見せてくれるか。ロンはそれが楽しみで仕方なかった。

【魔導騎士ウルザード(ヴリル) 回収】
【小津深雪 死亡】
残り37名


34 :失われた恋 ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:26:38 ID:AdLXs98T0
【名前】ドモン@未来戦隊タイムレンジャー
[時間軸]:Case File20後
[現在地]:J-4海岸 1日目 早朝
[状態]:全身打撲。魔法薬(気づかず治る傷治し薬)の影響で回復中。1時間変身不能。
[装備]:クロノチェンジャー
[道具]:基本支給品一式×2(勇、深雪)
[思考]
基本行動方針:優勝して、深雪に幸せな家庭をプレゼントする。
第一行動方針:?
備考:ドモンのデイパックは燃え尽きました。グラップラー時代のプロテクターはロンに回収されました。変身に制限があることに気が付きました。


35 : ◆i1BeVxv./w :2008/05/24(土) 23:27:22 ID:AdLXs98T0
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想、他指摘事項などありましたら、宜しくお願いします。

36 :名無しより愛をこめて:2008/05/24(土) 23:43:13 ID:S/sPvMB/O
超GJ!
なんという熱いバトル、用意された絶望、苦しい二人の思いと決意、瞬きをするのも惜しいほど釘付けになりました。
もう一度惜しみない超GJ!を送りたい!

37 :名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 00:25:43 ID:XDSZVNDjO
GJです!!
深雪さんの悲壮な思い、ドモンの悲しい決意、
ヴリルの本能で人を殺める恐ろしさ、
そして何より、周到で陰湿なロンの小賢しさ、
全てに圧倒されて、息が苦しくなる程です。
深雪さんの最期は、いかばかりの絶望かと思んばかれて、涙ぐむほどでした。
本当に、言葉を尽くしても足りない程ですが、
改めてGJ!

38 :名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 00:43:02 ID:h7uXkT2p0
GJ!
熱いバトル……でも欝に落ちる!
ドモンの悲壮な決意、ロンの暗躍、面白かったです。
ああ、深雪さんが切ない。
もう一度GJ!

39 :名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 00:43:58 ID:v06K6KGR0
美しい人が醜く焼け爛れるってのはきついですが、物語上の必然性でしたね。
さくら姐さんとかもこうしてやられちゃうのかしら?
マジレン勢に何か恨みでもあるのか、ロン…

40 :名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 01:19:57 ID:XDSZVNDjO
やっぱり、最初に刃向かったのが小津父だから?
それにしても、最初は、ボウケンジャーと同率一位の参加者数だったのに、
いつの間にやら、半数以下に。

41 :名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 03:31:51 ID:w8qeQaWy0
と、いうか真墨を除けば、マジレン勢しか死んでない。
ヴリルもウルザードになってたからマジレン勢と言えなくもないし。

42 :名無しより愛をこめて:2008/05/25(日) 22:51:29 ID:XDSZVNDjO
不幸の星の元に、このロワに選ばれたのかもね。マジレン勢。
にしても、これでヒカル先生の守る対象はいなくなっちゃった事になるのか。
不謹慎だけど、放送後がちょっと楽しみ。

43 :名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 00:27:27 ID:GuCJzmes0
何気に仲間の死に敏感なチーフの反応も気になるがな。
あと、菜月。


44 :名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 00:48:32 ID:MsIGRaezO
>>43
仲間で親で兄弟みたいな存在だろうしね。真墨。

45 :名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 01:15:22 ID:5OeUVlvo0
放送時に菜月の側に誰がいるかで、かなり違うよな。

46 :名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 01:20:51 ID:GuCJzmes0
誰かが死ぬたびに暗示みたいに美希や姐さんにメッセージを送るとかあったら益々陰湿だな、ロンw
一方は早く死ななきゃと思うし、一方はもっと殺さなきゃと思うし。
そういや、放送SSはいろんなキャラをいっぺんに出してもいいもんなのか?

47 :名無しより愛をこめて:2008/05/26(月) 02:12:56 ID:MsIGRaezO
>>45
今のまま、竜也のそばならいいけど、
もし一人だったり、あまつさえ、ステルスマーダーと一緒だったりしたら、かなり危ういかもね。
>>46
事前に予約を取られていたら、大丈夫だと思いますよ。

48 :名無しより愛をこめて:2008/05/27(火) 00:30:55 ID:XjYex29kO
議論スレにて、◆eQMz0gert氏からなんら回答が得られない為、回答期限を設けておりましたが、
本日、0時に期限切れと相成りました。
その為、氏の作品は破棄となります。
ご報告が遅れまして、大変申し訳ございません。

49 :名無しより愛をこめて:2008/05/30(金) 12:58:45 ID:ePV3d3Yg0
前スレで埋めネタ代わりに、リレー感想を行っています。
もし、よろしかったらご参加下さい。

50 : ◆MGy4jd.pxY :2008/05/30(金) 21:19:41 ID:t7WgOTZ3O
大変申し訳ありません。
期日に間に合いそうもないので延長をお願い致します。

51 :名無しより愛をこめて:2008/05/30(金) 22:09:31 ID:hBJ/z2/pO
>>50
了解しました。楽しみにお待ちしております。

52 :名無しより愛をこめて:2008/05/31(土) 02:51:22 ID:IvxcLJfh0
>>50
リョウカイです。期待しております。

53 : ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 19:31:40 ID:kMolMV5m0
投下します

54 : ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 19:32:17 ID:kMolMV5m0
仲間と合流する為には、最も人の集まりそうな場所に行く必要がある。
とりあえず都市部へという事になり、北へ向かおうとした、その時だった。
支度を終え立ち上がろうとした小梅が、小さく悲鳴をもらし、その場にうずくまった。
その手は庇うように右足首にあてられている。
「挫いたか?」
訊ねると、痛みに眉を寄せながら頷く。
「ちょっと痛むなーとは思ってたんだけど・・・・・・」
察するに、先程砂に足を取られた時に挫いたという所だろうか。
小梅は顔をしかめながら、バックからペットボトルを取り出すと、足首に宛がった。
ただでさえ砂地は足に負担をかけるというのに、これでは長時間歩かせるのは、不可能に近い。
だが、このままこの場所にいるというのも問題があった。
周りは砂や流木ばかりで、殆ど遮蔽物が無い。
しかも波の音に掻き消され、人の気配を察する事さえ難しい。
これでは的にしてくれと言っているようなものだった。
考え込みながら周囲を見渡すと、少し先に岩陰が見えた。
本来は、あまり動かさない方がいいのだろうが、今はそうも言っていられない。
岩場まで移動する事に決めると、映士は小梅に手を差し伸べた。


55 :桃色天然娘 ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 19:33:21 ID:kMolMV5m0


移動する際にも一悶着あったが、

「ヤダ、高丘さん。胸触ったー!」
「今の胸か?」
「・・・・・・セクハラで訴えてやるー!!」
「馬鹿な事言ってないでとっとと負ぶされ!」
「バカって言うなー!」

それは、また別の話である。



「これでよしっと」
アンダーシャツの裾を細長く裂き、テーピングの要領で足首に巻きつける。
一連の作業を終え、映士は顔を上げた。
「このままじっとしてれば、朝には少しはマシになってるだろ」
「ありがとう。もう大丈夫だから、高丘さん先に行って」
これじゃ、足手まといだし。そう付け加えると小梅は笑った。
「いいや、俺様も朝までここで休憩だ」
あー、重かった。映士は真向かいに腰を下ろすと、うそぶきながら肩を叩く。

56 :桃色天然娘 ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 19:34:05 ID:kMolMV5m0
「えー、太ったかな。割と軽い方だと思ってたのに」
「あー、チビな分、嵩は少ないかもな」
「そう、チビな分・・・・・・って何言わせるのよ!」
笑いながら拳を振り上げ、ふと真面目な顔つきになると、小梅は静かにそれを下ろした。
ぎゅっと自分の両手を握り締める。
「仲間の事心配だったりしない?」
映士への気遣いと彼女自身の不安とがないまぜになったような声。
刑事という職務上、陰惨な現場は今までいくつも見てきた。
だが、目の前で繰り広げられたあの光景は、小梅の心に暗い波紋を落としていたのだった。
「俺様の仲間はそんな簡単にくたばったりしねーよ」
ポンと小梅の頭に手をやる。
「あんたの仲間もな。ええと、コドー・・・・・・」
「ウメコでいいよ。ありがとう。そう、だよね」
「ああ」

それからは、とりとめのない話をした。
仲間の事、それぞれの世界の事、敵の事、家族の事・・・・・・
初めのうちは、映士の方が話していたが、だんだん小梅の口数が増え、いつのまにか話す方と聞く方が逆転していた。
しばらくは相槌を打ち、時折、疑問を差し挟んでいた映士も、話がのろけめいてきた頃には、聞き流すようになっていた。
ふと、声が聞こえなくなった事に気が付き、映士が遠くにやっていた意識を戻すと、小梅は岩壁にもたれ静かに眠っていた。
かすかに寝息を立てながら上下する肩に、自分のジャケットを着せ掛けると映士は軽く溜息をついた。これで、朝までは静かに過ごせる。
こんな状況下で眠れるとは、順応力が高いと取るべきか、図太いと取るべきか悩むところだが。
その無防備とも取れる振る舞いは仲間の一人を思わせた。
―――真墨も苦労してんだな―――
心中で呟くと映士は薄く苦笑し、見るともなしに遠くに目をやった。


57 :桃色天然娘 ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 19:35:13 ID:kMolMV5m0


『・・・・・・・・・・・・す!!』

微かに聞こえてきた声に、映士は沈みかけた意識を無理やり呼び起こした。
未だ、眠り込んでいる小梅を揺り起こす。
「んん、な〜に?あれ、ここどこ?」
「寝ぼけてるな、おい」
目をこすりこすり開くと、小梅は映士に微笑みかけた。
「あ、高丘さん。おはよう」
「映士でいい。いいか、しっかり目覚ましてよく聞けよ。
 こっちに誰か向かって来てるらしいから、様子を見に行く。もし、20分経っても戻らなかったら、一人で逃げろ」
「そんな・・・・・・」
「その足じゃ、とっさの時に逃げられないだろ。心配すんな。俺様はそう簡単にくたばったりしねーよ」
小梅は何か言いたげだったが、映士はあえて遮ると踵を返した。
「・・・・・・いってらっしゃい」
「おう」
後ろ手に手を振り、そのまま岩陰から足を踏み出した。


「さあて、クエスターが出るか、ロンがでるかってとこか?」

58 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 19:47:52 ID:sSUQWFIqO
大変申し訳ありません。
今日が期限で今から投下しようと思ったのですが、家のパソコンからネットに接続する事ができません。
なんとか日付が変わるまでにとはおもいますが、もし間に合わない場合、お許し頂けるならば、明日正午から一時までのかならず投下いたします。
ですが決まったルール上、予約を破棄した方がよければその意見に従います。
意見をお待ちしております。

59 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 20:10:48 ID:U+7TQt8Q0
>>58
了解しました。投下お待ちしております。

それでは、代理投下を始めます。

60 :桃色天然娘代理:2008/06/02(月) 20:11:22 ID:U+7TQt8Q0

【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-6海岸 1日目 黎明
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:ボウケンチップ、後は不明(確認済)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:声の正体を探りに行く。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。

【名前】胡堂小梅@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:最終回後
[現在地]:J-6海岸 1日目 黎明
[状態]:右足首を捻挫、手に軽い打撲、砂まみれ
[装備]:SPライセンス、拳銃(シグザウエル)、後は不明(確認済)
[道具]:不明(確認済)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:映士を待つ。


61 :桃色天然娘代理:2008/06/02(月) 20:11:56 ID:U+7TQt8Q0
103 : ◆Z5wk4/jklI:2008/06/02(月) 19:38:28
最後の最後で規制に引っかかってしまいました。
お願いします。
以上です。
誤字脱字、矛盾などご指摘がありましたら、お願い致します。

代理投下終了します。


62 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 20:13:56 ID:U+7TQt8Q0
読了。
投下乙!
ウメコと映士のやり取りに和みましたw
うん、ウメコはムードメイカーですね。
続きが気になる良つなぎでした。GJ!

63 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 21:24:35 ID:Afzi3F3Z0
真墨を思い出すのが切なくていいですね
既に“くたばっている”ことを知ったとき、映ちゃんはどうするんだろう?

64 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 21:46:01 ID:EzI7x3/H0
◆Z5wk4/jklI 氏、大変申し訳ありませんでした。
リロードせずに書き込んでしまいました。
本当に申し訳ない。
そしてGJです!
真墨を思い出す映士に涙。
そしてウメコが良いです。
「仲間の事心配だったりしない?」
の台詞はぐっと来ました。

ネットにつながらなかったのは『禁断の壺』のせいだったようです。
もう一度推敲して、一時間後には投下します。
よろしくお願いいたします。






65 : ◆Z5wk4/jklI :2008/06/02(月) 21:58:22 ID:IrIke/XRO
代理投下&感想ありがとうございます。
>>64
いえいえ、お気になさらずに。投下楽しみにお待ちしております。

66 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:03:00 ID:EzI7x3/H0
ありがたいお言葉感謝いたします。
いつもながら遅くなりまして申し訳ありません。

ちょっと書き上げるのが苦しいSSでした。
読んで頂ければとても嬉しく思います。


67 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:05:05 ID:EzI7x3/H0
『Trolley problem』


   あなたはトロッコに乗り、ある線路を走っている。
   砂煙を撒き散らし、スピードをぐんぐん上げ走っていく。
   流れる景色にしばし目を奪われた。
   再び前方に視線を戻したあなたの目が、線路の上にいる5人の男達の姿を捕らえた。
   あわててブレーキを掛けたが、スピードは緩まるどころか速さを増し、全く制御が効かない。
   このままでは5人を轢き殺してしまう!
   だが、幸いにも線路には支線が伸びていた。
   あなたは5人を避ける為、トロッコの進路を変えようとした。
   その時……
   支線に立つ人影に気付いた。
   1人の男が支線の上で立ちつくしている。

   このまま線路を突っ走れば、5人を轢き殺す事になる。
   進路を変えて支線へ突っ込めば、1人が死ぬ。

   分岐点は、もう目の前……





68 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:07:11 ID:EzI7x3/H0

‡   


空を飛ぶ鳥の姿もなく、地上を駆ける生物もいない、広大な砂の海。
見渡す限りの砂地が、大きく風紋を織りなす枯れ果てた不毛の地をシュリケンジャーは走り続けた。
その代わり映えしない景色の中、走ること数時間。
長く長く続いた緩やかな砂漣の斜面を登り切った先にあったのは、それまでと同じ砂の海ではなかった。
青々と茂る緑の木々と、月明かりを一杯に受けキラキラと輝く水面が揺れている。
そこは、オアシス。
砂漠という荒野の中で唯一疲れを癒し、安らぎをもたらす場所。
滾々と湧き上がる豊かな水と美しい緑に引き寄せられるように、シュリケンジャーの足が速まった。

オアシスに辿り着いたシュリケンジャーは、不思議な程ほっとした気持ちで緑の木々を眺めた。
遙か昔、行商人たちは半月掛けて砂漠を旅したという。
やっと辿り着いた彼らに、オアシスはきっと同じ安堵を与えた。
とはいえ、同じく砂漠を旅したとて、こちらはたった数時間の旅。
心が疲弊したとはニンジャオブニンジャの名が廃る。
それとも殺し合いの場に駆り出されたのが原因なのか。
どちらにしても修行が足りない。
フッとシュリケンジャーは自嘲じみた笑みを漏らす。
心とは違い、身体に疲れは感じられなかった。
呼吸もさほど乱れてはおらず余力は充分に残っている。
ただ額から吹き出る汗と火照った頬が、ウォーミングアップとしては激しすぎたと訴えているようだった。
栗色のサラサラとしたストレートの前髪を汗が伝う。
汗が瞼を流れる前に、湧水に両手を浸し火照った顔に叩き付けた。
冷たい水が汗と火照りを洗い流す。
すっかり爽快になった顔に曇りのない笑顔が浮かんでいた。

69 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:08:15 ID:U+7TQt8Q0
   

70 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:09:25 ID:U+7TQt8Q0
        

71 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:09:33 ID:EzI7x3/H0
シュリケンジャーはそっと頬に手を当て水面を覗き込む。
漣のおさまった水面が、あどけなさの残る端正な横顔を映した。
笑顔、泣き顔、怒った顔、シュリケンジャーは次々と表情を変え水面に映し確かめた。
変装は完璧だった。

「オーケー、これなら完璧だ」

水面に映るシュリケンジャーの面表はハリケンレッドたる椎名鷹介の顔そのものだ。
鷹介に変装していれば、おぼろと出会ったときの説明もしやすいだろうと考えた。
よって、いつものように口調まで変える必要は無い。
幸いにも広間にハリケンジャー、ゴウライジャーたちの姿は無かった。
ジャカンジャとの最終決戦も近い今、戦力たる彼らがこのバトルロワイヤルに巻き込まれなかったのは、せめてもの救い。
シュリケンジャーにとっても、当面の心配と護るべき対象は日向おぼろただ一人だけで良い。
おぼろを護ることを最優先とし、彼女と首輪を解除し帰還する。
ハリケンジャーたちには帰還するまでの僅かな間、一日か二日か、それまで何とか持ちこたえてさえくれればいい。
そして、その間にシュリケンジャーは自らにもう一つの密命を課すこととした。

『このバトルロワイヤルにおいて一の槍、五の槍の二槍を倒す』

シュリケンジャーはサーガインとフラビージョを人知れずこの場で始末するつもりだった。
ジャカンジャの戦力削減は地球の未来の勝利につながる。

「ミーとおぼろは無事に帰還し、ハリケンジャーたちと共に残りのジャカンジャを打ち倒す。そうと決まれば行動開始だ」

掛け声と共に水上を突っ走った。
口調と同じく、シュリケンジャーの思考は明るく楽観的だった。



72 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:11:00 ID:U+7TQt8Q0
       

73 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:12:00 ID:U+7TQt8Q0
          

74 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:12:31 ID:EzI7x3/H0
‡‡

「助かっ……た、の…ね」

スワンの瞳から自然に涙が零れた。
起き上がり両手でしっかりと、身を護る鎧のように自分の肩を抱いた。
涙がとめどなく流れていた。
零れ落ちる涙の先、スワンの血を吸った黒ずんだ砂が、凄惨な戦いを明瞭に思い出させる。
『怖かった』身体が震え、唇がわなないた。
脳裏に甦る理央の侮蔑を帯びた視線。
理央はスワンに弁明する暇も与えず、話に耳を傾けようともしなかった。
戦いというには余りにも一方的。あれは、まるでリンチ。
憤りと恐怖でスワンは無意識のうちに身を固くしていた。
理央は言った。スワンが人間を燃やしたと……
いいがかりをつけ、不意打ちを食らわせたのか?
それにしては、スワンを糾弾する理央の様子は真に迫っていた。

「違う、違うわ。私は殺し合いになんか、乗っていない。私は、私はただ反撃の狼煙を……
どれもこれも、私には必要ない殺し合いの道具。それをただ壊しただけ」

スワンの思考を遮るように、砂を踏み締める足音がした。
顔をあげると、いつの間に追い越されたのか、ドギー・クルーガーが森へ向かい歩いていた。

「ドギー!」

スワンはドギーの元へ走った。
だが砂に足を取られ、思うように進めない。
数歩も進めずに倒れ込む。

75 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:13:29 ID:U+7TQt8Q0
             

76 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:14:10 ID:EzI7x3/H0
不意にスワンを照らしていた月明かりが翳った。
地に映るは黒獅子の影、理央がすぐ後ろに立っていた。

『お前は殺し合いに乗った』

低く唸るような声がスワンの身体を貫いた。
止めを刺しに戻って来た?恐怖に駆られスワンは、砂を掻き這いつくばり前に進んだ。
今度こそ殺される!起き上がり足を速めた。ドギーの名を呼びながら、痛む体をひきずるように、懸命に走った。
だが走っても走ってもドギーの背中に追い付かない。

「ドギー待って!行かないで」

必死の叫びが届いたのか、ドギーがこちらに振り向いた。
安堵したのはほんの一瞬、すぐに悲しみで表情が歪んだ。
ドギーがスワンに向けたのは凍り付いた視線、凶悪な犯罪者たちに向ける目でスワンを見ていた。
その目が次第に激しい怒りの色を増す。
射ぬかれたようにスワンの足が止まる。

「どうして?どうして、そんな目で私を見るの……お願い、話しを聞いて!」

駆け寄ろうとしたスワンは、後ろから羽交い締めにされた。
理央が耳元で囁いた。

『お前が燃やした人間だ。その罪を償え』

体に巻き付いた腕がプスプス音を立て、溶けだした肉が黒く焦げていく。
服が、皮膚が、爪が、黒い煤となって風に散った。
焼け爛れた顔がスワンに頬ずりした。
スワンの口から絶叫が迸った。


77 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:15:46 ID:EzI7x3/H0

‡‡‡


悪夢から目覚めると白衣が包帯に代わりに体に巻きつけられていた。
スワンの前にいたのは理央でも無く、焼死体でもなくシュリケンジャーと名乗る若い男だった。
事の経緯を優しく訪ねてきた彼に、スワンは殺し合いに乗っていないことを説に訴えた。
シュリケンジャーは、その言葉に耳を傾けてくれた。

「私は警察官よ。それに、ここには仲間だっている。きっとどこかでこそこそ見ているロンに宣戦布告しようと、支給品を燃やして反撃の狼煙をあげただけなの。でも、理央の様子は、本当に怒りに駆られていた」
「それでユーは結局の所、理央をスパイだと思ってるのかい?」
「わからない。理央は私が殺し合いに乗ったと思ってるんでしょうけど……」

シュリケンジャーはスワンに肩を貸し、炎の騎馬まで歩いた。
スワンを後ろに乗せ、まるで自分のバイクのように軽々と操る。

「オーケー。どちらにせよ、本当に参加者の誰かが殺されているのかどうか確かめに行こう」

『どちらにせよ』シュリケンジャーの言葉が胸に引っ掛かった。



78 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:16:10 ID:U+7TQt8Q0
          

79 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:17:55 ID:IrIke/XRO



80 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:19:07 ID:EzI7x3/H0
‡‡‡‡


言葉も出なかった。
理央の言った通り、無残な焼死体がそこにあった。

(きっと、これは悪い夢の続き……)

現実逃避しようとする心を、警察官の誇りが押しとどめる。
シュリケンジャーに肩を借りたまま、焼死体の側へ歩み寄った。
焼死体の側でしゃがみこんだスワンの横で、シュリケンジャーは割れた瓶の破片を手に取り見つめている。
スワンは焼死体を眺めた。
顔を庇ったのか、ボクサーがガードをするような姿勢で死んでいる。
左手には青いメダルの着いたブレスレット。
スワンは腕の間から顔を覗いた。
損傷の酷い下肢や腕に比べ、焼損は少ない。
若く綺麗な女の子。苦悶を浮かべた形相をしているが、知る人が見れば誰だか分かるだろう。
煤が鼻腔内に付着している事から、死後焼却されたものとは考えられなかった。
全体から見て、焼身自殺を図ったのと同じ、炎に包まれることにより吸気中の酸素が欠乏したのが直接の死因。
火に包まれた時に呼吸をしていた、それは生きながら焼かれたことを示す。
いやな汗が背中を伝った。
スワンが反撃の狼煙を上げた時、近くには誰もいなかった。
誰かいたとしても燃え盛る炎に飛び込んだとは考えがたい。

(まさか、人間香水の中身がこの娘?でも、参加者じゃない)

その首には参加者全員に嵌められたはずの首輪が無い。
確かに、殺したのは自分かもしれない。
しかし、この死体は首輪もしておらず、デイバックが残されている訳でもない。
参加者で無ければ、スワンの予想した通り、彼女はロンが用意したスパイ。
その事をシュリケンジャーに伝えようと彼の腕を掴んだ。
硬く力が込められた腕の感触に驚いた。

81 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:19:21 ID:U+7TQt8Q0
        

82 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:21:44 ID:EzI7x3/H0
シュリケンジャーが小さな声で何か呟いた。
琥珀色をした瓶の破片を握り締めたシュリケンジャーの指の隙間から血が滴り落ちる。

「シュリケンジャー?」
「この破片は何だ!ユーはいったい何を燃やしたんだ!!」

あまりの剣幕に唖然とし、すぐに背筋が寒くなった。
シュリケンジャーがスワンを見る目は、理央がスワンに向けた物と同じ。
怒りに臨気を纏いスワンに拳を振り下ろした目と同じだった。
誤解を解かなければ、頭の中はそれでいっぱいだった。

「何って私は、支給品を……キラ・コローネの人間香水を、亡国の炎に。人間で作った悪趣味な香水を投げ入れただけよ」
「ジーザス!なんて事だ。いいかいスワン、人間香水の中身は『人間』なんだ。人間香水には24時間のタイムリミットがある。つまりそれまでに瓶を開けていれば中の人間は解放されたんだ!」
「だって、そんなこと知らなかった……でも、彼女の首元を見て?彼女には首輪が無いでしょう。おそらくロンの刺客よ。うっかり開けてしまえば私が殺されていたかもしれないのよ!」

堪え切れず声を荒げた。

83 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:22:23 ID:U+7TQt8Q0
       

84 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:23:11 ID:KiYUvRQ70



85 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:23:57 ID:U+7TQt8Q0
           

86 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:24:15 ID:KiYUvRQ70
ageてスマソ

87 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:24:38 ID:EzI7x3/H0
シュリケンジャーは大きく息を吐き出し、哀れみを湛えた上目使いでスワンを見た。

「……ユーは、とんでもない勘違いをしている。これはミーの仲間。ハリケンブルー、野乃七海さ」
「あなたの仲間?」
「そう、その焼死体がミーの仲間。キラ・コローネは宇宙忍法香水固めの術で人間を香水にするジャカンジャの中忍。ミーが倒したはずなのに!」


私が罪の無い人間を殺してしまった?
そんなつもりじゃなかった。
知らなかったんだもの。
いいえ、知らないではすまされないわ。
私が殺した。
わたしが殺した。
わたしがころした。
ワタしがコロした。
ワタシガ罪ノ無イ人間ヲ殺シテシッマタ?

「スワンさん?」

名を呼ばれスワンは我に帰った。
スワンさん?
スワンは可笑しかった。どうして犯罪者をさん付けで呼んだりするのだろう。

88 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:26:06 ID:KiYUvRQ70



89 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:26:17 ID:U+7TQt8Q0
        

90 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:26:48 ID:IrIke/XRO
支援

91 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:27:18 ID:EzI7x3/H0
渇いた笑いが漏れた。

「ごめんなさい。私が殺したのよ……」
「誰もそんな事は言っていない」
「いいえ、結果としてはそうだわ。人間香水なんて、名前の意味をよく考えれば簡単に想像は付いた」

顔を強張らせ、後ろへ退いた。
炎の騎馬へまたがりエンジンを掛けた。
咄嗟に身構えたシュリケンジャーを見て、やはり自分は犯罪者なのだと痛感した。

「どこへ?」
「罪は、自分で償うわ……でも、私は皆のために、ドギーのために。首輪を解除して脱出しようと思っただけなの。お願い、それだけはわかって」

シュリケンジャーの姿が見え無くなるまで駆けた。
振動で胃の辺りが酷く痛んだ。
構わずスピードを加速する。
ごめんなさい。
誰に言うわけでもなく、すべて人に向けて思う。
涙で滲んだ視界を、瞼で閉ざした。

衝撃音が森に響いた。

感覚は曖昧だった。
地に叩き付けられた身体よりも、むしろ身体の中、胸の奥が熱く痛かった。

92 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:27:54 ID:U+7TQt8Q0
         

93 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:29:24 ID:EzI7x3/H0
肩で息をしながら、薄汚れた血を吐きながら、SPライセンスをかざし最後のジャッジメントをコールする。

「チーニョ星人、白鳥スワン。殺人の罪でジャッジメント……」

警察官としての誇りは捨てない。
自分のした罪から逃れる事はしない。
抹消処分罪状は殺人罪、宇宙最高裁判所はきっとデリート許可を出す。
命が尽きる前に、ジャッジが降りるはず。
なのに、宇宙最高裁判所からの判決はいくら待っても来ない。
死んで罪を償いたいのに、いつまでも死なせてくれない。

「私には、裁きを受ける権利も無いの?」

白いSPライセンスが暗い闇の色に同化していく。
悪夢と同じく、ただスワンの前には目の眩むような絶望しかなかった。

94 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:30:22 ID:U+7TQt8Q0
          

95 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:30:52 ID:EzI7x3/H0

‡‡‡‡‡

シュリケンジャーはデイバックから取り出した白衣の切れ端で、爛れた七海の顔をそっと隠した。

「七海……あの時、キラ・コローネは倒したはずだったのに……生命の復活か、ロンが広間で言ったのはあながち嘘じゃなかったわけだ」

キラ・コローネを復活し、七海をもう一度香水にした。
人知れず参加者を集め、命までも操る。
とんでもない奴を相手している、そう思うと背中に薄ら寒い物を感じる。

森の奥から衝撃音が聞こえた。
だがシュリケンジャーは振り返ろうともせず、考え倦ねいていた。

ジャカンジャの地球侵攻の理由である『アレ』を出現させるわけにはいかない。
このままおぼろだけを連れて帰ったとして、七海の抜けた穴をどうする。
そうでなくとも、未熟な戦士たち。一人といえども戦力を欠いたままでは、地球の未来が、人類の存亡が危うくなる。
かといって、殺し合いに乗るならば、おぼろを含めた参加者全員を殺さなければならない。
だが最終決戦に、おぼろと七海の二人は絶対に欠かせない。

ならば、シュリケンジャーの選ぶ道は一つ。
殺し合いに乗る。
このバトルロワイヤルに勝ち残り、おぼろと七海を生き返らせ、五体満足で帰還させる。
もし、二人生き返らせるのが無理ならば、アレを消滅させるよう願い、地球を救えば……
二人の死は、無駄にはならない。

顔を捨て名を捨て、影となりて敵を討つ。
それが忍者の定め。
地球を、未来を、御前様を護る為ならば、たとえどんなに誤った選択だとしても、どれほど己の手が血で汚れようとも、使命を全うする。
ニンジャオブニンジャ、シュリケンジャーの選んだ道なのだから。


96 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:32:54 ID:U+7TQt8Q0
    

97 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:33:11 ID:EzI7x3/H0
【名前】白鳥スワン@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:第46話『プロポーズ・パニック』後
[現在地]:B-9森 1日目 黎明
[状態]:2時間変身不可。全身打撲。背中に大ダメージ。内蔵損傷。
[装備]:SPライセンス
[道具]:炎の騎馬、支給品一式
[思考]
基本方針:気絶中


【名前】シュリケンジャー@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三後
[現在地]:C-10森 1日目 黎明
[状態]:健康。
[装備]:シュリケンボール
[道具]:確認済み
[思考]
基本方針:殺し合いに乗る。
第一行動方針:七海とおぼろを五体満足で帰還させる。
第二行動方針:それがだめならアレの消滅を願う。

備考
・シュリケンジャーは変身に制限があることに気付きましたが、具体的な時間は気づいていません。




98 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:34:05 ID:U+7TQt8Q0
      

99 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:36:18 ID:EzI7x3/H0
以上です。

訂正が一つありました。
>>95
誤>>二ンジャオブニンジャ、シュリケンジャーの選んだ道なのだから。


正>>それがニンジャオブニンジャ、シュリケンジャーの選んだ道なのだから。


100 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:38:11 ID:U+7TQt8Q0
投下乙!
殺し合いに乗ったシュリケンジャー……
自分で自分をジャッジメントするスワンさん……
いずれも切なく、かつ上手く運んでおり、面白かったです。
GJ!

101 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:38:22 ID:EzI7x3/H0
感想、指摘等をよろしくお願いします。


102 :Trolley problem ◆MGy4jd.pxY :2008/06/02(月) 23:40:52 ID:EzI7x3/H0
さっそくの感想ありがとうございます。


103 :名無しより愛をこめて:2008/06/02(月) 23:43:35 ID:IrIke/XRO
>>101
GJです!息を飲み、言葉もでない。
まさしく圧倒される作品でした。
シュリケンジャーの決意と、自分を殺そうとするスワンさんが胸に来ます。
本当にGJでした。

104 :名無しより愛をこめて:2008/06/03(火) 00:41:50 ID:PpLlpb9Z0
つーか、本当に七海だったのか…いきなり焼死体で登場とは…!
フラビなら大喜びしそうだなぁ…そういう話かこうかしら?

105 :名無しより愛をこめて:2008/06/03(火) 22:30:19 ID:cK7hLS1o0
遅ればせながら、お二方ともGJ!

桃色天然娘>
ウメコに菜月を重ね、真墨を思い出す映士が格好よかったです。
後々それがどういう影響を与えるか不安ながら楽しみになりました。

Trolley problem>
人間香水の正体。それに伴って、シュリケンジャーのまさかのマーダー化。
そして、自暴自棄になっているスワンさんなど、鬱な方向に見所満載の作品でした。
少々指摘ですが、
>>77の一文
悪夢から目覚めると白衣が包帯に代わりに体に巻きつけられていた。
たぶん『に』が余分かと。
あと、スワンさんの変身制限時間ですが、1時間30分が妥当ではないでしょうか。


106 : ◆i1BeVxv./w :2008/06/04(水) 00:37:39 ID:TQjSMP470
投下します。

107 :嵐の前の邂逅 ◆i1BeVxv./w :2008/06/04(水) 00:38:04 ID:TQjSMP470
 シオン、ドギー、グレイの3人はG4エリアにある廃工場にいた。
 重症を負ったドギーが休息している傍らで、シオンは3人のディパックの確認を行い、グレイはライフルから取り外したスコープで窓から外の様子を窺っていた。
 シオンの支給品は元から左手に装着していたクロノチェンジャーに加え、カブトムシ型の銃――ホーンブレイカーとダイヤモンドより固いといわれる石――鬼の石のふたつ。
 一応、当たりの部類に入る支給品だろう。
 ドギーの支給品はライフバード。5つのレスキューツールを組み合わせた鳥型のマシンだ。
 ただ、レスキューツールを使用するためにはレイザーグリップが必要になる。残念ながら今のシオンたちにはガラクタでしかない。
 そして、グレイの支給品は遠距離射撃用ライフル。正式名称はM24、軍用のスナイパーライフルだ。
 30世紀から来たシオンにとっては相当古い型になるが、遠距離からの攻撃と索敵を可能とする優秀な支給品である。
 だが、結局その支給品の数々もシオンが求めていたものではなかった。
「日が昇りましたね」
 窓から入ってきた日の光に気づき、シオンは呟いた。
 今いる場所がいつで、ここがどこなのかはわからない。
 20世紀なのか、30世紀なのか。地球なのか、別の星なのか、それとも異空間なのか。
 だが、少なくとも夜があり、朝があることがわかった。
 何気ない情報だが、大きな謎を解き明かすためには、その積み重ねが重要になってくる。
(もしここが異空間だとしたら、首輪を外すだけじゃ脱出できません。ただ強力な武器があっても宝の持ち腐れです。場所を特定する手がかりがないか注意しないと)
 シオンはロンダーズファミリーの囚人、狂気の科学者ゲンブとの戦いを思い出す。
 ゲンブはゲンブゾーンという特殊空間にシオンたちを引きずりこみ、タイムレンジャー抹殺を企んだ囚人だ。
 その時は運良く脱出できた竜也とユウリの活躍により、ゲンブゾーンを破壊することが出来た。
 しかし、それはゲンブの囚人データという事前情報があったからこそ成功したことだ。
 ここに拉致されて数時間、情報はまだわずか。新たな情報を得るために使える支給品があればと思ったが、予測していたことだが武装ばかり。


108 :嵐の前の邂逅 ◆i1BeVxv./w :2008/06/04(水) 00:38:36 ID:TQjSMP470
(通信はできないみたいですし、あとはクロノスーツの分析機能でどこまで分析できるか……)
「朝か、この日の光が俺たちに味方してくれればいいが」
 シオンの思考を遮り、傍らにいたドギーが言葉を口にする。
「シオン、そろそろ移動しないか?傷の具合も、大分楽になった」
 シオンはドギーの言葉が強がりだとすぐにわかった。
 手当てをしてから2時間弱。その程度の時間で回復するほど浅い傷ではないのは、手当てをしたシオンが一番よくわかっている。
 だが、同時にシオンはドギーが強がるわけにも察しがついた。
 日が昇り、明るくなった今なら仲間との合流も手がかりの探索もやりやすくなる。
 しかし、それは襲撃者にも狙われやすくなるということ。ドギーには早く合流し、守りたい仲間がいるのだ。
「……そうですね。じゃあ、行きましょうか」
 シオンはドギーに手を差し伸べる。
「ああ」
 そして、ドギーはその手を握り、立ち上がった。



「邪魔だとは思わないのか?」
 移動するための身支度を整えている最中、グレイはシオンに声を掛けた。
「邪魔って、何がですか?」
「ドギー・クルーガーだ。あの様では足手まといにしかならない」
「グレイさん、僕はドギーさんと一緒に行動するって、約束しました。僕は約束を守ります」
「その結果、手遅れになることがあるかも知れんぞ」
 グレイの言いたいことはわからないでもなかった。一刻を争う今の状況で、最も効率的に動こうと思うなら、シオンひとりで動くのがベストだ。
「そうかも知れません。でも、もうドギーさんも、グレイさんも仲間ですから。
 仲間が危ない目に遭うかも知れないのに放っては置けませんよ。グレイさんがドギーさんを守ってくれるって言うなら安心なんですけど」
「断る」
「ですよね」
 困ったような笑みを浮かべるシオン。
 グレイは一瞥し、踵を返すと、スコープを手に、再び窓から外を見た。
「要はお前の代わりにドギー・クルーガーを守る奴がいればいい。そうすれば、お前は動ける……少し待っていろ」
「グレイさん、待ってろって、どこに行くんですか!?」

109 :嵐の前の邂逅 ◆i1BeVxv./w :2008/06/04(水) 00:39:35 ID:TQjSMP470
 制止の声を上げるシオン。だが、その声に構わず、グレイは廃工から出て行った。



「ふぅ、やっと街が見えてきたな」
 ようやく都市エリアへと辿り着いたことに、レッドレーサー、陣内恭介は安堵の溜息を吐いた。
 4時間近く歩き続けた足は棒のようだ。恭介としてはそろそろ休憩したいところだが――
「ええ、でもここからが本番です。きっと数多くの参加者がここにいるはずですから」
 同じ距離を歩いてきたというのに、同行者である西堀さくらはまったく疲れを見せない。それどころかやる気満々だ。
 その様を見ると、男のプライドというやつが邪魔して、恭介の方から休みたいとは言い出せなかった。
(ええぃ、しょうがない。仲間を見つければ情報交換という名目で休憩ができるはずだ)
「よぅーし、さっさと仲間を見つけて、ここから脱出だ!」
 恭介は自分を鼓舞するかのように腕を天に突き上げ、大声を上げた。
「早速、誰か来たようですね」
「なに?」
 恭介が視線を向けると、正面からガシャッ、ガシャッと足音を鳴らし、こちらに近づいてくる黒づくめの男が見えた。
「あれはロボット?」
 距離が狭まるにつれ、その姿が明らかになっていく。
 赤い線状の眼に、黒い硬質的な身体。胸の透明なカバーからは複雑な回路が視認でき、相手が明らかに生命体でないことを示している。
「味方なのかな?」
 問いかけると、さくらはあからさまに渋い顔をした。
「見た目で判断してはいけませんが、かなり怪しいですね」
 少なくともさくらが知る限り、SGSのデータバンクでは見てない顔だ。
 やがて、さくらたちから1メートル程度の位置に来ると、ロボット――グレイは歩みを止め、言葉を紡いだ。
「一緒に来てもらおう」
「用件は?」
「来ればわかる」
「断ったら?」
「力ずくでも連れて行く」
 さくらとグレイの間に一触即発の空気が流れる。さくらはグレイを、グレイはさくらだけを見ていた。
「おーい、俺もいるんだけど」

110 :嵐の前の邂逅 ◆i1BeVxv./w :2008/06/04(水) 00:40:17 ID:TQjSMP470
「………」
「………」
「無視かよ」
 恭介のツッコミを余所に緊張感は極限にまで高まっていた。後はどちらが先に動くか。
「……追ってきたか」
 しかし、その空気はグレイ自らによって破られた。グレイが振り向くや否や、聞こえてくる声。
「グレイさーん!」
「お前、何をやっている!」
「ふん」
 グレイが向いた先に視線を合わせると、駆けて来る緑色の髪の青年。そして――
「犬?」
「違います。あれはアヌビス星人です。……どうやら敵ではなかったようですね」
 さくらはひとりで納得すると、グレイと合流した二人に声を掛ける。
「はじめまして、ドギー・クルーガーさんですね」
「そうだが、君は?」
「申し遅れました。私は西堀さくら。ボウケンジャーというより、サージェス財団に所属していると言った方がわかりやすいでしょうか」
 サージェス財団と聞いて、恭介を初めとした皆は反応を示さなかったが、ドギーには通じたらしい。
 徐に頷き、意を得たりといった様子だ。
「なるほど、君は俺のことを知っているようだが」
「ええ、宇宙警察地球署のトップともなれば、SGSのデータバンクにも当然登録されています。当然、殺し合いには?」
「ああ、勿論乗っていない。もっとも……いや、なんでもない」
 ドギーは一瞬だけグレイに視線を向けたが、直ぐに視線を戻す。それをさくらは訝しげに思ったが、今は聞くべきことではないと判断し、話を続けた。
「私たちも殺し合いをするつもりはありません。ドギーさん、他の仲間たちの捜索とここからの脱出のため、協力していただけますか?」
「ああ、こちらこそ宜しく頼む」
 さくらとドギーは互いの手をがっしりと握った。
「よーし、それじゃあ早速自己紹介だ。俺は陣内恭介、レッドレーサーだ」
「僕はシオンっていいます。宜しくお願いします」
「シオンか。そっちの黒いロボはなんていう名前なんだ」
 恭介はシオンと握手を交わしながら、傍らにいるグレイに声を掛ける。誤解をした分、極めてフレンドリーに。
「グレイ……」
 グレイはそれだけ答えると、恭介たちから一定の距離を取り、大地に腰を下ろした。
 勝手にやってくれということなのだろうか。

111 :嵐の前の邂逅 ◆i1BeVxv./w :2008/06/04(水) 00:41:11 ID:TQjSMP470
「なんだ無愛想な奴だな」
「大丈夫、照れてるだけですよ」
「そうか」
 何にせよ、他の参加者との合流は恭介にとって休憩のチャンス。
 恭介は情報交換という名目の元、休憩をとるよう皆に勧めた。



(借りを返し損なったか)
 グレイは懐から煙草を取り出すと、ライターとなっている人差し指で、それに火を点けた。
 恭介とさくらの姿はかなり早い内から捕捉していた。それこそ、相手が何者かを分析できるほどに。
 恭介はそれなりに辺りを警戒してはいるものの要所要所で粗が目立った。
 戦闘経験はあるのかも知れないが、錆びついているか、さもなくば慣れていないか。
 どちらにせよ大したことはない。
 一方のさくらはかなり洗練された動きをしていた。
 決して隙を見せず、近場から遠方まで気を配っている。しっかりと戦闘訓練を受けた者の動きだ。
 ジェットマンのように変身すれば、それなりの好敵手になるかも知れない。
 そして、出会って間もないのだろう二人の間にはたどたどしさがあった。
 互いに相手の隙を窺っていないにも関わらずだ。二人とも殺し合いには乗っていない証だろう。
 そこまで分析をしながらも、本来ならグレイはその存在をシオンたちに知らせるつもりはなかった。
 戦士として、グレイが借りを返す最も適切な方法は戦い。
 殺し合いに乗っているのなら、数減らしにも意味があるが、殺し合いに乗っていない人間を殺したところで借りを返したことにならない。
 しかし、ドギーを守る仲間が欲しいことがシオンの願いなら、交渉にも価値があるかと接触を試みた。
 結局、成果とはいえない有様だが。
(やはり戦士とは戦いでこそ、借りを返すもの)
 そのとき、グレイの願いが天に通じたかのように、狂気に満ち溢れた声が響き渡る。
「メガブルウゥゥゥゥッ〜!どこにいるんだ?早く出て来いよ〜」

112 :嵐の前の邂逅 ◆i1BeVxv./w :2008/06/04(水) 00:41:51 ID:TQjSMP470
 それはネジブルーが獲物を求める声。
(F5エリア。タワーの頂上か)
 音声情報と事前に確認していた地図情報から、グレイの電子頭脳が場所を割り出す。
「メガブルーだと!」
 そして、それと同時に恭介の一際大きな声が聞こえた。
(どうやら借りが返せそうだ)
 グレイはこれから始まるであろう戦いに、紫煙を燻らせた。

113 :嵐の前の邂逅 ◆i1BeVxv./w :2008/06/04(水) 00:42:14 ID:TQjSMP470
【名前】グレイ@鳥人戦隊ジェットマン
[時間軸]:49話(マリア死亡)後
[現在地]:G-4都市 1日目 早朝
[状態]:健康?
[装備]:自らのパーツ全て
[道具]:遠距離射撃用ライフル(残段数4発) 支給品一式
[思考]
基本行動方針:未定。第一行動方針を果たした後の行動は決めていない
第一行動方針:自分の納得のいく形でシオンに借りを返す

【名前】シオン@未来戦隊タイムレンジャー
[時間軸]:50話、タツヤと別れる瞬間(20、21世紀の記憶、知識は全て残っている?)
[現在地]:G-4都市 1日目 早朝
[状態]:健康
[装備]:クロノチェンジャー
[道具]:ホーンブレイカー、鬼の石、支給品一式
[思考]
基本行動方針:仲間を集めて、ロンを倒す
第一行動方針:首輪を解除するために、機械知識のある人間と接触したい。
第二行動方針:グレイとドギーの仲が険悪なので、なんとか懐柔したい。

【名前】ドギー・クルーガー@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:最終回時点
[現在地]:G-4都市 1日目 早朝
[状態]:負傷、暫く戦闘不能(無理をした場合命に関わる)グレイを警戒
[装備]:マスターライセンス
[道具]:ライフバード、支給品一式
[思考]
基本行動方針:首輪を解除して、ロンを倒す
第一行動方針:仲間と情報交換。
第二行動方針:スワンを探す。


114 :嵐の前の邂逅 ◆i1BeVxv./w :2008/06/04(水) 00:42:44 ID:TQjSMP470
【名前】陣内恭介@激走戦隊カーレンジャー
[時間軸]:メガレンジャーVSカーレンジャー終了後
[現在地]:G-4都市 1日目 早朝
[状態]:健康。呼ばれた知り合いの声に驚愕。
[装備]:アクセルチェンジャー
[道具]:芋ようかん×3
[思考]
基本行動方針:殺し合いから生き延びる。
第一行動方針:新たに出会った仲間と情報交換。

【名前】西堀さくら@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:G-4都市 1日目 早朝
[状態]:健康 (ただし、ロンによる洗脳を受けており、いつでも傀儡になる危険性あり)
[装備]:アクセルラー
[道具]:ガラスの靴、虫除けスプレー、虹の反物の切れ端
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ここから脱出する。
第一行動方針:恭介たちと共闘して仲間を増やす。このゲームのルールを把握する。
※)裏行動方針:ロンの言われるままにいいように操られ、見苦しく惨めな死に様を晒す。
ただし、本人にその自覚はなく洗脳行動も全て自分の意思であると思い込む。


115 :嵐の前の邂逅 ◆i1BeVxv./w :2008/06/04(水) 00:44:05 ID:TQjSMP470
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想、他指摘事項などありましたら、宜しくお願いします。

116 :名無しより愛をこめて:2008/06/04(水) 00:55:09 ID:8dsQn8zQ0
さくらと美希の邂逅はやばそうだなw
SGSバンク(おまけのアレかw)ではバイラムの情報はそんなにないのか…確かに敵の画像はあんま出てなかったな。
細かい配慮ですね。
さくらの連れてこられた時間軸的にはおそらくVSを終えているのでテツを通しても
SPDを知っているわけですね。

117 :名無しより愛をこめて:2008/06/04(水) 01:00:57 ID:BJGerHD+O
>>115
GJです。
それぞれの思惑が絡み合う、今後の展開に期待の募る作品でした。
それにしても、グレイは結構義理堅いw

118 :名無しより愛をこめて:2008/06/04(水) 01:04:25 ID:8dsQn8zQ0
マリア死亡後だしなぁ…生きるのはついでのついでって感じで死に場所求めているんだろう。
本音なら凱と戦いたいんだろうけど。

119 :名無しより愛をこめて:2008/06/04(水) 01:18:21 ID:54LCgziB0
義理というよりプライド
…もしくはゲームの中の自分ルールが近いでしょうな。

120 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/04(水) 11:58:52 ID:VSzdcLOo0
GJ!
グレイとさくらの緊迫した空気が伝わるようでした。
恭介の「無視かよ」に吹きました。
強力ながらも爆弾を抱えたチームの行く末はいかに?

そして、感想、ご指摘感謝します。
ご指摘の件ですが申し訳ありません。確認ミスです。
ご指摘いただいた>>77の一文 、仰る通りです。『に』が多いです。
そしてスワンの変身制限に関してですが、状態表から2時間変身不可を削除し忘れていました。
シュリケンジャーが砂漠を数時間走って、倒れているスワンとあったのが午前三時くらいとして、
SSの最終時刻は午前4時程度と仮定しており、その時点でスワンは変身可能でしたのに。
ちなみに宇宙最高裁からの判決が下りなかったのは、変身以外の機能(通信等)は制限により使用出来ないと解釈していたからです。
一時投下スレにて脱字と状態表を訂正させていただきます。




121 :名無しより愛をこめて:2008/06/04(水) 18:41:34 ID:ELVi9M9r0 ?2BP(1)
壷の話出てるので転載〜

【緊急】壷使ってる奴こい
http://live27.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1212390221/182,189
> 189     名前:マァヴ ◆jxAYUMI09s  [] 投稿日:2008/06/04(水) 15:07:52.28 ID:N6BI44ak ?DIA(100001)
> 壷復旧方法ページ、携帯向け
> つhttp://ula.cc/help/info/tubo.html
>
> 携帯から壷の復旧方法を見れるようにまとめました(^_^;
> 携帯から壷の不具合情報を探しているかた、こちらをごらんくださいー

122 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/04(水) 19:58:05 ID:DUXThJPv0
>>121
あの時は焦りました。
自分もプロバイダーに電話して解決しました。

123 :名無しより愛をこめて:2008/06/08(日) 19:10:46 ID:dnVFZyi+O
そういえば、映士って菜月と蒼太からすれば、
あんた誰?状態なんだよね。
やっぱり映ちゃんカワイソス

124 :名無しより愛をこめて:2008/06/08(日) 23:18:48 ID:hqFbSsdf0
そういや、こういった作品で時間軸から抜けた後の世界がどうなってるかって言うのは
気になるな。
歴史が滅茶苦茶になるんじゃないかっていうタイミングから来てる連中もちらほら…

125 :名無しより愛をこめて:2008/06/09(月) 00:09:11 ID:bdsjAahHO
>>124
一番やばいのはボウケン世界かな。
他は何人か残ってるけど、あそこは全員参加だし。

126 :名無しより愛をこめて:2008/06/09(月) 00:12:33 ID:az6iFwdw0
枝分かれ時空説が一番便利なんだろうが、そうするとガイが抜けた時間軸でレイが不憫すぎるなw
終盤でチーフや姐さん抜かれるのもきつそうだが。


127 :名無しより愛をこめて:2008/06/09(月) 01:12:37 ID:bdsjAahHO
逆にそんなに支障なさそうなのはどこだろう。

128 :名無しより愛をこめて:2008/06/09(月) 01:48:06 ID:az6iFwdw0
むしろ助かるのはジェットマンとか?
凱は消化不良かも知れんけど。

129 :名無しより愛をこめて:2008/06/09(月) 02:01:43 ID:bdsjAahHO
ゲキレンはその後の世界が大変な事になってるのかな。
明言はされてなかったけど。

130 :名無しより愛をこめて:2008/06/09(月) 19:28:28 ID:eEHX5FSv0
>>123
裕作さんもあてはまるな。嗚呼、追加戦士の悲哀

131 :名無しより愛をこめて:2008/06/09(月) 19:33:06 ID:az6iFwdw0
蒼太の場合、ヴリル以前から来てるから真墨はおろか、菜月に心を開いてないけどな。
姐さんとチーフは敬愛対称だろうけど。

132 :名無しより愛をこめて:2008/06/10(火) 14:56:03 ID:aGpbZwAh0
>>127
555、ギンガマン、アバレンジャーはいたって平和だな。
デカレンは層が厚いんで、なんとかなりそうな気もする。


133 : ◆5h3T6s3PXc :2008/06/10(火) 23:33:13 ID:lDO2Oxpq0
したらばでも報告しましたが、3日延長をお願いします。

134 :名無しより愛をこめて:2008/06/11(水) 03:48:30 ID:sWlSpcwiO
了解しました。
お待ちしてます。

135 : ◆i1BeVxv./w :2008/06/11(水) 22:45:29 ID:k0sTbOOe0
投下いたします。

136 :強き女、愛の女 ◆i1BeVxv./w :2008/06/11(水) 22:46:09 ID:k0sTbOOe0
 竜也は夜の森を疾走していた。
 全速力で相手を見失わないようにひた走る。
「おーい、待ってくれ!」
 速度を緩めてもらおうと、大声を張り上げるが、相手は意に介そうとしない。
 已むなく、竜也は体力の続く限り、走り続けるしかなかった。

 竜也が誰を何のために追っているのか。時間はシグナルマンがメレのため、墓穴を掘っていた頃にまで遡る。

「ねぇ〜、なにしてるのか見える〜?」
「どうやら、穴掘ってるようだニャー」
 シグナルマンの後方約10m。竜也と菜月、スモーキーの2人と1匹は木陰に隠れ、シグナルマンの動向を窺っていた。
 戦いの気配を感じ、駆けつけた竜也たちだったが、既にその場から争いの鼓動は消えていた。
 何か手がかりはないか。辺りを捜索していたところ、たまたまスコープショットを覗いていたスモーキーがシグナルマンを発見し、様子を見ることになったわけだ。
 代わる代わるシグナルマンを確認したが、その姿に見覚えはない。果たして、敵なのか味方なのか。
「スモーキー!他に何か見えないか」
 高い木に登り、より詳細にシグナルマンを観察するスモーキー。障害物がない分はっきりと見える。
「うーん、なんか隣に美人のねーちゃんが寝てるニャー。でも、ピクリとも動かないニャー?
 ………ニャ!も、も、も、もしかして、殺した娘を埋めようとしてるんじゃ」
 スモーキーは自らの予想に身体を大きく震わせ、思わず木から落ちそうになる。
「慌てるな、スモーキー。仮に女性が死んでいたとしても、彼が殺したとは限らない。
 むしろ彼が殺したのなら、すぐにこの場から離れるのが自然だ。穴を掘ってるのはもしかしたら、墓を造っているのかもしれない」
「お墓造ってるんなら、悪い人じゃないのかも」
「いや、それもわからない。今の段階で断定するのは危険だ。とりあえず、もう少し様子を見よう」
 引き続き、シグナルマンの様子を観察する竜也たち。
 もう少しはっきり見ようと、シグナルマンの傍らにいる女性が見える位置にまで距離を詰める。
 その時、竜也たちの眼前で不可思議なことが起きた。

137 :強き女、愛の女 ◆i1BeVxv./w :2008/06/11(水) 22:46:31 ID:k0sTbOOe0
 突然、死んだと思われていた女性が土を掻き分け、起き上がり、シグナルマンと交戦を始める。
「や、やっぱり、生き埋めにしようとして……」
 再び物騒な推理を行うスモーキー。だが、今は突っ込んでいる場合じゃない。
「あっ、女の人、逃げようとしているよ。どうしよう、竜也さん」
 菜月の問いかけに竜也は迷う。今まで様子を窺っていたが、両者とも敵か味方か、判別することはできなかった。
 はっきりさせるには、やはり一か八か、接触するしかない。
 問題は追うか残るか、竜也は結論が出せずにいた。
 不意に竜也の袖が引かれる。
「竜也さん……二手に分かれよう」
「菜月ちゃん」
 菜月の申し出は、竜也の望んだものだった。もし仲間になることが可能な参加者なら、折角の合流の機会を逃すことになる。
 だが、そうなれば、おのずと自分と菜月は分かれることになる。
 自分に会うまであれほど怯えていた菜月をまたひとりにして大丈夫なのだろうか。
「大丈夫!菜月頑張れるよ!」
「俺様も付いているから、大丈夫。さっさと行くニャー」
 竜也の心情を察し、強気に振舞う菜月とスモーキー。竜也の向く先は決まった。
「2時間以内には戻ってくる。もし、移動しなきゃならない事態に陥ったら、G1エリアの一番高い建物に!」
 そう言うと、竜也は走り出す。
(行っちゃった……)
 あっという間に見えなくなる竜也の背中。菜月はフッと息を吐く。
 菜月の心から恐怖はまだ取り除かれてはいない。
 それどころか、竜也のおかげで抑え付けていた恐怖が、徐々に鎌首を擡げてきている。
 心臓の鼓動が激しく高鳴り、体が小刻みに震える。
 大丈夫なんて嘘だ。本当は怖くて、不安で、どうしようもない。竜也に一緒にいて欲しい。
(だけど、あの娘ももしかして、菜月と同じ気持ちなのかも知れない)
 菜月の眼の前で、女性は気丈にも相手に立ち向かっていった。
 だが、もしかしたら彼女の心も恐怖で押し潰されそうになっているのかも知れない。
 そう思うと、彼女をひとりにしたくはなかった。
(大丈夫。菜月は強き冒険者だもん。スモーキーもいるし。アクセルラーもある)
 一歩、一歩、歩みを進める。女性との接触は竜也に任せた。


138 :強き女、愛の女 ◆i1BeVxv./w :2008/06/11(水) 22:47:05 ID:k0sTbOOe0
 その間、自分はもうひとりの人物と接触しなければならない。
 木々が開ける。掘り起こされた柔らかな土に菜月の足が沈んだ。近づいた気配に、大地に顔を埋めていたシグナルマンがこちらを振り向く。
「あ、あの」
 菜月は恐怖に負けぬよう精一杯声を絞り出した。

 そして、時間は現在に至る。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、見失ったか」
 時間は深夜。しかも場所が森となれば、月明かりがあるとはいえ、逃げる相手を捕獲するのは並大抵のことではない。
 竜也とて例外ではなく、右を見ても、左を見ても、相手の姿を捕捉することはできない。
(どうする、諦めて戻るか?いや、あれが使えるかも知れない)
 竜也はディパックの中から3つある支給品の1つを取り出す。それは先がU字型をした杖であった。
「魔人マグダスの杖か」
 魔人マグダスの杖。それは宇宙海賊バルバンのバットバス魔人部隊に所属する魔人マグダスが持つ杖である。
 先が特殊な磁石になっており、目盛りを操作することによって、8種類の中から選択した物体を引き寄せることができる。
 竜也は同梱されていた説明書に従い、目盛りを『人』の描かれている場所に合わせ、杖を適当な方向に向けた。
 説明書には射程距離は書かれておらず、正しい方向に向けているのかもわからない。
 だが、駄目で元々。何もしないよりはマシだ。
「吸着!」
 竜也の叫びに応じ、マグダスの杖は特殊な磁力を迸らせる。
 結論から言えば、竜也が向けた方向には誰もいなかった。当然、いくら竜也が待とうとも、マグダスの杖に吸着することはない。
「なにやってるかしら?」
 しかし、その光景は相手の興味を引きつけるには充分な効果を発揮した。
「うわっ!」
 突然の強襲、木の上に隠れていた相手は竜也の背中目掛けて渾身の蹴りを放った。なす術もなく、竜也は大地に突っ伏す。
 身を起こそうとするが、それよりも早く、相手の足がうなじを踏みしめ、動きを封じる。
「こっちを向いたら、殺すわよ?」
 威嚇しつつ、竜也の手からディパックを奪い取り、中身を漁る。
「おい、俺は戦うつもりはない。俺の話を聞いてくれないか?」
「うっさいわね。後で聞いてあげるから、ちょっと待ってなさい」


139 :強き女、愛の女 ◆i1BeVxv./w :2008/06/11(水) 22:47:31 ID:k0sTbOOe0
 敵か味方か、一刻も早く確認したい竜也を尻目にディパックを漁り続ける。
「あったわ」
 彼女が取り出したものは1リットルの水が入ったペットボトル。
 鏡を見たわけではないが、土に埋められかかった顔は汚れているに違いない。
 特に鼻にはさっきまで土が入っていたのだ。この有様で愛する人に会うには拷問に等しい。
 早速、ペットボトルの封を開けると、水を使い、顔や身体を清めていく。
「ふぅ、とりあえずこんなものかしら」
 3分後、彼女の顔からは土の汚れは完璧に落とされていた。
 その代償として、ペットボトルは空になってしまったが、特に気にすることではない。
「さて」
「ぐぇっ」
 踵で今一度うなじを強く踏むと、竜也に問いかける。
「話、聞いてあげるわ。あなた何者?」
「そ、その前に足をどけてくれないか」
「仕方ないわね」
 渋々、うなじから肩の中心に足を移動する。どうやらこの体勢を改善するつもりはないらしい。
 竜也は内心不満に思いつつも、心を落ち着け、その問いに答えた。
 自分の名前、殺し合いをするつもりはないということ、追って来た経緯。
 対して、相手はメレという自分の名前だけを告げた。これでは敵か味方か判断に困る。
 菜月と同じように怯えているのかも知れないと、竜也は懸命に説得を行った。
「だから、俺は君に敵意があるわけじゃないんだ。ここから脱出するため、協力しあえないか?」
 しかし、メレは竜也を訝しげに見ると、言葉を紡いだ。
「口だけじゃ信用できないわね。態度で示してもらわないと……理央様を見つけて、私の元に連れてきなさい」
「理央様?あのロンが最初に話しかけていた男か」
「そう、お前が理央様を連れてくれば、信用してやるわ」
 これで話し合いは終わりとばかりに、メレは竜也をもう一度強く踏みつけると、一目散に走り出した。
 手には竜也のディパックとマグダスの杖。竜也が制止の声を上げるが、メレは止まらず駆けていく。


140 :強き女、愛の女 ◆i1BeVxv./w :2008/06/11(水) 22:49:59 ID:k0sTbOOe0
 メレは元々竜也を信用するつもりはなかった。ロンに騙された経験から、メレはもう易々と誰かを信用するつもりはない。
 それこそ、理央と自分を引き合わせれば別だが、期待するつもりもない。
 奴隷として扱き使う手もあったが、ゲンギが使えない今、どのような力を持っているかも知れない相手と共に行動するのは危険すぎる。
「まあ、支給品を補充できただけでも好しとするべきよね」
 メレは愛する理央のために生き、愛する理央のために戦う。その心情に並び立つ者は必要なかった。
「おーい、見つけたらどうやって連絡すればいいんだよ!」
 そのことを知らない竜也の声が森に空しく響き渡る。追おうとも思ったが、メレの態度は明らかな拒絶。同じ結果しか生まないだろう。
 結局、竜也が得たものはメレという名前だけであった。

 一方、その頃菜月たちは

「本官はチーキュの住民は脈も心臓の鼓動もあるものだと思っていたんだ。しかし、まさか脈や心臓の鼓動が止まっていても生きていられるなんて」
「菜月には脈も鼓動もあるけど、もしかして、ない人もいるかも知れないね」
「そんなわけないニャー」
 和んでいた。 


141 :強き女、愛の女 ◆i1BeVxv./w :2008/06/11(水) 22:50:19 ID:k0sTbOOe0
【浅見竜也@未来戦隊タイムレンジャー】
[時間軸]:Case File 49(滝沢直人死亡後)
[現在地]:C-5 森林 1日目 深夜
[状態]:健康。交渉に失敗して、軽く凹む。
[装備]:Vコマンダー
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:仲間を探す
第一行動方針:菜月の元へ戻る
第二行動方針:仲間を探し、ユウリとアヤセの安否を確認する
第三行動方針:菜月の仲間と理央を探す
備考:クロノチェンジャーは、ロンが取り上げました。他の参加者のバックの中か、どこかに隠されているかは不明です。

【名前】間宮菜月@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task14後
[現在地]:B-5 森林 1日目 深夜
[状態]:健康。まだ僅かに怯えあり
[装備]:アクセルラー、スコープショット、マジランプ+スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー
[道具]:未確認、竜也のペットボトル1本
[思考]
基本行動方針:仲間たちを探す
第一行動方針:シグナルマンとスモーキーと一緒に竜也を待つ
第二行動方針:竜也の仲間を探す


142 :強き女、愛の女 ◆i1BeVxv./w :2008/06/11(水) 22:50:43 ID:k0sTbOOe0
【名前】スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:ボウケンジャーVSスーパー戦隊後
[現在地]:B-5 森林 1日目 深夜
[状態]:健康。マジランプの中
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ヒカルと麗を探す
第一行動方針:菜月を守る

【シグナルマン・ポリス・コバーン@激走戦隊カーレンジャー】
[時間軸]:第36話以降
[現在地]:B-5 森林 1日目 深夜
[状態]:健康。死んでない人を埋めてしまってショック。
[装備]:シグナイザー
[道具]:けむり玉(1個使用済み)数は不明、その他は不明。メレの支給品一式。メレの釵。
[思考]
基本行動方針:ペガサスの一般市民を保護。戦っている者がいれば、出来る限り止める。
第一行動方針:乙女(メレ)に謝りたい。
第二行動方針:黒い襲撃者(ガイ)を逮捕する。


143 :強き女、愛の女 ◆i1BeVxv./w :2008/06/11(水) 22:53:03 ID:k0sTbOOe0
【メレ@獣拳戦隊ゲキレンジャー】
[時間軸]:修行その46 ロンにさらわれた直後
[現在地]:C-5 森林 1日目 深夜
[状態]:30分獣人体への変身不可。鳩尾に打撲。左肩に深い刺し傷。顔を除き、体中に多少の土の汚れ
[装備]:マグダスの杖
[道具]:竜也の支給品一式(ペットボトル2本消費)
基本行動方針:理央様との合流。理央様に害を成す者は始末する。
第一行動方針:ゲンギが使えない原因を調べる。それまで撤退。
第二行動方針:青と白の鎧を身に纏った戦士(シグナルマン)とガイに復讐する。
備考:リンリンシーの為、出血はありません。脈や心臓の鼓動も元々ありません。支給品一式はシグナルマンに回収されました。
 また、竜也の支給品はマグダスの杖の他に2品あります。

144 : ◆i1BeVxv./w :2008/06/11(水) 22:53:28 ID:k0sTbOOe0
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想、他指摘事項などありましたら、宜しくお願いします。

145 :名無しより愛をこめて:2008/06/12(木) 00:31:22 ID:esRXYjgGO
>>144
GJです。
うん、わかってた事ですけど、メレは存外抜けてますねw
それにしても、シグナルマンといい、竜也といい、
メレに関わると、男性陣は色々と報われないw
最後の一文には盛大に和ませて頂きました。
GJ!

146 :名無しより愛をこめて:2008/06/12(木) 00:43:58 ID:hqibyXru0
投下乙です。

竜也がメレ相手に苦労している最中なのに、
残った2人と一匹が、のほほ〜んと会話している様が、脳裡にくっきりと。
力強い味方と言うより、竜也にとって頭痛のネタが増えただけような気がw
GJでした。

147 :名無しより愛をこめて:2008/06/12(木) 19:51:56 ID:jeL0RL43O
投下乙です。
ペットボトルの水で綺麗に顔を洗い、竜也に理央を捜してみろと言うメレ、彼女の純愛と強がりが意地らしい!
GJです!

148 : ◆i1BeVxv./w :2008/06/12(木) 22:33:56 ID:4ewbZAL90
感想ありがとうございます。

いくつか自己ツッコミを

>>137
「2時間以内には戻ってくる。もし、移動しなきゃならない事態に陥ったら、G1エリアの一番高い建物に!」
離れいる上に遺跡を指定するのは明らかに不自然ですので、G1エリアの箇所をD6エリアに修正いたします。

>>141-143
[現在地]:C-5 森林 1日目 深夜
メレの状態の変身時間の記載から考えて、深夜より黎明の方が適切かと思いましたので、黎明に修正いたします。

プロットに影響していましたら、申し訳ありません。。。


149 :名無しより愛をこめて:2008/06/13(金) 01:37:29 ID:ylPcNRWU0
投下乙です!
ああ、何でシグナルマンたちは和んでいるんだw
スモーキー、唯一の突っ込みとしてがんばってくれw
竜也がんばれ。超がんばれw
GJ!

150 :名無しより愛をこめて:2008/06/13(金) 20:58:39 ID:pYQ0fIrlO
◆5h3T6s3PXc氏の予約延長期限がそろそろですが、ご進行具合はいかがですか?

151 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/13(金) 23:54:27 ID:NrxastjC0
自分も今日が期限です。
遅くなりましたが投下いたします。

152 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:03:15 ID:Q/3sMbKy0
「待て!闇雲に走るのは危険だ」

そこは、スラムと呼ぶに相応しい薄汚れた街だった。
ゴミ溜と汚水に塗れた路地を走るは二つの影。
冥府神ティターンは懸命にマーフィK9を追っていた。

「待てと言うのに!」

マーフィを見失わぬよう追いかければ、辺りへ払う注意が疎かになる。
ティターンの声に焦りが混じり、その手に力が篭る。
無防備に街へ踊りでれば殺してくれと言わぬばかりの状況だ。
先程の狙撃にしても弱者が我が身を守ろうとしたが為か、殺し合いに乗ったが為かは解らない。
ただ一つ学んだのは、互いに殺し合いに乗っていよういまいが、その意志に関わらず命を落としかねないと言う事。

守ると決めた命。
ティターンはその命を懸命に追っていた。
当のマーフィはティターンの声など気にかける様子もなく、泥水を跳ね上げ一目散に駆けて行く。

「どこかを目指しているようだが……」

スピードに乗ったマーフィは大きく弧を描き角を左へ曲がる。

153 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:03:52 ID:Q/3sMbKy0
そこから先は一本道。
スラムを隔離する煉瓦の壁がマーフィの行く手を遮りその姿を見失わずに済んだ。
一歩、その先の一歩をより大きく踏み出し、巨体とは思えぬ速さでマーフィを追う。
一向に差は縮まらないが道はいつか分かれる。分かれれば見失う。
ティターンは歩を緩めず進む。

やがて左方向は砂漠、右方向は採掘場へと続く別れ道へ差し掛かる。
行く先に迷ったマーフィの足が止まるのを逃さず、一息で駆け寄り後ろから優しく抱きかかえた。
そして自分の目線まで軽々と持ち上げ、諭すように語りかけた。

「俺は無益な殺生は好まない。だがここは殺し合いの場なのだ。やみくもに走り回られては困る。どこかで朝まで身を隠そう、解るか?」

ティターンの気持ちを汲んだのか、マーフィは「バゥ」と一声鳴くと大人しくなった。


154 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:05:23 ID:Q/3sMbKy0
§


「お前の名はマーフィと言うのか」

やっと支給品の詳細に目を通し、マーフィを従えたティターンは、採石場の方向へ足を進めた。

数十メートル切り出された岩肌と切り出した山積みの岩とが強固な城のようにそびえている。
城下町の如く点在した炭坑夫たちの休憩所も見える。
その横にもいくつか小屋があり、身を隠すに適当な、とりあえずの安息の場としては充分な地形だった。
そのうちの一つを目指し歩きながら、ティターンは胸の中でひとりごちた。

(あの人間はどうしただろう。もう一人の男の手当が間に合えばよいが……)

ティターンの思考はマーフィの唸り声で中断された。
何事かとマーフィをみやったティターンの足元が陰った。

「貴様……人の姿をしているが、人ではあるまい」

その声の主は闇を従え瓦礫の上を闊歩する。
威風堂々たるその姿は、冥府神さながらの威厳とカリスマを備えていた。
この男とやり合えば、どちらも無事ではすまない。タゴン、いやイフリートにも匹敵するとティターンは判断した。

155 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:06:07 ID:Q/3sMbKy0
ティターンはマーフィを退かせ男と対峙した。

「我が名は冥府神ティターン」
「冥府神だと?」

ティターンの名乗りを男が嘲笑い、遮る。

「冥を司るのは、この冥王ジルフィーザただ一人!神などいらぬわ!!」

言い放つやジルフィーザは高く跳躍した。
月光を侵食する禍々しきその姿。ティターンの背を戦慄が走る。

「逃げろ!時間はこのティターンが稼ぐ」

そう叫び、マーフィを崩れ落ちる岩からディオネを守る壁で守る。
すかさず切り立つ岩盤を駆け上がり、ジルフィーザと同じ高さへ飛ぶ。

ジルフィーザは槍の上部を持ち斬りかかる。
ティターンは下方から雷型の刃先で斬り止める。
腕に伝わるズシリとした重み。

156 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:06:49 ID:dQbTWW1i0
 

157 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:07:07 ID:Q/3sMbKy0
空気を震わせ弾け飛ぶ火花。

ガキンッ!

金属音が耳を劈く。
ジルフィーザは衝撃をバネにより高く跳ぶ。
片やティターンは衝撃により地へ弾かれた。
ジルフィーザは片手に持ち換えた槍で円形を描き斬りを止めずにティターンの間際へ着地した。
ティターンは下がりかわす。
だが間髪いれずに次の突きが迫る。
しなる槍が獲物を狙う蛇のように追いかけてくる。
ティターンは体を右向きにして槍の刃先に左手を添えジルフィーザの一撃を捌く。

「いつまでもかわし続けられまい!」

ジルフィーザはティターンの喉元目掛け、突く。
右後ろへ飛び避けるティターン。
右肩すぐのところで切っ先の髑髏が口惜しげに空を切る。
髑髏が向こうへ引き寄せられるように遠のく。
否、遠のいたように見えただけだ。
突きを避けられたジルフィーザが腕をしならせ刃を返し横一閃に斬ってきたのだ。
しかし一瞬早くティターンは上体を低く下げ、ジルフィーザの腕の下へ滑り込む!

158 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:07:46 ID:dQbTWW1i0
 

159 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:08:29 ID:Q/3sMbKy0
ウラノスとガイアの怒りを背中に沿わすように逆手で握り、そのまま左足を踏ん張り左肩を突き出した。
攻撃をかわされ前方へ崩れてくるジルフィーザの腹部へ体当たりを食らわす。
ジルフィーザは素早く槍を下げそれを受けとめ、ティターンを押し戻そうと腰を落とし堪える。

「もう退け。俺は殺し合いには乗るつもりはない!」
「!」

力と力がぶつかり合う。冥府を司る王と神とのぶつかり合い。
踏みつけた小石が砕けた音を引金に、激闘を制す為ティターンは体を捻りジルフィーザの力の方向をずらす。
右腕の方の刃を下手から掬い上げ、ジルフィーザがそれを避けると共に、ティターンは数歩後退り距離をとる。
掌を空へ掲げ雷型の槍先より出現し光球を両者の間へ放った。

砂煙を上げ光球が爆ぜる。
互いの姿は煙に紛れ、しばし両者とも動けずにいた。
先に動いたのはジルフィーザ。
槍を上手に構えティターンへにじり寄る。

「マーフィを守りたいだけだ。俺は、無益な殺生は好まぬ」

緊迫した空気の中、ジルフィーザが問う。

「……誰かと出合ったか?」

切羽詰まった声にティターンは直感した。自分は試されているのだ。ジルフィーザは殺し合いに乗っていない。

160 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:09:55 ID:dQbTWW1i0
 

161 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:10:28 ID:Q/3sMbKy0
刺すような視線を感じながら、真正面からジルフィーザを見据え、その問いに答えた。

「二人の、若い男と……」
「ならば、もう貴様に用はない」

ジルフィーザゆっくりと槍を降ろしティターンに背を向け立ち去ろうとした。

「誰を捜している?」
「弟を、我が末弟ドロップを捜さなければならん」

振り返ったジルフィーザは巨漢に似合わぬ小さな溜息を吐いた。

「なぜ襲ってきたのだ?」
「ティターンよ、お前が血と争いを好むとしたら、手を止めず殺していた。
ドロップの身を危険にさらす芽は刈り取らねばならん。
争いに乗っていないと確実にわかるまでは、迂闊にドロップの名を明かす訳にもいかぬ」
「弟の命を守る為か……」

ジルフィーザの表情から先程までの険しさが消えていた。
冥王の比類無い威圧感をぬぐい去った、家族の無事を渇望する兄の顔だった。
兄には弟妹を支える義務がある。
命を守る その決意の源となった芳香とオニイチャンとの出会いに思いを馳せた。

162 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:11:09 ID:dQbTWW1i0
 

163 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:11:19 ID:Q/3sMbKy0
姿は違えど長兄たる者、その思いは同じ。

「オニイチャン……」

無意識に呟いた。
いつの間にか側へ戻って来ていたマーフィがスッとティターン背後へ身を隠した。
一瞬の間の後、ジルフィーザの怒声が鼓膜を打った。

「黙れ!オニイチャンだと…… このジルフィーザを愚弄するか!」

ジルフィーザが再び斬りかかってきた。
後ろへ退け反り辛うじて切っ先をかわす。

「ジルフィーザ、お前の事ではない!」

ティターンは言い放ち、右足に力を込め身構えた。
ジルフィーザはそれに答えず無言のまま槍を横へ払った。
来る。見切れぬ速さではない!
思った瞬間、ジルフィーザの槍が脇腹をとらえた。
体がくの字に折れ、激痛に脇腹が痺れティターンは堪らず膝を折った。
そのまま肩を掴まれ力任せに横へ薙ぎ倒される。
素早く立ち上がるも、上から振り下ろす槍から逃げ場はなかった。
両腕をクロスに構えウラノスとガイアの怒りを盾に受ける。

164 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:11:42 ID:dQbTWW1i0
 

165 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:12:43 ID:Q/3sMbKy0
軽い、とばかりに弾き返し、回転を加えた槍裁きで攻防一体の構えをとる。

「愚弄などしているか。オニイチャンとは、俺に誰かを支えてみたいと思わせたトモダチなのだ!」
「……」

無言のまま、尚も槍を振るうジルフィーザをティターンは訝しむ。
一合、二合、絶え間なく打ち据えるジルフィーザだが攻撃に冴えが無い。
迫り合う槍の金音も、闇に散る火花も先程とは格段に相違がある。
じりじりと後退しながら、ジルフィーザの目を見据えれば、その顔には苦悶が浮かぶ。
だが、冴えが無いのはティターンも同じ。
何故か、きぐるみを着たように体が重く、見切れる攻撃もかわせずにいた。
ジルフィーザが威勢よく払った蹴りに、ティターンは横様に倒され、両者の距離が大きく開いた。
ティターンは上体だけを起こし、肩で息をつく。
両者とも力、速さ、戦闘能力の何もかもが落ちている。

「気付いたか……ティターンよ」
「うむ……」

ジルフィーザの問いに頷くと、ティターンはウラノスとガイアの怒りに気を集中し、穂先を上へ掲げた。
雷の集まる感触も熱も感じられ無かった。

166 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:13:52 ID:dQbTWW1i0
 

167 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:14:52 ID:Q/3sMbKy0
両手を握り不安げに呟いた。

「一体どういう事なのだ」
「察しつかぬか、 我らに架せられしこの首輪に仕掛けがあると……」

ティターンは首輪をさすった。ジルフィーザは頷き言葉を続けた。

「能力を封じ込めば、力なき人間でさえも我らを縊り殺す事が出来る……
急がねば。竜族の血を引くと言え、ドロップはまだ赤子なのだ」

ジルフィーザはティターンを一瞥すると背を向けた。

「待て!俺も一緒に行こう。
赤子とあらば、捨ておくなど出来ない 。俺の見知った者たちもいる 。 その者たちの手を借りれば早い。
無論赤子に刃を向けるような真似などしない」


弟を思う、ジルフィーザは命の重さを知っている。
支え合う思いは繋がっていくのだ。

「好きにするがいい」

ジルフィーザは振り返りもせず先を行く。
ティターンは出しかけた右手やり場に少し困ったが、共に歩くマーフィの頭を撫でジルフィーザ後に付いた。
『握手をすると友達になれる』
芳香とオニイチャンの声を、頭の中で辿りながら。



168 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:15:06 ID:dQbTWW1i0
 

169 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:15:54 ID:Q/3sMbKy0
【名前】冥王ジルフィーザ@救急戦隊ゴーゴーファイブ
[時間軸]:第1話前
[現在地]:H-8採石場 1日目 黎明
[状態]:2時間戦闘不可。
[装備]:杖
[道具]:確認済
[思考]
第一行動方針:ドロップを探す。
第二行動方針:ロンを殺す。

【名前】冥府神ティターン@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage46(ン・マの依り代にされた)後
[現在地]:H-8採石場 1日目 黎明
[状態]:2時間戦闘不可。
[装備]:ウラノスとガイアの怒り、黒装束(虹の反物@轟轟戦隊ボウケンジャー)
[道具]:マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー、ディパック、支給品一式
[思考]
基本行動方針:命を守る
第一行動方針:ジルフィーザと共にドロップを捜す。
第二行動方針:スフィンクスを捜す。
備考:ティターンは虹の反物の特別な能力に気付いていません。


170 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:17:17 ID:dQbTWW1i0
 

171 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:19:44 ID:Q/3sMbKy0
以上です。途中支援ありがとうございました。


172 :兄!起つ ◆MGy4jd.pxY :2008/06/14(土) 00:25:03 ID:Q/3sMbKy0
タイトル忘れていました。「兄!起つ」でお願いします。


173 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:26:34 ID:l9E3ljHY0
投下乙です。
兄、をきっかけにタッグを組むティターンとジルフィーザがよかったです。
マーフィーを守るために奮闘するティターンも彼らしい。
GJ!

174 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:28:34 ID:dQbTWW1i0
GJ!
ジルフィーザとティターンのぶつかり合い。どうなるかと思いましたが、結果は戦隊ロワで1,2を争う最強タッグの誕生に安堵しました。
冥府神と冥王、そして、オニイチャンと長男ジルフィーザの対比もお見事でした。

1点。細かい指摘ですが、
>>167
ティターンは出しかけた右手やり場に少し困ったが、共に歩くマーフィの頭を撫でジルフィーザ後に付いた。

「の」が抜けていることと、「。」の前にスペースが入っていました。


175 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:32:20 ID:1Bgl9Vn/O
>>172
GJです。
マフィーを守ろうとするティターンの優しさ、
ドロップの身を案じるジルフィーザの想いが切なかったです。
相変わらずま迫力のあるバトルもお見事でした。GJ!

176 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:35:59 ID:Q/3sMbKy0
感想と誤字の指摘感謝いたします。
相変わらずの初歩ミスが本当に申し訳なく思っております。

177 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 00:54:36 ID:+vBHeE9m0
投下乙です。
「兄」の共通項でタッグを組むティターンとジルフィーザ。
マーフィーとドロップを守ろうとする二人ですが、
傍から見れば怪人ペアなので、誤解されそうで不安……
GJでした。

178 :名無しより愛をこめて:2008/06/14(土) 01:06:57 ID:Q/3sMbKy0
重ね重ねお詫び申し上げます。

ティターンは出しかけた右手やり場に少し困ったが、共に歩くマーフィの頭を撫でジルフィーザ後に付いた。

ティターンは出しかけた右手のやり場に少し困ったが、共に歩くマーフィの頭を撫でジルフィーザ後に付いた。
でした。

179 :お詫びの言葉もございません:2008/06/14(土) 01:20:12 ID:Q/3sMbKy0
○マーフィー
×マーフィ                 orz


後日一時投下スレに誤字を含めたすべてを投下し直しておきます。


180 :名無しより愛をこめて:2008/06/15(日) 18:11:25 ID:48spXv9k0
>>154
タゴン、いやイフリートにも匹敵するとティターンは判断した。

タゴンではなく、ダゴンですが、
イフリートとの場所が逆じゃないですかね??

181 :名無しより愛をこめて:2008/06/15(日) 18:56:35 ID:meFkQehbO
>>180
純粋な戦闘力なら、ダゴンよりはイフリートの方が上なんじゃないだろうか。
ダゴンはいつも、2対1で戦ってた印象がある。
油断があったとはいえ、ネコミミ委員長一柱にやられてるし。

182 :お詫びの言葉もございません:2008/06/15(日) 20:23:13 ID:OTDHo7A40
大変申し訳ありませんでした。修正版をしたらばに投下いたしました。
指摘の他、気づいたところを修正し、
>>180氏の指摘も
ダゴンやイフリートにも匹敵する。 と訂正しておきました。




183 :名無しより愛をこめて:2008/06/16(月) 06:41:23 ID:+gM+6n56O
更新乙です!いつもありがとうございます。

184 :名無しより愛をこめて:2008/06/17(火) 13:52:07 ID:TW+S58DR0
それにしてもある程度、集団が出来てきたなー。
なんか、チーム名とか付けれそうだ。

185 :名無しより愛をこめて:2008/06/17(火) 23:09:13 ID:l+ftShzo0
今のところ3人以上のチームになってるのは、
ドギー、シオン、グレイ、恭介、さくらの時限爆弾チーム
ドロップ、ネジブルー、美希の凶悪3大マーダーチーム
シグナルマン、菜月、スモーキーの和みチーム
ティターン、マーフィー、ジルフィーザの怪物チームの4チームか
あとは瞬と纏、サーガインと裕作、明石とヒカル、蒼太とおぼろ、仙一とブクラテス、壬琴と菜摘とタッグが6組。
ロワって集団化するほど、バラける傾向があるから、これからこのチームがどこまで残るかが見ものかな。

186 : ◆i1BeVxv./w :2008/06/20(金) 02:09:26 ID:mXBGn1+u0
投下します。

187 :ニアミス ◆i1BeVxv./w :2008/06/20(金) 02:09:59 ID:mXBGn1+u0
 港町のそれなりに舗装された道を、ガラガラと音を立てながら進んで行く木造の台車。
 銀色のジャンバーを着た若い男が押す台車の上には身動きひとつしない金属製の人形が座っている。
「いやぁ、なんかこうしてると、昔見ていた時代劇を思い出すな。知らないか、手押し車に子供を乗せた侍の話」
「知らぬな。俺としてはこの屈辱的な有様を誰かに見られぬよう祈るのみだ」
 雑談を交わす男と人形。男の名は早川裕作。そして、人形の名はサーガイン。
 この二人が何故、某時代劇のような体勢で道を進んでいるのか。それは今より2時間ほど前。
 ドモンとの戦闘を終え、不意討ちを行おうとしたサーガインだったが、突如として全身の力が抜ける症状に襲われた。
 彼の金属質の身体は『クグツ』と呼ばれる操り人形のようなものであり、本体はクグツの頭の中で操縦している蟻のような姿をした身長30cmにも満たない小型の宇宙人である。
 通常は本体の動きをトレースして、まるで自分の身体のように扱えるクグツであったが、肝心の自分の身体を動かせなければ、丈夫な棺桶にしかならない。
 サーガインは症状が治まるまで、活動できないことを覚悟した。
 それを助けたのが裕作だった。
 最初は失恋のショックで動けないと勘違いしていた裕作だったが、別の要因で動けないことを知ると、近場から木材を収集し、支給品のフェンダーソードを使い、簡易的な台車を造り上げた。
 そして、それにサーガインを乗せると、その場からの移動を始めたのである。
(あの時出会ったのがこの男でなければ、危ないところであった)
 戦場で動けなくなる。これ以上の死亡フラグはない。そういった意味では裕作と出会えたサーガインは非常に幸運といえた。
(それにこの男、最初こそ単細胞かと思ったが中々侮れん。この台車、ネジを使わず、木と木の組み合わせだけで作られている。相当の技術力を持った男だ)
 発明家は発明家を知る。サーガインは本能的に裕作から同じ匂いを感じ取っていた。
 思わず裕作の顔を見つめるサーガイン。
「んっ?どうした、俺の顔に何か付いてるか?」
「いや、なんでもない」
 裕作に指摘され、サーガインは顔を背けた。それを見て裕作はあることに気づく。

188 :ニアミス ◆i1BeVxv./w :2008/06/20(金) 02:10:25 ID:mXBGn1+u0
「サーガイン、お前、身体動くようになってるんじゃないか?」
「そ、そういえば」
 つい今しがたまでは振り向くことさえ多大な労力を用いていたというのにそれが自然と行えていた。
 サーガインはゆっくりと拳を握り締めてみる。グッと力を入れれば、拳は熱を持ち、その強固さを増した。
「どうやら間違いなさそうだ。よっ!はっ!とっ!」
 サーガインは勢いよく立ち上がると、跳んだり、跳ねたりを繰り返し、自らの身体の調子を確かめていく。
 ほんの数分前と比べて、身体が嘘のように軽い。
「どうやらもう大丈夫のようだ、裕作殿」
「やったな。回復までおよそ2時間ってところか」
 取り出した時計を見ながら、裕作は神妙に呟く。
「しかし、一体これは……」
「たぶん、殺し合いを面白くするための一要素ってところだろうな。単純な力比べとかじゃなくて、どんな奴でもチャンスがあるようにしているってところか」
「だが、ドモンは平然と離れて行ったぞ」
「おそらくお前さんは特別なんだろ。機械仕掛けのその身体は普通に動くだけで人間には脅威だ。
 参加者にも色々なのがいたからな。元から標準以上の力を持っている奴にはキツイ制限が掛かるんじゃないか?
 詳しいことは他の奴からも聞いてみないとわからんがな」
 裕作の言っていることは推測に過ぎない。だが、これまでの状況を考えると、サーガインも同意見。当たらずとも遠からじといったところだろう。
 もはや裕作に、最初に抱いた単細胞というイメージはない。
 台車を作る技術力。回復までの時間を計る冷静さ。わずかな手がかりから分析を行う発想力。
 裕作は自らに並び立ちかねない恐るべき男だ。
(この男、要注意。脅威にならない内に始末しておくべきか?)
 サーガインの眼が怪しく光る。
(……いや、止めておくとしよう。また、動けなくなっても困るしな)
 この2時間、裕作は戦闘不能だったサーガインに一切手を出さなかった。
 裕作が殺し合いに乗っておらず、サーガインも殺し合いに乗っていないと信用している何よりの証だろう。
 要注意人物であることも、逆に考えれば、それだけ使える男ということだ。パートナーとしては申し分ない。

189 :ニアミス ◆i1BeVxv./w :2008/06/20(金) 02:10:57 ID:mXBGn1+u0
(首輪を解除し、ロンを打倒するまでは精々利用させてもらうことにしよう)
 不穏当な企てを知ってか知らずか、裕作はサーガインに進行の再開を促す。
「うむ。しかし、裕作殿には苦労を掛けた。その台車はもう不要ではないか?」
 これは単なる親切心から出た言葉だ。運送する必要がなくなった以上、台車はもう邪魔だ。
「いやいや。また動けなくなると困るし、それにこれはこういう使い方も出来るんだぜ」
 裕作はニヤリと笑うと、台車を前後逆に持ち、走り出す。そして、勢いを付けると、台車に飛び乗った。
 慣性の法則に従い、裕作を乗せて走る台車。道に軽く傾斜が掛かっていたこともあり、速度もそれなりに上がっていく。
「どうだ!こりゃ便利……っと、うわ!」
 だが、小石でも引っかかったのか、突如、車輪は止まり、裕作は放り出された。
 その光景を見遣り、
「……買い被り過ぎか?」
 サーガインはボソリと呟いた。



 幸いなことに台車は壊れず、裕作も軽いかすり傷程度で済んだ。尤も流石の裕作も懲りたのか、引き摺りながら台車を運んでいる。
 それでもサーガインが乗っていない分、二人の歩みは速まり、時計の短針が4を指そうとする頃、遺跡にまで二人は辿り着いていた。
「ふむ、遺跡エリアか。どのようなものかと思っていたが、中々に壮大な光景だ」
 暗く禍々しい雰囲気が場を支配していた。遺跡の中と外とでは明らかに空気の質が違う。
 天井は開き、新鮮な空気は絶えず入ってきているというのに、得体の知れない息苦しさはまったく打開されない。
「地図によると、このまま進むと迷宮部に入るようだが、探索するには骨が折れそうだ」
「同感だ。誰かいるかも知れんが、ここは迂回することを提案する。深雪殿も待っていることだ、探索は合流した後にしても問題はあるまい」
「深雪さん?もしかして、小津深雪さんのことかい?」
「ぬっ、誰だ!」
 突然、後方から聞こえた声に、サーガインは瞬時に反応し、両肩から剣を抜く。
 裕作もサーガインに並び、声が聞こえた方向に警戒の眼を向けた。

190 :ニアミス ◆i1BeVxv./w :2008/06/20(金) 02:12:25 ID:mXBGn1+u0
「驚かせてすまない。だが、ボクは君たちに危害を加えるつもりはない。知り合いの名前が出たので、つい気が逸ってしまったんだ」
 声の主がサーガインたちにゆっくりと近づいてくる。近づくにつれ、顕になっていく声の主の姿。
 優雅な物腰に、紺のジャケット。六四に綺麗に分けられた長めの茶髪に、優しげながらも力強い瞳。
「深雪殿の知り合いでその姿。もしや、お前がヒカルか?」
「そうです。やっぱり、あなたは深雪さんと会ってるんですね」
 たちまちヒカルの顔に笑みが浮かぶ。ヒカルにとっては、守らなければならない二人の片方の手がかりが見つけたのだ。
「うむ。互いに仲間の探索を行い、合流する約束になっている。深雪殿からは殺し合いに乗るような男ではないと聞いているが」
「勿論。ボクはブレイジェルの遺志を継ぎ、殺し合いを止めるつもりです」
 そのはっきりとした物言いと、深雪からの事前情報から、二人はヒカルが殺し合いに乗っていないことを確信する。
 サーガインは刀を納め、裕作は構えを解くと、ヒカルに手を差し出す。
「俺は早川裕作。宜しくな」
「ヒカルです。改めて宜しくお願いします」
 がっしりと握手を交わす二人。その光景を横目で見ながら、サーガインも自らの名前を名乗った。
「さて、じゃあ遺跡は迂回して、市街地に向かうとするか」
 軽い自己紹介を追え、早速深雪との合流場所へ向かおうと、遺跡から出ようとする裕作とサーガイン。
 だが、ヒカルは迷ったような顔をして、遺跡の奥を見ていた。
「どうした、なにか心配事でもあるのか?」
「……実は、ボクは今まで明石と一緒に行動していたんだ。覚えてないかい?一番最初に呼ばれて、ロンに啖呵を切った男のことを」
 ヒカルの問いかけに、裕作とサーガインは肯定の意思を示す。あれだけインパクトを残せば当然の反応といえるだろう。
「するってぇっと、明石もこの辺りにいるのか」
 ヒカルは顔を伏せ、首を振ると、東の方角を指し示した。
「彼は気になることがあると言って、一人で向こうに行ってしまったうよ」
 ヒカルはその時のことを思い出す。
 塔からの光景を元に港町へと繋がる道に辿り着いたヒカルはようやく本格的な仲間探しに移れることに安堵した。

191 :名無しより愛をこめて:2008/06/20(金) 02:18:33 ID:j7Dekomu0



192 :名無しより愛をこめて:2008/06/20(金) 02:23:06 ID:j7Dekomu0
しかし、明石は港町へと繋がる道ではなく、G3エリアへの道を進み始めた。
「待ってくれ、どこへいくつもりだ」
 当然、制止の声を掛けるヒカル。
「気になることがある。塔から見た時、向こうに祠のようなものが見えた。
 迷宮にはセオリーがあると言ったが、祠のある場所は知っている奴は行きやすく、知らない奴は行きにくいそんな場所にあった。
 妙な場所にあるとは思わないか?」
 平時なら耳を傾けてもいいが、ヒカルにとって、今はどうでもいい内容だった。
 出口を前にしていることが余計にヒカルの心をかき乱す。
「明石、優先すべきことは探索より仲間の捜索だ。そんなこと今は放っておいて一刻も早く進むべきだ。違うかい?」
「……なら少し待っていてくれ。すぐに確認してくる」
 そう言うと今度はヒカルが止める間もなく、明石は駆け出した。
 ヒカルは溜息を吐き、すぐに帰るといった明石の言葉を信じ、待つしかなかった。
 一応、今の今までヒカルは待っていた。しかし、それももう限界だ。
「どうする、待つか?」
 裕作の問いかけにヒカルは否定の言葉を口にする。
「……いや、行こう。明石はひとりでもなんとかする男だ。ここにはメッセージを残しておけばいい」
 グリップフォンにマジチケットを挟むと、ヒカルは呪文を唱えた。魔力を込められ、輝きを放つマジチケット。
 明石が来れば、メッセージを伝える仕掛けだ。
 ヒカルはその場にマジチケットを残すと、裕作らと共に歩き出した。一刻も早く、麗と深雪に会いたい。その一心だった。
 だが、ヒカルは気づいていない。彼らが去った10分後、マジチケットは光を失うと、弾けて消えた。
 能力制限。それは魔法使いたる彼には重く圧し掛かっていた。



 ヒカルと分かれた明石はG3エリアにある祠への道をひた走っていた。
 ヒカルの考えはもっともだった。一刻も早く戻るため、明石は速度を上げる。
 いや、それは理由の2割。8割は別の理由だ。
 ひとつ気づいたことがある。
 少なくともこの遺跡は実際に存在しているものなのだろう。
 素人がこの殺し合いのために適当にでっち上げたものではない。卓越した知識を備えた何者かが何らかの意図を持って設計したものだ。
 その意図に気づいた時、明石は走らずにはいられなかった。

193 :ニアミス ◇i1BeVxv./w 代理:2008/06/20(金) 02:23:48 ID:j7Dekomu0
 全ては明石の胸に宿る熱き冒険魂のため。
「この中だな」
 全力で走った甲斐もあり、程なくして明石は祠の前へと佇んでいた。
 祠にはその重要性を示すかのように、豪華な装飾と観音開きの扉が設けられている。
「さて、鬼が出るか、蛇が出るか」
 アクセルラーを使い、トラップがないことを一通り確認した後、明石は扉に手を掛けた。
 宝を確認するこの瞬間。カァーっと熱くなる瞬間だ。
 開かれる扉。その奥には黒いアンモナイトの化石のようなものが置かれていた。
 実際に眼にしたことはなかったが、存在が確認されているプレシャスは明石の頭脳に刻まれている。
 明石はそれが何か、瞬時に判断した。
「暗黒の鎧か。ハザードレベルは……予想以上だな」
 暗黒の鎧、ダイノアースからもたらされた禁断のアイテム。装着したら最後、永遠に戦い続ける凶戦士になってしまう呪われた鎧だ。
 明石はアクセルラーのカバーを回し、サーチモードからコマンドモードへと変形させる。
「ボウケンジャー!スタートアップ!!」
 アクセルラーのタービンを回転させることで、パラレルエンジンの力を宿したアクセルスーツを身にまとい、瞬時にボウケンレッドへと変身する明石。
 本来ならプレシャスの回収がボウケンジャーたる自分の使命。だが、暗黒の鎧は相当に危険なプレシャス。
 それにここにあるということはロンが殺し合いを促進させる目的で置いたものだろう。 
「これはここで破壊する!アクセルテクター!!!」
 ボウケンレッドの叫びに応じ、瞬く間に装着される銀色の鎧。
「デュアルクラッシャー!」
 続けて、左腕を掲げるとその手にはデュアルクラッシャー・ミキサーヘッドが握られる。
 ボウケンレッドは抱え込むようにデュアルクラッシャーを構え、暗黒の鎧を狙った。
「ミキサーヘッド!」
 引き金を引くと同時に勢いよく回りだす三つの銃身。後は対象を固める特殊光弾が放たれるのを待つだけだ。
 だが、ボウケンレッドにとって、想定外のことが起こった。

194 :ニアミス ◇i1BeVxv./w 代理:2008/06/20(金) 02:26:03 ID:j7Dekomu0
 アクセルテクターを装着しているというのに、勢いよく回転する銃身の反動が抑えられない。
「くっ、これは……」
 やがて、発射される特殊光弾。その反作用にボウケンレッドは弾き飛ばされ、遺跡の壁に叩きつけられる。
「どういうことだ、これは」
 幸運なことに発射された光弾は暗黒の鎧に命中したが、これではデュアルクラッシャーをドリルヘッドにしての使用は行えないだろう。
「アクセルテクター解除!」
 ボウケンレッドはアクセルテクターを解除し、胸部に納められた物を確認する。この症状、考えられる原因はひとつしかない。
「やはり」
 本来なら火竜の鱗が収納されているはずの胸部には、ご丁寧にも『残念』という文字が書かれた紙が入っていた。
「事前に抜いておいたというわけか。やるな、ロン」
 火竜の鱗がないアクセルテクターは、それなりに頑丈な鎧でしかない。デュアルクラッシャーの反動を抑えるには火竜の鱗が必須なのだ。
 恐らくそのことを知り、自分への嫌がらせのつもりで鱗を抜いたのだろう。
 だが、考えてみれば、今の時点で気づいたのは幸運といえるかも知れない。
(これは俺が持っておくとするか。少なくとも俺と同じミスをすることは防げるはずだ)
 ディパックにアクセルテクターを入れ、ボウケンレッドは改めて暗黒の鎧に向かって構える。
 デュアルクラッシャーに頼らなくても、破壊だけなら充分に可能。
「ボウケンボー!」
 頭部のライトによって、形作られる赤きマジックハンド。更に内部から刃から飛び出し、瞬時にボウケンジャベリンへとそのフォルムを変える。
 ボウケンレッドは、ボウケンジャベリンを天高く振り上げると、力強く振り回し始めた。
「うぉぉぉぉっ!!!」
 たちまち立ち昇る真っ赤な炎。そして、その炎はボウケンジャベリンの刃へとその力を宿した。
「ジャベリンクラッシュ!」
 叫びと共に袈裟懸けに振り下ろされた一撃は置かれた祠ごと、暗黒の鎧を切り裂く。
 刹那、暗黒の鎧は爆発に包まれ、この世界から消滅した。

195 :ニアミス ◇i1BeVxv./w 代理:2008/06/20(金) 02:27:30 ID:j7Dekomu0
「ミッション完了だな」
 満足気に煙を上げる祠を見遣ると、ボウケンレッドは徐に踵を返し、元来た道を走り始めた。
 ヒカルの元へと帰るためだ。
 スーツによって強化された肉体は、変身する前とは雲泥の差のスピードをボウケンレッドに与える。
 5分と経たない内にボウケンレッドは遺跡の出口へと辿り着いていた。
 しかし、辺りを見渡すが、ヒカルはどこにも見当たらない。
「先に行ったのか。せっかちな奴だ」
 自分のことを棚に上げ、ぼやくボウケンレッド。
「書置きのひとつでもしておいて欲しかったが……追うとするか」
 ボウケンレッドは変身したまま、南へと進んでいった。
 その道の先に誰もいないと知らぬまま。

196 :ニアミス ◆i1BeVxv./w :2008/06/20(金) 03:23:07 ID:mXBGn1+u0
【名前】明石暁@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task46後
[現在地]:G-2遺跡 1日目 早朝
[状態]:健康。ボウケンレッドに変身中。
[装備]:アクセルラー
[道具]:ラン様カード@爆竜戦隊アバレンジャー、アクセルテクター@轟轟戦隊ボウケンジャー
[思考]
基本方針:ミッションの達成(仲間と合流し、脱出する)
第一行動方針:南下して港町へと進み、ヒカルと合流する。
第二行動方針:ヒカルとの記憶の齟齬を解決する。

【名前】ヒカル@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage35後
[現在地]:H-3港町 1日目 早朝
[状態]:健康。2時間魔法の使用不可
[装備]:グリップフォン
[道具]:月間宇宙ランド(付録なし)@激走戦隊カーレンジャー、ゼニボム×3@特捜戦隊デカレンジャー
[思考]
基本方針:ブレイジェルの遺志を継ぎ、殺し合いを止める。
第一行動方針:小津深雪との合流のため市街地へ。その間、早川裕作、サーガインと情報交換。
第二行動方針:小津麗の安全を確保する。
第三行動方針:ティターンに対して警戒。
第四行動方針:冷静すぎる明石に微妙な気持ちを抱きました。

197 :ニアミス ◆i1BeVxv./w :2008/06/20(金) 03:23:40 ID:mXBGn1+u0
【名前】五の槍サーガイン@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三中(ガインガイン敗北後、サンダールに敗れる前)
[現在地]:H-3港町 1日目 早朝
[状態]:健康。クグツの胸部に凹み。
[装備]:巌流剣、ドライガン@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンの打倒
第一行動方針:首輪を手に入れて、解除方法を模索する。
第二行動方針:しばらく裕作、ヒカルと共に行動。
備考:2時間の制限に気づきました。サーガインの場合、2時間制限中はまともにクグツを操縦できません。

【名前】早川裕作@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:34話後
[現在地]:H-3港町 1日目 早朝
[状態]:健康。
[装備]:ケイタイザー、木造の台車(お手製)
[道具]:フェンダーソード@激走戦隊カーレンジャー、火竜の鱗@轟轟戦隊ボウケンジャー、他1品
[思考]
第一行動方針:サーガインの力になる
備考:2時間の制限に気づきました。自分にも適用されることを予想しています。
 メガシルバーの変身制限時間は2分30秒のままです。

198 :ニアミス ◆i1BeVxv./w :2008/06/20(金) 03:24:39 ID:mXBGn1+u0
以上です。
途中の代理投下、ありがとうございます。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想、他指摘事項などありましたら、宜しくお願いします。

199 :名無しより愛をこめて:2008/06/20(金) 08:25:57 ID:IWQO1iYcO
>>198
GJです!
裕作さんと、チーフの分析はさすがの頭脳派らしい分析力だと思いました。
離れ離れになった彼らの今後はどうなっていくのか?
今後の展開が気になります。
台車に放り出されるお茶目な裕作さんに爆笑しました。

200 :名無しより愛をこめて:2008/06/20(金) 11:02:18 ID:lL6hQbxQ0
>>198
遅ればせながらGJ!
熱き冒険魂を抑えられない明石。
ヒカルの気持ちの微妙なズレが心配なところです。
そして深雪の死を知らない彼らの今後は……
サーガインと裕作、二人の魅力を引き立てるやり取り、テンポよく読ませる構成力。
もう一度GJ!

ひとつだけ指摘させていただくと、>>190ヒカルのせりふの
「彼は気になることがあると言って、一人で向こうに行ってしまったうよ」

「彼は気になることがあると言って、一人で向こうに行ってしまったよ」
ではないでしょうか?






201 :名無しより愛をこめて:2008/06/21(土) 00:14:56 ID:VafjvlZS0
裕作さんが鱗持ってるのにーーーーー

まさか魔法のほうが不便だとは

202 : ◆i1BeVxv./w :2008/06/21(土) 02:55:59 ID:ScA+YyXS0
ご感想ありがとうございます。

>>200
ご指摘感謝です。
まとめサイト更新と合わせまして修正しました。

203 :名無しより愛をこめて:2008/06/21(土) 11:16:17 ID:TtlrAqmC0
投下乙です。
サーガインと裕作のコンビのやり取りが面白かったです。和みましたw
ヒカルとの合流ですが、放送が怖いグループですね。
明石とのすれ違い、今後どうなるか楽しみです。
GJ!

204 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/23(月) 21:19:29 ID:dfVG917vO
本文は9割完成、ですがタイトルと状態表が手付かずです。
頑張ったのですが、推考にかかる時間も入れるとおそらく今日中の投下は無理かと……
大変申し訳ありませんが延長させて下さい。

205 :名無しより愛をこめて:2008/06/23(月) 21:34:53 ID:qemrvbvp0
了解しました。
明日の投下を心待ちにしております。

206 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/24(火) 23:58:50 ID:BwcbRh4R0
遅くなりまして申し訳ありませんでした。
只今から投下します。


207 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:02:37 ID:XQ2+ROsE0
「ヤバイよ〜これからどうしよう。早くインフェルシアに帰りたいよ」
「……」
「あ〜もう!ン・マ様が復活してたらあんな奴、ギッタンギッタンのメッタメタにしちゃうのに。ねぇ、メア」
「……」

いつもなら、メアの相槌が入る。
なのに、メアは黙ったまま。
バンキュリアが寂しさから身を二つに分けて以来、それぞれをナイとメアと呼び合い幾多の時を重ねて来た。
メアが返事を返さないのは、初めての事だった。

「メア?」

ナイはメアの顔を覗き込んだ。
メアは大きな目をギラつかせ、月明かりの下では漆黒に見える唇を噛んでいる。

「メア……」

ナイはそっとメアの肩を抱き寄せた。
ナイはメアで、メアはナイ、元々身体一つのバンキュリアなのだから、メアの抱いている不安はナイの本心。
ナイも同じ不安を抱いている。
でも不安に震えていても、状況は何一つ変わらない。
ナイは考えた。自分に与えられた称号の意味を。


208 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:03:21 ID:hguAVJwV0
 

209 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:03:51 ID:XQ2+ROsE0
クイーンバンパイアーーーーそれが人々に畏怖され、自らのプライドの証でもある称号。

(そうよ、ワタシたちはクイーンバンパイア、妖幻密使バンキュリア)

気を奮い立たせたナイは、メアの手を握り無理矢理はしゃいだ声を出した。

「大丈夫だよ〜アタシたち、不死身のクイーンバンパイアじゃん?」
「……だよね」

返事を返してくれた物の、メアの声はまだ沈んだまま。
ナイはメアの瞳を見つめ宥めた。
いつも通りの声で。

「ねぇナイ、さっき殺されたアイツいたじゃん」
「さっきの……あの黒いヤツ」
「そう、アイツの首輪取っちゃお!」
「……アイツの首輪〜」
「そう、アイツの首輪取っちゃって〜」
「取っちゃって〜?」
「それを囮に、バカな参加者に味方のふりして近づいて」
「うん、うん」
「首輪を外す方法を探さして、こ〜んな首輪、さっさと外しちゃお!」
「だね〜。さっさと外しちゃお〜、外しちゃお」
「だって、ワタシたちは妖幻密使!味方のふりなんて簡単」
「間単だよね〜」

密使、それは密かに任務を遂行する使者。

210 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:04:33 ID:XQ2+ROsE0
妖幻密使、それがバンキュリアに与えられたもう一つの称号だった。


ナイはメアの手を握り、二人寄り添いながら来た道を戻る。
真澄の骸に残る首輪を奪う為に。
ロンの片腕であるサンヨ、それに広間にいた憎たらしい魔法使い達、素のバンキュリアでさえも手強い者達。
制限下に於いてなら、なおの事『強敵』と呼べる存在。
それに打ち勝つ為に……
いや、それよりも何よりも自分自身の身を守る為に、まず首輪を外さなければならない。
これが首に有る限り、自分の生死はロンに左右される。

(ロン、アイツはヤバイ。もしかしたら、ン・マ様と同じぐらい……)

笑顔を浮かべながらも、ナイは背筋を走る悪寒を抑えられなかった。
ふと、メイは立ち止まり、慈しむようにそっとナイの首輪を擦った。
どうすればいい?
ナイは自分自身であるメアに問う。

「メア。首輪外した後、どうする?いつまでも、味方のふりするのもムカつくよね」
「ムカつく、ムカつく」
「そうだ、ロンに使えちゃうってのは?ハハハ……」
「アハハハ……」

ロンは、勝ち残った者の願いを叶えると言った。

211 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:05:18 ID:XQ2+ROsE0
吸い付きたくなる、甘い蜜。
だが、甘い蜜には罠がある。
蜜で飼い慣らされても、首輪を嵌められたままであれば、生殺与奪はロン握られたまま。
最後の一人まで生き残れたとしても『元の世界に帰る』その願いさえ、叶えてくれる保証など皆無。
皆、蜜には寄ってくる。だが、その味が苦ければ離れて行くのが世の常。
ナイは視線を泳がせた後、首輪を擦るメアの手に手を重ね言った。

「なんてね。アイツ自分の仲間のサンヨってヤツにも首輪嵌めてたぐらいだし…あっ、もしかして」
「もしかして、サンヨが〜」
「いらなくなっちゃったとか?」
「「ザマーミロ〜」」

笑顔のメアにナイは満面の笑顔で答えた。

「アタシたちを吹っ飛ばしたサンヨ、もし今度あったら〜」
「「やっちゃおうか!」」

バンキュリアはサンヨを嘲笑い、ロンに感じた恐怖を振り払った。

212 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:06:02 ID:ze+Kdw+O0
 

213 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:06:03 ID:XQ2+ROsE0


『今度あったら』
今度とお化けは滅多に遭遇できない物。
そう言った観点から見ればナイとメアは非常に運が良い。
だが、真澄の屍体のある場所まで戻った二人は、実際に遭遇した『今度』という奴に目を剥いた。

「げ、ちょっとアイツ、まだいるよ?」
「まじ?」
「ねぇ、アイツもワタシたちと同じで、まだ制限解けてないよね……」
「解けてない。解けてない」
「良い事思い付いちゃったよ。メアがアイツ目掛けて催涙弾を打って〜」
「うん、うん」
「アイツが泣いてる間にアタシが首輪を取って、メイが止めを刺す」
「それ、いいね〜」

メアは銃弾を催涙弾に詰めかえた。
後一時間は、サンヨも制限時間内。
力が使えないならば、武器を持つ自分たちにも勝気はある。
残弾は銃弾が11発、催涙弾が5発、消滅の緋色と説明書のある弾が1発あった。
制限下の相手ならば催涙弾で視界を奪い、銃口の先端に光るナイフで刺し殺すのは難しくないように思う。
限りある予備の銃弾は出来るだけ取って置きたい。
一発たりとも無駄にはしたくなかった。

「完璧だよね」
「だよね〜」

ナイとメアは木の影からサンヨの様子を伺う。

214 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:06:27 ID:ze+Kdw+O0
  

215 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:07:29 ID:XQ2+ROsE0
闇の中で、こちらに気付いたサンヨの頭が動くのがわかった。

「やっちゃいな!」

サンヨが立ち上がった、ナイがそう思った時、メイがライフルの弾金を引いた。
ーーパン!
銃声と火花が闇の中に散った。
サンヨは一瞬仰け反り、打たれた胸を抑え低く呻き声をあげる。
白い煙がサンヨの上半身を包む。
そして煙の中で、のた打ち回りながら激しく咳込みはじめた。

「「やったね!」」

ナイとメアの歓声がハモる。
よろめきながら闇の中へ消えて行こうとするサンヨの大柄なシルエットを逃さず、メアは突進し先端のナイフで袈裟がけに切り付ける。
ナイフは刃を煌めかせ、本能的に顔を庇ったサンヨの右手を切り裂いた。
次の攻撃を避けようと後退したサンヨは、真澄の頭であった血溜まりに足を取られよろけた。

「前…ガ、見えな……いヨ」

サンヨはぎくしゃくと腕を動かし、じゃくじゃくと骨を砕き、血に滑る足取りで奇妙なピエロのダンスを踏んでいる。
ナイとメアは可笑しくて笑い転げた。

「キャハハハハ。大成功やったね!」
「早く首輪さがしちゃお!」
「オッケー!何これ、キモ〜イ」

メアはサンヨを突き飛ばし、暗がりにしゃがんで、血溜まりの中の首輪を探す。

216 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:08:04 ID:ze+Kdw+O0
   

217 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:08:26 ID:hguAVJwV0
 

218 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:09:12 ID:XQ2+ROsE0
横で、ザシュッザシュッとリズムを刻みながら、メアはサンヨの腕、肩、体へと執拗にナイフを突き立てる。
その度に催涙弾で焼かれた喉からサンヨの掠れた声が漏れた。

「あったあった、メア!あったよ!」
「おっ、やったね」
「ついでにサンヨの支給品も、貰っちゃお」

メアはサンヨのデイバックに手を伸ばした。
一瞬、真澄の防弾チョッキを思い出し手を伸ばしかけたが、血をたっぷり吸ったそれを着たいと思わなかった。

「なになに?『マジカルチェーン』と『デュエルボンドソード』……剣によって勝負が決した時にのみ、チェーンは解消する。だって」
「何、それ?」

メアは右手で剣を持ち、両側に腕輪が着けられた数メートルほどの長さの古びた鎖を左手でシャラシャラと振り回した。
ナイの視線が鎖に動き、ナイフの切っ先がサンヨから一瞬離れる。
その隙を突いたサンヨは蜥蜴のように地を這い、必死にそこから逃げようとした。
だが、行く手をナイが先回りし塞く。
遅れてメアがマジカルチェーンの片輪をサンヨの右腕に嵌めた。
メアが血で汚れた手を黒いスカートで拭いながら、ナイが銃口を向けながら、言った。

「おっと、逃がさないよ〜」
「逃がさないよ〜」
「さっきは、よくもふっ飛ばしてくれたよね」
「「せーの」」

ナイとメアは鎖の反対側を力任せに引っ張った。
つんのめるようにサンヨが立ち上がると、ぐるぐると真澄の周囲を回り勢いづいた所でパッと鎖を離す。
サンヨの身体はそのまま突進し、止まる事なく大木に叩き付けられた。

219 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:09:41 ID:hguAVJwV0
 

220 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:09:48 ID:qXpJ6jlK0
真澄じゃなくて、真墨では
支援

221 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:10:01 ID:XQ2+ROsE0
サンヨは「グェッ」と、かえるのような一声を発し、そのまま仰向けに倒れた。
数メートル後ろから、ナイとメアはその姿に腹を抱えて笑っている。

「アハハ、弱っち〜。だからロンにも見切られるんだよ」
「だよね〜」

サンヨは倒れたまま、未だ掠れた声を搾り反論した。

「ロ…ン…がサンヨを、見……切るはずな…いヨ」

その言葉に二人は堪えきれずピョンピョンと跳ねた。

「まだ気付いてないよ、コイツ。おっかし〜。じゃあなんでアンタも首輪を嵌められてんの?」
「そうそう」
「違うヨ……これは、ハンデヨ〜」

サンヨはムクリと上体を起こした。
立ち上がろうと膝を突き、崩れ、手を突き、崩れ、そして四つん這いになりながらナイとメアから顔を背けず、起き上がろうとしている。

「サンヨは…何故だか死なない……不死身ヨ〜」

酷くおどけた口調だった。
メアは自分の心が震えるのを誤魔化すよう、歪んだ笑みをサンヨに向けた。
ナイはライフルの催涙弾を黒い銃弾に詰め換えサンヨに狙いを定めた。

「アハハ、そんなの首輪がなければの話だって。
それに不死身なのは、アタシたちだけでいいよ!」
「「逝っちまいな〜」」

メアがライフルの引金に指を掛けた。

222 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:11:01 ID:XQ2+ROsE0
その時、右後方から誰かが駆け寄ってくる足音が聞こえた。

「誰?!……まさか、またロンが来たんじゃないよね」
「ないよね」

ナイとメアはライフルをそちらに向け、足音を追って走り進んだ。
後ろで鎖がジャランと音を立てた。
方向転換したナイとメアは顔を見合わせた。

「「何?!」」

四つん這いになったサンヨの手首の鎖がピンと張った。
サンヨの体がナイとメアが進んだ真逆、左後ろへ引きずられて行く。

「「え?」」

足音が遠ざかって行く。
繋がった鎖の先を持つのは背の高い男。
あちらはフェイント。
自分たちが真澄に仕掛けたような単純な手に嵌められたのだ。
ナイとメアは唇を噛んだ。

「ブクラテスさんが注意を引いて、俺が助ける。単純だけど引っ掛かってくれたね」


223 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:11:45 ID:ze+Kdw+O0
    

224 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:12:17 ID:XQ2+ROsE0



「何コイツ〜、ムカつく!」
「ムカつく!」
「で、アンタ変身もしないで助けにきたってわけ?変身しないの」
「しないの〜」

二人は武器を手にニヤニヤと笑いながら挑むような視線を投げつける。
センは構えたままで、タクトのように人差し指を振る。

「それは君達だっておなじだろ?何か特殊な能力が在るはずだろうに、それを使わず武器で攻撃している。すなわち、一度能力を発揮して今は制限されている」
「さぁ、どうかな?ワタシたち、もうそろそろ2時間経つし〜」
「経つしね〜」
「2時間……へぇ、制限時間は2時間なんだ。思ったより短かったな。なら、俺はもう変身できるって訳だ」
「あっマズイ!言っちゃったよ」
「言っちゃったよ〜」
「殺し合いに乗った上に、笑いながら嬲り殺しにしようなんて、宇宙警察地球署、江成仙一が許さない!」

センはSPライセンスを握り締めナイとメアに吼える。
形勢が不利と分かった途端、ナイとメアは違う違うとばかりに手を振った。

「ま、ま、待ってよ。何か勘違いしてない?ワタシたちはこの黒い奴の首輪を貰おうとしただけで〜」
「殺したのはソイツ〜」
「ソイツは広間にいたロンの片腕サンヨだよ。ほら、よく見てよ」
「何だって、ロンの片腕?」

センの傍らでうずくまっていたサンヨの体がぐらりと揺れた。次の瞬間サンヨはセンに襲い掛かる。
ナイが二人に向けてライフルを打った。
銃弾はサンヨの振り上げた腕に当たり、そのまま後ろへ昏倒した。

225 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:13:28 ID:hguAVJwV0
 

226 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:14:24 ID:XQ2+ROsE0
こそこそと、ナイが近づいてマジカルチェーンの片側をセンの左腕に嵌める。
メアはデュエルボンドソードを右腕に握らせ、傍らにあったセンのデイバックを担いだ。

「ワタシたちは、まだ制限時間中だから〜ソイツの事はアンタに」
「任せるよ〜」
「剣によって勝負が決した時にのみ、チェーンは解消するんだって。さっさと〜」
「「殺しちゃいな〜」」

待て!センがそう言いかけたとき、サンヨがナイとメアに向かって駆けだしていた。
踏み止まろうとセンは踏ん張る。
SPライセンスのスイッチをチェンジモードにセット。
エマージェンシーを発声。その寸前、振り向きざまに放ったサンヨの回し蹴りがセンの側頭部を捕らえた。
ズンと脳天を突き抜ける衝撃、継いで背中に鈍く重い打撃。
SPライセンスがセンの手から滑り落ち、サンヨそれを蹴りで弾き飛ばす。
センはふらつく頭を押さえ、体制を立て直し、SPライセンスを取り戻そうとサンヨから距離をとる。
サンヨは鎖を腕に巻き付け距離を縮めてきた。
センが身を捩り、鎖を引き返した瞬間。腕がもぎ取られるかと思う力で強引に引っ張られる。
だが、この時を待っていたセンは身体の力を抜いた。
絶対的に力が上回っているのはサンヨ、同じ力で対抗しようとしても無理な話。
センが優っているのは洞察力と集中力。隙をついた一瞬の逆転を狙う。
引き寄せられる力を助走代わりに地面を蹴り上げる。
センの身体が空中で前方に回転し、重さとスピードを乗せた剣がサンヨの上腕を撫で斬る。
一拍置いて、ドサリとサンヨの腕が地に転がった。
その瞬間、二人をつなぐ鎖もシャンと音を立てて砕け散った。

227 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:16:44 ID:ze+Kdw+O0
    

228 :◇MGy4jd.pxYさんの代理投下:2008/06/25(水) 00:21:46 ID:hguAVJwV0
大きく息を吐き出し、呼吸を整えたセンは草むらに投げ出されたSPライセンスを探し始めた。
後でサンヨ斬られた片手を押さえ、ズズッと前に進んだ。

「……なんで、サンヨを殺さないヨ」
「警察官だから、人殺しはしない。まだ、裁かれていない者をデリートするのは僕の仕事じゃない」
「馬鹿な、男ネ〜!!」

サンヨが猛った。力強く走り寄る足音に身をかわしたが遅い。
肩と右脚の内側を抱え上げられ、頭からその場に投げ落とされた。
鎖の繋がれていた方の肘を、全体重と恨みを乗せたサンヨの足が砕く。
そのまま坂道を転げ落ちるように体中に絶え間なく激痛が走る。
サンヨが一蹴り一蹴り毎に力を込め、加えながら蹴る、蹴る、蹴る、蹴る。

「そろそろ、オシマイにするヨ」
「ぐっ……残念ながら、打た…れ……強い…んだよ、俺は」
「ソイツと同じに頭を踏み潰してやるヨ」

言葉とは真逆に動きの止まったセンの頭蓋骨にサンヨの足が掛かる。

「そこまでじゃ!!センから離れねば貴様の命はない!!」

ブクラテスの声が響いた。
声だけだと強そうなんですね。ブクラテスさん。まさか助けに来てくれるとは……
沈みそうな意識の中でセンは思った。

「命びろいしたネ。その腕は、ロンに治して貰うといいヨ〜。サンヨは、早くロンに首輪、外シテモラウネ」

サンヨが囁いた。とてもじゃないが良い夢は見られそうもなかった。


229 :◇MGy4jd.pxYさんの代理投下:2008/06/25(水) 00:22:19 ID:hguAVJwV0



「あのまま、都市へ向かうべきだったか……」

胎児のように体を丸め、口元から鮮血を流すセンの姿を目にしたブクラテスは心の底から後悔していた。
ブクラテスの切断された右腕の治療の為、二人は都市で病院を探すつもりでいた。
エリアの外れで見付けた探知機の反応は4つ。
4人とも全員が殺し合いに乗ったとは思えなかった。
様子を見に行くというセンに従いブクラテスは暗く見通しのきかない森へ反応を追って走りだした。
いくらか走り、木々ばかりの視界の先に揺れている人影が見えた。
銃声と共に、花火でも上がったような歓声が沸いた。
ダンスを躍るように揺れている大柄な影と、銃口を向ける女と俯せに倒れ頭の潰れた死体をまさぐる女がいた。
センは突然逆立ちし、また突然元に戻ると、大柄な者を助ける手筈と囮となった後、落ち合う場所をブクラテスに耳打ちした。
ブクラテスはその場所へは行かず、付かず離れずセンの反応を見失わぬよう距離をとった。
離れすぎれば、ブクラテスに近づく探知機の反応がセンの物かどうか判断が付かなくなる。
やがて反応は2つ別れ、戻ってきてみればセンの頭が、助けようとした者に砕かれようとしていたのだ。

「セン……誰か人を呼んで来よう。動くでないぞ」
「腕…一本…ぐら……い、大丈夫です。ブク…ラテスさんだって……」

センはそれだけ言うと目を閉じた。
ブクラテスは溜息と共に立ち上がり、草叢からSPライセンスを拾い上げセンの手へ握らせた。
弱々しくSPライセンスを握ったセンの姿に、ブクラテスは『センはもう利用できない』と思い至った。
今のセンは最初に出会った女と同じ、利用するどころか足手まといにすぎない。
だが、センのおかげで利用できそうな人物のあてはできた。
センの仲間、顔は知らずともセンと同じ着衣に身を包んだ人物ならば利用できる。
悪く、思わんでくれ。
これ以上ここに居るのはブクラテスにとって、最早時間の無駄でしかなかった。

230 :◇MGy4jd.pxYさんの代理投下:2008/06/25(水) 00:25:28 ID:hguAVJwV0


その気配に理央が気付いたのは、砂漠を抜け森に続く道を独り歩いていた時だった。
森の奥から怯えた女の気配を微かに、だが、確かに感じ取った。

「……まさか」

ドクドクと心臓を打つ鼓動の一拍ごとに、スワンに焼かれた亡骸、広間で無残に散った名も知らぬ男、バックを手にした美希、それをほくそ笑むロンの姿が沸き上がる。
最後に浮かんだのは門の向こうへ消えるメレの横顔と細い肩。
もし、メレに何かあれば……
理央の胸に、親を殺され、己の半生を狂わされた怒りをも越える熱く激しい怒りが渦をなし逆巻く。
理央は五感を研ぎ澄ませ気配を目指して駆け出した。

森の奥から二人の少女が何者かに追われるように生きを切らし、こちらに向かって駆けてくる。
理央の姿を見た二人は竦み上がり立ちすくんだ。
逡巡しているような二人に、理央が声をかけようとした時。
「た、助けて、ワタシたちサンヨってヤツに襲われて……」
「ヤツはどこにいる!」
「待って、アイツならもうどっか行っちゃったし……それより」
「ワタシたち〜」
「味方になってくれる人を捜してて」
「貴様、何者だ?」
「アナタは、広間でロンに向かって行ってた。理央……様、ですよね」
「ですよね」

頼りなく自分に助けを求める二人の女。理央は不審な眼で少女を睨み据えた。
だが、理央の、その眼の奥に敵意はなかった。

231 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:25:59 ID:ze+Kdw+O0
  

232 :◇MGy4jd.pxYさんの代理投下:2008/06/25(水) 00:26:35 ID:hguAVJwV0


フゥ、上手くいったね、メア。
あの変な背の高い男に、制限時間のハッタリは効かないし、ばらしちゃうしでどうなるかと思ったけど上手く行って良かったよ〜
森を出てすぐ、広間でロンとやり合ってた理央ってヤツ会ったのはびっくりしたけど……
とりあえずワタシたちを受け入れそうな感じだけど。
でも、いざという時は、あの背の高いヤツから奪った支給品のサイコマッシュで〜メッロメロのフッニャフニャにしちゃって〜
思い通りに動かせばいいよね、ねぇ?メア。




【名前】サンヨ@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:ロンと一緒
[現在地]:B-8森林 1日目 黎明
[状態]:全身打撲、無数の刺し傷
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
第一行動方針:ロンの指示に従い、しばらく様子見。
第二行動方針:首輪を外してもらう。
備考
・伊能真墨の支給品はスワン製防弾チョッキ@特捜戦隊デカレンジャーでした。
・真墨のディパック、アクセルラー、その他諸々は真墨の死体と共に置き去りにされています。
・サンヨの支給品はデュエルボンドソード、マジカルチェーン@魔法戦隊マジレンジャーでした。
・制限が2時間であることを知っています。

233 :◇MGy4jd.pxYさんの代理投下:2008/06/25(水) 00:28:23 ID:hguAVJwV0
【名前】バンキュリア@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage18(ブランケン死亡)後
[現在地]:D-8森林 1日目 黎明
[状態]:多少の打撲。ナイとメアに分離中。
[装備]:一つ目のライフル銃@魔法戦隊マジレンジャー
[道具]:予備弾装(銃弾10発、催涙弾5発、消滅の緋色1発)サイコマッシュ@特捜戦隊デカレンジャー支給品一式。
[思考]
第一行動方針:ロンから距離を取る。その後の行動については特に定めていません。
備考
・バンキュリアは首輪の制限を知りました。
・予備弾装に催涙弾や消滅の緋色が含まれているかは後の方にお任せします。
・制限が2時間であることを知っています。

【名前】江成仙一@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:Episode.12後
[現在地]:C-8森林 1日目 黎明
[状態]:左肘複雑骨折、全身打撲。
[装備]:SPライセンス
[道具]:なし
[思考]
第一行動方針:仲間たちと合流する
第二行動方針:気絶中。
備考
・センの支給品、バーツロイド@特捜戦隊デカレンジャーは破壊されました。サイコマッシュはバンキュリアの元へ
・制限が2時間であることを知っています。


234 :◇MGy4jd.pxYさんの代理投下:2008/06/25(水) 00:29:17 ID:hguAVJwV0
【名前】理央@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:修行その47 幻気を解き放った瞬間
[現在地]:D-8森林 1日目 黎明
[状態]:健康。ロンへの怒り
[装備]:不明
[道具]:不明
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。乗った相手には容赦しない。
第一行動方針:メレと合流する。
第二行動方針:この二人は……


【名前】ブクラテス@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第12章(サンバッシュ敗北)後
[現在地]:C-7森林 1日目 黎明
[状態]:右腕切断。簡単な応急処置済み。
[装備]:めがね
[道具]:首輪探知機。毒薬。切断された右腕。基本支給品とディパック
[思考]
第一行動方針:利用できる相手を捜す。
第二行動方針:センは足手まといになる。


235 :◇MGy4jd.pxYさんの代理投下:2008/06/25(水) 00:29:54 ID:hguAVJwV0
以上、代理投下完了です。

236 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:31:57 ID:XQ2+ROsE0
代理投下ありがとうございました。


237 :Nightmare ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 00:32:55 ID:XQ2+ROsE0
以上です。誤字脱字、矛盾指摘感想いただければありがたいです。
タイトルは Nightmare でお願いします。


238 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:34:08 ID:ze+Kdw+O0
投下乙です。
ナイとメアの狡猾さがうまかったです。
センちゃんピンチ。リオも今後の行方が不安になるような結末でした。
面白かったです。

239 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 00:43:06 ID:qXpJ6jlK0
投下&代理乙です。
ナイ・メアがさりげなく極悪な事をしているのが、いい感じです。
センちゃん、このままあっけなくやられてしまうかのか!?
ブクラテスの出方が気になります。

240 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 01:06:45 ID:hguAVJwV0
GJ!
制限に絡めとられ、傷を負ったサンヨとセンちゃん。
まともに戦えば決してひけをとらない二人がナイとメアに翻弄される様はロワならではでした。
同時にナイとメアと出会った理央にも暗雲が立ち込めている気がしてなりません。

ひとつ指摘ですが、バンキュリアの状態表の備考に予備弾の記載は不要かと思います。

241 : ◆i1BeVxv./w :2008/06/25(水) 02:08:20 ID:hguAVJwV0
さるさん規制が怖いですが、投下します。

242 :ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w :2008/06/25(水) 02:08:58 ID:hguAVJwV0
 高岡映士が様子を見に行くと言って、小梅の元を離れ、10分の時が流れた。
 小梅は岩場から顔を覗かせ、辺りを確認するが、映士が帰ってくる様子はない。
「う〜〜ん」
 映士は20分経って自分が戻らなければ、小梅にこの場から逃げろとも言っていた。
 しかし、ふと考えてみる。
 寝惚けていたため、ついつい『いってらっしゃい』と送り出してしまったが、危険が迫れば向かうべきは自分。百歩譲っても一緒に行くべきだったのではないか。
 なぜなら自分は地球署のスペシャルポリス。一方の映士は冒険者とは聞いたが、あくまで民間人だ。
「よし、追いかけよう!」
 決意すれば行動が早いのが小梅の長所だ。小梅は素早く身支度を整えると、映士を追い、走り出した。
 だが、それから一分も経たない内に――
「痛い!」
 足首に感じる鈍い痛み。
 小梅は失念していたが、彼女の足は捻挫中だ。再発した痛みに足を取られ、ディパックの中身をぶちまけながら盛大にすっ転ぶ。
「げふっ」
 砂浜に顔を突っ伏し、蛙を潰したような声を上げる小梅。
(そういえば、高丘さん……映士さんと初めて会った時も同じように転んだんだっけ……)
 小梅の脳裏に浮かぶのは映士との出会い。そして、今までの動向。
 わずかな時間であったが、映士が殺し合いに乗らない、強く、そして、優しい男だということは小梅にはもうわかっていた。
 彼のような男を死なせるわけにはいかない。
「小梅ちゃん、良い子強い子めげない子!」
 自分に喝を入れ、小梅は立ち上がる。足は相変わらず痛むが、気合を入れれば歩けないほどではない。
「待っててね、映士さん!」
 しかし、気合を入れて踏み出そうとした足は、眼前に広がる現実にピタリと止まった。
 ぶちまけた支給品があちらこちらに散らばっている。放っておくという手もあるが、ゴミのポイ捨てを放置して進むのはポリスとしての良心が咎めた。
「ま、待っててね、映士さん」
 もう一度、今度は少し弱気に同じ台詞を呟き、小梅は散らばった支給品の回収を始めた。
 時計に地図に名簿。ジャムパンにピザパンにコロッケパン。ペンとメモ帳に……
「あとは、あっ、あった」


243 :ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w :2008/06/25(水) 02:09:22 ID:hguAVJwV0
 それは小梅だけに支給された特別な支給品。小梅はそれを手に取った。



 一方、映士は微かに聞こえてきた声を頼りに、声の主が視認できる距離まで歩を進めていた。
 相手に気づかれぬよう、大きな岩の陰からわずかに顔を覗かせ、その姿を確認する。
 そこにいたのは一組の男女。白いオーバーコートを着た長髪の男性と、赤いツナギを着た短髪の女性だ。
「おーい!アンキロベイルス〜!聞こえる〜!」
「駄目キロ!聞こえないキロ!」
 ようやくはっきりと聞こえた声に、映士は不思議そうに首を傾げる。
 最初の声は赤いツナギの女性だ。それは口元を見ればはっきりと分かる。
 だが、次に聞こえた少年のような声はどこから聞こえてきたのだろうか。
 白いコートの男性は喋ったように見えないし、外面のイメージとは声が合わない。
(腹話術……?いや、あれはブレスから聞こえてくるのか?)
 女性の右手首に付けられたブレスには爬虫類を模したような細工が施されている。
 自分の手に着けられたゴーゴーチェンジャーが、この場で通信できないのは既に確認済みだ。
 そうなると、あれは意思を持ったプレシャスなのだろうか。
(もっと近くに……)
 より詳細に確認しようと、映士はその場からの移動を試みる。
「……菜摘、ゲキファンをよこせ」
 突然、男性は声を上げたかと思うと、女性のディパックから何かを取り出した。直前の言葉から考えると、それがゲキファンと呼ばれるものなのだろう。
 ゲキファンは男性が軽く振るとたちまち扇状に広がる。
(なんだありゃ?扇子みたいだが)
 不意にゲキファンを物珍しげに見詰める映士と男性の眼が合った。男性の眼にははっきりとした敵意が浮かんでいる。
「やべっ!」
「ふん!」
 男性は振りかぶると、映士がいる方向へとゲキファンを放った。映士目掛け、持ち手を軸に回転しながら真っ直ぐに飛んでいくゲキファン。
 映士は素早く岩陰から飛び出すと、身を低くして、地面へと転がった。
 ザシュっと、映士の上で何かを切り裂くような音がした。見れば岩肌の一部がゲキファンによって、見事に削りとられていた。
 その威力に唖然とする映士の視線を横切り、ゲキファンはまるで操られるかのように男性の手元へと戻っていく。


244 :ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w :2008/06/25(水) 02:09:43 ID:hguAVJwV0
「ふっ、中々便利な道具だ」
 嘲るように男性は呟くと、次は外さないと言わんばかりにゲキファンを再び構える。
「ちょっと待て、俺様は戦うつもりはねぇ!」
「信用できるか」
 話にならない。
 映士はボウケンシルバーへと変身するため、ゴーゴーチェンジャーに手を添えた。
「こら、やめなさい!」
 まるで行司が軍配で相撲取りを裁くようにゲキファンを持ち、火花散らす二人の間に女性が入る。
 先程、男性に菜摘と呼ばれた女性だ。
「壬琴、戦う気がない相手にこちらから仕掛けてどういうつもり?」
「そうキロ、短気キロ!」
「ちっ、うるさい奴等だ」
 憎まれ口を叩きながらも、壬琴と呼ばれた男性は渋々といった様子でゲキファンを懐に納めた。
 その様を見て、映士はホッと胸を撫で下ろす。どうやら菜摘は話が通じそうだ。
「あんた、助かったぜ。俺様は高丘映士。宜しくな」
「私は、イエローレーサー。志乃原菜摘っていうの。宜しくね!」
「イエロー……レー……サー?」
 聞きなれない単語に映士は顔をしかめる。だが、そんな映二の困惑を余所に菜摘は紹介を続けていく。
「あなたを襲ったのはアバレーサーの仲代壬琴。顔はちょっと悪人っぽく見えるけど、意外とお茶目な人よ。そして、この子が……」
「アンキロベイルスだキロ!」
 上顎の部分が動くと共に、ブレスから聞こえてくる少年のような声。まるで生きているかのようだ。
「これ、やっぱり生きてるのか?」
「ううん、これはただの通信機よ。他の仲間たちとは通信できないんだけど、アンキロベイルスとは通信できるみたいなの。
 私たちはこの海岸のどこかにいるアンキロベイルスを探しているところ。ねぇ、あなたも一緒に探してくれないかしら?」
「一緒に探せキロ!」
「ああ、いいぜ……と言いたいところだが、俺様の仲間と相談してからだな」
 ふと時計を確認すれば、岩場を離れてから20分近い時間が経っていた。
 あとわずかで小梅に逃げろと指示した時間になろうとしている。
「30分にしとけばよかったか?」
 映士はぼやくと、菜摘たちを連れて、小梅がいる場所を目指した。


245 :ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w :2008/06/25(水) 02:10:11 ID:hguAVJwV0
 歩くというよりは走るという速度での会話というのに、壬琴と菜摘は、映士と同じく息ひとつ乱さない。
(どうやら2人ともただの一般人というわけじゃなさそうだな)
 映士はまだ2人を信用していない。特に仲代壬琴は要注意だと考えていた。
 ゲキファンを投げた時に向けられた敵意は、常人が向けるそれとは明らかに違う。
 本当なら小梅との合流前に敵か味方なのかはっきりとさせておきたかったが、生憎、小梅には戻って来なかったら逃げろと伝えている。
 小梅を一人で逃がすことと仲代たちと合流させること、どちらが危険かを天秤に掛けた時、映士は自分の眼の届かない場所に行かれる方が危険だと判断した。
(まあ、仲代はともかく、菜摘の方に害はなさそうだし、大丈夫だろう)
 しかし、小梅といた岩場まであとわずかというところで、映士は異変に気づいた。
「!?、これは……」
 映士が眼にしたのは散乱した支給品。
 時計に地図に名簿。ジャムパンにピザパンにコロッケパン。ペンとメモ帳に、そして、悪魔をデフォルメした人形。
「なにこれ?」
 その光景に菜摘も訝しげな声を上げる。
 映士は直接確認したわけではなかったが、それらの支給品が小梅のものであると半ば確信めいた予感を抱いていた。
 ならば、肝心の小梅はどこにいったのか。
「ウメコー!どこにいるウメコーー!!返事をしやがれ!!!」
 もし近くに敵がいれば、相当に目立つ行為だが、今はそんなことに構っていられない。
 映士は咽喉が張り裂けんばかりに、小梅のニックネームを叫ぶ。
「ふっ、白々しいな」
 声を張り上げる映士の姿を見て、壬琴が不意に呟いた。
「なにぃ、どういう意味だ!」
「そのウメコとかいう女、お前が殺して、海にでも沈めたんじゃないのか?」
「壬琴!」
 菜摘が壬琴を制するが、壬琴は止まらない。
「ゲームに乗ってないことを証明する一番手っ取り早い方法は仲間を作ることだ。女、子供だとなおいい。
 ゲームに乗っている奴が弱そうな奴をそのまま放置している道理はないからな。
 だが、わざわざ行動を共にしなくてもそう思わせることもできる。今まで一緒に行動していたという嘘を吐けばいい。
 俺たちへの不意討ちに失敗したお前はそう考えたんじゃないのか?」

246 :ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w :2008/06/25(水) 02:13:58 ID:hguAVJwV0
「……ああ、そうかもな。だが、そりゃあテメェのことだろう!」
 襟首を掴み、映士は壬琴へと詰め寄る。怒りに血走る映士の視線を、壬琴は口元に笑みを浮かべながら、蔑むような眼で受け止める。
 一触即発。そんな空気が場に流れた。
 そんな中、先に眼を反らしたのは映士だった。
「どうした、怖気づいたか」
「うるせぇ!お前にどんなに挑発されようが、俺様は殺し合いには乗ってねぇ!
 それにこんな有様じゃあ、ウメコに何かあったのは確かだ。俺様はウメコを探す。お前と遊んでいる暇はねぇ」
 映士は踵を返すと、散らばった支給品を自分のディパックに詰め、一人で歩き出す。
「壬琴、いくらなんでも言いすぎよ!」
「そうキロ!」
 その後を菜摘が追う。壬琴はその後ろ姿を見つつ、辺りに気を配った。
(こちらを見ている奴は……いないか)
 映士と同じく、壬琴もまだ映士を信用していない。だが、小梅の行方不明の原因が映士にあるとは最初から思っていなかった。
 壬琴には今までの経験から善人と悪人の区別には自信がある。映士は多少ひねくれてはいるが善人の類に入る男だ。
 勿論、善人だろうと、我が身可愛さに殺し合いに乗るのが人間というものだが、そういう奴は大なり小なり『狂い』を眼に宿しているものだ。映士にはそれがない。
 壬琴の挑発は潜んでいるかも知れない誰かへのカマ掛け。
 争う様を見せれば、何らかの行動を起こすかと思ったのだが、どうやらそれはハズレだったようだ。
(何にせよ、ようやく面白くなりそうだ)
 壬琴はディパックを持ち直し、わずかな期待を胸にゆっくりと映士の後を追った。



(ビビィィィィィ〜〜!上手くいったデビ!)
 彼は暗闇の中でほくそ笑む。彼は自分の策略が上手くいったことがたまらなく愉快だった。
 小梅を自らの転送能力で飛ばし、映士に濡れ衣を着せる。
 映士が戻ってくるかどうかは多少ギャンブルだったが、見事仲間割れを起こすことに成功。結果オーライだ。

247 :ウメコはどこへ消えた? ◆i1BeVxv./w :2008/06/25(水) 02:16:59 ID:hguAVJwV0
(ビビィ〜!この調子でどんどん殺し合いをさせるデビ!上手くいったらネジレジアを再興できるデビ!)
 彼がロンとした約束は特殊なものだった。支給品扱いである彼は最後の一人になり得ない。
 だが、もしこの催しをロンが望む形で終了させることに協力すれば、彼には願いを叶える権利が与えられる。
 そして、ロンの望む形とは殺し合いの果てに、誰かの優勝で終わること。
 必然なのか、偶然なのか、彼が優勝を望む者は参加者の中に一人もいない。
 彼はただ殺し合いが円滑に進むよう邪魔をすればいい。それで願いが叶うなら安いものだ。
(ビビィ〜!頑張るデビ!)
 彼の名はビビデビ。Dr.ヒネラーが悪魔科学により作り出した生命体。そして、彼は映士のディパックの中で人知れず揺られていた。


【名前】胡堂小梅@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:最終回後
[現在地]:マップ上のどこか 1日目 黎明
[状態]:右足首を捻挫、手に軽い打撲。
[装備]:SPライセンス、拳銃(シグザウエル)、映士のジャケット
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:?

【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-6海岸 1日目 黎明
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:ボウケンチップ、ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー、不明(確認済) 、基本支給品一式(映士、小梅)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:ウメコを探す。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。
備考:ウメコの支給品はビビデビでした。


248 :◇i1BeVxv./w氏の代理投下:2008/06/25(水) 11:06:59 ID:6hnslon30
【名前】ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:聖獣戦隊ギンガマンVSメガレンジャー後
[現在地]:映士のディパックの中
[状態]:健康。2時間の間、能力発揮不可。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンに協力し、ネジレジアの復興。
第一行動方針:チャンスが来るまで人形のフリ。

【名前】仲代壬琴@爆竜戦隊アバレンジャー
[時間軸]:ファイナルアバレゲーム 死亡後
[現在地]:J-6海岸 1日目 黎明
[状態]:健康。菜摘に振り回され、若干調子が出ない?
[装備]:ダイノマインダー、ゲキファン@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本方針:コイン占いにより殺し合いには乗らないと決める。ロンを倒し、このゲームを破壊する。
第一行動方針:高岡映士に起こったことに興味。
第二行動方針:アンキロベイルスを探す。
第三行動方針:志乃原菜摘と共に行動。


249 :◇i1BeVxv./w氏の代理投下:2008/06/25(水) 11:07:51 ID:6hnslon30
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、他指摘事項、感想などがありましたら、宜しくお願いします。


250 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 11:21:19 ID:6hnslon30
投下乙&代理投下終了!遅くなって申し訳ありませんでした。

ウメコどこ行った!
そして、ウメコを思う映士が良かったです!
新たに登場したロンの刺客ビビデビ。
いやらしさがロンのミニチュア版のようで今後が楽しみです。
アバレーサーが定着した壬琴、菜摘の「意外とお茶目な人よ」には笑いました。
GJ!



251 :名無しより愛をこめて:2008/06/25(水) 19:23:02 ID:qD4emHao0
投下&代理投下 GJです!
遅くなりましたが、感想と疑問点をば
◆MGy4jd.pxY氏
圧倒的な力を持たないが故のナイメアの狡猾さが魅力的でした。
デュエルポンドでの戦い方は、頭脳派のセンちゃんならでは。
迫力のあるバトル描写にハラハラドキドキしました。
ナイメアの会話シーンは、別の意味でドキドキしましたw

疑問点ですが、センちゃんと戦った際に、サンヨの腕が地面に転がったと思ったのですが、状態表の記載にはないようでした。
もし、私の読み間違いだったら、申し訳ありません。

◆i1BeVxv./w氏
相変わらずの速筆、お見それしました。
本当にウメコはいったいどこへ!?
頑張るウメコがかわいらしかったです。
すっかり馴染んだアンキロベイルスと菜摘に和みました。
アバレーサー訂正する気は無いのね。仲代先生w
菜摘に振り回されつつも、冷静な仲代先生はかっこよかったです。

すみません。一点気付いた点を。
菜摘の状態表が抜けてしまっているようです。


252 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/25(水) 21:46:10 ID:9ADf8aQwO
感想そして指摘感謝致します。
いつもありがとうございます。
昨日受けた指摘はしたらばにて訂正しております。
そして確かにサンヨの右腕切断を記載しておりませんでした。
詰めが甘すぎました。失礼致しました。

253 : ◆MGy4jd.pxY :2008/06/26(木) 12:14:27 ID:9HvQ1FHX0
先ほど指摘箇所と状態表、誤字を訂正したものを仮投下スレに投下しました。
よろしくお願いいたします。

254 :名無しより愛をこめて:2008/07/01(火) 12:05:36 ID:2GV7cWGDO
まとめ氏更新おつかれさまです

255 :名無しより愛をこめて:2008/07/02(水) 16:13:48 ID:zwIch99W0
更新乙です!


256 : ◆MGy4jd.pxY :2008/07/06(日) 14:17:13 ID:NY/YHrDKO
大変申し訳ありませんが、延長をお願いできますでしょうか?

257 :名無しより愛をこめて:2008/07/06(日) 15:03:12 ID:IzMLIqseO
>>256
了解しました。
楽しみにお待ちしております。

258 :名無しより愛をこめて:2008/07/06(日) 22:26:10 ID:b9fy1R7J0
最近の戦隊が多いな

259 :名無しより愛をこめて:2008/07/06(日) 23:01:53 ID:1uBXp3oi0
あんまり古いの多くすると書ける人がいなくなっちゃうんで

260 : ◆i1BeVxv./w :2008/07/07(月) 21:11:59 ID:eDwjc/u70
投下します。

261 :策略と疑問 ◆i1BeVxv./w :2008/07/07(月) 21:13:03 ID:eDwjc/u70
「おーーーい!ローーーン!」
 日が昇り、光に照らされる森にサンヨの声が響き渡る。
 もう幾度同じ言葉を吐いただろうか。
 首輪を外してもらうため、懸命に声を張り上げても、一向にロンは反応を返さない。
 制限時間の2時間は過ぎ、当面の不安はなくなったとはいえ、また力を使えば、同じ不安に苛まれる。
 そうならないためにも、一刻も早く、ロンに首輪を外してもらわなければならないのだが。
「もしかして、あいつらの言ってた通り、サンヨ、ロンに見切られたのかヨ」
 ふと脳裏に不安がよぎる。サンヨを強襲したナイとメアが言った言葉。

――アハハ、弱っち〜。だからロンにも見切られるんだよ――

 自分はロンの不死身の部分を司っている。だから、ロンに見切られるわけない。そう考えていた。
 だが、逆にロンが不死身に興味をなくしたとしたらどうだろうか?
 ロンは常日頃から退屈であることに辟易していた。
 もし、不死身でなくなる方法を見つけたのなら、サンヨを見切る理由にならないだろうか
「……そんなわけないネ。また、誰かにちょっかいかけてるに違いないヨ」
 サンヨは首を横に振り、自分の考えを振り払う。
 ロンの悪癖は知っている。ゲームの途中であっても、より楽しくなる方法を見つけたのなら、参加者への介入も厭わない。
 きっと今頃は誰かを駒にするために甘言を囁いているのだろう。だから、反応がないのだ。
 サンヨが知っている情報を総合すれば、そう考えるのが最も現実的だ。
「慌てることはないヨ。ロンが気づくまで、ゆるりと待つとするヨ」
 不安を押し殺し、手近な場所へと腰を下ろす。次の瞬間、聞き覚えのある声がサンヨの耳に届いた。
「その必要はありません」
 サンヨが声の聞こえた方を向くと、眼に映ったのはフードを身に纏った金髪の男の姿。
 紛れもないロンの姿だ。
「ロン、待ってたヨ〜!さあ、早く首輪を外すヨ〜!」
 捲くし立てるように喋り、ロンへと詰め寄るサンヨ。だが、そんなサンヨとは対照的に、ロンはゆっくりと言葉を返す。
「首輪を?何故ですか?」
 その態度に、ロンがナイとメアとのやり取りを聞いていなかったのだと、サンヨは判断した。
 サンヨはその時のことを簡単にまとめて話すと、首輪を外すように迫る。

262 :策略と疑問 ◆i1BeVxv./w :2008/07/07(月) 21:13:53 ID:eDwjc/u70
「ロン、とにかく首輪を外すヨ。サンヨにハンデは必要ないヨ。サンヨなら外しても大丈夫のはずだヨ」
「大丈夫なら、自分で外せばいいじゃないですか」
「何言ってるヨ。これはロンじゃなきゃ外せないはずヨ。サンヨが無理矢理外そうとしたら爆発しちゃうヨ」
 この首輪はロンが用意したもの。サンヨが外し方などわかるはずがないと言うことは分かっているはずだ。
 一体、ロンは何を言っているのか。長い眠りの影響で、まだ、寝惚けているとでもいうのか。
「……ふっ、冗談ですよ。少しからかってみただけです。ただ、やはり今は外すことは出来ません。あなたが言った通り、ハンデは必要ですからね」
 ニヤリと笑うロン。その表情を見て、サンヨはこれ以上の議論は無駄だと悟った。
 考えても見れば、ロンが自分の進言を聞いて、予定を変えるなどありえない話だ。
 しかし、どうしても確認をしておかなければならないことがひとつだけある。
「じゃあ首輪は外さなくていいヨ。でも、一個だけ確認ネ」
「なんですか?」
「ロンは不死身でいることをやめたいわけじゃないヨネ」
 サンヨにとっては核心に迫る質問。
 首輪は厄介だが、いざとなれば無理矢理引っこ抜くことも出来ないわけじゃない。
 凄く痛いだろうが、サンヨは不死身なのだから死にはしない。
 だが、この首輪が不死身を無効化するとしたら、その方法は執れないのだ。
「不死身?……な、何を言ってるのですか。大体、不死身でなくなる方法なんてあるんですか?」
「サンヨはロンの不死身の部分を司っているヨ。だから、サンヨを殺すことが出来れば、ロンは不死身じゃなくなるはずヨ。
 ロンはサンヨを殺す方法を見つけたんじゃないかヨ?例えばこの首輪とか怪しいネ」
 サンヨの言葉に、ロンは彼らしくもなく、動揺した姿を見せる。俯き、何事かブツブツと呟いている。
「どうかしたのかヨ?」
「い、いえ、なんでもありません。それより、今のことはあなたの考えすぎです。首輪はただのハンデキャップ。それだけです」
「ン………」
 サンヨはロンの眼を覗きこむ。ロンらしからぬ行動は自分の推測が当たっている証拠なのではないかと。
「………」
「………」
「そうネ。サンヨの考えすぎネ」

263 :策略と疑問 ◆i1BeVxv./w :2008/07/07(月) 21:14:42 ID:eDwjc/u70
 眼なんて覗いたところで、ロンの本音などわかりようもない。
 それに、ロンのことだ、サンヨの反応を楽しむために動揺しているように見せかけたのかも知れない。
 ロンの思惑が何にせよ、所詮、自分はロンのバックアップ。ロンの指示に従うしかないのだ。
(考えるだけ時間の無駄だヨ)
 諦めに似たサンヨの結論に、ロンは安堵したかのような溜息を吐いた。
「それじゃあ、サンヨはこれからどうすればいいヨ?まだ、様子見かヨ?」
「それなんですが、あなたのために一緒に行動する仲間を用意しました。今後は彼の指示に従って行動しなさい」
「ナ〜カ〜マ?」
「ええ、その名はシュリケンジャー。覚えていませんか。緑色をしたパワフルな男のことを」
「忘れたヨ〜。でも、ロンは緑が好きネ」
 メレとシュリケンジャーを重ねるサンヨ。ロンはサンヨの指摘に少々顔を歪め、話を続ける。
「まあいいです。どの道、彼は常時変身した姿でいるわけではありませんからね。今は広間にいた時とはまったく異なる姿になってますよ。
 ですから、シュリケンジャーには、彼の方からあなたに話しかけるよう言っておきました。
 ラッキーなことに、シュリケンジャーはこの近くまで来ています。まもなく会えることでしょう」
 ロンは「とぅ」っと、掛け声を上げると、高くそびえる木の枝へとその身を移した。
「それでは私は帰らせてもらいますよ。サンヨ、あなたの健闘を祈ります」
 ロンは手で敬礼のようなサインを送ると、踵を返し、木々の枝を渡りながら、何処かへと姿を消した。
「ロンにしては珍しい帰り方ネ……まあいいかヨ。ロンの言うとおり、シュリケンジャーを探すヨ」
 不安が解消されたサンヨはどことなく晴れやかな顔で、西へとのっそりと歩き出した。



「不死身……まさか、そんな存在が……しかし、御前様の例も……」
 サンヨから数メートル離れた後、ロンは木陰へとその身を隠した。
 いや、既にその口から発せられる声はロンのそれではない。
 姿こそロンだが、その声は二十の顔を自在に使い分ける男の声。
 そう今までサンヨと話していたロンは天空忍者シュリケンジャーが変装していたものであった。
 目的はロンの手先であるサンヨから情報を引き出すため。

264 :策略と疑問 ◆i1BeVxv./w :2008/07/07(月) 21:15:45 ID:eDwjc/u70
 ロンの隣に鎮座し、名簿順に呼ばれなかったサンヨがロンの手先であることは最初から明らかだった。
 優勝を目指すシュリケンジャーにとっても、主催者の情報は仕入れておきたいところ。
 そのためのロンへの変装だったが、結果は予想を超えたものだった。
 シュリケンジャーはサンヨとの会話で得た情報を反芻する。
 まずは首輪の情報。無理矢理外せば爆発し、ロンしか外すことができない。
 また、サンヨにはこれが何らかのハンデを与えている。
 多少サンヨの言い回しが妙であったが、今は特に気にすることではないだろう。
 優勝を目指している限り、首輪はただの飾り。冷凍剣なら外せるかも知れないが、危険を侵してまで試す必要はない。
 次にロンは常に参加者たちを監視しているということ。
 サンヨは大声でロンの名前を叫んでいた。
 最初は広間へと通じる道が近くにあるのかと思ったが、サンヨの動きは一定せず、適当に歩いているようだった。
 そして、サンヨは自分の現状を話す時、その時の様子を「聞いてなかったのか」と訊ねていた。
 おそらく、常時盗聴していて、必要があれば好きな場所に出てこれるといったところではないだろうか。
 考えてみれば、不特定多数を動かそうというのに、まったく監視しないわけがない。
 それに参加者を様々な場所に飛ばせたのだ。好きな場所に移動するなど朝飯前だろう。
 だが、この情報も優勝を目指す限りシュリケンジャーにはあまり関係ない。
 問題は3つ目、サンヨが不死身であり、ロンもまたその恩恵で不死身であるということ。
 本来なら情報を引き出した後、サンヨは始末するつもりだった
 だが、もしこの情報が真実なら、この殺し合いは優勝という餌をぶら下げているだけのデキレースということになる。
 倒そうとしたところで返り討ちに合う可能性が高い。
 しかし、サンヨはこうも言っていた。

――ロンはサンヨを殺す方法を見つけたんじゃないかヨ?――

 少なくともサンヨにはデキレースということは知らされていないということがわかる。
 そして、同時にふたつの疑問が浮かんだ。

265 :策略と疑問 ◆i1BeVxv./w :2008/07/07(月) 21:16:27 ID:eDwjc/u70
 仮にデキレースだとすると、サンヨに知らせていないのは何故?
 仮にデキレースではないとすると、不死身でなくなる危険を侵してまでサンヨを参加させているのは何故?
 どちらにせよロンの真意がわかるまで、優勝を目指すのは保留にして置いた方がいいだろう。
 だが、シュリケンジャーも真意がわかるまで座するつもりはない。
 確認する方法は単純にして難解。サンヨを殺せるか試すことだ。
 自らの手で実行するのは止めたほうがいいだろう。
 どちらに転んでもいいようにサンヨは第三者。出来れば敵対する第三者に殺させるのが最適な手段だ。
 差し当たって重要なのはロンがサンヨと自分の合流を許すかどうかだ。
(もし、ロンが優勝したときの約束を守る気があるなら、サンヨをどう扱おうとも放っておくはずだ。
 逆にデキレースになることを望むなら、何らかの手を打ってくる可能性が高い)
 それはシュリケンジャーにとって一種の賭け。真相に近づき過ぎれば待っているのは死。
 だが、優勝を目指すにしても、ロンを打破するにしても、そのことはどうしても確認せざる得ない。
「さて、次はどの顔にしようかな?」
 もう充分時間は置いた。もうサンヨと合流しても疑われることはないだろう。
 優勝を目指す可能性がある以上、もはや鷹介の顔を借りる必要はない。
 むしろ、おぼろを殺さなければならないのなら、知り合い以外の顔で殺してやるのがせめてもの情けだ。
「……この顔にさせてもらうか」
 数十分後、シュリケンジャーはサンヨとの合流を果たす。
 サンヨはあっさりとシュリケンジャーを仲間と認め、一緒に行動することを了承した。


266 :策略と疑問 ◆i1BeVxv./w :2008/07/07(月) 21:18:24 ID:eDwjc/u70
【名前】サンヨ@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:ロンと一緒
[現在地]:B-8森林 1日目 早朝
[状態]:全身打撲、無数の刺し傷
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンの指示に従う。
第一行動方針:ロンの指示に従い、シュリケンジャーに協力する。
備考
・サンヨの支給品はデュエルボンドソード、マジカルチェーン@魔法戦隊マジレンジャーでした。
・制限が2時間であることを知っています。

【名前】シュリケンジャー@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三後
[現在地]:B-8森林 1日目 早朝
[状態]:健康。顔は柿生太郎です
[装備]:シュリケンボール
[道具]:確認済み
[思考]
基本方針:殺し合いに乗る(一時的に保留)
第一行動方針:七海とおぼろを五体満足で帰還させる。
第二行動方針:それがだめならアレの消滅を願う。
第三行動方針:サンヨが殺せるか試す。できれば敵対する誰か。その後、方針を再決定。
備考
・シュリケンジャーは変身に制限があることに気付きましたが、具体的な時間は気づいていません。
・シュリケンジャーはロンが何らかの方法で監視していることに気づきました。

267 :策略と疑問 ◆i1BeVxv./w :2008/07/07(月) 21:19:15 ID:eDwjc/u70
【名前】サンヨ@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:ロンと一緒
[現在地]:B-8森林 1日目 早朝
[状態]:全身打撲、無数の刺し傷、右腕切断。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンの指示に従う。
第一行動方針:ロンの指示に従い、シュリケンジャーに協力する。
備考
・サンヨの支給品はデュエルボンドソード、マジカルチェーン@魔法戦隊マジレンジャーでした。
・制限が2時間であることを知っています。

【名前】シュリケンジャー@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三後
[現在地]:B-8森林 1日目 早朝
[状態]:健康。顔は柿生太郎です
[装備]:シュリケンボール
[道具]:確認済み
[思考]
基本方針:殺し合いに乗る(一時的に保留)
第一行動方針:七海とおぼろを五体満足で帰還させる。
第二行動方針:それがだめならアレの消滅を願う。
第三行動方針:サンヨが殺せるか試す。できれば敵対する誰か。その後、方針を再決定。
備考
・シュリケンジャーは変身に制限があることに気付きましたが、具体的な時間は気づいていません。
・シュリケンジャーはロンが何らかの方法で監視していることに気づきました。


268 :策略と疑問 ◆i1BeVxv./w :2008/07/07(月) 21:21:04 ID:eDwjc/u70
投下終了。
状態表が修正前の方を参照してましたので、再度投下いたしました。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想、他指摘事項などありましたら、宜しくお願いします。

ドギーにギャバン隊長とか言わせるため、烈堂にしようとも思ったけど、戦隊じゃないので自重。

269 :名無しより愛をこめて:2008/07/07(月) 21:35:53 ID:xLobRrct0
投下乙
シュリケンジャーの変装技能をこう活かすとは。
新たな情報を手に入れた彼はどう動くか。
GJ!

270 :名無しより愛をこめて:2008/07/07(月) 22:38:52 ID:D97MgwUOO
GJです。
ああ、なんだかサンヨが気の毒になってきたw
サンヨを上手く騙したシュリケンジャーの運命やいかに!?
重ねてGJでした。

271 :名無しより愛をこめて:2008/07/08(火) 03:38:52 ID:TFEJPoBSO
GJ!
シュリケンジャーが、まさかロンに変身するとは!
サンヨ同様すっかり騙されました。
面白かったです!


272 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 21:45:33 ID:pk3D7anR0
いつもながらの延長。誠に申し訳ありませんでした。
ただいまより投下します。

273 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 21:46:58 ID:pk3D7anR0
A―1エリア中央。そこにはメモの通り他の木と違う色、血のように赤い葉を付けた一本の木があった。
その木の下、不自然に盛られた枯葉の前で二人は顔を見合わせた。
「ここやな。ロンの姿が見当たらんけど……まさか?」
枯れ草に、とばかりに傍にあった枝で草むらを突く。
「僕が調べますよ。おぼろさんは休憩して下さい。女性にはキツいコースだったでしょう」
「そや、ほんまキッツイコースやったわ〜って……。休憩やったら蒼太くんが取るべきやで。うちは、ただ乗せて貰ってただけやし」
ニコッと笑っておぼろを座らせる蒼太。その笑顔が失笑なのか、それとも微笑なのかと、少し複雑な思いが胸を突く。
確かにキツいコースだった。スーパートライアル・エンデューロ・inA―1森と呼んでもいいくらい。
ツーリングなんて生易しい物には程遠い。
見渡す限りの自然林。その中にもちろん舗装された道路など無い。
ジェットコースターさながらのアップダウンコース、振り落とされないように必死で蒼太にしがみつくのがおぼろには精一杯。
『ひゃぁ〜』だの『ぎゃー』だの、女らしさ等とはかけ離れた叫び声を上げ続け、辿り着いた頃には、顔面蒼白で声を発するのもやっとだった。
我ながら百年の恋も冷めるわ、おぼろは苦笑いを浮かべる。
「帰りは飛ばす必要もありませんから、ゆっくり帰りましょう」
蒼太は山盛りの枯葉と積もる土を払いのけた。
そこには一畳程度大きさの所々錆び付いた扉があった。
「地下へ続く扉。入って来いって事ですね」
冷静でそっけない声と裏腹に、蒼太の表情は生き生きとして、まるで秘密基地へ急ぐ少年のようだった。
「この中でロンが待ってるちゅうんかな……」
蒼太はおぼろの言葉に頷き、鉄錆た円形の取手に手を掛け勢いよく引いた。
ギィーッと、錆び付いた音が鼓膜を震わせ、カビの臭いが鼻を掠める。
先を行く蒼太が、アクセルラーをライトがわりに奥を照らす。
二人は一段一段、足元を確かめ、ゆっくりと降りて行った。

十段、二十段、その先も階段は続く。
前後は闇に包まれ、閉塞感とカビの臭いで胸がいっぱいになる。
もう戻ろう、蒼太に切り出しかけた時、ライトの先で石造りの重厚な扉が二人を待ち構えていた。

「開けますよ」
蒼太が扉に手を掛け、おぼろは固唾を呑んで見守る。

274 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 21:48:12 ID:pk3D7anR0
この奥でロンが最高のアイテムを用意して待っている。
すぐ近くに、ロンがいる。
得体の知れないロン。殺し合いの為の最高のアイテム。
怖い。薄い胸を打つ心臓の音が速くなる。
蒼太は体重を乗せ重い扉を押し開けていく。
コゴッと重い音を立て扉が開いた。
おぼろはその先にある物を見るのが怖くて思わず目を閉じた。

扉の向こうは静寂に包まれている。
(……あれ?てっきりロンが「ようこそ」とか言うてくるかと思ったんやけど)
おぼろの耳に飛び込んだのはロンの声ではなく、蒼太の怪訝な声。
「ここは……」
ようやく、おぼろは目を開け辺りを見回す。
広い部屋、縦横の長さは有に30メートル近くある。いや、部屋と言うには奇妙な空間。
扉の前に床は四畳程しか無く、その先は切り取られたように底が見えない闇の世界が広がっている。
部屋の中央に闇の中からテーブル状に台座が伸びており、台座の上にはストーンサークルのように石柱が数十本並ぶ。
石柱は赤褐色の一本だけを除き、後は墓石のように黒く磨かれていた。
こちらの床から台座までは、30センチ四方のブロック状に形の整った石が連なる。
部屋の反対側には、こちらと同じく石造りの扉と炎の灯る燭台がある。
向こうの扉まで行くには、ブロックを連ねた石橋を渡り、石柱の間を通り抜けるしか無い。

「何でしょう、あれ」
蒼太が頭上を指した。ひらひらと一枚の紙が落ちて来る。
二人は床の端まで走り寄り、紙を掴もうとした。その時……
ゴドンッ!
背後で足元を震わす音を立て扉が閉まった。
「何!何やの!」
おぼろは悲鳴を上げた。
だが蒼太は冷静だった。手にした紙にサッと目を通しおぼろに差し出す。

275 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 21:49:34 ID:pk3D7anR0
「おぼろさん、これを」
そこにはメモと同じ筆跡で、こう書かれてあった。

―――ようこそいらっしゃいました。ここに、あなたにふさわしい最高のアイテムをご用意しました。
私があなたの為に選んだアイテムです。
ですが、そのような素晴らしい物を、ただ渡したのではあまりにも不公平すぎると思いませんか?
最高のアイテムを手に入れるにあたり、あなたにはゲームをしていただきます。
ルールは至って簡単。あなたは駒の一つとなり、空所へ移動し他の駒を一つ飛び越し消す事が出来る。
ただし一度移動した場所へ戻る事は出来ず、後方へ移動は出来ない。
空所から通路を通り盤上を移動できるのは5秒間だけです。
5秒経って、空所中心のボタンを押さなければ、または通路にいた場合、あなたは駒と同じように盤上から消えて頂かなければなりません。
制限時間は、扉が閉まってから10分。
そしてゲームをクリアしなければ出口へは辿り着けません。
一つだけ色の違う駒、それを最後に飛び越えれば、最高のアイテムはあなたの物です―――

おぼろはチェスのような盤の上に、所々乱立された駒を眺め溜息をついた。
「なぁ、蒼太くん。やっぱりやめとこ?」
怖気事いたおぼろは、精一杯可愛らしく言って見た。
「こんなもん、手詰まりになるように作ってあるに決まってる。消えて頂くやなんて、命賭けてまでやる必要ないわ。肝心のロンもおらんのやし」
蒼太は扉に手を当て、困ったような笑顔を作った。
「……残念ですけど。この扉、中からは開かないみたいです」
「え!そんならゲームをやるしかない、っちゅうわけ?」
「そうなりますね」
蒼太は手を差し出す。
「せやかて、こんな細いとこ……」
戻れないとあれば進むより他に道は無い。
ぶつくさ言いながらも、おぼろは慎重に足を進める。
おぼろの足元を気遣いながら蒼太が言った。

276 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 21:50:59 ID:pk3D7anR0
「だけど、消えて頂きますと言うのは脅しじゃないかな?僕とおぼろさんの二人で命を賭けて競い合うなら解りますが……
ロンの狙いは、参加者に殺し合いをさせる事です。もしかしたら、狙いは他にあるかも知れませんね」

盤全体を縁どる通路は細く幅20センチ程だが、移動する為の通路幅は1メートルある。
十字に区切られたマスの大きさは一辺1.2メートルの正方形、移動するのに与えられた5秒は充分な時間。
「よっしゃ!いくで」
まず盤の下方に点在する駒を消すべく左端の空所へ進み、中心のボタンを踏み付ける。
ガコン!何かが落ちる音はしたもの得に何も変わらない。
だが、次に進むべく通路に出た時。
ボタンから亀裂が走り、床は扉のように開き外れ落ちた。
そして、二人が渡って来たブロックも手前から一つ、同じように闇に消えて行った。
「こう言う事……」
「ですね。一個進むごとに、一個退路が塞がれる。進むしか道は無い」
「……ほんま、嫌らしい仕掛けやな」
「ですね」

一手。二手。その後も順調に進み、駒は残り10個となった。
そして駒を一つ落とす度、出口へ続くブロックが一つ押し出される。
「……結構時間はかかったけど、わりかし順調やな」
扉が閉じてから既に7.8分経過している。
「急ごか?」
駆け出そうとした足がふらつき、よろけた身体を蒼太が支えてくれた。
「大丈夫ですか?おぼろさん、随分疲れているみたいですけど……」
「うん。まぁ、それはそうやねんけど。もう時間も無いしな」
「後は僕一人でやります。おぼろさんは出口に続くブロックの上で休んでいて下さい。どこへ動けはいいか、指示して貰えれば……」
正直、息も上がっていた。蒼太の申し出は有り難かった。
駒を落とす変わりに、向こうへ伸びるブロックは、随分出来上がっていたので落ちる心配は無い。
残り時間も少ない。自分が足手まといになるよりは……
おぼろは素直に頷いた。

277 :名無しより愛をこめて:2008/07/09(水) 21:51:09 ID:7N/BVBkL0
 

278 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 21:53:00 ID:pk3D7anR0
「ありがとう。じゃあ、うちは少し休ませて貰うわ。次はちょうど通路の前の空いた場所へ行けばいいし」
「了解しました。では」
蒼太に手を引かれおぼろは胸の中でカウントを取りながら出口へ向かう通路へ急ぐ。
5秒、4秒、3秒。
数えた所でおぼろは通路へ足を踏み入れる。
「蒼太さん、急いで」
手を離した時、通路の中心から一本の線がツーッと走った。
「え?」
蒼太の足元の床が真っ二つに開く。
足場を失った蒼太の身体が沈む。
咄嗟に伸ばしたおぼろの右手が蒼太の袖を掴み、間一髪で蒼太が握り返し、二人の手は繋がった。
おぼろは両足で通路を挟み、左手でへりを掴み身体を支える。
「なんで?まだ5秒経ってなかったやん。うちが休もうなんて思ったばっかりに、ごめんやで」
「ルール違反は許されないか。迂闊でした」
蒼太はポケットからアクセルラーを取り出そうと身体をよじった。
少し動かれただけでも、体が持って行かれそうになり腕が軋む。
滲み出る汗で手が滑る。
おぼろは再度腕に力を篭めた。
「頑張って!」
その時、おぼろの背後で声がした。

「その手を離しなさい。そうすれば、これはあなたに差し上げます。ほら、帰り道も作ってあげましょう」
その声を合図にしたかのように、盤の上の駒が轟然と一斉に下へ落ちた。
出口まで繋がった橋を、ロンが悠々と歩いてくる。
天空の花を燭台の明かりに翳し、水晶のようにキラキラと輝く光りを楽しみながら……
「さぁ、その手を振り解きなさい。」
おぼろは答えなかった。ただ全力で、ありったけの力で蒼太を引き上げようとした。
「これは『天空の花』と言い伝えられてきた物。天空の花は10年に一度人間の愛を凍らせる秘宝。
人の心など、脆く弱い。愛を亡くした参加者たちは、我先にと殺しあうでしょう。
今、最上蒼太の手を離し、私の前で殺し合いに乗ったと証明すれば、これはあなたにお渡しします。
決心が着かないのであれば、他の誰かに渡すとしましょう。殺し合いに乗った誰かに……ね。 」

279 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 21:54:46 ID:pk3D7anR0
蒼太はおぼろを見つめた。
「そんな物、殺し合いに乗るようなヤツに渡しちゃダメですよ。おぼろさん……」
言い終えた蒼太は、笑いながら握っていた手を離した。
最初におぼろに向けた笑顔と同じ笑顔で、彼の姿がどこまでも続く闇に取り込まれていく。
「あかん!蒼太く……!」
蒼太の名を言い終えない内に、床が扉のように閉じられ、蒼太は視界から消えた。
おぼろは元に戻った通路に突っ伏し、そのまま、息を吐くことさえ躊躇っていた。
握っていた蒼太の手の感触がまだ右手に残っている。

「では改めて、ようこそバトルロワイヤルの宴に……」
ロンが楽しげにおぼろに語りかける。
「どうしたのです?そんな悲しい顔をして。 最高のアイテムを求めて来たのでしょう」
天空の花を、そっと握らせた。
「罠かどうか確かめに来た、とでも言いたいのですか?いいえ、あなたは心の何処かで勝ち残りたいと思っていた。
だから最高のアイテムを求めて来たのです。ここに来るのを決めた時、心の奥底であなたは殺し合いに乗ったのです」
おぼろはうつろな眼をしたまま、首を横に振り否定の意を示す。
「認めたく無い。それは解ります。でもそれがあなたの本心なのですよ。そして、最上蒼太は殺し合いに乗ったあなたに、天空の花を託し落ちた」
蒼太の名を聞いた瞬間、おぼろの瞳から大粒の涙がこぼれた。
「今だ本当の愛を掴もうとしないおぼろさん。あなたの選択は正しいのです。愛など不必要なのです。
この天空の花、これこそ、あなたにとって最高のアイテム。
あなたは愚かな参加者たちの見物を楽しんだ後、止めを刺しに行けばいい。
さぁ、日向おぼろさん。日付が変わるまでに天空の花を持ってのJ−10エリア『叫びの塔』へ行くのです」

ダンッ!
ロンの言葉を遮るように、おぼろは拳で床を叩き付けた。

280 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 21:55:18 ID:pk3D7anR0
自分をこんな状況へ追い込んだロンに対する怒り、蒼太を助けられなかった自分への憤りを込め叩き付けた。
「いつまで、あほな事を喋ってんねん……うちは、そんな所いかへん」

(しっかりしいや)
おぼろの後輩であるハリケンジャーたちに、何度も発破を掛けてきた。
その言葉を、今は自分の胸に刻む。
そして震える足を腕で抑え、立ち上がりロンを睨んだ。
たとえここで首輪を発動させられても、ロンに屈するのだけは嫌だった。
「首輪を外し、ここから脱出して、ロンを倒す。それが、うちらのミッション……
蒼太くんが託した最後のミッション。 うちは、うちは絶対に完了させる!」
ロンは口元に手を当て、哀れみを含んだ眼差しをおぼろに向けた。
「首輪を外す、脱出、私を倒す?クックククッ。まぁ今の所、あなたはそう思っていた方が幸せでしょうね」
「どういう、意味や?」
「時機に、わかりますよ……」
金色のもやになり、ロンは掻き消えた。

おぼろは重い足取りで扉へと向かった。
扉を押し開け、地上へ続く階段へと進む。
「蒼太くん……」
振り返り、蒼太の名を一度だけ呼んだ。
声は空しく、深淵に吸い込まれた。
惨めに泣き崩れぬうちに、おぼろは階段を駆け上がる。
必ずミッションを完了させると心に硬く誓いながら……


281 :名無しより愛をこめて:2008/07/09(水) 21:55:20 ID:7N/BVBkL0
   

282 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 21:55:56 ID:pk3D7anR0




「まったく、ほんまに冗談や無いでぇ!」
「落下途中でボウケンブルーに変身したんです。後はブロウナックルの風圧で落下を防いで……」
自分でもすごい剣幕だとは思う。
蒼太が困って、必死になだめようとしてくれているのも分かるが、今は止められなかった。
てっきりもうだめだと思っていたおぼろは、ひょっこり顔を出した蒼太に顎が外れるほど驚いた。
何事も無かったように、バリサンダーを走らせる蒼太の背で無事を喜び。
ほっとした後は、沸々と怒りが込み上げて来て、街の手前でバリサンダーを止めさせた。
そして今、二人は事の顛末を話しているのだ。
一頻り捲し立て、少しすっきりした所で、蒼太がバツ悪そうに切り返す。
「自分から接触して殺すつもりなら、最初からこんな殺し合いを仕組む必要はない。僕が手を離せば、あの場でおぼろさんに何かされる事は無いと確信していましたし…
ああでもしないと、ね。天空の花を殺し合いに乗るような奴には渡せないでしょう?」
「それは、そうやったかもしれんけどな」
「落ちる前に笑ってたでしょう。一応合図のつもりだったんですよ」
「合図やったら、もっと解りやすくやってもらわな」
「すみません。おぼろさん」
「もし、変身するのが間に合えへんかったらどうするつもりやったん?」
「その事で、ちょっと……」

蒼太は崖を上がる最中、後一歩の所で強制的に変身前の姿に戻ったと言う。
そして、おぼろを助けたフック型のショットアンカーを使い、何とか上って来のだと。
「変身できる時間は、およそ10分。それが解っただけでも、収穫でしたよ」
「この首輪、そんな力も制限してるってわけやな。どこまでやらしい奴やねん!」
おぼろは怒り心頭だった。
「首輪を外す、脱出、私を倒す?クックククッ。まぁ今の所、あなたはそう思っていた方が幸せでしょうね。やて。うちがこんな首輪、絶対外したる!」
「おぼろさんに、そんな事を?」
蒼太の表情が微かに翳った。
「蒼太くん?」

283 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 21:56:58 ID:pk3D7anR0
「いえ、なんでもありません」
そう言って、蒼太が見せたのは、悟られまいと作ったような笑顔だった。
「うちが出て行った後、なんかあったん?」
それ以上、追求して欲しくないのか、蒼太は聞こえていないようにおぼろがずっと握っていたままの天空の花に視線を移す。
「でも、信じられませんね。そんな綺麗な物が、愛を凍らせてしまうなんて」
おぼろは、改めて天空の花を良く見た。
儚い硝子細工のようで無造作にデイバックに突っ込む事が出来ず、つい包むように持っていた。
頭上に掲げクルクルと回す。月の光を反射して花びら一枚一枚が青く煌いた。
「J−10エリアの『叫びの塔』へ持って行けやて。愛を凍らせる、か。信じられないちゅうより信じたくないな」
フーッと長いため息を落とした。
その後ろで。
「信じられねぇ……信じたくねぇよな」
何者かの声が聞こえ、おぼろは蒼太と共にハッとそちらを振り返った。
「よぉ、ボウケンジャー」
蒼太は、何者だという不審に眉をひそめ身構えた。
「そんなに、苦労して手に入れた天空の花を、俺に奪われちまうなんてよ!」
ドン!地響きと共に振動波が地を走る。
「グッ!」
「うわっ!」
二人左右に弾かれた。
「くっそ!痛ってぇな〜」
痛いのはこっちや!と思いながら、おぼろは衝撃で飛ばされてしまった天空の花に手を伸ばす。
その男は蒼太の後ろにあるバリサンダーを見やりチッと舌打ちした。
蒼太はスコープショットを構える。
「悪いな。今は相手にしてやれねえんだよ!愛を凍らせた後で、ゆっくり遊んでやるぜ」

284 :名無しより愛をこめて:2008/07/09(水) 21:57:38 ID:7N/BVBkL0
   

285 :名無しより愛をこめて:2008/07/09(水) 21:59:31 ID:7N/BVBkL0
      

286 : ◆MGy4jd.pxY :2008/07/09(水) 22:18:13 ID:NPqd0F2vO
さるさん規制のため、残りはしたらばに投下致しました。

287 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え!代理投下:2008/07/09(水) 22:23:16 ID:7N/BVBkL0
ドン!もう一度クエイクハンマーを地に叩きつけた。
衝撃に二人は再度弾かれる。
天空の花を手に、その男は都市の方向へ駆けて行った。

どこかへ身を隠したか、遠くへ行ってしまったか?
二人は男の姿を見失ってしまった。
「あいつ、クエイクハンマー使った後、痛いって言っとったな」
「クエイクハンマー?」
「そう、あれは吼太の武器や。その後、痛いって言ってたやろ?」
その言葉に頷いて、悔しげに男の消えた方を見ながら蒼太は言った。
「えぇ、今は相手にしてやれないとも……。それに、僕がボウケンジャーと知っていましたね」
蒼太は名簿を取り出す。広間で自分の名を呼ばれるまでに、参加者ほとんどの名前と顔を記憶したらしい。
「最初の方で、名前を呼ばれていた。これだ!」
指した名は、クエスター・ガイ。蒼太には心当たりがないようだった。
「蒼太くんのことを知ってるヤツ。あれが変身した姿なんか、あのままの姿かどうかは、わからんけど……」
おぼろは考えを整理するため、一呼吸置いた。
「見るからに粗野で好戦的なヤツ。なのに、戦わず逃げた。おそらく、ごっつい傷を負うてるんやわ」
次の言葉を蒼太が繋ぐ。
「戦える状態であれば、天空の花を奪うついでに、僕らを倒してバリサンダーを奪うはずだ」
「そうや。そんな手負いの状態なら、J−10エリアまで行くのもしんどいんちゃう?だから焦らんでも良いと思う。先回りして、二人であいつから天空の花を取り戻そ!」
「……おぼろさん?」
俄然やる気を出したおぼろに、蒼太が戸惑う。
おぼろはキリッと、ひどく厳しい顔を作った。
「そう、うちも蒼太くんをサポートする。この、一鍬ちゃんのイカヅチ丸でな。愛を凍らせるやなんて絶対に阻止したる。さぁ、ミッションスタートや!」
「了解!天空の花を回収する。ですね」
「ほな、蒼太くん行くでぇ〜」

その時から、おぼろの中でイカヅチ丸が『身を守るための武装』ではなく『愛を守るための武装』となった。


288 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え!代理投下:2008/07/09(水) 22:23:59 ID:7N/BVBkL0

【日向おぼろ@忍風戦隊ハリケンジャー】
[時間軸]:巻之三十、後
[現在地]:C-4森 1日目 黎明
[状態]:全身に軽い火傷、打撲。応急処置済み
[装備]:イカヅチ丸@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:蒼太と共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:首輪を何とかする
※首輪の制限に気が付きました。


【最上蒼太@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.3、後
[現在地]:C-4森 1日目 黎明
[状態]:良好。1時間半ボウケンブルーに変身できません。
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー、バリサンダー@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:ヒュプノピアス@未来戦隊タイムレンジャー、スタッグブレイカー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:おぼろと共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:おぼろを守る
※首輪の制限に気が付きました。



289 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え!代理投下:2008/07/09(水) 22:24:20 ID:7N/BVBkL0


【クエスター ガイ@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.23以降
[現在地]:C-4森 1日目 黎明
[状態]:全身に裂傷。かなりの重症のため時間制限に関わらず戦闘不能。要回復アイテム。
    ただし、精神的には高揚感あり。戦いを心底楽しんでいます。
[装備]:グレイブラスター@轟轟戦隊ボウケンジャー、釵一本@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[道具]:クエイクハンマー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式(麗のものは全て搾取済み) 天空の花
[思考]
基本方針:ロンやボウケンジャーを倒すついでにゲームに乗る
第一行動方針:天空の花を持って、J−10エリア『叫びの塔』へ
第二行動方針:気に入らない奴を殺す。一人殺しました。
参考:1本目のペットボトルを半分消費しました。




290 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え!代理投下:2008/07/09(水) 22:24:52 ID:7N/BVBkL0



171 :ミッションスタート!最高のアイテムを追え! ◆MGy4jd.pxY:2008/07/09(水) 22:01:20
以上です。誤字脱字、指摘、感想等よろしくお願いします。



代理投下終了

291 :名無しより愛をこめて:2008/07/09(水) 22:30:29 ID:7N/BVBkL0
読了。
投下乙!
ロンの干渉を撥ね退けるおぼろさんと蒼太。
決意も新たにですが、クエスターガイがそうはさせない。
いいところでの引き、今後が楽しみです。GJ!

292 :名無しより愛をこめて:2008/07/10(木) 01:40:02 ID:sS0mL83A0
蒼太のアクセルラーは恐らくネオパラレルエンジンの換装が済んでないから
ガイと戦うのは辛そうですね。いくら、相手が手負いだとはいえ。
しかも時間軸的に彼はクエスターを知らない。

293 :名無しより愛をこめて:2008/07/10(木) 11:38:19 ID:lAQHBLJrO
投下&代理投下GJです。
手負いの身で、おぼろさん達から天空の花を奪うとは、流石クエスター。
考えがあったとはいえ、自ら蒼太が手を離す時や、おぼろさんがロンに誘惑された時は、ハラハラしました。
おぼろさんの決意をせせら笑うロンの言葉に、これからのロワの行方が気にかかりました。
相変わらず心理描写がお見事です。GJ!

294 :名無しより愛をこめて:2008/07/12(土) 21:04:37 ID:mrgJGRVGO
まとめ更新乙です。いつもありがとうごさいます。

295 :名無しより愛をこめて:2008/07/16(水) 08:16:10 ID:u5Wb0E3sO
保守です

296 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 01:59:26 ID:T/g6x+l20
もう終わりかね

297 : ◆Z5wk4/jklI :2008/07/17(木) 02:44:51 ID:l276KCGdO
保守がてら、進行報告を。
9割書き上がりました。
明日の夜には、投下できると思います。

298 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 09:34:20 ID:4a/hTks/0
>>297
了解。楽しみにしています

299 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 10:38:39 ID:25K9MbGN0
>>297
楽しみにしております。

300 : ◆Z5wk4/jklI :2008/07/17(木) 17:22:02 ID:Bfm2oN6d0
すみません。もう、午前まわっていましたね。
本日の夜に投下いたします。
まぎらわしくて申し訳ありません。

301 : ◆Z5wk4/jklI :2008/07/17(木) 23:06:38 ID:ZhSaeQJO0
ただ今から投下いたします

302 : ◆Z5wk4/jklI :2008/07/17(木) 23:07:15 ID:ZhSaeQJO0
「なあ、疲れてニャイのか?黄色いの」
「平気だよ。猫さん疲れた?」
「黄色いのが持って歩いてるのに、俺様が疲れるわけないニャ」
なんとか合流を果たした竜也達一行は、一路南へと向かっていた。
「もう少し歩けば都市部に入るから、屋根のある所を探して休もうか」
「菜月は大丈夫だよ、それより竜也さんとシグナルマンさんは休まなくて大丈夫?」
明るく振舞ってはいても時折暗い表情を覗かせる菜月を気遣った竜也だったが、逆に彼女に気遣われてしまった。
取り付く島のなかったメレにさんざん振り回された竜也は苦笑しつつ、気遣われたもう一人、シグナルマンの様子を窺った。
「本官は、取り返しのつかない事を……」
初めて顔をあわせた時からずっと、シグナルマンは自省を繰り返していた。
「えーい、いつまで落ち込んでるニャ、いい加減立ち直るニャ」
「いっぱい謝ったらきっとメレさんも許してくれるよ。わざとじゃないんだもん」
(いや、それはどうかな?)
竜也は内心で呟く。あの様子では、まず聞く耳は持ってないだろう。
下手をすれば、出会い頭にシグナルマンに殴りかかってきそうだ。
「いーや、本官の注意が足りなかったんだ。もっと注意深く生きている可能性を考えるべきだった」
シグナルマンの気持ちは分からなくもない。脈も鼓動も無かった時点で、手遅れだったと考えるのが普通だ。
それでも息を吹き返したのは、一時的に仮死状態にでも陥っていたのか、それとも特殊な種族―――例えばシオンのような異星人―――だったのか。
だが、その前に……
「本官はどうやって彼女に謝ればーーー!!」
「「「しーっっっ!!」」」
……ところかまわず叫びだすのはやめて欲しいところだった。

303 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 23:07:38 ID:4a/hTks/0
 

304 :一時の休息 ◆Z5wk4/jklI :2008/07/17(木) 23:08:03 ID:ZhSaeQJO0


都市部に入って最初に目に付いたのは、ずいぶんとバトルロワイアルにはそぐわない建物だった。
立てかけられた看板には、『24時間営業』『天然湯掛け流し』のうたい文句が並ぶ。
「「「健康ランド?」」」
「また、のん気な物が……まあいいや。休憩するにはちょうど良いし。お邪魔します、と」
閉じていた自動ドアをこじ開けると中に滑り込む。
「真っ暗だね」
「とりあえず俺とシグナルマンで中を見て回ってくるから、菜月ちゃん、ここで待っててくれる?」
「うん、分かった」
こくりと頷くと一段高くなった場所に腰掛け、じっと外を見つめる。
その後ろ姿はひどく頼りなげに見えた。
「スモーキー、頼んだな」
「おう、俺様に任せとけニャ」

305 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 23:08:34 ID:4a/hTks/0
   

306 :一時の休息 ◆Z5wk4/jklI :2008/07/17(木) 23:08:39 ID:ZhSaeQJO0


ちょうどロビーを境目に左右に別れ、竜也は建物の中を見て回った。
事務所らしき場所にあったブレーカーを下ろすと、虫の羽音のようなとともに明かりが灯る。
どうやら電気は通っているようだ。少し迷うが、照明関係のブレーカーは再度あげておく。
窓から差し込む街灯に光と非常灯で手元は見える。周囲のビルに明かりらしい明かりが見えない以上、ここだけ煌々としていては不自然だ。
最後に裏手にあった従業員用と思わしきドアの施錠を確認すると、いくつか見つけ出した非常用の懐中電灯を手にロビーへ戻る。
折り良くシグナルマンも戻ってきたところだった。目で尋ねると首を振る。
「菜月ちゃん、お待たせ。誰もいないみたいだしここで休憩しようか」
ずらりと並んだ下駄箱の鍵の一つをいじくっていた菜月は、ぱっと顔を上げて笑みを見せる。
「お帰りなさい。じゃあ菜月このままスモーキーと見張ってるから、二人ともお風呂行ってきていいよ」
自分達を気遣ったのか、強気に振舞う菜月に竜也は笑いかけると首を振る。
「今度は、俺が見張るよ。後から入るから」
「でも……」
「いいから、ね。菜月ちゃんより先に入ったりしたら、ユウリに怒られそうだ」
おどけたように手を顔の前で合わせて促す。
「……うん。ありがとう竜也さん。じゃあ猫さん一緒に入ろう」
「おう!!」「ちょっと待った!!」
威勢よく応じたスモーキーだったが、シグナルマンに止められ菜月の手を離れた。
「君は、オスじゃないのか?」
スモーキーは身をすくませると、おずおずとシグナルマンを見上げた。
「本官の職務はチーキュの交通安全を守ることだが、痴漢を働く不埒物を逮捕するのも職務のうちと考えている」
「き、黄色いの、俺様、急に見張りがしたくなったから一人で入ってこいニャ」
「えー」
二人と一匹のやりとりを見て、竜也は肩をすくめた。

307 :一時の休息 ◆Z5wk4/jklI :2008/07/17(木) 23:09:10 ID:ZhSaeQJO0


浴場の扉を開けると、たちこめた湯煙で視界が霞む。
思わず湯船に駆け込みたくなるが、このままでは湯を汚す事になってしまう。
まずは、蛇口をひねると湯で手桶を満たす。
肩口からゆっくりとかけていくと熱い湯が全身を伝い、薄汚れてはっきりしなくなっていた身体を元の青い色に戻していく。
すでに湯船に肩まで浸かっていた竜也は、その光景を見ながら呟いた。
「錆びないのかな……」



暖かい湯に身体をすべり込ませると、張り詰めていた気持ちが緩んでいく。
自分以外誰もいない湯船の中はひどく広く感じて、菜月は膝を抱え込んだ。
一人になるのはまだ怖い。
天井から水滴の落ちる音にびくりと肩を震わせる。
(早くみんなに会いたいな……)
さくらさんに。チーフに。蒼太さんに。―――真墨に。
早く会って無事を確かめたい。そうすればきっと、この震えも収まる。恐ろしさも消えてなくなってくれる。
目元を熱く感じて、菜月は掌に湯を掬うとぱしゃりと顔にかけた。
もう、上がろう。湯船の縁に手を掛けバスタオルを巻き付けると、垂らしたままだった髪からぱたぱたと雫が落ちた。
脱衣所に足を向けようとしたその時、微かに物の触れ合う音がした。
「……露天風呂、の方?」
足音を忍ばせると、そっと露天風呂の扉に手をかけた。

308 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 23:09:55 ID:4a/hTks/0
   

309 :一時の休息 ◆Z5wk4/jklI :2008/07/17(木) 23:10:09 ID:ZhSaeQJO0


一般に、女性よりも男性の方が風呂から上がる時間は早いという。
竜也とシグナルマンも御多分に洩れず、菜月が湯から上がった時には既に身支度を整えていた。
「ああ、いいお湯だった。これであれがあれば最高なんだが」
「あれ?」
「コーヒー牛乳」
「探せばあるんじゃないかな」
電気の切れている状態で、どれほど放置されていたか分からない。飲めるかどうかは微妙なところだが。
「本官、今、持ち合わせがないからなー」
勝手に入浴している以上、今更ではあるのだが、妙なところで生真面目らしい。

『きゃーーーーーー!!』
『なんじゃ、お主は!!』

突如、菜月の悲鳴と男の声が響き渡る。
二人は一瞬顔を見合わせると、女湯の脱衣所へ駆け込む。
シグナルマンが扉の前で僅かに逡巡するが、竜也はそれにかまわず浴場に飛び込んだ。
勢いのままたたらを踏んだ竜也と、続けて飛び込んだシグナルマンが目にしたのは、
「これ!娘、手桶を投げつけるでない!ワシは何もせん。落ち着けーーー!!」
「菜月ちゃん。ストップ、ストップ!!」
菜月に盛大に手桶をぶつけられる異星人と思わしき片腕の男の姿だった。

310 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 23:10:26 ID:iA6t3PaAO



311 :一時の休息 ◆Z5wk4/jklI :2008/07/17(木) 23:11:23 ID:ZhSaeQJO0


「やれやれ、酷い目におうたわい」
休憩室らしい広間の畳に座り込むと、ブクラテスと名乗った男は溜息をついた。
怒っているのか、警戒しているのか、怯えているのか、スモーキーを抱きしめたまま、ブクラテスから大きく距離をとった位置に菜月が座り込む。
二人の間に割り込む形で竜也が座った。
「えっと、何から聞けばいいのか。ドアにこじ開けた跡は無かったけどどうやって中に?」
「裏口が開いておったから、普通に入っただけじゃが?」
「でも、鍵が。あ、入った後で閉めたのか
そうじゃと頷く。傷に障ったのか顔を顰めた。
「その腕は?」
「飛ばされてそうそう殺し合いにのった奴に遭遇しての。命からがら逃げ出して病院を探しておったんじゃが、なかなか見つからんのであそこで痛みを癒しておったんじゃ」
「だからってなんで女湯に。せめて、シグナルマンが入った時に出てきてくれてれば」
こんな騒ぎにならなかったのに。言外に非難を込めると、ブクラテスが首を捻った。
「誰も来んかったぞ」
そんな、まさか。と先程から自販機をいじっているシグナルマンに、目を向ける。
「すまない。女湯を覗くのはいけないと思って、浴場には入らなかった」
―――全員に盛大に突っ込まれたのは言うまでもない。

312 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 23:12:29 ID:4a/hTks/0
    

313 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 23:12:54 ID:iA6t3PaAO



314 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 23:14:09 ID:iA6t3PaAO



315 :一時の休息 代理:2008/07/17(木) 23:21:58 ID:4a/hTks/0


「コーラで良かったかな?」
「お、どうも。持ち合わせないいんじゃ?」
「非常時だから勘弁してもらった……少し反省した……」
受け取るとひやりとした感触が手に伝わる。少なくとも数日放置されていたという事はなさそうだ。
プルタブを開け、胃に流し込む。口の中で炭酸が弾けた。
「すまない事をしてしまった」
スモーキーを胸に抱えこんだまま眠る菜月に目をやると、シグナルマンは深い溜息を吐いた。
「まあ、菜月ちゃんに何も無くて良かったよ。俺もうっかりしてた」
もし、ブクラテスに彼女に危害を加える気があったらと思うと、ぞっとしなかったが。
「さて、これからどうする?」
「本官はペガサスの一般市民を保護しなければ。できればメレさんにも謝りたいんだが」
「俺は仲間を探したい。それに菜月ちゃんの仲間も探してあげなきゃな」
「だが、怪我人を放ってはおけない。あの傷はきちんと手当しなくては」
頷くと竜也は地図を広げ、中央を指し示した。
「とりあえず、朝になったら街の中心部に行こう。病院なんかはだいたい中心街にあるはずだから。それに人も集まりやすい」
「了解した」

316 :一時の休息 代理:2008/07/17(木) 23:23:18 ID:4a/hTks/0


どうやら、上手くいったようじゃな。
寝たふりをしながら二人の会話に聞き耳を立てていたブクラテスは、内心でひとりごちた。
彼らに話した事にほとんど嘘はない。だが、伏せておいた事もある。
実のところ、ブクラテスは竜也達が建物の中に足を踏み込んだ時から、首輪探知機によってその存在に気付いていた。
それでも逃げ出さずデイバックの底に探知機を隠してあそこに潜んでいたのは、センの代わりになる者が必要だったから。
戦う力を持たず、怪我を負った自分がいつまでも単独行動をしていては、遠からず殺し合いに乗った者の餌食になる。
センと同じ着衣の者を探したが、そんなに簡単に見つかるわけもなかった。
それ故にとどまった。
そして、あの場で菜月の姿を垣間見たブクラテスは賭けにでた。
ああまで怯えていた娘がのん気にも風呂に入ろうなどと考えるとは思えない。
大方、先程までの自分のようにお人よしの人間を見つけて、守られているのだろう。
あの娘は足手まといにしかならないだろうが、その連れは利用できるかも知れない。
そう考えるとブクラテスは菜月の注意をひくために、そっと物音を立てた。



そして、今に至る。
思ったとおり、娘の連れはお人よしそうな人間だった。
あまり抵抗も無く自分を受け入れ、あまつ、病院へ連れていこうとさえしている。
とりあえずは、信用しても良さそうだった。
だが、首輪探知機の事、そして置き去りにしてしまったセンの事は伏せておく事にした。
もう、先程のような危うい場に首を突っ込みたくはなかった。
センの事は考えると気がとがめたが、これ以上、足手まといは増やせない。
―――恨むでないぞ、セン―――
心の中で小さく詫びると、ブクラテスは身体を休めるために睡魔に身を委ねた。


317 :一時の休息 代理:2008/07/17(木) 23:23:40 ID:4a/hTks/0
【浅見竜也@未来戦隊タイムレンジャー】
[時間軸]:Case File 49(滝沢直人死亡後)
[現在地]:D-5 都市 1日目 早朝
[状態]:健康。湯上り。
[装備]:Vコマンダー
[道具]:メレの支給品(中身は不明)
[思考]
基本行動方針:仲間を探す
第一行動方針:ブクラテスを病院へ連れて行く
第二行動方針:仲間を探し、ユウリとアヤセの安否を確認する
第三行動方針:菜月の仲間と理央を探す
備考:クロノチェンジャーは、ロンが取り上げました。他の参加者のバックの中か、どこかに隠されているかは不明です。

【名前】間宮菜月@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task14後
[現在地]:D-5 都市 1日目 早朝
[状態]:健康。まだ僅かに怯えあり。湯上り。就寝中。
[装備]:アクセルラー、スコープショット、マジランプ+スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー
[道具]:未確認、竜也のペットボトル1本
[思考]
基本行動方針:仲間たちを探す
第一行動方針:竜也の仲間を探す

【名前】スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:ボウケンジャーVSスーパー戦隊後
[現在地]:D-5 都市 1日目 早朝
[状態]:健康。マジランプの中。就寝中。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ヒカルと麗を探す
第一行動方針:菜月を守る

318 :一時の休息 代理:2008/07/17(木) 23:24:28 ID:4a/hTks/0

【シグナルマン・ポリス・コバーン@激走戦隊カーレンジャー】
[時間軸]:第36話以降
[現在地]:D-5 都市 1日目 早朝
[状態]:健康。少し凹み気味。湯上り。
[装備]:シグナイザー
[道具]:けむり玉(1個使用済み)数は不明、その他は不明。メレの釵。
[思考]
基本行動方針:ペガサスの一般市民を保護。戦っている者がいれば、出来る限り止める。
第一行動方針:ブクラテスを病院へ連れて行く
第二行動方針:乙女(メレ)に謝りたい。
第三行動方針:黒い襲撃者(ガイ)を逮捕する。

【名前】ブクラテス@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第12章(サンバッシュ敗北)後
[現在地]:D-5 都市 1日目 早朝
[状態]:右腕切断。簡単な応急処置済み。湯上り。
[装備]:めがね
[道具]:首輪探知機。毒薬。切断された右腕。基本支給品とディパック
[思考]
第一行動方針:竜也とシグナルマンは利用できそうだ。
第二行動方針:首輪探知機とセンの伏せて置く。
備考
・センと同じ着衣の者は利用できると考えています。




319 :一時の休息 代理:2008/07/17(木) 23:24:56 ID:4a/hTks/0


176 : ◆Z5wk4/jklI:2008/07/17(木) 23:20:32
以上です。
誤字脱字、矛盾点の指摘、ご感想などよろしくお願いいたします。


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代理投下終了します。

320 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 23:29:39 ID:4a/hTks/0
読了。

温泉での遭遇に和みましたw
ブクラテス、ある意味自業自得。
GJ!

321 :名無しより愛をこめて:2008/07/17(木) 23:33:56 ID:iA6t3PaAO
投下、代理投下乙でした。
なかなか順調だな。ブクラテス。最初に菜月と出会ったのが良い具合に転びましたね。しかし癒しチームだなぁ。シグナルマン、竜也、スモーキーのやり取りが微笑ましい!
良繋ぎでしたGJ!

322 :名無しより愛をこめて:2008/07/18(金) 00:25:23 ID:VAZ/lKFU0
GJ!
終始和やかなムードの中に潜むブクラテスの知略が光ります。
癒しとこれからに対する危機感がいいバランスでした。
しかし、浴場を用意するとは一体ロンは何を考えているのか。

323 : ◆Z5wk4/jklI :2008/07/20(日) 17:04:38 ID:Xi9c+LZmO
支援&代理投下&ご感想ありがとうございました。
したらば避難所に、挿し絵スレを立てられたらと思っているのですが、
皆さんのご意見をお伺いできますでしょうか?

324 :悲願は我が胸に有り ◆MGy4jd.pxY :2008/07/22(火) 21:27:49 ID:8ldzuWH30
挿絵スレ楽しみにしております。
では投下させて頂きます。


325 :悲願は我が胸に有り ◆MGy4jd.pxY :2008/07/22(火) 21:29:32 ID:8ldzuWH30
細身のギラサメに比べ幅広の刀身、日本刀よりも柳葉刀に酷似した一振り。
黒く磨き上げられた柄から刀へ渡り、蒼く彩る鮮やかな鮫の意匠を施した剣。
左右対成す双剣を合わせ一本の剛剣とした『ゲキセイバー』それが、ブドーの支給品の一つであった。

おおよそ扱いの難しい性質を主催者が考慮したのであろうか。
ゲキセイバーに添えられたように入っていたのが『逞しき匠の技を托す薬』
詳細によれば、一度この薬を手に掛けると、如何様に未熟な者でも優れた技術が身に付く薬……との事。
二刀から一刀流、変幻自在の攻撃を鍛錬もせず操れるとあらば、配られた支給品の中でも上等の部類だろう。
だが、ブドーにとって妖刀ギラサメは己が半身ともいえる程の代物。それ以外の刀を、振るう気は毛頭ない。
己の腕を極限まで磨く為、妖刀ギラサメ一振りを手に、戦いに身を投じる所存。

もし、これから出合う者の中に、このゲキセイバーの使い手がいるとしたなら、その者に渡し、悔いなき勝負を挑むつもりであった。


  *  *  *


セン、ブラクテスと別れ一時間余り。
ブドーの歩は進み、鬱蒼とした巨木群に囲まれるC―6エリアへ。
一向に姿を表さぬ他の参加者に業を煮やしたブドーは、木々の梢から差し込む光を忌々しげに踏み付けるように歩く。

「誰もおらぬのか!こうも参加者と出会わぬのでは……」

苛立ち紛れに、ギラサメを振るった。
が……。重い。愛刀が、ギラサメを持つ腕が鉛のように重い。
何故だ?しばし、眉をひそめ逡巡した後、はっと思い辺り首輪に触れた。
ブドーはブクラテスのような戦闘に向かぬ者が呼ばれたかが、先刻から頭の片隅で気にはなっていた。

326 :悲願は我が胸に有り ◆MGy4jd.pxY :2008/07/22(火) 21:30:20 ID:8ldzuWH30
広間にはブクラテス同然、どう贔屓目に見ても戦いようのない女、女ならまだしも子供までいた。
ブクラテスとて、たまたまセンに助けられたが、あのままセンが来なければ『殺し合い』と言うに及ばず、ただ無惨に殺されるのみ。
力のある者と力なき者。両者が行う、一方的な殺戮では無い殺し合い。
圧倒的な戦闘能力の違いを埋めるからくりに、ようやく合点がいった。
首輪により力を封じ、弱者が強者を斬り屠る。
合点はいったが、釈然としない思いが首を擡る。

「おのれ……。ギラサメを思うように扱えぬとは。だが、これも再び蘇った拙者に課せられた試練!」

幸か不幸か、辺りに参加者は見受けられない。
ならば、今はただ、鍛え上げるのみ。
ブドーは己を奮い立たせ、ギラサメを構えた。

その時、不意にブドー心の内の弱さに付け込むのかのように、胸の奥からメドウメドウの言葉が沸上がって来た。

――― あんたは見限られたのよ。バルバンにも、運にも ―――

一瞬、ブドーの焦点が揺れた。
とはいえ、ブドーが狼狽えたのは、その一瞬だけであった。

(戯言であったな。メドウメドウ。拙者は運に見限られてなどおらぬ。
拙者は、死して尚、もう一度この世に舞い戻った。
お主は違う。運に見限られていたのは、お主の方でござる!)

327 :悲願は我が胸に有り ◆MGy4jd.pxY :2008/07/22(火) 21:30:57 ID:8ldzuWH30
虚空を見据えギラサメを握り直し構えた。
ブドーは内心のメドウメドウへ向け一喝した。

「もはや、ダイタニクスの復活は、バルバンの為ではない!今は亡き、我らブドー軍団が悲願!!」
拙者はその為に再び生を受けたのだと、悲願を達成こそ魔人衆へのせめてもの手向けだと。
その思いを強く身体に刻み付ける為、虚空へ向けギラサメを振った。
真一文字に煌めく閃光。
心の内からメドウメドウが霧散し、ブドーは己の弱さに打ち勝ったと感じた。
そして、次に眼前に浮かぶは、ギンガレッドの姿。
我が身を貫いた閃光と赤い牙。その幻影を一刀両断に切捨てる。
最後に新たなる敵、センを思い浮かべる。
昼行灯のような風体。目に物見せてくれると横一閃にギラサメを払う。

「ゼヤァーッ!」

掛け声と共に、ビュッと風を切る鈍い音を鳴らし、ギラサメは紺碧の鞘へ納められた。
ブドーの背後にて、ドウと若木が倒れた。
一拍遅れて、舞い落ちる緑葉が四散する。

「この若木の如く、参加者全員、必ずや倒して見せる!」

ズシリと腕に重いギラサメが、ブドーの気概に答えるかのように、月光を刀身に受け煌めいた。

――― 御大将!せめて……。最後のご奉公を! ―――

魔人衆達の声が、幾度も蘇っては耳朶を打った。

328 :悲願は我が胸に有り ◆MGy4jd.pxY :2008/07/22(火) 21:32:00 ID:8ldzuWH30
眼の奥に、一人また一人、魔人衆が戦いに散った日。最後の光景が、鮮やかに蘇っていた。
ブドーはギラサメ掲げ、空を仰いだ。

「ブドー軍団の者たちよ。務め、ご苦労であった。お前達は静かに眠っておれ。
ダイタニクス復活は、必ずや拙者が成し遂げてくれようぞ!
我らが悲願のため、拙者、後はもう存分に戦うのみ!」

声高らかに、ブドーは空へ宣誓した。
ようやく傾きかけた月が、ブドーの顔を蒼白く照らす。
ダイタニクス復活、ブドー軍団の悲願を達成する。
何物にも代え難き、決意を浮かべたその顔を。



329 :悲願は我が胸に有り ◆MGy4jd.pxY :2008/07/22(火) 21:33:38 ID:8ldzuWH30
【名前】剣将ブドー@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第24章(ギンガマンに敗れた)後
[現在地]:C-6森林 1日目 黎明
[状態]:健康。能力発揮済。30分程度戦闘不能。
[装備]:妖刀ギラサメ、ゲキセイバー @獣拳戦隊ゲキレンジャー
[道具]:筆と紙、逞しき匠の技を托す薬@魔法戦隊マジレンジャー
[思考]
基本方針:戦う。
第一行動方針:優勝を目指す。
第二行動方針:仙一と再会時には必ず殺す。
第三行動方針:ゲキセイバーの持ち主がいれば渡し、戦う。


330 :名無しより愛をこめて:2008/07/22(火) 21:34:14 ID:lL19Q6fg0
 

331 :悲願は我が胸に有り ◆MGy4jd.pxY :2008/07/22(火) 21:36:43 ID:8ldzuWH30
※首輪の制限に気が付きました。



短文です。以上です。指摘、矛盾、感想等よろしくお願いいたします。

332 :名無しより愛をこめて:2008/07/22(火) 21:43:27 ID:lL19Q6fg0
投下乙です。
剣将ブドーの決意がこの上なくかっこよかったです。
覚悟が決まったマーダーの彼の行く末が楽しみです。GJ!

333 :名無しより愛をこめて:2008/07/22(火) 22:38:04 ID:BeHf9gLd0
GJ!
制限に気付き、今までの戦いの日々を思い出すブドー。
刀を振りながら迷いを文字通り振り切り、恐るべきマーダーに変貌する様子が鬼気迫り、これからのブドーに期待が持てました。

334 :名無しより愛をこめて:2008/07/22(火) 22:58:42 ID:Hw60wLd/0
マーダー役を託されたガイ、グレイ、ブドーそれぞれにドラマがあるのがいいですね。
まぁ、意外なお方が殺る気マンマンだったりもしますが…

335 : ◆Z5wk4/jklI :2008/07/23(水) 08:26:22 ID:76GcpdDCO
投下乙です。
魔人衆の事を思い、心の中のメドウメドウ達と対峙するブドーがかっこ良かったです。
GJ!


挿し絵、支援絵スレを立てました。
ご入り用の方はお使い下さい。

336 : ◆i1BeVxv./w :2008/07/25(金) 00:22:49 ID:xISC03ux0
ただいまより投下いたします。


337 :ポジティブ ◆i1BeVxv./w :2008/07/25(金) 00:23:30 ID:xISC03ux0
「ハァハァ、どーうやらまいたみたいだな」
 荒い息を吐きつつ、ガイは路地裏へと身を潜める。そして、ボウケンブルーから奪取したアイテムを見て、ニヤリと笑った。
「へへっ、天空の花か。いいもん手に入れたぜ」
 次なる獲物を求め、彷徨った末に聞こえた声。その声に耳を澄ませば、愛を凍らせるという素敵なプレシャスの情報。
 ガイは迷わず行動し、プレシャス――天空の花を手に入れることに成功した。
「しかし、使うためにはJ-10エリア、よりにもよってマップの一番端まで持っていかなきゃいけないなんてよ。
 一応、傷は洗ったが、乗り物か、回復アイテムか、どーうにかして手に入れないと無理があるぜ。
 畜生、あの時バイクまで手に入れることが出来てたら」
 ガイの身体に刻まれた傷が疼く。
 青い女に全身に刻まれた傷。人間より強力な生命力を持つアシュでなければ、既に事切れていてもおかしくないほどの傷だ。
 ボウケンブルーを強襲したとき、ガイは天空の花だけではなく、ボウケンブルーの全て、その命までも奪うつもりだった。
 だが、傷の痛みはガイの高揚した精神を強制的に落ち着かせ、撤退という選択肢をとるに至った。
「まっ、考えてみりゃあ、あの場で下手に戦ったら、返り討ちにあってたかも知れないしな。ツキはまだ落ちちゃいねーぜ」
 ガイの辞書に凹むという文字はない。ポジティブシンキング。ガイの特長のひとつだ。



 痛む身体を引き摺りつつ、常人の徒歩よりは少し早い速度でガイは東へと進んでいた。
 犬も歩けばなんとやら。傷を癒すために休むより、ガイは事態が動くことを期待し、移動することを選んだ。
 風景が変わっていく内に、ガイは自分の選択が間違っていないと確信する。
 そこは都市エリアと記載されるだけあって、無人ではあるが商店の類が散在していた。
 わざわざ支給品を用意している以上、回収されている可能性もあるが、探せば乗り物や傷薬もあるかも知れない。
「よっしゃ、ちょいと調べてみるか」
 ガイはいくつかある商店の中から、どことなく古びた感じのする建物を選び、その戸を開けた。

338 :ポジティブ ◆i1BeVxv./w :2008/07/25(金) 00:24:08 ID:xISC03ux0
「邪魔するぜー」
「ふっ!」
 敷居を跨いだ瞬間、ガイの顔面に何者かの足が現れる。
 ガイがそれを自分に放たれた蹴りだと知覚すると同時に、ガイの顔は中身のないアルミ缶程にへこんだ。
 悲鳴を上げる間もなく、その勢いでガイの身体は後方へと吹き飛ばされていく。
 しかし、ガイも然る者、大地に倒れはしたものの、瞬時に体制を建て直し、建物内にいるであろう敵に向かって構えをとった。
 脳が揺らされ、軽い脳震盪を起こしてはいるが、気にしている場合ではない。
「奇遇ね」
「誰だ!」
「あら、たった数時間前の出来事も忘れたの?それとも知能は未開の原始人レベルなのかしら」
 挑発的な言葉を発しながら、ゆっくりとその姿を現す敵。ガイはその姿に見覚えがあった。
「お前!?あのときの女ぁ〜」
 それはガイがこのゲームを始まって、最初に出会った女。幻獣フェニックス拳のメレだった。
「まさか、また会えるとはね。しかも……」
 メレはガイの傷だらけの身体を見遣り、不敵な笑みを浮かべた。
「随分といい格好になったじゃない」
「うっせぇ!貴様程度に遅れをとるガイ様じゃねーんだよ」
 口では威勢のいいことを言ったものの、以前に戦った時の感触ではメレとの腕はほぼ互角。
 見れば左肩に刺し傷の痕こそあるものの、それ以外は最初に出会った時と遜色のない格好をしている。
(こいつ、あの後からまったく戦ってねぇみたいだな)
 武器は豊富にあるが、今の状況ではどう考えてもガイの方が不利。
(こりゃあ適当に相手して逃げるのが一番だな)
 ガイは腰に携えていた釵を手に取り、そのままメレに向かって放り投げた。
 ジャムの可能性があるグレイブラスターを除けば、ガイにとっては唯一の飛び道具。
「喰らいやがれ!」
 ガイとしてはこれに当たるなり、避けるなりした隙を狙って、逃亡を計るつもりだった。
「あら、返してくれるの?」
「ゲッ!?」
 しかし、ガイの予想は裏切られる。メレは飛ぶ釵の柄を握ると、それを反転させ、そのままガイに斬りかかっていった。
(やっべ!思ったより、技のキレが落ちてやがる)

339 :ポジティブ ◆i1BeVxv./w :2008/07/25(金) 00:24:41 ID:xISC03ux0
 動揺するガイ。そのせいか、回避行動をとるのが数秒遅れる。だが、真剣勝負の場においてそれは命取り。
「あんたのせいでね!」
 左の肩口からガイは胸を切り裂かれ――
「あの後、私がどんな目にあったと思っているのよ!」
 腹に真一文字の斬撃が走り――
「あんな屈辱、許せない!」
 そして、柄尻の部分でこめかみを打ち据えられる。
「っ、がぁ」
 流石のガイも、2度も脳を揺らされる攻撃には耐えられず、今度は完全に意識を飛ばされ、地面へと倒れこむ。
 数秒して、ガイは胸の痛みに意識を覚醒させた。見れば、メレの足が仰向けに倒れるガイの胸に食い込んでいる。
(本格的にやばいな、こりゃ)
 次々と罵詈雑言をガイにぶつけるメレ。その声はどこか遠くに聞こえた。脳を揺らされたのだから、当然であろう。
 しかし、それでもなお、ガイの脳は休むことを知らなかった。
(あの時、きっちりとどめを刺しておきゃあな。っと、今はそれどころじゃねぇな。打開策を考えねぇと)
 揺らされたことで逆に活性化されたのか、ガイは現状を打開するための策を考え、考え、考える。
「あんた、聞いてるの!?」
 反応を示さないガイに苛立ったのか、メレは再び蹴りを放った。
 その拍子でガイの身体が横に向き、偶然にもガイの耳は大地へと付けられる。
(うん!?これは)
 何かに気づくガイ。そして、自分が何をすべきか、ガイは答えを見つけた。
「どうやら話す気力もないようね。いいわ、止めを刺してあげる」
 その言葉の通り、釵を振り上げるメレ。
(こうなりゃ、一か八かだ)
「ジャムるなよ!」
 ガイはグレイブラスターを取り出すと、急ぎ、その引き金を引いた。
 すると、青の女と戦っていた時が嘘のようにグレイブラスターの口径から無数の弾丸が発射される。
「よっしゃあ、制限は終わってたみたいだな」
「何?あんた、どこに撃ってるの?」
 ガイの行動に、思わず呆気にとられ、手を止めるメレ。
 何故なら、逆転の一手と思われたグレイブラスターの銃口がメレとは全然違う方向に向けられていたからだ。

340 :ポジティブ ◆i1BeVxv./w :2008/07/25(金) 00:25:12 ID:xISC03ux0
「狙いもまともに付けられないみたいね」
 メレは無理矢理自分を納得させ、再度、釵を振り上げようとする。
 だが、もう遅い。ガイの目論みは既に成功していた。
「何、この音?」
「へへっ、来やがったぜ」
 こちらに徐々に近づいてくる音。それはバイクのエンジン音。先程、地面を伝わり、ガイの耳に届いた音だ。
 そして、この音がメレにも聞こえているということはガイの目論みが成功した証。自分が狙った相手が到着した証だ。
 メレは視界にバイクに乗った一組の男女を捉えた。
「あいつらは」
「俺の仲間さ。どーやら気づいてくれたようだな」
「あんた、それを狙って……」
 メレの動揺が彼女の足からガイの身体へと通じる。
「さっきのお返しだ!」
 隙ありとばかりに、ガイはグレイブラスターを短剣へと変えると、メレの足を切り裂く。
 悲鳴を上げ、ガイから離れるメレ。
(絶好のチャーンス!)
 ガイは素早く立ち上がると、踵を返し、メレがいる方向とは逆方向へと走り出す。
「あばよ、緑の姉ちゃん!」
 メレはガイを追おうと手を伸ばすが、すぐにバイクに乗った男女の方に向き直った。
 負傷した足で逃げるガイを追い、挟み撃ちにされるより、ガイを逃がし、正面から戦った方がいいと判断したのだろう。
 その判断は正しい。ただし、バイクに乗った男女、最上蒼太と日向おぼろが本当にガイの仲間だったらの話だが。
(へへっ、上手くいったぜ。騙されやすい姉ちゃんだ。後は精々潰しあいな)
 こうして、ガイは見事にメレから逃亡することに成功した。



 一時間後、ようやくガイは手頃な建物を見つけ、その中で休息をとっていた。

341 :ポジティブ ◆i1BeVxv./w :2008/07/25(金) 00:26:50 ID:xISC03ux0
 薬はなかったが、町工場らしきその建物にはネジや金属部品、加工のための工具が用意されていた。
 流石にクエスターロボ級の物を造るのは無理だが、単純な物ならばこと足りそうだ。
「ローラースケートでも造るか?まあ、それは後で考えるとして……じゃじゃーん!」
 ガイが効果音と共に取り出したのはディパック。ガイのものではない。青の女のものでもない。
 逃げるときのドサクサに紛れて確保したメレのディパックだ。
「実はしっかり確保してるもんねー」
 ディパックをひっくり返し、机の上に中身をぶちまける。
 その中から自分のディパックとは共通していないものをガイは選別する。
 ガイのディパックと共通していないものはU字型磁石がくっついたような杖と3つの紙だった。
「何々、魔人マグダスの杖?おー、中々使えそうじゃねぇか」
 まずはひとつ目。魔人マグダスの杖とその説明書。武器としても道具としても中々優秀な支給品のようだ。
「後はと」
 ふたつ目とみっつ目はどちらも特別な支給品の隠し場所が書かれた紙だった。
「えーと、暗黒の鎧。これを着れば天下無双の使い手になれます。場所はG-3遺跡エリアの祠か。
 あと、闇の三ツ首竜。説明は書かれてねぇな。場所はA-10森林エリアの境界線付近?
 ちっ、どっちもとんでもない位置にありやがる。ロンは緑の姉ちゃんを動かしたかったのか?」
 最初に支給された参加者はメレではなく、浅見竜也なのだが、ガイはそれを知る由もない。
「さーてと、支給品の確認も終わったし、次はどうしようかね」
 叫びの塔があるJ-10エリア、暗黒の鎧があるG-3エリア、闇の三ツ首竜があるA-10エリア。
 ガイが今いるD-4エリアからはどこもそれなりの距離があり、どの支給品もそれなりに強力そうではある。
 その時、ガイの耳が誰かの声を捉えた。耳を澄まし、その内容を聞き取る。
 それはメガブルーという標的を戦いへと誘う狂人の声。
「……中々面白いこと考える奴がいるじゃねーか。この機に乗じるのもありっちゃあーありか」
 ガイは考える。自分がこれからどうするべきか。
 どんどん浮かぶ様々な行動案。ただ、その中に自分の運命を悲観する案はひとつもない。
 常に前向き。ガイはどこまでもポジティブだった。

342 :ポジティブ ◆i1BeVxv./w :2008/07/25(金) 00:27:32 ID:xISC03ux0
【クエスター ガイ@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.23以降
[現在地]:D-4都市 1日目 早朝
[状態]:全身に裂傷。かなりの重症のため時間制限に関わらず戦闘不能。要回復アイテム。それでも頭の回転は絶好調。
[装備]:グレイブラスター@轟轟戦隊ボウケンジャー
[道具]:クエイクハンマー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式(ペットボトル1/2本消費)、 天空の花@魔法戦隊マジレンジャー
 マージフォン@魔法戦隊マジレンジャー、操獣刀@獣拳戦隊ゲキレンジャー、何かの鍵、麗の支給品一式
 魔人マグダスの杖@星獣戦隊ギンガマン、3枚のメモ(杖の説明書、アイテムの隠し場所×2)、竜也の支給品一式(ペットボトル2本消費)
[思考]
基本行動方針:ロンやボウケンジャーを倒すついでにゲームに乗る
第一行動方針:使えそうな道具を作る。
第二行動方針:アイテムの確保orネジブルーの放送を利用する。or天空の花を持って、J−10エリア『叫びの塔』へ
第三行動方針:気に入らない奴を殺す。一人殺しました。
参考:1本目のペットボトルを半分消費しました。

【メレ@獣拳戦隊ゲキレンジャー】
[時間軸]:修行その46 ロンにさらわれた直後
[現在地]:D-4都市 1日目 早朝
[状態]:鳩尾に打撲。左肩に深い刺し傷。両足に軽めの裂傷。
[装備]:釵一本@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[道具]:なし
基本行動方針:理央様との合流。理央様に害を成す者は始末する。
第一行動方針:ガイの仲間(蒼太とおぼろ)を撃退する。
第二行動方針:ゲンギが使えない原因を調べる。それまで撤退。
第三行動方針:青と白の鎧を身に纏った戦士(シグナルマン)とガイに復讐する。
備考:リンリンシーの為、出血はありません。脈や心臓の鼓動も元々ありません。支給品一式はシグナルマンに回収されました。


343 :ポジティブ ◆i1BeVxv./w :2008/07/25(金) 00:28:05 ID:xISC03ux0
【日向おぼろ@忍風戦隊ハリケンジャー】
[時間軸]:巻之三十、後
[現在地]:D-4都市 1日目 早朝
[状態]:全身に軽い火傷、打撲。応急処置済み
[装備]:イカヅチ丸@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:蒼太と共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:首輪を何とかする
※首輪の制限に気が付きました。

【最上蒼太@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.3、後
[現在地]:D-4都市 1日目 早朝
[状態]:良好。30分程度ボウケンブルーに変身できません。
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー、バリサンダー@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:ヒュプノピアス@未来戦隊タイムレンジャー、スタッグブレイカー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:おぼろと共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:おぼろを守る
※首輪の制限に気が付きました。

344 :ポジティブ ◆i1BeVxv./w :2008/07/25(金) 00:30:48 ID:xISC03ux0
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、感想などありましたら、ご指摘お願いします。

ついでの備考ですが、ガイと他の3人とは状態表に記載された時間が1時間違います。

345 :名無しより愛をこめて:2008/07/25(金) 01:21:18 ID:CCBIbHWVO
>>344
投下乙です!
この男、ノリノリであるw
ひたすら楽観的でノリノリなガイ。
まともに戦えない状態でメレと口先で渡り合ったのは、流石はマーダー有望株、クエスターだと思いました。
またもや誤解で敵を増やしそうなメレの運命やいかに。
流石、臨獣殿の騙され夫婦ですw
思いがけず、メレと対峙する事になりそうなおぼろさん達の事も含めて、今後の展開の気になる、楽しい作品でした。
GJです!

346 :名無しより愛をこめて:2008/07/25(金) 10:39:49 ID:9smGyyQJ0
GJ!
なんというポジティブw
戦闘不能でありながら危機感をまったく感じさせない。
誰よりもロワを楽しんでいる。さすがはクエスター!
ガイの魅力を120%引き出した良作でした。
もう一度GJ!




347 :名無しより愛をこめて:2008/07/25(金) 22:12:48 ID:xfDegY1Z0
っていうか、所持品増えたなー、ガイw
考えてみればクエスターというかアシュ的には最高の感情なんだよな。
殺りたい放題だ!
面白かったです。

348 : ◆MGy4jd.pxY :2008/07/27(日) 04:55:19 ID:Sk6eTxDjO
まとめ更新乙です!

349 : ◆Z5wk4/jklI :2008/07/29(火) 09:23:17 ID:U3DnCVwR0
まとめ更新乙です。
お絵かき掲示板をご用意できました。
ご入用の方はお使い下さい。
ttp://www2.atpaint.jp/sentai/

350 :名無しより愛をこめて:2008/08/01(金) 18:18:55 ID:DuncU2za0
保守

351 : ◆MGy4jd.pxY :2008/08/04(月) 22:35:33 ID:HQjpkM3dO
大変申し訳ございません。
今日が延長後の期限ですが今回は期限内に投下することが出来ないかもしれません。

ですがもし日付が変わるまでに完成したら投下させていただければ、と思っています。
間に合わなければ、予約破棄が妥当かと考えております。
長期間のキャラ拘束、心からお詫び致します。







352 :名無しより愛をこめて:2008/08/05(火) 16:38:42 ID:6ovHbmLt0
了解しました。楽しみにお待ちしております。

353 : ◆MGy4jd.pxY :2008/08/05(火) 17:47:20 ID:wMmU+oqOO
遅レスを重ねてお詫び申し上げます。
やはり期日に間に合いませんでした。
けじめとして予約を破棄します。
度重なる延長と今回の期限切れを鑑み、次回以降は延長しない事と致します。
また書き手として受け入れて頂ければありがたいです。

354 :名無しより愛をこめて:2008/08/05(火) 18:22:54 ID:PwkYixha0
>>353
了解いたしました。
次回のご予約を楽しみにお待ちしております。

355 : ◆MGy4jd.pxY :2008/08/05(火) 18:37:47 ID:wMmU+oqOO
>>352、354
暖かいお言葉ありがとうごさいます。


356 : ◆i1BeVxv./w :2008/08/06(水) 23:36:00 ID:4c687ghx0
遅くなりましたが、投下いたします。

357 :◆i1BeVxv./w :2008/08/06(水) 23:37:13 ID:4c687ghx0
「もう少しで街に着きそうですね、理央様」
「目的の方が見つかるといいですね、理央様」
 ナイとメアは理央を伴い、市街地エリアへを目指し、道なき道を進んでいた。
 理央との交渉は思いの他、順調に進んだ。
 サンヨに襲われながらも、なんとか応戦し、命からがら逃げてきたと伝えると、理央はあっさりとふたりの同行を許可したのだ。 
 支給品のライフルも護身用に持っていていいと言われ、どうやって篭絡してやろうかと考えていたナイとメアにとって、拍子抜けもいいところだ。
 もし殺し合いに乗っていれば容赦はしないと一応の釘は刺されたが、ナイとメアの中で理央に対する認識は確固たるものになった。
 ロンと対峙していたことといい、人をあっさりと信じることといい、インフェルシアに刃向かう魔法使いたちのような甘ちゃん。
 仲間にするには虫唾が走るが、利用するにはこれ以上適した人物はいない。
 ナイとメアは理央が戦闘不能に陥るまで、骨の髄まで利用しつくすつもりだった。
 もっとも、理央には理央なりの思惑がある。
 理央は殺し合いの場でありながら、初対面であるスワンを信じた。結果、裏切られたわけだが、そのことは理央にとっていい教訓になった。
 千言万語を尽くしたとしても、この殺し合いの場において、敵か味方かを見極める材料にはなり得ない。
 それならば、選ぶべき道はふたつ。誰とも合流せず、ひとりだけで行動するか、同行する相手に隙を見せず、決して信じないか。
 理央は後者を選んだ。
 助けを求める者が寝首をかかんとする獅子身中の虫である可能性もあるが、同時に、炎に巻かれ焼死した哀れな参加者のように、弱者である可能性も捨てきれないからだ。
(強き者はいついかなる時も隙を見せない。猛き者は弱き者を決して見捨てない)
 臨獣拳使いとしての荒々しさは残しつつも、幻気を解き放った理央の信念は確かに変わっていた。



「理央様はさっき聞きましたけど、メレって方を探してるんですよね」

358 :◆i1BeVxv./w :2008/08/06(水) 23:38:38 ID:4c687ghx0
「ですよね」
 街を目指す道すがら、暇を持て余したのか理央に質問を投げかける。
「そうだ。メレと合流し、ここからの脱出方法を見つけ出し、ロンを倒す。それでこの馬鹿げた遊びは終わりだ」
「でもでも理央様〜、首輪はどうするつもりなんですか?」
「そうですよ。これが填められている限り、ロンと戦うことすら出来ませんよ?」
 首輪がもたらす効果。10分戦えば2時間の制限を与え、無理矢理外そうとすれば爆発し、ロンに逆らっても爆発する。
 この首輪を何とかしない限り、ロンに逆らおうなど、夢のまた夢だ。
「首輪か……俺も気になっていた。どうしてロンは俺に首輪など填めたのかと」
「え?それは理央様のお力を封じるためじゃないんですか?」 
「ですか?」
「俺はその気になれば首輪など、いつでも外せる」
「「!?」」
 ナイとメアのふたりは揃って絶句した。この殺し合いを乗り切る上で最も大きな障害として立ちはだかる物。それが首輪だ。
 それを理央は外せるというのだ。
「首輪を外すって」
「どうやるんですか、理央様」
 当然、ナイとメアは理央に答えを求める。それがわかれば、ナイとメアの目的は達成され、生き残る可能性もぐんと上がる。
「簡単なことだ。例えこの首輪がどんな爆発を起こそうが、それを上回る臨気で防御すればいい」
「えっ?」
「はっ?」
 ナイとメアは呆けた顔をするが、理央は自分の考えに絶対の自信があった。
 理央は自分に填められた首輪が幻獣ケルベロス拳ゲンギ『迅愚流』のようなものだろうと予想していた。
 ゲンギで作られた首輪と仮定するならば、通常ならば解除はロン以外には不可能。
 だが、この首輪は無理矢理外そうとすれば、爆発するという特性を持っている。
 ならば、臨獣ジェリーフィッシュ拳リンギ『羅封掌握』を破った時のように、幻気の爆発に負けない強い臨気をぶつければ無効化できるはずだ。
「しかし、ロンなら俺が首輪を外せることなど、わかっているはずだ。それなのになお俺に首輪を填めるとは、俺の考えが間違っているのか。あるいは……」

359 :◆i1BeVxv./w :2008/08/06(水) 23:39:17 ID:4c687ghx0
 真剣な顔でロンの裏を考える理央。その横でナイとメアの呆けた顔は不満の顔へと変化を遂げていた。
 『臨気』と言われても、その単語に聞き覚えのないナイとメアにとっては何を指しているのかわからない。
 よしんば、それが理解できたとしても、自分が実行できない解除方法など、ふたりにはどうでもいいことだった。
(理央様って案外……)
(使えないかもね……)
 ナイとメアは落胆し、理央を追い越し、先へと進んだ。
「っ!」
 突然、理央はナイとメアの前へと出ると、ディパックを振り回す。
「と、突然どうしたんですか」
 理央はその問いかけにディパックを見せることで応える。
 ディパックには鋭利な手裏剣がふたつ刺さっていた。
「誰だ、出て来い!」
「ふふっ、ようやく骨のありそうな奴に出会えたようだ」
 声の主は木陰からゆっくりと姿を現す。
 青白い皮膚に鋭い白眼。腰に刀を携え、その武士の如き風貌から発せられる殺気は彼が殺し合いに乗っていることを如実に示していた。
「それはほんの挨拶代わりでござる」
「貴様、何者だ」
「拙者の名は剣将ブドー。散っていった我がブドー軍団の悲願のため、お命頂戴つかまつる」
「ふっ、殺し合いに乗っている奴に……俺は容赦しない」
 理央はナイとメアへとディパックを投げる。そして、ふたりに下がっているよう促す。
 それに従ったナイとメアは理央たちから幾許かの距離を取った。
「戦う前にふたつ。お主、この武器を知っているか」
 ブドーはディパックから腰に携えたものとは形状も種別も違う剣を取り出す。
 それは理央が見覚えのある武器であった。
「ゲキセイバー。何故、お前がそれを」
「拙者の支給品だ。だが、拙者には不要の物。もし、これの持ち主が殺し合いに参加しているのなら、返却の後、是非とも勝負を挑みたい」
「残念だが、それの持ち主はこの殺し合いには参加していない」
「左様か。ならば、お主はどうだ?見たところ丸腰の様子」
「不要だ。お前を倒すのに武器は必要ない。この拳があれば充分だ」


360 :◆i1BeVxv./w :2008/08/06(水) 23:39:54 ID:4c687ghx0
 理央の力強い言葉にブドーは不適な笑みを浮かべた。
 話せば話すほど、眼の前の相手が自分と戦うに相応しい骨のある漢だと分かっていくのが嬉しかった。
 早く戦いたい。ブドーの身体は来たるべき時に向けて打ち震えていた。
「もうひとつ。拙者の剣の錆になる、お主の名前を聞いておこう」
 ブドーは鞘から妖刀ギラサメを抜き、構える。
「臨獣ライオン拳使い、黒獅子リオ」
 対して理央も臨獣拳の構えをとった。
「リオ。その名前、覚えておこう……蘇った拙者の最初の相手として」
 ブドーは大地を蹴ると、理央との間合いを一瞬の内に詰める。そして、理央の首目掛け、ギラサメを振り下ろす。
「てぇぇぇい」
 だが、理央はギラサメが振り下ろされるより早くブドーの外側へと回りこみ斬撃を避ける。
 しかし、ブドーも一撃が外れた程度で隙は見せない。直ぐに体制を建て直し、ニ撃目を横薙ぎに振るった。
「ふっ」
 理央はそれも跳躍し避けると、そのままブドーの顔を目掛け、蹴りを放つ。
「ぐっ」
 怯んだブドーに続けざまに上段蹴り、右正拳突き、左正拳突きを放つ理央。そして、止めとばかりに回し蹴りをブドーの腹へと叩き込む。
「ぐぉ」
 溝に入り、苦しそうな呻き声を上げるブドー。
「どうしたこの程度か」
 その様子に早くも理央は勝利を確信し始めていた。
「ふっふっふっふっ、そう来なくては戦い甲斐がない」
「ほざけ」
 理央は腹から足を抜くと、次は顔面に向けて、蹴りを放った。ブドーはそれを正面から受け止める。
「ふっふっふっふっ、浅いな。この程度の攻撃では、このブドーには蚊ほどのダメージも与えられん!」
 ブドーは一度顔を引くと、理央の足へと頭突きを見舞う。その予想以上の破壊力に理央の足に痺れが走った。
「せぇぇぇい!」
 袈裟切りに振るわれるギラサメ。理央は後ろに跳び、避けるが、足の痺れが理央の動きを一瞬遅くする。
「理央様!」
「ちっ」

361 :◆i1BeVxv./w :2008/08/06(水) 23:40:41 ID:4c687ghx0
 理央の肩から脇の下に掛けて、袈裟切りの名の通り、袈裟懸けを着たかのような切り傷が理央の体へと刻まれる。
 致命傷ではないもののその傷からは血がたらりと流れ落ちた。
「確かにお主の拳法は大したものだ。だが、所詮それは人間レベル。拙者を倒すには決定的に殺傷力が足りん。
 今からでも遅くない。ゲキセイバーを握るがいい。さすればその差は埋められよう」
 ブドーを睨みつける理央。対してブドーからは余裕の笑みを浮かべている。
 その様を見て、ナイとメアは小声で相談を始めた。
「ねぇねぇ、どうしようメア。なんか理央様負けそうな感じ」
「だよね〜。期待はずれもいいところ。どうするあのブドーって奴に取り入っちゃおうか?」
「でもー、結構頭固そうだよ」
「じゃあいざって時はふたりとも」
 それ以上ナイとメアは口に出さなかったが、彼女達の腹は決まった。
「さあ、どうする。ゲキセイバーで拙者との戦いに勝機を見出すか、それともそのまま意地を貫き通すか」
「………ふっ、考えるまでもない。無論、後者だ」
「そうか。己の意地を貫き通し、そのまま死ぬのもよかろう」
「何を言っている。死ぬのはお前だ」
 理央は右手を翳すとギュッと拳を握り締める。すると、理央の身体からたちまち黄金色の闘気が立ち昇っていく。
 やがて、闘気は獣の姿を形づくる。彼の獣拳の名前通り、ライオンの姿を。
「ぬぅ、なんだそれは」
「なるほど、制限は2、3時間というところらしいな」
「制限?まさか、お主、制限された状態で戦っていたというのか」
 理央はブドーの問いに行動で応じる。
「臨気凱装」
 理央の背中に浮かんだ獅子が分離し、装甲となり、理央の身体へと次々と装着していく。
 そして、獅子の頭部が理央の頭部と合わさった時、理央は黒獅子リオへと変身を終えた。
「猛きこと獅子の如く。強きことまた獅子の如く。剣を断ちし者。我が名は黒獅子リオ」
「!!!」
 黒獅子になりより一層激しく、強くなっていく闘気。ブドーは気圧され、無意識の内に一歩、後ろへと下がっていた。
「ブドー、お前の腕は見せてもらった。今度は逆に俺が言おう。俺を倒すには決定的に実力が足りん。
 もしお前がこの殺し合いで誰もその手に掛けていないなら、今すぐ剣を折れ。そうすれば命だけは助けよう」


362 :◆i1BeVxv./w :2008/08/06(水) 23:41:48 ID:4c687ghx0
「ふん、このブドーには無用の情け。それにまだ拙者よりお主が強いと決まったわけではない」
 リオへと特攻をかけるブドー。先程までの小手調べとは違い、渾身の力を込めた最速の一撃をブドーは見舞った。
 だが、リオの身体は刃が届く寸前でまるで軟体生物の如く、形を変え、その一撃を受け流した。
「なに!?」
 その光景が信じられず、ブドーは続けて斬撃を放つ。しかし、その全てが最初の一刀と同じく、受け流されていく。
「臨獣ジェリー拳……ふん!」
 幾度目かの斬撃。リオは避けるのを止め、その一閃を握り締めた。
「くっ、放せ」
 ブドーが押せど、引けど、リオの手からギラサメは離れない。
「はっ」
 お返しとばかりに今度はリオが拳を打ち込んでいく。ただブドーの時とは異なり、リオの拳は確実にブドーへと当たり、その体力を奪っていく。 
「剣を放さぬとは大した執念だ。だが、それすらも俺には無意味……ハァァァ!」
 リオの拳に集まっていく臨気。それが極限にまで高まったとき、リオの握力はギラサメの硬度を超え、その刀身を粉々にする。
「馬鹿な、一度ならず二度までも」
 ギンガレッドとの戦いの時と同じく刀を砕かれた動揺。それが勝負の分かれ目となった。
「リンギ・烈蹴拳!」
 臨気の込められた蹴りが、黄金色の弧を描き、ブドーの胸へと打ち込まれる。
「のわぁぁぁ」
 その威力にブドーの身体は宙に舞い、その勢いのまま、木へと叩きつけられた。
 勝負は決した。
「理央様、大丈夫ですか?」
「ですか?」
 リオへと駆け寄るナイとメア。
 先程まで纏っていた不穏当な空気は最初からなかったかのように霧散している。
「心配は無用だ」
「それにしても流石理央様ですね。まさか温存したまま戦っているなんて思わなかったです」
「だよね〜。変身した後は圧倒的な強さ。私たち理央様に会えて本当に良かったです」
 その心とは裏腹にリオをおだてるふたり。だが、リオの視界にはナイとメアは入っていなかった。
「ぐっ、ううっ」
 呻き声を上げるブドー。まだ彼の命は絶たれてはいなかった。


363 :◆i1BeVxv./w :2008/08/06(水) 23:42:33 ID:4c687ghx0
「きゃっ、理央様。あいつまだ生きてますよ」
「さっさととどめ刺しちゃいましょうよ」
「………」
 息も絶え絶えにリオを睨みつけるブドー。その視線を正面から受けるリオ。
「っぅ!」
 ブドーは勢いよく立ち上がると、踵を返し、森の中へと逃げていく。
「あっ、理央様、あいつ逃げちゃいますよ」
「早く、追っかけましょう」
「放っておけ」
 急かすナイとメアにリオは態度で示した。臨気凱装を解き、人間の姿へと戻ると、森へと背を向ける。
「えっ、どうしてですか理央様〜」
「理央様〜」
「奴の剣は断った。あの場で向かって来れない臆病者は既に戦士ではない」
 最初に視線を交わしたときと最後に視線を交わしたときとでは、ブドーの眼は明らかに違っていた。
 最初は強い意志を感じさせる戦士の眼をブドーは見せた。だからこそ、理央は戦士として戦いに応じ、情けさえも掛けた。
 だが、最後に見たブドーの眼は自分に怯えていた。ブドーの言葉を借りるのなら、自分の意地を貫けない相手は殺すに値しない。
 それでも誰かを殺していたなら、話は別だが、ブドーは『蘇った拙者の最初の相手』と言っていた。
 少なくともこの場ではまだ誰も殺していないのだろう。そして、あの様ではもうブドーは誰も殺せない。
 既に理央はブドーへの興味を失っていた。それより、今憂慮すべきは別のこと。
(さあ、このふたり、どうでる?)
 ナイとメアにとって、制限を受けている今の自分は絶好の獲物のはずだ。
 殺し合いに乗っているのならば、この機を逃すとは思えない。
 理央は自分のディパックを横目で確認する。彼のディパックに入っているのは武器だ。
 それもひとつで五つの役割を果たす変幻自在の武器。
(こいつらの支給品は飛び道具だったな。もしもの時は使わせてもらうとするか)
 ナイとメアを警戒しつつ、街への道を再び歩き出す理央。
 その理央の後ろで、ナイとメアは内緒話を始めた。
「ねぇ、メアどうする?」
「どうしようか、ナイ?」
「今、制限中だよね」


364 :◆i1BeVxv./w :2008/08/06(水) 23:43:21 ID:4c687ghx0
「制限中は2時間、全力を出せないし、絶好のチャンスだよね」
「それじゃあやっちゃう?」
「「やっちゃおうか」」
 元々ひとつであるナイとメアの論議は早い。あっさりと結論を出し、計画の実行へと動き出す。
「「理央様」」
「なんだ」
 理央が不審な眼を向ける。だが、その視線の意味を知ってか知らずか、ナイとメアはあっけらかんと応えた。
「わたしたち〜」
「ちょっと失礼しますね」
 理央から離れ、森へと行こうとするふたり。当然ながら、理央はより一層視線を強くする。
「待て、何処へ行く」
 それでもナイとメアはペースを崩さない。
 少し、照れくさそうに明るい声で理央へと告げた。
「やだ、理央様。女の子がちょっと失礼するって言ったんなら察してくださいよ〜」
「くださいよ〜」
「?」
 理央は基本的に鈍い。
「もう〜、はっきり言わなきゃわからないんですか〜?」
「トイレですよ、トイレ」
「本当は街まで我慢しようと思ったんですけど〜」
「さっきので緊張の糸が切れたみたいで〜」
「そ……そうか。なら、さっさと行け」
 動揺を押し殺し、ナイとメアを促す理央。ナイとメアはそれに従い、森へと進んでいく。
「ここで理央を殺すのは簡単だけど」
「あんな奴がごろごろいるんなら、今は早いよね」
「でも、刈り取れる芽は〜」
「早めに刈らないと〜」
 木々がナイとメアの姿を隠す。理央からは完全に見えなくなったことを確認すると、ふたりは頬をすり合わせた。
 たちまちふたりの身体は溶け合い、ひとつの身体を創造する。
「ほほほっ、待ってなさい。ブドー」


365 :◆i1BeVxv./w :2008/08/06(水) 23:44:05 ID:4c687ghx0
 バンキュリアは翼を広げると、ブドーを追った。



「………」
 無言のままブドーは森の中を歩いていた。
 胸の傷の痛みに歯を食いしばり耐えながら、ひたすらに歩く。
 だが、胸の傷より鋭く、激しく痛むのは敗北し、逃亡したという事実であった
(拙者は何故逃げたのだ)
 その答えは分かりきっている。あのまま立ち向かっても負けは確実。だから、逃げたのだ。
(しかし、拙者は戦うと決めたはずだ。悲願を果たすために戦うと。だが、あの時の拙者は……)
 今まで敬愛するゼイハブにすら抱いたことのない感情。
 絶対的な強者への恐怖。
 ブドーが逃げたのは状況的に不利だったからでも、負けることが怖かったからでもない。
 ただ命が惜しく、死にたくなかったから逃げたのだ。
 それは例え、負けることがわかっていたとしても、忠義のため、自らの命を散らしていたブドー軍団の将としてあるまじき行為。
「くっ」
 憤りを手近にある木で晴らそうと、ブドーはギラサメを抜いた。
 だが、既にギラサメの刀身は理央に砕かれ、見るも無残な姿へと変わり果てている。
 ブドーは自分の半身とも言えるその刀の有様に、頭を垂れた。
 その瞬間、銃声がブドーの耳に届いた。見ると地面には弾丸の痕が刻まれている。
「あらら、外しちゃったわね」
 ブドーが振り向けば、上空には翼を広げた黒い襲撃者――バンキュリアの姿があった。
「何者!」
「ふふっ、さっき会ったじゃない。もっとも、さっきはこの姿じゃなかったけど」
 その言い回しに、ブドーは相手が何者かを判断する。
「貴様、先程の女か」
「そうよ。わかったら、さっさと死ぬがいいわ」
 バンキュリアはライフルを構えると、ブドーを狙った。
「くっ」


366 :名無しより愛をこめて:2008/08/06(水) 23:57:20 ID:K3PWx+qH0
sien

367 :◆i1BeVxv./w :2008/08/07(木) 00:00:12 ID:4c687ghx0
 ブドーは一目散に逃げ出す。ギラサメもなく、制限が掛かっている今、勝ち目はない。
「はぁはぁ、はぁはぁ」
 場所は森の中。高くそびえ立つ木々が自分を守ってくれるはずと、ブドーは懸命に森の奥へと進んでいく。
 ところが――
「無駄よ」
 何時の間にかブドーの眼前へとバンキュリアは移動していた。
 そして、即座にライフルの引き金が引かれる。
「ぬぅわ」
 放たれた銃弾がブドーの肩を貫通した。白装束が彼の身体から流れ出た血に染まる。
「確かに上空から狙うのは木が邪魔くさいけど、こうやって正面からだったら、思い通りに狙えるわ。
 気づいてる?あんたの乱れた呼吸。凄く聞き取りやすいわ」
 ナイとメアの時ならいざ知らず、今ならば、相手の気配を探ることは容易い。
「き、貴様」
「あなたは終わりよ、ブドー」
 バンキュリアの姿が、ブドーの記憶の中にいる女と重なった。

――― あんたは見限られたのよ。バルバンにも、運にも ―――

(メドウメドウ……)
 ライフルより銃弾が放たれる。その銃弾はまっすぐにブドーの額へと向かい、砕いた音を轟かせた。



「ふふっ、軽いわね。さて、あんまり遅くなっても不審がられるし、さっさと理央の下に戻ろうかしら」
 ブドーの死体に背を向け、ディパックにライフルを収めようとするバンキュリア。


368 :◆i1BeVxv./w :2008/08/07(木) 00:01:50 ID:4c687ghx0
「獲物を追う猟師は前後不覚に陥りやすい。なるほど、客観的に見れば、あの時の拙者がどれだけ愚かだったかよくわかる」
 だが、死んだはずのその男の声が森へと響いた。
 バンキュリアは急いで後ろを振り向く。そこには死んだはずのブドーが雄々しく立っていた。
「あんた死んだはずじゃ」
「どうやら拙者には運が味方しているらしい」
 ブドーの手からギラサメの破片が滑り落ちる。
 相手に止めを刺すなら、頭部か胸を狙うはず。そして、最初の一撃はブドーの後頭部を狙ったものだった。
 ブドーはバンキュリアがライフルを構えた瞬間、反射的に右手に持ったギラサメで頭部を庇った。
 その結果、先にギラサメへと命中した銃弾は弾道を変え、ブドーの頭部への着弾を防いだのだ。
「拙者は終わらぬ。汚名を返上せずに死んでは、それこそ散っていった配下の者たちに顔向けできん」
 いつの間にかブドーの左手にはビンが握られていた。
「そのためなら、信念など不要。手段など選ばぬ」
 ブドーは両手で拍手するように叩き、ビンを割ると、その中の液体を手へと染み込ませた。
「なに格好つけてるのかしら」
 生きていたことには驚いたが、所詮ブドーは制限内。恐れるに足りずとバンキュリアは再度、ライフルを構えた。
「今度こそ死にな」
 だが、銃弾はブドーには届かず、弾かれることになる。
「ゲキセイバー」
 ブドーの両手にしっかりと握られた一対の剣。
 薄刃ならではの柔軟性と高い強度を併せ持つ必殺の剣ゲキセイバー。
 ブドーはまるでオールを漕ぐように振るい、ライフルの玉を弾いたのだ。
「そんな馬鹿な。あんた、制限中でしょう」
「逞しき匠の技を托す薬。貴様のライフルと同じく、支給品によって得られた力は輝きを失わぬようだな」
「くっ」
 バンキュリアは状況の悪化を悟りながらも、逃げずにライフルを構える。一方のブドーはゲキセイバーを合身させ、一対から一本の刀にする。
「双剣合身」

369 :◆i1BeVxv./w :2008/08/07(木) 00:02:25 ID:4c687ghx0
 バンキュリアへと迫るブドー。だが、ライフルの引き金は一瞬早く引かれた。

――カチャ

「弾切―」
「ゲキセイバー残酷剣!」
 一閃するブドーの刃。
「貴様程度の首を落とすことなど、制限があろうとも……容易い」 
 悲鳴を上げる間もなく、バンキュリアの首はポロリと落ちた。
 それと同時に主を失った身体も力なく崩れ落ちる。
「ゲキセイバー……中々悪くのない刀だ」
 ブドーはゲキセイバーから血を振り払うと、ピクピクと小刻みに動くバンキュリアの手からライフルとディパックを奪った。
「これも使いこなしてみせよう。拙者の勝利のためにな」
 ブドーは短冊と筆を取り出し、句を記すと、それをバンキュリアの身体へと置き、その場から去っていった。

――悲願への 道程長く まず一首――



(んんっ……あれ?私は一体)
 一時間程の時が流れ、バンキュリアは意識を取り戻した。
(そ、そうだ私はブドーに首を斬られて)
 意識すれば見開かれたままの眼から自分の身体が見えた。
 首のない自分の身体に息を呑んだが、それより重要な事実にバンキュリアは考えを移す。
(首を落とされたのに生きてる。それに結構時間が経っているはずなのに分離していない)
 木々の間から差しこむ光が時間の流れを示す。
 それはバンキュリアが首輪の制限から解き放たれたことを示していた。
(ほほほっ、やはりクイーンバンパイアの私を滅ぼすなんて、無理だったようね。
 こんなことなら、最初から首輪を外しちゃえばよかったわ) 
 そんな時、バンキュリアの視界に何者かの足が映った。


370 :◆i1BeVxv./w :2008/08/07(木) 00:02:59 ID:4c687ghx0
 その何者かは身体を屈めると、その顔をバンキュリアの瞳へと映す。
「どうも」
(ロン!)
「そろそろ放送を行う時間ですので、死人のチェックへと参りました」
(死人?私はまだ死んでないわよ)
「厳密にはあなたはまだ死んでいません。いえ、不死身のあなたを殺すことなど誰にも出来ないでしょう。
 でも、首輪が外れた時点であなたはこのゲームから脱落したのです」
(調子に乗ってんじゃないわ。今すぐあなたを殺してあげる)
「何か反抗的なことを考えているようですが……無・駄・ですよ。だって、あなた動けないでしょ?」
 ロンの言う通り、その意識とは裏腹にバンキュリアの頭は何の反応も返さない。
(そういえば口も動かせないし、瞬きもできない)
 瞳さえも動かせない現状にようやくバンキュリアは何かおかしいことに気付く。
「あなただけにこの首輪の本当の性能を教えてあげます。内緒ですよ?」
 そんな焦りを知ってか知らずか、淡々としゃべり続けた。
「首輪の性能は5つ。まずは首輪は形状を自在に変えられます。
 これを小さくすることで小津勇を絞殺し、二つに分けることで、あなたのような特異な参加者に対応しました。
 2つ目に無理矢理外そうとすると爆発します。これはメモに書いてある通りです。
 3つ目にこの首輪の位置を私は常に知ることができます。
 ブクラテスという参加者にはその仕組みを利用した支給品を与えていますので、範囲は限定されますが、彼も知ることが出来ますよ。
 4つ目にこの首輪は音声を私に伝えてくれます。つまり、あなたたちの会話は筒抜けというわけです。
 ここまではいいですね?」
 ロンはわざわざ大地に伏すと、横になっているバンキュリアから見て、下から上へと舐めるようにバンキュリアの顔を見た。
「さて、肝心の5つ目ですが、この首輪はあなたたちへのゲンギの影響を最小限に抑え、10分間だけ一切の制限なくあなたたちの能力を使えるようにしてくれます」
(どういうことよ、それ?)

371 :名無しより愛をこめて:2008/08/07(木) 00:03:24 ID:qOBIw6mZ0
 

372 :◆i1BeVxv./w :2008/08/07(木) 00:03:32 ID:V5TiUR2j0
「わかりませんか。この首輪は酸素ボンベのような役割を果たしています。酸素ボンベなしに、海に長時間潜ることはできないでしょ?
 実際にあなたたちの能力を抑えているのは私がゲンギで作り出したこの空間。首輪は空間の効果をコントロールしてるに過ぎないということです。
 つまりぃ、首輪が外れたあなたはその影響をまとめに受けているということですよ」
(!!!)
 ようやくバンキュリアは自らが置かれている状況を理解した。
 バンキュリアはこの首輪を外せば自分の力は戻るものだと思っていた。だからこそ、生き続けられている自分は制限から開放されたものだと思っていた。
 だが、実際は違う。
「この空間には幻気を持つもの以外を拒み、排除しようとする瘴気が敷き詰められているのです。まあ毒みたいなものですね。
 よって、この首輪なしでは、多少の個人差はありますが、この空間では生きることは出来ない。
 ただ、あなたは幸運なことに不死身でしたので、こうして私の話を聞くことが出来ているというわけです」
(何が幸運よ。それなら死んだ方がマシじゃない!)
「苦しいでしょうね〜、不死身であるが故に意識だけが自由になる今の状況は。
 そうですね、差し詰めその状況は圧縮冷凍のような状態でしょうか?」
 嘲るようなロンの声。バンキュリアはロンの例えの意味はわからなかったが、このままだと自分は一生この状態で生き続けることは嫌でもわかった。
 そして、この状況を何とかすることが出来るのが、目の前のこの男しかないことも。
(ロン、私を解放して。脱落したのなら、もう私は必要ないでしょ?)
 ロンに通じているかは定かではないが、必死に助勢を願うバンキュリア。ロンはにやりと笑うと徐に立ち上がった。
「まあ、数日待っていなさい。優勝者が決まれば、この空間は閉じられます。その時にはっきりしますよ。
 あなたがこの空間と共に消滅するか。はたまた、生き続けるかがね……ご武運を」
(待ちなさい、ロン!待ちなさいよ!)
 ロンは黄金色のもやになるとその場から消えていく。
(待って!助けて!ロン!ロン!!)
 バンキュリアは何もできず。ただ、心の中で叫び続けるしかなかった。

【バンキュリア 脱落】
残り36名

373 :◆i1BeVxv./w :2008/08/07(木) 00:04:03 ID:4c687ghx0
【名前】バンキュリア@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage18(ブランケン死亡)後
[現在地]:C-7森林 1日目 早朝
[状態]:首だけでなにも出来ず。不死身が故に意識だけはあり。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:なし


【名前】剣将ブドー@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第24章(ギンガマンに敗れた)後
[現在地]:C-7森林 1日目 早朝
[状態]:胸と腹に中程度のダメージ。肩に銃弾による傷。能力発揮済。2時間戦闘不能。
[装備]:ゲキセイバー@獣拳戦隊ゲキレンジャー、一つ目のライフル銃@魔法戦隊マジレンジャー、手裏剣少々@星獣戦隊ギンガマン
[道具]:筆と短冊。サイコマッシュ@特捜戦隊デカレンジャー。予備弾装(銃弾7発、催涙弾5発、消滅の緋色1発)。支給品一式(ブドー&バンキュリア)。真墨の首輪。
[思考]
基本方針:戦い、勝利する。
第一行動方針:リオを倒せるほどに強くなる。
第二行動方針:優勝を目指す。
第三行動方針:仙一と再会時には必ず殺す。
※首輪の制限に気が付きました。


374 :◆i1BeVxv./w :2008/08/07(木) 00:05:31 ID:4c687ghx0
【名前】理央@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:修行その47 幻気を解き放った瞬間
[現在地]:D-7市街地 1日目 早朝
[状態]:健康。肩から脇の下にかけて浅い切り傷。ロンへの怒り。2時間変身不能。
[装備]:なし
[道具]:変幻自在剣・機刃、支給品一式。
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。乗った相手には容赦しない。
第一行動方針:メレと合流する。
第二行動方針:ナイとメアを待つ。


375 :◆i1BeVxv./w :2008/08/07(木) 00:06:22 ID:V5TiUR2j0
投下終了。

誤字、脱字、矛盾点、感想などあればお願いします。
二点ほど、セルフ突っ込み。

>(強き者はいついかなる時も隙を見せない。猛き者は弱き者を決して見捨てない)
強き者と猛き者が逆になってました。
あと、ブドーの至急品の筆と紙ですが、筆と短冊に訂正いたします。
ご迷惑おかけして申し訳ありません。

376 :名無しより愛をこめて:2008/08/07(木) 00:22:27 ID:CIYAmjB00
投下乙!
リオとブドーの戦い、そしてブドーのゲキセイバーを使った技量の勝利が見事!
ロンの正確の悪さも出ていました。ロンこえぇぇぇぇ!!
首輪が生存装置……その発想はなかった! GJ!

377 :名無しより愛をこめて:2008/08/07(木) 03:19:21 ID:y5KQ+13gO
超GJ!
ブドー死亡!?かとおもいきや「ゲキセイバー残酷剣」でバンキュリアを断!

そして不死ゆえに向かえたバンキュリアの哀れな末路。
首輪の考察もお見事でした。


378 :名無しより愛をこめて:2008/08/07(木) 11:18:01 ID:N3Poa7V80
GJ!
やはりマジレン勢に呪いが……。
残りのマジレン勢は放送を聴いたらビックリするでしょうね。
しかし首輪を外すのが無理となると、優勝者が出る以外に終結が……。

それから、確か変幻自在剣 機刃ではなく、自在剣 機刃だった気がします。

379 :名無しより愛をこめて:2008/08/07(木) 18:30:41 ID:uZoT+Ibr0
GJです!
ナイメア、なんて哀れな姿に……
リオに敗北し、信念を捨て手段を選ばない事にしたブドーが格好良かったです。
そして、まさか制限がかかっているのは首輪ではなく空間の方とは!
意表をつかれました。お見事です!!
あー、それにしても楽しそうだなぁロン。


380 :名無しより愛をこめて:2008/08/07(木) 21:40:36 ID:Jv74o0Of0
これ、主催者が主役っていう異色のロワだよなw

381 :名無しより愛をこめて:2008/08/08(金) 13:38:07 ID:kq700wKs0
特撮好き集まれ!

「新ライダーバトルロワイヤル」
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1218024286/l50
他の特撮ヒーローを出すかどうか議論中
一度見に来てねwww

382 :名無しより愛をこめて:2008/08/09(土) 17:17:30 ID:mgmXR7El0
保守age

383 : ◆Z5wk4/jklI :2008/08/10(日) 01:52:47 ID:TL6dYG7xO
只今より投下いたします。

384 :オディール ◆Z5wk4/jklI :2008/08/10(日) 01:56:56 ID:TL6dYG7xO
閉じた瞼に突き刺さる光と、全身を走り回る激痛に目覚めた白鳥スワンを待っていたのは悪夢の続きだった。
「な……ん、で」
血に焼かれた喉から掠れた声がこぼれ落ちる。
死んだ筈だったのに。
警察官にあるまじき過ちを犯して。
なんの罪も無い人間を殺して。
裁きを受ける事も出来ず、死んで償う事さえ許されずに。
ずたずたに引き裂かれた誇りと軋む胸の痛みを抱えて。
鳴らないSPライセンスを握り締めながら、死んでいった筈なのに。
「おや、目を覚まされましたか」
不意に視界が遮られる。目の前にはロンの楽しげな顔があった。
「……ロン!」
怒りか、憎しみか、憤りか、ないまぜになった感情のままにつかみかかった指は虚しく宙を掻き、地に落ちる。
するりと避けたロンは楽しげな表情を崩さぬまま、スワンの顔を覗き込んだ。
「ああ、急に動いてはいけません。まだ傷口は塞がっていないのですから。
なにせ、貴方の支給品には回復薬の類が一切入ってませんでしたので。
仕方なくデイバックを解かせていただきました。
まあもっとも、貴方はせっかく私が差し上げた支給品を燃やしてしまっていますから、大した物は入っていませんでしたが」
「あなたなんかに……」

385 :オディール ◆Z5wk4/jklI :2008/08/10(日) 01:58:01 ID:TL6dYG7xO
視線だけで相手を射殺せればいいとばかりに睨みつけるスワンの目を、心地よさげにロンは受け止めた。
「それにしても意外でしたよ。宇宙警察きっての科学者と名高い貴方がまさかあんな行動に走るとは。
やはりこのような場では貴方のような方でも冷静な判断力を失ってしまうものなのですね」
フフと含み笑うと得心がいったとでもいうように、ロンは何度も頷いた。
「っ……それは、貴方が……」
スワンが小さく呻く。それはいつもの彼女を知る者が聞けば驚く程力無い呟きだった。
「ええ、確かに人間香水を支給品に入れたのは私です。
ですが私は一言も申し上げていませんよ。
人間香水を燃やせ、とは」
びくりとスワンの肩が揺れる。
その様子を見たロンは口元を片方吊り上げた。
「ねえ、スワンさん。生きたまま焼かれた七海さんはどんなお気持ちだったんでしょうね。
どんなに息を吸いあげても、炎に酸素を取り込まれて呼吸さえ出来ない。
消えない炎に全身を舐め尽くされ、吸い込んだ熱風に内側から身を焼かれて、息絶えるまでの間、どれほど苦しかったか。どれほど……貴方を恨んだか」
熱病に浮かされたようにスワンはガタガタと震えだす。


386 :オディール ◆Z5wk4/jklI :2008/08/10(日) 02:00:05 ID:TL6dYG7xO
その周囲を薄い金のもやが包みだした事に彼女は気づかない。いや、気づけなかった。
「そんな苦しみを彼女に与えた貴方の罪が、たかだか自分で自分の命を絶つぐらいで許される訳がないじゃないですか」
「……許され、ない」
もはや、鋭い光も焦点も失った目でおうむ返しのように呟く。
「ええ。ですがスワンさん。罪を償う方法がたった一つだけあるんですよ。それは…」
耳元に口を寄せるとそっと囁いた。
「貴方も誰かに殺される事です。
それも貴方の仲間、特に親しい者の手に掛かるのが相応しい」
あてどなく宙をさまよっていた目が動きを止め、じっとロンを見つめ返した。
その表情にロンはいっそう笑みを深くする。
「もし、それも叶わないようでしたら、そうですね。
貴方が優勝者になり、七海さんをはじめとした全ての死者を蘇られせてはいかがでしょう。
彼女の苦しみも、死も、はじめから何も無かった事にしてしまえば。
それなら貴方の罪も帳消しになると思いませんか?」
消え失せていた目に光が再び灯る。鈍く暗い光が。
笑みを湛えるロンを押しのけるように立ち上がると、フラフラと炎の騎馬に歩み寄り、エンジンを掛けた。
ただ一言「……ドゥギー」と呟くとスワンは走り去る。
あれほど身体を苛んでいた筈の痛みは不思議な事に消え失せていた。
ただ胸の奥の痛みだけはいつまでも熱く決して消え去る事は無かった。



387 :オディール ◆Z5wk4/jklI :2008/08/10(日) 02:03:02 ID:TL6dYG7xO

††††††††††††

次第に遠ざかっていく背中を見つめながら、ロンは笑い続けた。
大義を背負う人間程、それを失えば脆いもの。
そして、警察官としての誇りを引き裂かれ、犯した罪に慄く彼女の耳に甘い毒を注ぎ込むのは赤子の手を捻るより簡単だった。
囁いた言葉はいとも容易に心の隙間に滑り込む。
呪煙土により、痛みの感覚と歯止めを奪われた彼女に、それは強固な暗示として刻み込まれた事だろう。
仕掛けを施したさくらが操り人形、滑稽な喜劇役者が理央なら、スワンはさながら思いがけない動きで舞い踊る踊り子だった。
この宴を開いてからずっと彼女はくるくると自滅の舞を踊り続けている。
吐き出した血で胸元を。殺めた者の血で足元を。
どれほど赤く染めようとも、ロンはその舞を止めさせる気は無かった。
フィナーレまで踊り上げ、力尽きた彼女はどんな顔をしているのだろうか。
思い浮かべるだけで楽しくて楽しくてたまらず、笑い声を抑える事が出来なかった。



【名前】白鳥スワン@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:第46話『プロポーズ・パニック』後
[現在地]:B-9森 1日目 早朝
[状態]:全身打撲。背中に大ダメージ。内蔵損傷。応急処置済み。呪煙土により痛みを感じない状態。
[装備]:SPライセンス
[道具]:炎の騎馬
[思考]
基本方針:罪を償いたい
第一方針:ドゥギーに殺して貰う
第二方針:それが叶わない時は、優勝して参加者を蘇られせる。
備考:七海を死なせた動揺と呪煙土により強い暗示をかけられた状態。
なおスワンの基本支給品はB−9のどこかに散らばって置き去りにされています。

388 : ◆Z5wk4/jklI :2008/08/10(日) 02:06:23 ID:TL6dYG7xO
以上です。
誤字脱字、矛盾の指摘、突っ込み、ご感想など宜しくお願いいたします。

389 :名無しより愛をこめて:2008/08/10(日) 10:29:36 ID:sOukl/IL0
ゾンビみたいだなぁスワンさん…GJ!

390 :名無しより愛をこめて:2008/08/10(日) 10:49:36 ID:5mYlWoizO
投下乙です。
スワンさんに突き付けられたのは死よりも辛い現実。
綺麗な文章の流れがスワンさんの心情とそれに追い撃ちをかけるロンを見事に表していました。
GJ!

391 :名無しより愛をこめて:2008/08/10(日) 10:53:53 ID:xfFV8d7k0
投下乙です。
追い詰められた心理描写がうまい。
ロンのいやらしさと正確の悪さもよく出ていました。
GJ!

392 :名無しより愛をこめて:2008/08/10(日) 12:55:24 ID:06Uz+p1s0
投下乙です!
追い詰められたスワンさんがこれからどうなるのか…!
言われるままに堕ちてしまうのか、それとも…何はともあれロンひでぇ!
ラストの白鳥とバレエの結びつけがきれいでした。
GJです!

393 :名無しより愛をこめて:2008/08/10(日) 17:49:13 ID:gZI4Na4c0
GJ!
死亡するやもと思われつつ生きていたスワンさん。
しかし、結果はスワンさんまで暗黒面に落ちることに。
ますます悪化していく局面でスワンさんが次に誰と会うかが木になるところです。

394 : ◆i1BeVxv./w :2008/08/10(日) 18:07:05 ID:gZI4Na4c0
>>378
ご指摘の通り、変幻自在剣・機刃ではなく、自在剣・機刃でした。
サイト更新時に修正いたします。

395 :名無しより愛をこめて:2008/08/11(月) 01:28:08 ID:wgUqKmbZO
まとめ更新乙です!

396 :名無しより愛をこめて:2008/08/11(月) 12:53:38 ID:FitYAISCO
しかしスワンさん。もし七海を解放出来てたとしても、七海は首輪してないから結局どう転んでも七海の死という悲劇からは逃げられなかったのでは。。。七海はバンキュリアみたく不死身じゃないし。

397 :名無しより愛をこめて:2008/08/11(月) 14:03:39 ID:w7VWATYH0
人間香水に気づく→七海復活→しかし、制限で結局死亡→あなたが解放しなければ〜

こっちの場合は首輪がなくなったらやばいということはわかるが、どっちに転んでも状況は最悪だな。

398 :名無しより愛をこめて:2008/08/11(月) 17:46:24 ID:kcznCbZi0
多少の個人差はあるらしいから、しばらくは生きていられたのかも。
それでも遅かれ早かれってとこだろうね。
ホント外道だな、ロン。

399 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 21:06:16 ID:YdAv1eUS0
胡堂小梅、志乃原菜摘、高丘映士、仲代壬琴、ドモン投下します。

400 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 21:08:48 ID:YdAv1eUS0
「ウメコ!お前、何やってんだ?!」
映士は叫んだ。
ウメコは笑っていた。いたずらを見つけられた子供のように、ただ無邪気な笑顔で笑っていた。
そして……


   ▽  ▽  ▽


ウメコを捜し始めてから二時間近く経つ。
映士の後を追って菜摘、壬琴の二人は、アンキロベイルス捜索をひとまず中断し、ウメコ捜索に加わった。
言葉を交わし情報を交わし、共に行動したこの二時間で映士は『口はともかく、悪いヤツ等じゃねぇ』と感じ始めていた。
怪我をした小梅が、そう遠くには行けまい。
その三人の憶測は見事に外れ、一向に小梅は見つからなかった。
時間が立てば立つほど小梅の危険は色濃くなる。
30分ほど前から三人は海岸近くの公園を拠点とし、三方に分かれウメコを捜していた。
市街地方面を捜索した映士は空振りに終わったのを落胆しつつ。
「アイツ等が見つけてくれてりゃ、いいんだが」
そんな微かな期待を抱き、合流地点の公園へ急いだ。

「こっちにはいなかったわ。そっちも、だめだったみたいね」
公園のフェンス越しに菜摘が叫んだ。
一足先に戻っていたのは菜摘一人。壬琴の姿は見えない。
「ったく。一体どこへ行っちまいやがったんだ!」
口にした苛立ちが身体と直結。
条件反射のように、映士は公園の入り口にあったゴミ箱を思いっきり蹴飛ばした。
「ちょっと!気持ちは分かるけど大人気ないわよ」
菜摘に言われるまでもない。
ゴミ箱を蹴っ飛ばしたところで、小梅が見つかるわけでも気持ちが落ち着くわけでもない。
苛立ちが増すだけだった。

401 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 21:09:47 ID:YdAv1eUS0
顔を上げると、ごみ箱の転がった先に険しい顔でこちらを見ている壬琴がいた。
そして映士は、溜まっていた汚水の飛沫が掛かった壬琴の白いスーツを見て『大人気なかった』と改めて思った。

(コイツ等には付き合ってもらった礼ぐらいは言わねぇと、と思ってたのに俺様とした事がやっちまった……。しかもよりによって白かよ)
すまなねぇな。天性の俺様気質の映士には珍しく、謝罪の言葉を素直に口に出しかけた時。
それを遮ったのは、壬琴の辛辣な視線と言葉。
「手がかりもなく走り回ったあげく、苛立ち紛れに八つ当たりか?」
純白のスーツに着いた汚れを払いながら、壬琴は映士に向け遠慮なく冷たい視線を浴びせる。
その視線に謝罪の言葉など、即座に彼方へ吹き飛んだ。
確かに悪いのは自分だ。しかし、映士に壬琴の冷たい視線を受け流す余裕はない。
小梅が見つからない焦りも拍車を掛け、映士の口から出たのは本心と掛け離れた皮肉まじりの謝罪。
「悪かったな、走り回るしか能がなくてよ。他に何か方法あんのか!」
映士はデイバックをかなぐり捨てる。
落ちた拍子に人形が「ビビィ〜」と小さな音を鳴らし、パンは四方に転がり大きく形を変えた。
それに映士は構わず壬琴の前へつかつかと進み寄った。
「笑ってねぇで、答えやがれ!」
壬琴は半ば呆れたように、フンと映士を鼻先で笑っている。
その態度に映士は、さらに皮肉で返した。
「いい方法が思いつかねぇのか?ならこれ使えよ。誰でも大天才になれるぜ」
映士が壬琴に向かって投げつけたのは、葡萄によく似たプレシャス『知恵の実』
アホのアクタ神が食べて天才になった件のプレシャスである。
一緒に投げつけられた支給品詳細に目を通した壬琴の口元が見る見る歪む。
「……おもしれぇじゃねぇか」
「だろ、使えよ」
「だが自分に使おうという知恵はなかった訳か。哀れだな」
「何だと!」
映士は壬琴に掴みかかろうとしたが、菜摘がそれを許さない。
菜摘が映士と壬琴の仲裁に入るのはこれで三度目。
すっかりタイミングを掴んだ菜摘は、既のところで二人を制す。

402 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 21:11:02 ID:YdAv1eUS0
「いーかげんにしなさいよ。壬琴!映士。あなたもよ」
「キロキロ〜!二人ともいい加減にするキロ!」
映士は壬琴の胸倉に伸ばし掛けた手を、大きく後ろへ振り回し、溜息をついた。

「壬琴、手を洗って来たらどう?映士は、散らかした荷物片付けて」
菜摘は壬琴を遊具の向こうにある水飲み場へ追いやり、辺りに散らばったバックの中身を拾い始めた。
この人形なんだろう?とブツブツ言う声を背に、映士は心の中で言い損ねた礼を切り出すタイミングを計っていた。
そして口に出しかけた時。アンキロベイルスの呟きが聞こえた。
「きっともうその辺りにはいないキロ。こっちも早く助けに来て欲しいキロ〜」
「ついでといっちゃあなんだけど、あなたの事もちゃんと捜してるでしょ。でも、どこ行ったんだろうね。もう二時間も捜してるのに……」
菜月の声が少し沈んだ。
これ以上、こいつらに付き合ってもらう訳にはいかねぇ。映士はわざとぶっきらぼうに言い放つ。
「付き合ってくれなんて頼んだ覚えはねえぜ」
「急にどうしたの?」
上手く言えないもどかしさに歯軋りした。
驚いた菜摘に背を向け『付き合わせちまって悪かった』映士は口の動きだけで言ってみた。
声には出せない。いつもそうだ。
そして次に出る一声は決まっている。周囲の人間を撥ね付ける言葉だ。
「もういい。後は俺様一人で捜す。お前らはさっさとアンキロベイルスを捜してやれよ」
映士は無意識に、傷ついた子供のように鼻にくしゃっと皺を寄せた。
「あれ?ちょっと、何拗ねてんの?映士ってほんと素直じゃないね。くくっ、あははっ」
菜摘の声に少しも嘲笑めいたものは感じられなかった。
「ねぇ、良い方へ考えようよ。三人いるんだもの。そうすればきっと良い方法だって思いつくわよ」
笑い飛ばされた事で菜摘の言葉が、気が抜けた心へ素直に沁みた。
「そうだな」
映士は呟き、照れ隠しに空を仰いだ。
白んできた空には雲一つない。
夜明け前の、まだ冷たい空気を胸いっぱいに吸い込むと、やけに清々しい気持になった。

403 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 21:13:46 ID:YdAv1eUS0
「仲代のヤツを呼んでくる」
映士は空から菜摘へ、視線を落とした。
菜摘の代わりにそこに居たのは、悪魔をデフォルメした人形とコロッケパンだった。
  
「菜摘……?」
たった数秒、空を仰いでいた間に菜摘の姿が消えていた。
菜摘の居たはずの場所には人形とコロッケパンがあるだけ。
(目を離したのは一瞬だ。一体何がどうなってやがる)
人形とコロッケパン、小梅と菜摘がぐるぐる頭を駆け巡る。
放心した映士の肩を、戻って来た壬琴が掴んだ。
「おい!菜摘が……」
消えちまった。と発する前に、壬琴の拳が映士の頬を殴りつけた。
手加減なしの痛烈な一撃。映士は切れた唇を手の甲で拭った。
「何しやがる!」
「菜摘に何をした?」
壬琴は震える手で人形を掴み言った。
「俺様じゃねぇ!俺は何もしてねぇ!!」
「信じられるとでも思うか?」
壬琴が大声で怒鳴り、手にした人形を放り投げた。
人形は十数メートル後ろの雑草だらけの地面に転がった。
正直に話したとして、壬琴を納得させられるとは思えなかった。
それほどまでに壬琴は全身で怒りを表にしている。
胸倉を捕まれ引き寄せられた。
争う時間が惜しいのと疑われている悔しさとが胸で入り混じる。
「やめろ!」
映士は壬琴の手を掴み引き離そうとした。
「そのままでいい。聞け」
急に声のトーンを落とし、壬琴が言った。
「俺がお前達から目を離して、呑気に手を洗っていたとでも思っているのか?」
壬琴はそのまま胸を掴んだ力を弱めずに言葉を続ける。

404 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 21:15:03 ID:YdAv1eUS0
「怪しいのはあの人形だ。お前が余程の馬鹿でない限り、わざわざ自分から疑われるような真似はしないはずだ。
俺はアンキロベイルスを捜す。今、菜摘と繋がっているのはヤツだけだからな。
二時間後、俺達はここに戻る。
お前はウメコとやらを捜し、あれがなんなのか突き止めろ」
映士は壬琴の言う『あれ』、悪魔をデフォルメした人形に目をやる。
雑草の隙間から覗く二つの目が、じっとこちらを見ているようだった。
「表情が固いぜ」
壬琴に指摘され、映士は自分の頬を撫でた。
(人形が怪しい?……なら、よく考えたら俺様の殴られ損じゃねぇか)
映士は公園を去る壬琴の背中を睨んだ。


   ▽  ▽  ▽


(ビッッ!)
ビビデビは強く頭を掴まれ、危うく声を出しそうになった。
そして頭からさかさまにバックに詰め込まれた。
映士の自分に対する扱いがぞんざいな気がしたが、それも仕方がないとビビデビは思っていた。
(ビビィ〜!自棄になってるデビ〜。今は我慢してやるデビ〜)
ビビデビは気晴らしに、菜摘を飛ばしてやった後の二人の様子を思い出す。

405 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 21:18:54 ID:YdAv1eUS0
特に傑作だったのはビビデビの横を通り過ぎる際に映士に放った壬琴の捨て台詞。
『菜摘が見つからなければ殺す』
見つからなければだと?
足を負傷した小梅は空へ向けて、菜摘は海へ向けて飛ばしてやった。
運が良ければもう死んでいるかもしれない。
もしそうだったら?
(ビビィィィ〜!ビビビィィ〜!)
しばらくは込み上げる笑いを押える事に専念しなければならないようだ。
まだ、笑うわけにはいかない。
こんな暗闇の中で、笑うわけにはいかない。
ビビデビには見えていた。再びネジレシアで笑う自分の姿が……
それが現実となるまでは、笑うわけにはいかないのだ。


   ▽  ▽  ▽


「ん、冷った〜い。何!」
目の前に広がるのは荒々しい波と岩肌。
岩肌に当たった波しぶきが絶え間なく体に降り掛かってくる。
菜摘がいたのは頭上の岩壁にぽっかりと穴の開いた半洞窟の中。
「洞窟……って、なんでこんな所に!?」
「どうしたキロ?」「……た…ロ」
「とうしたもこうしたも、私だって解んないわよ」
たった今までいた公園とは、まったく違う景色に囲まれていたのだ。
(どういう事?さっきまで映士と喋ってて……)
菜摘は状況を思い返した。
拗ねた映士を慰めようと、わざと視線を合わせずに荷物を片付けていた。

406 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 21:20:27 ID:YdAv1eUS0
怪しいのは、あの時。ウメコの人形を持ち上げ目を合わせた時、フッと意識が遠のいた。
「あの子悪魔みたいな人形が絶対怪しい。きっとウメコって子がいなくなったのもあの人形のせいね!」
そうと解ればこんな所でグズグズしてはいられない。
「早く戻らなくちゃ!」
「オイ!菜摘。何かオカシイキロ。声が二重に聞こえるキロ!」「…こ……るキロ…」
言われてみれば、アンキロベイルスの声が二重に聞こえている。
「声が反響してるんじゃない?洞窟みたいな所だから……」
ふと自分で出した答えに疑問が生じた。
なぜ、アンキロベイルスの声だけ?どうして自分の声は二重に聞こえないのか?
「ちょっと待って」
菜摘はダイノコマンダーを外し、大声で叫んだ。
「アンキロベイルス!聞こえる〜?オッケー!」
「…こえ…るキロ…オ…ケ……ロ」
通信を切っても微かだが確かに声が聞こえる。
アンキロベイルスはここにいる。
菜摘は洞窟内を見渡す。
明るくなりかけた空の光を、透き通った海が反射していた。
その光にぼんやりと照らされた、怪獣のような奇怪な形をした岩の群。
この中の内の一つかしら?
菜摘は再びダイノコマンダーを装着しアンキロベイルスに話しかけた。
「ねぇ、爆竜っていうぐらいだから、相当大きな物を予想してるんだけど、あなた大きさはどれくらいなの?」
「ビルぐらいの大きさだキロ」
「……そんな大きな物が隠れられそうな場所はないわよ」
「金色の首輪をつけられて、今は人間ぐらいの大きさになってるキロ!」
「それならそうと早く言いなさい!」

407 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 21:21:51 ID:YdAv1eUS0
(急がなきゃね)
足元の水位が、僅かだが上がってきている。
潮が満ちる前に、この岩の中からアンキロベイルスを見つけ出さなければならない。
菜摘はダイノコマンダーをアクセルブレスに付け替えた。


   ▽  ▽  ▽


小梅は痛む身体を引きずりながら、海岸を目指していた。
手元に地図もなく、方向が正しいのかさえも解らない。
頼りは、刑事の感と潮の香り。
挫いた足と新たに負った傷を誤魔化しのせいでのおかげで休みながら進しかなく、映士の元へ戻るのに随分時間がかかっていた。
もう少し進んでみよう。あと少し進んでから休もう。
待っていてくれるかもしれないから。
映士に、伝えなければならない。
小梅の支給品、悪魔をデフォルメした人形のことを。
(あの人形、変だよね。映士さん持ってなきゃいいけど……)
散らばった支給品の回収を始め、あの人形を手に取った時、身体が中に浮いたような感覚に囚われた。
はっと我に返ると、何故か小梅の身体は空中に浮き上がっていた。
そして次の瞬間、地面に引き寄せられるように落下し始める。
悲鳴を上げる事も出来ず、息を呑むしかなかった。
だが運よく落ちた先は木々が生い茂る場所。
交差した枝葉がネットのように身体を包み、落下速度が緩まったところで無事着地。
幸運にも負った傷といえば、擦過傷と軽い刺し傷程度。
立ち止まらなければならないほどの深い傷は負わずに済んだ。
傷が深くないとはいえ……。

408 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 21:22:36 ID:YdAv1eUS0
「……もういないかな?映士さん」
痛む足と見覚えのない景色が弱気を誘う。
小梅はか細い声で呟く。
やがて東の空に陽光が登り始める。
不安を掻き消すように暗闇が晴れていく。
心持ち晴れやかになったところで、耳に飛び込んできたのが……
『メガブル〜…… 』
狂喜として叫ぶ男の声。
(子どもを人質に取るなんてサイテー!)
『ヒャハハハハッハッ!』
リフレーンする笑い声が爽やかな空気を掻き乱す。
それに気を取られて、後ろから近づく足音に気付くのが遅れた。
少し先に見える教会の方から、男が近づいて来る。
誰?向こうは気付いたかもしれない。
咄嗟に身を隠そうとしたが……
「きゃっ」
挫いた足に力が入らず小梅は転んだ。
(痛いな〜。今日、何度目だろう。そんな場合じゃないや、見つかる!)
背の高い、小梅とさほど年格好の変わらない若い男。
悲しみ、痛み、虚しさ、負の感情を凝縮した眼。
(この人、殺し合いに乗ってる……)
身体を傾け、男から見えない位置で、ポケットのシグザウエルを右手でしっかり握る。
小梅に気づいた男と、銃を構えた小梅。
視線がかち合う。
くにゃり。瞬く間に男は表情を変え、丸腰だとでもいう風に両手を上げる。

409 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 22:01:49 ID:YdAv1eUS0
(あれ?)
危うく銃を落しかけた。
人なつこい笑顔。先程の眼差しは幻だったのだろうか。
「怪我してんのか?見せてみなよ」
それがドモンの第一声だった。

「ごめんね。ドモンさん。でもあんまり怖い顔で歩いてるから……」
「殺し合いに巻き込まれてんのにさ、へらへら笑いながら歩いてる方が変だ」
そうか、と小梅は一人納得する。
その間、ドモンは緩んでいた小梅の足のテーピングを巻き治す。
グラップラー=格闘家と名乗るだけあってケガの処置も慣れた様子。
穏やかな口調とタイムレンジャーと言う肩書きも手伝って、小梅はドモンを信用してしまった。
雑談、談笑、いつしか乗せられるように変身アイテムの話になり、小梅はSPライセンスを取り出しドモンに見せた。
「へぇ、これが?」
ドモンは小梅の手からSPライセンスを取り上げた。
「ちょっと、ドモンさん」
少しあわてて取り返そうとするとドモンはSPライセンスを小梅の手の届かない位置まで掲げた。
この人、何してるんだろう。
小梅は最初に見たドモンの眼差しを思い出した。
(まさか、ううん、からかってるだけだよね)
「ウメコさん、変身に制限があるのをもちろん知らないよな」
「制限?」
「あぁ、二時間に一度しか戦えない。さっきの話じゃまだ戦ってないみたいだし。だから、これ持ってられると困るんだ」
持ってられると困る。小梅に変身されると困る。
意図を飲み込んだ小梅は、顔から血の気が引くような気がした。
ドモンはそのまま振りかぶってSPライセンスを思いきり遠くへ投げた。

小梅は走った。
教会へ向かって走った。
一歩事に全身を激痛が走る。

410 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 22:02:33 ID:YdAv1eUS0
後をドモンが早足で追ってくる。
ドモンは殺し合いに乗っていたのだ。
(なのに簡単に信用してしまうなんて)
カッと全身が熱くなる。
走りながらどうするべきかを考える。
まずはドモンの拘束、もしくは自分の安全の確保。
SPライセンスは後で回収するしかない。
胸の奥で警告音が鳴っている。
シグザウエルだけでは、変身したドモンに太刀打ち出来ない。
すぐに変身しないのは、制限のせいか?
小梅ぐらいなら、素手で充分だと思われているのかもしれない。
ドモンはグラップラー。接近戦なら障害物のある建物の中なら仕掛けにくい。
建物の中が有利だと思えた。
教会まであと少し。
その先は海へ続く砂浜。
(何だろう?とても嫌な感じがする)
小梅は不自然に放置された黒い物を目にした。
「深雪さん、だよ」
背後からドモンの冷たく静かな声。
「……この人、あなたが殺したの?」
慣れた手つきでシグザウエルの撃鉄を起こす。
ドモンとの距離は10メートルほど。
射撃に自信はないが、当たらない距離ではない。
生身の人間を撃たなければならないかもしれない。緊張が全身を支配した。
「俺を救うために……死んだんだ。一番愛していた男の首輪を爆発させて……」
ドモンの肩が震えていた。
「俺は決めたんだ。深雪さんに家族との幸せな生活をプレゼントするって。そのためなら 」
ドモンは悲しい決意を湛えた目で、小梅に向かって一歩踏み出した。

小梅は思う。
その時ドモンさんの心は壊れてしまったんだ。だから殺し合いに乗ったんだ。と……。

411 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 22:03:12 ID:YdAv1eUS0
私は殺されるわけにも逃げるわけにもいかない。今、ドモンを止めなければ、ドモンはまた誰かを狙う。

それが、もし自分を捜している仲間だったら?
それが、さっき助けてくれた映士だったら?
それが、センだったなら?

(ううん、誰だろうと関係ない。危険とわかっていても、人々を守るためなら飛び込んでいく。それが私たちデカレンジャーの使命)


「だめよ、動かないで、話を聞いて!」
小梅は叫んだ。
私が止めて見せる。仲間のため、そしてドモンのために……
「命がけでドモンさんを救った人の心を踏みにじるなんてひどいよ」
「……深雪さんの心を、踏みにじるだって?」
「そうよ、あなたには生きてほしい!殺し合いなんてしないで、タイムレンジャーで、そのままでいて欲しいかったと思うよ」
とても悲しそうに笑い、ドモンが答えた。
「そうかもしれないな。もし、そうだとしても俺は殺し合いを降りない。さっきも言っただろ?深雪さんの家族の幸せは俺が必ずロンに叶えてもらう」
「だめ!目を背けないで!私たちに殺し合いをさせてるのはロンなんだよ。そんなの聞いちゃダメだよ」
ドモンは首を振った。
「ねぇ、ドモンさん。一緒にロンと戦おう。深雪さんが、愛する人が望むのがそれだったら?」
「深雪さんは死んだ!それは、もう、どうにもならないんだ。俺が勝ち残らなきゃ……。もう、どうにもならないんだよ!」
小梅にだって、ドモンの気持ちは気持ちは痛いほどわかる。
でもどんな理由があろうとも、殺し合いを許す理由には成り得ない。
「どうにもならないなんて、悲しいこと言わないでよ!ドモンさんは、タイムレンジャー、タイムイエローじゃない!」
ドモンの足が止まった。
悲痛な表情と、眼に浮かんだ迷い。小梅は祈るような思いで言葉を紡ぐ。
「もうやめよう。殺し合いなんてやめよう」
「やめろ!!!俺は……俺が、深雪さんを……」
顔つきが険しくなる。ドモンは構えるように足を踏ん張った。
(解ってもらえないの?)
くっと悔しさが小梅の胸に突き上げる。

412 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 22:04:14 ID:YdAv1eUS0
右手が上着の胸元に触れた。
武器を取り出そうとしてる。小梅にはそう見えた。
「やめて!」

パン!

射抜かれたようにドモンが膝を突いた。右脚を押さえた指の隙間から血が滲み出る。
小梅は威嚇のつもりだった。撃った瞬間ドモンが倒れ込んできた。だから当たったのだ。
「傷が、痛んだ隙をついて撃ってくるなんて……」
「え?傷……武器は……」
「一瞬でも、ウメコさんの話を聞こうとした俺が、馬鹿だったのか?」
聞くのが怖かった。嘘をついてるのはドモンだと思いたかった。
でも、ドモンは何も手にしていない。
右脚から流れる血がドモンの両手を赤く染めていく。
「そうか、殺し合いに乗ったのはウメコさんもなのか。なら遠慮はいらねぇよな!」
「待って!違う」
もはやドモンは小梅の言葉など耳にしようとはしない。
激情に駆られ吼えるのみ。
「ちくしょう!何が殺し合いはやめてだよ。何がタイムイエローじゃないだよ!」
全身が竦み上がった。
「そんなつもりじゃ……」
「お前のようなヤツに深雪さんの幸せな未来を潰されてたまるか!」
ドモンは身を翻した。
小梅の目に、ドモンが獣を狩る肉食獣のように見えた。
ドモンの腕が小梅の首に伸びる。
振り切っても、振り切っても、真っ赤な両手が追いかけてくる。

嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!嫌!

413 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 22:05:55 ID:YdAv1eUS0
怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!

ごく近い距離で、シグザウエルを構えた。銃口は心臓を狙っていた。狙って小梅は引き金を引いた。

パンッ!

銃弾はドモンの胸に黒い穴を開け、刹那、花火のように赤い血を撒き散らした。

「殺されそうになったんだから、これはデリートだよね。返り血、嫌…だな。早く綺麗にしなきゃ。綺麗に……」


   ▽  ▽  ▽


ふらつく足取りで小梅は教会の裏手の集会室へ回った。
まだ震える手に、張り付いたように握られたシグザウエルから指を剥がした。
小さな備え付けのキッチンで水道を捻り、丁寧に手を洗った。
血の付いた頬も流した。
水は冷たく手が痺れるようだった。
だが砕けそうな心をもう少しだけ止めておくには、その冷たさが必要だった。

私、自分で殺しておいて綺麗にしなきゃなんて……。何考えてたんだろう。

現職のスペシャル・ポリスが事態を鎮圧することも出来ず、冷静な判断を失い、剰え、まだ罪を犯していない人物を射殺。
それが白日の下にさらされれば、小梅だけでなく共に招致された仲間にまで追及が及ぶだろう。
SPDの築きあげてきた信頼は失墜。仲間達の誇りも未来も汚してしまう。

414 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 22:06:40 ID:YdAv1eUS0
センはどうなるだろう?
(ずっと私を見守ってきてくれたセンさん。誰よりも優しくて、誰よりも温かい……私が犯してしまった罪がセンさんの未来を閉ざす。そんなの、ダメだ)
事実が伝わるのならまだいい。
進んで殺し合いに乗ったのではない、と。
生き延びるために誰かを犠牲にしたのではない、と。
誰が証明してくれるのだろう。
誰が信じてくれるのだろう。
晴れることのない疑惑を……

ならば、ドモンを殺してしまった事を隠して生きていくか。
非常事態だったと、緊急避難だったと言い聞かせて生きていけるか……
無理だ。
自分こそが正義。そんな顔をしてドモンを疑い死なせた。否、殺した。
血を迸らせながら、最後まで愛する人を思い、倒れたドモン。
撃った銃の反動、滑った血の感触、硝煙の臭い、忘れられることはない。
目を閉じるたび甦り、眠れる日は訪れないように思えた。

引き金を引いた時から、恐怖に負けた時から、決まっていたんだ。
もう私には、愛も、勇気も、正義もない。



   ▽  ▽  ▽


「足を伸ばしてみたが、この辺りにもいねぇな」
落胆の溜息をつくのも惜しいように、映士は海岸を走る。
脳裏を過ぎるのは、少し前に聞いた殺し合いを仕掛ける声。

415 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 22:09:51 ID:YdAv1eUS0
(そんなヤツにウメコが殺されちまってたら……。そんなこと考えててもしかたがねぇ。約束まで時間はある。もう少し捜してみるか)
海岸の先に教会の十字架が見えた。
映士は目標地点に海岸沿いに建つ教会を選んだ。



   ▽  ▽  ▽


不思議だったのは、あんなに痛かった足が階段を登り切るまでちっとも痛みを感じなかった。
小梅は教会の脇に高くそびえる鐘楼の頂きに立つ。

「ウメコ!お前何やってんだ?!」

映士の声が響く。
怒っているようで、それでいてとても優しい声だった。
瞳いっぱいに溜まった涙がすぐに映士の姿を隠してくれたので決意は揺らがなかった。
ウメコは朝の空気を吸い込み瞳を閉じる。瞼の裏はオレンジ色に染まった。

「一つ、非道な悪事を恨み。二つ、不思議な事件を追って。
……三つ、未来の科学で捜査。四つ、よからぬ宇宙の悪を。五つ、一気にスピード退治。六つ、無敵が何かいい……
さよなら、デカレンジャー」

小梅は眩しい光の中へ飛び込んだ。
恐怖はなかった。
見えるのは朝日に照らされた木々の緑。
(明るい。明るいよ、センさん。光に包まれて逝けるならいい。なんて都合良すぎるかな……)
最後に見えたのが、綺麗なグリーンで良かったと思う。

416 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 22:12:05 ID:YdAv1eUS0
センの色、鮮やかなグリーン。

「え!違っ……」

映士から死角の木の陰、シグザウエルを構えたドモンの姿が見えた。


   ▽  ▽  ▽


(深雪さん、またあなたに救われた……)
ドモンは木の陰で深雪の壊れたマージフォンを握っている。
小梅が放った二発目の銃弾は、確かにドモンの胸部に命中した。
しかし命中したのは心臓ではなく、内ポケットに入れていたマージフォン。
マージフォンが盾となり、真っ直ぐ心臓へ向かっていた弾道をそらした。
銃弾は左胸の筋肉を深く抉り、血を飛び散らせ身体を離れた。
その強い痛みと着弾時の衝撃で、そのままドモンは気を失った。
左胸の痛みで目を覚ましドモンは、落ちていたシグザウエルを拾い後を追った。
そして小梅を捜しあてた時……
小梅は空中に身体を投げた。
ドモンは小梅から目を逸らし銃を構えなおした。標的変更、撃つのなら追ってきた男だ。
銃口を向けたが焦点が定まらず視界が揺れる。
(クソ!深雪さん、もう少し待っててください)
ドモンは太陽に背を向け歩き出した。足下を伸びる黒く長い影を追うようにして。


   ▼  ▼


「どうして?!?!?!じゃあ私何のために!!!」


417 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 22:12:48 ID:YdAv1eUS0
螺旋を描きながらウメコは落ちていく。
朝露に濡れた地面はもう目の前だった。

ズシャン!!心が砕け散る衝撃と、頭蓋骨が叩きつけられる衝撃が同時にウメコを襲った。

「あ。…嫌……ァが黒……」


   ▼


ウメコが最後に見たのは綺麗なグリーン?
いいえ、赤黒い色です。
ウメコが最後に聞いたのは映士の声?
さぁ、誰が言った言葉だったのか……

「これにて一件、コンプリート」

【胡堂小梅 死亡】

418 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 23:07:03 ID:YdAv1eUS0
【名前】志乃原菜摘@激走戦隊カーレンジャー
[時間軸]:最終回終了後
[現在地]:J-7海岸 1日目 早朝
[状態]:健康
[装備]:アクセルチェンジャー、ダイノコマンダー@爆竜戦隊アバレンジャー
[道具]:キーボーン@特捜戦隊デカレンジャー、ゲキファン@獣拳戦隊ゲキレンジャー、基本支給品一式
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。仲間を集めて状況を打開したい。
第一行動方針:潮が満ちるまでに洞窟内にいるはずのアンキロベイルスを捜す。
第二行動方針:仲代、映士と合流。
第三行動方針:仲間(陣内恭介・シグナルマン)を探す。
備考:ダイノハープがないため、アバレブラックへの変身はできません。また、菜摘が変身できるほどのダイノガッツがあるかは不明です。

【名前】仲代壬琴@爆竜戦隊アバレンジャー
[時間軸]:ファイナルアバレゲーム 死亡後
[現在地]:J-6海岸 1日目 早朝
[状態]:健康。菜摘に振り回され、若干調子が出ない?
[装備]:ダイノマインダー、ゲキファン@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[道具]:基本支給品一式
[思考]
基本方針:コイン占いにより殺し合いには乗らないと決める。ロンを倒し、このゲームを破壊する。
第一行動方針:志乃原菜摘、アンキロベイルスを探す。
第二行動方針:映士と合流、
第三行動方針:人形(ビビデビ)に疑心。



419 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 23:07:35 ID:YdAv1eUS0
【名前】アンキロベイルス@爆竜戦隊アバレンジャー
[時間軸]:第43話『アバレキラーは不滅!?』後
[現在地]:J-7海岸 1日目 早朝
[状態]:健康。
[思考]
第一行動方針:早く助けてもらう

【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-4海岸 1日目 早朝
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:ボウケンチップ、ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー、知恵の実、不明(確認済) 、基本支給品一式(映士、小梅)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:ウメコに何が?
第二行動方針:ビビデビを探る。
第三行動方針:ガイと決着を着ける。
備考:ウメコの支給品はビビデビでした。


420 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 23:13:39 ID:YdAv1eUS0
【名前】ドモン@未来戦隊タイムレンジャー
[時間軸]:Case File20後
[現在地]:J-4海岸 1日目 早朝
[状態]:左胸部に銃創。右足に銃創。全身打撲。魔法薬(気づかず治る傷治し薬)の影響で回復中。30分変身不能。
[装備]:クロノチェンジャー
[道具]:基本支給品一式、拳銃(シグザウエル)、深雪のディパック(中身は?)
[思考]
基本行動方針:優勝して、深雪に幸せな家庭をプレゼントする。
備考:ドモンのデイパックは燃え尽きました。グラップラー時代のプロテクターはロンに回収されました。変身に制限があることに気が付きました。
    拳銃(シグザウエル)はウメコの支給品です。


【名前】ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:聖獣戦隊ギンガマンVSメガレンジャー後
[現在地]:映士のディパックの中
[状態]:健康。2時間の間、能力発揮不可。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンに協力し、ネジレジアの復興。
第一行動方針:チャンスが来るまで人形のフリ。

ウメコのSPライセンスはJ-4海岸のどこかで放置されています。

421 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 23:15:17 ID:YdAv1eUS0
以上です。
放送前の大事な時期に申し訳ありませんでした。
指摘、矛盾、感想等よろしくお願いします。

422 :さよなら、デカレンジャー ◆MGy4jd.pxY :2008/08/11(月) 23:18:38 ID:YdAv1eUS0
以上です。
放送前の大事な時期に申し訳ありませんでした。
指摘、矛盾、感想等よろしくお願いします。

423 :名無しより愛をこめて:2008/08/11(月) 23:48:07 ID:7xTonC4aO
投下GJです。
ウメコ、なんて報われない…
これでこそロワという感じでした。
間に合わなかった映士の心境やいかに。
鬼気迫るドモンが恐ろしくも悲しかったです。
ウメコへの合掌も兼ねて。重ねてGJです!!

424 :名無しより愛をこめて:2008/08/12(火) 13:55:46 ID:XkF5aLv30
投下乙
ウメコもそうですが、ドモンの追い詰められっぷりも描写が凄かったです。
映示を待つのはウメコの死体。
最後にジャッジメントを持ってくる演出もよかった。
GJ!

425 :名無しより愛をこめて:2008/08/13(水) 11:46:54 ID:hc/SCWLH0
投下乙。
戦隊ロワ初の自殺。しかも勘違いというのが悲惨さに拍車をかけました。
GJです。
矛盾点かどうかは微妙なんですが、拡声器を使ったとはいえ、ネジブルーの声って20km?先にも届くものなのでしょうか。


426 : ◆MGy4jd.pxY :2008/08/13(水) 13:05:15 ID:nLozXAYOO
皆様感想ありがとうごさいます。

拡声器……確かに届くのかと言われると現実的にはありえない距離ですよね。
流れに関係ある部分でもないので、修正したほうがよろしいでしょうか?


427 :名無しより愛をこめて:2008/08/13(水) 21:45:45 ID:C8vcQ9My0
遅ればせながらGJ!
菜摘にはアンキロとの出逢いとプラスに働いたビビデビの能力でしたが、ウメコが見事に悲惨な目に。
誤殺のショックによる自殺。結果的にドモンが手を汚さなかったのが唯一の幸いでしたが、果たしてこの状態で戻れるのかどうなのか。
何気に映士と壬琴がいいコンビっぽいのも面白かったです。
各々の人物描写を見事に描ききった作品だと思いました。

>>426
拡声器の範囲の件ですが、今回の放送が届くかどうかはさておき、聞こえた範囲をはっきりさせておいた方がいいかも知れません。
ここで聞こえたのにここで聞こえないのはおかしいという矛盾点が生まれるかも知れませんし。
場所はここか、議論版でどうでしょうか?


428 :名無しより愛をこめて:2008/08/14(木) 04:44:34 ID:xDLyywroO
まとめ更新乙です。
>>427
感想ありがとうごさいます。

ではとりあえず本スレにて。
意見が割れたら移動しますか。

ネジブルーの声が聞こえたのは都市全域ぐらいが妥当でしょうか?
拡声器の効果=使った地域全体(都市ならば都市全体、森なら森。砂漠とオアシスは一つと考える)に聞こえる。


429 :428 ◆MGy4jd.pxY :2008/08/14(木) 09:47:52 ID:qq663jFO0
ageてしまったorz
申し訳ありません。

430 :名無しより愛をこめて:2008/08/14(木) 10:31:28 ID:6rbOfWWCO
>>429
ドンマイですw
自分は地域全域ぐらいが妥当かなと思います。

431 :名無しより愛をこめて:2008/08/14(木) 17:47:16 ID:6rbOfWWCO
と、肝心な事を。
遅くなりましたが、投下乙です。
この状況下でも冷静な壬琴と、明るく振る舞う菜摘、
素直に感謝を言葉に出来ない映士の描写がとても彼ららしいと思いました。
追い詰められたウメコとドモンの鬼気せまる描写も素晴らしかったです。
GJ!!

432 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 09:33:39 ID:9zSmMFR+0
それでは他に意見もないようなので、拡声器の範囲は地域全体ということにしたいと思います。
お手数ですが、MGy4jd.pxYさん、修正をお願いできますでしょうか?

433 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 15:48:39 ID:OIrCG3ar0
そろそろ放送か……

434 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 15:57:59 ID:++Tgpk/+0
めちゃめちゃやられる戦隊モノヒロイン 
http://www.yourfilehost.com/media.php?cat=video&file=08270706_powergirls2.wmv
http://www.yourfilehost.com/media.php?cat=video&file=0003953915.part1.wmv
http://www.yourfilehost.com/media.php?cat=video&file=0003953915.part2.wmv


435 : ◆MGy4jd.pxY :2008/08/16(土) 16:27:25 ID:D8fk+3Y20
>>432
了解しました。修正版を一時投下スレに投下いたします。

>>433
いよいよですね。


436 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 16:33:01 ID:D8fk+3Y20
死者スレ投下の方、キャラ支給品紹介してくれている方、お二人ともGJ!

437 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 16:51:55 ID:90Odm/XT0
>>433
結局誰が書くんだ?
さくらとグレイ関係を動かしたいからそろそろあげて欲しい。

438 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 17:33:15 ID:X7A0rYr4O
>>435
修正版投下乙でした。

439 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 17:45:48 ID:X7A0rYr4O
放送に関しては、放送案のある方に仮投下スレに投下して頂いて、
複数の場合は、投票で決定するというのはいかがでしょうか?

440 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 18:41:43 ID:bnubp8+DO
具体的な話は、現在の予約が投下されてからするのが筋ではないでしょうか?


441 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 18:54:56 ID:X7A0rYr4O
>>440
それは勿論ですね。
現在のご予約が投下されてから、どなたのご予約も入らないようでしたらということで。
期間やルールなど細かな事はそれから決めていければと思います。
失礼しました。

442 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 19:17:13 ID:bnubp8+DO
>>>441
こちらこそ失礼致しました。
書き込みの仕方が悪かったです。
申し訳ありません。
放送案の投票には賛成致します。


443 :名無しより愛をこめて:2008/08/16(土) 19:21:35 ID:X7A0rYr4O
>>442
いえこちらこそ、書き方が悪かったです。
ご指摘ありがとうございました。

444 :名無しより愛をこめて:2008/08/18(月) 10:44:18 ID:BYoA9mNw0
保守

445 :名無しより愛をこめて:2008/08/19(火) 00:04:39 ID:YAJtg14dO
保守

446 : ◆i1BeVxv./w :2008/08/19(火) 00:10:41 ID:lJnQFy6y0
ただいまより投下いたします。

447 :蠢くモノ ◆i1BeVxv./w :2008/08/19(火) 00:12:13 ID:lJnQFy6y0
 砂漠エリアを渡り、採石場エリアを捜索したジルフィーザであったが、結局、ドロップを探し出すことはできなかった。
 空を見れば、日が昇り、黒から青へとその色を変えようとしている。
(一体、どこへいるというのだ、ドロップ)
 平静を装ってはいるが、内心、ジルフィーザは焦りを感じ始めていた。



 ジルフィーザ、ティターン、マーフィーの二人と一匹は都市エリアへと到着する。
 G−7エリア。砂漠、採石場、海岸、3つのエリアに隣接しているそこは、まるで林のようにビルが立ち並んでいた。
 しかし、その建物のどれもが掃除という言葉を知らないのか、汚れで真っ黒に染まっている。
「なんだこれは」
 その中のひとつの建物の前でジルフィーザは思わず足を止めた。
 まるで隕石でも直撃したかのように瓦礫の山と化したビル。
 ボロボロといっても建物の外面を残している他の建物と違い、原形を留めず破壊されている。
「何者かが、ここで戦ったのか」
 ジルフィーザは適当な破片を拾い上げる。その破片は一部が黒く焼け焦げていた。
(焦げ……炎……ドロップか?いや、これは炎の痕というより……)
 ドロップが関わっているか、否か、判断しようとするジルフィーザにティターンの声が掛けられる。
「その……ひょっとして、これにドロップが関わっているのか、疑っているのか?」
「そうだ。ドロップは子供とはいえ、まったくの無力というわけでもない。ドロップは炎を使う。もしやと思ってな」
 それを聞いたティターンは苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべた。
「ジルフィーザ、じ、実は……これをやったのは俺なんだ」
 この場所はメガブルーに襲われたティターンが反撃に雷光を落とした場所。
 思わずやってしまったが、改めてこの有様を見ると、明らかにやり過ぎだ。
「どういうことだ?貴様、殺し合いには乗っていないのではなかったのか」
「乗ってはいない。この時は、このビルの屋上から撃たれたので、つい、反撃してしまった。今は反省している」
「つい……か」

448 :蠢くモノ ◆i1BeVxv./w :2008/08/19(火) 00:13:02 ID:lJnQFy6y0
 言葉でいくら取り繕うとも、攻撃した事実は変わらない。ティターンはジルフィーザが疑惑の眼を向けていると感じ、萎縮した。
 しかし、ジルフィーザはまったく別のことを考えていた。
 ビルの破壊を『つい』というなら、ティターンはどれほどの力を秘めているというのか。
 少なくとも、自分と一戦交えた時は実力の半分、いや、三分の一も出していなかったのではないか。
(伊達に冥府の神を名乗っているわけではないということか)
 ジルフィーザはティターンに興味を持つ。ティターンが一体何者なのかと。
 だが、今は一刻を争う。頭を垂れるティターンを一瞥すると、ジルフィーザは踵を返した。
「もう、ここに用はない。先を急ぐぞ」
「ああ、わかっ……ちょっと待ってくれ、ジルフィーザ!」
「どうした」
 若干、嘆息混じりながら、ジルフィーザはティターンに視線を戻す。何やら慌てているようだが。
「いつの間にかマーフィーがいないんだ。さっきまでは一緒にいたのに」
 確かに言われて見れば、その場からマーフィーは消え去っていた。
 しかし、ジルフィーザには微々たる問題。気にせずに歩みを再開する。
「待ってくれ、ジルフィーザ」
 ティターンが制止の声を上げるが、ジルフィーザは止まらない。
 元々、ティターンが同行することを許しただけで、共に行動すると約束したわけではない。
 ジルフィーザは振り返らず、北へと進んで行った。



 ティターンは離れていくジルフィーザの背中を無念ながらも見送り、いなくなったマーフィーの捜索を始める。
 思えば、マーフィーには出会った頃から何かを探しているかの様子が見て取れた。
 ジルフィーザがドロップを捜索しているかのように、マーフィーにも探している誰かがいるのかも知れない。
 そして、マーフィーはその誰かを探しに行った。
「マーフィー!」
 ティターンは大声でマーフィの名を叫ぶ。マーフィーの俊足なら、もはやこの場にはいないかも知れない。
 しかし、ティターンは駄目元でも叫ばずにはいられなかった。
「バウ!」
 だが、意外にもその声に呼応する声が聞こえる。この声は紛れもなくマーフィーの声。

449 :蠢くモノ ◆i1BeVxv./w :2008/08/19(火) 00:14:07 ID:lJnQFy6y0
 ティターンは声が聞こえた方向へと走り出す。
「マーフィー!」
「バウ!」
 再び、名を呼べば、またもそれに応える声。
(近い。この角を曲がれば……)
 だが、ティターンが角を曲がるより先に、銀色の塊がティターンの胸へと飛び込んでくる。
 勿論、その銀色の塊はマーフィーだ。
「マーフィー、無事だったか。心配したんだぞ」
 ティターンはじゃれつくマーフィーをなだめながら、無事を確認する。
「勝手に離れちゃあ駄目じゃないか。さあ、ジルフィーザを追おう」
 大地へとマーフィーを降ろし、移動を促すティターン。
 だが、マーフィーはティターンが示す方向とは逆方向へと視線を向けた。
「やっぱりお前も誰かを探しているのか?」
「バウ」
 肯定とも取れる鳴き声と共に、マーフィーは歩き出す。
 ティターンはマーフィーの後を追いながら、思考をめぐらせていた。
(探している誰かがいるのなら、マーフィーに協力したい。だが、ジルフィーザの探し人も一刻を争う。俺はどちらを優先すべきか)
「バウ!」
 ティターンの思考を遮り、またも鳴き声を上げるマーフィー。
 見れば、その視線の先にはティターンらに支給されたものと同じディパックが鎮座していた。
「これは……お前、ひょっとして、これを知らせたかったのか?」
「バウ」
 ティターンはディパックを手に取り、状態を確認した。見れば、微かに焦げが見て取れる。
 場所も考慮すれば、自ずとこれが誰のディパックかは見当がつく。
「あの時、俺を撃った人間のものか」
 再び刺激されるティターンの罪悪感。
 ディパックの中身には幾日か分の食料が入っていることは自分のディパックで確認済みだ。
 冥府神である自分は長い期間、栄養補給を行えなくても平気だが、人間はそういうわけにはいかないだろう。
「できれば、あの人間に返したいが」
 ティターンとしては何気ない一言のつもりだった。

450 :蠢くモノ ◆i1BeVxv./w :2008/08/19(火) 00:15:04 ID:lJnQFy6y0
 だが、マーフィーはその言葉に反応し、顔を北西へと向け、吠えた。
「もしかして、お前、あの二人がどこにいるのかわかるのか?」
「バウ!」
 小気味よい返事。
 ジルフィーザも気になる。怪物の姿をした自分からは届けたとしても受け取ってもらえないかも知れない。
 だが、マーフィーの返事がティターンに勇気をくれた。
「よし、案内してくれ」



 とあるビルの一室。瞬とマトイの二人はそれぞれソファーの上に身を横たえていた。
 鋭気を養うための休憩だったが、それは瞬には逆効果だった。
(眠れない)
 仮初めとはいえ、マトイという仲間を得たことで、瞬は落ち着きを取り戻した。
 だが――
 瞬は隣でぐうすかと眠るマトイを見る。
(こんな状況だっていうのに、よく眠れるもんだ)
 レスキュー隊員であるマトイにとって、どんな状況下でも眠れるのは必須スキルなのだが、瞬は知る由もない。
(こいつ、本当に信用していいのか?) 
 冷静になった瞬はマトイに疑惑を持つ。
 レスキュー隊と思わしき服と、自分を助けたことで疑いもなく信用してしまったが、マトイが殺し合いに乗っていないという保障はない。
 確かに助けられはしたが、後々利用するために生かしているのかも知れない。手負いの参加者なら、もし自分の仲間にならなかった場合の処理も簡単に終わる。
 大体、黒装束との経緯も不可解だ。マトイは黒装束に手当てを頼むと言われたと瞬に説明した。
 だが、そんな奴が、生きていたことが奇跡と思えるほどの攻撃を行うだろうか?身を案じるなら、同行するのが筋ではないのか?
(本当はこいつと黒装束はグルなんじゃないか?片方が適当に痛めつけて、片方が甘い言葉で篭絡する。ありえる手だ)
 時間は瞬にマトイに対する疑心暗鬼を育てていく。
 瞬はデジタイザーを見た。考えてみれば、やたらむやみに変身するなというのも下手に反抗されるのを恐れているからかも知れない。
 首輪のせいとは言っていたが、自分で直接確認したわけでもない。
(やっぱりこいつはここで……)

451 :蠢くモノ ◆i1BeVxv./w :2008/08/19(火) 00:15:51 ID:lJnQFy6y0
 瞬は決意し、デジタイザーのキーに手を添えた。

――ガチャ!

 押そうと瞬間、耳に届く、不審な物音。
「誰だ!」
 思わず、瞬は大声を上げ、音のした方向を見た。その声にマトイも身を起こした。
「どうした」
「今、誰かいたんだ。窓の方から物音が聞こえて」
 一瞬だが、瞬は窓に映る人影を見ていた。身の丈2mはある大男の影を。
「ホントか。……よし」
 マトイは瞬が示した先へと、レスキューロープを手に、慎重に近づいていく。
「瞬、もしもの時は俺を置いて逃げろ。いいな」
(言われなくても、そうするさ)
 本音は口には出さず、瞬は頷くことで返答する。
 マトイはそれを確認して、ゆっくりと窓を開け、外の様子を確認した。
「……おい、ちょっと来て見ろ」
「何ですか、何があったんですか」
「いいから来い!」
 罠かと警戒しながらも、渋々マトイに従い、移動する瞬。
「これを見ろ」
 マトイは窓の外にあったものを手に取り、瞬に押し付ける。
「見覚えはあるか?」
 已む得ず手に取り、恐る恐る中身を確認すると、以前確認したものとまったく同じものが入っていた。
「……たぶん、俺のディパックです」
「なら、あいつが見つけて返しに来たのかも知れねぇなぁ」
「あいつって、黒装束の奴ですか」
「ああ。おっと、こうしちゃいられねぇ。おい!まだ近くにいるんだろ!出て来いよ!!」
 エリア全体に届きそうなほどの大声を上げるマトイ。
「ちょっと、大声を上げるなんて、何考えてるんですか!」

452 :蠢くモノ ◆i1BeVxv./w :2008/08/19(火) 00:16:46 ID:lJnQFy6y0
「瞬が聞こえた物音があいつなら、まだ遠くには行ってないはずだろ。もしかしたら、ちゃんと受け取るか、様子を見てるかも知れねぇしな。合流するなら絶好のチャンスってやつだ」
 瞬に意図を伝えると、再び大声を上げるマトイ。
(ふざけるなよ。あいつが友好的な奴とも知れないし、他の奴に気づかれるかも知れない)
 マトイの警戒心のなさに危機感を覚える瞬。その時、マトイを超える大声がエリア全体に響き渡った。
「メガブルウゥゥゥゥッ〜!どこにいるんだ?早く出て来いよ〜」
「な、なんだこれ……」
 瞬は呆気にとられていた。内容は理解できる。
 どっかのイカレタ殺戮者が人質をとって、自分の最も殺したい相手を誘き寄せようとしている。
 それは瞬にとって、別にどうでもいい。見知らぬ誰かが、人質を捕られようが、殺されようが、それはテレビで見るニュースと同じでどうでもいいこと。
 問題は殺戮者が呼び出しているのが自分ということ。
「おい、瞬!このメガブルーって、お前のことだよな!!」
「………」
「おい、瞬!」
「知らない……俺は知らない!」
 瞬は部屋のドアを開けると、一目散にその場から逃げ出した。
 マトイが制止の声を上げるが、関係ない。とにかく誰の声も聞こえないところまで、逃げ出したかった。
 傷の痛みも気にせずに瞬は走って走って走った。
 やがて、身体が限界を向かえた頃、瞬は足をもつれさせて転んだ。
「っわ!」
 頭から大地へと突っ込む瞬。幸いにして、転んだ場所は砂地だったため、身体へのダメージは少ない。
 だが、例え転んだ場所がコンクリートの上だったとしても、今の瞬には関係なかっただろう。
「わけがわからねぇよ。俺がメガブルーになって、まだ数週間しか経っていない。戦ったのだって、たったの二回じゃないか。
 なんで、なんで俺だけこんな目に合うんだよ。メガレンジャーは他にもいる。なんで、俺なんだよ」
 瞬は声に出して、自分の身に起きた不条理を嘆き、呪い、そして、俯きながら涙を流した。



 部屋にひとり残されたマトイは、自分の対応を後悔していた。
「戦士としての心構えを説くより、要救助者として守ってやった方が良かったかも知れねぇな」

453 :蠢くモノ ◆i1BeVxv./w :2008/08/19(火) 00:17:43 ID:lJnQFy6y0
 メガブルーという戦士に変身できることから、この場から脱出するための仲間としてマトイは瞬を見てしまった。
 しかし、瞬との話の内容を顧みれば、瞬はメガブルーを辞めたがっていた。戦いも数える程度しかしていない。
 そんな奴に、こんな切迫した状況で、いきなり戦えというのは酷な話だ。
「危険な場所に飛び込むんだ。誰だって、最初の頃は怖ぇし、信念とか、守りたいものがはっきりしてない時は勇気だって出せねぇからな」
 マトイは自分の失敗をひとりごちつつも、これからの行動に思いを馳せていた。
 瞬を追いたいのは山々だが、メガブルーを呼び出す声もマトイの興味を引いた。人質として名前を連ねたドロップの名前。しかも聞き間違いじゃなければ、子供と言っていた。
 名簿を確認した時から気になっていたことだが、ドロップは成長してサラマンデスと名乗っていたはずだ。
 それなのになぜドロップとなっているのか。それにそもそもサラマンデスは死んだはず。
「同姓同名の別人って線もありえるかもな」
 マトイは自分のディパックを担ぐ頃には、声のした方へと向かうことを決めていた。
 もし、人質に捕られたのが自分の知っているドロップなら罠という可能性も充分ある。
 だが、もし1%でも要救助者がいる可能性があるのなら、向かうべきだ。
 それに、メガブルーはいつまで待っても現れることはない。ならば、それを知る自分がメガブルーの代わりに向かうべきだ。
 そして、声の主を倒し、瞬にもう安心だと伝えてやれば、瞬も安心して戻ってくるはずだ。
「待ってろよ、瞬」
 瞬が戻ってきたときのために、簡単なメモを記し、マトイは外へと出た。
 そんなマトイにふと影が差す。マトイが振り向くとそこには銀色の犬を引き連れた黒装束の男が立っていた。
「お前は……まあ、いいや。今は一刻を争う。進みながら話すぞ」
 黒装束の男は肯くと、マトイと共に走り出した。



「待っていろ、ドロップ」
 ティターンと別れた後、当てもなく彷徨っていたジルフィーザにもメガブルーを呼ぶ殺戮者の声は届いていた。
 最初は血に飢えた殺戮者の戯言と気にも留めなかったが、ドロップの名前が聞こえた途端、彼の瞳は怒りに染まった。

454 :蠢くモノ ◆i1BeVxv./w :2008/08/19(火) 00:18:49 ID:lJnQFy6y0
 本来なら翼を広げ、一刻も早く駆けつけたかったが、小癪な能力制限がある。
 抑えられていた力が身体の中に戻っているのはわかるが、今その力を発揮することは本末転倒だ。
 血が滲みそうなほど歯を食い縛り、ジルフィーザは愛する弟のために走った。


 
 太陽が昇る。
 冷たい夜は終わりを告げ、温かい朝が来る。
 だが、降り注ぐ太陽の光はある参加者にとって、導火線へ火を点ける行為であった。
 ディパックの奥底でそれは蠢き始める。
 密閉されたカプセルの中、それは凍らせられながらも恐るべき生命力を見せていた。
 それはロンが戯れに入れた支給品。一度暴れだせば、何者の命令も聞かず、ただ殺戮のみを行う存在。
 裏次元よりもたらされし虫がゆっくりと目覚めようとしていた。


【名前】冥王ジルフィーザ@救急戦隊ゴーゴーファイブ
[時間軸]:第1話前
[現在地]:F-7都市 1日目 早朝
[状態]:健康。怒り心頭。
[装備]:杖
[道具]:支給品一式(個別支給品は確認済)
[思考]
基本行動方針:ドロップを探し、ロンを殺す。
第一行動方針:ドロップの救出と、人質に捕った相手の殺害。
備考:首輪の制限があることに気が付きました。


455 :蠢くモノ ◇i1BeVxv./w:代理:2008/08/19(火) 00:25:00 ID:sQtFlk5f0
【名前】巽マトイ@救急戦隊ゴーゴーファイブ
[時間軸]:未来戦隊タイムレンジャーvsゴーゴーファイブ後
[現在地]:G-7都市 1日目 早朝
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーブレス、レスキューロープ
[道具]:支給品一式(個別支給品は確認済)
[思考]
基本行動方針:みんなを救う、気合いで乗り切る
第一行動方針:メガブルーの代わりに人質を助ける。
第二行動方針:仲間を見付けてロンを倒す
備考:変身制限があることに気が付きました。

【名前】冥府神ティターン@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage46(ン・マの依り代にされた)後
[現在地]:G-7都市 1日目 早朝
[状態]:健康
[装備]:ウラノスとガイアの怒り、黒装束(虹の反物@轟轟戦隊ボウケンジャー)
[道具]:マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:命を守る
第一行動方針:マトイと行動する。
第二行動方針:ジルフィーザと合流する。
第三行動方針:スフィンクスを捜す。
備考:ティターンは虹の反物の特別な能力に気付いていません。首輪の制限があることに気が付きました。

456 :蠢くモノ ◇i1BeVxv./w:代理:2008/08/19(火) 00:26:08 ID:sQtFlk5f0
【名前】マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:不明
[現在地]:G-7都市 1日目 早朝
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:???
第一行動方針:ティターンと行動する。
第二行動方針:知り合いを探す。

【名前】並樹瞬@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第2話後
[現在地]:G-8砂漠 1日目 早朝
[状態]:全身打撲、応急処置済。どうしようもない恐怖。
[装備]:デジタイザー
[道具]:支給品一式(個別支給品は確認済)
[思考]
基本行動方針:元の世界に戻って、夢を叶える
備考:瞬はマトイから、×ドロップ、△冥王ジルフィーザ、○浅見竜也、○シオン、○ドモンの情報を得ました。
 変身制限があることを知りました。

備考:冥王ジルフィーザ、巽マトイ、並樹瞬のいずれかの支給品にバイオ次元虫入りカプセルが含まれています。

457 :蠢くモノ ◇i1BeVxv./w:代理:2008/08/19(火) 00:26:53 ID:sQtFlk5f0
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、感想などがあれば、ご指摘宜しくお願いします。



458 :名無しより愛をこめて:2008/08/19(火) 05:39:04 ID:YAJtg14dO
保守したあと寝てしまったorz

GJ!
マトイの思い、瞬の恐怖、ティターンの優しさ、ジルフィーザの怒り……
そして誰かのバックの中でひっそりとうごめく次元虫。
それぞれの丁寧な心理描写と展開の練り上げ、おかしな言い方かもしれませんが「手に汗握る繋ぎ」でした。
もう一度GJ!


459 :名無しより愛をこめて:2008/08/19(火) 17:02:57 ID:Kdb40E5T0
投下&代理投下GJです!
疑心暗鬼と恐怖に駆られる瞬の姿が哀れでした。
ジルフィーザは果たしてドロップを救う事ができるのか・・・
レスキューとしてのマトイ兄さんの想いが熱かったです。
最後の次元虫には得体の知れない恐ろしさを感じました。
相変わらず描写が秀逸で、思わずハラハラしました。
重ねてGJです!

460 :名無しより愛をこめて:2008/08/19(火) 17:14:40 ID:ekDXHqw10 ?2BP(1)
投下及び代理投下乙!

各人動き出し、放送後の動きが期待持てます。
ティターンとマーフィに期待ですが、ネジブルーの拡声器が物語のキーとなって興味深いです。
次元虫……誰につくのか、どちらにしろ波乱が……

GJ!

461 : ◆i1BeVxv./w :2008/08/20(水) 22:44:45 ID:GPP7HuUn0
ただいまより投下いたします。

462 :贖罪 ◆i1BeVxv./w :2008/08/20(水) 22:45:32 ID:GPP7HuUn0
「これは」
 理央は森の中、首と胴が分かれた死体と対峙していた。
 トイレに行ったナイとメアの帰りがあまりに遅く、探しに出た結果、見つけたものだ。
「鋭利な刃物で落とされたか」
 切り口を見れば、どのような方法で殺されたかは一目瞭然。
 だが、ただ刃物を使っただけではこうも見事には切れない。
 それなりの腕を持ったものが迷いを持たず、鋭利な刃物を振り下ろした。
 その切り口は殺し合いに乗った者が確実に潜んでいることを示していた。
「ブドーの仕業か?いや、奴は心も刀も折れていた。それに、いかに奴の腕が立つとはいえ、ゲキセイバーを瞬時に扱えるとは思えん」
 実際、手を下したのはブドーなのだが、理央はそのことには気づかない。
 ブドーの支給品も、その後の顛末も知らぬ理央がそう結論付けるのは無理からぬことだが。
「それにしてもこの姿……」
 理央は死体にまったく見覚えがなかった。
 ロンから送り出された参加者全員を事細かに覚えているわけではない。だが、こんな参加者はいなかったことは断言できる。
 しかし、どことなく雰囲気が似ている参加者は知っている。
「ナイとメア、どちらかの正体といったところか。だとすれば、もう一方は襲われ、逃げたか」
 用心深く周りを観察する理央。やがて、理央は東の方角へと歩み始めた。
 その方角の木に擦ったような切り傷がいくつか見て取れたからだ。殺戮者か、ナイとメアが移動する時に擦ったものだろう。
「すまない、メレ。お前と合流するのはもう少し先になる」
 理央はナイとメアを助け、殺戮者を倒すため、森の奥へと進んで行った。



 漆黒の暗闇の中、ふと眩しい光が灯る。その光の中には、いつも明るく元気な女の子の姿があった。
「一つ、非道な悪事を恨み。二つ、不思議な事件を追って。
 ……三つ、未来の科学で捜査。四つ、よからぬ宇宙の悪を。五つ、一気にスピード退治。六つ、無敵が何かいい……」
 女の子はお馴染みの口上を述べる。だが、その口調はいつもの彼女とは違い、どことなく覇気がない。
 そのことを疑問に思っていると、彼女はどことなく湿った声で呟いた。
「さよなら、デカレンジャー」
 その言葉と同時に、溶ける様に光へと女の子は消えていく。


463 :贖罪 ◆i1BeVxv./w :2008/08/20(水) 22:46:38 ID:GPP7HuUn0
「ウメコー!」
 センは思わず、大声を張り上げていた。



「はっ!」
 センが眼を開けると、そこには光に照らされた木々たち。
 意識が急速に覚醒する。思い出されるブクラテスとの邂逅、サンヨとの戦い。
 センは自分が夢を見ていたことを自覚した。
「夢か……それにしてもなんて夢だ」
 自分の仲間であるウメコがデカレンジャーに別れを告げる夢。
 いつもなら笑い飛ばせなくもないが、今、この場で見る夢としてはこれ以上ない悪夢だ。
 センは上体を起こし、首を振って、嫌な考えを振り払う。
 そこでふと、自分の身体に施された処置に気づいた。
 打撲は水を含ませた布が当てられ、左肘の骨折は副え木で固定されている。
「気がついた?」
 聞き覚えのある女性の声に、センは視線を向けた。
 そこにはセンの思った通りの姿があった。
「スワンさん。無事……というわけじゃないみたいですね」
 一瞬、安堵の表情を見せたセンの顔がたちまち曇る。
 スワンのトレードマークと言うべき白衣は真っ黒に染まり、身体のいたるところに応急処置の後が見られた。
 この数時間、自分と会うまで、スワンがどれほど苦難の道を歩んだか、想像に難しくない。
「でも、スワンさんと会えてよかったです」
 自分の正直な気持ちを語るセン。まだまだ油断は出来ないが、これからは自分が守ればいい。
「私もセンちゃんに会えてよかった」
 だが、スワンの表情はどことなく沈んでいた。セン以外の誰かなら、傷を負った痛みのせいと思ったかも知れない。
 しかし、センはスワンの瞳から光さえ消えていることを見抜く。まるで死人のような眼だ。
(何かおかしい)
「……ねぇ、センちゃん。私を殺してくれないかしら」
「なっ!なにを言ってるんですかスワンさん!!」

464 :贖罪 ◆i1BeVxv./w :2008/08/20(水) 22:47:39 ID:GPP7HuUn0
「大丈夫よ。私にはきっとデリート許可が出るわ。だって私、人を殺してしまったんですもの」
 スワンは今までの経緯をセンにポツリポツリと語り始めた。
 人間香水を支給されたこと。それをロンへの反撃の狼煙として燃やしたこと。
 理央に殺人者と罵られ、殺されかけたこと。その後、シュリケンジャーと出会い、人間香水の意味を教えられたこと。
 耳を塞ぎたくなる事実にセンは苦悶の表情を浮かべた。
 だが、センは冷静さを失わなかった。
 事情はわかった。センは言葉を慎重に選び、スワンの説得を試みる。
「スワンさん。亡くなられた方には残酷かも知れませんが、あなたのせいじゃない。
 過失致死には問われるかも知れませんが、デリート許可は下りないでしょう」
「でも、殺してしまったことには変わりないでしょ」
「……っぅ…………そうですけど……裁かれる時は今じゃない。ここから脱出した後です」
「………」
「とにかく、俺はスワンさんを殺すつもりはありませんし、誰かに殺させるつもりもありません。だから、スワンさん、死んじゃ駄目です」
「そう。……じゃあ、仕方ないわね」
 うな垂れるスワンを見て、センはとりあえず死ぬことは諦めてくれたと思い、胸を撫で下ろす。
 しかし、スワンはボソリと呟いた。
「エマージェンシー」
 デカメタルに包まれ、一瞬の内にデカスワンへと変身したスワンはセンを突き飛ばした。
 そして、大地に転がっていた剣、デュエルボンドソードを手に取ると、それをセンに向けた。
「何をするんですか、スワンさん!」
「仕方ないの。私を殺してくれないなら、私は優勝するしかないの」
 センが疑問に思っている暇もなく、振り下ろされる剣。センは地面に転がり、紙一重でそれを避ける。
(スワンさんは本気だ。本気で俺を殺そうとしている)
 殺気は感じなかったが、迷いもなく振り下ろされた剣に、スワンが本気であることを悟るセン。
 考えている間にもデカスワンはセンへと次々と斬撃を放って来る。
 センはそれをなんとかそれを避け続けるが、満身創痍の状態で、変身している相手に対応するのは不可能に近い。
 已む得ず、センは自らのSPライセンスを握り締めた。
「エマージェンシー!デカレンジャー!!」

465 :贖罪 ◆i1BeVxv./w :2008/08/20(水) 22:48:52 ID:GPP7HuUn0
 センのコールを受け、転送されたデカメタルがセンの身体に装着し、センをデカグリーンへと変える。
 デカグリーンは左腰に装備されたディーロッドを手に取り、デュエルボンドソードを受け止めた。
 盛大に飛び散る火花。デカグリーンは力を込め、デュエルボンドソードを跳ね除けると、そのまま後方転回し、デカスワンと距離をとった。
「スワンさん、やめてください!」
 デカグリーンの制止の声に、前へ出ようとしていたデカスワンの動きが止まる。
「デカグリーンになったのね、センちゃん。いいわよ、やめてあげるわ」
 デカスワンはデュエルボンドソードから手を放す。カランと音を経て、地面へと転がるデュエルボンドソード。
 だが、デカグリーンが安堵したのも束の間、デカスワンはまるで白鳥が羽根を広げるように手を広げると、デカグリーンに言い放った。
「さあ、センちゃん、私を殺しなさい」
 そのまま、ゆっくりとデカスワンは前へと進む。
 隙だらけのその様は、ハッタリでもなんでもなく、スワンが死を求めていることを明確に語っている。
 確かに前へと進み、ディーロッドをその胸に突き立てれば、殺すことは容易だろう。 
 だが、デカグリーンにそんなことが出来ようはずもない。
 前へ進むデカスワンとは対照的に、デカグリーンは威圧されたかのように後ろへと下がる。
 だが、やがてデカグリーンは屹立する木に邪魔され、後ろに下がれなくなった。
 二人の距離が間近に迫った時、デカスワンはディーロッドを手に取り、自分の心臓へと導く。
「センちゃん、さあ」
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
 荒くなるデカグリーンの呼吸。
 子供の頃、古井戸に落ち、暗闇に閉じ込められた時もここまでの恐怖を感じたことはなかった。
 だが、恐怖に溺れている暇はない。デカグリーンは勇気を振り絞り、右手を引く。
「そう、できないのね」
「ハァ、ハァ、ハァ、できません。スワンさんもわかるはずです。俺たちに人を殺すことは――」
 デカグリーンの言葉は、頭部を襲ったデカスワンの蹴りによって遮られた。脳を揺らされ、大地へと倒れこむデカグリーン。
「もういいわ。ドゥギーならきっと私を殺してくれる。センちゃんを殺せば、私は立派な犯罪者ですもの。デリートの対象にだってなるわよね」

466 :贖罪 ◆i1BeVxv./w :2008/08/20(水) 22:49:42 ID:GPP7HuUn0
 罪を償うために人を殺す。矛盾した台詞を吐きながら、デカスワンは再び、デュエルボンドソードに手を伸ばした。
「きゃっ!」
 手元から火花が飛び散り、デカスワンはデュエルボンドソードを取り落とす。
 何者かがデカスワンを攻撃したのだ。
「誰!?」
 デカグリーンではない。光弾はまったく別の方向から飛んできた。
「しぶとい奴だ。まさか生きていたとはな」
「あなたは!」
「今度こそ……止めを刺してやる」
 デカスワンの傷が疼く。太陽の光を背にして佇むのは、自分の身体にいくつもの傷を刻み込んだ男――理央。
 デカスワンは本能的に後ずさった。以前、戦った時にはまったく歯が立たなかったのだ、当然だろう。
「いくぞ」
 理央は手に持った武器、自在剣・機刃をキバショットからキバクローへと変え、デカスワンに迫る。
「っ!」
 デカスワンは理央の頭部へと向けて、ハイキックを放った。
 怯えているというのに、その蹴りは鋭く、理央でさえ昏倒させるほどの威力が込められていた。
 無論、当たればだが。
「ぐ……っぁ」
 変身している者と変身していない者には歴然とした能力の差がある。
 だが、理央の獣拳使いとしての経験はその差を埋めて有り余るものだった。
 理央はデカスワンの蹴りを身体を捻ることで避け、そのままその回転を利用し、キバクローの一撃を腹にめり込ませた。
 スーツに隠されて外観からはわからないが、デカスワンの口からは赤黒い血が吐かれる。
「ふっ」
 理央が手を離すと、デカスワンの身体は崩れ落ち、大地へと突っ伏した。
 理央はその姿を見遣り、機刃を再び、キバショットに変形させ、彼女の首輪に狙いを定める。
「同じ愚は犯さん」
「させるか!」
 理央が撃つより早く、意識を取り戻したデカグリーンが、彼を後ろから羽交い絞めにし、動きを封じた。
 先程まで、デカスワンに殺されかけていたというのに邪魔をするとは、理央にとっては予想外の行動。
 力を込めるが、流石に変身中のデカグリーンを振りほどくほどの力は、今の理央にはない。

467 :贖罪 ◆i1BeVxv./w :2008/08/20(水) 22:51:07 ID:GPP7HuUn0
「なぜ邪魔をする?あいつはロンのスパイ。助ける価値はない」
「違う!スワンさんは俺たちの仲間だ。確かにスワンさんは人を殺してしまった。それが誰かにとって、大事な人だったかも知れない。
 だけど、それはスワンさんの意思じゃない。真に裁かれるべきはスワンさんをそんな状況に陥れた人物……ロンだ!」
 振りほどこうとしていた理央の動きが止まる。
「スワンはロンに利用されていたということか」
「そうだ。スワンさんの支給品は人間香水と亡国の炎。スワンさんはこれを使うことをよしとせず、その場で破壊した。
 だけど、人間香水はその名の通り人間で作られた香水で、作られてから24時間以内なら復活は可能だったんだ。
 スワンさんはそれに気づかず、人間香水にされた人を結果的に殺してしまった」
「………」
「あなた、理央さんですよね。あなたと会ったとき、スワンさんはまだそのことに気づいていなかった。
 でも、あなたに襲われた後、スワンさんは確認に行き、そのことに気づいた。そして、後悔し、錯乱してしまった」
 理央はデカスワンを見た。先程までの厳しいものではなく、憐れみをもった視線で。
(こいつも俺と同じ……か)
 理央は自分の方が罪は深いことは承知している。だが、理央はスワンに親近感を持ち始めていた。
「……離せ。もうスワンに危害は加えない」
 デカグリーンは理央の言葉に安心し、力を緩めようとした。
「離さないで!」
 怒号が響き渡る。
 ぬるりと、まるでゾンビのように立ち上がるデカスワン。
 いつの間に拾ったのか、三度、その手にはデュエルボンドソードが握られていた。
「うん。あなたがいいわ。私を虐めたあなたなら、罪悪感なんてなさそうだもん」
 デュエルボンドソードを脇に構え、理央目掛け、身体ごと突っ込んでいくデカスワン。
 理央はデカグリーンに拘束され、動けなかった。デカグリーンも反応が遅れ、動けなかった。
 その場で動けたのはデカスワンひとり。


468 :贖罪 ◆i1BeVxv./w :2008/08/20(水) 22:51:59 ID:GPP7HuUn0
 だが、その時、不思議なことが起こった。
 唐突に無数の赤く丸い光を放ち出すデカスワンの身体。
 いや、いつの間にかその変身は解け、白鳥スワンの姿へと戻っていた。
 そして、剣が理央の身体に届こうとした頃、スワンの身体はまるで溶けるように――虚空へと消え去った。
 それは一瞬の出来事。理央もセンも何が起こったのかわからない。
 ただ、ひとつの事実として、白鳥スワンはこのバトルロワイヤルから脱落した。



「ふむ、やはりライフルは勝手が違うな。当たるには当たったが狙った箇所からは程遠い」
 理央たちから離れること数m。そこに剣将ブドーの姿はあった。忍び足で少しずつ、理央たちとの距離を離している。
 バンキュリアを殺した後、ブドーはライフルの鍛錬を行っていた。
 手裏剣や弓矢なら心得があるが、ライフルを扱うのは初めて。使い方は理解したが、果たしてどれほどの精度で撃てるものか。
 試し撃ちできるものはないかとスコープを覗いて辺りを見回していた時、思わぬものが視界に入ってきた。
「これはなんたる僥倖」
 その時、スコープに見えたのは宿敵と見定めたセンの姿。しかも、しばらく様子を窺っていれば、理央も姿を現した。
 ブドーはどちらかを仕留める絶好のチャンスと消滅の緋色をライフルに込める。
 これならば、未熟な腕でも当てさえすれば、確実に相手を仕留めることが可能。
「弾は一発。さて、どちらを狙ったものか」
 二兎を追うものは一兎をも得ない。制限もある。
 ここは確実に一人を仕留め、その後、深追いせずに撤退するのが賢い考えであろう。
 ブドーはスコープを覗き、チャンスを待った。
 すると、理央がセンに羽交い絞めにされ、動きを封じられた。しかも、ブドーの位置からは丁度正面。
 ブドーは引き金に指を掛ける。
 しかし、そこで邪魔が入る。女が理央とセンに向けて、剣を握った。このままでは理央もセンも女の犠牲になるのは明らかだった。
 そして、ブドーは引き金を引いた。
「未練よな。この歳にもなれば、性格はそう簡単には変えられぬか」
 信念など不要。手段など選ばぬ。
 そう誓ったばかりだというのに、自分以外の手で理央とセンが死ぬのが我慢ならなかった。


469 :贖罪 ◆i1BeVxv./w :2008/08/20(水) 22:53:05 ID:GPP7HuUn0
「まあよかろう。優勝に近づいたのは確かなこと。理央とセンの居場所も知れた。今は制限が終わるまで、ゆるりと待つとしよう」
 理央とセンから充分離れたと判断すると、ブドーはその場に腰を据える。
 そして、腹ごしらえと、支給されたライスバーガーを食べ始めた。
「うむ。中々である」
 残された理央やセンの気も知らず、ブドーは舌鼓を打った。

【白鳥スワン 消滅】
残り34名


【名前】江成仙一@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:Episode.12後
[現在地]:C-8森 1日目 早朝
[状態]:左肘複雑骨折、全身打撲(応急処置済)。デカグリーンに変身中。
[装備]:SPライセンス
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:仲間たちと合流して脱出。
第一行動方針:スワンさんはどうなった?
備考
・制限が2時間であることを知っています。
・スワンの装備は消滅の緋色により消滅しました。基本支給品はB−9のどこかに散らばって置き去りにされています。
 炎の騎馬はセンと理央が確認できる距離に置かれています。


470 :贖罪 ◆i1BeVxv./w :2008/08/20(水) 22:54:00 ID:GPP7HuUn0
【名前】理央@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:修行その47 幻気を解き放った瞬間
[現在地]:C-8森 1日目 早朝
[状態]:健康。肩から脇の下にかけて浅い切り傷。ロンへの怒り。1時間強変身不能。
[装備]:自在剣・機刃
[道具]:支給品一式。
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。乗った相手には容赦しない。
第一行動方針:スワンはどうなった?
第二行動方針:ナイとメアを探す(どちらかは死んだと思っています)。
第三行動方針:メレと合流する。
※大体の制限時間に気付きました。

【名前】剣将ブドー@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第24章(ギンガマンに敗れた)後
[現在地]:C-8森 1日目 早朝
[状態]:胸と腹に中程度のダメージ。肩に銃弾による傷。能力発揮済。1時間強戦闘不能。
[装備]:ゲキセイバー@獣拳戦隊ゲキレンジャー、一つ目のライフル銃@魔法戦隊マジレンジャー、手裏剣少々@星獣戦隊ギンガマン
[道具]:筆と短冊。サイコマッシュ@特捜戦隊デカレンジャー。予備弾装(銃弾7発、催涙弾5発)。支給品一式(ブドー&バンキュリア)。真墨の首輪。
[思考]
基本方針:戦い、勝利する。
第一行動方針:休憩しつつ、理央とセンの様子を窺う。
第二行動方針:リオを倒せるほどに強くなる。
第三行動方針:優勝を目指す。
※首輪の制限に気が付きました。


471 :贖罪 ◇i1BeVxv./w代理:2008/08/20(水) 23:31:15 ID:mPU0QBOlO
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、感想などがあれば、ご指摘宜しくお願いします。
最後の最後で投下できなかったorz

472 :名無しより愛をこめて:2008/08/20(水) 23:37:15 ID:TplPGwcZ0 ?2BP(1)
投下乙です。
センとスワンさん、合流できたのに、残ったのは不幸のみ……。
ブドーの己の信念を捨てきれない未練の描写もうまかったです。
一つ目のライフルの効果を忘れたのでスワンさんがどうなったのか、興味深いです……。
GJ!

473 :名無しより愛をこめて:2008/08/20(水) 23:42:03 ID:z0jAU51jO
投下&代理投下乙です!
うわぁぁっ、スワンさん。
不思議な事が起こってしまったか……。センちゃんに感情移入してしまって胸が痛い。
そしてなんという速さでの投下、クオリティの高さ、面白かったです。
GJ!

474 :名無しより愛をこめて:2008/08/21(木) 00:17:56 ID:UQPKm8NLO
投下GJです!
ああ、スワンさん…
せめてもの救いはセンや理央を手にかけずにすんだ事でしょうか。
目の前でスワンさんが消え、そしてこれからウメコの死を知るセンの気持ちを思うと切なくなりました。
それにしても相変わらずの速筆、そして細やかな描写、お見事でした。
GJです!

475 :名無しより愛をこめて:2008/08/23(土) 19:08:29 ID:bh7A0uwJO
保守

476 :お知らせ:2008/08/24(日) 02:10:55 ID:5jXc+o19O
いよいよ第一回放送ですね。
そこで>>439で提案していだだいたように放送案を募集します。
放送案のある方は、今日から一週間をめどに仮投下スレへ放送案を投下してください。
(複数の場合は投票にて決定)
以上、よろしくお願いいたします。

477 :名無しより愛をこめて:2008/08/25(月) 16:50:56 ID:PaosJpMQO
保守

478 :名無しより愛をこめて:2008/08/27(水) 08:32:34 ID:YNsZL0IXO
保守

479 :名無しより愛をこめて:2008/08/28(木) 08:07:09 ID:5DQT7hWI0
板違いです
二次創作は以下の板でどうぞ
http://namidame.2ch.net/mitemite/

480 :名無しより愛をこめて:2008/08/29(金) 17:32:12 ID:BqhgT1H8O
保守

481 :名無しより愛をこめて:2008/08/30(土) 10:50:24 ID:BCLS6gbs0
保守

482 :名無しより愛をこめて:2008/08/30(土) 12:58:40 ID:SQf4bP2YO
保守

483 :名無しより愛をこめて:2008/09/01(月) 18:00:06 ID:8oP/HPTd0
保守をするのも私だ。

484 :名無しより愛をこめて:2008/09/01(月) 19:46:34 ID:4VAGz0NT0
散ればこそ 華美しく 名を残し 今一度の……保守

485 :名無しより愛をこめて:2008/09/02(火) 23:40:32 ID:yywW76vgO
保守……それは聖なる力。
保守……それは未知への冒険。
保守…そして、それは勇気の証!

486 : ◆Z5wk4/jklI :2008/09/03(水) 00:14:10 ID:XbiX5QOPO
保守乙ですw
放送案を本投下させて頂きます。

487 : ◆Z5wk4/jklI :2008/09/03(水) 00:15:40 ID:XbiX5QOPO
定刻六時00分00秒、頭と胴を分かたれたバンキュリアの首輪から、にわかに金色のもやが放たれた。
吐き出されたもやは一つ所に集まると、ある男の姿を映し出した。
このバトルロワイアルの主催者にして、悪趣味な児戯の仕掛け人たる無間龍、ロン。
彼は、捉えどころなくゆらゆらと揺れる写し身の向こう側で軽く咳払いをした。
『皆さんおはようございます。この六時間いかがお過ごしだったでしょうか?
さて、定時の放送です。
皆さんの命に関わる事もお話しますのでよーく耳を傾けて下さいね。
まずは亡くなられた方からお知らせいたしましょう。
伊能真墨、ウルザード、小津麗、小津深雪、胡堂小梅、白鳥スワン、冥府神スフィンクス、妖幻密使バンキュリア、以上の八名になります。
皆さん、大変お楽しみのようで私としても嬉しい限りです。
お嘆きの方もいらっしゃるでしょうが、ご心配なく。
貴方が最後のお一人になればちゃーんと生き返らせて差し上げますよ。
そう、あの小津勇のようにね。
お察しの方もいらっしゃるでしょうが、ええ、その通りです。
ウルザード、いえ、小津勇は私が生き返らせました。
皆さんの殺し合いをより楽しく進める為の役割を期待していたのですが、早々にやられてしまったようで少しばかり残念です。
まあ、もっともこれで私の力もお分かり頂けた事でしょうが。
ああ、それからこれより二時間ごとに禁止エリアを設けさせていただきます。
会場の中をただ逃げ回る、というのも一興かもしれませんが少々面白みにかけますし、少しばかり趣向を凝らせていただきました。
まず、七時に都市Fー4、九時に都市Gー5、十一時に都市Fー6が禁止エリアになります。
足を踏み入れれば、二十秒で首輪が爆発するように仕掛けを施させていただいていますので、うっかり首輪と一緒に首を飛ばさないよう重々お気をつけ下さい。
残る人数は三十四人、皆さんのご健闘をお祈りいたします。
それでは、また六時間後にお会いいたしましょう』
その言葉を合図にしたように、もやはまるで何もなかったように掻き消える。
後には、言葉を発する事も動く事も出来ないバンキュリアの姿と、参加者達の抱くそれぞれの思いだけが残された。

488 :名無しより愛をこめて:2008/09/03(水) 03:11:33 ID:gObES/cIO
第一回放送 投下乙でした。
内容も解りやすくて助かります。

さて、これを聞いた参加者たちどうするかな。
今後の展開を楽しみにしつつ、投下した氏に盛大なGJを送ります。
GJ!

489 :名無しより愛をこめて:2008/09/03(水) 21:58:12 ID:36KOgPql0
板違いです
二次創作は以下の板でどうぞ
http://namidame.2ch.net/mitemite/

490 :◇5h3T6s3PXc氏へ業務連絡:2008/09/05(金) 14:55:27 ID:m/ccudCd0
◆5h3T6s3PXc氏
放送まで時間がかかってしまいました。
まだ見ていて下さると良いのですが……

連絡事項は氏が以前投下なさった「奇妙な二人」についてです。
放送案が投下されたので、仮投下・一時投下専用スレッドの>>111>>116までを
再投下なさるかどうかの意思表示をお待ちしております。
出来れば週明けまでに本スレかしたらばのどちらかにレスを下さい。
週明けというのはあくまで目安ですが、週が明けた時点で氏からのご連絡がなく、
他の書き手氏が予約を申し出た際は、他の書き手氏の予約を優先させて頂くことをご了承下さい。

なお、投下の際には指摘点の修正をお願い致します。


491 :名無しより愛をこめて:2008/09/06(土) 23:12:45 ID:lXGjU8eS0
持続戦隊ホシュレンジャー参上

492 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/09/08(月) 01:45:19 ID:Z9Q5TBIY0
人差し指に灯した炎に口に咥えた煙草を近づける。
そのままゆっくりと息を吸い、紫煙を燻らせていく。
表情のないはずの顔に思考を満たした満足げな表情が僅かなりとも見えるのは気のせいだろうか。
辺りに広がる煙草独特の匂いに西堀さくらは露骨に顔をしかめて見せた。
「ここがどこだか分かっているんですか! 敵に気づかれたらどうするんです!?」
さくらの非難を聞いているのか、聞いていないのか、グレイはもう一度大きく息を吸い込んだ。
「隠れる必要などない。戦って奪い返せばいい…それだけのことだろう?」
事も無げにややくぐもった低い声を上げる。
二本の指の間に煙草を挟んだまま視線をさくらと合わせようともしない。
眉間にきつく皺を寄せ、さくらは目の前の黒い装甲の男を睨み付けた。
両者の間に流れる険悪なムードからは、二人が殺し合いを始めないのが不自然にすら思えてくる。
全ては1時間ほど前にはじまった。

「絶対に俺は助けに行くぞ! 絶対だ!!」
グレイの索敵により、何者かが『メガブルー』を呼び出し、殺し合いをはじめようとしていることはほぼ間違いがない事実であった。
あろうことか、そのための人質を用意して。
陣内恭介はすぐにでも助けに行くべきだと主張した。
人質はどちらも面識のない人物であったが、囚われの身で死と隣り合わせの恐怖を味わうものを見捨てておけるはずはなかった。
特に恭介はメガブルー…並木瞬を知っている。友の危機を見過ごすわけにはいかなかった。
「駄目だ。戦いには私が行く。お前たちはここに残れ」
先ほどまで黙していたグレイが急に口を開いた。
「おい! 貴様!! 戦いに行くんじゃない! 人質となったものたちを救出に行くんだ!! 


493 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/09/08(月) 01:49:01 ID:Z9Q5TBIY0
履き違えるな!!!」
傷の痛みを押してドギーがグレイを牽制する。
両者の視線が交わる。
「……どちらにしても貴様がいては足手まといだ。ここに残ってもらおう。異論は聞くつもりはない」
「なんだと!!」
「止めてください、二人とも!! 今ここで争っても仕方がないでしょう!?」
一触即発の雰囲気に耐え切れずシオンが場を収めようと必死で二人を説き伏せにかかる。
だが。両者の間の溝は埋まりそうもなかった。
それに、傍らの恭介はいまにも飛び出していきそうな雰囲気だ。
「守る…か…しかし、合って間もない連中をよくそこまで信頼できたものだな。
一人になったあの男にシオンとやつが二人掛かりで襲い掛かるとは思わなかったのか?」
グレイの問いかけにさくらは立ち止まらずに答えた。
「それはありえません。ドギー署長は怪我を負っています。なのにシオンさんは彼を見捨てることはせず、労わり共に行動しています。
こんな状況下でいくら実力者とはいえ怪我人を抱え込む決断はそうそうできるものではありません。そんな彼が今更恭介さんを襲う理由なんてあるはずがない…私はそう判断しました」
さくらもまたグレイの問いかけに目線をあわせようともしない。
「…むしろ、分からないのはあなたです。グレイ」
さくらは立ち止まりグレイと始めて正面から向き合った。
「…………――」
「私たちの星は様々な勢力の侵攻を受けてきました…宇宙、地底……そして異次元。
中でも激しかった戦いとして記録に残るのが私たちの住む三次元と隣り合わせに存在する裏次元からの侵略者…『次元戦団バイラム』」

494 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/09/08(月) 01:50:00 ID:Z9Q5TBIY0
「………………――――」
「バイラムの詳細なデータはその根拠が我々人類をしていまだ立ち入れぬ領域の異次元にあること…それに組織壊滅後の今となっては殆どが謎のままです…直接相対した鳥人戦隊でさえ、その全貌を知るには至らなかった……
ですが、その戦いを生き抜いた者の僅かな証言から、人間を虫けらのように冷徹に処理する漆黒の殺戮マシーンが存在していたとの記録が後世の私たちに伝えられています…その者の名は…“グレイ”」
「…知っていたのか……」
正体を看破されても動じる素振り一つ見せない。刺す様なさくらの眼差しを一身に受けてもグレイは身じろぎもしなかった。
「何が目的なんです?! なぜ、あの二人と行動をともにしていたんです!!」
目的。
天を仰ぎながらグレイはその言葉の響きをひどく空虚に感じていた。

『次はあなたです…グレイ』

始まりの空間。全てが黒に包まれたその場所で。
『あなたがその気になれば…バイラムの再興もまたかなうでしょう…場合によってはその領袖となることも……―』
「…政治に興味はない。生身の連中の気苦労を散々見てきたものでな…」
『失礼。あなたはそんなことに関心を抱くような方ではありませんでしたね……それでは…
マリアを甦らせると言うのはいかがでしょう? あなたの腕の中で崩れた女の身体と心を今一度
現世に甦らせるのです……今度はあなたの永久の伴侶として』
―マリア。彼女の温もりが腕の中から消えていくその刹那までをグレイは克明に記憶している。
機械のグレイに忘却はありえない。恐らく何百年、何千年たってもあの瞬間を昨日のように鮮明に思い出すのだろう。それは、確かに痛みといえるのかもしれなかった。
「いかがです?」

495 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/09/08(月) 01:50:49 ID:Z9Q5TBIY0
男の誘いは甘美に満ちていた。男はグレイに期待していた。
無論、ゲームを率先して盛り上げるマーダーとして。
ガイ、ネジブルーに並ぶ純粋に戦いを愉しむ者として。
そのために彼がもっとも強い目的意識を持ってゲームに臨めるタイミングを選んだのだ。
だが。

「そうした誘いならばレッドホークを呼ぶべきだったな…ロンとやら。餌で釣るならばブラックコンドルでも用意してもらったほうが有難かったぞ」

グレイの返答はロンにとってひどく意外なものだった。
これまで、ロンの誘いに迷いを見せなかったのは明石暁をはじめほんの数人だけだったからだ。
「…フフ…だが安心しろ。私は戦いに乗ってやる……精々、貴様の始めたこの馬鹿げたゲームの駒として立ち回ってやろう…私は戦えさえすれば…後は……どうでもいい」
呆気にとられるロンを横目にグレイは人間で言う“笑み”に近い感情を見せた。
グレイにとってロンが何を画策しようがどうでもいいことだった。
参加者の多くが脅威を感じている金色の首輪も生命に関する執着が限りなく薄らいだ、今のグレイにはどうというものでもない。
「目的は何だと聞いているんです!! バイラムの再興ですか!?」
さくらの穿つ問いかけにグレイは淡々と答えた。
「組織はもう、関係ない。ラディゲはまだやるつもりらしいが、バイラムはもう終わりだ。
それは後の時代の貴様らの存在が証明している」
「時間軸のずれに気づいていたんですか!」
グレイの意外な返答にさくらは思わず聞き返していた。
「当然だ。あれだけ話の噛み合わない連中と喋っていれば馬鹿でも気づく。
加えて戦闘力の発揮にも制限が加えられているな。最初は身体の故障かと思ったが、
十分ほどの戦闘後、全身のあらゆる武装にきっかり二時間なんの反応もなかった。
シオンは私をそのままに修復したといった。
やつの腕は確かだ。原因は恐らくはこの首輪の効果だと考えて間違いあるまい」
「二時間…それが時間制限の正確な時間だと?」
「お前たち生身より時間には正確なはずだ」
確かにロボットであるグレイの時間を計る正確さは参加者の間でも随一だろう。
「それをなぜ私に?」
「…理由はない」
「納得できません」
再び両者の間に緊張が走る。

496 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/09/08(月) 01:52:52 ID:Z9Q5TBIY0
「お前の目的は私と争うことか? 人質の救出とやらが最大の目的だろう。私をやつらから遠ざける意図も合ったように感じられるな」
「それともう一つ…あなたを霧払いに人質を救出する腹です。異論はありませんよね?」
「無論」
その時だった。
天空に高揚した男の声が轟いたのは。

『皆さんおはようございます。この六時間いかがお過ごしだったでしょうか?
さて、定時の放送です。
皆さんの命に関わる事もお話しますのでよーく耳を傾けて下さいね―…』

「これは…!」
「あぁ…奴の声だ」
間違いなかった。このゲームの主催者ロンの丁寧だが陰湿な響きを持つ声が四方全てから聞こえてくる。

『皆さんの命に関わる事もお話しますのでよーく耳を傾けて下さいね。
まずは亡くなられた方からお知らせいたしましょう。
伊能真墨、ウルザード、小津麗、小津深雪、胡堂小梅、白鳥スワン、冥府神スフィンクス、妖幻密使バンキュリア、以上の八名になります。
皆さん、大変お楽しみのようで私としても嬉しい限りです。
お嘆きの方もいらっしゃるでしょうが、ご心配なく。
貴方が最後のお一人になればちゃーんと生き返らせて差し上げますよ…』

どこから聞こえてくるのか、全く方向がつかめない。参加者全員の頭に直接メッセージを流し込んでいるらしい。
その時だった。
「うっ!」
さくらの視界に一瞬歪が生まれ、こことは別の光景が現れる。

497 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/09/08(月) 01:55:12 ID:Z9Q5TBIY0
「これは…“ブラック”!?」
「!?」
ブラック。その言葉にグレイも一瞬反応する。
視界一杯に繰り広げられるボウケンブラック…伊能真墨の戦う姿。
やがて彼は変身を解かれ、地面へ這い蹲る。
必死でアクセルラーを起動させようともがく彼の頭上に迫る大きな足。
「そんな…!! 真墨…!!」
真墨の頭が強い圧迫を受けて徐々にひしゃげていく。そして、鮮血と共に爆ぜた。
「そんな…そんな……! 真墨が…真墨が……!!」
先ほどまでの冷静な態度をかなぐり捨てて叫ぶ。慟哭に支配され、我を失った。
「どうした?」
さくらのただならぬ様子にグレイが声をかけるが、茫然自失のさくらはそれに反応しない。
愕然とした。膝の力が抜ける。
そのまま地面に座り込んだ。あれほど警戒していたグレイに背を向けても全く意に介さない。
「そんな…本当に…死んでしまうなんて…」
「今の放送…仲間が混ざっていたのか?」
グレイはボウケンブラックを知らない。
だが、“黒を纏う戦士”の死に様は聞いていてあまり気持ちのいいものではなかった。

『……残る人数は三十四人、皆さんのご健闘をお祈りいたします。
それでは、また六時間後にお会いいたしましょう――…』

先ほどまでとは打って変わってさくらには強い動揺が生まれている。
とても戦いに臨める状態ではないのは明白だ。
「…行きましょう……」
さくらが小さく言葉を発する。
「何だと…?」
「行きましょう…私たちには人質となった方の救出という“目的”があります。こんなところで立ち止まっている暇はありません」

498 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/09/08(月) 01:56:19 ID:Z9Q5TBIY0
振り向いた顔は既に先ほどの毅然としたさくらだった。
仲間の死をまざまざと見せ付けられたショックなどおくびにもださない。
「…いいのか」
何に、対してなのか口にしたグレイにも分からない。
だが、さくらは自らに課せられたミッションに対しどこまでも忠実だった。
本物の機械であるグレイが驚くほどの冷静さで。
だが、その手は僅かに震えている。グレイはさくらのかすかな、ほんのかすかに残った恐怖を見てみぬ振りをした。

放送を終え、ロンは参加者全体に広がる、怒り、悲しみ、困惑に身を浸していた。
いつまでもそうしていたかった。
なんという心地よさだろう。これだから、他者を弄ぶのは止められない。
箱庭の憐れな囚われ人たちが迎えた最初の朝日。
しばしば生命誕生の象徴に例えられるその輝きを彼らはどのような思いでみつめているのか。
誰があの日輪に希望を見出せるだろう。
過ぎ去った命が夜と共に永遠に彼岸の向こうへ誘われるのを、とめることも出来ずにいるというのに―
「さぁて…蒔いた種が次の6時間でどのように成長するか…楽しみですねぇ……」
不敵な笑みを浮かべながら、金色のローブで自らの愉悦の表情を覆っていく。
これから、更に凄惨な死が満ちる予感に心を躍らせながら。

「最も惨めで残酷な死をあなたに…その約束きちんと果たさせて頂きましょう……―」

龍の悪意は、底を知れない―



499 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/09/08(月) 01:57:35 ID:Z9Q5TBIY0
【名前】西堀さくら@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:G5エリア 1日目 早朝
[状態]:健康 (ただし、ロンによる洗脳を受けており、いつでも傀儡になる危険性あり)
[装備]:アクセルラー
[道具]:ガラスの靴、虫除けスプレー、虹の反物の切れ端
[思考] 基本行動方針:仲間と合流し、ここから脱出する。
    第一行動方針:恭介たちと共闘して仲間を増やす。このゲームのルールを把握する。
    ※)裏行動方針:ロンの言われるままにいいように操られ、見苦しく惨めな死に様を晒す。
     ただし、本人にその自覚はなく洗脳行動も全て自分の意思であると思い込む。

【名前】グレイ@鳥人戦隊ジェットマン
[時間軸]:49話(マリア死亡)後
[現在地]:G5エリア 1日目 早朝
[状態]:健康?
[装備]:自らのパーツ全て
[道具]:遠距離射撃用ライフル(残弾数4発) 支給品一式
[思考] 基本行動方針:未定。第一行動方針を果たした後の行動は決めていない
    第一行動方針:自分の納得のいく形でシオンに借りを返す。
    現在はさくらと共に人質を救出すべくネジブルーの元へ。


500 :◇8ttRQi9eks氏の代理投下:2008/09/08(月) 01:58:22 ID:Z9Q5TBIY0
お待たせしました。改めましてはじめまして。トリバレしたとのご意見を伺い、今後はこの名前で書かかて頂きます。
修正版をお送りします。内容も若干放送に合わせて変えました。
実は全員参加の放送SSも書いていたのですが、いかんせん構想が実力を超えていて間に合いませんでしたw
このままだと誰も書かないのかと思っていたので、◆Z5wk4/jklIの投下は安心しました。
最後のロンは未練たらしく没案を一部流用してますw
どなたかにおすがりする事になりますが、本スレへの投下を頂くと幸いです。
本当にお待たせして申し訳ありませんでした。



代理投下終了。

501 :名無しより愛をこめて:2008/09/08(月) 12:09:53 ID:N6iSQMOp0
投下&代理投下GJです。
ハードボイルドなグレイと、平静を装うさくら姐さんの描写が素晴らしいです。
さくら姐さんはついにカウントダウン開始!?
というか、ロン怖い、ロン怖いよw


502 :名無しより愛をこめて:2008/09/08(月) 17:40:38 ID:SlmZ4/hJ0
代理&投下乙!
グレイのロンの誘いを蹴るときの台詞がかっこいい。
さくらさんはロンの魔力から逃れられるのか……。
GJ!

503 :名無しより愛をこめて:2008/09/08(月) 21:33:33 ID:sZ86diIZ0
GJ!
放送が終わり、新展開!
さくらとグレイのクールコンビがネジブルーの野望を打ち砕けるのか?
普通なら安心してみていられるコンビですが、ロンの暗示で果たしてどう転ぶのか。
続きが非常に楽しみになる作品でした。

504 : ◆i1BeVxv./w :2008/09/09(火) 00:20:46 ID:t/ysGjtu0
ただいまより投下いたします。

505 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w :2008/09/09(火) 00:22:20 ID:t/ysGjtu0
ズシャン!!

 何かが砕ける音。何かが潰れる音。交じり合った二つの音は空気を震わせ、映士の鼓膜を震えさせた。
「ウメコ!!」
 映士は音の発生源となった女性の名前を叫び、彼女の元へと急ぎ駆け寄る。
 瞬く間にウメコの側へと移動する映士。だが、そのあまりにも無残な姿に助け起こそうとした映士の手は彼女に触れることなく止まる。
 倒れ伏すウメコの頭からは赤い鮮血が勢いよく噴き出し、大地を浸食していた。血の広がりは頭部を中心としたものだ。
 うつ伏せに倒れたウメコから彼女の表情をうかがい知ることはできないが、その顔が表情など作れないものであることは容易に想像ができる。
 映士は伸ばした手を肩口から首筋へと移動させ、脈を確認した。予想されたことだが、既に脈は途絶えている。
「ウメコ……」
 ボソリと死んでしまった仲間の名前を呟き、映士は呆然と佇む。
 思い出されるのはウメコの笑顔。極限状態でありながらも、恐怖に負けず、周りを元気にしてくれる強い笑顔。
 その笑顔を映士はおろか、彼女が語ったデカレンジャーの仲間たちも、もう二度と見ることができないと思うと、怒りと悲しみが心の底からこみ上げてくる。
「ちくしょ……ちくしょーーー!」
 映士はこみ上げる感情の赴くままに、空に向けて叫んでいた。



 映士はウメコから自分が貸していた銀色のジャケットを脱がす。
 そして、彼女の身を正すと、顔を隠すようそのジャケットを彼女へと掛けた。
 それが今、映士ができる精一杯の葬りだった。
「すまねぇな。この戦いが終わったら、必ず墓を造りに来る」
 手と手を合わし、黙祷を捧げる。
「……さて」
 やがて、ゆっくりと開かれた映士の眼。その眼は一刻前と比べ、鋭さが増していた。

――怪しいのはあの人形だ。――

 壬琴の言葉が頭によぎる。
 始めは壬琴に殴られたこともあり、冷静に考えられなかったが、今は違う。


506 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w :2008/09/09(火) 00:23:12 ID:t/ysGjtu0
(転送機能を持ったプレシャス。人形のような生命体。どちらもありうる話だぜ)
 映士はディパックから悪魔の姿を模した人形を取り出す。
(チマチマしたのは性に合わねぇ)
「おい、お前!お前がウメコを殺したのか!」
 人形に激しく詰問する映士。だが、人形は微動だにしない。
「答えろ!」
 声を張り上げるが、一切反応を返さない人形。だが、その程度のことは折込済みだ。
 映士は懐からスコープショットを取り出し、仕込まれたナイフを顕にする。
「いいか、今から3つ数える。それまでに動かないなら、お前をバラバラに切り裂いてやる!
 これは脅しじゃねぇ、お前が本当に人形であっても、それならそれで八つ当たりには丁度いいしな。
 いくぜ!……いーち!」
 映士はナイフをゆっくりと振り上げる。
「にーーー」
 左手は逃げられるようしっかりと人形の身体に食い込んでいる。
「さーーー」
 そして、映士は人形の額目掛け、ナイフを――
「ま、待つデビ。ビビデビが殺したわけじゃないデビ。ナ、ナイフを下ろすデビ〜」
「やっぱりテメェ動けやがるのか」
 映士は力の限り、人形――ビビデビを地面に叩きつけた。
「ぐぇ」
 続けざまに、逃げようとするビビデビを踏みつけ、その動きを封じる。
「さて、話してもらうぜ。お前の目的をな」
「い、言うから少し緩めて欲しいデビ。これじゃあ、苦しくて喋られないデビよ」
「心配しなくても、しっかりと俺様には聞こえてる。さっさと洗いざらい喋りやがれ」
 更に体重を加える映士に、ビビデビは蛙が潰れたような悲鳴を上げた。
「ぐぇぇぇっ〜、わ、わかったデビ〜」
 ポツリとポツリと喋り始めるビビデビ。
 自分がネジレジアという組織の一員だったこと。
 組織崩壊の折に死んだと思ったが、気づくとロンの元に居たこと。
 ロンに命令され、殺し合いを円滑に進ませることができれば、ネジレジアの復興を約束されたこと。


507 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w :2008/09/09(火) 00:24:14 ID:t/ysGjtu0
 そして、隙を見て、ウメコと菜摘を適当な場所へ移動させたこと。
「なるほどな」
「ビビィ〜、全部話したデビ。早く解放するデビ〜」
「ふざけるんじゃねぇ!直接手を下したわけじゃねぇが、それでもお前はウメコの仇には違いねぇ」
 益々、足に力を込める映士。ビビデビの身体が大地へとめり込みはじめる。
 その時、映士の脳内に声が鳴り響いた。

――皆さんおはようございます。この六時間いかがお過ごしだったでしょうか? ――

(これはロンの声か。あの野郎、こんな術まで使いやがる)
 それはロンが参加者全員へと語りかける定時の放送。
 語られるは死者の名前と禁止エリア。
「なっ!」
 死者として挙がった聞き覚えのある名前に、ビビデビを拘束する足の力が緩まった。
 それ幸いとビビデビは飛び上がり、何事かショックを受けているような映士の顔を見た。
「まさか真墨まで」
「知り合いが死んだデビか?」
「うるせっ!」
 ロンの放送はしっかりとビビデビの耳にも届いていた。
 誰が生きようと死のうと、ビビデビにはどうでもいいことだが、それを聞いたであろう映士の様子は非常に滑稽で笑えた。
「ビビィ〜!なら、お前が優勝すればいいデビ。優勝すれば、ロンが願い事を叶えてくれるデビ。どうしてもというなら、ビビデビが協力してやってもいいデビよ」
 ビビデビにとって、誰かを優勝させることが目的。それが映士でもビビデビには構わないのだ。
 しかし、それは映士にとって、魅力的な提案ではなく、火に油を注いだようなものだった。
「なら、お望み通り、ぶっ殺してやるぜ!」
 ナイフを手に、映士はビビデビへと襲いかかる。
「ちょ、ちょっと待つデビ。ビビデビは参加者に含まれていないデビ。ビビデビを殺しても仕方ないデビ」
「うるせぇ!」
 激昂しながらも映士の動きは洗練されていた。
 ビビデビの動きの先を読み、あっという間に彼の身体を、文字通り手中に収める。
「わ、わ、わ、わかった、わかったデビ。なら、お前らの脱出の手助けをしてやるデビ。だから、ビビデビを殺さないで欲しいデビ」


508 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w :2008/09/09(火) 00:25:57 ID:t/ysGjtu0
「脱出の手助けだ?お前に何ができる」
「ビビデビには女に使ったように転送能力があるデビ。それを使えば、お前たちを脱出させることができるデビ〜」
 ビビデビの言葉に自然と映士の顔が引き締まる。
 ここがどこかわからなかったが、映士は今までの経験からここが結界を張られたような特殊な空間ではないかと感じていた。
 ビビデビは何かを知っている。そう確信した映士は話を合わせることにする。
「おい、それは本当か?」
「本当デビ。ここはロンが作った特殊な空間デビ。この中では外との繋がりは完全に絶たれているデビ。
 だから、この中から外への移動は流石のビビデビ様でも出来ないデビ〜。けど……」
「けど?」
 言うべきかどうか迷うビビデビ。だが、今にも襲い掛かりそうな映士の怒りが込められた眼に、やがて意を決して言葉を紡いだ。
「けど、ひとつだけ、外界と繋がっている場所があるデビ。そこがお前達が最初にいたホールデビ。そこになら、ビビデビは飛ばすことができるデビ」
「つまり、お前の力を使えば、ここから脱出することは無理だが、高みの見物を決め込んでいるロンの野郎と戦うことは出来るってわけか。なるほどな。なら、さっさと俺様をホールまで転送しやがれ!」
「今は駄目デビ。転送には多大なエネルギーを消費するデビ。さっき、女を飛ばしたばかりだから、そうデビね……あと、2……いや、3時間は必要デビ」
 参加者たちと同様、首輪ならぬ足輪が付けられているビビデビには能力制限がある。
 今、転送能力を使うのは不可能だ。もっとも3時間というのは少しでも時間を稼ぎたいビビデビの嘘だが。
「テメェ、口から出任せ言ってるわけじゃねぇだろうな?」
「信じる信じないは勝手デビ。でも、ビビデビを殺したら、きっと後悔するデビ〜」
「……ちっ、今はお前を信じるしかねぇってことか」
(ふぅ〜、助かったデビ。隙を見て、逃げ出してやるデ……)
「ビビィーーーー!?」
 映士の放ったスコープショットのアンカーロープにより、ぐるぐる巻きに拘束されるビビデビ。
「何するデビか!?」
「まだ、完全に信じたわけじゃないからな。とりあえず、その状態でディパックの中に入ってな」
 映士は抗議の言葉を口にするビビデビを無視して、ディパックへと詰める。

509 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w :2008/09/09(火) 00:26:47 ID:t/ysGjtu0
「さて、あいつらと合流しねぇとな」
 壬琴と合流するため、東へと身体を向ける映士。
 ウメコと真墨のことで頭に血が昇り、思わずホールへと飛ばすよう言ってしまったが、考えてみれば、今の映士には首輪という枷がある。
 今のままで戦ってはホールで殺された男の二の舞だ。それにビビデビの言っていることが嘘ならば、そのまま逃げられてしまうところだった。
(冷静にならねぇとな。無駄死にじゃあ、死んでいった二人に申し訳が立たねぇ)
 映士は空を見上げ、そして、後ろを振り向き、横たわるウメコを見た。
 ここがロンの造った空間だというのなら、もうウメコには会えないかも知れない。
「……じゃあな」
 様々な想いを込めた別れの言葉を告げ、映士はその場から去っていった。



 映士のディパックの中、ビビデビは二重の意味で命拾いしたことにとりあえず胸を撫で下ろしていた。
 ビビデビは参加者に明らかにされていない首輪の機能の内、盗聴の機能についてはロンから聞かされていた。
 つまり、今までの会話はロンに筒抜けということは理解していたのだ。
(あいつは中々聡い奴デビ。本当に裏切るつもりなら、口に出して会話しないと分かってくれるはずデビ)
 強がりながらも、内心は冷や汗ものだ。ビビデビが映士に話した転送能力の詳細はロン自身がビビデビに話したものだ。
 その気になれば、ビビデビは脱出するための鍵になることができるとロンは言った。
 だが、ディパックに詰められる前にロンはこう付け加えた。

――好きに行動してもらって構いません。誰を贔屓しても、誰を陥れてもいいですよ。
  あなたは支給品として、参加者たちがよりよく殺し合いが出来るように手助けして上げてください。
  もし、頑として殺し合いに乗らない参加者がいたとしたら、その時は仕方ありませんがね。
  私は参加者の意志は最大限尊重するつもりですから。参加者の意志はね。――

 強調される参加者という言葉。ビビデビはロンが何が言いたいか理解していた。
 ビビデビは――参加者ではないということ。


510 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w :2008/09/09(火) 00:28:41 ID:t/ysGjtu0
【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-4海岸 1日目 朝
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:スコープショット、ボウケンチップ、ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー、知恵の実、不明(確認済) 、基本支給品一式(映士、小梅)
[思考]
基本行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第一行動方針:壬琴たちと合流し、ビビデビの処遇を決める。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。

【名前】ビビデビ@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:星獣戦隊ギンガマンVSメガレンジャー後
[現在地]:映士のディパックの中
[状態]:健康。1時間強の間、能力発揮不可。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ロンに協力し、ネジレジアの復興。
第一行動方針:チャンスが来るまでおとなしくしておく。


511 :龍と悪魔の契約 ◆i1BeVxv./w :2008/09/09(火) 00:29:52 ID:t/ysGjtu0
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想などありましたら、宜しくお願いします。

512 :名無しより愛をこめて:2008/09/09(火) 14:38:23 ID:C2EOfpB90
投下GJです!!
ふつふつとした映士の怒りが伝わってくる作品でした。
無駄死にはしないと誓う映士の決意がかっこよかったです。
映士の怒りを買ったビビデビと、脱出の為の鍵を握った映ちゃんが今後どうなって行くのか、
先の展開が楽しみです。
それにしても、相変わらずの速筆、お見それします。
GJでした。

513 :名無しより愛をこめて:2008/09/09(火) 22:53:53 ID:UAVSN1gO0
投下乙です。
映士の怒りはロンに届くのか。
ビビデビに対する脅しが余裕を感じさせました。
GJ!

514 :名無しより愛をこめて:2008/09/10(水) 01:56:23 ID:ke1TxT1mO
まさかもう投下していたなんて!
GJ!
う〜む、辛いな映士。
ウメコの死体を無残な形のままにしておかず自分なりに葬う映士。
映士とともに改めてウメコに黙祷。
そしてただの支給品で終わりそうもなく面白い存在になったビビデビ。
すごく面白かったです!

515 :名無しより愛をこめて:2008/09/10(水) 02:41:45 ID:Or0AiJZmP
個人的にはこのスレはここで続いてほしいが、
他のロワ系スレの大半が創作発表板に移転してしまったので
このスレもスレストされてしまう前に移転準備進めた方がいいと思うんだぜ

516 :名無しより愛をこめて:2008/09/10(水) 05:03:18 ID:4zF4pcjz0
>>515
sfx:特撮![スレッド削除]
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/saku/1216234657/23


517 :名無しより愛をこめて:2008/09/10(水) 06:49:53 ID:ke1TxT1mO
そしてまとめ更新乙です!

518 :名無しより愛をこめて:2008/09/10(水) 21:57:12 ID:Ex89c7H10
板違いです
二次創作は以下の板でどうぞ
http://namidame.2ch.net/mitemite/

519 :名無しより愛をこめて:2008/09/11(木) 12:10:20 ID:PQs9nq7T0
定期保守ご苦労様です

520 : ◆MGy4jd.pxY :2008/09/11(木) 19:10:22 ID:P5/huDd2O
大変申し訳ありません。
今日が期限ですが、もう少しかかりそうです。
前回のようなことは絶対にしませんので延長させて頂けないでしょうか。
よろしくお願いいたします。

521 :名無しより愛をこめて:2008/09/11(木) 21:36:55 ID:Gsa4tJQtO
>>520
了解です。楽しみにお待ちしています。

522 :名無しより愛をこめて:2008/09/12(金) 03:44:58 ID:M5DaaAbj0
>それに、傍らの恭介はいまにも飛び出していきそうな雰囲気だ。
>「守る…か…しかし、合って間もない連中をよくそこまで信頼できたものだな。
したらば投下版だと「奇妙な二人」は間にもう少し話があるんですが…まとめの方も本スレを踏襲している
のでここが省略されちゃってますね。


523 : ◆MGy4jd.pxY :2008/09/12(金) 07:03:48 ID:33lXipR/O
>>522
本当にすみません。
代理投下の際に抜けてしまったのだと思います。
確認不足でした。
ご指摘ありがとうごさいます。
作者氏は不快な思いをされたでしょう。申し訳ありませんでした。

まとめ氏にもお手数をおかけしますが、該当箇所の修正をお願いいたします。

すみませんでした。

524 : ◆i1BeVxv./w :2008/09/12(金) 20:10:23 ID:cM/ch8CR0
>>523
私もうっかりしてました。
該当箇所を修正いたしましたので、ご確認をお願いします。

525 : ◆8ttRQi9eks :2008/09/13(土) 23:18:53 ID:sjmzbMzO0
お二方ともそんなにお気になさらないでください。
拙作を代理でアップして本筋に加えて頂けて、本当にありがたいことだと思っています。
なのにお礼が遅れて申し訳ない。なかなかこれないんですよね…今日は超8だってのもあったんですがw
とにかく不快な気持ちは一切ありません。自身でアップできないのに522さんも含めて様々フォローをしてもらって
ありがたいと思いこそすれ、です。

526 : ◆MGy4jd.pxY :2008/09/14(日) 23:39:43 ID:5M6ESeZw0
>>525
温かいお言葉ありがとうございます。

もう少ししたら投下致します。


527 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 01:00:28 ID:/Anf5pos0
遅くなりましたが投下します。

528 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 01:01:38 ID:/Anf5pos0
   Q:ネジブルーのネジトマホークはどうしてそんなに鋭いの?
       A:メガブルーの頭を勝ち割るためだよ。
   Q:ネジブルーは誰に殺されたの?
       A:メガブルーだよ。
   Q:メガブルーと出合ったらどうやって殺すの?
       A:あぁ、そうだな〜……




矛先をメガブルーに定め、凍てつく青き怒りを乗せ、ネジトマホークを縦横に振るう。
スーツの回路が火を吹いて破裂する音、それと共に耳を打つメガブルーの苦痛の声。
その声にネジブルーの奥底から表しようもない歓喜が沸き上がる。
さらにフルスイングでもう一撃。
かろうじて持ちこたえたメガブルーは、よろけながらも倒れまいと足を踏ん張る。
それでいい。簡単に倒れてしまっては面白みに欠ける。
「ほんと、楽しいよ、楽しいよ〜。メガブルゥ〜」
すぐには殺さない。いや、すぐに殺してなどなるものか。
少しでも多く、少しでも長い間苦しんでもらわなきゃね。
そう、俺の味わった悔しさや苦痛は、こんなものじゃ全然足りないんだよ。

メガブルーに苦痛を!メガブルーに屈辱を!!

ネジトマホークから放たれた青き光の刃が乱舞し、メガブルーの胸を、四肢を、胴体を切り裂く。
「ぐっ!あぁ〜」
全身で苦痛を表現するように、メガブルーは体を折り曲げのた打ち回る。
「まず、仮面を割らなきゃね」
その脳天目掛けてネジトマホークを振り下ろした。
「が……ハッ」

529 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 01:02:32 ID:/Anf5pos0
苦しげな声と、差し出した手が助けを求め虚空にさまよう。
ネジブルーはゆっくりと近づき、右足のつま先をメガブルーの顎へ引っ掛け蹴り起す。
「寝たふりなんてやってくれるねぇ」
まだ意識はある。仮面を通していても驚愕に満ちた視線をはっきりと感じる。
「メガブルー、これからだよ」
脳天に突き立てたネジトマホークを引き抜いた。
パキパキと音を立て、メガブルーの仮面が壊れていく。
どんな顔してるんだい?見せてくれよ〜。
割れた仮面の断片を一つ一つ取り除く作業は、プレゼントの包みを開けるような期待と喜びをネジブルーに与えてくれた。
ようやく見えた。仮面の隙間から覗く、恐怖、苦痛、絶望を湛え、黒曜石のように輝く瞳が。
ヤメテクレ……殺サナイデクレ。
メガブルーの瞳が切に訴えていた。
「止めてくれ?殺さないでくれ?それじゃぁ足りないぜ。もっと必死に懇願しなきゃだめだよ」
指をクルクル回しながら仮面の隙間へ潜らせた。
「苦しみの声だって、もっともっと聞かせてくれ。絶望のこもった断末魔は絶対に忘れないでくれよ〜」


§


いつまで笑っているつもりだろう。
放っておけば笑い死にするんじゃないかと思うほど、ネジブルーは気違いじみた笑い声をけたたましく上げ続けている。
「もういいわよ、ネジブルー」
「ヒャハハハハッハハハハッ、ヒャハハハヒャハハハハッ。メガブルー、お前は死んじゃうんだ!ヒャハハハハハハハハッ!!」
聞いていない。
美希だけでなく、誰が話かけたところできっと同じだろう。
思ったより、使えないかもしれない。
あわよくばネジブルーとメガブルーの戦いに何人か巻き添えになってくれればと思っていたが期待しない方が良さそうだ。
それはそれで構わない。
美希の狙いは他にもある。

530 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 01:03:42 ID:/Anf5pos0
まず、利用できる人間の選定。
そして、血の着いた忍者刀の始末。
事をスムーズに運ぶために、疑われるのは極力避けたい。
味方同士となれば、名刺交換代わりに支給品を確認するだろう。
まさか私の支給品には最初から血が着いていたんです。と言うわけにもいかない。
だから隙を見てネジブルーのデイバックとすり替えようと思っていた。
おそらくネジブルーは倒される。
スフィンクスの支給品を美希が奪ったのと同じように、ネジブルーの支給品も有効利用と言う名の元に誰かに奪われる。
すり替えたデイバックの中には血の着いた忍者刀。
ただ、そこで問題なのが目の前のネジブルー様子だ。
メガブルーに異様な執着を抱いているだけで、ネジブルーは殺し合いに乗っているわけではない。
それにネジトマホークと言う立派な武器も持っているのに、わざわざ慣れない忍者刀で殺害するメリットがない。
では誰に支給された物なんだ?となれば、疑われるのは美希。
どうしようかしら。
参加者はまだ大勢いるし、ここに集まる人間を利用すると限らなくてもいいのよね。
拡声器といえど全エリアに伝わっている訳ではないだろうし。
都市は人が集まりやすいと踏んで選んだが、むしろ殺し合いに乗るつもりがないなら他のエリアで様子を伺っている可能性もある。
一つ仕掛けておいた方がいいかもしれない。
時計とあれを使えば……。
そうなると、ドロップにも手伝ってもらうことになるわね。

美希はクルリと身を翻し、ドロップの方を向いた。
この子といれば、この場を逃れてもしばらくは怪しまれずに誰かに近づける。
ドロップと手を組んでいる限り、美希は幼い子を守る優しい女性の皮を被っていられる。
ただいつ手を噛まれるかわからない。
なぜならドロップの望みは美希と同じ『最後の一人になる』だからだ。
「ドロップ」

531 :名無しより愛をこめて:2008/09/15(月) 01:05:20 ID:UVqGj+aWO





532 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 01:06:19 ID:/Anf5pos0
美希が声をかけるとドロップはトコトコとこちらに歩いて来た。
「ちょっと下に降りてくるわ」
ドロップはコクンと頷き、少し眉をひそめネジブルーを見た。
「あれ……」
ドロップのさす『あれ』に目を向けると、まだメガブルーを殺す妄想の世界にどっぷり浸かっている。
「うるさいのは我慢してくれる?好きなようにさせておくといいわ。それより……」
美希はそっとドロップに囁いた。


§ 


「だめだよ〜、我慢できない!なぁ、メガブルーはまだ来ないのかい?
さっきから俺のネジトマホークが叫んでしょうがないんだ。メガブルー、メガブルー、 メガブルーってね!……?」
美希の姿が見えない。ネジブルーの傍らにいるのはドロップだけだった。
資材の影でボンヤリと朝日を見つめているドロップに問い質す。
「あの女、どこへ行ったんだい?」
「偵察……」
ネジブルーを見ようともせずドロップは答えた。
「偵察ぅ?そりゃいいな」
待ちきれないネジブルーには、ある意味それは朗報だった。
「だけど見付かったらどうするんだ?」
「……ネジブルーに命令されたって言うって。メガブルーを連れて戻らなければドロップを殺すって」
「へぇ、そうか。ならメガブルーをどうやって殺すか、あの女が帰ってくるまでに考えておかなきゃね……」

 
§


瞬は地図を手に必死で身を隠す場所を探す。

どうする、砂漠を渡ってエリアの外れまで行くか?

533 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 01:08:23 ID:/Anf5pos0
無理だ。ペットボトル2本の水で渡りきれっこない。
採石場で隠れようか?
いや、一箇所にいるのは危険だ。
逃げ続けるしかない。
誰かに見付かったらメガブルーに変身してでも逃げ切ってやる。


『皆さん――――――――』


瞬の思考を中断するようにロンの声が頭に流れ込んできた。
ハッと瞬は顔を上げる。
声を聞いているうちに肩が震えた。
自分ではその震えを抑えることが出来ない。

禁止エリア?だんだん逃げ場が無くなって行くのか!?
それに8人?8人ってなんだよ。
なんでそんなに死んでるんだ!
……ダメだ。逃げるなんて無理だ。
誰かに助けを求める?
人質を助けなかった俺を誰が助けてくれるっていうんだ。

殺し合いはとっくにもう始まっている。
その中で瞬はいわば指名手配状態。
瞬が描いたビジョン、無罪放免の道は閉ざされた。
「クッ、ハハハハッ」
涙と笑いがごちゃごちゃになる。
「どうするんだよ、俺。もう死んじまった8人みたいに、逃げられない。自分を狙うヤツから……」
砂の上に転がり、悔しさをぶつけるように何度も地面を叩く。
ちくしょう!ちくしょう!!
なんで俺なんだ?

534 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 01:10:32 ID:/Anf5pos0
だいたいメガレンジャーに選ばれたのは健太じゃないか。
俺はなりたくてメガブルーになったんじゃない。
不公平だ……。
こんなの、俺はまだ17なんだ。
個展だって開いてない。デザイナーにだって手が届きそうだったのに。
なんで俺だけこんな目に合わなきゃならないんだよ。
冗談じゃない……。

―― 殺るしかないんだ。そうじゃないと、次に名前を呼ばれるのは俺だ。

よろよろと立ち上がり瞬はタワーを目指した。
瞬が狙うのは漁夫の利。
人質など、所詮罠だ。
集まってくるのはどうせ殺し合いに乗ったヤツばかりだろう。
双方戦って傷ついたところで駆け付ける。
後は制限を逆手にとり邪魔な参加者を一掃する。
瞬は深く息を吐き出した。
「やってやるさ」
歩みを再開した瞬に恐怖はなかった。


§


「ドロップ、この兄が今お前を助けに行く」
ジルフィーザはひたすらドロップを目指し、タワーの外壁をよじ登る。
このタワーの外壁は幾つものキューブブロックを積み重ねた形状。
充分とはいえないが登るための足場にはなる。
そのわずかな足場で足を支え手に力を込め、ジルフィーザは頂を目指した。
すでに完成された数十階部分まで、タワー内の昇降機を使おうかとも考えたが、そこに罠が仕掛けてあるとも限らない。
戦力の温存と愛する弟のため、ジルフィーザはあえてロッククイラミングを決行した。

535 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 01:12:02 ID:/Anf5pos0
ジルフィーザが登る一面は、朝日の当たらないビル全体の死角。
頂上付近まで下からはもちろん、上からも見つかりにくい一面だった。

手探りでぐらつく身体を支えながら、ジルフィーザは先程頭に流れ込んできたロンの声を反芻する。
告げられた8人の死者。
その中にドロップの名が無かったことはジルフィーザに束の間の安堵をもたらした。
だが、となればやはりドロップはここで捕らわれている。
おのれ!忌々しい制限など無ければ!!
そう、制限さえなければ、飛行してすぐにでも駆けつけている。
この怒り、頂上にたどり着いた暁にドロップを浚った相手に存分に返す。
全身全霊、己が持つすべての力を発揮し、塵一つとして残さぬわ!!

ジルフィーザの怒りが極限に達した頃、ロッククライミングも終了となる。
この階からは上階は未完成。
剥き出しの鉄骨と打ちっ放しのコンクリートの外壁を土台に鉄製の階段が設置されていた。
上を仰ぐと、九十九折りの鉄の階段の遙か上に揺らめく人影が見える。
「ドロップ!!」
ジルフィーザは階段を駆け上がった。それと同時に
「お前、メガブルーじゃないね〜」
突然、ふざけた調子の声が聞こえた。
「墜ちろ!」
声の途端、不可視の力でジルフィーザの身体は階段から突き放された。
咄嗟に掴んだ階段の手すりがメキメキと土台から剥がれジルフィーザは宙づりになる。
「回れ!」
身体が回転を始める。
やむなく手を離したジルフィーザは地上へ向け急速に落下していく。
「おのれ!!」
風に逆らい翼を拡げた。
落下速度は強風となりジルフィーザの翼が軋む。
二、三度大きく羽ばたかせ体制を整える。
「うぬぅ!」
再びドロップの元へ羽ばたこうと旋回し上昇する。

536 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 01:15:47 ID:/Anf5pos0
タワーの最上部でこちらを見ながらブルーのメガホンを構える男がいた。
かまわず目を凝らし、ドロップの姿を捜す。
「ドロップ、どこにいるのだ?」
兄の声に答えたのか、資材の影から小さな姿が現れた。
違う。
ジルフィーザの眼が憤怒の色に染まる。
あれはドロップでは無い。
無駄足を踏まされ男を縊り殺したいところだが、ここは本物のドロップの行方を捜さなければならない。
もし、次にこの男が目の前に現れれば生かしてはおかぬ。
射抜くように男を睨み付けた。
男はジルフィーザの視線を真っ向から受け再びメガホンを構えた。
「メガブルーを連れてこいよ〜。墜ちろ!」
再び不可視の力がジルフィーザを包む。
ジルフィーザはその力に逆らわず、風に乗り地上へ降りていった。


§


「瞬の代わりにあの声の主を倒す、これは俺の役目だ。誰だって初出場の時は怖い。俺だって腰を抜かしたぐらいだ。
それなのに、えらそうに説教なんてしちまった。瞬を傷つけちまった責任。そいつを果たすには俺がやるしかねぇ」
「ならば、私も一緒に戦おう。あの者を傷つけたのは……俺の方だ」
「ティターン。じゃあ一つ頼みがある。お前には俺が戦ってる間に、人質を助け出してくれ」

タワーの入り口付近、そこで人目をはばからずに話す男が二人。
一人は黒装束に身を包み、銀色の犬を引き連れた大男。

537 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 01:17:29 ID:/Anf5pos0
もう一人は痩躯ながら鍛えられた鋼のような精悍さを持つレスキュー服姿の男。
積み上げられた資材に隠れ、その二人を数分前から覗いている二人組。
青い長羽織を小粋に着こなす女、日向おぼろと、高き冒険者ボウケンブルーこと最上蒼太である。
「あの黒装束は見るからに怪しい、っちゅう感じで思わず隠れたけど……」
「人質を助ける相談をしてるみたいですね」
蒼太とおぼろは顔を合わせて頷きあった。

二人がJ−10エリア『叫びの塔』を目指している途中、メガブルーなる人物を呼ぶ声がエリアに轟いた。
ひとまずバリサンダーをFー5エリアの外れに隠しタワーへ急いだ二人。
一足先にいたのが、レスキュー服の男と黒装束。
「救出作戦とあれば……よし、うちらも合流しよう」
腕をまくって勇むおぼろ。蒼太は慌てて止める。
「もう一人。あそこのビルの上、学生服を着ています。こっちの彼は狙いが違うんじゃないかな」
蒼太はおぼろにスコープショットを握らせビルの上を示した。
ビルの上の少年の思い詰めた表情が蒼太には気がかりだった。
彼、高校生くらいかな?
人質救出のわりには怯えたように周りを警戒している。
野次馬には相応しくない切羽詰まった様子。
明らかに人為的につけられた頬の怪我。
そこから受ける印象は『彼は殺し合いに乗ろうとしている』
漁夫の利を狙うか、思いとどまるか。
できれば後者であって欲しい。

蒼太は死者を告げるロンの声を思い返す。

『皆さん――― まずは亡くなられた方からお知らせいたしましょう。伊能真墨……』

伊能真墨、ボウケンブラック。

538 :名無しより愛をこめて:2008/09/15(月) 01:20:39 ID:UVqGj+aWO



539 :名無しより愛をこめて:2008/09/15(月) 01:21:56 ID:G8zk/JmxO



540 : ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 02:15:28 ID:UVqGj+aWO
さるさんのため、残りは仮投下スレに投下致しました。


541 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 09:38:52 ID:/Anf5pos0
彼のひねた笑顔と声が脳裏に浮かぶ。
『手を貸すぜ。金庫から頂くんだろ?』
先日の三国覇剣の一件ではこっそり先回りしてハイパープログラム社で蒼太を待っていてくれた。
まだ付き合いは浅かったが、それなりに上手くやっていけそうだった。
その真墨が、殺し合いの犠牲になった。
彼の死を確かめるすべもなく、一方的に薄笑いを浮かべたロンから告げられた。
中途半端な、やり場のない苛立ちと憤り。
あんな思いはもう味わいたくないし、誰にも味わわせたくない。
気持ちを落ち着けるように蒼太は右手の指輪に触れた。

おぼろがスコープを覗きながら蒼太の袖を引いた。
「あの子、メガブルーなん違うかな?なんや怪我もしてるし、一人でどうしようか思い詰めてるんちゃう?」
「彼がメガブルーか。う〜ん、そうかもしれないけど」
少し考えてから
「僕には殺し合いに乗るかどうかで迷っているように見える」
と正直に言ってみる。
スコープショットを蒼太に渡しながら、おぼろは困り顔で言った。
「もしそうやったら、何とか思いとどまらせる事はできんやろか。
鷹介たちもそうやけど、あの年代の子らは良い意味でも悪い意味でも真っ直ぐやから、方向を間違えたらえらいことになる」
確かに、ブレーキのきかない年代。
思いとどまって欲しいと願うのではなくて、思いとどまらせる。
なるほどね。それが良い道標なのだろう。
「彼がメガブルーだとして、二人の話と彼の様子をみると。何か行き違いがあってあの二人が彼を傷つけてしまった。
そして二人はその償いをしようとしている。それを彼は知らないんでしょうね。下手したらあの二人も自分を狙ってると思っているかもしれませんね」
「そんな風に思ってるとしたら、余計良い結果にはならんな」
「まっ、直接本人に聞いてみましょう。おっと、おぼろさんはここを動かないで」
おぼろはここに残ってもらうつもりだ。男同士の方が話しやすいと思ったからだ。
「蒼太くん、あの子が殺し合いに乗ってしまってたらその時はどうするん?」
蒼太は二人の男を見遣る。

542 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 09:41:05 ID:/Anf5pos0
自分を助けようとしている二人を知ったら思いとどまるかもしれない。そう思っている。
だが、それが彼に伝わらなければ……。
デイバックの上からヒュプノピアスに触れる。
「その時はちょっと荒っぽいやり方も必要かもしれませんね」
「荒っぽいやり方って……ちょっと蒼太くん!」
「危険なことはしませんよ」
そう言っておぼろに片手を振り、蒼太は少年のいるビルへ向かった。



§


ここを動かないでと言われたけど……。
蒼太がビルに入っていった後、おぼろは二人の男の様子を伺っておこうとそっと近付いた。
おぼろとしてはそっと近付いたつもりなのだが、すぐに男達に見つかってしまった。
「誰だ。出てこい!」
「バウ!バウ!」
銀色の犬がおぼろの後ろに回り込んで、足下にまとわりつく。
「うちは、べつに。ちょっとやめて!ほんまに」
「マーフィー。やめろ」
黒装束の男の声に銀色の犬はちょこんと座り込んだ。
「あんたは?」
レスキュー服の男がおぼろに厳しい視線を向ける。
おぼろはおずおずと口を開いた。
「うちは日向おぼろ。自分で言うのもなんやけど怪しい者じゃないで。
もちろん殺し合いなんか乗ってないし。今はここにはおらんけど、最上蒼太くん、ボウケンブルーと一緒にあの声を聞いて、急いで駆けつけたんや」
「そいつはどこへ行ったんだ?」
レスキュー服の男の眼がさらに厳しくなる。

543 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 09:45:41 ID:/Anf5pos0
「そこのビルの上に学生服の男の子がたっとって……。あんたら話してた瞬て言う子やと思う。その子の所へ」
「何だって?瞬が来てるのか!どこだ」
おぼろが指を指すが、隠れてしまったのか距離があるからか人影があるかもはっきりしない。
「瞬、来ないと思ってたぜ」
表情を弛めレスキュー服の男が呟いた。
この人はあの子が殺し合いに乗ったかもしれないなんて考えてもいない。
本当にそうならそれでいい。
この二人には余計なことは言わずに蒼太を待とう。
「最上ってヤツ、信用できるんだよな」
声を穏やかにレスキュー服の男が尋ねてきた。
「うちは蒼太くんに命を助けてもらったから、信用するも何も……。もう少ししたら瞬って子連れてここに戻ってくると思う」
「そうか。それはそうと、いつから聞いてたんだ」
おぼろはほっとした。男は表情も穏やかになっている。
「黙って聞いてたんわ謝るわ。すんません。
でもあんたらも信頼できるかどうか解らんかったし。失礼やけど、特に黒装束の人なんか見るからに、なぁ」
おぼろは本人に同意を求めるように黒装束を見た。
黒装束の男は笑っているようで傷ついているような表情を浮かべた。
とりあえず、会話は掴んだ。本題を切り出そう。
「人質を助けようとしてるんやろ。それうちらにも手伝わせてくれる?」


§


話の腰を折るように、マーフィーは大きく遠吠えした。
「バウ!バウバオォォーーン!」
「マーフィー、どうしたのだ?」
「バウ!」
走り出したマーフィーを追いかけていったティターン。
戻ったティターンは纏に話を始める。

「ジルフィーザの話では白い服を着た少年で、ドロップではないと言っていた」

544 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 09:49:48 ID:/Anf5pos0
ティターンがジルフィーザと行動を共にし、ジルフィーザが必死の思いでドロップを捜しているのはすでに聞いていた。
白い服の子供。何か引っかかる。纏は記憶をたぐり寄せる。
いや、確かマツリが一度連れていた炎を操る子供。
ドロップからサラマンデス変わる前、そんな姿をしていた。
また戻ったのか?わけがわからねぇ。
ティターンの話ではジルフィーザは俺を覚えちゃいなかった。ありえなくもねぇかもな。
いや、覚えてないんじゃねぇ。
それじゃ、辻褄が合わない。
「ティターン。何かのまじないで俺を忘れたんなら納得できる。だけどよ、ドロップまでわからねぇのは変だろ?」
「確かに」
「俺の考えはこうだ。ジルフィーザも俺もドロップも、違う時間ていうか、時代というかとにかくずれた時間から連れて来られたんだ。
さっき話しただろ。タイムレンジャーのヤツラ、あいつらと一緒に戦ったとき原始時代に飛ばされた。
そんな感じでジルフィーザは地球に来る前、ドロップはサラマンデスになる前、俺は平和が戻った時。なぁ、わかるか」
「信じられぬ話ではない、ならば、その子供がドロップだというのか?!」
「あぁ、ドロップだろう。瞬と声の主も、俺たちとおそらく同じだ。だから瞬はコイツを知らないんだ」
纏の言葉に深く頷くティターン。
「ただ、メガブルーを連れてこなければ上には上がれないようだ。呪文か何かでジルフィーザも近寄れなかったらしい」
「瞬を行かせるわけにはいかねぇ」
良策は浮かばない、上にも上れないとなれば、万事休す。
「こっちも人質を立てたらどうやろう。交換させるために下まで降りてこいって」
おぼろが進言する。
「メガブルーご指名のあいつが、人質になんか興味示すと思うか?」
「本人になってもろたら……」
「ダメだ!」
「ほんまに引き渡すわけやない。うちも含めて4人がかりならなんとかなるやろ。あの声の主さえ引きずり下ろしたら良いだけの話や」
その時、聞くはずのない声が割って入った。
「僕なら構いません。名案だと思いますけど……」
青いジャケットの男に連れられて、瞬がそこに立っていた。

纏を無視するように青いジャケットの男と言葉を交わす瞬。
「瞬、手紙読まなかったのか?」
なんとなくすっきりしない思いで纏は尋ねる。

545 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:02:47 ID:/Anf5pos0
「手紙?」
瞬は怪訝な顔で纏を見つめた。
俺が守ると、安心させてやりたかったんだが……。
読んでもらえなかったのなら、行動で示せばいい。
ティターンも気持ちは同じなのだろう。
視線を合わせた二人は頷き会った。
纏は皆に告げる。
「まずは情報交換させてくれ。その後、俺とティターンで要救助、出場する」


§

再びマーフィーと共にジルフィーザを探し当てたティターン。
ドロップは本物であると、纏の考えをジルフィーザは半信半疑ながら信じたようだった。

「頼む!ジルフィーザ!!声の主に伝えてきてはくれないか。お前しか上空へたどり着けぬのだ」
「上空までまだおそらく飛べるであろう……忌ま忌ましい制限のお陰でドロップの身はお前に預けるしかないようだ」
ジルフィーザはそのまま空へ舞い上がりタワーの上部へ向かう。
「行ってくれるのか!」
安堵するティターンを振り返らずに、ジルフィーザは言った。
「弟のためだ……。先程別れた場所、そこで待とう」


§


朝日がタワーのガラスブロックを照らす。

546 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:06:36 ID:/Anf5pos0
キラキラと煌めく光の中を、纏とティターンが立っていた。
暫時の間を経て、回転扉から声の主が姿を表した。

「お前、何者なんだ?なぜメガブルーを狙う」
纏は声の主に名を問う。
「俺の名かい?ネジブルーだよ。だけどそんなのどうだっていいだろ〜。言うことを聞いてわざわざ降りてきてやったんだ。さぁ」
『いっちまってる』直接耳にしたネジブルーの声は、期待と興奮の混じった嫌な声色だった。瞬でなくても聞けば鳥肌の立つような。
「さぁ、人質を交換するんだろう〜。俺の人質は、ほらあそこにいるよ」
ネジブルーは得物の先でタワーの三階辺りを差した。
窓ガラスの向こうに黒いスーツの女と子7、8才ぐらいの子どもの姿が見えた。
これでうまい具合に、人質とネジブルーに距離が出来た。
あそこなら自分が戦っている間に隙を見て救出してもらう事は可能だ。
「おい、聞いてるのか?メガブルーはどこだい」
痺れを切らしたネジブルーが催促を始めた。
さてと……。
一呼吸置いて纏はティターンと目配せを交わす。
ティターンは頷き、纏の横に並んだ。
「残念だけどな。メガブルーはここにはいねぇよ」
「何だって〜。じゃあどこにいるんだい。早く教えろよ〜」
ネジブルーは手にしたメガホンと斧をちらつかせるようにゆったりと手を動かした。
纏は脅しに屈しない強い眼差しでネジブルーを見据える。
要救助者は女性1名、子供1名、そして並樹瞬の合計3名。
一刻も早く救助しなければならない。
人の命は、地球の未来だ。
「メガブルーに手出しはさせねぇ。あいつは俺たちが守る!」
握り締めた拳をネジブルーへ向ける。
「手出しはさせないだって?」
「あぁ、お前の相手はこの俺だ!」
腕を組んだネジブルーは頷きながら、考えるような素振りを見せた。

547 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:09:45 ID:/Anf5pos0
「へぇ〜、そういうことか。最初から人質を交換する気なんてなかったんだな」
そう呟いたネジブルーの肩が小刻みに震えだした。
「もう少し、ましなことを思い付かなかったのか? ムカつき過ぎて笑っちゃうよ 。
フヒャハハハハッフヒャハハハハッ、ヒャハハハハッハッ !!」


§


俺がどんな思いでこの瞬間を待ってたと思うんだ?
なぁ、Dr.ヒネラー。
この気持ちは何なんだ?メガブルーだけじゃねぇ。ここにいるやつら、全員殺してやりたいよ。

ネジブルーは心の中でDr.ヒネラーに問いかける。
無論、心の中のDr.ヒネラーは答えない。
ネジブルーはDr.ヒネラーにより生み出された狂気の生命体だった。
メガブルーを敵視し、倒すためにプログラムされた存在。
こうして再び蘇るまで、ネジブルーを殺すという意志は所詮組み込まれたプログラム。
ネジブルーは、ただの操り人形だった。
だがここに来てからは違う。
メガブルーへの復讐。その確固たる意思はネジブルーだけの物だ。
そう、Dr.ヒネラーなどもういない。自分を縛る枷などないのだ。
作戦も、指示も、帰還命令もない。
ネジブルーは悟った。好きなようにやって構わないのだ、と。

「よってたかって、俺の楽しみを邪魔しやがって……」

メガブルー以外の存在に対する憎悪が湧き上がる。
その感情はより率直に、果たして彼の意思に破壊的に働きかける。

548 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:11:52 ID:/Anf5pos0
「へぇ〜、そういうことか。最初から人質を交換する気なんてなかったんだな」
そう呟いたネジブルーの肩が小刻みに震えだした。
「もう少し、ましなことを思い付かなかったのか? ムカつき過ぎて笑っちゃうよ 。
フヒャハハハハッフヒャハハハハッ、ヒャハハハハッハッ !!」


§


俺がどんな思いでこの瞬間を待ってたと思うんだ?
なぁ、Dr.ヒネラー。
この気持ちは何なんだ?メガブルーだけじゃねぇ。ここにいるやつら、全員殺してやりたいよ。

ネジブルーは心の中でDr.ヒネラーに問いかける。
無論、心の中のDr.ヒネラーは答えない。
ネジブルーはDr.ヒネラーにより生み出された狂気の生命体だった。
メガブルーを敵視し、倒すためにプログラムされた存在。
こうして再び蘇るまで、ネジブルーを殺すという意志は所詮組み込まれたプログラム。
ネジブルーは、ただの操り人形だった。
だがここに来てからは違う。
メガブルーへの復讐。その確固たる意思はネジブルーだけの物だ。
そう、Dr.ヒネラーなどもういない。自分を縛る枷などないのだ。
作戦も、指示も、帰還命令もない。
ネジブルーは悟った。好きなようにやって構わないのだ、と。

「よってたかって、俺の楽しみを邪魔しやがって……」

メガブルー以外の存在に対する憎悪が湧き上がる。
その感情はより率直に、果たして彼の意思に破壊的に働きかける。

549 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:22:07 ID:/Anf5pos0
ネジブルーは己の意志を、すべてに対する憎悪という感情を手に入れた。


§


「邪魔する奴は皆殺しだ!!」

獣じみた咆哮を上げ、ネジブルーが光を放った。
それと同時にティターンの掌から光弾が走り攻撃を相殺する。
「チッ」
憎憎しげに舌打ちを鳴らし、ネジトマホークを構えるネジブルー。
カンマ数秒遅れて変身コードを入力した纏。
威勢と気迫を拳に載せ、クロスした腕を真っ直ぐ突き出し引く、さらに突き出し引き寄せた拳を胸の前で固く合わせ、叫んだ。

「着装!」

その身に纏うは火消しの心意気。
ゴーレッドが着装完了と共に己の信じる正義に敬礼する。

「よし!一気にカタをつけるぜ。ファイブレーザー!スティックモード!!」
大きく踏み込んで間合いを詰めるゴーレッドへ、ネジブルーが突進。
「お前も仮面を割ってやろうか〜!?」
ゴーレッドはネジブルーの力強い斧の衝撃を剣で受けるも弾き飛ばされた。
続くティターンが組み手に持ち込もうとするが、スピードではネジブルーが上、軽くかわされ背中に手刀を叩き込まれる。
「グッ!」
「ティターン!」
ティターンへ気を取られたゴーレッドの顔面にネジトマホークが迫る。
上体を屈してかわし、報復とばかりに脇腹を切りつける。

550 :名無しより愛をこめて:2008/09/15(月) 10:23:31 ID:k605bzNV0
支援

551 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:27:36 ID:/Anf5pos0
ステップを踏むように、数歩後退したネジブルー。
傍らに転がるソニックメガホンを手に取った。
「ヒャハハハハッ!回れ〜回れ〜」
ゴーレッドとティターンはぐるぐるとコマのように回り出した。
「うわぁぁぁっ!」
「くっ、ぐぁ!」
回りながらもゴーレッドはレスキューロープを手に取る。
「ヤァ!」
ソニックメガホン目掛けレスキューロープを伸ばす。
「無駄だよ〜殴り合え!」
届かず。突如、身体は急激にティターン目掛けて突進する。
磁石が引き寄せられるように拳を突き出したお互いの身体がぶつかり合う。
鈍い音と衝撃がゴーレッドの脳を揺らした。
「このままじゃ埒があかねぇ」
その時。
「バウ!」
銀色の弾丸の如く駆けたマーフィーがネジブルー腕に飛びついた。
マーフィーを振り払おうとソニックメガホンを放したネジブルー。
「マーフィーすまねぇ!よし。ファイブレーザー、ガンモード」
ゴーレッドの銃撃に続き、ウラノスとガイアの怒りを手にティターンが追撃する。
ネジブルーは慌てる様子もなく、マーフィーの足を掴む。
「こいつはいい盾になるぜ〜」
「何!」
「バャウーーーー!!」

552 :名無しより愛をこめて:2008/09/15(月) 10:28:25 ID:k605bzNV0
支援

553 :Chance or Death ◇MGy4jd.pxY 代理:2008/09/15(月) 10:36:09 ID:k605bzNV0
数発の光弾を受け火花を散らすマーフィー。
咄嗟に駆け寄るティターンへネジブルーは容赦なくネジトマホークを振り下ろした。



§


外では纏とティターンが苦戦しているようだった。
瞬は外が見えない位置に座り、時間が経つのをじっと待っていた。
どっちでもいい。どちらが勝とうが負けようが。
制限があるのは知ってる。
ただそれが時間なのか回数なのかわからない。
相打ちに近い状態になった時、出て行けばいいのだ。
人質もおぼろも、きっと蒼太が手に掛けるのだろう。
それとも手伝わされるのだろうか。
ゾッと恐怖が込み上げる。
自分が救われる代わりに他の人間が死ぬ。
瞬はその時のことを心待ちに出来るほど冷酷ではない。
まだ何もしていないのに、罪悪感で押しつぶされそうだ。

普通におぼろと話している蒼太の神経を正直、疑う。
瞬を見つけ出した時……

蒼太は――――



「おっと、なんで逃げるんだい?」
瞬の行く手に男が立ちはだかる。

554 :Chance or Death ◇MGy4jd.pxY 代理:2008/09/15(月) 10:36:59 ID:k605bzNV0
掌にじっとり汗が滲む。
「逃げるなんて……俺は」
「そう。逃げる必要は無いんだ。心配はいらないよ。僕の目的は君と同じだからね」
再び男と視線が合う。
「言わなきゃわからないかな?」
自白を強いられるような酷薄な眼が瞬を見つめる。
「俺は生きて帰って、夢を叶えるんだ……」
瞬は思わずそう漏らしていた。
「そのために手段は必要だ。仲間も、ね」
酷く冷たい声で男は言った。スリルを楽しんでいるような声だった。


――――こいつが俺の仲間。
どのみち一人でもやろうと思ってたんだ。
そうじゃなきゃ、帰れない。

ふと、おぼろと蒼太の会話が耳に飛び込んでくる。
その話を聞いて瞬は唖然とした。

「蒼太くん。気を付けて」
「おぼろさんも人質と合流したら打ち合わせたビルまで速く逃げてください」
出口へ向かう蒼太に瞬が駆け寄る。
「助けに行くって話が違うじゃないか」
蒼太の胸ぐらを掴む瞬。
「あんた。あほか!」
パン!おぼろが瞬の頬をひっぱたいた。
「……あんたのために、纏さんら必死に戦ってるっちゅうのに」
キッと睨み付けるおぼろを蒼太が片手で制す。
「話が違うって何のことだい。悪いジョークだよね?」
「なっ?!ジョーク?」
瞬は言葉をつまらせる。

555 :Chance or Death ◇MGy4jd.pxY 代理:2008/09/15(月) 10:37:45 ID:k605bzNV0
「あぁ、悪いジョークだ。『君は夢を叶えるために生きて帰る』そう言ったけど、その手段が僕たちと違うなら本気で洒落にならないね」
蒼太は笑顔を見せた。だが眼は笑っていない。
「さっきから二人のことを一度も見ようとしないけど、一回よく見てみたらどうかな」
瞬は蒼太に窓辺まで引っ張られた。
それでも目を背ける瞬に、蒼太は溜息混じりで言った。
「君の願いは『最後の一人になって夢を叶える』か。
42人の屍と、その家族や仲間、悲しみで心を失った人たちの上でみる夢。そんな夢が本当にいいものだと思うかい?」
蒼太はそう言って部屋を出て行った。おぼろも後に続いた。

一人になって、初めて瞬は纏とティターンを見た。
ネジブルーの声と纏の怒声が瞬の耳を打った。

『馬鹿な奴らだ。メガブルー一人渡せば命を落とさずにすんだのにね』

『黙れ、たとえ、たった一つの命でも守らなきゃいけねぇ。
その未来を守るのが俺の責任なんだ。俺は絶対あきらめねぇ!!!』

次の瞬間、瞬は走り出していた。


「待ってください。……さっきのは悪いジョーク、です」
階段を降りる蒼太とおぼろに追いつくことが出来た。
おぼろは頷いてくれたが、蒼太は聞こえていないように瞬を無視して階段を駆け下りる。
瞬もそれに続く。
瞬の方針は決まった。
それをわかってもらいたかった。
「でも、夢は叶える。生きて返って、必ず……。

556 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:38:24 ID:/Anf5pos0
数発の光弾を受け火花を散らすマーフィー。
咄嗟に駆け寄るティターンへ、ネジブルーは容赦なくネジトマホークを振り下ろした。



§


外では纏とティターンが苦戦しているようだった。
瞬は外が見えない位置に座り、時間が経つのをじっと待っていた。
どっちでもいい。どちらが勝とうが負けようが。
制限があるのは知ってる。
ただそれが時間なのか回数なのかわからない。
相打ちに近い状態になった時、出て行けばいいのだ。

ゾッと恐怖が込み上げる。
自分が救われる代わりに他の人間が死ぬ。
瞬はその時のことを心待ちに出来るほど冷酷ではない。
まだ何もしていないのに、罪悪感で押しつぶされそうだ。

普通におぼろと話している蒼太の神経を正直、疑う。
瞬を見つけ出した時……

蒼太は――――



「おっと、なんで逃げるんだい?」
瞬の行く手に男が立ちはだかる。
掌にじっとり汗が滲む。
「逃げるなんて……俺は」

557 :Chance or Death ◇MGy4jd.pxY 代理:2008/09/15(月) 10:38:32 ID:k605bzNV0
CGデザイナーになったら、個展の招待状は最上さんとおぼろさん、それとあの二人にも送ります」
振り返った蒼太が笑顔で頷く。蒼太の笑った顔を初めて見た気がした。
「オッケー。じゃ行こうか」
「はい」
返事をしたものの、瞬は考える。
ここで二人で飛び出すのが最善なのかと。
「いや、最上さんたちはもう少しここで待っていてください。俺達には制限がある。それが時間制限だとしたら少しでも戦力は温存しておいた方がいい」
ヒューゥ、蒼太が口笛を鳴らした。
「いい読みだね。CGデザイナーなんて辞めて卒業したらボウケンジャーに入らない?」
照れながら、低調に返した。
「遠慮しときます」
瞬は纏とティターンの元へ駆け出した。


愛情とか友情とか、夢の前なら後回しで構わないと思ってた。
ホントはそう言うの嫌いじゃないしな。
誰かを犠牲にして叶える夢なんて、俺の夢じゃない。
夢はあきらめさえしなきゃ叶えられるんだから。


「インストール、メガレンジャー!」

――3・3・5・Enter――

デジタイザーが輝き、粒子となった光が瞬の身体を廻る。

「あの刃のねじれ具合、もしかしてネジレシアか?トマホークスナイパー!!」
狙いは肩、マーフィーを盾に出来ない位置に銃弾を撃ち込む。
「メガブルゥ〜。やっと来たね!」

558 :Chance or Death ◇MGy4jd.pxY 代理:2008/09/15(月) 10:39:17 ID:k605bzNV0
待っていたかのようにネジトマホークを振るい銃弾を薙ぎ払う。
ゴーレッドは銃撃で応戦しながらメガブルーに顔を向ける。
「瞬、何できたんだ!ここは俺が……」
「わかったんです。俺、戦う責任も、あきらめないって意味も。でも話は後で。今は戦いに集中してください!」
「そうだな。後でゆっくり聞かせてもらうぜ!」
トマホークスナイパーとファイブレーザーの連射。
一方的な銃撃にネジブルーは防御に徹し、攻撃を繰り出せない状態に追い込む。
「ティターン!任せたぜ!!」
ゴーレッドが叫ぶ。
ティターンが天に向け高く伸ばした掌より出現した淡い光は、瞬く間に巨大な光源と化した。
ネジブルーへ向け光源を撃ち放つティターン。
轟く雷鳴が耳を劈き、逆巻く散光はネジブルーを焼き尽くしたかに思えた。
「遅いよ〜」
爆風にのって、嘲笑を浮かべたネジブルーが飛び出した瞬間。
「今だ!」
ティターンが大きく両手を広げた。
「おう!」「はい!」
メガブルーが右、ゴーレッドが左から、ティターンの肩を踏台に跳ね上がる。
「シュート!」
空中でクロスし、前面に躍り出たゴーレッドが放つエネルギー光弾が、流星の如くネジブルーへ降り注ぐ。
メガブルーは数発くらい後退しながらも、ネジトマホークを縦横に振るい光弾を裁く。
そこへ後方から大きく一回転し反動を付けたメガブルーがネジブルーへ迫る。
「メガトマホーク!」
メガトマホークの鋭い刃がメガブルーの右肩を切り裂く。
そのまま左方へ回転し、次の一撃を横腹に打ち込む。
「遅いのはネジブルーお前だぜ!」

559 :代理投下感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:39:56 ID:/Anf5pos0
   

560 :Chance or Death ◇MGy4jd.pxY 代理:2008/09/15(月) 10:40:04 ID:k605bzNV0
わざと冷静な声で嘲笑を浴びせ、勝ち誇ったように高く跳躍する。
ネジブルーは悔しさに身を震わせ、右腕をメガブルーに向け吼えた。
「メガブルゥゥッ!!」
咆哮と共に放った青い光弾がメガブルーを追う。
冷静になれ。
メガブルーは光弾から眼を逸らさない。
そうだ。冷静になれば避けられないスピードじゃない!
着弾の寸前、空中で身を翻し体に回転させながら避けた。
頬を掠めた光弾が空しく中に散った。
「これで終わりだ!トマホークハリケーン!!」
そのまま降下のスピードと遠心力で破壊力を増した渾身の連撃を放つ。
その時、上空か稲光のような黄金の光が走った。

――ガキンッ!

ぶつかり合う金属音。
「ウァァァッ!!!」
一瞬の拮抗。弾かれたのはメガブルーだった。
上空より投擲された一振りの黄金の剣がメガブルーを止めた。
その剣を放ったのは……。

「楽しそうね〜。ワタシも仲間に入っちゃおうかな♪」
ネジブルーに微笑みかけたのはコギャル風の怪人。
「助けてくれたのかい?」
「べつに〜ワタシは何とかブルーに用があるだけよ」
「へぇ〜気が合うねぇ」
「さぁ〜どうかしら?」
ネジブルーをはぐらかすような言葉の後、コギャル風の怪人はぴょこんとゴーレッド達の方へ向きを変えた。

「せーの、どっか〜ん!!」

561 :Chance or Death ◇MGy4jd.pxY 代理:2008/09/15(月) 10:40:57 ID:k605bzNV0
ピンク色の閃光がの足下へ走る。
ゴーレッド達は爆風と轟音に包まれた。


§


フラビージョの姿を認めた蒼太はフォローに回るべく動いた。

爆風の中、眼を凝らす。
フラビージョが黄金の刀を振り上げメガブルーへ駆け寄っていた。
「間に合ってくれ!」
ダッシュで距離を詰める。
「た〜め〜し〜ぎ〜り〜!!」
フラビージョの前に立ちはだかる蒼太。
振り下ろされた黄金の刀をアクセルラーのタービンで受け止めた。

「レディ、ボウケンジャー!」

そのまま下から突き上げるようにタービンを滑らせ刀を弾き返す。
迸る火花と高まるタービンの回転音。
今、蒼太の胸を打つのは冒険に対する期待ではなく、悪を排除する決意。
不適な笑みを浮かべ蒼太は叫ぶ。

「スタートアップ!!」

目も眩む光が蒼太を包み、瞬時にブルーのアクセルスーツへと姿を変える。
黄金の刀を弾き返されふらふらとよろけるフラビージョ。
「言ったよね?女の子がそんなもの振り回してたらダメだって」
ボウケンブルーはパンッと手を叩きステップを踏むように間合いを取った。
「女性相手にこういう事やりたくないだけど、ごめんね」

562 :Chance or Death ◇MGy4jd.pxY 代理:2008/09/15(月) 10:41:43 ID:k605bzNV0
右腕を後方へ退き、力強く突き出す。
拳に装着したブロウナックルから、旋風が渦を巻きフラビージョの体を舞い上げた。
「いやーん!って、そ〜んな簡単にやられるフラビージョ様じゃないわよ♪」
フラビージョは蜂のように白い4枚の羽を高速で羽ばたかせ空中で止まった。
小刻みに羽音を鳴らしながら、ボウケンブルーを標的にシュシュッと高速で針を吐き出す。
「なかなかやるね」
蒼太は回転しながらブロウナックルを地へ向け出力を前回にする。
同じ高さに舞い上がる。
「なにそれ〜。飛べるなんて聞いてな〜い」
「サバイブレード!」
ボウケンブルーはサバイブレードで袈裟懸けに斬りつける。
「ぎゃ〜〜」
フラビージョはくるんくるんと二回転回り墜落。
そのすぐ横にはゴーレッド、メガブルー、ティターンと対峙するネジブルーがいた。


§


ゴーレッドの耳におぼろからの声が届く。
「こっちは大丈夫やで〜。人質は無事やで!」
瞬が立っていたビルの上から聞こえるその声にゴーレッドは安堵した。

敵はすでに追いつめた。
ネジブルーとフラビージョはタワーを背に隣合わせで4人と対峙する。
時折言葉を交わしているのは最後の悪あがきだろう。
ゴーレッド、メガブルー、ティターン、ボウケンブルーの配置で囲んだ包囲網を少しずつ狭めていく。
メガブルーが前へ進みゴーレッドと並んだ。

たった数時間でいっぱしの戦士になったな。

563 :名無しより愛をこめて:2008/09/15(月) 10:44:05 ID:UVqGj+aWO
支援

564 :名無しより愛をこめて:2008/09/15(月) 10:48:33 ID:UVqGj+aWO



565 :代理投下感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:52:06 ID:/Anf5pos0
メガブルーの姿をゴーレッドは誇りに思った。

「あきらめた方が良いぜ」
「ヒャハハハハハハッ、ヒャハハハハッ!」
ネジブルーが笑い出した。そしてネジブルーを抱えたフラビージョが高く高く跳躍した。
「ふざけんな、飛んだからって逃げられるとでも思ってんのか!」
メガブルーが叫ぶ。
「楽しいよ〜。またお前らとやりあえるんだ。ヒャハハハハハハッ!全員は死なないでくれよ〜」
笑いながら上昇を続ける二人に、4人がそれぞれの武器を構えた。
嫌な胸騒ぎがする。
ゴーレッドは辺りを注意深く見渡す。
アンチハザードスーツが警告を発した。
タワーの中に燻る微かな煙を発見したのだ。

ごく小さな火種が一本の道を辿るように、ぱちぱちと燃えている。
心臓が揺さぶられたように大きく鼓動した。
おそらくこれは、時限発火装置。

「逃げろ!」

素早く声に反応したのはボウケンブルー。
最高方にいたこともあっておぼろ達の方へいったはずだ。
ティターンは、マーフィーをそのままにしておけないのだろう。
入り口の近くのマーフィーも元へ。
この時、メガブルーはまだネジブルーに狙いを定めていた。

―――― カッッ!!!!!!!!!

タワーの窓ガラスが真っ赤な閃光に染まった。

566 :代理投下感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:55:02 ID:/Anf5pos0
一瞬、圧縮される空気。タワーの表面が軋むような音を鳴らした。

この威力、テルミット弾だ。
「瞬!」
上空を見上げるメガブルーにゴーレッドが手を伸ばした。

メガブルーを引き寄せ、ティターンを見遣る。周囲に淡い光の壁が見える。
ゴーレッドは安堵した。

―――― パアァーーーン!!!!!!!

膨張した空気がタワーの何百枚とのいうガラスを砕く。

―――― ゴォォォォォゥー!!!!!!!

爆音と共に灼熱に解けた鉄骨と、火球と化したコンクリートブロックが降り注ぐ。

「ウオォォォォォッッッーーーーー!」

ゴーレッドはファイブレーザーを力の限り振り回す。
ナイフのようなガラス片を粉砕し、鉄骨を弾き、コンクリートブロックを打ち砕く。
凄まじい風圧にも揺るがず、メガブルーの盾となり数年に匹敵する数十秒を耐えた。


§

瞬はその後ろ姿を一生忘れ無いだろうと思った。

567 :代理投下感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 10:57:16 ID:/Anf5pos0
自分の命を、夢を守った男の背中だ。

「はぁーーー。さすがにキツかったぜ」
纏は放心状態で仁王立ちしたままだった。
「俺なんていっていいか。本当にありがとうございました」
瞬は深々と頭を下げる。
夢×命×未来の恩人だ。いくら下げても足りないぐらいだ。
「敬語なんて……やめろよ」
声の変化に気付き、瞬は顔を上げた。
「俺達…もう仲間だ…ろ……」
ガクンと纏の膝が折れ、そのまま地に倒れ込んだ。
「纏さん?!」
抱き起こした瞬の目に飛び込んで来たのは、纏の腹部に深く突き刺さった鉄骨の破片。
人質だった者を連れて帰ってきたおぼろが息を呑む。
蒼太とティターンも駆け寄る。
皆を止めるように、纏が口を開いた。
「心配すんな。こんなの……たいしたことない」
力なく言い、鉄骨を引き抜こうとした。
滲み出る血液で手が滑って、引き抜こうとするたび纏の口から血が溢れ出る。
瞬は纏の手を握り叫んだ。
「誰か、薬!なんでもいい!!この傷、どうすりゃいい」
助けを求め皆を見回す。
蒼太もティターンもおぼろも、悲痛な表情でただ纏を見つめている。
纏は大きく息を吐き出し、言葉を紡ぐ。
「瞬……朝メシ…まだだろ?俺のデイバックの中の……カレーパン、あれお前に……やるよ。他にも……何か……使えそうなら……お前が使えよ……」

568 :代理投下感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 11:01:25 ID:/Anf5pos0
「何縁起でもないこと言ってんだよ!それに、朝からカレーパンなんていらねーよ」
「ははっ……それもそうだな。じゃ…後で……俺が作ってやる……」
瞬は黙って頷いた。
ゴボッ、纏の喉元が鳴った。
身体の中に溢れた血が、喉元まで上がって来ているのだ。
纏の瞼がゆっくりと閉じられていく。
「纏さん!纏さん!!」
瞬の声に薄く纏の瞼が開いた。
蒼太が瞬の肩にそっと手を掛け、首を横に振る。
それを見た瞬の視界が滲む。
瞬は涙が零れないように、声が震えないように、でも纏から視線を逸らさずに少し上を向いた。
「なんだよ……少し眠…らせろ……よ。瞬…お前のせいで………、俺…は……ろくに…寝て……ないんだ……」
「わかった。ゆっくり……」
眠ってください。最後の言葉が出てこなかった。
それを言ってしまったら終わる。瞬は奥歯を噛締め言葉を発せられずにいる。
ふっと纏は瞬の手を離し、力無く握った拳で、瞬の額を優しくトンと叩いた。
不覚にも涙が零れた。
「眠るがいい……」
ティターンが静かに瞬の言葉を引き継いだ。
マトイはその場を見渡し、ふっと微笑むと静かに眼を閉じた。
瞬の腕の中でマトイの力が少しずつ少しずつ抜けて行く。
まだ体は温かいのに、肌は色を失っていないのに、一秒前と何も変わらないのに……
纏はもう二度と目覚める事はないのだ。
マーフィーが淋しげに遠吠えする。
「纏…さん!!」
瞬の瞳から積を切ったような涙が溢れ出た。嗚咽を洩らしながら、瞬は小さな子供のように泣いた。


【巽纏 死亡】  残り33人

569 :代理投下感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 11:02:13 ID:/Anf5pos0
【名前】冥王ジルフィーザ@救急戦隊ゴーゴーファイブ
[時間軸]:第1話前
[現在地]:F-5都市 1日目 早朝
[状態]:健康。2時間能力発揮できません
[装備]:杖
[道具]:支給品一式(個別支給品は確認済)
[思考]
基本行動方針:ドロップを探し、ロンを殺す。
第一行動方針:ドロップの救出と、F-7エリアでドロップとティターン待つ。
備考:首輪の制限があることに気が付きました。

【名前】冥府神ティターン@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage46(ン・マの依り代にされた)後
[現在地]:F-5都市 1日目 早朝
[状態]:全身打撲。火傷。2時間能力発揮できません。
[装備]:ウラノスとガイアの怒り、黒装束(虹の反物@轟轟戦隊ボウケンジャー)
[道具]:マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:命を守る
第一行動方針:ジルフィーザと合流する。
第二行動方針:スフィンクスを捜す。
備考:ティターンは虹の反物の特別な能力に気付いていません。首輪の制限があることに気が付きました。
   :纏からタイムレンジャー、サイマの情報を得ました。

570 :代理投下感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 11:04:17 ID:/Anf5pos0
【名前】マーフィーK−9@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:不明
[現在地]:F-5都市 1日目 早朝
[状態]:銃弾によりかなり破損しています。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:???
第一行動方針:ティターンと行動する。
第二行動方針:知り合いを探す。

【名前】並樹瞬@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:第2話後
[現在地]:F-5都市 1日目 早朝
[状態]:全身打撲火傷、応急処置済。2時間メガブルーに変身できません。
[装備]:デジタイザー。
[道具]:支給品一式(個別支給品は確認済)纏のデイバック
[思考]
基本行動方針:元の世界に戻って、夢を叶える
第一行動方針:纏の死に深い悲しみ。
備考:瞬はマトイから、×ドロップ、△冥王ジルフィーザ、○浅見竜也、○シオン、○ドモンの情報を得ました。
 変身制限があることを知りました。


571 :代理投下感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 11:10:40 ID:/Anf5pos0
【名前】ネジブルー@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:41話(ネジビザールとして敗れた)後
[現在地]:F-5都市 1日目 早朝
[状態]:全身に打撲、傷有り。2時間能力発揮出来ません。
[装備]:ネジトマホーク
[道具]:ソニックメガホン@忍風戦隊ハリケンジャー、闇のヤイバの忍者刀@轟轟戦隊ボウケンジャー (マシンはスキーの鍵は美希が持っています)
[道具]:支給品一式×2、詳細付名簿、スフィンクスの首輪、拡声器
[思考]
第一行動方針:メガブルーを殺す。 邪魔なヤツも殺す。
第二行動方針:フラビージョと逃げる。

【名前】ドロップ@救急戦隊ゴーゴーファイブ
[時間軸]:26話、サラマンデス覚醒前
[現在地]:F-5都市 1日目 早朝
[状態]:健康、精神的に少し不安定。
[装備]:不明
[道具]:メメの鏡の破片、
[思考]
第一行動方針:不明

572 :代理投下感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 11:13:50 ID:/Anf5pos0
【名前】真咲美希@獣拳戦隊ゲキレンジャー
[時間軸]:物語中盤
[現在地]:F-5都市 1日目 早朝
[状態]:健康
[装備]:マシンハスキー@特捜戦隊デカレンジャー(鍵のみ、タワーの損壊で壊れている可能性があります。ネジブルーの物とすり替えました)
[道具]:支給品一式×2、詳細付名簿、スフィンクスの首輪、
[思考]
基本方針:なつめを救うために勝ち残る 。
第一行動方針:利用できる者は利用する、そうでない者は殺す。

【フラビージョ@忍風戦隊ハリケンジャー】
[時間軸]:巻之十九、チューズーボ死後
[現在地]:F-5都市 1日目 早朝
[状態]:打撲。能力発揮中。
[装備]:槍@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:聖剣ズバーン@轟轟戦隊ボウケンジャー、クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー、支給品一式。
[思考]
基本行動方針:楽しそうなので戦いに乗った
第一行動方針:ネジブルーと逃げる。
第二行動方針:青いジャケットの優男(蒼太)と日向おぼろにはその内、復讐


573 :代理投下感謝 ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 11:17:20 ID:/Anf5pos0
【日向おぼろ@忍風戦隊ハリケンジャー】
[時間軸]:巻之三十、後
[現在地]:F-5都市 1日目 早朝
[状態]:全身に軽い火傷、打撲。応急処置済み
[装備]:イカヅチ丸@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:蒼太と共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:首輪を何とかする
※首輪の制限に気が付きました。

【最上蒼太@轟轟戦隊ボウケンジャー】
[時間軸]:Task.3、後
[現在地]:F-5都市 1日目 早朝
[状態]:良好。2時間ボウケンブルーに変身できません。
[装備]:アクセルラー@轟轟戦隊ボウケンジャー、スコープショット@轟轟戦隊ボウケンジャー、バリサンダー@忍風戦隊ハリケンジャー
[道具]:ヒュプノピアス@未来戦隊タイムレンジャー、スタッグブレイカー@忍風戦隊ハリケンジャー、支給品一式
[思考]
基本行動方針:ミッションの達成(首輪解除・脱出・ロンの打倒)
第一行動方針:おぼろと共にJ−10エリア『叫びの塔』へ(ガイは手負いだと思っています)
第二行動方針:おぼろを守る
※首輪の制限に気が付きました。

備考:冥王ジルフィーザ、巽マトイ、並樹瞬のいずれかの支給品にバイオ次元虫入りカプセルが含まれています。
   :F−5エリアタワーはテルミット弾により損壊しています。(倒壊の恐れ有り)

574 :Chance or Death ◆MGy4jd.pxY :2008/09/15(月) 11:20:05 ID:/Anf5pos0
代理投下感謝 !
以上です。誤字脱字、指摘、矛盾、感想等よろしくお願いいたします。

したらばの感想をくれた方もありがとうございました。

名前:名無し?ちょっとした冒険だな 投稿日: 2008/09/15(月) 02:35:42
纏兄さぁぁぁぁぁん!!!!!
超GJです!
思いを貫いて死んでいった纏兄さんが熱かった!
纏兄さん安らかに眠れ。
そして、きっと纏兄さんの思いを継いでくれ、いや、今の君ならきっと継げると信じてる、ガンバレ!瞬。
静かに熱い蒼太さんもかっこよかったです。
一言も嘘をつかずに瞬に誤解させるくだりは、あまりに彼らしいと感じました。さすが元スパイw
熱く、切ない良作でした。改めてGJを送らせて頂きたい。GJです!


携帯故、代理投下出来ずに申し訳ないです。
規制であちらに書き込めなかったので、先にこちらに。


575 :名無しより愛をこめて:2008/09/15(月) 22:44:46 ID:YaVpBph+0
GJ!
凄まじいバトルの末に倒れたマトイ。
死の瞬間まで熱いその姿が果たして残った皆にどんな影響を与えるのか?
しかし、瞬は改心の兆しが見えるものの、他のマーダーの方々はまだまだ好調。
事態が好転することはあるのでしょうか?
ジル兄さんのドロップとのニアミスするあたりも面白かったです。ここら辺が何かの伏線になったりするのかな?
感想はつきませんが、もう一度、GJ!

576 : ◆i1BeVxv./w :2008/09/15(月) 23:39:44 ID:YaVpBph+0
これより投下いたします。

577 :Water Trap ◆i1BeVxv./w :2008/09/15(月) 23:40:32 ID:YaVpBph+0
――コンコン
「アンキロベイルス!」
「入ってないキロ」
――コンコン
「アンキロベイルス!」
「入ってないキロ」
 菜摘は洞窟の中、アンキロベイルスを探すべく、無数に点在する岩のひとつひとつを調べていた。
 探す方法は単純だ。菜摘の予想では、アンキロベイルスは岩の中に囚われている。
 ひとつひとつ岩を叩いていけば、いずれアンキロベイルスが囚われている岩が見つかる。
 そう考えていた。
「ふう、おかしいわね。もうほとんどの岩は調べたのに」
 だが、話はそう甘くはなかった。探し初めてから30分程度の時が流れたが、依然、アンキロベイルスは見つからない。
 気づけば、足元を濡らす程度だった水位は、菜摘の膝の上にまで上がってきていた。
「ねぇ、アンキロベイルス、何か他に手がかりはないかしら」
 藁にもすがる思いで菜摘はアンキロベイルスから情報を得ようとする。
「そんなこと言われても、何もわからないキロ。菜摘が探しているような音は聞こえるけど、相変わらず何も見えないし」
「なら、どこから聞こえてくるかだけでもいいの。せめて方向さえわかれば」
「方向もなにも、ずっと一方向からしか聞こえてこないキロ」
「……一方向?」
「?、どうしたキロか、菜摘」
 捜索はそれなりに広範囲に及んだ。岩内部で反響しているのかと、あえて離れたところを探しもした。それなのに、方向が変わらないということはありえない。
「アンキロベイルス、聞こえてくる方向って、上?」
「違うキロ。聞こえてくるのは後ろからキロ」
「そう、後ろから。じゃあ、声の大きさはどうかしら?変わったりしたんじゃない?」
「それは変わったキロ。それがどうかしたキロ」
 聞こえてくる方向が上なら、地下という可能性もあったが、違うというなら。考えられることはただひとつ。
「もしかして」
 菜摘は再度、岩の調査を始める。ただし、今度は人間サイズが隠れられそうもない小さな岩ばかりを選んで探る。
 程なくして、菜摘は目的のものを見つけた。
「……あったわ」

578 :Water Trap ◆i1BeVxv./w :2008/09/15(月) 23:41:50 ID:YaVpBph+0
「何を見つけたキロ?」
 菜摘の目の前には赤色の3つのボタンが付いた銀色のブレスレットが置かれていた。
「やられたわ、私たち、ロンにはめられたみたいね。アンキロベイルス、今ははっきりと私の声が聞こえない?」
「そういえば」
「アンキロベイルス、あなたが聞こえていたのは通信機を通した私の声よ。どういうつもりか知らないけど、よっぽど私とあなたを会わせたくないみたいね」
 おそらくアンキロベイルスの後ろには菜摘が見つけたものと同じ通信機があるのだろう。
 それなら、一方向から聞こえるのも頷ける。
「菜摘に会えないでがっかりキロ」
「まあそう言わない。匂いまでは誤魔化せないでしょうから、海の近くということは確かだと思うわ。とりあえず、これは回収しておこうかしら。
 これがあれば、ダイノコマンダーがなくても、会話できるはずだろうし」
 菜摘は通信機に手を伸ばし、それを持ち上げた。

――カチリ

「なに、今の音」
「な、なんか嫌な音が聞こえてくるキロ」
 アンキロベイルスの言葉通り、鳴り響く地鳴り。それと同時に大地が震えた。
「きゃっ」
 バランスを崩し、足を滑らせる菜摘。水飛沫を上げ、水中へと沈む。
 急いで、体制を整えようとするが、揺れる地面に加え、いつの間にか発生した水流により、上手く立ち上がることができない。
「どうしたキロ、どうしたキロ、菜摘!」
 通信機から菜摘を心配する声が響く。
(アンキロベイルス……)
 その声に冷静さを取り戻した菜摘は水の流れに逆らうことを止め、その身を任した。そうすれば、やがて壁に当たり、身を立て直すチャンスを得られると考えたのだ。
 その予想通り、菜摘の身体は壁へと叩きつけられる。痛みに耐え、菜摘はその壁に沿い、立ち上がろうと上を目指した。だが、一向に水面に浮かぶことができない。
 菜摘は気づいていなかったが、鳴り響いた地鳴りはこの洞窟が沈み行く音だった。
 当然、水位は急速に上がり、既に菜摘が空気を得られる場所は失われていた。

579 :Water Trap ◆i1BeVxv./w :2008/09/15(月) 23:42:47 ID:YaVpBph+0
 意識が朦朧とし始める中、菜摘は最後の手段とばかりに、懐からアクセルキーを取り出す。そして、左手首に着けられたアクセルブレスに差し込もうとする。
(激走……アクセル……チェ)
 だが、それは叶わなかった。水に流された岩の欠片が菜摘を狙ったかのように襲い掛かる。
「ゴボッ」
 いくつかの欠片のうち、一際大きな欠片が菜摘の鳩尾へと当たった。わずかに残った空気の全てが菜摘の肺から無理矢理吐き出される。
 苦しい中、力を振り絞り、もう一度、アクセルキーをアクセルブレスに挿そうとするが、いつの間にか、アクセルキーは菜摘の手元から消えていた。
 どうやら、今の衝撃で離してしまったようだ。
(こ、ここまでなの)

――皆さんおはようございます。――

水の中だというのに、やけにはっきりと聞こえる声。
菜摘の意識は告げられる定期放送を最後まで聞くことなく、闇へと沈んでいった。



「菜摘〜、起きるキロ、菜摘〜」
 自分を呼ぶ声が聞こえる。この声は今日何度も聞いた。
「菜摘〜、しっかりするキロ」
 声変わり前の男の子のような声。最初は少年がこの殺し合いの場にいるのかと思ったが、壬琴によれば、恐竜のアンキロサウルスに似ているらしい。
「起きないと、このまま放ってどこか行っちゃうキロよ」
 少し口は悪いが、中々に気が合いそうだ。菜摘は殺し合いの最中だというのに、新たな友人に会えることが楽しみで仕方なかった。
「菜摘〜、菜摘〜!」
「あ、アンキロベイルス、泣かないで」
「菜摘!」
 思わず搾り出した声に反応が返ってくる。
(夢じゃない。私、死んだんじゃなかったんだ)
菜摘はゆっくりと眼を開ける。
そこには心配そうにこちらを見遣るオレンジ色をした巨大生物がいた。
「やっと、やっと会えたキロ」

580 :Water Trap ◆i1BeVxv./w :2008/09/15(月) 23:43:36 ID:YaVpBph+0
「君が、アンキロベイルスなんだ」
「そうキロ、お前が菜摘キロ」
「ええ、そうよ」
 しばし、菜摘とアンキロベイルスとの間に心地よい沈黙が流れた。
 やがて、アンキロベイルスが口を開いた。
「良かったキロ、最後に菜摘に会えて」
「えっ」
 アンキロベイルスの巨体が大地へと倒れこむ。
「アンキロベイルス!」
 菜摘は急ぎ身を起こすと、アンキロベイルスに駆け寄る。多少、眩暈がしたが、そんなことに構っている暇はない。
「一体、どうしたっていうのアンキロベイルス。そういえば、あなた人間ぐらいの大きさだったはずじゃ」
 今のアンキロベイルスはざっと10mはある。おそらく本来のアンキロベイルスの大きさなのだろうが、話によると人間くらいの大きさだったはずだ。
「菜摘の……悲鳴が聞こえたと思ったら、途端に金色の首輪も…外れたキロ。元の大きさに戻ったら、沈みかけている島が見え……たから、きっとそこに菜摘がいると思って……駆けつけたキロ。へへっ、大当たりだったキロ」
 息も絶え絶えに事の顛末を説明するアンキロベイルス。
「でも、おかしいキロ。外れた途端、身体から力が抜けていってるキロ。もう………限界キロ」
「アンキロベイルス!」
「最後に、菜摘に会えてよかったキロ。……菜摘………ロンに負けるなキロ……」
 アンキロベイルスの眼がゆっくりと閉じられる。
 菜摘は何度も何度もアンキロベイルスの名を呼んだ。
 だが、もう二度と、アンキロベイルスが返事をすることはなかった。



 一頻り、涙を流した後、菜摘は立ち上がった。


581 :Water Trap ◆i1BeVxv./w :2008/09/15(月) 23:44:39 ID:YaVpBph+0
(たぶん、あの仕掛けはアンキロベイルスの首輪に連動していたのね。そして、この首輪を外すことは死に直結する)
 何とも恐ろしい仕掛けだ。ロンに逆らえば、この首輪で殺され、首輪をなんとか外したとしても、いずれ死が訪れる。
 生きて帰りたければ、ロンを信じ、最後の一人になるしかない。
(でも、そんなのごめんだわ)
 アンキロベイルスを殺したのは自分だ。
 自分がもうちょっと注意を払い、仕掛けに気付いていれば、こんなことにはならなかった。
 だからこそ、最後のアンキロベイルスの言葉を裏切るような真似はしたくない。
(負けないわよ、ロン)
 菜摘は静かな怒りを胸に、壬琴たちと合流するべく、道を歩き出した。

【アンキロベイルス 死亡】


【名前】志乃原菜摘@激走戦隊カーレンジャー
[時間軸]:最終回終了後
[現在地]:J-7海岸 1日目 朝
[状態]:軽い打撲
[装備]:アクセルブレス(アクセルキー紛失)
[道具]:ダイノコマンダー@爆竜戦隊アバレンジャー、クロノチェンジャー@未来戦隊タイムレンジャー、キーボーン@特捜戦隊デカレンジャー、ゲキファン@獣拳戦隊ゲキレンジャー、基本支給品一式
[思考]
基本方針:殺し合いには乗らない。仲間を集めて状況を打開したい。 ロンに負けない。
第一行動方針:仲代、映士と合流。
第二行動方針:仲間(陣内恭介・シグナルマン)を探す。
備考:ダイノハープがないため、アバレブラックへの変身はできません。また、菜摘が変身できるほどのダイノガッツがあるかは不明です。
 アクセルキーは水中に沈んでいます。


582 :Water Trap ◆i1BeVxv./w :2008/09/15(月) 23:45:27 ID:YaVpBph+0
投下終了。
ご意見、指摘事項、矛盾点、感想などがあれば、お願いします。

583 :名無しより愛をこめて:2008/09/16(火) 04:56:01 ID:5ukEjuR5O
おぅorz
アンキロベイルス、イイヤツだったのに……。
最初は菜摘死亡かと思いましたが、アンキロベイルスがいってしまうとは!

菜摘は首輪解析の鍵になりそうですね。
しかし話のまとめかたが本当に上手い。さすがまとめ氏!
GJ!

584 :名無しより愛をこめて:2008/09/16(火) 05:03:07 ID:5ukEjuR5O
そしてまとめ更新ありがとうごさいます。

585 :名無しより愛をこめて:2008/09/16(火) 17:15:53 ID:fxTUiAWs0
またしても、ロンの策略によって悲劇が……
菜摘とアンキロベイルスの僅かな邂逅に和んだ分、すぐにやってきた別れには胸が痛みました。
変身手段を失った一方、首輪の持つもう一つの特性にきづいた菜摘がこれからどうなるのか、無事に合流を果たす事ができるのか、
今後の展開が楽しみです。
GJ!でした。

586 :死者スレより愛をこめて@深雪さん:2008/09/17(水) 18:27:36 ID:NEikg9H+O
「私たち家族は、幾多の苦難を勇気で乗り越えてきた。だから今度も、きっと……」

それに今は、書き手が命がけでSSを書いていてくれる。
書き手が勇気を示したのだ。

「このスレを落とすわけにはいかないわ!」

いつだってスレはそれに答えてくれる。
「保守!!」


587 :名無しより愛をこめて:2008/09/17(水) 21:35:13 ID:4Zw0PkZj0
書き手さ〜ん……どこいっちゃったのぉ……
僕……保守……できるようになったよ……
1……2……3……保守。

588 :名無しより愛をこめて:2008/09/18(木) 21:32:45 ID:HY4pTvK3O
マトイ兄……、アンキロ……、両氏ともGJ!

そういえば男性の参加者が死ぬの久しぶりだな

589 :第???話:死者スレは何処だ?!:2008/09/19(金) 18:53:35 ID:+X9BcNsgO
「スレの保守はロワの未来!
どんな保守も厭わない!
ロワの平和を心に誓う!!
燃えるレス……ゲフン、ゲフン。さて、行くか」
 

590 :暁【あかつき】の決意◇8ttRQi9eks代理投下:2008/09/20(土) 23:18:54 ID:/YcAGlmW0
「約十分で変身が強制解除。アクセルラーの機能が完全に凍結されているな…やはり能力の発揮に制限が加えられていたか…」
明石暁は生身に還元された状態でディスプレイ画面を沈黙させるアクセルラーと向き合っていた。
「まぁ、ネオパラレルエンジンの換装が済んでいるだけマシだと言うべきか…」
アクセルテクターからわざわざサラマンダーの鱗を抜き取るような陰湿な奴だ。
あるいは、とアクセルラーの状態を確認したが流石にそこまで手は加えられていないようだ。
だが自分のアクセルラーは無事でも他のメンバーがそうだとは限らない。
「一刻も早く合流しないとな…」
その時だった。
龍が残酷な真実を告げたのは―


「真墨…!」
きつく握った拳が怒りとも悲しみとも取れぬ感情にわなわなと揺れる。
「俺は…また……守れなかった……」
マサキとキョウコ。
炎に包まれる彼らの姿を暁は一生忘れることはないだろう。
彼らを喪った後、恩人の牧野に請われてSGS財団が立ち上げる新たな探索チームのチーフとなった。
もう二度と戻るまいと思った道。もう二度と持つまいと思った仲間を彼は得た。
さくらと蒼太。
彼ら二人が加わり、チームがなんとか起ちあがった時、彼は決意したのだ。
二度と仲間を死なせない、と。
その決意は潰えてしまった。

「嗤え…ロン。俺はこの場の全員を殺してでも、お前の誘いに乗ってしまいそうだ…」

591 :暁【あかつき】の決意◇8ttRQi9eks代理投下:2008/09/20(土) 23:19:40 ID:/YcAGlmW0
自嘲の暗い笑みが唇を歪める。絶望の二文字が心を覆っていく。
…―チーフの責任ではありません―…
さくらが傍にいればまず間違いなくそういって慰めただろう。だが、暁は自分で自分を許せなかった。
「…いいだろう、俺は、殺し合いに乗ってやる……仲間を生き返らせるためにな…!
…邪魔をする奴は誰だろうと容赦はしない…!!」
この惨劇の舞台で人が戦うのは相手ではない。自分の心だ。
自分自身の闇に飲まれたとき、人は堕ちて行くのだろう―
ロンの狙いは全てそこに集約されている。
人は迷う。人は間違う。人は恐怖する。惨めで、弱くて、ちっぽけな存在だ。

だが、常にそうであるとは限らない。

時として人は恐怖を凌駕し、それを征服する。
「だが、ロン、覚えておけ! 俺はあくまでボウケンレッド! 熱き冒険者だ!! ボウケンジャーとして、お前の仕掛けたこの馬鹿げたゲームを終わらせてやる!!!」
殺し合いには乗る。だが、人は殺さない。
ひどく矛盾した、それでいて傲慢な理屈だ。
それは方法こそ違え、思考はこの世界の王たるロンと重なる。ロンの卑劣な罠にも彼の心は傷つきこそすれ、折れはしない。


592 :暁【あかつき】の決意◇8ttRQi9eks代理投下:2008/09/20(土) 23:20:29 ID:/YcAGlmW0
人は迷う。人は間違う。だが、人は光を目指す。
彼は既に一介のトレジャーハンターではない。
今の彼に悲しみに浸る暇はない。かつて、友を救えず冒険に背を向けた男はもういない。
二人の仲間が紅蓮に包まれたとき、『不滅の牙』は死んだのだ。
今ここにいるのは、さくらが慕い、真墨が目指した高みの男。
誰よりも熱く、高く、深く、強く、迅く―
ボウケンジャーのチーフ、熱き冒険者ボウケンレッドだ。
彼の心を折ることは、悪辣な龍にもできはしない。
そして、決して力に屈しない人の心に龍は誰よりも深い恐怖を抱いていた。
彼は、人の心に一度負けているのだから。

一旦は暴風に荒れ狂った心も今は冷静に今の状況を分析していた。
既にゲームが始まって6時間。真墨を含む8名の面々が命を落としている。
だが、暁はその死についてある疑念を持っていた。
真墨の死を目の当たりにして衝撃を受けはしたが、その疑問がゆえに彼の死を完全に鵜呑みにすることはなかった。
明石が先ほどまで行動を共にしていたヒカルことマジシャインは自分の知る彼ではなく、それ以前の時間から連れてこられた過去のヒカルだった。
このゲームの参加者は異なる時間軸から選抜されたメンバーで構成されている。
それは恐らく、ボウケンジャーの仲間たちも同じだろう。
―ここはどこなんでしょう、チーフ…僕たち五人以外にも人が大勢倒れていますけど…―
始まりの空間で蒼太は確かに“五人”と言った。すぐ傍で映士を含む仲間たちが倒れているにもかかわらずだ。あの時、彼は明らかに映士を勘定に含んでいなかった。
「蒼太は俺とは別の時間軸から連れてこられたということか…」
彼の髪の短さと、流行に敏感な彼がつけていた香水の匂い、菜月と真墨を仲間と認識していることから類推して5人体制となって間もない頃…ちょうど三国覇剣の事件の辺り、
ダークシャドウの台頭が著しくなってきた時期が彼の出身時間であろう。


593 :暁【あかつき】の決意◇8ttRQi9eks代理投下:2008/09/20(土) 23:21:12 ID:/YcAGlmW0
真紅の戦士が魂の化身を名乗るアカレッドという男の言によれば、
この世界は歴代のスーパー戦隊によって守り抜かれてきたのだと言う。
誰が欠けても歴史に重大な影響を及ぼすことは必至だ。
なにしろ、戦隊はチームワークが命なのだから。それは自分たちを省みれば容易に想像がつく。
だが、既に“こちら側”と思しき者たちが数名、このゲームの犠牲となっている。
(―彼らが死亡した時点で歴史に影響があるとするなら、ここにいる俺は何なんだ…―?)
このゲームの指す“死”については明らかな疑念がある。
無論、彼らは自分がいた時代よりも後からつれて来られているのかもしれない。
その可能性は否めない。
しかしそれでは一番前の時間軸から来た戦士が死んだ時点で俺たちは消えてしまう。
それではゲームにならない。どの時代の、誰が死んでも歴史に影響が出ない。
少なくともこの箱庭のメンバーは。ならば、その死はいったいどういう意味を持つのか―
命を弄ぶロンの力は計り知れない。計り知れないが、それゆえに希望もある。
「早く仲間たちと合流しないとな…!」


594 :暁【あかつき】の決意◇8ttRQi9eks代理投下:2008/09/20(土) 23:21:59 ID:/YcAGlmW0
このゲームにはクエスターガイも参戦している。彼自身の暴力性、攻撃性も脅威だが
仲間たちのアクセルラーに万一ネオパラレルエンジンが搭載されていなければ新たな犠牲者が出るのは必然だ。
特に映士合流前の時間軸から連れてこられた場合、クエスターの存在そのものを認識していないはずだ。
「流石にあれだけイカれた奴に警戒心を抱かないはずはないがな…」
それでも危険は大きい。今のところ、仲間の中でガイとまともに戦えるのは自分とシルバーだけだからだ。
真墨の死が全員に与えた影響は計り知れない。
菜月は大丈夫だろうか? さくらは責任を感じてはいないだろうか?
蒼太はクエスターを上手くやり過ごせるだろうか?
映士はかつての仇敵を前に平静でいられるだろうか?
「街へ、行こう」
ここは情報が少なすぎる。
明石の行く先は決まっていた。街には物資と人が集っているはずだ。
ロンは禁止エリアを市街地周辺に集中して特定している。
彼がそんな場所を無造作に選ぶとは考えづらい。何か、思惑があるのは間違いない。
ならば、それを見極め、罠に落ちようとする者を救う。
危険は承知の上。冒険にはつき物だ。

「待っていろ皆…今、行く。…真墨、必ずお前を蘇らせてやる…待っていろ、ロン―…
俺が望む死は唯一つ…お前だけだ―!」


595 :暁【あかつき】の決意◇8ttRQi9eks代理投下:2008/09/20(土) 23:22:51 ID:/YcAGlmW0
【名前】明石暁@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task46後
[現在地]:G-2遺跡 1日目 早朝
[状態]:健康。二時間変身不能。
[装備]:アクセルラー
[道具]:ラン様カード@爆竜戦隊アバレンジャー、アクセルテクター@轟轟戦隊ボウケンジャー
[思考]
基本方針:ミッションの達成(仲間と合流し、脱出する)
第一行動方針:仲間をこれ以上死なせない。
第二行動方針:ヒカルとの合流を取りやめ、禁止エリアへ赴く。
放送を聞いて参加者が街を目指すと彼は踏んでいます。


596 :暁【あかつき】の決意◇8ttRQi9eks代理投下:2008/09/20(土) 23:24:57 ID:/YcAGlmW0
代理投下をお願いします。
タイトルは『暁【あかつき】の決意』で。


------------------------------------
以上で代理投下を終わります。

597 :名無しより愛をこめて:2008/09/21(日) 00:38:10 ID:LG2al9cVO
投下&代理投下乙です
ついに不滅のマーダー誕生か!?
とちょっぴりドキドキしましたw
冷静に考察を進め、ロンの打倒を決意するチーフがかっこよかったです。
GJでした!

598 :名無しより愛をこめて:2008/09/21(日) 07:41:56 ID:o8+58wmdO
俺もちょっとドキドキしたw
熱いな、チーフ!
かっこ良かったです。
GJ! 次作も楽しみにしてます。

599 :名無しより愛をこめて:2008/09/23(火) 19:27:24 ID:yO2dKkTlO
保守

600 :名無しより愛をこめて:2008/09/24(水) 01:19:26 ID:Gk9Kgl800
遅ればせながらGJ!
殺し合いに乗りながら、乗らない。その矛盾した思考をどうどうと言い放つのが、チーフらしいと思いました。
今後、チーフがどう動くのかが非常に楽しみです。

601 :名無しより愛をこめて:2008/09/24(水) 11:35:18 ID:X4KtYror0
まとめ氏更新乙です。ありがとうございます

602 : ◆MGy4jd.pxY :2008/09/25(木) 23:52:29 ID:dBxaGJNuO
まとめ更新ありがとうごさいます。


そして申し訳ありません。
投下が一時間ほど遅れてしまいます。
お許しください。

603 :名無しより愛をこめて:2008/09/26(金) 00:12:04 ID:kdv4BdZpO
>>602
楽しみにしています。
支援はまかせろ!w

604 :名無しより愛をこめて:2008/09/26(金) 00:19:14 ID:kdv4BdZpO
wってなんだwってorz
すみません。最後のはうっかりによる間違いです。

605 : ◆MGy4jd.pxY :2008/09/26(金) 02:08:29 ID:J6a/aK/kO
アクセス規制につき仮投下スレに投下致しました。

>>604さん
ごめんなさいですorz

606 :名無しより愛をこめて:2008/09/26(金) 09:22:35 ID:XfBqshqE0
>>605
お気遣いありがとうございます。
仮投下に気付かず寝落ちしてしまった次第w
というわけで代理投下開始します。

607 :ボウケンブラックを捜して…… ◇MGy4jd.pxY氏代理:2008/09/26(金) 09:24:10 ID:XfBqshqE0
「シグナルマンさん!スモーキー!菜月ちゃんも落ちついて」
駆け出すシグナルマンを竜也が制した。
「チーキュの住民が危ないのだ!本官は行かなければっ!!」
シグナルマンが言い返す。
「そうだよ。竜也さん、何で止めるの?人質が危ないのに……」
「そうだニャ!」
菜月とスモーキーが竜也を睨んだ。
「だからって考えもなく行くのか?ちょっと、皆さん、落ちついて!」
「竜也、行かせてやるがいい」
ブクラテスが割って入る。
「何の手立てもなく行くなど、人質もろとも死ぬつもりか!わしは竜也とここに残らせて貰うわい」
樽のような腹を揺らせた。
ブクラテスの言葉に竜也はがっくり肩を落とした。
……俺は、行かないなんて言ってない。



「はぁ……」
竜也は大きく深呼吸して気持ちを落ちつけた。
先程聞こえてきた『メガブルー』を誘き出す声。
その声に走り出そうとするシグナルマンとスモーキー。
我が身の保身ばかり口にするブクラテス。
人質を按じているのか、今にも泣き出しそうな菜月。
ひとまず彼らを宥め、人質救出の為に考えを巡らせる。

シグナルマンと二人で行くとして……。
問題は後の二人と一匹。
ブクラテスは頑として動こうとしない。
菜月は勇気を振り絞ってスモーキーと行こうと意気込む。
だができれば、菜月を、もちろん怪我を負ったブクラテスも戦いに巻き込みたくない。

608 :ボウケンブラックを捜して…… ◇MGy4jd.pxY氏代理:2008/09/26(金) 09:24:34 ID:XfBqshqE0
「どうするかな……」
考えが浮かばないまま時間は過ぎる。
全員、押し黙ったまま、竜也が口を開くのを待っていた。

(こんな時、ユウリならすぐ判断を下せるんだけど。
せめてドモンやシオン、マトイさんの誰かと合流できたら……。
結局、都市に向かうしかないかな)
ブクラテスは不服かも知れないが、怪我の治療もしなければならない。
最初に決めたようにとりあえず病院を探す。
そこを拠点に、動いていけば仲間とも合流できるかもしれない。
「ブクラテスさんの治療と、作戦を練るためにもまず都市で病院を探す。それでいいかな?」
皆が頷く。
「これだけ待たせて、そんな提案だけニャのか……」
誰かが呟いた。
竜也は聞こえないふりをし、それは言わないでくれと心の中で呟いた。



意気込んでいたわりに、都市へ向かう菜月の足どりは遅々と捗らないようだった。
気が急くシグナルマンにブクラテスを預け、竜也は菜月と足並みを揃えた。
「菜月ちゃん、疲れた?」
声をかけると菜月は首を振った。
「ううん。大丈夫、ありがと……ただ、ね」
そう言いながら伏せた瞳は悲しい色に満ち、透けるように白い頬は、強き冒険者としては儚なすぎると思えた。
「ただ?」
竜也は問い返す。
「菜月はね、悲しいなって思ったの。殺し合いを始めた誰かがいるんだってことが……」
菜月は竜也の顔を見上げた。


609 :ボウケンブラックを捜して…… ◇MGy4jd.pxY氏代理:2008/09/26(金) 09:25:38 ID:XfBqshqE0
大丈夫だという証に、竜也は力強く頷く。
「だから、止めて見せるよ。誰も犠牲にならないうちに……」
わざと明るい調子で言ってみせた。
「そうだね……」
菜月が微笑み返した時だった。

『皆さんおはようございます。この六時間いかがお過ごしだったでしょうか?
さて、定時の放送です――――――――』

否応なしに聞こえてきたロンの声。
焦らすように、竜也たち参加者を煽る口調で、残酷な現実を突き付ける。

『まずは亡くなられた方からお知らせいたしましょう。 伊能真墨―――――』

もう、殺された人がいる。
驚愕と、殺し合いに乗った者への怒り、ドモンたちの名が呼ばれなかった安堵が折混ざり竜也を包んだ。
だが、竜也はすぐに安堵したことを恥じた。

――――真墨と、蒼太さんと、チーフに、さくらさん。

ロンが告げた最初の名は、伊能真墨。
出会ってすぐに菜月が口にした人物だった。
「真……墨?」
菜月は張り付いたように立ち竦む。

610 :ボウケンブラックを捜して…… ◇MGy4jd.pxY氏代理:2008/09/26(金) 09:26:13 ID:XfBqshqE0
「嘘、……こんなの、信じないよ。だって誰も犠牲にならないように……。菜月たち、これから……」
菜月の肩が震え出す。
嘘だ。とは言えない。
竜也は菜月にかける言葉が見つからない。
すがるように目を向ける菜月。その細い肩を、支えるだけしかできない。

『 皆さん、大変お楽しみのようで私としても嬉しい限りです』

すべての参加者を嘲弄するロンの声は、まだ終わることなく続く。
菜月は否定するように首を横に振り、地に伏せ耳を塞いだ。
竜也は菜月の肩を抱き寄せ、シグナルマンは拳を握りしめた。
「ニャ……俺様だって、信じないぜ。麗や、あいつらが、こ……殺されただニャんて」
スモーキーは視点が定まらず、うわずった声をあげる。
ロンの声が追い討ちをかけるように響く。

『お嘆きの方もいらっしゃるでしょうが、ご心配なく。
貴方が最後のお一人になればちゃーんと生き返らせて差し上げますよ 』

生き返らせる。
その言葉に目を見開いたスモーキーと、肩を震わせながら顔を上げた菜月。
その頬を大粒の涙が伝う。
ぺたりと地に座り込み、頬を流れる涙を拭おうともせず、呆然と空を見つめ、菜月は言葉を紡ぐ。
「生き返らせるって、本当に真墨は……」
「麗も?……ミンナ死んだのか?」
二人の言葉にシグナルマンは目頭を抑え、ブクラテスは傷ついた腕に目を落とした。
「真墨……。死んじゃったの?」
菜月の手からスモーキーが滑り落ちる。
ゴツンと音を立ててスモーキーは転がったまま、やり場のない怒りを空に向かって放った。
「畜生!ダンナ、一体何やってんだ!!ダンナのバカヤロー!!!」

611 :名無しより愛をこめて:2008/09/26(金) 09:29:36 ID:kdv4BdZpO



612 :ボウケンブラックを捜して…… ◇MGy4jd.pxY氏代理:2008/09/26(金) 09:30:36 ID:XfBqshqE0
スモーキーの悲しそうな声が、言葉の毒を消しさっていた。
「身体が自由になってりゃ!俺様が!!畜生!」
「スモーキー……」
竜也はそっとスモーキーを拾い上げた。
「おい、竜也!」
シグナルマンが大声で竜也を呼んだ。
振り返ると、菜月は泣きながら駆け出していた。
「菜月ちゃん!どこに行くんだよ。菜月ちゃん!!」
竜也は追いかけるが、ブクラテスに腕を掴まれた。
「皆バラバラになってどうするんじゃ!どうせ、すぐに戻ってくるじゃろう」
どんどん遠くなる後ろ姿。
胸に悔しさが込み上がる。
竜也は地に拳を叩き付けた。



菜月は薄暗い森の中を走る。
「真墨……」
その名を呼びながら。
やがて、気が付けば辺りは霧に包まれていた。
涙と霧で視界が滲む。
足を止め、涙を拭った菜月は、ゆらゆらと揺れる人影に気付く。
「菜月……」
もう聞くはずがない真墨の声で、影が菜月に語りかける。
影は徐々に形を作る。
より鮮明に真墨の痩躯を、そして苦痛に満ちた表情を作り上げる。

613 :名無しより愛をこめて:2008/09/26(金) 09:31:47 ID:klnCAvdB0



614 :名無しより愛をこめて:2008/09/26(金) 09:31:47 ID:kdv4BdZpO




615 :ボウケンブラックを捜して…… ◇MGy4jd.pxY氏代理:2008/09/26(金) 09:32:40 ID:XfBqshqE0
「真墨?!」
駆け寄り、真墨へ手を伸ばした。
手が届こうかと言うところで、真墨だった影が四方に霧散する。
そして再び一箇所に集まった霧は金色のフードを被った男の形となった。
「ロン……」
菜月の全身に緊張が走る。
しかし、ロンは何をする訳でもなく、悠然と笑みを浮かべているだけだった。
「ボウケンブラックを捜しに、ですか?」
「……真墨は、どこにいるの?」
「この先に、彼はいますよ。サンヨと言う男に、頭を潰されてね……」
サンヨ、頭、潰されて……。
ロンの一言一言が胸に跡を刻む。
「サンヨも、すぐ近くにいますよ」
不意に、興味深い、そんな眼でロンが菜月の瞳を覗く。
ロンの瞳に吸い込まれるように、菜月の視界が金色に包まれた。
暗転。
真っ暗闇の中、真墨の断末魔が菜月の耳を打ち、潰された真墨の姿が濁流となって菜月の中に流れ込んだ。



悪夢から覚めるように、絶叫と共に菜月は目を開けた。
キョロキョロと辺りを見渡すが、真墨の姿も、ロンの姿もない。
目の前には朝日が森を優しく照らしている。
胸を押さえ、菜月は深く息をついた。
「さぁ、もう何をすべきか解ったでしょう?」
菜月の耳元でロンが静かに告げる。
「守られているばかりでは生き残れませんよ?

616 :名無しより愛をこめて:2008/09/26(金) 11:38:46 ID:s0QDmnKJ0
板違いです
二次創作は以下の板でどうぞ
http://namidame.2ch.net/mitemite/

617 :代理投下感謝! ◆MGy4jd.pxY :2008/09/26(金) 11:39:57 ID:af+zO12y0
心配など無用ですね。あなたは強き冒険者、ボウケンイエローなのですから」
立ち去るロンを菜月は表情なく見ていた。
「何をすべきか……。そんなの解らない」
菜月には、どうすればいいかなど解らない。
ただ今は……。
「お別れも言えないなんて、そんなの嫌だよ。でも……」
何も言わずに別れてしまった竜也たちが胸を掠める。
「ごめんなさい。すぐに戻るから……」
来た道を振り返り、小さく頭を下げ菜月は許しを請う。

真墨に、お別れを……。
真墨は、サンヨに殺された。
そして、まだ、この森にそのサンヨがいる。
二つの思いが、走る菜月の中で渦巻いていた。


【浅見竜也@未来戦隊タイムレンジャー】
[時間軸]:Case File 49(滝沢直人死亡後)
[現在地]:D-5 都市 1日目 朝
[状態]:健康。
[装備]:Vコマンダー
[道具]:メレの支給品(中身は不明) マジランプ+スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー
[思考]
基本行動方針:仲間を探す
第一行動方針:菜月が心配。後悔。
第二行動方針:ブクラテスを病院へ連れて行く
第三行動方針:仲間を探し、ユウリとアヤセの安否を確認する
第四行動方針:菜月の仲間と理央を探す
備考:クロノチェンジャーは、ロンが取り上げました。他の参加者のバックの中か、どこかに隠されているかは不明です。


618 :代理投下感謝! ◆MGy4jd.pxY :2008/09/26(金) 11:41:05 ID:af+zO12y0
【名前】間宮菜月@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task14後
[現在地]:C-5 都市 1日目 朝
[状態]:健康。
[装備]:アクセルラー、スコープショット、
[道具]:未確認、竜也のペットボトル1本
[思考]
基本行動方針:仲間たちを探す
第一行動方針:真墨の遺体を捜す。

【名前】スモーキー@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:ボウケンジャーVSスーパー戦隊後
[現在地]:D-5 都市 1日目 朝
[状態]:健康。マジランプの中。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:ヒカルを探す
第一行動方針:強い怒りと悲しみ。


619 :代理投下感謝! ◆MGy4jd.pxY :2008/09/26(金) 11:41:41 ID:af+zO12y0
【シグナルマン・ポリス・コバーン@激走戦隊カーレンジャー】
[時間軸]:第36話以降
[現在地]:D-5 都市 1日目 朝
[状態]:健康。少し凹み気味。
[装備]:シグナイザー
[道具]:けむり玉(1個使用済み)数は不明、その他は不明。メレの釵。
[思考]
基本行動方針:ペガサスの一般市民を保護。戦っている者がいれば、出来る限り止める。
第一行動方針:ブクラテスを病院へ連れて行く
第二行動方針:乙女(メレ)に謝りたい。
第三行動方針:黒い襲撃者(ガイ)を逮捕する。

【名前】ブクラテス@星獣戦隊ギンガマン
[時間軸]:第12章(サンバッシュ敗北)後
[現在地]:D-5 都市 1日目 朝
[状態]:右腕切断。簡単な応急処置済み。
[装備]:めがね
[道具]:首輪探知機。毒薬。切断された右腕。基本支給品とディパック
[思考]
第一行動方針:竜也とシグナルマンは利用できそうだ。
第二行動方針:首輪探知機とセンの伏せて置く。
備考
・センと同じ着衣の者は利用できると考えています。


。。

620 : ◆MGy4jd.pxY :2008/09/26(金) 11:45:11 ID:af+zO12y0
以上です。
矛盾、問題点、指摘、よろしくお願いします。

代理投下感謝!です。

621 :名無しより愛をこめて:2008/09/26(金) 13:17:51 ID:kdv4BdZpO
投下乙です。
竜也、相変わらず振り回されてるなw
菜月とスモーキーの嘆きは胸に刺さりました。
そして、ロン!!お前はどこまで……
サンヨと菜月が邂逅を果たすか否か、出会った時、彼女がどんな行動に出るかも気になります。
切なさと危うさに満ちた良作でした。
GJです!

622 : ◆8ttRQi9eks :2008/09/29(月) 19:55:56 ID:dQ0UOxtw0
今更ですが、代理投下をして頂きまして真にありがとうございました。
たまにしか来れないのですが、悪いことばかりでなく何かしら更新がありますw
菜月はやっぱり精神的に不安定コースですね。
この先、どんな凄惨な場面に遭遇するのか、しないのか楽しみです。

623 : ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 01:00:50 ID:V+Lg8NJs0
したらばにも記載いたしましたが、予約延長をお願いします。

624 :名無しより愛をこめて:2008/10/01(水) 04:12:30 ID:womjjoDjO
了解しました。楽しみにしております。

625 : ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 22:04:08 ID:V+Lg8NJs0
遅くなりましたが、投下いたします。


626 :想い、それぞれ ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 22:05:56 ID:V+Lg8NJs0
 それはサーガイン、裕作、ヒカルの3人が、海岸を経由して、ようやく市街地へ入ろうとしたときのことだった。
 突如として、脳内に響く、耳障りな声。定時に行われるロンの放送である。
 死亡者、挑発、禁止エリア。楽しげに言葉が紡がれていく。
「おのれ、ドモン!」
 やがて放送が終わり、まず一声を上げたのはサーガインだった。
「深雪殿を俺から引き離しておきながら、何たる様だ!」
 激昂したかのように声を荒げるサーガイン。だが、その内心は月を映す水面の如く、落ち着いていた。
 サーガインにしてみれば、ロンの放送は取るに足らない内容だった。
 フラビージョ、シュリケンジャーの名前が呼ばれたわけでもなく、告げられた名の中で、面識があったのは小津深雪ただひとり。 
 その小津深雪に対しても死を悲しむほど、情を持っているわけでもない。
「この上はその責任、奴を見つけ出し、力ずくでも取らせてくれよう!」
 そうはいっても、裕作とは深雪に惚れていると勘違いされて繋がった間柄。
 その誤解は解けたといっても、いかにも心配していると見せておいた方が印象はいいだろう。
 打算の上、サーガインは演技を続ける。だが、そんなサーガインを尻目に裕作は別の方を向いていた。
(ヌッ!?)
 だが、裕作の態度に不満を持っても、それを指摘するわけにも行かない。
 あくまで冷静にサーガインは裕作に問いかけた。
「どうした、裕作殿?」
「あれを見な」
 神妙そうな声で促した裕作の視線の先には、まるでぬけがらのような有様のヒカルの姿があった。
 言葉を失い、膝は折れ、呆然と虚空を見詰めている、
「無理もねぇ。今の放送で知り合いのほとんどがやられちまったみたいだからな」
 この殺し合いに招かれたヒカルの元々の知り合いは10人。その内、敵対する勢力を除けば、生き残っているのはたったの2人。
 心情を察すれば、その悲しみと絶望は計り知れないだろう。もっとも――
「しばらくはそっとして……って、おい」
 ――サーガインには関係ないが。
 裕作の制止の言葉も聞かず、サーガインはヒカルへと近づいていく。
 知り合いが死んで、悲しむのは別にいい。戦う意欲をなくすというなら、それは色々と好都合だ。

627 :想い、それぞれ ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 22:07:14 ID:V+Lg8NJs0
 しかし、折角、渾身の演技をしていたというのに、関心を持っていかれるとは面白くない。
 それに一応、仲間という面目で行動している以上、腑抜けに用はない。
「ふん!」
「ぐっ!」
 少なからずの恨みを込めて、サーガインはヒカルを殴った。
 突然、殴られたヒカルは当然、非難の眼をサーガインへと向ける。
「ふむ、怒る余裕はまだあるようだな。何を腑抜けておるのだ。そんなことしている時間が俺たちにあると思うのか。さあ、ヒカルよ、立ち上がれ!」
「……立ち上がって、ボクは何をすればいいんだい?ボクはブレイジェルから麗と深雪さんのことを頼まれた。
 それなのに二人を守ることができなかった。ボクは何もできなかったんだ」
「ふん、腑抜けらしい言葉だ。ならば、ドモンに会えばよかろう」
「ドモン?深雪さんと一緒に行動している男かい」
「そうだ、少なくとも深雪殿の死に様はドモンが知っていよう。そして、もしドモンがその死に関わっているのなら、その手で仇を取れば気も晴れよう」
(それにドモンを殺せば、首輪も手に入る)
 サーガインは心の中で本音を付け加えると、今まで北へと向けていた足を南へと変え、歩き出した。
「すまねぇな、たぶん、あいつはあいつなりにあんたを元気づけているんだ。許してやってくれ」 
 サーガインに続いて、裕作がヒカルに声を掛ける。
「だが、仇を取るかどうかは別として、ドモンに会いに行くっていうのは俺も賛成だ。
 もしかしたらだが、あんたがこれからどうするべきかの答えを持っているかも知れねぇからな」
 ヒカルはサーガインと裕作の言葉をわずかな時間、黙考した後、裕作と共にサーガインの後を追った。



「ウメコさんは死んだか」
 放送を聞き終えたドモンはそんなことをボソッと呟いた。
 ウメコはどういうわけか、教会から身を投げ、ドモンが手を下すまでもなく勝手に死んだ。
 何故、ウメコがそのような行動に至ったか、多少は気になったが、そんなことはどうでもよかった。
 直ぐに思考を別の事柄へと切り替える。
「深雪さん、待っていてください」
 ドモンはウメコから奪ったシグザウエルに眼を向けた。
 ウメコは殺せなかった。その後、現れた男もドモンは殺せなかった。

628 :想い、それぞれ ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 22:08:25 ID:V+Lg8NJs0
「今度こそ、俺の手で誰かを……」
 既に決意はしている。
 こんな状況に陥れたロンに憤りは感じているが、この状況を打開できる力を持っているのもロンであることは確かだ。
 ロンの言葉を信じ、優勝するしか道はない。
 しかし、決意はしていても、いざとなれば自分は本当に人を殺すことができるのか。それはわからなかった。
 現にウメコの説得に心は揺れ、躊躇いを見せてしまった。
「誰か一人、一人でも殺すことができれば、きっと、きっと」
 ドモンは自分の弱さを克服するため、さながら幽鬼のように、獲物を求めて彷徨っていた。



 ヒカルたちが南へと歩き出してから一時間ほどの時が流れた。
 時間が解決してくれるとはよく言ったもので、何も考えることができなかった放送直後と違い、ヒカルは冷静さを取り戻しつつあった。
 そんな中、ヒカルが思考を巡らせていたのはロンが告げたウルザードについてであった。
(ロンはブレイジェルをウルザードとして復活させたと言っていたが、果たして本当なんだろうか?いや、嘘を吐く必要性が見当たらない。
 ウルザードと聞いて、反応できるのは、今となってはボクぐらい。何か狙いがあるなら、ボクに対してということになる。
 けど、わざわざボクだけに嘘を吐く意味があるとは思えない。
 それなら単純に事実を語っただけということになるけど……普通に復活させるだけじゃなく、ウルザードとして復活させたということは、ロンは呪縛転生を使いこなせるということなのか?)
 ヒカルはその沈着冷静な性格上、考えすぎるきらいがあった。
 ある一つの事柄から様々な推論を構築するその傾向はヒカルの長所でもあり、短所でもある。
 だが、今回はそれは短所となった。

――パン!――

 銃声が轟き、途端にヒカルの左肩が爆ぜた。
 突然のことに、ヒカルは悲鳴を忘れ、血に赤く染まっていく左肩を見た。
 普段なら考えに没頭していたとしても、周りへの警戒を怠ることなどない。
 不意討ちにも瞬時に対応し、その時に最適な行動を取っていたはずだ。

629 :想い、それぞれ ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 22:10:18 ID:V+Lg8NJs0
 だが、麗と深雪を失った悲しみは知らず知らずの内にヒカルから余裕を奪っていた。

――パン!――

 放たれる二発目の銃弾。
 その銃弾は未だ呆けるヒカルの眉間を真っ直ぐに狙っていた。
「ふん!」
 しかし、その銃弾は命中することなく弾かれた。
 ヒカルと襲撃者の間に入ったサーガインが鋼の身体を盾としたのだ。
「ヒカル、何をボサッとしている!」
 叱責すると同時に、サーガインはドライガンを構え、銃弾が放たれた方向へと無数の熱風弾を放った。
「クロノチェンジャー!」
 どこかで聞いた覚えのある声が聞こえたかと思うと、黄色い影が熱風弾を避けつつ、サーガインへと突進してくる。
「お前は!」
 サーガインの胸から火花が上がる。襲撃者が携えた剣で切り裂いたのだ。
 はっきりと確認できた襲撃者の姿に、サーガインは怒声を上げた。
「ぬぅぅっ!……ドモン!貴様ァ、血迷ったか!」
 そこに立っていたのはサーガインが呼んだ通り、タイムイエローへと変身したドモンであった。
 ダブルベクターを構え、サーガインも気圧されそうなほどの激しい殺気を放っている。
「どうやら冗談というわけではなさそうだな。貴様、最初から殺しあいに乗るつもりだったというわけか?」
「………」
「なんとか言ったらどうだ!」
 怒りと共に、ドライガンを向けるサーガイン。しかし、引き金が引かれるより早く、タイムイエローの蹴りがドライガンごとサーガインの手を蹴り上げる。
 そして、タイムイエローは続けざまにダブルベクターを振るった。
「ぐぅぅっ!」
 たまらず尻餅を着き、苦悶の声を上げるサーガイン。
「問答無用という訳か。ふん、ならばあの時の決着を今、着けてくれる!」
「……こいよ」
 サーガインは両肩の巌流剣に手を添える。
 タイムイエローはその様子を満足気に見詰め、改めてダブルベクターを構えた。

630 :想い、それぞれ ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 22:11:35 ID:V+Lg8NJs0
「待ちな」
「裕作殿」
 静かに、しかし、どこか雄々しさを感じさせ、二人へと近づく裕作。
「ここは俺に任せろ。お前は力を発揮すると厄介なことになるからな、ヒカルの手当てをしてやってくれ」
 いつの間にか、ヒカルはサーガインたちから数m離れた位置に移動していた。
 サーガインとタイムイエローが小競り合いをしている間に、裕作が行ったのだろう。
「それに俺も、そろそろ自分にどんな制限が掛かっているか試す時だ」
「ということはやはりおぬしも」
 裕作が頷くと、サーガインは指示に従い、ヒカルの元へと下がる。サーガインにしてみれば、裕作の力を知るいい機会だ。
 その様子をタイムイエローは黙って見ていた。
「待たせたな。律儀に待ってくれるとは、根っから腐ってるわけじゃあなさそうだ」
「………」
「愛想がないね。俺が遠巻きに見てたときにはそんな奴には見えなかったんだけどなぁ」
 不意に裕作の顔が真剣なものに変わる。
「………ひとつ、聞いておきたい。深雪さんを殺したのはお前か?」
「違う!俺は……」
「………」
「………」
「……なるほどね。わけありってことか」
「うっ、うわぁぁぁぁぁぁっ!」
 咆哮と共にダブルベクターを振り上げるタイムイエロー。
 裕作は右手に携えたケイタイザーのボタンを押した。

――M・E・G・A・MEGA!!――

「インストール!メガシルバー!!」
 銀色の光を放ち、一瞬の内に裕作は変身を終え、メガシルバーへと変わる。
 右手には銃剣一体の武器、シルバーブレイザーが装備され、振り下ろされたダブルベクターを受け止めていた。
「どういうわけがあるのか、教えてもらうぜ」
 メガシルバーはダブルベクターを跳ね上げると、がら空きになった胸を目掛け、蹴りを放った。

631 :想い、それぞれ ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 22:12:45 ID:V+Lg8NJs0
 タイムイエローが怯んだ隙に、メガシルバーは距離を取り、シルバーブレイザーを構えなおす。
 一方のタイムイエローもダブルベクターの先をメガシルバーに向け、彼を牽制する。
 一歩、二歩、三歩、じりじりと横移動を行う両者。
 やがて、その動きは迅速なものへと変わり、足場を平面の大地から、ゴツゴツした岩場へと移していく。
 先に動いたのはメガシルバーだった。大地を蹴って、タイムイエローに上空からの一撃を試みる。
「ベクターハーレー!」
 そうはさせまいと対空射撃を行うタイムイエロー。
 だが、メガシルバーは空中で身体を回転させ、ベクターハーレーを避ける。
 そして、同時に、回転で威力を増した一撃をタイムイエローに撃ち込んだ。
「とりゃっ!」
 まるで血が噴き出るかのように、大量の火花がタイムイエローのスーツから飛び散る。
 続いて、メガシルバーは居合斬りのようにシルバーブレイザーを構えると、すれ違い様にタイムイエローを斬りつける。
「ぐっ、くそっ!」
 痛みを堪え、後ろからメガシルバーを組み伏せようとするが、振り向いたメガシルバーの手に握られたシルバーブレイザーはガンモードへと変わっていた。
「シルバーブレイザー・ガンモード!」
 打ち込まれる無数の光弾。
 メガシルバーとタイムイエローの戦いは、メガシルバーの方が一枚上手だった。
 スーツや武器の性能、精神状態など、勝負を決めるのは様々な要因が重なり合うが、今回、二人の勝負を決めたのは事前情報の差だった。
 タイムイエローにとって、メガシルバーは初めて戦う相手。
 しかし、メガシルバーにとっては戦うのは初めてでも、タイムイエローがどんな技を持ち、どんな戦い方をするかは事前にサーガインから情報を得ていた。
(タイムイエローと戦うのなら、接近戦はNG。だが、遠距離戦では時間が掛かりすぎて、俺がNGだ。
 だから、着かず離れず、蝶のように舞、蜂のように刺すのさ)
「はぁ、はぁ、はぁ」
 息を荒げ、大地に膝を着くタイムイエロー。
「決まりだな」
「……俺は諦めるわけにはいかないんだ。深雪さんのために……俺は負けるわけにはいかないんだ!
 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっ!」

632 :想い、それぞれ ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 22:13:41 ID:V+Lg8NJs0
「本当は体力が尽きるまで待った方がいいんだろうが、残念だがもう時間だ。……決めさせてもらうぜ!」
 メガシルバーはシルバーブレイザー・ガンモードの引き金を引いた。
 放たれる光弾をものともせず、突進してくるタイムイエロー。
 メガシルバーは真正面から迎え撃つ。
「ブレイザーインパクト!」
 それは一瞬の出来事だった。
 タイムイエローのダブルベクターがメガシルバーに届くより早く、ガンモードからソードモードへと変えたシルバーブレイザーをメガシルバーはタイムイエローに見舞った。
 その勢いのまま、タイムイエローに背を向けるメガシルバー。いや、メガシルバーへの変身は解除され、早川裕作の姿に戻っている。
 タイムイエローの意識はまだあった。ダブルベクターを振り下ろせば、早川裕作を殺すのは容易い。
(これでひ……とり、め)
 薄れいく意識と共に、タイムイエローは右手を振り下ろした。



「やれやれ、どうやら変身は2分30秒のままか」
「大丈夫か、裕作殿」
 戦いを終えた裕作の元へサーガインと手当てを終えたヒカルが駆け寄る。
「ああ、バッチリだ」
 サムズアップで無事であることを示し、返事をする裕作。
「しかし、危ないところであった。ドモンの手は裕作殿に振り下ろされていた。
 変身が解除されず、その手に剣が握られたままだったら、死んでたかも知れん」
「まあ、そこはあれだ。俺の絶妙な匙加減って奴だ」
 ドモンは裕作の後ろで気を失っていた。
 タイムイエローへの変身は解け、傷だらけだが、呼吸は案外しっかりしている。
 サーガインはその様子を見て、裕作の万能ぶりに感嘆の溜息を漏らした。
「傷の具合はどうだ」
「大丈夫です。銃弾は魔法で消しましたし、血止めも行いました」
「魔法か……便利なもんだ」
 裕作はヒカルの無事に安堵すると、台車を持ってくる。そして、フェンダーソードでドモンが持っていたディパックを裂き、丈夫な紐を精製する。
「何をするつもりだ」


633 :想い、それぞれ ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 22:14:48 ID:V+Lg8NJs0
「こいつを縛り上げるんだよ」
 裕作はドモンを台車に乗せると、紐でその身体と両手を括り付ける。
「これでよしっと」
「なるほど、俺と同じ要領で、ドモンが動けなくとも移動させることができるわけだな」
「その通りだ。っと、これの管理は任せるぜ」
 裕作はサーガインにドモンの持ち物一式を渡した。装備していたクロノチェンジャーとシグザウエル、マージフォンも全てサーガインに渡す。
 サーガインは好都合と、内心ほくそ笑み、それを受け取ろうとする。
「ちょっと待ってくれ」
「なんだ」
 自分の不穏な考えがばれたのかと、サーガインはわずかながら動揺した。
 しかし、それは取り越し苦労だった。ヒカルはクロノチェンジャーとシグザウエルには眼もくれず、マージフォンを手に取った。
「これは深雪さんのマージフォン。傷ついた痕もある。やはり彼が深雪さんを……」
 怒りの篭もった視線をドモンに向けるヒカル。今にも彼を殺しそうな雰囲気を醸し出す。
「……たぶん、違うな。こういっちゃなんだが、形見として持っていただけだろう。何にせよ、こいつが起きるまでは結論を出すのは尚早だ」
「………」
 納得がいかない様子だったが、ヒカルは口を紡いだ。
(ふう、どうもこいつは精神状態が不安定だな。折を見て、別行動を取った方がいいかも知れん)
 サーガインはヒカルを横目に、マージフォン以外のドモンの持ち物をディパックへと納めていく。
(うん、これは?)
 その内のひとつが、自分の持っているものと若干異なる状態であることにサーガインは気付いた。
(どういう意味だ、これは)
 サーガインは視線をドモンに移す。
 サーガインがドモンを探そうと思った理由のひとつに、深雪の死体の場所を知りたかったということがある。
 首輪の解除のため、死体から首輪を回収するつもりだったのだ。
 しかし、”それ”はサーガインの第六感を刺激した。
(どうやら俺も、深雪殿がどういう経緯で死んだかを知ったほうがよさそうだな)



 ドモンは夢を見ていた。


634 :想い、それぞれ ◆i1BeVxv./w :2008/10/01(水) 22:15:33 ID:V+Lg8NJs0
 その夢の中でドモンは深雪と会話する自分を見ていた。
 なんとも微妙な顔で会話する自分に、それが深雪さんに家族がいると知ったときの頃の自分だとドモンは理解した。
「それじゃあヒカルさんというのも深雪さんの身内なんですか」
「ええ。血の繋がりはありませんが、勇さんの弟子で頼りになる人です。きっと麗を探し出し、守ってくれるはずです」
 それは希望を胸にしていた頃のこと。
 自分も深雪もこれから訪れる不幸な運命を夢にも思わなかった。
(深雪さん、麗さんは死んだ。ヒカルさんは麗さんを守ることができなかったんだ。
 俺と同じ。ヒカルさんは大切な人を守ることができなかったんだよ)
 何故、そんなことが今更思い出されたのか、ドモンはその夢から眼をそむけようと、深い闇に意識を沈めた。


【名前】ドモン@未来戦隊タイムレンジャー
[時間軸]:Case File20後
[現在地]:I-4海岸 1日目 朝
[状態]:気絶中。身体に無数の切り傷と打撲と火傷(中程度のダメージ)。2時間変身不能。
[装備]:木造の台車(裕作のお手製)
[道具]:なし
[思考]
基本行動方針:優勝して、深雪に幸せな家庭をプレゼントする。
備考:変身に制限があることに気が付きました。 ウルザードに受けた傷はほとんど治りました。


635 :想い、それぞれ ◇i1BeVxv./w氏の代理投下:2008/10/02(木) 06:27:09 ID:PSTuXKiL0
【名前】ヒカル@魔法戦隊マジレンジャー
[時間軸]:Stage35後
[現在地]:I-4海岸 1日目 朝
[状態]:左肩に銃創。応急処置済み。
[装備]:グリップフォン、シルバーマージフォン
[道具]:基本支給品一式、月間宇宙ランド(付録なし)@激走戦隊カーレンジャー、ゼニボム×3@特捜戦隊デカレンジャー
[思考]
基本方針:ブレイジェルの遺志を継ぎ、殺し合いを止める?
第一行動方針:ドモンに小津深雪のことを聞く。
第二行動方針:ティターンに対して警戒。
第三行動方針:冷静すぎる明石に微妙な気持ちを抱きました。
備考:サーガイン、裕作と情報交換を行いました。

【名前】五の槍サーガイン@忍風戦隊ハリケンジャー
[時間軸]:巻之四十三中(ガインガイン敗北後、サンダールに敗れる前)
[現在地]:I-4海岸 1日目 朝
[状態]:健康。クグツの胸部に凹みと斬撃の痕。
[装備]:巌流剣、ドライガン@忍風戦隊ハリケンジャー、
[道具]:基本支給品一式×3(サーガイン、勇、深雪)、クロノチェンジャー、拳銃(シグザウエル)
[思考]
基本行動方針:ロンの打倒
第一行動方針:首輪を手に入れて、解除方法を模索する。
第二行動方針:しばらく裕作、ヒカルと共に行動。
備考:2時間の制限に気づきました。サーガインの場合、2時間制限中はまともにクグツを操縦できません。
 深雪のディパックは解体されました。ヒカルと情報交換を行いました。



636 :想い、それぞれ ◇i1BeVxv./w氏の代理投下:2008/10/02(木) 06:30:07 ID:PSTuXKiL0
【名前】早川裕作@電磁戦隊メガレンジャー
[時間軸]:34話後
[現在地]:I-4海岸 1日目 朝
[状態]:健康。2時間変身不能。
[装備]:ケイタイザー
[道具]:フェンダーソード@激走戦隊カーレンジャー、火竜の鱗@轟轟戦隊ボウケンジャー、他1品
[思考]
第一行動方針:サーガインの力になる
第二行動方針:ドモンが起きるのを待つ
備考:2時間の制限に気づきました。自分にも適用されることを予想しています。ヒカルと情報交換を行いました。
 メガシルバーの変身制限時間は2分30秒のままです。


279 名前: ◆i1BeVxv./w 投稿日: 2008/10/01(水) 22:24:29
以上、投下終了です。
誤字、脱字、矛盾点、感想などがありましたら、宜しくお願いします。


代理投下終了!
遅くなってすみませんでした。

637 :名無しより愛をこめて:2008/10/02(木) 06:35:42 ID:PSTuXKiL0
GJ!
揺れるヒカルと、同じ痛みで繋がるドモン。
この二人の出会い。これからが強烈に楽しみになってくる引きでした!
二転三転するバトルも、かっこいい裕作さんとちょっと腹黒いサーガイン、面白かったです。


638 :名無しより愛をこめて:2008/10/02(木) 11:27:24 ID:6ivMANQ0O
投下&代理投下GJです。
裕作さんかっこいい!!
サーガインも上手く立ち回っていてなかなか順調ですね。
果たして首輪の謎に近づけるか否か。
ドモンが目覚めた時、ドモンとヒカル、二人はどうなるのか、先の展開が気になります。
バトルの描写も相変わらずお見事!GJです!

639 :名無しより愛をこめて:2008/10/02(木) 20:56:30 ID:0FjHfxcs0
あー、毎回毎回面白いなぁ…
元々割と殺伐とした世界のライダーと違って戦隊世界は善悪が比較的はっきり分かれてて
明瞭勝つ明るい作風なんだよね。まるでないわけじゃないけど。
だからロワで“極限”を描くと鮮烈に映る。
この路線でもっともっと壮絶な展開を期待してしまうのは自分の中にロンを感じますね。
いや、面白かった! 長い割に具体性を持たせられないけど、本当にGJ!


640 :名無しより愛をこめて:2008/10/03(金) 10:41:20 ID:iWxiE0g20
板違いです
バトルロワイヤル・二次創作は以下の板でどうぞ
下記の板にはバトルロワイヤルスレッドが多数ありますので早急に移転してください
http://namidame.2ch.net/mitemite/


641 :名無しより愛をこめて:2008/10/03(金) 23:30:21 ID:mXx2V3xrO
>>636
投下乙です。守るものを失ったヒカル先生とドモンの対比に胸が痛みました。GJです!


僭越ながら煽り文という物を書いてみたので投下します。


642 :名無しより愛をこめて:2008/10/03(金) 23:36:53 ID:mXx2V3xrO
000.オープニング
さあ、殺戮の宴を始めましょう。
入場料?皆さんの命で結構ですよ。
001.正義ノミカタ
哀れ日向おぼろ!!乙女の命は華と散るのか!?その時、颯爽と一陣の蒼き影が!
その姿、かっこよすぎる。
002.赤と黒
不敵な男の不敵な言葉。残酷な龍は求める。その代償を
003.災魔とニンジャ男は探すーーー守るべき弟の姿を。
男は探すーーー共に歩むべき者を。
004.君にかけるおまじない
幸せの絶頂で突き落とされた少女は、それでも少年を守りたいと願う。
その邂逅が何をもたらすか知るよしもなく。
005.Blue
その心を占めるのは狂気?狂喜?狂飢?
狂人たる男は探し続ける、愛しい愛しい敵の姿を……
006.戦う交通安全リターンズ!
月給19万3千円の善良なる一般市民だって、戦う時は戦います。
007.決意
男は静かに決意する。自分の宿命との決別を。
008.危ない遊び
コインは決める。数多の者の運命を。
コインは決める。男の歩むべき道を。
コインは決める。弾かれる事さえなく……
009.ミッドナイト・ドッグファイト
深夜に繰り広げられる烈しき闘争。
男達は思う。それぞれに愛しき女の面影を。
010.シオンの主義
一人一人、正義の形は違うもの。
だが、今は共に歩もう。
守る為に、倒す為に、誇りの為に。

643 :名無しより愛をこめて:2008/10/03(金) 23:37:51 ID:mXx2V3xrO
ではお目汚し失礼しました

644 :名無しより愛をこめて:2008/10/04(土) 10:10:05 ID:MFOwhBgV0
面白い趣向だな。
これ以降も頼む。

645 :642:2008/10/04(土) 10:37:14 ID:C8YaZwte0
>>644
ありがとうございます。頑張りますw

646 :名無しより愛をこめて:2008/10/04(土) 12:18:16 ID:Wspm03PYO
煽り文超GJ!
改めてまとめ読み直してこよう。

647 :名無しより愛をこめて:2008/10/06(月) 01:30:49 ID:BA9KoVmwO
懐かしいな。
失礼な話だが正直、もう駄目だと思ってたロワがいつの間にか持ち直して、
投下まであってるのを見た時は、びっくりするのと同時に嬉しかったもんだ。
そのうち、人気投票なんかも出来たらいいな。

648 :名無しより愛をこめて:2008/10/06(月) 21:57:29 ID:n905+dzNO
保守

649 :名無しより愛をこめて:2008/10/07(火) 01:12:50 ID:tCt+eHekO
そろそろ次スレの時期?
まだ早いかな?

650 :名無しより愛をこめて:2008/10/07(火) 12:26:21 ID:ZNrtPJv40
>>647
住人としてはそんな風に言われたら嬉しい事この上ないぜ!
いつか出来るといいな。

>>649
今回は内容が濃かったようだな。そろそろかな?


651 :名無しより愛をこめて:2008/10/07(火) 12:27:48 ID:ZNrtPJv40
sage忘れ失礼

652 :名無しより愛をこめて:2008/10/07(火) 13:53:43 ID:WXiVq0eq0
今、479KBか。前回はどれくらいで立てたんだっけ?

653 :名無しより愛をこめて:2008/10/08(水) 12:19:12 ID:pAoE5dEHO
まとめ氏更新乙です。いつもありがとうございます。

>>652
うーん、今くらいじゃないかな?


654 :名無しより愛をこめて:2008/10/08(水) 12:53:31 ID:A2PLIk3/O
まとめ更新乙です!
新スレは予約のどちかが投下後でいいのかな?

655 :名無しより愛をこめて:2008/10/09(木) 00:10:57 ID:2sbnIOqXO
>>654
PCに触れたら挑戦してみようと思います。
もし、容量が足りないようでしたら明日にでも立てようと思いますが……

656 :名無しより愛をこめて:2008/10/09(木) 00:13:14 ID:w8IP56fE0
雑談する容量としてはまだ充分だけど、投下するには少ないかもね。
たしか前回も足りないかもということで、立てられたようだし。
今週末ぐらいを目安に立てればいいんじゃないかな。

657 :名無しより愛をこめて:2008/10/09(木) 00:37:50 ID:2sbnIOqXO
>>656
了解です。
それぐらいを目処に立てようと思います。
ありがとうございます。

658 :名無しより愛をこめて:2008/10/10(金) 00:44:43 ID:TMHMqZTmO
色々あるけど、出来ればこのロワにはずっとここにいて欲しいな。
あの議論、読み手も参加していいのかな?

659 :名無しより愛をこめて:2008/10/10(金) 00:54:26 ID:DdEYjaoM0
いいんじゃね?

660 :名無しより愛をこめて:2008/10/10(金) 06:29:11 ID:Io7oMmWIO
>>658 659
ぜひ参加して下さい。

661 :名無しより愛をこめて:2008/10/10(金) 06:31:44 ID:Io7oMmWIO
とりあえずしたらば議論スレに御意見を頂けるとありがたいです。

662 :名無しより愛をこめて:2008/10/10(金) 12:22:18 ID:TMHMqZTmO
>>661
あれで良かったのか不安ですが議論スレに意見を書かせて貰いました。
ありがとうございました。

663 :名無しより愛をこめて:2008/10/10(金) 17:09:56 ID:Io7oMmWIO
貴重な御意見ありがとうごさいました。
読み手さんがいてくれたということ。
勇気を出して意見をレスしてくれたこと。
正直うれしかった。

664 :名無しより愛をこめて:2008/10/11(土) 14:22:11 ID:A98Qc5GA0
議論スレでのご意見ありがとうございました。

次スレ立て挑戦してみます。
◆MGy4jd.pxY氏 テンプレお借りします。

665 :名無しより愛をこめて:2008/10/12(日) 18:30:39 ID:OptufxbBO
スレ立て乙です。誘導しておきますね。

http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1223702612/

666 : ◆MGy4jd.pxY :2008/10/14(火) 10:36:16 ID:6TMgvN7u0
予約スレにも書き込みましたが、先週末から体調不良で思うように進んでおりません。
申し訳ありませんが延長をお願い致します。


667 : ◆MGy4jd.pxY :2008/10/14(火) 10:37:33 ID:6TMgvN7u0
>>664
遅くなりましたがスレ立て乙です。


668 :名無しより愛をこめて:2008/10/14(火) 12:49:01 ID:KaHWIS180
>>666
了解しました。
楽しみにお待ちしておりますが、お体は大切です。
あまりご無理をなさらず、お体をおいとないください。

669 : ◆i1BeVxv./w :2008/10/17(金) 13:28:22 ID:n77o0L0e0
遅くなりましたが、ただいまより投下いたします。


670 :西堀さくら ◆i1BeVxv./w :2008/10/17(金) 13:29:36 ID:n77o0L0e0
「一体、何を企んでいる」
 人質の救出のため、歩みを進めていた私はグレイの突然の問いかけに足を止めました。
「企んでいるとは?」
「メガブルーとやらを呼ぶ声は明らかに北から聞こえてきた。だが、お前は一向に北へと向かう気配がない」
 グレイの指摘は尤もでした。
 私はドギーさんたちの下を発ってから、ずっと東へと歩いていた。
 これでは何時まで経っても目的地に辿り着けるわけがありません。
 ただし、目的地が――
「いいんですよ、ここで」
 ――本当に北だった場合の話ですが。
「どういうことだ」
「……気が変わりました。ここがどこだかご存知ですか?あと数時間で禁止エリアになる場所です。
 こんな場所、好き好んで通る人なんていませんよね」
「貴様……」
 流石にグレイは察しが早い。
 そう、私が目指す場所はここで合っています。
 首輪が爆発するかも知れない危険エリア。しかも、今いる場所は奥まった路地裏です。
 誰にも見られないで何かをするにはこれ以上、好都合な場所はありません。
「先程の放送を聞き、殺し合いに乗ったということか」
「ええ、そう捉えてもらって構いません」
 事実上の宣戦布告にグレイが戦闘態勢をとる。
 私は駆け出し、グレイから距離を取ると、素早く物陰に身を隠しました。
 お互いに戦える時間が10分と解っている以上、先に変身した方が不利。実力が拮抗しているのならなおさらです。
 10分間で相手を倒すより、10分間逃げ回る方が容易ですから。
 ただ、当然、グレイもそれは理解しているでしょう。長期戦は覚悟しなければいけません。
 しかし、そのための禁止エリアでもあります。ここに足止めをすることができれば、それだけでゲームオーバーです。
 本音を言えば、もう少し時間を稼ぎたかったところですが、なんにせよ、しばらくはグレイも様子を見るは――
 その時、響いたのは銃声の音。
 グレイは右腕に内蔵された銃――ハンドグレイザーで、私のいる方向への発砲を開始しました。
 予想外です。まさか、10分で私を倒す方を選ぶとは。
 グレイの知能を過大評価してしまったのでしょうか?いえ、グレイは私が思っている以上の強者と考えた方がよさそうです。

671 :西堀さくら ◆i1BeVxv./w :2008/10/17(金) 13:30:23 ID:n77o0L0e0
 とにかく、相手が戦いを開始したのなら、こちらはいかに時間を稼ぐか。
 グレイが実力者なら、ほんの数秒程度で有利に立てるほど、甘い相手ではない。
 そう判断した私はその場からの逃走を始めました。
 その途端、銃声が止まります。私の動きに気付き、追跡を開始したのでしょうか。
 私は後方に気を配りながら、前へと進みます。
 しかし、それが間違いでした。突如として、前方の壁が破壊されたかと思うと、そこから何者かの腕が飛び出してきます。
 後方にばかり気を取られていた私は、あっさりとその腕に首を捕まえられました。
 そのまるで万力のような握力に私の呼吸はたちまちか細いものに変わる。
 その腕の主は言うまでもなく、グレイです。
 私はいざという時のために手に持っていたアクセルラーを使おうとボタンを押します。
 しかし、タービンを回そうとしたその手は、グレイの左手に抑えられてしまいました。
 迂闊でした。ここまで力の差が歴然としてあるとは。
 生殺与奪を握られ、為す術のない私の瞳をグレイは赤く発光した眼で訝しげに見る。
「貴様、なぜ突然考えを変えた?放送を聞いた時はそんなことを考えてるようには見えなかったが」

「……なぜ?」

 そういえば私はなぜ殺し合いに乗ることにしたのでしょうか。
 少なくとも放送の直後までは人質の救出を目的にしていたはずです。
 ここに来たこともそうです。最初は相手に仲間がいる可能性を考え、出来るだけ人目につき辛い場所を選んで移動していただけのはずです。
 グレイに訪ねられるまで、そんな思惑などなかった。それなのに何故?なぜ?ナゼ?
 その時、突然、グレイの腕から火花が飛び散りました。
「ヌゥ」
 思わず私から手を離すグレイ。
 一体、何が起こったのか。私は必死に呼吸を整えつつ、顔を上げ、状況の確認を試みました。
「あなたは」
「やあ、久しぶりだね、シンデレラ」
 そこには真っ白い姿の怪物が立っていました。一見すると優雅にも見えますが、その顔は醜悪。
 普通の人間の感性では間違いなく、彼を怪物と呼ぶでしょう。
 私はその怪物に見覚えがありました。しかし、一体、どこから。

672 :西堀さくら ◆i1BeVxv./w :2008/10/17(金) 13:31:18 ID:n77o0L0e0
「君を守るため、ボクは戦おう」
 そう言うと、怪物はサーベルを手に、グレイに襲い掛かります。
 私は呆気にとられつつ、与えられたわずかな時間を使い、怪物がどこから現れたかに考えを巡らせました。
 そして、気付きます。
「私の……支給品?」
 ガラスの靴――シンデレラの呪いが封じ込められた危険なプレシャス。
 彼はガラスの靴に封じ込められた怪物。通称、王子様。そして、ガラスの靴は私の支給品。
 その存在を私は最初から認識していました。そして、ガラスの靴がどんなに危険なプレシャスかを私は知っています。
 それなのに、何故、私はガラスの靴に何の対処もしなかったのでしょうか?
 普段の私からは考えられないミスです。
「とにかく、ガラスの靴は危険なプレシャス。破壊しないと」
 気持ちを切り替え、私はアクセルラーのタービンを回しました。
「ボウケンジャー、スタートアップ!」
 瞬時に私の身体にはアクセルスーツが装着され、私はボウケンピンクになります。
 それと同時にハイドロシューターを転送、構え、敵を狙いました。
「はっ!」
 寸分の狂いなく、私が放った水の弾は――
「グッ」
「いいサポートだ、シンデレラ」
 ――グレイの背中に命中しました。
 怯んだ隙を狙い、王子様はサーベルでグレイを切り裂き、そして、間合いを広げると、手を掲げ、雷を放ちました。
 白い雷光がグレイの身体を包みこみ、火花を散らせます。

 冷静に考えてみましょう。

 ガラスの靴は確かに危険なプレシャスです。ですが、彼は私を助けるために現れました。少なくとも現状では味方のようです。
 ならば、倒すべきはグレイの方。
 彼は私に不信感を持っています。そのような存在は早めに消えてもらうべきでしょう。
     ・・・・
 そして、偶然にもここに邪魔者は存在しません。

673 :西堀さくら ◆i1BeVxv./w :2008/10/17(金) 13:32:19 ID:n77o0L0e0
「アクセルテクター!」
 私はアクセルテクターの転送を行い、その身に装着します。
 グレイを破壊するほどの攻撃力は、ハイドロシューターやサバイバスターにはありません。
 10分間の時間稼ぎを行うのもいいですが、王子様の協力もあり、今は私たちの方が優勢。
 ここは機を逃さず、攻勢を掛けるべきです。
「デュアルクラッシャー・ドリルヘッド」
 私はデュアルクラッシャーを手に握ると、王子様に向けて、指示を出します。
「王子様、グレイの動きを止めてください!」
「任せろ」
 グレイは王子様のサーベルによる攻撃に防戦一方。
 身体の至るところに刃の痕を刻まれ、煙を上げてます。
「さあ、ボクの愛の炎を味わうがよい」
 グレイを囲むように立ち昇る業火。その攻撃に、ついにグレイは膝を折る。
 それを見るや否や、王子様はグレイに駆け寄り、彼を羽交い絞めにしました。
「今だ、シンデレラ」
 言われなくてもわかっています。
 止めです。グレイ!
「ゴー!」
 デュアルクラッシャーから放たれるドリルの一撃。例えグレイといえども、破壊は免れません。
 しかし、グレイはそれを待っていました。
 グレイは羽交い絞めを振り払うと、即座に王子様を盾にします。
「なっ、うぎゃぁぁっ!」
 轟音が鳴り響き、王子様の身体が一瞬にして粉々に砕け散ります。
 そして、グレイはそれを見遣ると、私に向けて、グレイギャノンの照準を合わせました。
 その動きの素早さを見るに、彼はわざと劣勢に見せて、私の攻撃を誘っていたのでしょう。
「全て計算ずくだったわけですか」
 変身は私の方が長く保ちます。
 彼が私たちと互角に戦えるようなら、私は時間切れを待つ戦略を取っていたはずです。それを見越して、このような戦略をグレイは取った。
 戦闘でも、戦略でも、彼の方が一枚上手だったようです。
 そして、運でも。

674 :西堀さくら ◆i1BeVxv./w :2008/10/17(金) 13:36:15 ID:n77o0L0e0
「………」
「………」
 沈黙が場を支配します。
 私はデュアルクラッシャーの反動で、発射と同時に吹き飛ばされていました。
 今の私は体制を崩し、グレイギャノンを構える彼を見上げるような有様です。
 おそらくアクセルテクターからはサラマンダーの鱗が抜かれているのでしょう。
 デュアルクラッシャーの反動に耐えられなかったことが何よりの証拠です。
 そして、サラマンダーの鱗を有しないアクセルテクターでは彼の攻撃は防げない。
 グレイギャノンが発射されれば、私は王子様と同じく、粉々になるしかありません。
「………」
 ですが、何故かグレイは沈黙を保ったまま、グレイギャノンを下ろしました。
「一体、どういうつもりですか?」
「……貴様の行動は腑に落ちないことが多すぎる」
 そう言うと、グレイは踵を返しました。私に止めを刺さず、ここから立ち去るつもりのようです。
「待ちなさ――」
「フン」
 大地に向けて発射されるハンドグレイザー。
 吹き上げられた砂埃が煙幕となり、グレイの姿を隠します。
 私は急ぎ立ち上がり、グレイを探しますが、時既に遅し、どこにもグレイの姿はありません。
 時計を見れば、まだ彼が制限を受けるまで、3分程度あります。身を隠すには十分な時間でしょう。
「逃げられましたか」
 口では強がりを言いますが、彼のグレイギャノンの引き金が引かれていれば、私は生きていなかった。
 逃げられたのではなく、見逃してもらったと言う方が正しい。
 この勝負は完全に私の敗北です。
「せめて、アクセルテクターが使える状態だったら」
 私は悔やみつつ、アクセルテクターを解除し、そのコア部分の蓋を開けました。
 そこには予想通り、サラマンダーの鱗は入っていません。
 しかし――
「これは」
 サラマンダーの鱗に代わり、そこには予想外のものが入っていました。

675 :西堀さくら ◆i1BeVxv./w :2008/10/17(金) 13:37:16 ID:n77o0L0e0
 それは1枚の紙切れ。紙切れにはこう書かれています。

――さくら、菜月、蒼太、映士、お前たちの中の誰が何時これに気付くかわからないが、これを読んでいるということは、ロンのトラップに負けなかったということだろう。
  俺は6時の放送が終わった後、これを書いている。俺は今G2エリアにいる。そして、これから街に向かうつもりだ。
  もし、近くにいるようなら、お前たちも街に向かえ。まずは合流することが先決だ。
  もし、何らかの理由で動けないのなら、今の状況を書いて、アクセルテクターに入れろ。
  変身していられる時間はおおよそ10分。一度、変身するとしばらくは変身できないようだ。
  だが、ずっと変身できないわけではあるまい。
  変身できるようになれば、アクセルテクターを転送し、メッセージを確認する。
  俺はお前たちと必ず合流し、ロンを倒し、そして、ここから必ず脱出する。それが今回のミッションだ。――

「チーフ……」
 チーフからの手紙に私の胸はいっぱいになりました。
 そして、この手紙が示すのは、チーフが近くにいるという事実。
「チーフに会える……」
 私は今来た道を戻ることにしました。
 人質の救出に向かいたいのは山々ですが、グレイと別れ、満足な装備も持たず、変身できない今の私では戦力として数えることはできません。
 ここは放送を聞いた他の誰かに任せるしかないでしょう。
 そうです。優先するべきはチーフとの合流。チーフならきっと、ロンの企みを阻止するはずです。
 彼は熱き冒険者。どんな困難にも負けることはありません。

 だからこそ――

「見苦しく惨めな死に様を……見せ付けなきゃいけませんね」
 私は自分が口にした言葉を気に留めることなく、チーフを求め、大地を踏みしめました。

【ガラスの靴 破壊】


676 :西堀さくら ◆i1BeVxv./w :2008/10/17(金) 13:38:09 ID:n77o0L0e0
【名前】西堀さくら@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:G5エリア 1日目 朝
[状態]:健康 (ただし、ロンによる洗脳を受けており、いつでも傀儡になる危険性あり) 。ボウケンピンクに変身中。
[装備]:アクセルラー、スコープショット
[道具]:虫除けスプレー、虹の反物の切れ端、アクセルテクター@轟轟戦隊ボウケンジャー
[思考] 基本行動方針:仲間と合流し、ここから脱出する。
    第一行動方針:チーフ(明石暁)と合流する。
    第二行動方針:恭介たちと共闘して仲間を増やす。このゲームのルールを把握する。
    ※)裏行動方針:ロンの言われるままにいいように操られ、見苦しく惨めな死に様を晒す。
     ただし、本人にその自覚はなく洗脳行動も全て自分の意思であると思い込む。

【名前】グレイ@鳥人戦隊ジェットマン
[時間軸]:49話(マリア死亡)後
[現在地]:G5エリア 1日目 朝
[状態]:健康?多少の傷(ダメージ軽微、戦闘に支障なし)。2時間戦闘不能
[装備]:自らのパーツ全て
[道具]:遠距離射撃用ライフル(残弾数4発) 支給品一式
[思考] 基本行動方針:未定。第一行動方針を果たした後の行動は決めていない
    第一行動方針:自分の納得のいく形でシオンに借りを返す。
    第二行動方針:西堀さくらに違和感。とりあえず北へ。


677 :◇i1BeVxv./w 氏の代理投下:2008/10/17(金) 14:10:49 ID:LBVZHDeY0
―――――――――――――――――――――――――――――――
投下終了。
誤字、脱字、矛盾点、ご感想などあれば、お願いします。


慣れないことはするもんじゃないorz



678 :名無しより愛をこめて:2008/10/17(金) 14:24:57 ID:LBVZHDeY0
GJ!
とうとうロンの撒いた悪の種子が息吹始めた!
少しずつズレていくさくらと、現実と混乱した世界を象徴するような王子様。
精神が崩れていく不安定さが面白かったです。


679 :名無しより愛をこめて:2008/10/17(金) 16:24:24 ID:GcF1a48L0
投下&代理投下GJです!
ああ、ついに導火線に火が……!!
意識することができないまま、行動を操られるさくら姐さん。
その乖離した心理描写が巧みで面白かったです。
チーフと再会した時、どんな悲劇が生まれるか楽しみです。
(こういう風に書くとなんかロンのようですがw)
面白かった!

680 :名無しより愛をこめて:2008/10/17(金) 18:03:17 ID:FJf8G+Fb0
この状況下でもさくらへの違和感を優先し、殺さないグレイの判断。
なかなか痺れました。通信手段がない中でなかなかの妙案です、チーフ。
…この後が楽しみで仕方ないですねw

681 :名無しより愛をこめて:2008/10/20(月) 20:42:04 ID:/TjFsj1s0
age

682 :名無しより愛をこめて:2008/10/23(木) 18:20:26 ID:B9RqPzYe0



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