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3年B組ベリーズ工房 其の八(α)

1 :ねぇ、名乗って:2008/12/26(金) 12:35:04 ID:UYw03zlv0
●みなさん気軽に書きましょーう↑↑

2 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 12:37:08 ID:UYw03zlv0
Episode027「バンドやろうよ」

例年より遅い時期に発生した台風により体育祭が後半に実行されたため、桜中学校では文化祭実行の可否が職員会議等で論議された。

3年B組のホームルーム

担任の坂本が文化祭の実施の可否を発表した。

「え〜結論から言えば実施する事になりました。」

生徒達の反応は微妙であった。
もう11月である、本格的な受験準備のはじまりなのである。

3 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 12:38:00 ID:UYw03zlv0
クラス委員の清水佐紀が手を挙げた。

「先生今年もよさこいソーラン節はやるのですか?」

坂本はうれしそうに、
「うん、うん、クラスの出し物としてはソーラン節をやりたいと思っている。」

クラスの一人が手を挙げた、

「あの〜塾の時間に合わせて下校は出来ますか?」

坂本は苦笑いをしながら、
「う〜んそうだよな〜それはしょうがないよな。」

坂本は苦しい笑顔を作って、
「うん、今回の特性としては準備時間が2週間で例年の半分以下なので出来る事だけでいいので。」
「みんな決して無理をしないように。」

「それじゃ佐紀、明日からソーラン節練習頼むな。」

「はい。」

4 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 12:38:51 ID:UYw03zlv0
「それではホームルーム終了。」

清掃が終わって皆下校準備をしている教室で机に座って千奈美がノートに何やら書き込んでいた。

茉麻と雅が後ろから声をかけた。

雅は、
「ちぃ、なにやってんだ?」
茉麻は、
「音符を書いているの?」
千奈美は、
「うん。」
雅は、
「何か元気ないじゃんよ、どした?」
千奈美は、
「ウチね今キーボード教室で音楽習ってるんだけど、中学最後の文化祭でバンド演奏できないかなって思っているんだ。」

茉麻は、
「うーん、2週間じゃ厳しいよね。」

5 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 12:39:25 ID:UYw03zlv0
雅は、
「あたしも今からじゃ厳しいなあ。」

「・・・・・。」

千奈美は、
「み、みやはいいからね。」
「なにー!!」

「ねえ!!」

「ん?」

雅にヘッドロックをかけられたまま千奈美は後ろを振り返った。

梨沙子だった。

千奈美は、
「どした梨沙子?」

「バンドやるの?」

「う〜んやりたいなぁと思っているだけなんだ。」

梨沙子は、
「バンドやろうよ!!」

6 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 12:40:09 ID:UYw03zlv0
梨沙子はエアギターをやりだした。

梨沙子の様子を見て熊井友理奈が来た。

友理奈は、
「梨沙子ギター弾けたんだっけ?」

梨沙子は、
「オジー最高!!」

友理奈は微笑んでいた。

友理奈は、
「千奈美は楽器は何やるの?」

「ウチは最近キーボードをやりだしたんだ。」

友理奈は、
「そう、あたしも昨年までピアノを習っていたんだ。」
「うーんギターとキーボード・・・」
「ベースギターが必要だね。」

7 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 13:42:18 ID:UYw03zlv0
友理奈は、
「私がベースやるわ。」

一同は目を見張った。

友理奈は、
「な・何?その「え〜」って空気」

千奈美は、
「い・いや。」
「エレキベースとか持ってんの?」

友理奈は、
「親戚のお姉ちゃんから借りてくるわ。」

ゴミ捨て当番の清水佐紀と嗣永桃子がゴミ捨てを終えて教室に帰って来た。

友理奈は思った。
「そうだ!!ボーカルは桃子にやってもらわない!!」

桃子は、
「え?え?なんの話?」

千奈美は一通りの話を桃子にした。

「・・・・・。」

千奈美は、
「どうだろう桃子?」


8 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 13:43:29 ID:UYw03zlv0
「・・・・あたしでいいの?」

千奈美は、
「もちろんって言うけど、どんな演奏になるかまだ決まっていないし、桃子が望むようなステージじゃないかもしれないけどやってもらいたいんだ。」

佐紀は、
「桃子、ファーストステージだね。」

「ありがとう、あたしやるわ。」

千奈美はほっとした。

友理奈は、
「ここまで来たらドラマーが必要ね、吹奏楽部にヘルプ頼む?」

「少しなら・・・・」

千奈美は、
「え?」

佐紀が、
「少しならドラムを叩けると思う。」

「!!」

「もう何年も叩いてないけど父が生きていた頃の知り合いで音楽スタジオを経営していた人がいて少し習っていた時期があるんだ。」

「よし!!」
「佐紀今から家に来て。」
千奈美は強引に佐紀を連れて下校した。

9 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 13:44:27 ID:UYw03zlv0
友理奈は、
「千奈美!!細かい事はどうすんの!!」

「明日!!ウチの家で!!」

佐紀を引っ張てもう廊下を降りていた。

千奈美は佐紀を連れて自宅の徳永鉄筋に帰宅した。
徳永鉄筋の社長である父は工場の窓から見慣れぬ千奈美の級友を見た。
「お父さん!!」
工場に千奈美が入って来た。

機械を操作していた手を止めて、「ん・・どうした?」
「物置にお父さんが昔使っていたドラムセット、まだあるよね?」
「あ?・・・ああ、あるけど・どうした?」
千奈美は文化祭バンドの件を父に説明した。

「なるほど、よし!!分かった!!」

父は工場の裏にある物置に二人を連れて行き埃を被った青いシートをめくった。
シートの下から解体されて縦に重ねたドラムセットが現れた。

「千奈美、仕事が終わったら組み上げてやるからな。」

父はニッと笑って工場に帰って行った。

10 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 13:45:05 ID:UYw03zlv0
千奈美は佐紀に、
「どう?明日から工場の倉庫で練習しない。」
「・・・分かった、やってみる。」

茉麻と雅は下校途中の土手だった。

「千奈美は本当にバンドなんか出来るのかな?」
茉麻はいきなり佐紀を連れて帰ってしまった千奈美を思い出しながら呟いた。

雅は、
「まぁ・・・」

「・・・何?」

とは言ったもの雅の質問は茉麻には分かっていた。

「昨日、進路のことで3者面談が終わったじゃん。

「・・・・・。」

「まぁは、結局どうする訳?」

茉麻は立ち止まり、

11 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 13:45:36 ID:UYw03zlv0
「家族と一緒に北海道に行こうと思うの。」

「・・・・え。」

雅は、
「矢島にはもう言ったの?」

「まだ、言ってない。」

「・・・・・。」

「もともと両親は北海道育ちと言ってもまた一から生活を始めるの。」

「・・・・・。」

「きっと大変だと思うの、だから私だけが・・・・なんて・・・。」
茉麻は立ち止まって雅をまっすぐ見た。

「出来ないの。」

雅は夕陽に照らされた茉麻の顔は「キ・レ・イ」だなと感じていた。

「たまに電話してもいい?」

「うん。」

「あたしの方はギリギリ千奈美が入れる高校を一緒に受験しようと思うの。」

「小学から長い付き合いになりそうね。」

「茉麻だっていつまでも友達だよ。」
「そうね。」

12 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 15:21:50 ID:UYw03zlv0
茉麻はわらって夕空を見上げた。

雅は、
「北海道ではまだランプ生活してるのかな?」

「それはないんじゃない。」

土手を歩く二人の影は夕陽に照らされてどこまでも長く伸びていた。
佐紀は自宅に帰った後部屋の押入れを整理しだして昔使ったドラムスティックを見つけた。

(昔はあんなに大きかったのに今は手になじむわね)

佐紀は居間のソファーに座って自分の太ももにスティックを打ってリズムを取った。

父の知り合いのスタジオオーナーは佐紀が小さい頃から彼女のリズム感の良さに目をつけていた。
その予測はあたっていて現在はダンスと言う形で表現されていた。

母のまゆみが風呂からあがってきた。
「佐紀おふろいいわよ。」

「母さん。」

13 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 15:23:08 ID:UYw03zlv0
まゆみは佐紀の隣に座った。

「文化祭かぁ〜。」
まゆみは佐紀から事の経緯を聞いていた。

「ここしばらくそんな事かまってあげなかったね。」

「ううん。」

「母さん3者面談・・・ありがとう。」

「いいのよ・・・佐紀の好きな様に生きればいい。」
「・・・・・多分・・お父さんが生きていれば佐紀がダンサーになることを一番応援すると思うの。」

「お母さん!!」

佐紀は数年ぶりに母親の胸に飛び込んだ。

まゆみは、
「佐紀を胸に抱き優しく頭をなでた。」
「母さんね、また看護師の仕事をはじめようと思うの。」

14 :Episode027バンドやろうよ:2008/12/26(金) 15:24:40 ID:UYw03zlv0
「・・・・・。」
「佐紀に酷いことばかりしてきた私だけどまだ人の為に出来ることはあると思うの。」
「・・・・・。」
「生きて行くの最後の最後まで諦めないで。」
佐紀は父の事を思い出してしまい涙が止まらなくなった。
「生きてるの・・・」
「え?」
佐紀を胸に抱きながらまゆみは語った。
「佐紀の中に竜二が生き続けているの。」
「母さん・・・・。」
佐紀は強く目をつぶった。

小さな家庭にやさしい時間が流れた・・・・・・。



Episode027「バンドやろうよ」終わり


15 :ミヤビイワナ:2008/12/26(金) 15:29:42 ID:UYw03zlv0
この物語を読んでいた方々お久しぶりです。
いよいよ自分が本編を書き上げようと思います。
先回「其の八」はあっと言う間に落ちてしまったので(α)をつけてみました。
ラストへ向けて書き上げようと思いますが!
しつこくサイドストーリをもう一編書こうとも思っています。
年末の忙しい最中でお暇つぶしにでも読んでみてください。

16 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 11:50:09 ID:a/WRBhDm0
「フィシュ☆オン」

「ん?辛っ!!」

「う〜んキムチの量がちょっと多かったとぉ。」
れいなは辛さで顔を歪めた。

ここはれいなの住む町にある公民館の料理実習室である。ここでは町の商工会議所が企画した商店街興し事業の一環でもある料理教室が行われていた。

町の老舗飲食店職人達が半期に一度技術の公開実習と情報交換の場として設けられた経営側の企画である。時代の流れにより利便を追及した商店経営は昔ながらの商売を淘汰する様相だった。

そんな厳しい時勢において中小企業の経営者達は小さい場所で競争するのではなく協力しあう体制を選んだ。

今回も色んな飲食店から参加者が総勢三十人程集まった。

そんな企画も本日一週間の予定を迎え終了である。終了日の今日はこの地区でもおいしくて有名な焼肉店の看板娘による「キムチ料理の応用」である。

17 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 11:51:02 ID:a/WRBhDm0
その焼肉屋の娘は顔立ちがはっきりしていて鼻が綺麗に通っていた。彼女は熱く語りキムチを応用したラーメン、焼き魚などのメニューを実演した。

れいなは実習の時に随分と指導を受けていた。主に味付けだった。その娘の指導は的確で隙がなく正しかった。しかしれいなには何か引っ掛かる。何か窮屈な様でゆとりが無いのである。すべてがただの突っ込みに感じる。

正直「イラッ」と来る時もあったがすべてが不快な対象だと言う事ではない。確かに彼女の言う事に「勉強」になる事はたくさんあるのだ。しかし彼女が熱い分こちらも穏やかにはならないのである。頭では分かっているのだが心では拒むのだった。

とにかくれいなにとって「彼女」は苦手だった。

「以上でキムチによる応用料理について終わりますが。」
「料理はとにかくどんな食材を使おうが食べてくれる人側に立ってほんのちょっとでも心を伝えられれば本当においしい料理になるのでしょうね。」

(心を伝える・・・・・)

れいなはこの言葉をかみしめた。

18 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 11:53:45 ID:a/WRBhDm0
後片付けをみんなで、終わらせて公民館を出たのは1500過ぎだった。れいなは、赤い革ジャンを着て公民館の自転車置き場においた愛車のバイク「MVX250F」のシートに座った。
公民館から少し離れた場所に焼肉屋の看板娘が歩いているのをれいなは、確認した。れいなは、ヘルメットをかぶり何気に娘の方を見た。
「!!」
黒い乗用車が近づき運転している男と娘がもめている感じだったが助手席に乗っていた男に無理やり後部席に押し込まれ車は走り出した。

「!!」

れいなは、急いでエンジンスタータをキックした。高出力を誇る3気筒V型エンジンは
3本のマフラーから白煙を吹き出した。

「ブルブル!!」革ジャンの胸ポケットで携帯のバイブが鳴り出した。
道重さゆみの着信だった。


19 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 11:54:21 ID:a/WRBhDm0
「ああ、れいな、予定通り環7線1700合流のツーリングで良いんだよね?」
「・・・ごめん・・今日の予定すべてキャンセル・・。」

「・・・は〜ん!!」
「これからちょっとやっかいな走りに行くのでまたこんどにするとぉそれじゃ切るとぉ」
れいなは、走り去る車の方を見て電話を切った。

「ちっ!!」
アクセルを、吹かし車を追いかけた。

「よお〜久しぶりだよな〜。」
車を運転しながら金髪の坊主頭が娘に話しかけた。
「マーちゃんは無事、なんだろうね。」

後部席に乗っているロン毛が、
「ひとつも手をつけてねぇよ。」ニヤニヤしながら言った。

「大体アンタらいまさらあたし達に何の用だよ!!」

運転している金髪の坊主頭は、


20 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 11:54:51 ID:a/WRBhDm0
「実は今さ〜儲け話があって。」
「・・・・・。」

「安くさ〜大麻が手に入る話があるんだ。」
「それがあたしとマーちゃんに何の関係があると言うの!!」

「ほら、二人とも実家店やっていて羽振りがいいだろ、昔の仲間、なんだから少しカンパしてほしんだよ。」

「・・・・そんなの、承知すると思う?」
「それは交渉しだいだろう。」
「は?」

「例えば評判の焼肉屋の看板娘が警察のお世話になっていた・・・ってな。」
「大谷のところは和菓子屋だったな。」

(・・・警察しかないか・・・)

車は人気のない高架下に着いた。

「!!」

老舗和菓子屋の娘「大谷雅恵」が身長180越えの巨漢にうしろ手で押さえられていた。


21 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 13:22:37 ID:a/WRBhDm0
押さえられながら大谷は、
「ミキ!!」
「マーちゃん!!」
ミキと呼ばれる娘にとって大谷雅恵は年上の幼馴染だった。小さいころ何をしても雅恵と一緒だった。

荒れていた中学時代に1番に分かってくれて、また雅恵自体も荒れていた・・・・。
そんな荒れた二人も時の移ろいとともに自分のやるべき事を今見つけはじめた最中であった。

金髪の坊主頭は、
「まあ、そういう事なので一人50万円ずつカンパしてもらうか?」
雅恵は、
「ふざけるな!!」

「ぐっ!!」
金髪の坊主頭は後ろに縛られた雅恵の腹を蹴りあげた。

雅恵はゲホゲホ咳をしながらへたりこんだ。
「マーちゃん!!」

金髪の坊主頭がへたりこんだ雅恵の横に座り、顔にナイフを突き付け


22 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 13:23:19 ID:a/WRBhDm0
「おとなしく金を持って来いよ。」

2ストロークの太い高音が近付いて来た。
赤と白とでデザインされたバイクMVXが面々の前に止まった。

れいなは、ヘルメットを脱いで、
「図体のでかい男が弱い女を縛りあげてなにしてるとぉ!!」
一同は何事かと静まり返った。

特にミキは、
(あの娘!!料理教室の娘?)

金髪の坊主頭は、
「なんだ、ガキか、家帰って宿題でもやってろや!!」

れいなは、
「藤本美貴さん大丈夫ですか?」

金髪の坊主頭は、
「何!!藤本のツレか・・・ちょっとこっちこいや。」

藤本は、たまらず、
「あんた何やってんだ早く帰りな!!」


23 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 13:24:03 ID:a/WRBhDm0
ロン毛は、
「おい!!こっち来いや!!」

ロン毛がれいなに近付き手を押さえようとしたが左手で払われた。
「テメー!!」

れいなは何か辺りをきょろきょろしてゴミ類と一緒に落ちている古いビール瓶を拾い上げ地面に叩き付けた。

(!!)

藤本の他みんながそれを武器にして、れいなが、ロン毛と戦うと思った。

ガラス片になったビール瓶をロン毛に差し出した。
ロン毛は差し出されたビール瓶を、れいなから奪うように取り上げ、れいなに、突きつけた。

「テメー!!顔いじってやるよ!!」

ロン毛がれいなに言いい終わった瞬間に右手に持っていたビール瓶はれいなの左手で払い落とされていた。


24 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 13:24:58 ID:a/WRBhDm0
「あんたが武器持ってないと、こっちが正当防衛にならいとぉ!!」

払われたままで固まっているロン毛の顔面にれいなの右がめりこんだ。

なんの反撃も出来ずロン毛は後ろにひっくり返った、れいなに言われるまま割れたビール瓶で威嚇しただけだったのだが・・・。

雅恵を縛りあげていた巨漢が木刀を振り上げながられいなに襲いかかった!!
「うおおお!!」

れいなはヒラリと上体でかわし上体を戻す反動を使い巨漢のわき腹に鉄拳をめり込ませた。

巨漢の動きは完全に止まり膝をついた状態になったがれいなは雅恵が縛り上げられていた姿に酷く怒り心頭し、とどめのジェットアッパーを放った!!
奥歯が砕ける音がして巨漢は倒れた。

リーダー格の金髪坊主頭以外の二人はぴくりとも動かなくなった。

金髪坊主は車に乗り込んだ。
「こうなったら車でひき殺してやる!!」

25 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 13:26:07 ID:a/WRBhDm0
藤本と大谷は目を疑った、ほんの一瞬で小柄な少女が2人の武器を持った男を赤子のように地面に伏してしまった。

雅恵は、
「ミキ!あの娘なんなの?」
「焼き鳥食堂の孫娘よ。」
(ああ!!このままじゃ車に引かれちゃう!!)

金髪坊主の車がれいな目がけて突進してきた!!

(ちっ!!ボンネットに飛び乗ってやるとぉ!!)
れいなは近づいてくる車を見ながらタイミングを計っていた。

「ビシッ!!ビシッ!!」

「ああ!!?」

金髪坊主の運転する車のフロントガラスに無数の「赤い点」が急に出来た。

「!!」

れいなは聞き覚えのあるバイクのエンジン音を聞いた。


26 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 14:32:29 ID:a/WRBhDm0
道重さゆみのバイク「RZ350」だった。

真っ黒なシャープデザインに2ストローク2気筒350ccエンジンを積んだ昭和の最強中型バイクである。

れいなが振り返った時はフルフェイスヘルメットの奥でさゆみがれいなにウィンクをしていた。

さゆみは左手にガス噴射式モデルガンを構えていた。
戦車兵が持つ銃身が短い機関銃イングラムタイプで弾丸がペイント弾である。

乱射されるペイント弾でフロントガラスは赤い点だらけである。

「くそっ!!」
金髪坊主はウォシャー液を出しながらワイパをー動かした。

「!!」

ワイパーを動かすことによって余計ペイントが広がって前がまったく見えなくなった。

「うわ〜!!」

視界を失った車は急ブレーキを踏んで止まった。

27 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 14:33:10 ID:a/WRBhDm0
さゆみは真っ黒なレザーツナギ姿でバイクから降りた。
ヘルメットを脱ぎ、れいなに駆け寄った。

「れいな大丈夫!!」
れいなはびっくりしながら。
「あ、あ、あんたなんでここに!!」

藤本は、
(はぁぁ!!女!!しかも中学生みたいな顔してるな!!)

「!!」

金髪坊主が頭から血を流しながら車から降りてナイフを振り上げていた。

「このガキども訳が分からないんだよ!!」

金髪坊主は目を血走らせてナイフを振り上げさゆみに向かって来た。

さゆみは右足を高く振り上げて金髪坊主の肩にバイクブーツの踵を落とした。

「ううっ!!」

肩の激痛によろめいた金髪坊主に、
「ぶらすぅ〜なっくるぅぅぅぅ!!」

28 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 14:33:45 ID:a/WRBhDm0
「!!」
藤本は目を見張った!!
(あんな喧嘩見たことない・・・・)

れいなは思わず自分のわき腹を押さえながらゾットした。
(あのボディブローだけは受けたくない。)

金髪坊主はゴミのように地面に吹き飛ばされた。

哀れ・・・あの時れいなに一瞬見られて気づかれなければこんな目にも会わなかったはずだったろう。

藤本は急いで雅恵の縛られているヒモをほどいた。

「ごめんミキ・・・なんか昔の因縁ひきずったね。」
「ううん、あたしもそうだったんだから。」

れいなは、
「さゆ!!あたしがなんで此処にいることがわかったとぉ?」
れいなは何となく嫌な予感はしながら聞いた。

29 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 14:34:18 ID:a/WRBhDm0
「ふふーん」
さゆみは鼻をふくらませながら、
「実はれいなのMVXにはGPS発信機が取り付けられているのよ。」
「はぁ?」
「そのGPS信号はさゆみのRZナビゲーションシステムで1m誤差のデジタル地図上見つけられるのよ。」

「い・い・いつの間に・・・・。」

れいなは、
「そんなものとっとはずすとぉ!!」

「え〜盗難されたり単独で事故起こしたりしたら大変だっておじい様にも頼まれてんだからはずせないよ〜。」

「そ・そ・そうだったんだ〜」

(・・・本当はウ・ソ・☆)

「さゆ。」

「うん。」

30 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 14:34:49 ID:a/WRBhDm0
「ありがとう。」

(れいなのこの単純さが大好き!!)

縄をほどかれた大谷は、
「あんたらのおかげで助かったわ、後はあたし達が警察に話すから巻き込まれない内に帰った方がいいよ。」

「もうおそいとぉ。」

こちらに向かってパトカーが数台迫って来た。

一台の黒い覆面パトカーから中澤裕子が降りてきた。

「!!」

藤本は、
「中澤さん!!」

「よっ!」

ずいぶんと軽いあいさつだった。

31 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 17:23:05 ID:a/WRBhDm0
「中澤さんあの娘達の事なんですけど・・・。」

「ああ、知っとるで仮面ライダーかなんかやろ?」

(・・・中澤さん・・・どうしちゃったんだろう?)

横で聞いていたさゆみは、
「れいな、さゆみだったらやっぱり「仮面ライダー王蛇」だよねきっと。」
「はぁ?」
「ファイナルベント!!」
「はぁ?」
「ベノクラッシュ!!」
さゆみは飛びあがって空中2段蹴りをしていた。

中澤はやさしく藤本に、
「まあとりあえず被害届等を出す事だし一回署に行こうか。」

藤本はれいなとさゆみの事を心配していた。
「中澤さん・・・・。」

「ん、なんやあの娘ら心配してんのか?大丈夫やあの子達は悪い事する娘じゃないのは良く知ってるんや。」


32 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 17:23:50 ID:a/WRBhDm0
一通りの事情聴取が終わり藤本達は帰宅を許された。

事の次第は最近東南アジア系のマフィアが積極的に大麻密輸販売を促進していて格安販売で利益をあげようとしていた。
なかなか販路をつきとめられない所で藤本と大谷にちょっかいを出してきたチンピラ達が販路の一部を知っている事が判明しておとり捜査をしていたところだった。

あくる日の日曜日、
「焼肉藤本」に大谷雅恵が訪れた。
午前中仕込中の藤本が店内にいた。
「マーちゃん!!」

大谷は昨日の件で詫びを入れに来ていた。

二人は店のカウンターに座って藤本が入れたコーヒーを飲んだ。

「ミキ、昨日はあたしの事で本当にごめんね。」
「なに、言ってるの、あいつらとつるんでたのはマーちゃんの責任じゃない、あたしだってバカやってた時あったんだよ。」

「しかし久しぶりに会えたね。」
「うん、元気だった?」


33 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 17:24:42 ID:a/WRBhDm0
「うん、今は和菓子職人の修行している。」
「うちの饅頭持ってきたんだ。」

大谷は古風な風呂敷つつみから大判の饅頭詰め合わせを取り出した。
「わぁ〜凄い!!おいしそう!!」

「!!」

いつの間にか二人の後ろに久住小春が立っていた。

「こら!!小春いきなり大声出すなよ!!」

「雅恵ねーちゃん久しぶりです。」

「おー!!小春か?大きくなったな!!」
「テレビに出たの家族で見たよ。」

「えへへ・・・それじゃ和菓子には番茶なので入れてきまーす。

小春は勝手に店の奥に入っていった。

大谷は、
「家族と言えばうちの婆ちゃん夏頃から体良くないんだ。」


34 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 17:25:30 ID:a/WRBhDm0
「そうなんだ〜。」

「お医者さんが言うにはもう高齢で心臓の方が弱っているらしいんだって。」

「・・・・・。」

「入院すれば少しは延命できるけど・・・婆ちゃん・・どうしても家に居たいって。」

「・・・・そうか・・マーちゃん婆ちゃんっ子だったもんね。」

「昔っからあたし人見知りが強くってね〜」
「・・・・・。」
「そんなあたしを婆ちゃんはいつもかばてくれたよ。」

「はい!!お茶が入りましたよ!!」

小春がお茶をお盆に載せ帰ってきた。

「さあ食べましょうか!!」

「全くこの娘は・・・・。」

「ミキ、昨日のあの娘達だけど。」

「ああ、父さんから何となく聞いたよ「焼き鳥食堂」の孫娘ってね。」


35 :「フィシュ☆オン」:2008/12/27(土) 17:26:12 ID:a/WRBhDm0
「凄く可愛そうな生い立ちだけど・・・他人が絶対かなわない強さを持ってるな。」

「うん、料理教室で一緒だったけどとにかく真剣に取り組む姿が目立ち何だかこっちも熱くなって指導してしまう娘だったな。」

「ねぇお姉ちゃん、もうそろそろ桜中学の文化祭だけど見に行くでしょう?」

「あ〜もう、そんな時期か・・・佐紀の姿でも見に行くか。」

「ねぇミキ。」
「え?」
「こんな事言うのも何だけど最後に婆ちゃんに会ってやってくれないかな・・・・。」

大谷は目を伏せながら藤本に言った。

昔、荒れていたころ大谷の家で彼女の祖母に会ったことがあり、その時どうしょうもなく荒れている藤本に大谷の祖母は、
「うーん、あんたは将来職人になるね、おいしい食べ物を魔法のように作ってたくさんの人々を幸せに出来るよ。」

その頃、藤本はアイドルになる夢を密かに心に秘めていた時期であったので料理人になるなどと魔法使いのように真顔で言われてもいい気分ではなかった・・・・・。

しかし今となってはおいしい食べ物を魔法のようには作れはしないがひとつの事を遣り通して迷惑をかけてきた人たちに頑張る事で償いたいと思っている。


36 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 12:38:46 ID:uZiS07BR0
今思えば・・・手のかかる娘に送った慰みの言葉だとして想いが深い言葉である。

「うん、顔見に行かしてもらうよ、何時がいいかなぁ。」
「・・・・・今から・・・・いいかな?」
目を伏せたまま大谷は言った。
(・・・・・・よほど悪い)
藤本は直感的にそう思った。

「うん、わかったよ。」
藤本はエプロンをはずして準備した。

大谷和菓子店に二人は歩いて向かった。

歩きながら大谷は祖母の話をした。
「婆ちゃんボケちゃったのかどうか分からないんだけど、とにかく「ウナギ」を食べたがってるんだ。」

藤本は言った、
「食欲がある事はいい事じゃないの?」

大谷は、
「それがただの「ウナギ」じゃだめで東京の河で釣った「ウナギ」じゃないとだめだって。」


37 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 12:39:28 ID:uZiS07BR0
藤本は、
「釣ったウナギじゃないって分かるの?」

大谷は苦笑いしながら、
「それが分かるのよ・・・・。」

二人は大谷和菓子店に着いて藤本は大谷の両親に挨拶をして祖母の部屋に通された。

「ん?」

廊下を伝って「うな重」の香ばしい匂いが伝わってきた。

「あ!!」

部屋には大谷の祖母が布団から起き上がり、その横に焼き鳥食堂の店主「八名信夫」と孫娘の「田中れいな」が座っていた。

八名は、
「おお、久しぶりじゃな雅恵ちゃん。」

「は、はい。」

いかつい顔をした老人が雅恵に笑いかけた。


38 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 12:40:05 ID:uZiS07BR0
「忘れるのも無理もない、最後に会ったのは小学生だったものな。」

「昨日はどうも。」
れいなが大谷と藤本に挨拶した。

「いえ、こちらこそ昨日は助けてもらってありがとうね。」
「ところで姐さんどうして俺が作ってきた「うな重」が河で釣ったものじゃないって分かるんだい。」

「ふふ、あの頃を知っているノブちゃんだから話そうかね。」

「・・・・・。」

大谷と藤本も祖母の横に座った。

大谷の祖母は静かに語りだした・・・・・。

それは終戦直後の話だった。

祖母はまだ二十歳にもならない歳で激化する戦中の中で疎開も許されず東京の軍需工場で働いていた。

戦争は数々の被害を出して・・・勝も負けるも国民には分からぬまま戦争は終わった。

祖母にとって東京には何もなくなった、働く場所も寝る場所も・・・家族も・・・。


39 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 12:40:45 ID:uZiS07BR0
駅や橋の下にはたくさんの孤児や行き場のなくなった人間が莚を引いてやっと息をしているようだった。

祖母は生きるのをあきらめ最後に昔家族と川遊びをした土手に行き死のうと思った。
たどり着いた土手は、昔家族で遊んだ頃と同じように日差しがキラキラと水面を照らしていた。

祖母は人気のない土手で眠りについた。

「・・・・・ん。」
夜中、川の流れる水の音と焚き火の光で目をさました。

焚き火の光に照らされた作業帽子姿の青年の顔が見えた。

「あんた・・・誰?」

「お!目が覚めたか!!」

「・・・・・。」

「そこの土手で行き倒れていたものだからなこの橋の下で介抱していたんだ。」

「余計なことを・・・・。」


40 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 12:41:19 ID:uZiS07BR0
「まぁそう言うなよ。」

「・・・・・。」

「これでも食べろよ。」

鉄の皿に芋粥をよそって祖母に渡した。

祖母はもともと死のうとしていたものなので手をつけなかった。

青年は優しく笑って。
「俺は厚木にいた、海軍の技術学生として設計や溶接等の勉強をしていたんだ。」
「・・・・・。」
「東京の空襲で家族全員死んだよ。」
「・・・・・。」
「それでもまだこの瓦礫の中で幼い赤ん坊や子供たちが生きているんだよ。」
「・・・・・。」
「俺はまだ死なない・・・・死んでいった者達の思いをいつかみんなに聞かせたい。」
「俺の家族も生きていたんだってね。」
「・・・・・。」
祖母は芋粥の皿をとって口に含んだ・・・・・。

その後どちらとてでもなく二人は結婚した。


41 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 13:13:32 ID:uZiS07BR0
「ノブちゃん。」
「うん?」
「あんた好きな者同士の加代ちゃんと結婚出来て幸せだったんだよ。」
「な、な、何をいきなり言い出すんじゃよ!!」
「あたしらの時代は好きや惚れたで結婚したわけではないんだよ。」

祖父と結婚した祖母は内心これで食うに困ることはないと思った・・・別に心底その青年を愛した訳ではないのだ。

そのうち祖母は身篭った。
祖母が身篭ったのを知った祖父の喜びようはもう大変であった。
人が死に過ぎた戦争だったから・・・・。

毎日ジャガイモや小麦類の食事が多い中で祖父は夜遅くに帰宅しては白米のおにぎり2つを祖母に買って帰って来た。

まだまだ白米はヤミ市で高価な値段で販売されていた。
祖母は毎日むさぼるよう食べた。

そんな日々が続き祖母のお腹はだんだん大きくなってきた。
祖母のお腹が大きくなるにつれて祖父の顔がやつれていくのが分かった。

「自分は何も食べなかったんだよ・・・・・。」


42 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 13:14:04 ID:uZiS07BR0
大谷の祖母はれいなの顔を見ながら笑顔で言った。

「あんた!!何も食べないでそんなに働いていたら死んじゃうよ!!」
「はは、大丈夫だよ!!」
「お前は二人分食べなければならないからな。」

大谷の祖母は、
「その時初めて心からこの人の為に元気な赤ちゃんを産んでやろう、そしてまた楽しく川遊びが出来る家族をこの人と作ろうと決めたんだよ。」

祖母は大谷の顔を見ながら笑顔で言った。

祖母は、
「それでもねあの人はまだ栄養が足りないと言ってやせっぽちの体で河の堰堤にへばりついてウナギを釣ってきたのよ。」

八名は、
「おお!!そう言えば昔は河もきれいで昔の堰堤なんて石で荒く作っていたからな。」
「正にうなぎの寝床と言ってうなぎが棲むにはもってこいなんじゃ。」

れいなは、
「でも、じいちゃんそんな穴の中にいるウナギをどうやって釣るとぉ?」


43 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 13:14:37 ID:uZiS07BR0
八名は、
「昔は長い竹を切って来てな、その竹竿の先に針に刺したドジョウを竹をちょっとだけ割っといて挟んでおくんじゃ。」
「それを石を積んでいる堰堤の隙間に差し込んでいくんじゃ。」
「ウナギが居てドジョウを食べれば竹から「ガリガリ」って振動が手に伝わり糸が伸びていきそれを手でたぐれば穴からドジョウを釣りあげられるのじゃよ。」
「それも昔の話で今はほとんどコンクリートで作られているがの。」

大谷の祖母は、
「当時うなぎと言えばかなり貴重でヤミ市場でも高値で取引されていたよ。」
「それを惜しげもなく自分で料理してあたしだけに食べさせてくれたよ。」

大谷は、
「だからなの?ウナギの違いが分かるのは?」

「まぁそう言うことだね。」
「そんなあの人も3年前にあたしをおいて逝ってしまったよ。」
「最後にあの人に1つだけ聞きたい事があったんだけどね。」
「・・・・・。」

祖母は、
「雅恵、お前のお爺ちゃんはそんなやさしいやさしい人間だったんだよ。」


44 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 13:15:09 ID:uZiS07BR0
「・・・・・。」
「お前はその爺ちゃんの孫と言うだけで自信を持っていいんだよ。」

「ノブちゃんごめんね食べれなくて。」

八名は、
「いや、いいんだ。」

大谷の祖母は

「あたしは、ちょっと寝るよ。」

雅恵は祖母の肩をささえて布団に寝かしつけた。

れいなが祖母の寝顔に近づいた。
「お婆さん、れいなが河でウナギ絶対釣ってくるとぉ。」

「!!」

皆が驚いた顔をした。

大谷の祖母は目を細めて、
「あんた、ノブちゃんの若い頃の目にそっくりだね・・・・」
言い終わって目をつぶって眠った。


45 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 13:15:39 ID:uZiS07BR0
八名とれいなは店を出た。

歩きながら八名は、
「丹下は入院しているからアテには出来んぞ。」

「丹下のおっちゃんからボートさえ借りられればいいとぉ。」

「本気なんだな。」

れいなの胸ポケットから携帯のバイブが鳴り出した。
道重さゆみからの着信だった。

「れいな今日こそツーリングしようよ。」

「・・・・・ごめん今日もちょっとやっかいな仕事があるもので・・・・。」
「え?また何かあるの?」
「ま・まぁ・・・。」
「やっぱりれいなって暇しなくていいね。」
れいなは、
「それじゃ切るとぉ。」
「後から手伝いに行くからね☆」

八名はタクシーに乗って丹下の病院に向かった。

れいなは家に帰ってハゼ釣用の道具を一式揃えてMVXにくくりつけた。


46 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 13:51:33 ID:uZiS07BR0
れいなはこの時ふと思ったが、
「そう言えば・・・ウナギってどうやって釣るんだろう?」
「しかもどこにいるんだろう?」
れいなは丹下達とハゼ釣りしかした事がない。

竹竿を穴に入れて釣る方法はさっき教えてもらったけど普通に釣る方法は全く分からなかった。

れいなは亀井絵里に電話した。
実は絵里は小さい頃から河釣りを父親としていて技術も高いのだった。
ただしれいなと釣りをやるときは小さいハゼを楽しそうに釣っていたが。

「え〜ウナギ?」
「う〜ん、釣れない事もないけどハゼの仕掛けでは難しいよ。」
「・・・・・。」
「丹下おじさんの屋形船置き場でしょ?」
「竿と仕掛け持って行くから待ってて。」
「え?休みなのにいいとぉ?」
「ハゼしか釣ったことのないれいなにウナギは無理だって!!あたしが釣るわ!!」
「ありがとう絵里!!」

れいなの電話にすぐ着信が入った。


47 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 13:52:24 ID:uZiS07BR0
「もしもし?」
「丹下じゃが、ウナギの話は八名から聞いた、わしの小型ボート使いたいんじゃろ?」
「うん?」
「鍵の場所は分かるな?」
「知ってるとぉ。」

「一つだけ注意しなければならない事があるのじゃが・・・」

丹下は4人乗りのモーターボートを所有していた。
れいなは最近小型船舶の免許も取得して忙しいシーズン中は屋形船の助手もやっているのでモーターボートも運転出来るのだった。

丹下の言う注意の事はれいなも承知していた、ボートのスクリュー部分の取り付けネジが古くなっていつ取れるか分からない状態であった。
もう交換しようと部品を取り寄せたのだが、軽トラックの運転中に事故を起こして入院してる状態だった。

「大丈夫とぉもし運転中ではずれても水中で新しい部品を取り付けるから。」
「ああ、水中ライトやその他の部品や工具はボートに搭載している。」
「何とか今回は持つと思うのでがんばれよ!!」
「ありがとうおっちゃん!!」

外に出たれいなの前に「藤本美貴」が現れた。


48 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 13:53:23 ID:uZiS07BR0
「あ!藤本さん!!」
「・・・・・。」
「どうしたんですか?」
「あんた本当にウナギを釣るのかい?」
「あ!・・・すいません・・・友達に釣ってもらう事にしました。」
「え!友達って・・・漁師?」
「いえ・・・女子高生です・・・・。」
「・・・・・。」
「なぁ・・・あんたも薄々は気づいているんだろう?」
「え?」
「あのお婆ちゃんにはもうあまり時間がないことを。」
「そうかもしれないですね・・・・だけど最後の最後まで諦めたくないんで。」
れいなはそう言うとMVXにまたがった。ヘルメットをかぶろうとした瞬間、藤本は、
「あたしも連れて行って!!」
真剣な瞳がれいなに飛び込んだ。
「本当に出来るかどうか見てみたいの。」
「・・・・・。」

絵里はシーバスを狙うタフなタックルを2セット用意した。
れいなと釣るためだ。
(れいなと釣りをやるなんて久しぶりね。)
様々なルアー(疑似餌)の他に生きた「ドジョウ」も用意しといた。


49 :ねぇ、名乗って:2008/12/28(日) 13:54:09 ID:uZiS07BR0
絵里はオレンジパンツで白い長袖Tシャツの上に水色のダウンジャケットを着て赤いスポーツ帽子をかぶって自転車をこいで行った。

「はぁ!!」

丹下の屋形船倉庫の前に黒いバイクがとまっていて全身真っ黒なツナギを着たさゆみをみつけた。

さゆみはこちらに向かって手を振っていた。

「どうしたのさゆみ?」
「ん?釣りに行くんでしょ☆」
「そうだけどさゆみは?」
「一緒について行くだけ☆」
「あ、そ。」

3気筒2ストロークエンジンの音が聞こえてきた。

「!!」

何とれいなのMVXの後部座席に誰か乗っているのを確認した。

れいなの初めての二人乗りの相手をさゆみも絵里も狙っていたのだった。


50 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 16:00:34 ID:uZiS07BR0
「あああああ!!」

「よいしょ。」
「ありがとう。」

藤本はれいなの家にあったヘルメットを借りてれいなの初の二人乗り相手になったのだった。

さゆみは愕然としていた。

月夜の海岸線をれいなのバイクの後部座席にスカートをはいて女の子座りでツーリングをするのが夢だったのだから。

ま、それはさゆみの勝手な妄想ではあるのだが・・・・・。

れいなは、
「なんでさゆみがいるとぉ?」

「八名のお爺様から聞いたのよ!!ウナギの事を!!」

(な・何を怒っているとぉ?)

れいなは、
「とにかくみんなボートに乗るとぉ!!」


51 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 16:01:23 ID:uZiS07BR0
それぞれの座席に用意してあるライフジャケットを身に着けた。
れいなは白い長靴に作業用で水色のツナギを着込みカーキー色の帽子を被っていた。

れいなは、
「絵里とりあえずポイントはどこに行けばいいとぉ?」

絵里はまだ動揺していて、
「う・うん・・荒川の第2号橋の下で狙おう!!」

「オーケー!!」

れいなは荒川を目指した。

藤本は何となく絵里とさゆみが不快な空気を出している事に気づいた。

藤本は絵里とさゆみに向かって、
「はは〜ん」
「?」

「あんたら、あたしが田中のバイクで二人乗りしたのが気に食わないんだ。」

「!!!!!!!」

二人はカッと藤本をにらんだ。


52 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 16:02:14 ID:uZiS07BR0
「はは、本当なんだ。」

「あんたら、いくつになるんだい?」
「!!!!!」
「いつまでもれいなれいなじゃ大人になれないよ。」
「!!!!!」
「いいかげん田中から卒業しなさい。」

「・・・・・・。」

二人は黙って聞いていたが実際、藤本の言う事は本当の事であるので「威力」があった。

絵里は釣り糸をたらしたままで口が閉じなくなり目が点になっていた。

れいなは、
「絵里!!ちょっと!!」

「ん・んん。」

「しっかりするとぉ!!」

「あ、うん。」

「橋についたとぉ。」


53 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 16:02:57 ID:uZiS07BR0
絵里はさゆみにルアー竿を渡して、
「さゆ、れいなにはボートの制御をしてもらってあたしと二人であの橋の下深くをねらうよ!!」

さゆみは正気に戻り、
「分かったわ!!」
「うん、うん。」
「絵里。」
「ん?」
「ところで釣りってどうやるの?」
「・・・・・。」

一通りリール竿の使い方をさゆみに教えて釣りスタートである。

絵里は魚の形をしたルアーを橋のたもとに数をカウントしながら沈ませる。
その後まるで小魚が生きているように小刻みに竿先にアクションをつけて緩急をつけてリールを巻いた。

「なになに!!」

さゆみが適当に巻くルアーに何か食いついたようだ。

「う〜んなになに!!」

さゆみは力任せにボートに引き上げた。


54 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 16:03:33 ID:uZiS07BR0
30cmあるセイゴだった。

ボートの上でさゆみはキャーキャー言っていた。

(そろそろ暗くなるわね・・・)

絵里はルアーから1m離して大き目の40号の重りをつけた。
素早く深場に落とすためだ。

(探ってみる・・・。)

絵里はポイントにルアーを落とし小魚が素早く逃げる操作をした。

(!!)

(居た!!)

絵里はルアーを巻き切った。

絵里は、
「れいな、そろそろ勝負よ!!」

「・・・・・。」

絵里はホームセンターで買ってきたビニール袋に入っているドジョウを一匹取り出した。


55 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 17:00:58 ID:uZiS07BR0
ルアーを道糸からはずして大きな釣り針に付け替えドジョウをきれいに刺しつけた。

れいなは、
(やっぱり絵里に頼んで正解だった。)

れいな達が息を呑んで絵里のキャスティングを見守った。

辺りは薄暗くなって夜行性の魚が活発になる時間が迫った。

絵里が慎重に橋げた付近にキャスティングした。

「!!」

「れいな!!間違いない!!「ウナギ」よ!!」
「くっ!!しかもでかい!!」
もともと深いところから引っ張っているため竿にかかる負担は大きい。
リールは魚の力に合わせ切られないように糸が飛び出していく。
ドラッグと言う糸巻きから出る糸を何とか巻き上げるのが釣り上げる技術である。
ここで決定的な場所的ハンディがある、魚が川のながれの方向のどちらにいるかだ。
魚が下流側にいれば流れに乗って逃げ易い、上流側では反対に水の抵抗を受けるため魚にとっては負担である。

絵里は、
「れいな、方向を頼むわ!!」


56 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 17:01:35 ID:uZiS07BR0
ボート操作によって楽に釣り上げようと言うことだ。

「よっし!!」

「!!」

ボートは軽快にエンジン音を立てたが制御が利かない!!

(まさか!!こんな時に!!)

絵里はれいなを見た。
ボートのスクリューの件はみんなが知っていた。

「んん!!」

魚の引きが強くどんどん糸が出されていく。

「これは負けパターンになりそうね。」

絵里はタックルボックスから大きなケミカルライトの釣り用浮きを取り出し液がでるように割って被っている帽子に巻きつけた。
「れいな、なるべく早く頼むよ!!」

「絵里!!」


57 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 17:02:08 ID:uZiS07BR0
なんと絵里は竿を持ったまま暗い河に飛び込んだ。

れいなは、
「絵里〜もういいから竿を放してボートにもどって〜!!」
れいなの悲鳴が暗い河に響いた。

絵里は、
「何言ってんの!!修理の仕方は分かっているんだからさっさと直して絵里を助けて!!」

「絵里〜!!」
れいなは泣き声だった。

絵里は、
「あたしねいつもいつもれいなに頼って生きてきた。」
「小学生の時、神様がれいなを私の前に連れて来てくれてからずっと。」
「・・・・・。」
「でもね!!今は違うの!!」
「!!」
「今は!!絶対れいなだけには負けたくないの!!」
「だからいつもの様にピンチを簡単にこなして成功させよう!!」
絵里はどんどんボートから離れた。
それでもライフジャケットで浮きながら水中でリールを巻いていた。


58 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 17:07:54 ID:uZiS07BR0
れいなは真っ青な顔をしてボートの工具箱をあけてスクリューの修理準備を急いだ。

(れいなだけには負けたくない・・・・あの娘・・・確かにそう言った。)
藤本は暗闇の河から放たれた「叫び」に胸をしめつけられた。
(早く!!あたしも何かして助けなければ!!)

さゆみが、
「れいな。」

「え?」

「とりあえず動力を切って。」

「あ、そうだね。」

「れいなは何とかライトを動かして絵里を見失わないようにしてて。」

「あとはさゆが直しとくから。」

「!!」

さゆみは黒いレザーのバイクツナギをおもむろに脱いだ。

「!!」

ツナギの下は学校で着る競泳水着を着込んでいた。


59 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 17:08:41 ID:uZiS07BR0
「時間がなかったんでこれしかなかったんだ☆」

とは言ったもの、水中で素早く作業するには最適な格好であった、寒さを除けば・・・・・。

「なんでさゆが?」

「あん時の電話でれいなの声聞いてピンチだってすぐ分かったの。」

「すぐ八名のお爺様に電話して事情を聞いたわ。」

「その足で丹下のおじさまに会ってボートの件を聞いたの。」

「さゆ。」

「絵里じゃないけどさゆみも来年はアメリカへ留学するわ。」
「・・・・・。」
「親やお爺様に言われるからじゃなくてれいなに負けない力をつけてれいなを迎えに来てグループを作っていくためよ。」

「それじゃすぐなおすわ☆」

両手に工具と部品、口に水中ライトをくわえてライフジャケットを脱いで素もぐりである。

「さゆ!!」


60 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 19:09:43 ID:uZiS07BR0
さゆみはいつものようにウィンクをして水に入って行った。

11月の水なのでかなり冷たいはずである。

藤本は工具箱から水中ライトを取り出し少しでもさゆみが作業し易いように上からライトを照らした。

(あたし・・勘違いしてた・・・この娘達はただの仲良しグループじゃなかったんだ・・・・)

河の中央を定期便の大きな貨物船が通った。

「!!」

大きな船が通ったため大きな波が河の両岸に伝わった。

さゆみは水中で波に押し上げられ口にくわえた水中ライトを落としてしまった。

藤本はライフジャケットを脱いで水中に入った。

水面から顔を出したさゆみは、
「藤本さん!!無茶しなで下さい!!」
「無茶はどっちだよ!!」
「・・・・・。」
「とにかく一緒に潜ってあたしがライトで照らすんでささっと閉めちゃえよ!!」


61 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 19:10:23 ID:uZiS07BR0
「わかったわ。」

部品のネジはほとんど締めてあるので仕上げの締め上げである。

二人は一緒に潜った。

さゆみは藤本がライトで照らすスクリュー部分のネジをいっきに締め上げた。

(よし☆)

(!!)
藤本はまた貨物船が引き起こす波の動きを見た、小さなゴミ等が急速にこちらに向かっていた。
今ちょうどさゆみの顔はスクリューのまん前にあった!!

(!!)

藤本はとっさにさゆみの顔を守るためスクリューの前に背中を向けた。

貨物船の波はさゆみと藤本をスクリュー側に強く押し付けた。

(!!)

さゆみは藤本の胸に飛び込んだ!!
その瞬間藤本の背中はスクリューに押し付けられ藤本の背中は数センチ切りつけられた。


62 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 19:11:11 ID:uZiS07BR0
波が去った後さゆみの目には藤本の背中から赤い染みがライトに照らされるのを見た。

さゆみは藤本を引っ張りあげボートにあがった。

「さゆ!!どうしたとぉ!!」

「藤本さんが今の波で怪我を!!」

「・・・ミキでいいよ「さゆ」。」

「はい。」

藤本は、
「田中!!エンジンをかけろ!!絵里を速く助けるんだ!!」

「あ!!」

れいなはエンジンをかけた。

ボートの制御はよみがえった!!

いっきに絵里のところまでたどりついた。

「絵里〜!!」

「結構早かったじゃん、れいな!!」
絵里は気丈にも唇を紫色にして笑っていた。

絵里は慎重に竿を水面かられいなに渡した。


63 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 19:11:52 ID:uZiS07BR0
「!!」

竿からはまだまだ魚の引きが伝わる!!

絵里はボートの手すりからひらりと登りあがった。

れいなから竿を受け取ると、
「さあ取り込むよ!!」

絵里の誘導によってボートの位置が変えられた。

ボートに積んである毛布で藤本の体をくるみさゆみは藤本の傷にタオルを押し付け背中を支えながら一緒にその様子を見ていた。
絵里は竿を立てていっきにリールを巻き始めた。
れいなはライトを照らしてタモ網を構えてウナギを取り込む準備をしていた。

絵里は、
「さあいくよ!!」
「いいとぉ!!」
バシャッ!!

藤本は、
「やった!!」

小さなボートの上は大歓声だった。


64 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 19:12:41 ID:uZiS07BR0
60cmもある大ウナギだった。

絵里はすばやく釣り針をはずしてウナギをクーラーボックスに入れてフタを閉めた。

れいなは、
「さあ帰るとぉ!!」

屋形船置き場には大きなワゴン車で乗りつけた「柴田あゆみ」が待っていた。
柴田はまず病院へ藤本を送った。

藤本は、
「さゆ、すまないが手当てが終わるまで待っててくれないか?」
藤本は事の顛末を自分の目で確認したかったのだ。

「いいわ、ミキさん。」

柴田は絵里を家に送った。

絵里は家の前でMVXに乗っているれいなに、
「れいな、後で家に行くから大谷和菓子店に行くの待っててよ!!」

「ああ、分かってるとぉ。」

れいなと柴田は、焼き鳥食堂に帰宅した。

食堂では七輪で炭が焚かれていた。


65 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 20:07:24 ID:uZiS07BR0
「さあ、れいなさばいてみろ。」

八名は調理をすべてれいなに任せた。

れいなは、まだ生きているウナギを長いまな板の上に乗せて頭にキリを刺して動きを止めいっきに身をおろした。

焼き鳥食堂創業以来の何十年も継ぎ足して来たタレにつけて強火の炭で裏表をきれいに焼いた。

重箱にご飯を詰めてうなぎを乗せて完成である。

八名は夜分だが大谷和菓子店に伺う旨の電話をした。

「なんと!!」
「・・・・・分かった、すぐ行く。」

「どうしたとぉじいちゃん?」

「ああ、大谷の姐さんが危篤らしいので来るのなら急いで欲しいそうじゃ。」

柴田のワゴン車は絵里の家に寄って急いで大谷和菓子店へ向かった。

柴田のワゴンと同時くらいにRZ350にまたがった、さゆみと、藤本が病院からたどり着いた。

昼間会ったばかりのお婆さんは目をつぶって眠っていた。

大谷がれいな達に言った、
「昼間みんなが帰ってから急に容態が悪くなってさっき先生が帰ったけど。」
「・・・・・。」
「今夜が峠らしいの。」
畳の部屋に皆はうなだれて座っていた。


66 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 20:08:11 ID:uZiS07BR0
八名は大谷の両親に、
「実は今日、孫達が河でウナギを釣って着たんじゃよ。」

「!!」

大谷一家はびっくりしていた。

雅恵の父は、
「まさか本当に釣ってきたのですか?」

八名は深くうなずいた。

れいなは高く積んだ重箱の風呂敷を解いた。

和室に「うな重」の香ばしい匂いが広がった。

藤本、さゆみ、絵里のお腹が一斉に鳴り出した。

3人は苦笑いをしていた。

れいなは、
「無理もないとぉ、3人とも冷たい川に入ってまだご飯食べてないからね。」

「ん?」

大谷が祖母の容態に気がついた。

祖母が両目をきっちりあけた。

「雅恵、起こしてちょうだい。」


67 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 20:08:47 ID:uZiS07BR0
大谷は祖母を抱き起こした。

小さいちゃぶ台を布団の上にかかるように据えて「うな重」を置いた。

祖母は箸を取った。
「!!」
「美味しい・・・間違いなく河で獲れたウナギだわ。」
祖母は少女達を見て、
「ありがとう、本当にありがとう。」
なんどもなんども礼をした。

祖母は三口ほど食べた後お茶を飲んで、雅恵によってまた布団に寝かされた。

祖母は深い深い眠りに落ちた。
「おおーい。」
「ん?」
そこは昭和のきれいな河原だった。
若き日の祖父が大きなウナギを釣りあげ手を振っていた。
祖母は気がつけばあの頃の年恰好になっていた。

「あなたー」
青空の下涼しい川風が吹く中、二人は歩み寄った。

「あなた・・・・。」
「ん?」
「私あなたが逝ってしまう前にどうしても聞きたかったことがあったの?」
「なんだよ・・・。」
祖父はそっけなく笑った。
「食べる為だけにあなたと結婚したけど、それ以上に幸せになった私ほど・・・・。」
「・・・・・。」
「あなたは幸せだったのかしら?」


68 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 20:09:25 ID:uZiS07BR0
祖父は困ったような顔をしてカーキー色の帽子をかぶり直し優しく祖母の肩を抱いて涼しい木陰に向かって歩いて行った・・・・。

「おばあちゃん?」

雅恵が寝かしつけてすぐ祖母は息を引き取った・・・・。
その顔は安らかでまるで少女のような笑顔でさえあった・・。

雅恵の父親は、
「みなさん、本当にありがとうございました。」
「最後に親孝行させいだだけました!!」
「私が用意したものではありませんが母の最後のわがままに付き合って残ったうな重を食べてしまってください。」

皆は満足のいく「うな重」を食べた。
それは祖母の最後の振舞いであった。

食事を終えて本格的に葬儀の準備が始まった。

さゆみ以外は柴田のワゴン車に乗り合った。

藤本は、
「病院からバイクで送ってくれてありがとう、今度焼肉ふじもとに来てよ、サービスするから。」

さゆみは、ヘルメットの上から敬礼をした。

車は発進した。

藤本は、


69 :「フィシュ☆オン」:2008/12/28(日) 20:10:00 ID:uZiS07BR0
「絵里は、めちゃくちゃ魚釣り上手いんだな。」

「師匠がいいんです。」

「どんな風に教えてくれるの?」

「「穏やかになることを学びなさい。」って。」

「・・・・ふ〜ん、深いな〜。」
(わたしも学ばないとな。)

「ところで学校の先輩か?」

「いいえ、「アイザック・ウォルトン」です。」

                   了



70 :ミヤビイワナ:2008/12/28(日) 20:46:18 ID:uZiS07BR0
2006/09/15(金)に初めてこの板で物語の端っこにある人物のサイドストーリーと言うものを書かせていただいたて2年以上がたってしまいました。
おそらくサイドストーリーと言う形でこの物語で小説を書くのは今回で最後です。
自分自身家族を含めて色々なことがあった一年でしたが最後にこの様な作品を書かせてもらって感謝しています。
彼女達のおかげですね。
後は本編の彼女達を立派に卒業させてやるのがイワナの最後の仕事だと思いますので3年近くにわたって読み続けた読者の人達はまあまあ見守ってやって下さい。
寒い日が続くので風邪などひかぬように。

明日も負けないように・・・泣かないように・・・

71 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 07:20:23 ID:QyT50zyJ0
「んじゃ、文化祭本番での持ち時間は10分間。」
「その中で出来る演奏曲を決めようか。」

昨日の放課後、突然結成された文化祭バンドのメンバーは徳永鉄筋工場の一角を借りてバンド練習をすることになった。

千奈美はメンバーにどんな曲がいいかを聞いてみた。

桃子は、
「やっぱりアイドル路線で。」
千奈美は、
「う〜ん、バンドだしな〜。」

「佐紀は?」

佐紀は千奈美の父親がセッティングしてくれたドラムセットに座って椅子の高さ等を調整していた。

「何でもいいよ。」
言うなり速いエイトビートを刻んだ。

(わぉ〜。)

「梨沙子は?」

「オジー最高!!」

「ん〜」

梨沙子は国産メーカーのギターで黒い「レスポールタイプ」を肩から下げていた。


72 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 07:21:09 ID:QyT50zyJ0
千奈美の父親が車で運んでくれたマーシャル50ワットアンプから歪んだギター音が工場に響いた。

(思った以上に梨沙子はギターが上手いわね。)

長身でロングヘアーの友理奈はYAMAHAの白いモーションと言うエレキベースを従姉から借りてきたと言う。
その際50ワットのアンプも借りてきて工場に低音が響いていた。

「う〜ん。」

友理奈は鞄からCDを出して千奈美に差し出した。

千奈美は手に取って。

「ブルーハーツ」

CDラジカセで鳴らしてみた。

「!!」

乾いたドラムのビートが流れてきた。

とても美声とは言えなくて音程が合っているのか合っていないのか分からない男性ボーカルが聞こえてきた。

梨沙子が早速パンクコードをジャラジャラ弾きだした。
佐紀もビートを合わせた。
友理奈はよほど聞き込んでいるのだろう笑顔でCDに合わせてベースを鳴らした。

千奈美は、
(うんうん、これなら短期間で演れそうね)


73 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 07:23:18 ID:QyT50zyJ0
「あ!」

千奈美はソロリと桃子を見た。

桃子は口を開けたままで目が点になってマイクを握り締めていた。

(あちゃ〜)

「桃子?」

「う、うん、あたしこの曲聞いた事あるし、大丈夫!!」

「イエ〜イ!!」
桃子は少し調子が違うが大体パンクなんてものはそんなものなんだろうと千奈美は思っていたが、さすが色々なオーディションを受けてきた桃子だった、すぐに「ノリ」をつかんだ。
桃子の隣にきて梨沙子は楽しそうに早弾きをアドリブで弾いていた。

ラジカセから流れる曲を佐紀はあっという間に覚えておなじビートを叩いていた。

友理奈は目をつぶりだし何かを思い出しているかのように上を向き笑いながらベースを弾いていた。

千奈美は焦った。

(な、なんだこのメンバーは!!)
(やばいウチ遅れてる!!)

千奈美もラジカセを聞きながらノートにコード(和音)を書き出しながらキーボードを弾いた。


74 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 07:24:00 ID:QyT50zyJ0
「それじゃ今度はあさってね。」
千奈美がそう言ってメンバーは解散した。

次の日

千奈美はキーボード教室のある楽器店に行った。

「すいません。」

千奈美は店員に声をかけて今月予定していたキーボード講習をキャンセルしに来た事を伝えた。
文化祭の準備もあるのだがそろそろ受験勉強しないとやばいと雅から怒られていたのだ。
千奈美は、
(まさかみやに怒られるとは・・・)

用事が済んで帰宅しようとしたら石村舞波に会った。

「あ、舞波ちゃん。」

「千奈美ちゃん。」

「今からキーボード教室?」

「うん。」

「舞波ちゃん来週の日曜日に桜中学の文化祭があるんだけど。」

「え〜そうなんだ。」

「うちね、クラスのメンバーで文化祭バンド作ったんだ。」


75 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 08:51:20 ID:QyT50zyJ0
「すごい〜どんな曲を演るの?」

「ブルーハーツって言う昔のバンドだけど知ってるかな?」

「・・・・・。」

「ん?どしたの舞波ちゃん?」

「来週の日曜日ね、必ず見に行くわ。」

「うん、良かったら見に来てね、それじゃ。」

日々バンドの練習もあったのだがクラスの出し物である「よさこいソーラン節」の練習もやらなければならなかった。
クラス委員の清水佐紀が踊りの全般統制をしていたが的確なポイント指導でクラスはあっという間に踊りを覚えた。

佐紀は、
「うん、これならステージに立てるね。」

準備する期間は短かったけどいよいよ文化祭は明日に迫った。

休み時間、
茉麻は、
「ちぃ、放課後バンドの練習やるの?」
「うん最後の練習だね。」
教室の窓に二人はもたれて、
「そう言えば、先週楽器店で「舞波ちゃん」に会ったわ。」

「へぇ〜元気だった?」

76 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 08:52:05 ID:QyT50zyJ0
「うん、バンドの事を話して文化祭見に来てよって誘っといた。」

「それはいいわね。」

「そん時ね、ブルーハーツを演るって言ったら目が点になっていたよ。」

「う〜ん、私もあんまりそのバンド知らないけどね。」

隣の窓際では友理奈と雅がいた。

友理奈はグランドを見て、雅は頭に腕を組んで反対の教室側を見ていた。

「すっかり腕の方は良くなったんだね。」
「うん、修学旅行の時はありがとうね。」

「バンドの方はどうよ?」
「うん、すごく楽しい。」
「演奏しているとね舞波の事を思い出すの。」
「・・・・・。」
「舞波が大好きなバンドだったからすごく喜んでくれているように思うんだ。」
「・・・・・。」
「きっとまた会えるよ・・・その気になれば住所調べたりも出来るはずなんだから。」
「・・・・・。」
「あたしが調べるの頼んでみようか?」
「え?誰に?」
「桜中の卒業生で道重先輩って言う財閥のお嬢様がいるんだ。」
「なんで財閥のお嬢様が下町の公立中学に通うの?」
「ん〜詳しくは『ラブ☆なっくる!!』読んで。」
「はぁ?」

「とにかくがんばって文化祭もりあげてよ!!」

77 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 08:52:44 ID:QyT50zyJ0
「うん、まかせといて!!」

友理奈は窓から空を眺めて風を受け止めながら目をつぶった。

(今度、舞波に会えたら・・・もう格好つけないんだ・・・苦しい時は苦しいと言って・・・寂しいときは寂しいって言うんだ。)
友理奈は雅を見つめ、
(それでいいよね雅・・・)

秋のイワシ雲がゆっくり青空を流れていた・・・・・。

いよいよ文化祭当日である。

朝早く桜中学の校庭に2台の2ストロークバイクのエンジン音が響いた。

「あ〜、どうせなられいなのバイクに乗りたかったな。」
さゆみはれいなが絵里を向かえに行く前にRZ350で向かえに行っていたのだ。

「あたしがまだ乗ってないのに絵里にはまだ早いの!!」

3人の後から柴田あゆみが運転している大型トラックが近づいてきた。

3人はあゆみが運転してきたトラックから模擬売店資材を下ろした。

例年は丹下と八名が売店を出していたが丹下は自分で運転していた軽トラックで事故を起こして入院していたため今年は「れいなチーム」で売店を仕切るのだった。

売り物は「焼き鳥」、「鉄板やきそば」、各種飲み物である。
さゆみは「たこ焼き」に挑戦するそうだ。

手伝いには茉麻と雅がする事になっていた。

78 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 08:53:30 ID:QyT50zyJ0
「れいな先輩!!」

「おお雅!!久しぶりとぉ!!」
「茉麻もよく来てくれたね。」

二人を見たれいなは、
(どうやら2人なりに解決できたんだね・・・・。)
始終キャーキャー言い合っている絵里とさゆみを見つめながら。
(いつかは一人で歩き始めなきゃならないんだ・・・・・。)

いよいよ文化祭の開始である。

他の学生や父兄等で校内は賑わっていた。

「くんっくんっ。」
「お姉ちゃん何やってんの?」
「ん?何か良いにおいが・・。」

「あ!!」

「あ!!ミキさん!!」

れいなは頭にタオルを巻きながら焼き鳥を焼いていた。

「あ!!さゆも絵里もいるのか?」

「ミキさん、さゆのたこ焼きたべてって!!」

絵里がテーブルを拭いて、
「こちらへどうぞ。」

79 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 08:54:33 ID:QyT50zyJ0
「へー立派に店やってるんだな。」

「!!」

久住小春がれいなに言って超盛の焼きそばを作ってもらい持ってきた。

テーブルに座って食べだした。
「お姉ちゃんあの人達と知り合いなの?」
「まあね・・・最強だぞあいつら。」
「え!!お姉ちゃんがそんな事言うなんて・・・。」

「すいません、このジュース下さい。」

「はい、あ?」

「あ?」

赤いエプロンをして頭にバンダナを巻いた茉麻は、
「舞波ちゃん!!」

「良かった知ってる人に会えて。」

舞波は大きなエクボで笑っていた。

「あ!!もうすぐね千奈美達のバンド演奏。」

「みや!!そろそろバンド見に行くよ!!」

雅は午前中の最後に発表した「よさこいソーラン節」の衣装であるジャージにソーラン節用の法被を着て鉢巻姿のまま売店を手伝っていた。


80 :ねぇ、名乗って:2008/12/29(月) 10:08:17 ID:QyT50zyJ0
バンドと聞いた小春は、
「すいませんーん!!」

藤本は、
「あ、あんたそれでもアイドル?口から焼きそば出てるよ!!」

茉麻達は口から焼きそばを出しているアイドルを見た。

「すいません!!桃子ちゃんと佐紀ちゃんのステージに行くんですか!!」

茉麻は、
「小春ちゃん!!」

「チューニングはオッケー?」
梨沙子と友理奈はニッと笑ってうなずいた。

千奈美達は体育館の舞台裏にスタンバイしていた。

今舞台ではラップダンスのチームが踊っていた。
それを舞台の袖から見ながら佐紀はドラムスティックでリズムを取っていた。

桃子はMCのカンペをもう一度制服のポケットから出してメンバー紹介から確認していたが・・・・。
(!!)
千奈美の手を引っぱって、
「ねぇ、いまさらだけど、バンド名って何!!」

千奈美は口をガーンと開けて。
「ま・ま・まさか・忘れていた・・・・。」

本番まであと5分。

81 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 10:08:59 ID:QyT50zyJ0
メンバーは集合して、
友理奈は、
「悪いけどもう千奈美が決めるしかないわよ。」

「うーん・・・桜中学の・・・・」
千奈美は目玉リレーをしながら考えた。
「「チェリーハーツ」よ!!」

佐紀は、
「桜の心・・・か。」

桃子は、
「うんうん。」

梨沙子は、
「ロックンロ〜!!」

「こっちこっち!!」
雅は体育館の舞台に向いたアリーナに小春、舞波、茉麻を引き連れた。
雅は千奈美から預かったハンディームービーをセッティングした。

茉麻は、
「舞波ちゃんこっちに座ろう。」
「うん。」

雅は、
(ん?舞波?・・・。)

千奈美は、
「本番前に悪いけど1曲目終わってメンバー紹介の時に・・・。」

82 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 10:09:41 ID:QyT50zyJ0
「梨沙子1分程度でランディーローズ弾きなさい。」
「!!」
「梨沙子がオジーにこだわったのはギタリストのランディーローズに憧れてなんでしょう。」
梨沙子は、
「ちぃ、なんでそんな事を・・・・。」
「ネットで調べたんだ、小児麻痺で足が悪かった彼はハンディをものとしないギタープレイを全米で披露していたけど・・・25歳の時に飛行機事故でなくなってしまった・・・。」

「何で、ちぃ?」

「音よ。」

「梨沙子のギター音がもっと広がりを求めているのを感じたのよ。」

「ちぃ・・・・。」

友理奈は、
(薄々は感じてたけど千奈美は「音感」がある。)
(心の音感も抜群かも・・・・。)

友理奈は、
「さあ行こうかお嬢さん達、うちらのステージへ。」

桃子は、
「なにそれ、みのもんた。」

友理奈は、
「なんかもりあがってんのよ!!」

文化祭の総合司会がゴーサインを出した!!

83 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 10:10:25 ID:QyT50zyJ0
メンバーは配置につきアンプの電源を入れたりマイクの高さを調整していた。
音楽委員があらかじめセッティングしていたミキシングに切り替え音響調整は終了だ。

桃子はみんなの顔を見てうなずいた。

梨沙子は桃子の歌にあわせてスローなダウンストロークを鳴らした。
曲がとぎれて、佐紀のドラムがカウントを刻んだ。

大音量が体育館を包んだ!!

「リンダリンダ〜」

体育館が大合唱していた。

男子生徒はリズムにあわせて大ジャンプしていた。

雅は茉麻が言った「舞波」と言う名前が気になって顔を見ようとしたがバンド演奏が始まってしまったのでビデオを撮り続けた。

体育館は騒然としていて外まで大音量だった。

売店をやっていたさゆみは、
「あの娘達がんばってるのね。」

れいなは体育館の方を見てうなずきながら。
「雅がビデオ撮ってるんで後で見せてもらおう。」

絵里は、
「あの時も騒然としていたよね。」

雅と茉麻がいないぶん店を手伝ってテーブルを拭いていた藤本は、

84 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 10:11:10 ID:QyT50zyJ0
「あの時って?」

絵里は、
「れいなが不良グループに濡れ衣を着されて転校されそうになったとき体育館に生徒があつまって抗議活動をした事があったんですよ。」

「ふ〜ん。」

絵里は、
「詳しくは『ラブ☆なっくる!!』を読んでください。」
藤本は、
「おい!!今回2回目だぞ!!」

1曲目が終わり桃子のMCでメンバー紹介が行われた。

「小さな体からスーパービートを放つ清水佐紀!!」
佐紀がシンバルを叩いて立って一礼した。

「わがバンドのリーダーでキーボード担当、徳永千奈美!!」
コードC G C を叩いた。(音楽授業の時最初と最後に礼をするアレ)

放送委員がスポットライトを千奈美から友理奈に照らした。

(!!)

舞波は目を疑った!!

桃子のMCが続く、
「長身から放つ重低音、熊井友理奈!!」
友理奈は軽快なチョッパーを叩いた。

85 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 11:11:42 ID:QyT50zyJ0
雅はもう我慢出来ずにビデオを撮りながら、
「友理奈なんだよ!!舞波ちゃん!!」
舞波は初めて会った雅を見た。
「本当に友理奈ですか?」
茉麻は全く良く話が見えなかった。
小春も黙って聞いていた。

雅はビデオを撮りながら、
「まだ間に合う下に行って顔を見せて応援してやって!!」

舞波は立ち上がった!!

雅は、
「まあ、頼む!!」

茉麻は、
「さあ行こう、「友達」に会いに。」

二人はアリーナ席を降りていった。

小春も後を続いた。

桃子のMCが続く、
「続きましてはうちのスーパーギタリスト菅谷梨沙子!!」

千奈美は、
(梨沙子がんばれ!!)

梨沙子は目をつぶり静かなランディローズのクラシカル曲「DEE」を弾き出した。

静かな旋律の中を茉麻と舞波、小春は急いで前列に行った。


86 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 11:12:16 ID:QyT50zyJ0
梨沙子のギターソロが静かに終わった。

会場は静寂に包まれたが、次の瞬間大拍手がわきおこった。

梨沙子は深くお辞儀をして、
(ランディーの曲・・・みんなに聞かせたよ。)

「そして歌いますわ将来のスーパーアイドル嗣永桃子です。」
「私のファーストステージにようこそ!!」
「みんなに贈ります・・・・「終わらない歌」・・・」

バンドが一体になってするどいビートが響いた!!

誰もが「チェリーハーツ」に釘付けになった。

友理奈は目をつぶって何度も聞いたこの曲を弾いた。
(これで中学生活の文化祭も終わりね・・・・)

「!!」

千奈美は茉麻と舞波と小春に気づいた。

手を振ったが友理奈の方を3人とも見ていた。

友理奈は目を開けて曲の終盤にリズムをあずけた!!

「!!」

目の前に舞波がいる。

友理奈は舞波の顔をじっと見つめたまま指を動かした。


87 :Episode028「文化祭」:2008/12/29(月) 11:13:14 ID:QyT50zyJ0
舞波の目からは涙がこぼれていた。

友理奈も涙が止まらなくなった。
友理奈は唇で舞波に歌った、
「終わらない歌を歌おう一人ぼっちで泣いた夜」
舞波も唇で応えた、
「終わらない歌を歌おう明日には笑えるように・・・・」







Episode028「文化祭」終わり


88 :ミヤビイワナ:2008/12/29(月) 11:15:24 ID:QyT50zyJ0
やっと書き終えることが出来た。
2年以上もかかったな。
もし読んでる人がいたらこんな感じにしてみました。

89 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 11:22:54 ID:FB8sLCyu0
Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」

「ああ、とうとう12月に入ったね。」
千奈美は雅と土手を歩き登校しながらしみじみ言った。

「ところで千奈美受験勉強は、やってるの?」

「全然・・・何やっていいか分からないんだよ〜。」

二人は一応志望校を一緒にしているが二人の成績では地元の公立は難しくて下手したら千葉まで行かなければならなかった。

雅は、
「冗談抜きで道重先輩に相談してみようか?」

千奈美は、
「そうだよね、超難関進学高校の生徒だもんね。」
「でも、さゆみ先輩海外留学するんでしょ?。」

「みたいだね。」

千奈美は、
「絵里先輩も同じ高校なので頼んでみる?」

雅は、
「そうだなぁ〜何にしても時間がないよなぁ〜。」

桃子は佐紀と土手を歩いていた。
「佐紀ちゃんは予定通りダンスの道に進むから受験は関係なくて気楽だね。」
「何言ってるの、桃子だってアイドルのオーディション受けまくるため高校行かないんでしょ。」

90 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 11:23:39 ID:FB8sLCyu0
「まあね。」

佐紀は、
「不安は・・・確かにあるんだけど。」
「・・・・・。」
「決めたら進むまで。」

桃子は笑って、
「何硬くなっているの、私なんか引き取ってくれるプロダクションも決まってないんだから。」

佐紀は、
「ごめん・・・。」

冬の風の強さが増すように彼女達の中学卒業への速度が増していく日々だった。

放課後、
茉麻の携帯にメールが入った。
(まいみ君・・・・。)
放課後に一緒に下校しようと言うメールだった。

校門で矢島舞美が待っていた。
「よお!!」
「まいみ君久しぶりね。」

「学校には二人とも登校してるんだけどな。」

体育祭と文化祭が終わった後も入試前の準備等で慌しい日々が流れていた。

土手を歩きながら舞美は、
「俺、卒業後の進路決めたんだ。」

91 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 11:26:11 ID:FB8sLCyu0
「・・・・・。」
「前から考えていた私立高校、あそこの陸上部だったら懸けてもいいと思うんだ。」
「・・・・・。」

「・・・・結局・・・・まあさはどうするの?」

「・・・・家族と北海道に行こうと思うの・・・・。」

「・・・・・やっぱり・・・・まあさらしい・・・・・。」

「・・・・ごめん。」

「いや・・・だから好きになったんだよなきっと。」

「まいみくん・・・・。」

「最後のクリスマスにお昼を二人で食べに行かないか?」

「うん。」

今だけの二人を見れば幸せなカップルである。
そう、この瞬間を大事にしようと2人は思っていた。

坂本は公団住宅の一角にある菅谷梨沙子の自宅を訪れた。

菅谷梨沙子の母親、「詩子」がお茶を持ってきた。

坂本は、
「ああ、お母さんお構いなく。」

92 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 11:27:01 ID:FB8sLCyu0
詩子は、
「すいません先生、せっかく来ていただいたのに梨沙子は薬を飲んだあと寝てしまって。」

「いえいえ、構いません、急に押しかけてしまって、申し訳ありません。」

詩子は、
「文化祭のバンドで興奮しすぎて、ちょっと疲れてしまったのですね。」
「明日は多分学校の方には行けると思うのでよろしくお願いします。」

「ところで先生、今後の梨沙子の療養についてですが。」
「はい。」

今日坂本が菅谷の実家に訪れたのはこの件が知りたかったのだ。

「沖縄に専門の療養所があると聞いて今主人と調べているところなのです。」

「はぁ〜そうなんですか。」

「過去の例を見ると完治した人も多く可能性は高いと言うのです。」

「うんうん。」

「旦那さんは大阪の会社で勤務なされていたのでしたよね。」

「はい。夫の会社の支店も沖縄にあるのでいつかは親子で暮らす事は可能です。」

「それは良い事です。」
「色々な事情はあると思うのですがやはり家族は一緒にいるのがいいですね。」

詩子は、
「梨沙子にそれとなくは話しているのですが・・・。」

93 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 11:27:51 ID:FB8sLCyu0
坂本は、
「梨沙子にはまだ完全に確認してないと言う事ですね。」

「そうです・・・。」

「・・・あの娘今の学校の友達が大好きなんですよね。」

夏焼雅と徳永千奈美の「崖プッチコンビ」が駅の近くにそびえる高級マンションの前に来た。

マンションの住人である道重さゆみが降りてきた。
「めずらしい二人が訪ねて来たわね。」

三人はエレベータで最上階の部屋まで行った。

2人は広い居間に通されテーブルに座らされた。
さゆみは、
「電話では聞いたけどわたしに受験勉強を見てもらいたいって話だよね。」

雅も千奈美もこうやってれいな抜きでさゆみと向き合うのは初めてで何となく緊張した。
千奈美はれいなとさゆみが中学生だったころ二人はレズだと言う噂を今でも信じているので余計だった。

雅は、
「お願いします話だけでも聞いてください。」
さゆみは、
「・・・・ん。」
「個人情報にかかわる事でも私に教えてくれる?」

千奈美はきょとんとした。

94 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 12:58:41 ID:FB8sLCyu0
さゆみは、
「嘘をつかず、勉強が不足した理由を正直に書いてくれたら、手伝うか決めるの。」

さゆみは笑ってるとも真面目とも思えない顔で二人を見た。

雅は、
「お願いします!!」

さゆみは千奈美を見た。

この時に千奈美は初めてさゆみの凛としたきれいな顔立ちをじっくり見た。
(さゆみ先輩って本当にきれいなんだな。)

「お願いします!!」
顔を赤らめながら言った。

さゆみは、
「今どれくらい時間ある?」

千奈美は、
「家に電話かければ何時でも。」
千奈美の父親は焼き鳥食堂によく行くので道重さゆみの事を良く知っているのだった。

雅も、
「私も大丈夫です。」

さゆみは、
「そう。」

小型ノートパソコンをテーブルの上に乗せてカチャカチャキーボードを動かしだした。

95 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 12:59:24 ID:FB8sLCyu0
キッチンのカウンターテーブルにパソコンプリンターが置いてありそこから何かがプリントアウトされてきた。

「はい。」
さゆみは、二人にプリントアウトされた数枚の用紙を渡した。

その用紙は氏名から住所、家族構成、出身小学から趣味、好きなテレビ番組、音楽等々身上履歴を思わせる用紙だった。

その他の用紙を見た。

「!!」

いきなりテスト問題が表れた。

2人に渡された問題は入試に近い全教科の縮小版で2時間程度で出来るものをさゆみは選んだが3時間かかった。

その間さゆみはパソコンをカチャカチャいじっていた。

やっと終わった頃に玄関から「ピンポーン」が鳴った。

インターホンに立ったさゆみは、
「勝手に入って。」

そう言ってまたテーブルに座ってパソコンをやりだした。

制服姿の女子高生が居間に入ってきた。

「メール見て来たけど。」

96 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 12:59:58 ID:FB8sLCyu0
「絵里先輩!!」

二人の前に制服の亀井絵里が立っていた。

さゆみは、
「絵里は雅ちゃんの問題を答え合わせして。」

さゆみは、ちなみの問題を答え合わせしていた。

20分くらいで二人は解答用紙など使わずさっさと赤ペンで採点していた。

それほど簡単な総合問題らしい。

それでもれいなの後輩である二人をさゆみは面倒見ようとは最初思ったのだが、やっている途中の回答をちらっと見たらとても一人では手に負えないと判断した。

そこで絵里を巻き込んだのだった。

さゆみは二人の試験のデータをインターネットで偏差値計算して合格可能高校を検索した。

さゆみは結果を二人に告げた。

結果を聞いた二人は愕然とした・・・・・。

雅は、
「ちょっと遠すぎますが・・・」
千奈美は、
「・・・・・・。」

さゆみは、

97 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 13:00:34 ID:FB8sLCyu0
「今からやっても3ヶ月しかない・・・・だけど地元の高校に行きたい?」

雅は、
「可能なんですか?」

絵里は、
「二人しだいね。」

さゆみは、
「クリスマスもバレンタインデーもお正月もないわよ。」

千奈美は、
「やります!!」

さゆみは、パソコンを操作して問題集をプリントアウトした。

二人に渡しながら、
「特別な参考書なんてないの、受験勉強は数をこなす、ただそれだけ。」

さゆみは、
「勉強は入学してからしてね。」

「?」

二人は今一理解できなかったが数十枚のプリントをもらって帰宅した。

帰り道、
「みや、何か先輩の言う事聞けば何とかなりそうな気になってきたね。」
「う・うん・・不思議だよね・・・れいな先輩も凄い頼りになって安心するけど・・・道重先輩も絵里先輩もあたし達なんかよりすっごい大人に見える。」

98 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 13:01:13 ID:FB8sLCyu0
しかし二人が一番に先輩に好感をもったのは「自分達の頭の悪さ」を責めないところにあった。

彼女達の学力が低いのには明らかな理由があった。

まず、千奈美はどうしても自分の音楽を手に入れたいためハードなバイトをこなしてキーボードを購入してキーボード教室にも通ったためである。

雅は暗黒面に陥っていた佐紀に法外な現金を要求されて無茶なバイトをしたために基本的な学力は皆無だった。

二人はその事を細かく書類に書いてさゆみに提出していた。

「ちぃ、正直に勉強出来ない理由書いたから何も言わないでくれるのかな。」

「きっとそうだね。」

「れいな先輩も憧れたけど・・・・。」

「あの2人もかっこいいなぁ。」

それからの数週間、千奈美と雅はさゆみからもらったプリントをやり続け全部出来たのでさゆみに提出しに行った。

ちょうどクスマスの日だった。

さゆみのマンションに行く途中、
「みや、さすがに今日はクリスマスなんで休んでいいって言うよね。」
「そ、そうだよね。」

この前の様にやはり亀井絵里もマンションにいて宿題であったプリントの答え合わせをした。

99 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 14:22:28 ID:FB8sLCyu0
終了後、テーブルにパソコンが2台用意してあり何やらさゆみと絵里が操作しだしてプリンターからプリント用紙数十枚が出力された。

さゆみは、
「今日はこの場でこのプリント全部やってもらうわ。」

「は・はい。」

絵里は、
「家の方に連絡はしなくて良い?」

千奈美の家ではやはりクリスマスをやろうとはしていたけど、両親は半分涙声で、
「今日はもう帰って来なくていいからお嬢様から勉強を教わって来なさい。」
「・・・・・・。」
「あの名門校の生徒が千奈美の面倒みてくれるなんて。」
両親はありがたがっていた。

雅の家も共働きで今日も両親は遅く帰宅するので問題はなかった。

さゆみは、
「千奈美ちゃんは私に、雅ちゃんは絵里に分からないところは聞いてね。」
「予想では3時間はかかるので1時間に一回休憩入れてやるわよ。」
「はい。」

さゆみと絵里はその間パソコンを忙しく操作していた。

後に聞いた話では二人ともアメリカ留学受験の為に論文準備をしていたそうだ。

1200に須藤茉麻は矢島舞美と街で待ち合わせしていた。

100 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 14:23:33 ID:FB8sLCyu0
矢島が、
「よお!!」
「待ったかい?。」

二人はファミレスで食事をした後公園を歩いた。

矢島は、
「北海道の高校を受験にしに行くんだろう?」

「そう、飛行機に乗って試験を受けてくるわ。」

「・・・・・。」

矢島はグレーのダウンジャケットのポケットから小さい箱を取り出して茉麻に渡した。

「なんつーか、クリスマスプレゼントかな。」

「開けて良い?」

「うん。」
茉麻は箱を開けた。
中身は星型のペンダントだった。

紺色のコートの上から茉麻はすぐつけてみた。

茉麻も黒いショルダーバックから青い毛糸で編んだマフラーを矢島の首に巻いてあげた。

「!!」

茉麻は公園から見える歩道橋に背の高い見覚えある背中がもう一人の少女と歩いている姿を見た。

101 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 14:24:10 ID:FB8sLCyu0
「ああ、熊井ちゃんと舞波ちゃんだ。」
(本当によかったね二人とも・・・・)

二人の背中は階段を下りて見えなくなった。

夕暮れが近づきクスマスのイルミネーションが街を彩っていた。
「ちょうど一年たったんだ。」
「北海道から帰って?」
「そう。」

舞波は大きなエクボを出して笑った。

舞波は、
「どうせなら北海道の寮制度の学校にでも行きたいけど、両親が寂しがるしまだ私の事が心配なんだ。」

友理奈は、
「行ってみたいな・・・・。」

「北海道に?」

「青より蒼い水を見てみたい。」

「うん。」

友理奈は、
「いつの間にか舞波はしっかりと目標をしっかり持ってたんだね。」

「うん、これからいっぱい勉強してツアーコンダクターになって、もっと感動を探したいの。」

102 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 14:24:50 ID:FB8sLCyu0
友理奈は真剣な目で言った。
「あたし舞波と同じ高校行くわ。」

舞波は優しく見つめ返し。
「後悔するよ。」

「おーい!!」
友理奈と舞波の両親と舞波の叔母「石井リカ」がこれから入るホテルの前にいた。

リカは友理奈に、
「始めまして、会いたかったわ。」

友理奈も、
「始めまして。」

リカは、
「舞波にいつも話しを聞かされていたのよ。」

舞波の両親が、
「さあさあ話はホテルに入ってからにしよう。」

お互いに傷つきあった家族は今、ささやかなクリスマスパーティーを開くところであった。

「はい、後1時間で全部おわらせるように。」
「それでは10分間休憩。」
絵里は千奈美と雅にそう言った。

さゆみは休まず既に二人が終わらせたプリントの採点をして二人が弱い教科の分析をしていた。
千奈美は用意してもらったコップにボトルから水を入れて飲みながらいっぱい入っている着信メールの送信者名だけ見た。

103 :Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」:2008/12/31(水) 14:26:09 ID:FB8sLCyu0
「はあああああ、みんな楽しんでるんだろうなぁ。」

雅は自分を指差して、
「大丈夫、みんなじゃないから・・・・。」

千奈美は、
「ねぇ、みや、やっぱり聖夜にはやっぱり鐘が鳴ってるのが似合うよね?」

「まあね。」

千奈美はニヤッとして鞄からチャペルの鐘の形をしたキーホルダーを出した。

「いい、鳴らすよ。」

「リンリン」

「・・・・・。」

チャペルの鐘の形はしているが音は鈴だった。

「・・・・・。」

雅は半ベソをかきながら、
「それじゃタマの鈴じゃんよっ!!」

「休憩終わりそろそろやろうか。」

絵里がパソコンを打ちながら言った。

黙々とキーを打つ音と鉛筆のなぞり音が静かに響く夜だった。

Episode029「聖なる夜に鐘は鳴る」 終わり

104 :Episode030「いつかきっと!!」:2008/12/31(水) 18:12:14 ID:5OYNu00R0
Episode030「いつかきっと!!」

いつの間にかクリスマスも年末年始も終わり一月の半ばに日付は進んだ。

文化祭が終わってからは学校を休みがちだった梨沙子が一月の冬休み後は順調に登校していた。

土手を歩いて友理奈と梨沙子が登校していた。

友理奈は、
「最近体の調子が良い様ね。」

「うん。」

梨沙子は、
「ねぇ、ゆり。」

「ん?」

「舞波ちゃんと同じ高校に行くの?」

「・・・・うん。」
「家族とも相談してね、やっぱり行くことにしたんだ。」

「・・・・・。」

「高校ならどこでも良いって訳ではないし、人間なら誰でも友達になれる訳でもないって事なんだよね。」

梨沙子は、

105 :Episode030「いつかきっと!!」:2008/12/31(水) 18:13:19 ID:5OYNu00R0
「・・・・そうだよね。」
「ランディーだから私もがんばってギター練習できたんだよね。」

梨沙子は、
「私も病気の完治に懸けてみたいの。」

「・・・・・。」

梨沙子は、
「転校しようと思うの。」

「!!」

昼の休み時間に、

茉麻が参考書の問題をやっていた。
雅は、
「まあ、昼休みくらい休めよ。」

「それもそうよね。」

千奈美も来て、
「まあ、どんな参考書使ってるの?」

千奈美と雅は茉麻の参考書を見た。

雅は、
「ああ、この方程式2年生の後半に出てきたやつだね。」
千奈美は、
「うん、これ代入の順番が2つあってややこしくて3回もさゆみ先輩に聞いたな。」

106 :Episode030「いつかきっと!!」:2008/12/31(水) 18:14:02 ID:5OYNu00R0
茉麻は口を開けて驚いた。

「ねぇ二人ともいつからそんなに勉強分かるようになったの?」

二人は受験勉強のいきさつを茉麻に教えた。

「ずるーい!!そんなエリート二人に教えてもらってるなんて。」

千奈美は、
「そうは言うけどクリスマスも正月もなかったんだから。」

雅は、
「聖なる夜にタマの鈴が鳴るんだから!!」

茉麻は笑いながら、
「何それ〜」

雅は、
「でもそのくらいの問題は茉麻くらいの頭の人達なら普通にわかるレベルなんだろ?」

茉麻は、
「いやーこの辺の方程式の応用は結構難解だよ、みんな手こずるよ。」

雅は、
(もしかして・・・あたしら・・・頭よくなった?)

千奈美は、
「さゆみ先輩も絵里先輩も淡々としか勉強教えないから出来てんだかどうかがね。」

雅は、
「黙って先輩達の言う事聞いとけば、いつかきっと。」

107 :Episode030「いつかきっと!!」:2008/12/31(水) 18:14:43 ID:5OYNu00R0
千奈美も、うなづいた。

ホームルームの時間になった。

坂本は、
「えー早いもので受験まであと少し、その他の者も進路が決まりつつあって、いよいよ卒業が見えてきました。」

「えー1人・・・今月1月をもって3年B組を卒業する仲間がいます。」

クラスは騒然とした。

「菅谷梨沙子です。」

「・・・・・。」

坂本は、
「みんなも知っている通り梨沙子は病気と今戦っています。」
「今まで様々な場所で治療と療養を施してきましたが、現在最も有力な治療を施す療養所が沖縄にあると分かりました。」
「先生も今の3年B組全員で卒業を迎えたい。」
「だけど一刻も早く梨沙子が楽になるのなら・・・・。」
「先生は梨沙子を送り出したい。」
「元気になってくれとな。」
坂本は涙声だった。

「・・・・・。」

清水佐紀は胸の中で、
(今すぐじゃなきゃダメなの?)

108 :Episode030「いつかきっと!!」:2008/12/31(水) 18:15:23 ID:5OYNu00R0
嗣永桃子も、のどまで、
(卒業まで待てないの?)

梨沙子が席を立った。

「みんなのおかげで楽しい生活が出来ました。」
「最後に文化祭でギターを弾かせてもらって・・・。」

「ありがとう。」

「明日発ちます。」

「!!」

熊井友理奈は我慢できず、
「梨沙子!!急すぎるわ!!」

「・・・・ごめん。」

二人とも涙があふれていた。

坂本は、
「あ〜せめて、梨沙子と過ごしたこの日々を忘れないでおこうと先生は思います。」

梨沙子がいる3年B組の最後のホームルームが終わった。

「チェリーハーツ」のメンバーと雅、茉麻が梨沙子の家まで送って行った。

千奈美が言い出した。
「いつかきっと同窓会やろう!!」

109 :Episode030「いつかきっと!!」:2008/12/31(水) 19:15:43 ID:5OYNu00R0
梨沙子は頷き、
「その時は「チェリーハーツ」もやりたい。」

友理奈は、
「うん、絶対できるよ。」

茉麻は、
「うん、同窓会ぜったいやろう!!」

雅は土手から見える夕陽に照らされた町並みを振り返り、

「いつか・・・きっと・・・」

そう、
この言葉を繰り返さなければ今日と言う日を信じられないのである。
明日もまた同じように・・・・・・。

Episode030「いつかきっと!!」 終わり

110 :Episode031「卒業」:2008/12/31(水) 19:19:44 ID:5OYNu00R0
週に2回の道重さゆみと亀井絵里との勉強会も本日で最後になった。

雅は、
「今まで本当にありがとうございました。」

さゆみと絵里は今日ばかりは笑顔だった。

千奈美は、
「あのーお月謝なんて今まで払わなかったのですが、いくらか払いたいのですが。」

絵里は笑顔で、
「れいなもさゆもいつも絵里をただで助けてくれたんだけど。」

さゆみは、
「もしその気があるなら道重グループに就職考えてね☆」

二人は、
(あり得ねーあんな大グループ。)

千奈美は、
「二人に助けがいる時はいつでも行きます。」

さゆみは、
「そんな事言うと本当に呼んじゃうからね☆」

絵里は、
「しつこいけどもう一回聞いとく、当初の志望校から2ランク上の高校も願書は出してるよね?」

千奈美は、
「はい、坂本先生は喜んでいたけど他の先生は・・・・ちょっと。」

111 :Episode031「卒業」:2008/12/31(水) 19:20:34 ID:5OYNu00R0
さゆみは、
「大丈夫、受けられれば問題はないから。」

二人は受験の事など何も知らない、進学塾のレベルすら知らなかったのである。
市販の問題集や参考書も何も揃えなくて良いとさゆみと絵里に言われていたのだ。

さゆみのパソコンから出力されるプリント集がすべてだった。

絵里は、
「もうこのメンバーでここに集まる事はないと思うけど必死な人間見てこっちもがんばる気持ちがでたよ。」

さゆみは、
「最初の学力では千葉行きは確実だったけど、今なら何も恐れずに地元の高校行けるわ。」

二人ははじめて評価の言葉をもらった。

絵里は、
「今日は早く寝るのよ。」

二人は涙目で、うなずいた。

桃子は放課後に佐紀と商店街で待ち合わせていた。

「佐紀ちゃん!!」

「桃子。」

二人は駄菓子屋のベンチに座って缶コーヒーを飲んだ。

「佐紀ちゃん卒業式終わったらすぐダンススクールに行くんでしょう。」

112 :Episode031「卒業」:2008/12/31(水) 19:21:15 ID:5OYNu00R0
「うん、もう私にはそれしかないからね。」

「なんかさ〜佐紀ちゃんってお侍さんみたいだね。」

「なにそれ。」
「佐紀は以前には見られなかった柔らかく優しい笑顔を見せた。」

「さあ、あたしも本気出してオーディション受けまくるよ!!」

「うん、それじゃ帰ってきたら連絡するわ。」

須藤茉麻は先ほど北海道の千歳空港に降り立った。

2時間ほどで雪の世界に舞い込んだ。

「久しぶりだなぁ〜。」

祖母の住む家へ向かうバスに乗り込んだ。

須藤茉麻は家族が北海道に移転する事により北海道の高校へ進学するべく受験に来たのだった。

(ここから、家族で一から始めるんだよね。)

バスは静かに白銀に吸い込まれて行った。

石村舞波と熊井友理奈が試験会場から出てきた。

友理奈は、
「舞波どうだった?」

113 :Episode031「卒業」:2008/12/31(水) 19:21:52 ID:5OYNu00R0
「地理で北海道の穀物生産量の問題が出ていたんでちょっとぼーと北海道を思い出しちゃったな。」

「余裕だね。」

舞波は、
「去年のクリスマス以来、家族で食事会するんだったね今日は。」

「そうだね、舞波の叔母さんの仕事の話はとてもおもしろいよね。」

「舞波。」

「ん?」

「ウチらで行楽スポットブログ作らない。」

「入学祝いに爺ちゃんに一眼レフのデジタルカメラ買ってもらうんで様々な場所をめぐってみよう。」

舞波は笑顔でうなづいた。
「友理奈すごいね。」

二人は笑顔でこれかの計画を考えていた。

友理奈は、
「まずは桜町商店街かな。」

二人は笑いあった。

雅と千奈美は2ランク上の試験が終了して出てきた。

114 :松輝夫:2008/12/31(水) 19:31:25 ID:MeUByc3o0
イワナ氏、おつかれいなです。なんか、展開が早すぎる気もしますが(汗)
とりま、こんなの貼ってみます。

3年B組ベリーズ工房 其の四
http://tv8.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1144940233/

3年B組ベリーズ工房 其の五
http://tv8.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1158235908/

3年B組ベリーズ工房 其の六
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1164238834/l50

3年B組ベリーズ工房 其の七
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1172229561/

3年B組ベリーズ工房 其の八
http://tv11.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1212188979/

まとめサイト「3B同創部」
http://www.geocities.jp/iwa3b/index.htm


・感想とか雑談大歓迎です。

・もちろん新規の作家の方も大歓迎ですよ。

・sage進行でお願いします。

・荒らしはスルーで。

115 :ミヤビイワナ:2009/01/01(木) 07:21:00 ID:jmuaUIB+0
みなさんあけましておめでとうございます。
輝夫さん板では久しぶりですね。
しばらく存在しなかった板なのでイワナのわがままで最後の話はage進行でやらせていただきますね。
読んでるいるみなさん続きを書きますね。

116 :ミヤビイワナ:2009/01/01(木) 07:21:51 ID:jmuaUIB+0
雅は、
「何か普通に書けたな。」
千奈美は、
「不思議だよね。」

雅は、
「もしかしてあの高校受かっちゃう?」

「そりゃ〜受かるでしょ旦那〜」

二人は笑いながらバス停に走って行った。

それぞれの進路は逐次決まっていき、長くも短い3年B組もいよいよ本日をもって卒業である。

体育館の壇上で神妙に卒業証書を受け取る生徒達を見ながら坂本は何度もハンカチで顔をぬぐった。
生徒達の胸中は寂しさと未来への希望が入り混じり複雑な心持だが一つだけ言えるのはもう二度3年B組には戻れないと言う事である。

式が終わった後、須藤茉麻はたくさんの桜の木が並んだ校舎裏に夏焼雅に呼び出されていた。

呼び出された場所に行くと雅が1人で桜の木を眺めていた。

「みや。」

「ごめん、まあ。」

雅は、
「こうやって会うのは久しぶりだね。」

117 :ミヤビイワナ:2009/01/01(木) 07:22:53 ID:jmuaUIB+0
「ちいと二人で集中勉強してたもんね。」

雅は、
「あたしの最後の我がまま何だけどちゃんとまあに自分の気持ちを伝えたかったんだ。」

「・・・・・。」

「あたしがずっと大人になって他のだれかと恋して・・・・」
「・・・・・。」
「素敵な結婚しても・・・やっぱり茉麻の事が好きなんだ。」

茉麻は雅を抱きしめ唇にキスをした。

「!!」

「ありがとう・・・みや、あたしの事を好きでいてくれて。」

雅は、目をつぶりながら茉麻の体から離れて背中を向け校門に歩いて行った。
「矢島にちゃんとお別れ言ってやれよ。」
「うん。」


校門では千奈美が待っていた。

雅は、
「ん?待っててくれたの?」

「うん。」

二人は土手を歩いた。

118 :ミヤビイワナ:2009/01/01(木) 07:23:39 ID:jmuaUIB+0
千奈美は、
「大丈夫そうだね。」

「何が?」

「まあ、とのお別れに決まってるじゃん。」

「うん。」

「ちい。」

「ん?」

「最後までありがとう、気を遣てくれて。」

「まあね。」

雅は、
「学校の桜が咲くたびに入学式で初めて3人制服で登校した日を思い出すんだ。」

「うん。」

「夜眠る時とか考え事をする時、目をつぶると。」

「うん。」
「まあの黒い長い髪が桜と一緒に風になびく笑顔を思い出すんだ。」

「うん。」

「そう言う時ねあんまり、まあがキレイだから、「ああ、あたしは、まあ、を好きになって
よかった」って思うんだ。」

119 :ミヤビイワナ:2009/01/01(木) 07:24:43 ID:jmuaUIB+0
「その気持ち分かるよ。」
千奈美は優しく微笑んだ。

通いなれた土手を彼女達は明日からもう歩かない・・・・・。
だけど彼女達と同じように青春に悩んだり希望を見つけたりする生徒達がこの土手を歩んでまた現れる。

そして桜は咲いて散る・・・・・。






120 :Episode031「卒業」:2009/01/01(木) 08:55:18 ID:jmuaUIB+0
卒業式の終わった閑散とした3年B組の教室に坂本は1人教壇に立った。

顔に刻まれた深いシワが誰も居ない教室で出席簿を持って出席をとっていた。

彼は彼自身の3年B組に対する卒業式を挙行していたのだった。

一人ひとりの名前を読み上げ生徒の顔を思い浮かべれば自然と涙がこみ上げてきた。

贈る言葉もないただ一人の教室で生徒一人ひとりが達者であってくれと願うだけだった。

坂本は最後の1人を読み終わり。

深々と教室に礼をして教室を後にした。

教室には夕陽が差し、まるで夕陽が膝を抱えて一人座っているようだった。





Episode031「卒業」 終わり
3年B組ベリーズ工房 完 


121 :ミヤビイワナ:2009/01/01(木) 09:01:45 ID:jmuaUIB+0
「書き終えて」
3年B組ベリーズ工房と言う小説作品は今回で終了です。
もともとこの小説は自分の他に二人の作家が先に書き出していてそれに共感して、小説なんか書いた事もない自分が書いてしまったと言う話です。

そのうちもう1人の作家があらわれて4人で書くことになったのですが、やはりそれぞれの考えや書くペースの違いが出て先に書いていた二人の作家が自分達の意思で卒業しました。
やはり一人一人のモチベーションが違うので作品が合致するのは大変だし普通の調整じゃ無理な事が分かったし勉強にもなりました。

まあなんと言っても自分が書き上げたエンディングが気に食わない方々もいるとは思いますが、他人が作り上げた作品をたった一人で終わらせた事だけは汲んでやってください。

またいつか小説を書いてみたいなと思いつつ松輝夫さんの作品掲載終了と共に「同創部」も役目を果たして近いうちに閉鎖します。

最後まで読んでくれた方々、本当にありがとうございました。

輝夫さんの作品が掲載して読める事を楽しみに待っています。

122 :ねぇ、名乗って:2009/01/02(金) 07:14:03 ID:Ygussmlz0
保守

123 :ねぇ、名乗って:2009/01/02(金) 07:14:31 ID:Ygussmlz0
保守

124 :ねぇ、名乗って:2009/01/02(金) 07:15:06 ID:Ygussmlz0
保守

125 :ねぇ、名乗って:2009/01/02(金) 07:15:30 ID:Ygussmlz0
保守

126 :ねぇ、名乗って:2009/01/02(金) 07:16:00 ID:Ygussmlz0
保守

127 :松輝夫:2009/01/06(火) 07:09:03 ID:6vABdLzMO
なんか、予想以上のペースであっという間に終ってしまったな(汗)
ちょっと駆け足気味な感じもしますが、まずはおつかれいなでした。ついに卒業しちゃいましたね。
自分の方は、ただでさえ煮詰まっている所に最近は時間も無く…いつ書き終わるのやら。
ところで、「同創部」閉鎖してしまうのですか?維持が大変なら仕方ありませんが、そうでなければ出来たら残していただければ…。

128 :ミヤビイワナ:2009/01/06(火) 13:55:39 ID:ZlqR8Ki+0
輝夫さんお久しぶりです。
板に特に反応もなかったので同創部の閉鎖を考えていましたが、残してもいいよと言う意見があれば残そうと思います。
輝夫さんのペースでゆっくり書いてくれればいいと思いますので楽しみにしています。
自分の方は完全に日常にもどりました。
ゆっくりがんばって下さいね。

129 :ねぇ、名乗って:2009/01/11(日) 19:57:22 ID:auJ92j5e0
保守

130 :ねぇ、名乗って:2009/01/11(日) 19:57:56 ID:auJ92j5e0
保守

131 :ねぇ、名乗って:2009/01/11(日) 19:59:47 ID:auJ92j5e0
保守

132 :ねぇ、名乗って:2009/01/16(金) 18:19:49 ID:7pRniqi10
hosyu

133 :ねぇ、名乗って:2009/01/18(日) 08:30:29 ID:dpPEW9h80
保守

134 :ねぇ、名乗って:2009/01/18(日) 08:31:11 ID:dpPEW9h80
保守

135 :ねぇ、名乗って:2009/01/18(日) 08:31:52 ID:dpPEW9h80
保守

136 :ねぇ、名乗って:2009/01/18(日) 08:32:24 ID:dpPEW9h80
保守

137 :ねぇ、名乗って:2009/01/18(日) 08:32:53 ID:dpPEW9h80
保守

138 :ねぇ、名乗って:2009/01/18(日) 21:07:18 ID:dpPEW9h80
保守

139 :ねぇ、名乗って:2009/01/18(日) 21:07:57 ID:dpPEW9h80
保守

140 :ねぇ、名乗って:2009/01/18(日) 21:10:35 ID:dpPEW9h80
保守


141 :ねぇ、名乗って:2009/01/19(月) 05:40:54 ID:9FlDCbmu0
hosyu

142 :ねぇ、名乗って:2009/01/19(月) 20:46:10 ID:9FlDCbmu0
保守

143 :ねぇ、名乗って:2009/01/19(月) 20:46:41 ID:9FlDCbmu0
hosyu

144 :ねぇ、名乗って:2009/01/19(月) 20:48:42 ID:9FlDCbmu0
保守

145 :ねぇ、名乗って:2009/01/19(月) 21:22:22 ID:9FlDCbmu0
保守

146 :ねぇ、名乗って:2009/01/19(月) 21:23:12 ID:9FlDCbmu0
保守


147 :ねぇ、名乗って:2009/01/20(火) 05:40:20 ID:ed4dv0Cm0
保守

148 :ねぇ、名乗って:2009/01/20(火) 05:40:57 ID:ed4dv0Cm0
保守


149 :ねぇ、名乗って:2009/01/20(火) 05:41:34 ID:ed4dv0Cm0
保守

150 :ねぇ、名乗って:2009/01/20(火) 05:41:58 ID:ed4dv0Cm0
保守

151 :ねぇ、名乗って:2009/01/20(火) 05:42:40 ID:ed4dv0Cm0
保守

152 :ねぇ、名乗って:2009/01/31(土) 15:23:41 ID:/zy/XCld0
保守

153 :ねぇ、名乗って:2009/02/05(木) 17:37:12 ID:eKZfUGekO
保全

154 :ねぇ、名乗って:2009/02/07(土) 11:10:06 ID:77m6ainOO
保守

155 :ねぇ、名乗って:2009/02/08(日) 09:05:29 ID:QQFtj3+7O
保守

156 :ねぇ、名乗って:2009/02/11(水) 20:43:41 ID:pRTgizmJ0
保守

157 :ねぇ、名乗って:2009/02/11(水) 20:44:21 ID:pRTgizmJ0
保守

158 :ねぇ、名乗って:2009/02/11(水) 20:44:51 ID:pRTgizmJ0
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